第21回 消費者安全専門調査会 議事録

日時

2013年1月11日(金)10:00~12:13

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松岡座長、中川座長代理、片山委員、齋藤委員、佐竹委員、佐野委員、田澤委員、
鶴岡委員、中嶋委員、中村(均)委員、横矢委員
【消費者委員会担当委員】
河上委員長、山口委員長代理、夏目委員
【事務局】
消費者委員会 原事務局長、小田大臣官房審議官

議事次第

1.開会
2.消費者安全専門調査会 取りまとめ報告書案について
3.その他
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:49KB)
【資料1ー1】 消費者安全専門調査会報告書案(PDF形式:511KB)
【資料1-2】 消費者安全専門調査会報告書案(修正箇所明示版)(PDF形式:517KB)
【資料1-3】 報告書案「今後の課題」(中川座長代理、佐野委員意見反映資料)(PDF形式:106KB)
【資料1-4】 報告書案「今後の課題」(齋藤委員意見反映資料)(PDF形式:110KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 時間がまいりましたので、おくれている委員がおられますけれども、始めさせていただきたいと思います。
 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。年明けということで、あけましておめでとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 ただいまから、「消費者委員会消費者安全専門調査会(第21回)」の会合を開催いたします。
 本日は、内堀委員、中村晶子委員、担当の小幡委員から欠席の連絡をいただいております。本日は河上委員長も出席させていただいております。
 それでは、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第の下に配付資料一覧と書いておりますけれども、資料1は、この専門調査会の報告書の案になります。
 資料1-2は、報告書の案の修正箇所の明示版というものをおつけしております。
 資料1-3と1-4は、「今後の課題」の取りまとめにつきましては、それぞれ御意見が出ておりまして、うまく一つの文章にとけ込ませることができなかったものですから、それぞれの委員の御意見を反映させたものを二通り用意させていただいております。これも議論の中で、できるだけ一本化というところでお話を進めていただければと思います。
 配付資料は以上のとおりです。
 それでは、座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○松岡座長 本日は、消費者委員会から河上委員長に御出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても後日、公開いたします。

≪2.消費者安全専門調査会 取りまとめ報告書案について≫

○松岡座長 それでは、議事に入ります。
 議事次第2の「消費者安全専門調査会 取りまとめ報告案について」ということで、前回に引き続きまして、最終の報告案についての議論を行います。前回の専門調査会では、皆さんから報告書案について多くの御意見をいただきました。どうもありがとうございました。前回の御意見を反映した報告書案を年末にお配りしておりまして、先日までにさらに御意見をいただき修文を行っております。
 まずは、修文後の報告書案について、事務局から御説明をお願いいたします。

○原事務局長 その前に、配付資料でお話しするのを忘れた部分がありまして、大変恐縮です。配付資料一覧の中には入れておりませんけれども、席上配付で、食品分野について、消費者庁のリコール情報サイトに掲載されているもの、財団法人食品産業センターの食品事故情報告知ネットの資料等、おつけしております。時間がございましたら、後半のところで御説明をしたいと思います。
 また、昨日の朝日新聞の夕刊にリコールについて記事がございましたので、これも関連というところで席上配付をしております。
 それでは、報告書の案について御説明させていただきたいと思います。
 資料1-2が修正箇所明示版になっておりまして、説明しやすいと思いますので、そちらを使わせていただきます。黒字が前回の専門調査会で報告をしたものです。青字で入っている部分が、年末に委員の皆様にお送りした最終案というところで入れたものです。赤字の部分については、各委員から御意見をいただきましたので、それで加筆修正をしたものになっております。
 それでは、説明に入りたいと思います。
 まず、目次です。前回の調査会で、5番と6番の部分が、5の前にまず行政機関への提言があって、「なお」として優先的に取り上げる事項ということで、再度、行政機関への提言が最後に書かれているスタイルになっていましたので、これを一本化いたしまして、「5.事業者、報道関係者、消費者における課題」「6.行政機関への提言」というふうに整理をして、最後に「今後の課題」をつけております。
 参考資料として、報告書本体にどういうものをつけるかということも明示しておりまして、これまで毎回、議論の整理と対策案の検討表を出しておりましたので、その資料。事務局で調べました、リコール対象製品による重大製品事故の発生状況。製品回収・リコールに関する消費者アンケート調査の結果もつけたいと思っております。
 今後の課題のところに関連しますが、前回出されました3人の委員の方々の御意見も、参考資料としてつけてはどうかということで提示しております。
 2ページに入りまして、「はじめに」のところです。真ん中の段落で、「第1次消費者委員会では」と書いておりますが、第1次消費者委員会でも網羅的な建議を出しておりまして、それとの継続性ということも考えまして、この部分を6行追加しております。
 「これらの状況を踏まえて」というところで、今回の本専門調査会では、4行目から5行目にかけて書いてありますけれども、注意喚起徹底方法に力点を置いて検討をしたということ。食品について余り議論をしていなかったというところは、事実としてはそのとおりですので、意図的に外して議論をしていたわけではないのですけれども、そういった結果になっているというところで、「食品、自動車、市販医薬品などについては踏み込んだ議論は行っていない」ということを明記しております。
 3ページは、今回、新たにおつけしているものです。報告書を一言で要約すると、どういったことを提言しているのかということで、趣旨と、主な提言事項と、今後の課題を書いております。主な提言事項のところは、後半、行政機関への提言というところで、囲みの中に入れている部分を要約した形で出しているものです。今後の課題については、最後の議論を受けてまた考えたいと思いますけれども、現段階のものでお示ししております。
 4ページは、本専門調査会における問題意識として、(1)で消費生活用製品におけるリコールの状況を書いております。この部分については審議の中では触れていないので、5ページ以降の、事故の発生状況から書き起こしてはどうかという御意見もありましたけれども、一般の方が見るときに、リコールが一体どういう考え方のもとで行われているかというのは、やはりあったほうがいいのではないかということで、4ページはこのような形で説明をつけております。
 5ページから7ページは、事故の発生状況ということで、前回お示ししたものに少し加筆をしておりますけれども、本体としては変わっておりません。
 8ページは、「情報周知の限界と新たな仕組みの必要性について」ということで、これを今回、審議をしたわけですけれども、余り書き込んでしまうと後半のところの提言にならないので、必要最低限ということで、こういう御意見が出たというところで記載しております。
 9ページからが、「3.製品安全に係る情報周知の現状について」ということです。この部分について、9、10、11ページは大きな変更はございません。
 12ページからが、(2)として「情報周知の調査結果」というところで、内閣府国民生活局、国民生活センター、消費者委員会での調査ということで、前回は、そういうものを掲載しますということしかお示ししておりませんでしたけれども、具体的に書き込んでおります。13ページ、14ページも書き込んでおります。
 15ページ、16ページも調査結果です。ここの部分については前回お示ししたものです。
 17ページ、18ページは、「医療・介護ベッドに係る主な注意喚起」、その徹底がどうかというところですが、どういう注意喚起をしたかという部分について加筆をしております。18ページの最後のところで、現状、JISの改正を行ったり、いろいろな注意喚起の徹底がされておりますけれども、まだ旧規格製品が出回っているという状況です。注意喚起情報が行き届いていないという状況では、また同じようなことが起こるのではないかという懸念を書き加えております。
 19ページからが「消費者安全専門調査会における検討」ということで、ここの部分についても、もう少し具体的にどういう検討をしていたのかということを書き加えるべきだという御意見がありましたので、19ページ~22ページについては加筆をしております。
 23ページから、(2)としまして、「情報に対する消費者の認知とリスク回避の段階に分けた検討」ということで、3段階に分けて検討いたしました。3段階だけを明示しておりましたけれども、その内容についてももう少し詳しく書き込むべきだという御意見でしたので、加筆をしております。
 24ページ、赤字で書いてある部分についてですが、3段階に分けたときに、消費者委員会のアンケートの調査結果も、もう少しこの中に盛り込んで書き込んでみてはどうかという御意見をいただきましたので、例えば24ページですと、実際に新聞の社告、コマーシャル、WEBニュース、こういったものがやはり効果的であると同時に、販売店からの連絡があるのではないかということで、ここも詳しく書き込んでおります。
 26ページからが「課題」になります。「事業者、報道関係者、消費者における課題」ということで、ここも簡単な明示しかしておりませんでしたので、いろいろと御意見をいただきました。具体的に、製造・輸入事業者であればさらに工夫が必要ではないか。販売・流通事業者については、より責任を果たすことが求められるというような形で、製造・輸入事業者、販売・流通事業者、報道関係者、消費者とそれぞれ書き込んでおります。
 28ページから、「6.行政機関への提言」になります。(1)については、「行政機関があまねく安全に係る情報を共有して周知するための方策」ということで、各省庁を具体的に書き込んでおります。
 30ページについては、消費者庁が医療・介護ベッドを調査いたしましたように、情報が有効に伝わっているかどうかということについては、確認検証が必要ではないかという御意見がございましたので、ここの部分については追加をしております。
 31ページは「地方自治体を通じての情報周知」ということで、31~33ページは加筆をしております。
 34ページが、「マル3 事業者等を通じての情報周知」という部分です。特にアのところですが、今回、非常に強調されましたのが販売・流通事業者です。ここにもっと責務を果たしてもらいたいという御意見が大変多く出ておりました。書き方として、より強く求めていくことが重要な対策と考えられるとして、消費者へ情報を提供する義務について、「具体的かつ効果的な実施方法について検討を行うことが重要と考えられる」という表現にしております。個人情報保護法の話も出てきましたので、注の20として関連する部分をつけ加えております。
 35ページ、36ページは、それについて少し加筆修正をしております。
 37ページは、「(2)消費者に安全に係る情報を効果的に周知するための方策」です。上の段に、先ほど第1、第2、第3の段階分けの話をいたしましたけれども、さらにここでも、それを意識して行うことが効果的ではないのかということで加筆をしております。
 38ページの赤字の部分については、消費者が自らリスクを理解して行動をとるようにということで、「製品安全に係る消費者教育・啓発の充実を図る」ということを書き加えております。
 39ページ、「(3)情報通信技術の活用についての方策」ということで書いておりますけれども、これについては加筆をしております。特に40ページ、41ページに、現状について加筆をしております。特に消費者庁のリコール情報サイトについて書いております。
 42ページは、消費者庁はメールサービスによる情報発信をしておりますけれども、さらにこれを拡大する、うまく工夫するということが必要ではないかということで、42ページ、43ページについて加筆をしております。
 44ページ、マル3として、情報通信技術の活用、リコール情報サイトというようなものもありますけれども、直接消費者に届けるというところでも活用できないかということで、所有製品情報の登録の仕組みづくりということも意見としては随分出ておりましたので、その部分について書いております。具体的に書き方としては、委員から御意見をいただいたところを工夫して44ページに加筆をしております。
 45ページ、46ページは、「(4)製品安全に係る消費者教育・啓発の充実」ということで、46ページに、消費者教育推進法が成立したことを受けて加筆をしております。
 以上がきょうの報告書の本体というところで、さらに加えて、先ほど少し御紹介いたしましたけれども、今後の課題のところについてどのような書き方にするか、それぞれの委員から御意見をいただいておりますので、その部分については、後ほどそれぞれの委員から御説明をいただいた上で検討されてはどうかと思っております。
 それから、先ほど御紹介いたしました食品については、明示的に食品を外して検討しましょうというようなことは特にしていなかったのですが、徐々に消費生活用製品にシフトした形で議論してきたということは否めないと思っております。途中で、食品についても、リコールに当たってはJISを使っての社告を考えてはどうかというような御意見で、資料提供はいたしましたが、現状どうなっているかというところで、今回、少し資料を準備しました。消費者庁のリコール情報サイトですが、ここで食料品を検索すると、立ち上げてから今まで133件の情報が寄せられています。
 最近のもの10件ですけれども、最初のローストビーフのリコールは、最後にリコールの理由が書いてありますが、ロース肉と表示すべきところをモモ肉と表示をしたという誤表記です。その下の紅茶のリコールの理由は、食品衛生法の第11条の違反ということです。その次のパイの話ですが、次ページの下のところに「想定される健康への影響」ということで、アレルギー症状の話が出ておりまして、こういったところを理由にしてリコールが行われている。1年分ぐらい見てみましたけれども、大体そのような傾向が読み取れると思います。
 もう一つ、つけておりますのが、食品産業センターが食品事故情報告知ネットというものを提供しております。これは、最初のページのところを見ますと、掲載日、品名、情報の内容と書いてありまして、品名の後ろに、商品回収をしているものは「商品回収」という書き込みがあります。次のページに2011年分を掲載しておりますけれども、どういった品目で事故が起きているかということの品目別。次のページは告知理由別に見た事故情報ということで、こういった内容で実際には事故が起きているという内容がわかる形でしたので、こちらの資料もおつけしました。
 最後になって恐縮でしたが、食品については判断の基準が皆さんいろいろおありになるようで、これはこれとして非常に大きな課題があるのではないかということは事務局としても考えております。
 事務局からの説明は以上です。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、最終ページの今後の課題の部分を分けて議論しますが、まず、最終ページの前までの部分について、委員の皆さんからの御意見をいただきたいと思います。ページ数が非常に多くなっておりますので、さらに2つに分けて、初めから25ページまでと、その後というふうに分けて議論をしたいと思います。
 まず、25ページの5の前までの部分について、御意見をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○原事務局長 一応、25ページまでがここでの検討内容をもとにして書いたものです。26ページ以降が、事業者、報道関係者、消費者における課題と行政機関への提言なので、そこで2つ分けていただけたらと思います。

○松岡座長 中川座長代理、どうぞ。

○中川座長代理 最初に、言葉の統一をしたほうがいいのではないかということを指摘したいと思います。何の情報かということです。3ページでは、注意喚起情報で統一して書いていますけれども、ほかのところを改めて見ますと、例えば6ページの下から4行目はリコール情報、8ページの下から2行目はリコール情報を含む注意喚起情報、9ページの2行目はリコール情報等となっていて、12ページの一番上は製品回収、注意喚起に係る情報、38ページの最後の段落の冒頭で、消費者がリコール情報や注意喚起情報、これは並列になっていますので、どうしますかね。

○原事務局長 統一します。どうしても「その表現では」ということならば、そこは工夫して言葉を使うようにいたします。

○中川座長代理 統一する必要があると思いますが、我々の中でどういう用語にするのか。リコール情報と注意喚起情報は違うものにするのか、全体で注意喚起情報とするのか、どちらが適切ですか。

○原事務局長 まとめるときは、リコール情報を含む注意喚起情報という感覚で一応まとめてはきているということです。

○中川座長代理 それを最初にどこかに明確に書いたほうがいいですね。統一するということで。

○松岡座長 では、そういうことで対処をお願いいたします。
 ほかに何かございますか。
 佐竹委員、どうぞ。

○佐竹委員 介護ベッドの事故のところが、今回、非常に気になりまして、18ページの最後に、「先の消費者庁医療・介護ベッド~今後も注意喚起情報が行き届かない状況が懸念される」ということで結ばれてしまっています。これは、新たな事故が発生することが懸念されるということで、今後も在宅で介護に携わり、介護ベッドを使っている人、また、在宅介護を支援する者への注意情報の徹底が必要であるというところまで、踏み込んで言っていただいたほうがいいのではないかと思いました。
 それから、24ページのリスクのところですけれども、「今のリコールの告知内容は非常にわかりにくく、リスクがあるのかないのかがぼやかされているように見え」という表現になっていますけれども、「リスクがあるのかないのかが明確に伝えられていないために、まだ十分にリスクが認知されていないのではないかと思われる」というほうがわかりやすいのではないかと私は思いました。
 それと、「リコール情報を認識しても、製品の交換に応じてこない人」と書いてありますが、リコールというのは製品交換だけではないですね。修理されたり引き取られたりということもありますので、認識しても製品の交換に応じてこない人ということではなくて、「リスク回避の行動をとらない人」というふうにしていただいたほうがいいのではないかと思いました。

○松岡座長 今の御意見はよろしいでしょうか。

○原事務局長 はい。

○松岡座長 では、そのような修文ということで。
 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今の18ページのベッドのところですが、私も、最後の「懸念される」というのではなくて、今の御意見に賛成です。そもそもこれを読むと、JISを改正した後のベッドは安全というように読めてしまいます。それは言い切れないので、新しいJIS規格製品であっても、なお予断を許せないというようなことを書いていただきたいと思いますので、それをつけ加えていただけないでしょうか。
 2ページの下から6行目、食品のところですが、「また、食品~踏み込んだ議論は行っていない」と。原事務局長からの説明で理解しますけれども、これを初めて読んだ人は、なぜ食品、自動車、医薬品について検討しなかったのかというのがわからないです。自動車、医薬品というのはきちんとした制度があるとしても、食品という一番あやふやで一番消費者に近いところについて、私たちがやりたくなかったのか、時間がなかったのか、その理由を書き込んでいただきたいと思っています。

○松岡座長 いかがでしょうか。正直言って時間がなかったという感じですね。いろいろ議論をしまして、やりたくなかったわけではないということです。

○佐野委員 でも、これだと読めないです。

○原事務局長 今、振り返ると、農水省を途中でヒアリングに呼んで、どういう現状なのかを聞くと、もう少し膨らみを持った議論ができたかなというのは反省点としてはあります。

○松岡座長 その辺、正直に書いても報告書として問題がないのでしたら、ある程度書いて、今後、こういうことが重要ですという指摘にもなると思いますし。

○中嶋委員 意図的に外したのではないということを書くほうがいいと思います。

○消費者委員会山口委員長代理 「なお検討課題として残っている」という言い方のほうがいいのではないですか。議論しなかったというのではなくて、今後の課題であると。

○松岡座長 では、そのようなことで、注意すべき問題であるということをこの検討会でも認識していると。
 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 先ほどのベッドのところで、新しい規格も危ないというような趣旨に聞こえました。100%安全だとは言い切れないけれども、新しい規格になったものに関する事故はまだ報告されていないという記述が、どこかにあったと思います。それと平仄を合わせたほうがいいのではないですか。

○佐野委員 事故ではなくて、死亡事故がないというのが消費者庁からの報告です。

○齋藤委員 だから、その旨だけ付記すればいいのではないかと思います。中身の議論はしていないので。

○佐野委員 ただ、死亡事故がなかったというのは、前回も申し上げたと思いますが、それはあくまで消費者庁に情報が届いていないということであって、わからない部分があるということもきちんと書いていただきたい。情報共有ができていない事故はたくさんあるはずですから、その部分も書き込んだほうがいいと思います。

○松岡座長 18ページの下から2つ目の段落のところですね。強化されたということは事実として書いてあります。その後、起こっているか起こっていないかということは何も書いていないということになりますが、その辺はちょっと工夫して。

○齋藤委員 事実だけはっきり書いてくれればいいと思います。死亡事故は報告されていないというのは事実だと思います。

○松岡座長 その辺は、事実としてどうなったかということで。
 横矢委員、どうぞ。

○横矢委員 私は、佐竹委員が御指摘された24ページの一番上の部分がとてもひっかかったのですけれども、「今のリコールの告知内容は、非常にわかりにくく」と、簡単にまとめられています。これは、どなたか委員の御発言が後ろのページに出てくるので、そのまま出てきているのだと思いますが、これを見た方は、では工夫すればいいではないか、なぜ工夫しないのかと思って、何か話がおかしくなってしまうような気がします。今までいろいろ御苦労があって、基準とかつくられてわかりやすくなってきているし、そんなにわかりにくいものばかりではないように思います。ですから、ここでこういうふうに冒頭から言い切ってしまうのは、ちょっと工夫を入れたほうがいいのではないかと感じました。

○松岡座長 そうすると、状況をもう少し詳しく書いたほうがいいということですね。
 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 私も、このくだりで以前コメントしたことがあると思いますけれども、消費者などと相談しながら書いている企業もあり、今の御指摘のとおりです。非常にわかりにくいものもまだ残っているという書き方なら、多分、事実だと思います。

○消費者委員会山口委員長代理 今の関係でよろしいでしょうか。

○松岡座長 どうぞ。

○消費者委員会山口委員長代理 23ページのI、II、IIIのところで、警告認知性の問題、リスク認知の問題、リスク回避の問題と書かれています。普通、こういう用語を使うのでしょうか。その下のほうを見ると「段階」という言葉が出ていますが、警告認知の段階、リスク認知の段階あるいはリスク回避の段階とか、段階という言葉がかたければ、レベルとするのはどうか。問題と言うと、何なのだろうかとちょっと違和感を感じます。全くこだわるものではないのですが、普段、こういう言葉を使われているのならばそれで構いませんが、どうでしょうか。

○松岡座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 今、おっしゃられたことで、個人的な意見としては、ここは余り書かないほうがいいと思っています。一つの手法ですから、リスクに対してどういうふうに認識して行動するか。これは、たまたま越山先生がこういうふうに言っておられるだけです。それをここにポンと出してしまうと、今みたいな議論が起きてくるわけです。
 だから、余りここは大きく書く必要がなくて、こういう考え方があります、今回はこの考え方に沿ってまとめましたぐらいにしておかないと、一つひとつの段階について問題がありますとか、いろんなことを言い出すと、この報告書の一番重要なものは何かがぼやけてしまう。手法の問題を議論するのではなくて、今、起こっているリコールの問題を議論したいわけですから、ここについては、全体のページ数として50ページ弱しかないものについて、2ページも3ページもこういうものに割くのですかというふうに申し上げているわけで、ここを議論の対象になるようなものにする必要はないと思います。

○松岡座長 そういう御意見がありますが、委員の皆さんはいかがでしょうか。一応この考え方に沿って、項目の整理はこれに基づいてやったということで。

○中嶋委員 そういうことをやりました、だけでとめておいたほうがいいですね。これの手法についていっぱい書き込んでしまうと、今みたいな議論になる。

○松岡座長 もう少し簡略化して、こういう考えがあるのでそれに沿って整理しましたと。

○中嶋委員 そのほうがいいと思います。

○松岡座長 では、そのように事務局のほうで修文、簡略化ということでよろしいでしょうか。

○原事務局長 前回、とても簡単に書いていたら、それではわかりにくいからもう少し膨らませてと言われて書いたのですが、確かに越山先生のお考えということで、これによって整理するとわかりやすいのではないかというのでその後の議論の整理に使わせていただきました。その辺はもう少し工夫して、そういうことでこの分類でやったのだということがわかるような形を、もう少し補って、簡略化できるところは簡略化するという工夫をさせてください。

○中嶋委員 ここのところで議論が起きないように書いていただければいいと思います。

○原事務局長 はい。

○松岡座長 片山委員、どうぞ。

○片山委員 そういう趣旨であれば、23ページの付加された青字のところは、越山さんの考え方の説明なので、注に落としてしまったらいかがですか。要するに3段階に分けて現状分析をして、3段階というのはこの3つである。その3つのそれぞれにおける課題としてこういうものが挙がったというところは残していただいて、3段階の具体的中身は注ということであれば、すっきりするのではないでしょうか。

○松岡座長 こういう考えをもとに考えたというのは非常に重要なことなので、紹介しておくのは意味があると思います。
 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 先ほどどなたか指摘された「問題」という言葉にひっかかりがあります。問題と言うと、重点的に後で議論をするのかと思ったらそうでもないということです。前後には段階と書いていますけれども、警告認知性に関する項目、事項がこれだけ列挙されました、リスク認識に関する事項がこれだけ列挙されました、というほうが議論の経緯に合っているような気がします。

○松岡座長 改めて問題が適当かどうか指摘されると、ちょっとということですね。では、そういうふうに修文をお願いしたいと思います。
 ほかにございますか。
 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 ちょっと戻りますけれども、18ページの介護ベッドの問題のところです。JIS改正品がどうのこうのというか、我々はあくまでも注意喚起情報の周知度についての調査結果を議論したのであって、介護ベッドの今のものがいいとか、改正品がいいとかいう議論は何もしていないので、JIS改正品もどうのこうの言うのは、私は違和感を感じます。要するに伝わっていかなかったということだけを、この事例で我々は見ただけだったとしか私は思っていないのですが。

○松岡座長 JIS改正でその後発生していなかったというのは、単なる事実関係としてどこかに付記する程度でとどめておいて、議論の流れは、注意喚起が行っていない事例として取り上げるという形で。
 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 今の介護ベッドの話でいきますと、これは情報収集が不十分であると。報告件数が18件ありましたが、それがどちらかというと、死亡事故もあってシリアスなものばかりだったのです。実際に一般に起こっている事故を考えますと、一つの重大事故の背景には約300件あるというハインリッヒの法則があるわけで、交通事故でも、死亡事故が4,000人だとしても実際には300万件起こっているわけですから、そういうふうに考えたときには、一番の問題は、情報収集がきちっとできていないということを考えないといけないと思っています。
 それは私も指摘したことであって、佐野委員が言われたように、JISの改正品が本当に事故を防ぐかというと、構造を見て、あれで事故が防げるとはとても思えないわけです。余り細かいことを言うのは好きではないのですけれども、これはやはり不適切な表記だと思います。古いものが使われているから問題なのではなくて、情報が集まっていないのが問題であって、なおかつ、新しいJISになったから事故が起きないということは誰も検討していないし、実際にあれで事故が防げるとはとても思えませんから、ここの記述は、全体の流れの中で考えて我々が議論したとおりに書いてもらったほうがいいと思います。

○松岡座長 その流れで修文は可能でしょうか。

○原事務局長 18ページのここは、どのように書くか大変苦労したところです。皆さんの御意見をお聞きしていると、ともかく事実をまず素直に書いていただきたいということなので、その方向でもう一度考えてみます。

○松岡座長 ほかに、25ページまでで御意見はございますか。
 中川座長代理、どうぞ。

○中川座長代理 最初のほうに戻りますけれども、4ページの(1)のリコールの話です。自主的リコールと法定リコールの関係。この話と、5ページの(2)、リコール開始後の事故の関係がわかりにくいのですけれども、例えば(2)は自主リコールの実態という形で1から2へ流れていくのでしょうか。

○原事務局長 5ページの事故の発生状況というところは自主リコールです。そのことがわかるように、4ページと5ページのつながりは文章を工夫いたします。

○中川座長代理 そうであれば、(1)と(2)に分けなくてもいいような気がします。分けると独立の問題意識があるという感じですが、そうではないわけですね。気になったのが、4ページの下から3行目、「問題なく行われているように見えるものの」というのが何か意見表明をしている感じなのですが、そこまでの趣旨ではなかったですね。実態がよくわからないで、実際に事故が起きているではないかということにつながっていくわけですので、合体してはどうかと思いました。

○松岡座長 (1)と(2)を合体して、(3)が(2)になるということですかね。
 ほかにございますでしょうか。
 では、主なところの問題点は出たと思いますので、それに沿って修文していただくということで、続きまして、26ページ以降、46ページまでのところで御意見をお願いしたいと思います。
 あと、細かいことで申しわけないのですが、42ページにリコール情報メールサービスと
いう記述があります。私も実際に登録してリコール情報メールサービスを受けていますが、毎回、どんどん来るんですね。表題が定型で「リコール情報from消費者庁」という表題がポンと来るだけで、中身が全然わからないものが次から次へと来るので、できればサブタイトル、それぞれの送ってきたときの主なものが何であるか、ちょっとわかるようなものを1行入れていただくと、ユーザーとして見ている人が、「これはちょっと見なくては」というような気になるのではないかという気がします。そのようなこともあるといいかなということを印象として感じました。

○原事務局長 御意見として追加いたします。

○松岡座長 ほかに何かございますでしょうか。
 佐竹委員、どうぞ。

○佐竹委員 31ページの「地方自治体を通じての情報周知」のところですが、是非つけ加えていただきたいと思いましたのが、イの「消費者庁は、消費者生活センターへ情報提供~事例を消費者庁で蓄積し、全国の消費生活センターへノウハウとして展開を進めていく必要がある」というふうに終わっていますが、これは、事例を蓄積するためにはやはり調査しなければいけないと思います。それがきちっとなされていないと思いますので、「必要がある」の後に、「そのためには、各地の消費生活センターへ製品安全の取組みを調査することが必要である」という文言を是非つけ加えていただきたいと思います。
 細かいのですが、その下の「審議の過程における具体的な指摘事項」というところのポツの2つ目、「そもそも自治体には、製品安全やリコール情報を担当する部署はあるのか。悪徳商法対策には相談員がいたり」と書いてあります。消費生活センターの相談員というのは悪徳対策だけやっているのではなくて、製品事故もきちっとやっておりますので、これはカットしていただいたほうが誤解を生まないのではないかと思いました。
 それと、32ページに「本専門調査会の議論においては、消費生活センターの中では」とあります。これは、なぜわかりにくいのかというと、消費者庁から届く情報の中には、製品回収、つまりリコール情報もあれば、ベッドのように注意喚起情報もあります。ですから、これは事故になる、これはリコールしなければいけないという情報のほうが重要だと思うので、「その情報の重要度がすぐわからず、本来は、重要で優先的に広く周知しなければならない」と、「優先的に」という言葉を入れていただいたほうがいいのではないかと思いました。
 最後の消費者教育のところですけれども、「製品安全に係る消費者教育・啓発の充実」というところで、「消費者教育推進法による製品安全に係る消費者教育の充実」というところのウ、「従来、製品安全に係る消費者教育~さらに消費生活センター・学校などへ講師派遣や担い手の育成に協力する体制の仕組み」となっています。そもそも私たち消費生活センター・学校も消費者教育に取り組むべきだと思っておりますので、「事業者、事業者団体、製品安全に詳しい者が教材作成へ協力し、消費生活センター・学校なども積極的に、製品安全の消費者教育が実施できるように協力体制をつくってほしい」というような言い方にしていただくといいのではないかと思いました。実際、活性化基金で、消費者教育の教材を消費生活センターでもつくっておりますので、是非、消費者教育を自治体も実施するように仕組みづくりをつくっていただければと思いました。

○松岡座長 そうすると、「協力する体制」ではなく、担当するという感じですか。

○佐竹委員 そうです。実施するとか、担当するということです。

○松岡座長 わかりました。
 ほかにございますか。
 中川座長代理、どうぞ。

○中川座長代理 佐竹委員の最初におっしゃったところは、どこを消せという御指摘でしたか。消費者相談は悪徳商法だけではないというところですか。

○佐竹委員 これは誤解を生むかなと思いましたので、そこの一文をカットしていただければ。

○中川座長代理 31ページの2つ目のポツですね。でも、これは言わないといけないのではないですか。もちろんゼロではないと思いますが、主としては悪徳商法の担当者が多くて、安全はやっていますかというと、来れば別に排除するわけではないけれども、主たるものとして認識されていないのではないかと。したがって、受け手がいないというふうな話が上につながっていきますので、消してしまうとよくないと思います。

○佐竹委員 これは、製品事故には余り相談員がかかわっていないように読めませんか。今、製品事故の情報が入ったときのほうが手間暇をかけて取り組んでいるんですね。消費者安全法の関係がありますので、ヒアリングをしたり、その後のフォローをしたり取り組んでいますので、決して悪徳商法対策だけではないというところを御理解いただけたらなと思います。

○中嶋委員 実態的に、やっておられる仕事の中のボリュームとしてどうなのですか。

○佐竹委員 ボリュームとしては悪徳商法のほうが入る件数が多いので。

○中嶋委員 そういうことでしょう。別段それを軽視して書いているわけではなくて、実態はそうではないかと。そういうふうに書いているだけなので、なぜそこでそう引っかかられるのかなと思うのですが。

○松岡座長 夏目委員、どうぞ。

○消費者委員会夏目委員 この発言をしましたときには、消費生活センターの中身とか相談員のことよりも、自治体の広報を活用してはどうかというときに、そもそも自治体の内部の受け手のところで、こういったことに対してアンテナの高い部署なり担当者がいないので、そこを解決していかないとだめなのではないかという話だったと思います。ですから、そこでは悪徳商法がどうとか、そういう話ではなかったと思いますが。

○佐竹委員 わかりました。

○松岡座長 ということは、このままでよろしいのですか。

○中嶋委員 表現を少し変えて、もっとモデレートに書いてということでしょう。

○佐竹委員 そうです。それでいいと思います。

○松岡座長 山口委員長代理、どうぞ。

○消費者委員会山口委員長代理 26ページですが、販売・流通事業者の責任についてかなり議論が出ていたと思いますけれども、これを見ますと、製造・輸入事業者についての項目がたくさんあって、販売・流通事業者は2項目しかありません。上の製造・輸入事業者のところで書かれていることも、かなりの部分は販売・流通事業者にも共通するという感じもしますので、これは一緒にしたらどうか。特に販売・流通事業者は、むしろメーカーよりも大手の流通事業者などは力を持っている部分もあるわけです。その辺のところは議論が出ていたと思いますので、(1)と(2)の表現ぶりを工夫してはどうかと思います。
 それから、(3)は表現の問題ですが、4つポツがあります。1ポツと2ポツがよくわからないのと、2行目の「伝達の拡大」という日本語は、余り使わないのではないかという気がしました。あとは工夫の問題ですけれども、(1)と(2)は何とかならないかなと思いました。

○松岡座長 流通についてはかなり議論しましたが。
 片山委員、どうぞ。

○片山委員 今の延長ですが、34ページの行政への提言の中で、流通事業者を今後どう扱うかというところの提言がなされていて、全体的にもとの提言よりもトーンダウンしているというのがとても気になっています。ここの調査会のおおむねの意見とすれば、販売・流通事業者のリコール情報の周知に対する義務をもっと明確に、という話だったと思います。今回の表現では、義務という言葉が使われてはいますけれども、単なる実施方法の検討というところに収れんされてしまっていて、ここでもっと突っ込んで議論したことが消えているというところに不満を感じています。
 それとの関係ですが、赤字で書かれている上のところで、「流通事業者(卸売事業者)」と、ここだけ卸売事業者という注が入っています。これも言葉の問題として、逆に言うと、それより前のところでは全部、単なる流通事業者で来ていますし、流通事業者のイメージがはっきりしない。明確化が必要であれば、もっと前の段階で、流通というのは卸売も含むし、卸売だけではない、もっと広い、いろいろな販売の商品流通にかかわる事業者すべてを入れていただきたいというふうに明確にしてほしいと思います。
 その関係で、今、山口委員長代理から御指摘のあった26ページの(2)の流通事業者の、製造・輸入事業者とは異なる特別な検討をすべきといいますか、今後、明確にしていく課題というのを、義務ということも含めてもう少し書き込めないかというのが私の意見です。

○松岡座長 そうしますと、(2)は、項目が少ないのではないかということで、多少重複してもよろしいから必要なところは書き込むという形のほうがよろしいのではないですか。

○中嶋委員 ちょっといいですか。

○松岡座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 これは私も指摘事項の中で言わせてもらっていますが、一番初めの提言というのがありまして、今回、3ページに赤字で「優先的に取組を求める主な提言事項」とありまして、これをずっと見ていくと、これを受けて5と6があります。6の行政への提言だけがこんなにたくさん書かれていて、ここで議論したことはそればかりだったのかというと、そうではなくて、今、片山委員が言われたように、輸入・販売事業者の話とか、販売事業者です。流通と書くと卸売と入りますが、今の世の中、卸売事業者がそんなに大きなウエートは持っていなくて、我々の頭の中にある流通というとスーパーや専門代理店みたいなところになっていて、もっと言うと、そこが実際の消費者、誰が何を買ったかというデータを持っています。
 ある人の調査によれば、今、ある大手の販売事業者はそのデータを情報として売っているということまで言っているのです。その情報を一番欲しがっているのは製造メーカーなのですが、こういうリコールについて、輸入事業者と製造事業者を一緒にして書いてしまうと、問題が起きます。差があるんです。輸入事業者は売り逃げをする人たちですが、製造事業者は何とかしたいと考えている、というのが一般的な考え方なのです。
 そういうふうに考えると、もっとここは膨らませて書くべきでしょうし、3ページ目の提言の中で「販売・流通事業者ルートの活用により」というところに、頭に経済産業省が急についています。これは食品でも同じことが起きていて、農水省も同じ問題を抱えているわけで、ここで話をするときに、経産省はどうかというのは一言言いましたけれども、省として対応してくれるのは農水省もあるわけです。たまたま食品を突っ込んでやらなかっただけで、それは性格が違うのです。食品というのは3分の1ルールというのがありまして、例えば50万食売ったら、リコールをかけるときには既に半分以上は消化されていて、残って回収できるものは3分の1ぐらいですというのが業界の一つの常識になっているわけです。
 そういう議論はここではしていないですけれども、対象としては食品も入っているわけですから、これは経産省というふうに入れる必要はないと思います。
 それから、26ページたった1ページというのは、やはりちょっとおかしい。議論をした内容をもう少し正確に反映していただきたい。輸入事業者の問題は何が問題だったのか、販売・流通事業者は何が問題なのかということを、もう少し丹念に書き込めないだろうかというのが私の感想であります。

○松岡座長 そうしますと、5の(1)の製造・輸入事業者を2つに分けたほうがいいと。

○中嶋委員 そう思います。

○松岡座長 さらに、販売・流通事業者を入れる。そうすると問題点がはっきりしますね。

○消費者委員会山口委員長代理 中嶋委員がおっしゃった3ページの提言の中には、消費者委員会としては行政にしか注文をつけられないかもしれませんが、専門調査会としては、流通事業者にこういう工夫もしたらどうでしょうかということをおっしゃったと。消費者委員会は行政ですから、行政のほうにしかものを言えませんが、専門調査会としての提言であれば、流通事業者はもう少ししっかりやったらどうですかというようなことも発言として出ましたと。もしまとめられるならば、3ページの項目の中に一つ挙げてもいいのではないかと思います。あるいは、メディアについても、もう少しわかりやすくリコールのことについて工夫したらどうですかと。実際にヒアリングしましたので。

○松岡座長 ただ、ちょっと気になるのは、この報告書自体が消費者委員会に出す報告書で、それに対してこういう提言の形をとっているので、それを飛び越えて世の中一般にこういうことを要望しますと書いてもよろしいのですか。

○中嶋委員 消費者委員会に提言として出すわけですけれども、問題点の指摘としてはありましたという事実は、あってもおかしくないわけです。ですから、行政機関が行政機関に対して出すものだから、議論した内容は行政に対するものしか入っていません。では、実際にそれで問題が解決できるのかというと、そうではないですと。では、事業者の問題というのはどういうふうに解決しますかというと、これは各省庁の法律で、どういう法律を書き込んでいくかということで実現できるわけですから、私は、問題点の指摘としてはきちっと書き込むべきだと思っています。受け取ってもらえるものは何かというのを意識しすぎると、報告自体が萎縮していくと思います。

○松岡座長 では、ここで議論したことはできるだけ反映して。

○中嶋委員 反映していただきたいと思います。

○消費者委員会山口委員長代理 恐らくメディアや役所の方々は3ページしか読まない。

○松岡座長 片山委員、どうぞ。

○片山委員 皆さんおっしゃるところと重なりますけれども、提言事項の前提になったのが26ページの各分野における課題抽出で、その課題をつぶすためにそれぞれの省庁がやりなさいという話なので、課題を3ページのところに書き上げるほうが明確になると思います。
 26ページのところは、おっしゃるように、それぞれの課題の中身がよくわからない。ここでの議論をトレースしていない普通の人がこれを読んだときに、全くわからないということになりかねないと思います。例えば26ページの(1)の最後のポツですが、「リコール受付窓口の継続について検討しておくこと」というのも、改めて見ると、私自身がよくわからなかったんですね。やはり言葉が少し足りないと思いますので、26ページのところは詳しい表記に改善していただきたいと思います。

○松岡座長 そうしますと、26ページの5のところにポツの項目がいろいろありますが、それについてももう少し説明を加えて書くという形。ほかの委員の皆さんもそういうことでよろしいですね。
 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 今の件ではありませんが、販売・流通とまとめてしまっていますが、議論の過程ではリース業者があったと思います。医療の介護になるとリース物件が結構ある可能性があります。したがって、販売・流通だけ書くと、そうは読めません。最終利用者の情報を持っているリース業者なども含まれるという趣旨だったと思います。そういうふうに書き加えていただきたい。

○松岡座長 その辺、よろしくお願いいたします。

○消費者委員会山口委員長代理 レンタルは余り議論は出ませんでしたか。

○齋藤委員 レンタルはなかったですが、一緒ですね。賃貸と書いてもいい。実態は皆さんにお任せしますが、最終利用者の情報を持っている者が積極的に参加せよという趣旨が入ればいいと思います。

○松岡座長 そうしますと、3ページの経済産業省という言葉は省いて、一般的にということにしたほうがよろしいわけですね。
 そうしますと、34ページの赤字になっている記述のほうを議論したいと思います。

○片山委員 先ほどの、ここに卸売事業者が突然入った理由は何ですか。

○松岡座長 なくてもよろしいですかね。

○片山委員 なくてもいいと思います。

○齋藤委員 流通事業者は定義の範囲が結構広いですから。

○松岡座長 では、34ページのマル3、アの黒字の一番下に、「(卸売事業者)」と入っていますが、特に入れる必要があるのかということで、必要がなかったら落としてください。

○原事務局長 どうして卸売事業者を入れたのか、担当から説明したほうがわかりやすいと思います。

○事務局 先ほどの話の中で、販売・流通事業者の定義がはっきりしていないという御指摘だったというふうに思います。それについてはきちんと書き込めておりませんので、それがわかるような形にして前のほうに追記したいと思います。
 実は、販売・流通事業者という言葉の流通事業者の中には、物流だけを行っている事業者が入ってきてしまうという指摘がありました。そこで、物流だけではなく、卸売という機能を持っているのを強調するために括弧書きで卸売事業者を入れさせていただいたという状況でございます。あえてそこだけをというような意図もございません。

○松岡座長 そうしますと、26ページのほうにもうちょっとその辺のことを書かなければいけないということですね。

○中嶋委員 ここは書かなければいけないのですか。販売事業者を把握している流通事業者で卸売事業者というふうに、この文言はどうしても外せないということですか。

○事務局 外せないということではなくて、説明をもっと前段階に入れておくべきだったと考えております。

○中嶋委員 実態は、卸売事業者が介在をしている商品もあれば、介在をしていない商品も、売り方としては、大手のスーパーは卸売事業者を介在していない買い方もやっているわけです。だから、余り卸売事業者というふうに強調すると、一つのルートだけを書くことになりませんか。

○小田審議官 ちょっとよろしいですか。ここで、協力をしてほしいという業者がまず販売業者だと思います。販売業者というのは利用者に売った業者だと思います。スーパーであれば、中抜きで直接スーパーに商品が行って卸されているわけですから、そういう人は直接利用者を把握しているでしょう。しかし、小売の段階の中には、卸を通じて製品を仕入れて利用者に売っているところもあるでしょう。
 そうすると、メーカーから見ると小売店というのはわからないので、その間に入っている卸業者にも協力してもらえば、どういう販売業者が利用者の情報を持っているかも利用できるでしょうという、まさに多段階のものもあれば、ダイレクトのものもあるので、「また」という格好で、間に卸が入るところは卸の協力も得たらいいのではないですか、そういう言い方をしているということです。ですから、中嶋先生のおっしゃっていることとまさに対応していて、直接の場合もあれば多段階の場合もあるので、多段階の場合をあえて注意をしていますということです。

○消費者委員会山口委員長代理 だから、ここは「卸売事業者も含む」とすればいいのではないですか。「流通事業者(卸売事業者)」となると、流通事業者というのは卸売事業者のことだけしか言っていないように読めますので、卸売事業者を含む流通事業者のことを言いたいのでしょうから、入れるならば、括弧して「(卸売事業者を含む)」とかにしたほうがよくないですか。

○小田審議官 いえ、ここは卸売事業者なのです。

○消費者委員会山口委員長代理 だけなのですか。

○小田審議官 要するに小売を知っている卸売事業者。

○中嶋委員 それを前段に入れて、ダイレクトではなくて卸売事業者を介在して流通させている場合については、ここの協力が必要であるというふうに、前提を何ワードか入れれば何も問題はないと思うのです。そうすると、「流通事業者(卸売事業者)」と言わなくても、そこは卸売事業者でいけるのではないですか。流通事業者というのは読み手にはわかることですね。

○中川座長代理 ポイントは販売事業者ですね、まずは。だから販売事業者のことだけ書いて、34ページであれば、「また」とありますけれども、「なお、販売事業者を把握している卸売事業者等の協力も欠かせない」ぐらいにしておく。流通業とバーンと出すから、あれも入るこれも入るとなりますので、この提言の段階では販売事業者だけ書けばいいのではないですか。それをやるためには卸売の協力も必要になる。細かい制度設計をするときにはそういう話になっていくのは当然ですから、ここで流通をどこまで入れるかとか、そこまで議論しなくていいのではないですか。
 同じことで26ページの(2)も、もとに戻して「販売事業者」でよくて、ポツの中で、販売事業者がわからないこともあるので、卸売事業者に協力を求める必要があるというような感じで書いておけば話としては通じますので、そのほうがいいのではないでしょうか。

○中嶋委員 もう少し議論した内容を言いますと、卸売事業者さんというのはメーカーさんに協力的ですから、データは集めやすいのです。それに対してスーパーさんとかは余り協力的でないので、そこが問題ですよという議論をしたはずですなのです。

○松岡座長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 何箇所かに販売事業者というのが出てくるので、今のような修正をしたときに、ほかのところで問題が出ないかという観点のチェックも要ると思います。例えばその下の具体的な指摘事項のところに、「メーカーの製造物責任に対し、流通・販売事業者は少なくとも売買契約上の責任がある」というくだりがあるわけですが、この辺りは問題ないでしょうか。

○中川座長代理 すべて販売事業者にしておけばいいのではないですか。特にこれは、書き加えたければ書き加えればいいと思います。要するに、販売事業者をまず我々は問題にしたと。それをやるためには、関連してほかの人も広がってくるけれども、その議論を細かくはやっていないですね。ですから、販売事業者に限定して、全部統一して書き直せばいいのではないかと思います。法的にもそれ以外に拡大し得ますけれども、その細かいところまではここでやっていませんということで、よろしいのではないでしょうか。

○松岡座長 よろしいですか。では、全部、販売事業者に変えて、必要に応じて卸売事業者も関係してくるということで。
 片山委員、どうぞ。

○片山委員 私の頭の整理がついていかないのですが、ネット販売だとか、これだけ商品流通のいろいろな方法が広がっていますね。そういう中でここで義務を果たしてほしいのは、購入した消費者情報を持っている人なのです。それがイコール販売事業者に普通はなると思いますが、今後のいろいろな流通手段、販売方法の拡大の中で、それが常にイコール、販売事業者が必ず持っていると言えるのかなというところがちょっと疑問です。個別の商品の販売事業者と、実際にそれを消費者へ届けたりして情報を握っている事業者が、ずれてくることがあるのではないか。そういうことも含めて販売・流通という言葉を私自身は使ってきているわけです。ですから、書くとすれば、対象商品を購入した消費者情報を保有している、主として販売事業者だけれども、それは販売ということに限らない、そういう情報を持っている事業者。
 卸売事業者の責務というのは、誰が小売店かもわからないから、メーカーと小売店をつなぐ役割としての卸売事業者の責務ということなので、言葉の使い方として違うわけです。そこをもう少し明確にしておいていただかないと、今後、ガイドラインをつくったり、継続検討するときに趣旨が不明確になることをおそれます。

○松岡座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 今ごろこういう話をして恐縮ですが、
 消費者に対しては、自分が買った場所に行って情報をもらってくださいとか、もしくは、ニアレストポイントの販売店、販売に関与した人たちとなっていますけれども、そこに行ってくださいという書き込みの仕方になっているので、それのほうが本当はとらまえやすいですね。流通業者とか販売業者と言わないで、供給の中で関与している人たち、もしくは、各段階で関与している業者が情報を持っていますというふうなことを本当は言ったほうがいいと思います。

○松岡座長 そうしますと、片山委員のおっしゃった顧客情報を持っているところということで、26ページは販売事業者という項目を立てて説明していますが、そこでその辺のことを全部網羅するようにということを説明で入れる形にすると。

○中嶋委員 販売事業者の定義をちゃんとしていればいいと思います。

○松岡座長 将来的にはこういうことも含むと。

○中嶋委員 はい。

○松岡座長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 先ほどの3ページの「経済産業省は」というのを「関係省庁」にするということですが、そもそも食品などについて検討していないのですから、矛盾しないですか。

○中嶋委員 ここは関係省庁と入れる必要がありますか。

○佐野委員 入れると先ほどおっしゃったので。

○中嶋委員 もとは入っていなかったですね。

○佐野委員 ですから、「経済産業省は」を取るだけでいいのではないかと思います。

○松岡座長 なしでやったほうが、すっきりするということですね。

○佐野委員 ということですが、いかがでしょうか。

○中嶋委員 これは、提言をつくるときに受け取ってくれる人をちゃんと書き込まないとだめなものですかね。提言事項というふうになったとき。

○小田審議官 専門調査会の報告書ですから別ですけれども、この報告書を受けて消費者委員会が建議なりをされると、どの大臣に建議をするのかというのを明確にしないといけないわけです。

○中嶋委員 一つひとつに関してですか。

○小田審議官 そうです。ここの部分は何々大臣、何々大臣はこことここですと、これははっきりさせないといけません。

○佐野委員 それは、消費者委員会が読み取って委員の方々が検討してくださればいいことで、私たちがここで言わなくてもいいのではないでしょうか。

○小田審議官 消費者委員会が受け取った場合は、そうしないといけませんということです。

○中嶋委員 そうしますと、今の「経済産業省は」というのは残しておいて、ほかにもこういう問題はある可能性がありますという書き込みの仕方であれば、受け取ったほうは、経産省にともかく言えばいいと。まだほかにも問題点はあるというふうには読めるので、そういうふうにするというのも一つの案かもしれません。私は、落とすのがいいと思ったのですけれども、提言を持っていく先がないとだめだから、それはそうだと。そうすると情報通信技術、ここは消費者庁向けなんですね。一番下の赤の追加のものは誰向けになるのですか。3ページに「消費者の日常生活における危険認知能力の向上のために」とありますが、これは、消費者庁はというふうになるのですか。

○原事務局長 消費者庁と文科省。

○中嶋委員 文科省ですか。もしそういうふうにするのであれば、全部書き込まないとだめなのではないでしょうか。

○小田審議官 当初は入っていなかったのです。赤字ですから、どなたかの意見で入った。

○中嶋委員 そこに省を入れなくていいのですか。

○小田審議官 後ろの何とかのほうには書いてあるわけです。ですから、ここには書かなくてもいいのではないかと原案をお示ししたら、どなたか委員から、何省、何省と書きなさいという御意見があったので、書いたのだと思います。そうすると、経産省だけ落としてなぜ消費者庁が残っているのかという話になりますから、それは、詳しいものは後ろを見てくださいという、最初にお示しした案でいかがでしょうか。

○松岡座長 この検討会としては具体的に書かなくても、消費者委員会が判断して出してくれるということで、あまりごちゃごちゃ書くと読みにくくなるから、落とすということも一つの考えとしてありますね。それでよろしければ、経産省も落として、下の教育のほうもこのままの形で残しておけばと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 それでは、そういう形でさせていただきます。
 一応、見え消し版の46ページまでは意見が出尽くしたと思いますので、最後の大事な「今後の課題」についての議論に移りたいと思います。2種類の修文がありまして、中川座長代理と佐野委員、齋藤委員からの修文の御要望が出ております。それについては、佐野委員、中川座長代理、齋藤委員から、それぞれお考えを簡単に説明していただいた上で、ほかの委員からの御意見もいただいて、この部会としてディスカッションをしたいと思います。
 それでは、まず、佐野委員からよろしくお願いいたします。

○佐野委員 ポイントとしては、ここに書いてありますように、私たちは消費者事故未然防止のためにいろいろ検討を重ねてきました。何回も申し上げていますけれども、リコールとか、情報伝達の方法などについては十年来いろいろなところで検討しています。今の段階で、事業者の自主的な努力や、消費者の行動に依拠するだけではなく、きちんとリコール基本法または促進法など、法整備の必要があるのではないか。そこの部分は、本当は一つ前段階、提言事項に入れたらいいのではないかと思ってはいましたが、今後の課題ということで前回お話があったので、今後の課題の中で、リコール基本法、推進法を検討してほしいと思います。
 ここでは最後から3行目のところで、「消費者安全専門調査会としては、事業者、行政のそれぞれの責務を定めた包括的な法整備の必要性や、それに基づく製品の」と、ここにも必要性という言葉が2回出ていますが、必要性という言葉は必要ではなく、法整備またはガイドラインの検討をすぐスタートしてほしい。それを消費者委員会に引き継いでいただきたいということを強く思っています。
 必要性ということは皆さんの御意見で残ったのだと思いますけれども、そもそも法律を一本つくるのは相当時間が必要ですから、今の段階でスタートしてくださいということを申し上げておかないと、これからいろんなことを考えて検討していきましょうということになりますと、もう一度同じような委員会を立ち上げて、また考えていかなければならない。いつになったらきちんとしたものができるのかというのが危惧されますので、是非、この検討会でスタートしてほしいということを消費者委員会に伝え、消費者委員会のほうでそれをスタートするべく行動をしていただきたいと思っています。
 それから、いろいろ議論はありましたけれども、基本的には基本法というものをバクッとつくって、それを、厚労省・農水省・経産省などの省庁が所管している法律がありますから、そこに落としていってきちんと整備していくほうがいいかと思いまして、まずはリコール基本法というものを提案したいと考えています。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、中川座長代理、よろしくお願いいたします。

○中川座長代理 私は、最後の法整備の「必要性」というところをむしろ強調したつもりです。今回、わたしたちが提案したことをやってリコール等がうまくいくならばそれはそれでいいわけですが、その上で、やはり法整備が必要かどうかということを検討する必要があるだろう。必要性の検討と言うと、佐野委員からは怒られるかもしれませんけれども、早くリコール法の立法をやれと今までも何度も消費者団体が言ってきたこと自体は確かですので、そういう意味では課題として明確にする必要はあるだろう。ただ、立法をどうするかの結論をここで決めたわけではないので、やはり「必要性」という言葉は要るだろということで、この辺りが適切な結論と思ってこれを書きました。ですから、結果的に齋藤委員とそんなに違わないような気持ちでもいます。

○松岡座長 ありがとうございました。
 齋藤委員、よろしくお願いいたします。

○齋藤委員 資料1-4のところですけれども、こういうふうに修文をお願いする提案をしました。理由を説明いたします。
 最初のところで、これは基本法、促進法とかいう名前が出てきたのは事実ですけれども、流通業者の責務に関するガイドラインや法整備等が一定の分野で必要であることを除いて、具体的な内容はほとんど未検討であります。また、国際規格とか国内規格の検討をすることが必要だという話も出ました。既存の法令の運用自体はどうなっているか、これも詰める必要があるという指摘もありましたけれども、これらが理解できる形に整理されておりません。やはり法律の制定、改廃を論じるためには、その問題点を十分検討した上でその必要性を明らかにすべきだろうと思います。実質的な内容について触れているはずの第20回議事録を読めというのはいかにもひどいだろうと思いますので、最終の文書からここだけは削除していただきたい。
 それから、情報の受け手側の問題と、現在のリコール体制の問題の大きさを比較検討したような記述が次にあります。それを「並んで」としてはどうかということですが、これはブリヂストンサイクルとかパナソニックの事例がありました。両者は、出荷量の2分の1から4分の3を捕捉するにも大変な苦労をしておられるということもあったし、ブリヂストンサイクルのアンケート結果を見ると、リコール情報を受け取っても対応しない消費者も2割ぐらいあるようにアンケートで答えている。必要を感じていないということですけれども、そういうものもあったりしたので、このように修正してはどうかということです。
 3番目に、消費者は自ら進んで必要な知識を習得し、必要な情報を収集する努力義務があり、消費者教育推進に関する法律もあります。これに関するコメントを入れていただきたい。これは前のほうには入っていたかと思っていますが、最後のところにも入れていただければ、全体の社会のありようがわかるのではないかということであります。
 次のところは、消費生活用製品安全法、家庭用品規制法、化審法、薬事法、食品衛生法、道路運送車両法、毒物及び劇物取締法、その他、たくさん回収を命じる法律はあります。さらに、牛肉、米が代表格ですけれども、トレーサビリティを義務づける法律もあります。この辺を全部整理した上で説明する必要があるだろうと思います。しかし、具体的に議論しておりませんから的確な説明ができませんので、この部分は削除したほうがよいということであります。
 次のところは、ロジックを修正していただきたいということです。3ページの冒頭の趣旨のところにありますのは、消費者事故未然防止のための製品リコール案件等の注意喚起徹底策を講じて社会をよりよくすることが目的と読めます。そのためにまず課題を整理して適切な解決方法を検討すべきで、一定の範囲でそれを行ったという認識をしております。法整備は、解決のためのいろいろな手段の中の一つだと思っておりまして、課題整理ができていない段階で法整備の必要性とまでは言えないと考えます。課題を解決するということであれば、いろいろな手段が考えられます。ガイドライン、国内・国際の規格、法令、包括的な法令が要るのかどうか、その他の方法もたくさんあると思いますが、その辺を広く対象に検討して、外国の事例も大いに参考にすべきだと考えます。日本は独立した鎖国ではありません。マーケットはグローバルになっているわけですから、外国はどうなっているかということが必ず波及してきます。その検討は欠かせないと思っております。
 要するに、よりよい社会に向けてさまざまな提案がありましたが、項目列挙のみでその中身を実態分析したような裏付けもありませんから、言える範囲にとどめるべきであるということ。もう一つは、消費生活がグローバル化する中でグローバルな視点が不可欠だということ。その上で、法令の問題なのか、法執行の問題なのか、ということを明らかにして法整備を行うべきだと言うべきだというのが私の考え方であります。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 お三方の御意見はよくわかりましたので、これをもとに御議論をお願いしたいと思います。
 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 今後の課題というのは結語になっているわけですね。この報告書の本文の一番最後。ここにリコール促進法とか基本法というのが書き込まれると、この委員会はこれを目指してやってきたのかというふうに理解をされる可能性があります。翻って3ページを見ていただきたいのですが、どなたかがおっしゃいましたが、メディアなどはここしか見ないだろうと。取りまとめてある提言事項の中には、リコール基本法とか促進法を検討すべきであるというのは一切入っていません。佐野委員は書いてほしいと言われるのであれば、提言事項の中にそれを書き込まなくていいのでしょうか。
 私の意見は、書き込むのは時期尚早であると考えております。まず、何が問題かと言いますと、リコールの対象になった製品というのはリスクを持っているわけですけれども、そのリスクを全部企業側に押しつけるのかという問題があるわけです。たまたま、きのうの朝日新聞夕刊にパロマのとんでもない記事が出ていますけれども、回収に150億かけたと。今までの経緯の話を聞いていると、とてもそういうふうにやってきたとは思えないのですけれども、何を強調しているかというと、100%回収です。リコールは100%回収をしないといけないと言い切っている国は多分日本ぐらいでしょう。そんなことは世の中であり得ないはずなのです。
 そういうふうに考えたときに、リスクというのは基本的には消費者も認識をして、企業と一緒になってそれを回避する努力をしないといけない。事業者だけの責任であるから事業者が全部やりなさいという議論は、社会コストを膨らませるだけなのです。基本的にそこを学習支援できちんとやらなければいけない。この4-6月でISOのガイド51の改定が行われます。ここの中で強調されていることは、事業者はリスクを十分に減らした商品をお届けします。その中には、レジデュアルリスクという残留リスクが残っています。その残留リスクを受け取った使用者、消費者は、そのリスクに対して対応をとってくださいと、きちっと書き込まれています。事業者は、リスクを減らしたということについて、本当に減ったのか。それについてはドキュメンテーションとバリデーションをやってくださいと。いわゆる検証してください、それから文書化してくださいとなっていて、マネジメントを求めています。
 ここで一番問題になるのは、これはずっとCOPOLCOの中で議論してきているわけですけれども、消費者がどこまで関与しないといけないのかというのを、今回、明確にしている。文書で書くときれいですけれども、実態ではもっと差が出ていろんなケースが出てくるわけですけれども、そういう中で、今、この法律をつくります、全部事業者の責任にしますと言われても、多分事業者はついていけない。世の中で、守れない法律をつくるというほどの愚はないわけです。そういう意味ではこれは将来的な検討課題であります。日本の社会が少しずつ変わっていって、こういう法律も実行効果が出るようになったときには、これをつくらないといけないというふうなものの考え方のほうが実態に即していると思います。
 この話をある一部の消費者にやりますと、わかりますと言われます。私たちは努力するというふうにも言われる方がおられるわけで、そういうふうに考えたときに、今、消費者の教育、学習支援に企業は本当は力を入れるべきであって、自分たちはどこまでの努力をしますということを、ちゃんとリスクコミュニケーション、情報開示をするべきである。すべてを隠してこれは安全ですと言って、それを受け取った消費者団体は、それだったら100%回収しなさいと、こういう議論をやっている限り、こういう法律をつくっても実際には稼動しないと思います。
 それよりも、実態的にはガイドラインをちゃんと強化していくほうがいいでしょうし、そういう問題からいくと、まず、この報告書の中でいけば、リコールの法律をつくりたいというふうに結語を結ぶのであれば、提言事項に書き込んでください。提言事項にないものを最後に持ってくるというのは、報告書としては余り適正でない、こういうふうに思います。

○松岡座長 私の考えですと、この検討会は6のものが全部結論になっていると考えて、今後の課題はそこからさらに発展させて、将来こういうことを要望しますということの内容だと思います。

○中嶋委員 一番最後にこれを持ってくるというのは、報告書の体裁として不適当ですね。

○松岡座長 説明の流れから、最後に今後の話が来たのではないかと思いますが。

○佐野委員 私は、本来でしたら提言事項に入れていただきたいけれども、「今後の課題」としたのは、要するに入れられないから将来的にやってくださいということで、3ページの提言事項が、これがここの検討会で言いたいことだと思っています。
 それから、おっしゃったように、消費者はリスクゼロの社会を望んでいるわけではないし、あり得ないと思っているし、事業者にすべて問題を押しつけようというのは、基本法でもどこでも何も言っていません。基本法というのは、そもそも罰則もなく何もなく、こういう形でやりましょうという社会的な合意であって、別に事業者に命令しているわけでも何でもない。そこからスタートして、製品であったり、食品であったり、それぞれどうしましょうかと進めていくわけですから、基本法なり推進法は中嶋委員がおっしゃっているようなものではないと思います。中嶋委員がおっしゃっているようなことを私が聞いたら、全くそのとおりと思います。でも、ここではそういうことを言っているつもりは全くありません。
 それで、今後の課題としてやってくださいということなので、是非、そこのところは残していただきたい。もし、おっしゃるように最後の今後の課題、これが結論のように見えるのであれば、ほかの場所に移すこともできます。普通、報告書の中で提言をいろいろ書いた後、提言の中に入りきれなかったもの、これからやらなければいけないけれども今はまだみんなの合意ができない、将来的なものというのが、今後の課題であるわけですから、まさに法律というのは、今後の課題というふうに読めると思います。
 続けて、齋藤委員のところですが、「以上に」を「並んで」と書き直していらっしゃるけれども、これは決して並ぶものではないと思っています。消費者、情報の受け手と並んでというのはちょっと違うのではないか。消費者の問題以上にリコール体制の問題があると思います。新聞に出ていたパロマとナショナル、あの2つは特別に経済産業省から命令が出ているものですから、自主的にリコールをしているものと全く別物というふうに私はとらえています。
 それから、「さらに消費者には」ということをお書きになっていらっしゃいますが、なぜここに消費者の問題だけを取り上げて書くのか。おっしゃったように2割ぐらいの方というのであれば、ここに書く必要は全くないし、特に企業とかいろいろな組織というものは集団ですが、消費者というのは一人ひとりです。ここでこういう形でまた畳み込んで書く必要はないと思います。消費者委員会の専門調査会であったら、特に消費者に配慮し、「さらに」のところは削除していただきたいと思います。

○松岡座長 どうぞ。

○片山委員 齋藤委員の御意見の中の、今、佐野委員が指摘された消費者に対する部分というのは、私も、提言と重複するので削除していただきたいと思います。両方の御意見が出ているまとめを見て思うのは、少なくともこの調査会で、国や自治体、製造業者、販売業者の責務と役割を明確にしようというところまでは、今後の検討というよりは、むしろ合意ができてある程度具体化もしているのです。ですから、役割というところについては、ガイドラインにすることは今後の課題として明確であって、そのガイドラインの必要性を、ここでもう一回検討課題にする必要はないと思います。
 そうですけれども、一方で、法制化をどうするか、包括的法律をつくるかどうかというところは、その必要性も含めたさらなる検討がまだ必要な部分があって、そこは2段階、別レベルではないかと思っています。この両方の課題のまとめと3ページのまとめを見ると、包括的な法整備があって、その後にガイドラインがあって、その両方ともが、必要性から検討しないといけないとなっていますが、それは少しここでの議論とずれているような気がします。ガイドラインという言葉もいろいろあると思いますけれども、少なくともここで議論したことを前提にしたガイドラインというのはもうできるわけで、もう一つは、きちっとした法制化をした上でのより詳細なガイドラインというのもあるでしょうけれども、そこをごっちゃにしないでいただきたいと思います。

○松岡座長 中川座長代理、どうぞ。

○中川座長代理 片山委員がおっしゃったところはそのとおりで、資料1-3で書いてあるのは、法令を定めたときのガイドライン、解釈指針というつもりですので、誤解を生みますので、恐らく佐野委員も同意されると思いますが、そうすると、「きめ細やかなガイドラインなど」というのはとっていいわけです。法改正の必要性というところに焦点を合わせればいいわけですね。そこはそのように変えてよろしいと思います。
 それから、齋藤委員の「並んで」と「以上に」というところですけれども、これは、どちらがより問題かというのはケースバイケースですので、間をとって、「問題のみならず」ぐらいにしておいたらいいのではないでしょうか。余りけんかしてもしょうがないでしょう。その次の「さらに消費者には」というのは、やはり繰り返しですし、もう課題としてしまったので、ここで書く必要はないのではないかと思います。そういうふうにすれば一緒ではないですかね。
 齋藤委員がおっしゃった外国法令とかの検討は、むしろ当たり前のことで、必要性を検討するにあたっては、当然、外国法令でも見ますので、そこまでお説教しなくてもいいのではないかなと思っています。

○松岡座長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 私は外国の法令だけを考えてはおりません。外国の仕組みも広くという意味です。例えば、リチウムイオン電池が回収されたことがあります。サンヨー、ソニー、パナソニックがやりましたけれども、サンヨー、ソニーが1,000万単位、パナソニックは4,000万個単位の回収をしたわけです。どの程度回収できたかわかりませんが、電池なのでパソコンや携帯電話に入っている。したがって、消費者は機器のブランドはわかるけれども、電池まで意識していない。電池側がいくら呼びかけても反応はなかなかない。
 そういうときにどうするかというと、業種横断的に全部やらなければ効果がないわけです。パソコンなどはグローバルに行き渡りますから、それが日本独自のやり方でできるかというと、外国はどうなっているのか。それでも受け入れられる、あなたたちはこうしてくれと言えるようなルールが日本にできないと、全く効力がなく馬鹿にされるだけです。「それなら日本マーケットに売らない」と言われるだけなのです。当時、リチウム電池は日本が相当の世界シェアを持っていましたが、今や中国、韓国に席巻されていますから、彼らもなるほどと思うようなものが示せないと全く意味がないというふうに思っています。そういう意味でも外国の法令に限らず、仕組みもということです。
 それから、ガイドラインは、政府のガイドラインだけでなく、業界のガイドラインとかいろいろあり得ると思いますので、そういう広いガイドラインであるということをきちんと明示して、その中で一番適した方法をとる。それが法制化であれば法制化をやるべきだと思います。

○中嶋委員 中川座長代理は、3ページ目の今後の課題のところで「細やかなガイドライン」を削除というふうに言われたのですか。

○中川座長代理 資料1-3の話をしたのですが。

○中嶋委員 3ページ目の一番下の今後の課題。

○中川座長代理 そういうことになりますね。

○中嶋委員 ここを削ってしまうとまずいと思うのですけれども、どうですか。

○中川座長代理 法改正をした上で、そこのガイドラインが必要であれば当然つくりますので、言わずもがなだということで。

○中嶋委員 ただ、法改正がなくても、ガイドラインは先行してもう一度見直す必要があるわけで。

○中川座長代理 だから、法改正が必要ないと言ったときに、ガイドラインだけにするということもあります。それも含んでいます。

○中嶋委員 ここが「や」になっているのは、andでつないでいるので、このまま残しておかないといけないのではないですか。

○中川座長代理 いえ、書かなくても同じことがなされるということです。

○中嶋委員 そんなことはないと思いますよ。法改正がなくてガイドラインで対応しているものというのは、今、たくさんあるわけですから。

○中川座長代理 だから、必要性を検討するのです。

○松岡座長 片山委員、どうぞ。

○片山委員 ここのところは、上に法整備の必要性があって、それに基づく、法整備に基づくというふうになっているので、私は、ここに「ガイドラインなどの必要性」と書かれるのは趣旨が違うと申し上げたわけです。

○中嶋委員 そうすると、ガイドラインはガイドラインで別に入れますという趣旨ですか。

○片山委員 その点は、私はもう一度、1-4とか3を読んでいたのですが、先ほど申し上げたように、今後の課題のところに、先ほど言った関係者の責務と役割を明確にするということを書き入れる。

○中嶋委員 法整備とガイドラインで両方で書き込めということですね。

○片山委員 そうです。明確にするに当たって、ガイドライン等を策定して明確にすべきである。もう一つは法整備の必要性の検討。その2つを課題として分けて書いてもらったほうがいいのではないかというのが私の意見です。

○中嶋委員 納得しました。

○片山委員 本文のほうの1-3も1-4も、そこを明確にすべきであるというところについては、今後の課題として皆さん残していただいている。にもかかわらず、3ページのまとめのところでは、そこがガサッと落ちて法整備のことだけになっているので、もう少し残していただけないか。

○松岡座長 法整備の前にガイドラインの話を入れて、その後、法整備という順番に書けばはっきりするということですね。

○片山委員 そうですね。役割を明確にする。

○齋藤委員 例えば国際規格。私はこの間中国に行ってISOの話をしたら、ISOの話だけはスッと通るわけです。重要だなと思っていますけれども、そういうものも、それに従えばいけるのだということであれば、特定の法整備をするよりもむしろそちらのほうがいい可能性もあるわけです。そういうオプションも入れておいてほしいのです。

○片山委員 「必要性」ですから。

○齋藤委員 法整備だけ書いてあるから、法整備しなくてもいけるという部分がある。ここはきちんと書いていただきたいですね。

○松岡座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 法整備の必要性という言葉について、私も意見書のほうで書きましたが、それは、やはり齋藤委員のような異論があるということで必要性という言葉をあえて書きましたが、本音としては、もう必要性の段階ではない。
 例えば、前回と今回の間に三菱自動車のリコールの件が問題になりました。あれについては、メーカーのほうは過去に2回刑事告発を受けている。あの件に関して国交省はどう対応したかといいますと、国交省のホームページで確認できますが、2006年3月に情報を入手しているということを書いています。それが何と、実際に最初のリコールが実現したのが2010年11月。こういう対応が、事業者だけではなく、行政側にも問題がある。したがって理想的な形としては、佐野委員がおっしゃったように、包括的な、相当しっかりした法整備の見直しが絶対に欠かせない。必要性という以上に、そういうふうに思うわけです。
 意見の違いがどこにあるのかというと、実際に起きていること、実態の評価にあるだろうと思います。前回、私は細かい事例をいろいろ挙げましたけれども、総務省の勧告を含めて、あれをどうごらんになっているのか。私はその点、非常に疑問に思うのです。ああいう実態があるにもかわらず法の見直しをしなくていいとお考えなのかどうか。できたら、この場でお聞かせいただければと思います。

○齋藤委員 現行法でいける部分がかなりある可能性があると思っています。現に三菱自動車では社長が有罪になりました。法律は何も変えていませんが、刑事罰になったわけです。そうすると、運用が何かおかしいのかということですが、まだ何もご説明がないのです。ルールを法律で決めたらできるかというと、そこには大きく疑問があります。
 例えば1945年、日本が第二次大戦に敗けました。敗けた後、GHQが日本の通信機器の部品を調達しようと思ったら、品質が悪くてしょうがない。こんなもの使えるかということで、何とか改善していこうとしたのですが、最初に何をやったかというと、電機通信会社等の幹部を集めて勉強会から始めた。あと、デミング博士とかジュラン博士が来て、デミング賞ができたりした。末端の小さい町工場までみんな、デミング賞を取ろうとか、QCサークルをやろうということでやっていたら、1970年代には“ジャパン・アズ・ナンバーワン”になっていったわけです。そういう太いやり方があって、片方で、それでも足りないから法律だというのは、大いに賛成ですけれども、その議論は全くなされていないということです。

○松岡座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 前回の繰り返しになりますけれども、2006年、2007年に、リコール隠しを含めて企業の不祥事が多発した。あれをきっかけにして、二極分化というと言い過ぎになりますが、非常に熱心に取り組む企業と、依然として、三菱あるいはトヨタもそうですが、かなり消極的な態度を引き続いている事業者がいる。やはり経営が厳しくなればなるほど、易きに流れる傾向になってしまうと思うのです。
 私の問題意識は、リコールの実施の全体の底上げという観点から見たら、全体の底上げにつながるような法制度の見直しが今の時点で欠かせないだろうということなのです。正直者が馬鹿を見る、そういう社会になってはいけないということです。ですから、この最終報告書では、法整備について、必要性というのが欠かせないのであればやむを得ませんけれども、必ず入れていただきたいと思います。

○中嶋委員 その法整備というのは、リコールの法整備ということですか。

○鶴岡委員 そうです。

○中嶋委員 それが違うと思うのです。リコールについての法整備をしたらそれですべてが片づくかというと、そうではないのです。今、日本という国は、例えば経済産業省傘下で、消費生活用製品であるとか、これの製品安全4法がありますけれども、片やJIS規格もあります。輸出をしているところはISO規格を持っています。1992年にWTOができて、TBT協定ができた段階で、経産省は何をやったかというと、規格の国際整合化をやったのです。ISO規格とJIS規格は全部合致させますと。4種類のやり方がありますけれども、それをやりました。今、ほぼ99%のJIS規格は全分野においてISOと整合化しています。
 では、安全の問題は、どうして日本だけまだこんなに事故が多いのかというと、日本の中でISO規格やJIS規格を使っているかというと、電気製品では使っていません。それは、製品安全4法の中の法律で安全を確保する。では、JIS規格は何かというと、単なる参考なのです。ISOも参考なのです。食品はどうなのかというと、食品もISO22000とか、HACCPというコードがあります。国際的には非常に有効です。日本はマル総(総合衛生管理製造過程)です。これは厚生労働省が決めた企業向けの安全衛生法です。これで安全を確保している。
 ですから、世界の流れと日本の流れは全く違っている。その中で何が一番問題かというと、ヨーロッパも中国もISOの安全規格を強制化しています。ということは、物をつくって出すときの商品すべてを、この規格に合わせなさいとなっているわけです。もしつくったとしても、それがあるからリコール法は有効なのです。危ないものをいっぱいつくるような状況にしておいて、リコールの法律だけつくって、これで安全にしましょうというのは政策的に考えても非常に問題があります。ですから、安全を確保するなら安全を確保する環境をつくらないといけない。
 経産省は、来年度、電気製品の部品を中心にして、ニューアプローチと言っていますけれども、指定は残すのです。ということは、今のやり方をそのまま続けると言っているわけです。今、世界の中で安全の規格について強制化していかないのは日本だけです。そういう意味で考えたときには、安全を確保するのであれば、リコールで最後の出口だけやればオーケーという議論ではなくて、商品の安全の法整備、規格整備などを進めないといけない。安全規格の強制化もやらないとだめです。ですから、総合的にやらないとだめなのです。リコール法だけやりましょうというと、格好はいいのけれども中身がない。

○中川座長代理 ちょっといいですか。

○松岡座長 中川座長代理、どうぞ。

○中川座長代理 そういう形で議論がまとまっていませんので、必要性という形でよいと鶴岡委員もおっしゃっているわけですね。ここは、きょうはこれでおさめてはいかがでしょうか。
 ところで、その前の中嶋委員がおっしゃったことが、まだ答えが出されていないと思います。「今後の課題」が結論なのかという問いについては、結論ではないという点で異論がないと思いますので、「今後の課題」はいわば7と位置付けることになります。あるいは「残された課題」という題名でもよいですが、7としたうえで、最後に「おわりに」というのをつけていただいて、これは単に要旨を書く。ということにすると、「今後の課題」こそが当調査会の結論であるというような誤解は防げると思います。「今後の課題」があるということ自体も結論なんですけれども、それだけがメインの結論ではないということは正しく伝わると思います。

○松岡座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 要するにリコールの関連の法律ということに絞ったのは、理由はごく単純でありまして、今回の専門調査会のテーマがリコールに置かれていると。それだけのことです。

○松岡座長 それでは、議論が出尽くした感じがしますし、「今後の課題」の部分についても、皆さんの御意見を吸い上げまして集約されたと考えておりますので、最終的な具体的な形の文章としては、私と中川座長代理で、法律的な面からもいろいろ詰めて考えまして、皆さんに配付して最終的な御認可をいただきたいと思います。そういう形でまとめていきたいと思います。

○齋藤委員 希望がありますが。

○松岡座長 どうぞ。

○齋藤委員 繰り返して言いますけれども、法整備だけでは律しきれないので、幅広くやらなければならないということがわかるように書いていただきたいと思います。

○松岡座長 はい。章立てとしましても、7をつけて最後にまとめという形にすれば、誤解がないということになりますので、そのようにしたいと思います。

≪3.その他≫

○松岡座長 それでは、私の不手際で大分時間が延びてしまいまして、申しわけございません。報告書につきまして、私から、1月29日に開催されます消費者委員会に報告を行いたいと思います。
 最後に、各委員におかれましては、昨年4月からの審議開始以降、11回にわたりまして大変熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。おかげさまで、この調査会としての報告書の取りまとめが何とかできそうだということになりましたので、重ねて御礼申し上げます。
 本日は消費者委員会の河上委員長に御出席いただいておりますので、一言、御挨拶を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者委員会河上委員長 きょうは本当にご苦労さまでございました。短期間ではあったと思いますけれども、非常に熱心な会合を続けていただきました。きょうもずっと議論をうかがいながら、これは大変な会議だったのだろうなと思いました。非常に立派な報告書をまとめていただけそうだということで、心からお礼を申し上げます。取りまとめに当たられた松岡座長、中川座長代理に、心からお礼を申し上げたいと思います。
 第2次の消費者委員会が始まってからいろいろ課題に取り組んでまいりましたけれども、先ほども話題になりましたが、取引の適正化がどうしてもいろいろな形で話題になりがちで、消費者委員会でもなかなか安全のほうに取り組めなかったということで、内心忸怩たる思いがございます。その意味でも、この専門調査会の報告書を非常に楽しみにしておりました。製品や食品の安全と取引の適正化というのは車の両輪のようなもので、消費生活の中では非常に大事なものですから、消費者委員会としても、今後、ご報告を下にきちっと取り組んでいきたいと思っております。
 今回、名宛人をどうするかという問題もありますが、報告書をいただいて、消費者委員会としてもしっかり受け止めて、適切な形での建議に結びつけていきたいと思っております。ただ、リコール問題一つとっても、今回の報告書で全部が尽くされたとは言えないというぐらい奥が深いですし、製品の安全、食品の安全まで含めていくと、もっともっと問題があるように思います。今後、どのような体制で取り組むかはともかくとして、消費者委員会としては、検討を是非続けていきたいと思いますので、皆様方のお力添えをいただきたいと思います。どうもありがとうございました。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議題は全部終わりました。最終回の調査会ということで、時間に余裕がありましたら、皆さん方から一言ずつ御挨拶をいただきたいのですが、是非この場で発言したいという方がいらっしゃいましたら、コメントなどをいただければと思います。
 それでは、本当に長いこと、ありがとうございました。しかも、有意義なディスカッションで、皆さんお互いに非常に勉強になったと思いますので、今後の活動に生かしていただければと思います。
 では、事務局から連絡事項等をよろしくお願いいたします。

○原事務局長 昨年4月以降、大変活発に御議論をいただきまして、非常に有意義な検討を重ねることができたのではないかと思っております。佐野委員もおっしゃっておられたように、リコールについては十年来、二十年来の課題で、消費者に情報が届いていないことで再度事故が起きているということは、非常に心が痛みますので、是非、この報告書を糧に委員会としても精一杯頑張っていきたいと思っております。
 修文につきまして、いろいろ御意見をいただきましたので、早急にとりまとめて、再度、皆さんにお示しをして最終的なものにしていきたいと思っております。1月29日の消費委員会で、座長より御報告をいただくことにしております。
 事務局からは以上です。

≪4.閉会≫

○松岡座長 どうもありがとうございました。以上で閉会といたします。

(以上)