第18回 消費者安全専門調査会 議事録

日時

2012年10月15日(月)16:00~18:04

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松岡座長、中川座長代理、片山委員、佐竹委員、佐野委員、齋藤委員、
田澤委員、鶴岡委員、中嶋委員、中村(晶)委員、中村(均)委員、横矢委員
【消費者委員会担当委員】
小幡委員、夏目委員
【説明者】
消費者庁 宗林消費者安全課長
【事務局】
消費者委員会 原事務局長、小田大臣官房審議官

議事次第

1.開会
2.前回までの議論の整理
3.消費者への注意喚起情報伝達に係る現状と課題について(第17回に引き続き)
4.取りまとめの方向性について
5.その他
6.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:61KB)
【資料1-1】 第16回までの議論の整理 (PDF形式:244KB)
【資料1-2】 前回(第17回)の議論の整理 (PDF形式:136KB)
【資料1-3】 対策案検討表(前回までの意見のまとめ) (PDF形式:119KB)
【資料2】 医療・介護ベッド使用時にかかる意識調査について(消費者庁提供資料) (PDF形式:679KB)
【資料3】 取りまとめに向けての考え方(案)(消費者委員会事務局作成資料) (PDF形式:101KB)
【参考資料1】 食品のリコール社告の規格化の必要性について(消費者基本計画:施策番号27 関連資料) (PDF形式:474KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 本日は、皆様お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
 ただいまから、「消費者委員会消費者安全専門調査会」の第18回会合を開催いたします。
 本日は、内堀委員から御欠席という連絡をいただいております。
 最初に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第と書かれているものの後ろに配布資料の一覧を載せております。座席表がございまして、資料の1-1、2、3とございますけれども、資料1-1は、第16回までの議論の整理。
 資料1-2は、前回、かなりたくさんの御意見が出ましたので、第17回だけ議論の整理は別にしております。後ろのほうに3ページ、4ページ、5ページにかけて、流通・販売事業者の対応についてというところ、新聞社告についてはまた別出しでまとめております。
 資料1-3は、これまで出された御意見の整理をしているもので、「対策案検討表」ということで前回までの意見を取りまとめております。
 資料2は、きょうは消費者庁にお越しいただいておりますけれども、消費者庁から御提供いただいた資料で、「医療・介護ベッド使用時にかかる意識調査について」ということで、問題意識として、安全にかかる情報を消費者の手元に確実に届けるというところで共通しているかと思いまして、本日、御説明をお願いいたしました。
 資料3は、消費者安全専門調査会の「取りまとめに向けての考え方(案)」ということで、裏表、今後の取りまとめの方向性についてまとめたものを提示させていただいております。
 参考資料1といたしまして、前回、佐野委員から出されておりました、「食品のリコール社告の規格化の必要性について」ということで、最後に御説明させていただきたいと思いますけれども、関連の資料をおつけしております。
 委員限りで、席上に、この間、消費者安全調査委員会が設置されましたので、その関連の資料をおつけしておりますので、御参考にしていただければと思います。
 それでは、松岡座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○松岡座長 本日は、消費者庁から宗林消費者安全課長に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 本日の会議につきましては、公開で行います。議事録につきましても、後日公開となります。

≪2.前回までの議論の整理≫

○松岡座長 それでは、議事に入ります。
 議事次第2で、「前回までの議論の整理」となっていますが、今、御説明がありましたように、資料1-1が第16回までの整理、第17回のみの整理は、いろいろ議論がありましたので、1-2になっております。1-3が今後の対策案ということで、検討表で、第17回が加わったものとなっています。
 資料1-2では、ビッグカメラさんのヒアリングをもとに、流通・販売事業者の責務について、産経新聞社さんのヒアリングをもとにした新聞社告についてという2つの欄ができております。
 この辺りの御意見は、本日の議事次第の4にあります「取りまとめの方向性」のところで参考になるかと思いますので、生かしていきたいと思います。
 資料そのものにつきまして、何かご質問、御意見がございますでしょうか。
 では、後ほど、議事次第4で検討する際に、何かお気づきの点がありましたら御意見を出していただければと思います。

≪3.消費者への注意喚起情報伝達に係る現状と課題について(第17回に引き続き)≫

○松岡座長 それでは、議事次第3に入っていきたいと思います。
 本日は、消費者庁の活動としまして、「医療・介護ベッド使用時にかかる意識調査」について御説明をいただきます。この活動は、当調査会のテーマと同じ問題意識を持って消費者庁が取り組まれていると思いますので、当調査会としても応援したいと思っております。
 それでは、消費者庁の宗林消費者安全課長、よろしくお願いいたします。

○消費者庁宗林消費者安全課長 消費者安全課長の宗林でございます。よろしくお願いします。
 それでは、「医療・介護ベッド使用時にかかる意識調査」でございます。
 医療・介護ベッドの主に手すりに絡んだ事故がたくさん発生しているわけですが、以前から、サイドレール(手すり)関係、サイドレールとサイドレールの合間、ヘッドボードとサイドレールとのすき間に挟まるというようなことで、死亡や重傷事故が起きております。
 事故件数は、平成19年5月に重大事故の報告の義務化がされた後の、製品起因ということで、はっきりしていないものも含んでおりますけれども、件数の推移でございます。平成19年から24年まで、事故が合計63件、そのうち死亡事故が32件ということで、半分強が死亡している形で重篤な事故が起きています。
 全体の介護ベッドの状況ですが、事業者に聞いてみましたところ、400万台ぐらいが使われていて、300万台ぐらいが病院施設で、100万台ぐらいが在宅だそうです。
 この事故は、24年度にも既に4件の死亡事故が発生しています。直近の死亡事故などを見ても、病院と施設、在宅の両方で起こっていて、特にどちらが多いか。先ほどの割合と比べまして、その割合を覆すようにどこかに集中して起きているというわけではなく、どちらでも起こっているという状況ではないかと思っております。
 この事故が起こったことによっての再発防止策ということですけれども、事業者のほうは、これまで、病院・施設、在宅介護の家庭などに介護ベッド用の安全使用マニュアル等を配布したり、併せて、手すりと手すりのすき間を埋めるようなもの、簡易スペーサーや手すりを覆うカバー、手すりには柵のようなものがあるわけですが、そこを全部覆うということで、その間に挟まれないようにするカバーがあります。有料・無料ありますが、有料のところが多いと聞いています。そういったものを提供案内ということで、実施してきているということが1点ございます。
 また、平成21年3月にJISの規格が改正されまして、すき間をなくすような基準の強化をして、新JISの製品に切りかえが進められているところです。新JISに規格自体は変わりましたけれども、これから出荷するものということでは、ある程度こういったものでということがあるかもしれませんが、以前の製品を使っていらっしゃる方が大変多くいらっしゃるので、そこの切りかえがどうなっているのかということについては、現在、わからないという状況でございます。新JISの製品では、私たちが把握している限りでは死亡事故等は起こっていません。
 経産省、厚生労働省が、本年6月に都道府県等の所管部署を通じて、病院や介護施設、福祉用具のレンタル事業者、合わせて2万7,000か所に対して点検依頼と注意喚起を実施しました。いろいろなところを介して、レンタル業者から家庭に、点検依頼という形で、結果がわかるという形のものではありませんが、注意喚起を丁寧な形でされたというのが直近の動きであります。
 消費者庁としても、消費生活用製品安全法の重大事故を公表するたびに、下のところにありますような、チラシなどを併せて載せるという形で公表したり、いろいろなところのホームページにも載せていただく形で、注意喚起を実際に依頼してきたということがございます。そこに書いてある数字がいろいろ形での注意喚起の回数でございます。
 挟み込み防止用具の例というのは、右下にありますように、2つの手すりの間を挟まらないように埋めるスペーサーというものであったり、カバーをしたり、そういったことを、挟み込み防止用具と言っているものでございます。
 このような実態ですけれども、今回、それでもなかなか事故が止まらないということがありまして、本当に注意喚起が、医療・介護ベッドを使っている方、介護している方、それぞれにどれほど伝わっているのか。伝わっていて注意喚起に基づき安全を意識した対応を行っているかどうか、あるいは、伝わっていないから知らない。そういった実態を把握するために、使っていらっしゃる方のアンケート調査をしようと思いました。
 調査内容は、ウェブによるアンケート調査です。在宅介護者を把握しているところがございまして、ここは、ベッドを使っているかどうかは不明ですが、約6,000人の在宅介護者という母集団を持っているところがございましたので、そこに対してアンケートを実施しているところでございます。在宅のものが中心ですけれども、回収サンプル数は1,000、あるいはそれ以上が回収されるのではないかと思っております。
 質問項目は、ベッドについて事故が発生し、問題になっていることを知っているのかどうか。行政やベッドメーカーから注意喚起が行われていることを知っているか。注意喚起はどのようにして知ったのか。例えば事業者からレンタルするときに知った、テレビの事故で知った等々あるかと思いますけれども、これをきちんと把握することによって、今後、対策を打つときに有効な手立てはどういったものか、わかるのではないかという観点から、どうして知ったのかということを細かく聞いています。
 注意喚起に従いどのような対策をとっているかということに関しては、とった人、とらない人、とった場合はどんな対策をとったのか。とらない人は、なぜとらないのか。危険だという認識がないのかもしれないということも含めて、そのような内容をとっています。
 介護ベッド使用時に被介護者への危険を感じたことがあるかということで、今回のような事故だけではなく、転落等も含めて全般的に危険と感じたことはあるか、という項目も設けて調査をしています。
 このようなことで、実際に伝わっているのか、伝わっていないのか。伝わっているとしたら、どんなふうにどのツールで伝わってきたのか。伝わっていないとしたら、どうしてなのか。知っていても対応がとられていないときは、どうしてそういう認識になるのか、危険だと思っていないのかということが、実際に介護している方がどう思っていらっしゃるのかを、今回はとろうということが目的でございます。
 以上です。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御質問、質疑応答をお願いします。
 では、横矢委員、どうぞ。

○横矢委員 意識調査は、すごくよいことをしていただけると思いますが、一つお伺いしたいのが、介護用のベッドは次々に新たな方が使用されるようになるものだと思います。何も知らなかった方が急に購入したり使用したりするということがある商品だと思いますが、この調査の中で、使用者がいつから使われているかというのは記入事項の中に入っているのでしょうか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 「いつから」というのはないです。この時点で、どういうふうに感じていらっしゃるかということです。

○横矢委員 チラシの例が出ていますけれども、介護ベッド安全普及協会が3年ぐらい前にリーフレットをたくさんつくられて、病院と御自宅に配ってかなり積極的にPRされた時期があったので、そこの段階では結構知られていたのではないかと思っていたのですが、その後、そのままになったのかという気がしたので、時期的な影響、何か大きくPRされた時期の後どうなったのか、というようなことがわかるといいと思いました。

○消費者庁宗林消費者安全課長 そのときもそうですし、その後も何回もいろいろなところは、実は安全チェック項目をつけたものを出したりしています。ですから、本来ならば知る機会はたくさんあったのではないかと思います。

○横矢委員 ありがとうございます。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(晶)委員 御説明、ありがとうございました。先ほど、事業者さんによると、病院や施設で約300万台、在宅で約100万台とおっしゃいましたが、事故件数の内訳は、病院・施設と在宅と割合は把握していらっしゃいますか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 10年間でどのぐらいというような大数的なものは持っておりません。23年度、24年度だけ、こちらに通知があったものの中で見てみますと、必ずしも代表性があるかどうかわかりませんので、先ほどははっきり申しませんでしたけれども、病院・施設と在宅、やや在宅のほうが少ないという数字でこちらの事故通知は把握しております。もともと300万と100万で3対1ですので、その比率とどうかと言われると、はっきり言えないのですが、両方とも起こっているということと、3対1よりは少し在宅が多いかなという感じの事故通知ですけれども、はっきりはわかりません。この2年間の死亡事故について見ただけですので、この後、もし必要であれば、事業者の方から聞けたらいいと思っていますが、私たちのところではそんなにはっきりと把握できていません。

○中村(晶)委員 病院や施設を通してのほうが、情報が一括で伝わりやすいとか、在宅の方は一軒一軒ということになるかと思いますので、伝わりにくいとか、そういう事情があるかどうか。その相関関係が知りたかったのですけれども、そこまではっきり数字が出ているという感じでもないのですか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 それは死亡事故の状況とはまた違って、情報の伝わり方ということですので、今回のアンケートの中である程度は出るのではないかと思っております。

○松岡座長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 これは、1社なのか、数社のベッドメーカーなのかを教えていただきたいのと、これだけ注意喚起をしてもなおかつ亡くなっている方が多いということは、ベッドですから製安法になると思いますけれども、経産省と危害防止命令を出す話し合いがあったのか。また、消費者安全法でも措置要求というものがありますけれども、そういうことを御検討されたことがあるのか。これだけ注意喚起して、消費者のところへ届く、届かないも一つの問題ですけれども、一方ではベッドの設計の問題もあるのではないかと思ってお聞きしました。
 もう一つ、アンケートされるのは非常にいいことだと思いますけれども、ほかのいろんな事故に対しても、こういうアンケートをこれから続けていく御予定があるのかどうかもお聞きしたいと思います。

○消費者庁宗林消費者安全課長 確かに佐野先生がおっしゃるとおりで、製安法の38条、39条ということで、事業者ないしは経済産業省が安全性を担保するというようなことがあります。ですが、経済産業省も一生懸命防止をしようとして、調査を今もされているようですし、その結果と連携しながら今のところはやっていきたいと思っています。
 ただ、御指摘のように、順番としては製安法のものがあり、それがうまく機能していないということであれば、安全法の措置要求とか、そういったところに行くのではないか。その可能性は否定していませんけれども、まだ現実的、具体的にはなっていません。

○佐野委員 メーカーの数は何社ですか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 何社も事故の情報はあります。ただ、市場の占有率がある程度偏っていれば、どこかのメーカーのものが多いというようなことはもちろん出てくると思いますけれども、1社だけではありません。

○佐野委員 何社ぐらいありますか。

○消費者庁消費者安全課 10社以上ではないですが、1社、2社ではありません。

○佐野委員 介護ベッドをつくっているメーカーはほとんどと言ってよろしいのですか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 1社とか2社ではなくて、複数社で起きています。
 それから、使用している製品についてアンケートをとるのかという御質問であれば、今回の結果からいろいろ注意喚起をしてもなかなか行き渡らないということがあった場合、また、別のことでも、直接消費者にアプローチするということは、もしかしたら有効な手立てかもしれないと思いますので、必要に応じてそういう手段もやっていきたいと思います。

○松岡座長 佐竹委員、どうぞ。

○佐竹委員 佐野委員と大体同じ感想ですが、素朴な感想で、これだけ死亡事故が起こっているにもかかわらず、これはリコールの対象ではないのですね。挟み込み防止用具の例として、2ページに、スペーサーやサイドレールカバーなどをつければ事故が起こらないということがわかっているにもかかわらず、どうして既存の旧JISの規格の製品に対して、全部が防止用具をつけるようにというふうにならないのでしょうか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 例えば、縁に首が乗ってしまうと、それだけでも回避できない方も結構いらっしゃるわけです、年配になりますと。そういうことも含めて、製品起因ばかりではないという整理になっているかと思います。ですから、より安全にということはあると思いますが。

○佐竹委員 使い方にも問題がありますか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 使い方といいますか、何かあったときに回避できないような身体症状というようなことも影響しているのではないかと思います。

○松岡座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 事故原因と設計の問題をきちんと追求しないとだめですね。理由は、介護ベッドをつくっている会社の数は何社ですかと聞かれて、「10社ぐらいです」では困るのです。何社あるのか、はっきりつかんでいないとだめです。
 もう一つは、事故を起こした会社は何社あるのか。10社あって、2社は起こしていないけれども8社は起こしているとしたら、その差は一体何なのか。それは設計に起因しているのかどうなのか。使われ方は多分同じです。使っているところは、介護をしているときにベッドに縛りつけていることもあります。縛りつけられている人が、自分の体を動かしたときに挟まれていることだってあるわけです。それはきちんと事故が起きたときに把握をするように、今、できていないのならば変えていかなければいけない。ですから、現状をきちんと把握しないでいくらアンケート調査しても、これは何の意味もない。 もう一つは、6,000人の介護者を持っている団体にヒアリングをするというのは、日本全国の平均値ではないですね。一つの団体の文化の中でやっているのなら、それを全部に当てはめることは不可能です。その6,000人というのは一体どういう数字で、どういうことを期待してアンケートをやるのか。それがもし一つの団体だけだとするならば、一つのマネジメントの下でやられる調査だから、ほかのマネジメントではどうなるのか。これも調査しないとだめなのではないですか。

○松岡座長 いかがでしょうか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 アンケートのことで補足いたしますと、アンケートは、日常的に回答可能なモニターを50万人持っている会社の中で、あるときに、介護をしている人のデータをとったことがあって、介護をしている人がたまたま把握されているところがあったので、その人たちを対象に、介護ベッドを持っているかどうかを聞いた上で次に進んでいくというようなアンケートです。ですから、一つの団体というわけではなく、もともとたくさんの母集団を持っている中で、介護者を6,000人持っているということがわかっているところがあったので、そこでやるということで、6,000人はバラバラでございます。

○中嶋委員 それは、日本での平均値を推測できるという母数になりますか。統計的に言うと、1,780とか2,000とかの回答数があれば一応は当てはめられますけれども、偏ったところでそれをとってしまったら、平均値とは言えないかもしれない。

○消費者庁宗林消費者安全課長 一応、全国に。

○中嶋委員 では、メーカーは何社のベッドが含まれているのか。1社のベッドだけでそれを調べたのであれば、ほかの会社のベッドはどうするのですか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 ベッドがどこの会社のものか聞く予定はありません。

○中嶋委員 今、6,000人の母数だと言われました。その6,000人の母数の中に10社のベッドが全部入っているのかどうか。どれぐらいの比率で入っているのか。それがちゃんと把握されていますか。要は、客観的なデータとしてそういうことが把握されている上でアンケートがなされていますか、ということです。

○消費者庁宗林消費者安全課長 今はまだアンケート中なので、明確にはわかりませんが、都道府県はほとんど網羅されて配っております。回収も、まだどのぐらいの数になるかわかりませんけれども、1,000というよりも、かなり多くの数が回収できる見込みになっておりますので、多分、広範囲の方からのサンプルの回収ができるものだと思っています。
 それから、ベッドのことですけれども、ベッドはかなりの数になれば、それなりに市場に出回っているベッドが自然に入ってくるものであると思います。逆に集中させて、このベッドのものをとるというわけではありませんので、自然にたくさんの数でそのままで使っていらっしゃる方の状況を聞くということで、今回はやっているということでございます。

○消費者庁消費者安全課 追加ですけれども、今回の調査はベッドの新旧とか、誰のどういったベッドを使っているのかという調査ではなくて、ベッドがどうであれ、注意喚起が届いているのか。また、注意喚起に基づいて安全対策を講じているのか、安全を意識してやっているのかということですので、基本的には都道府県全国に調査をしていますし、そこは問題はないのではないかと考えています。

○中川座長代理 私もそう思ったのですけれども、中嶋委員がおっしゃったのは、多分今回ご報告いただいたテーマとは違うことだと思います。その前に佐竹委員が、これだけ事故が起きているのに、経産省は危害防止命令を出さないのですかとおっしゃった。それはまた別途あり得ると思いますが、まだそこは入っていないわけですね。経産省がちゃんとやっていないのではないかというので、消安法に基づいて突つくという権限がありますね。そこに入るかどうか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 措置要求ですね。

○中川座長代理 あの権限を行使しようかというのであれば、おっしゃったように、経産省がちゃんとやっていないということを消費者庁でチェックするために、サーベイするべき会社が全部で何社あるのかという情報をつかむ必要がありますけれども、今は単に、「情報はちゃんと行っていますか」というのが調査テーマである。今、まさに我々がリコール情報でやっているような部分だけ切り取ってやってみたことについての御報告だったと思います。

○中嶋委員 自分たちが注意喚起しているのがちゃんと届いていますかという話を、もちろんアンケートで調査されるのでしょうが、その注意喚起は誰がやっているかというと、官庁だけではないですね。ベッド会社もやっていますし、病院でもやっています。そうしたら、誰が発信者で、どういうふうにして伝わっていくかというのを調査されるのであれば、今の質問項目だけで本当に十分なのか。病院はしないのですか。
 もっと大事なことは、事故を起こしていないベッドメーカーがあるとしたら、「それはなぜか?」のほうがもっと大きな問題ではないですか。

○中川座長代理 それはそうなのですが。

○中嶋委員 それは、そこのベッドではちゃんと情報が届いているということですよ。そんなに大きな設計の差はないわけですから。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 私も中川先生と同じ意見ですけれども、きょう、宗林課長には、我々が注意喚起を徹底することについて一つの事例をお聞きしているので、焦点はそこに絞ったほうがいいと思います。介護ベッドのことを議論するのではなくて、注意喚起の徹底策をやっていただいていることで、我々が何か参考になることを聞いていったほうがいいと思います。
 そこでお聞きしたいのですけれども、介護ベッドというとかなり高額なものですね。病院や介護施設というのはよくわかりますし、ここを押さえていくのは割合徹底しやすいのではないかと単純にそう思いますが、問題は、100万の個人だと思います。恐らくこれはレンタルが中心で、個人で買う人はレアなのではないかと勝手に思っていますけれども、レンタルになると、レンタル業者で100万件ぐらい押さえられたのですか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 今回は、レンタル業者ではなくて、使っている人に聞いているので。

○中村(均)委員 ごめんなさい、質問がまずかったです。経産省とか厚労省がやっているときに、レンタル業者を押さえたかどうかというのを、ご存じならば教えていただきたいという意味です。

○消費者庁宗林消費者安全課長 経産省、厚労省は、都道府県の所管部署を通して、それぞれ病院はその系統のところ、在宅はレンタル事業者を介して一般の方にというようなルートで注意喚起をやっています。ですから、在宅の場合はレンタル業者からの道筋で、注意喚起をしてくださいという形の道筋をとっています。

○中村(均)委員 個人宅に対してのサンプル数はどのぐらいとられていますか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 6,000を、ベッドを使っている人を、その中からフィルターをかけてやっているところなので、回収したものがどのぐらい来るのかはわからないのですが、最低でも1,000以上、2,000ぐらい回収できればいいと思っています。
 先ほどお話があったように、どうやって知ったのか、事業者からレンタルをするときに説明をして聞いているのか。それとも、事故があってテレビで知ったのか、新聞なのか、そのようなことを聞いています。何で知ったのか。それから、知っているけれども対策を講じていない人はどうしてなのか、危険を感じていないのかどうか、補助具が入手できないのか。そのような選択肢を設けまして、どこでどういうふうに詰まりがあるのかということを、ある程度丁寧に聞きたいというのが今回の調査です。

○中村(均)委員 ありがとうございました。その結果を非常に楽しみに思っています。

○松岡座長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 このアンケートの集計と対策がいろいろ考えられると思いますけれども、スピード感を見るために質問します。今、400万台出ているのが何年ぐらいするとなくなるのか。耐用年数があると思います。それから、新しいものが毎年何台ぐらい出ているのか。これらが分かれば、放っておくと、あと何人ぐらい亡くなる可能性があるから、もっと急がなくてはいけないとか、緊急の対策をすぐにとれという検討がなされると思います。その辺りはどう考えておられるでしょうか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 今の新しいものがどのぐらい出荷されているか、経産省に問い合わせ中です。
 耐久年数は、20年ぐらいはあると言っていますので、旧JISのものも、きちんと対応するなり、強制的に何か対策を講じないと、極めて長い時間、使おうと思えば使える状態です。

○齋藤委員 そうすると、このアンケートをとっていろいろ対策がなされるにしても、ここに書いてある6年分ぐらいの亡くなる方は出る可能性があると直感では思います。その辺のスピード感が大切で、作業のスピード感と併せてきちんとしておく必要があると思いました。
 先ほどから、会社の数など歯切れが悪い回答がありました。下のところに「製品起因ではないと思われるものも含む」と書いてあるので、言いにくいことがあるのではないかと思ったのですが、そうなのでしょうか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 そうです。

○松岡座長 片山委員、どうぞ。

○片山委員 今、議論しているリコール等の注意喚起情報の伝達という関係から言うと、経産省と厚労省が、ことしの6月に実施されたという点検依頼と注意喚起の具体的な内容とか、実施の結果報告とか、そういうものは上がってきているのでしょうか。あるいは、今後上がってくる予定があるのかどうか、教えていただけますか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 まず、結果については、フォローアップの数字はありません。一方通行で注意喚起をして、チェック表で流しています。そのときに厚生労働省、経産省でやられたのは、きょうお持ちした黄色い部分の横の図、ベッドの横のところに、こういう場面で事故が起きていますから、チェック表のところでチェックして気をつけてくださいというようなもの。具体的には、もう少し大きな絵にしたものが、前の事故状況の例のところにありますけれども、これが6月に行われているチラシの配布でございます。

○片山委員 そうすると、福祉用具レンタル事業者とかが実際にどの程度それぞれの在宅介護を受けておられる方のところに行って、チェックをしたり、補助具をつけるような行動をとられたかというのは、経産省も厚労省もどこもつかんでいないということになるのでしょうか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 そのように理解しています。今回も、フォローアップで、その状況がどうだったのかということから拾いたいと思ったのですが、そのやり方は困難でありました。何か所も経由して多分このチラシが行っていると思いますが、どこからどういうふうに流れているのか、どこまで行っているのかが把握できませんでしたので、直接、介護している方に対して、サンプル調査にはなりますけれども、やってみるほうがシンプルかなというようなことで、やることにいたしました。

○松岡座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 事故が起きた各ケースについて、注意喚起は受けていたかどうか、そういう調査は経産省では行っているようですか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 細かくはわかりませんが、製安法は事業者が報告をするものですから、事業者が報告するときに、施設なり在宅のものを確認して報告書を上げてきますので、その中に書き込まれている例と、書き込まれていない例があるかと思います。事業者の報告としてですけれども、両方ともあったかと思います。細かく割合まではわかりません。

○松岡座長 中嶋委員。

○中嶋委員 質問の中身を変えまして、本年6月に実施されたという点検依頼と注意喚起の内容ですけれども、何をもって点検依頼をされて、注意喚起をされたのか。ここに挙がっているチラシの例というのは、チラシを単に配布しただけなのか。もしくは、事業者を集めて講習の形で伝えるとか、会議の形で伝えるというふうにされたのか。具体的には何をされたのでしょうか。

○消費者消費者安全課 具体的には、厚労省と経産省が連名で、病院や介護老人福祉施設、福祉用具対応事業者、レンタル業者を管理している47都道府県の担当部署にチラシを配布して、そこから担当の各都道府県の病院や施設に送っているという感じです。そこで事業者さんに対して、注意喚起プラス点検依頼をお願いしています。

○中嶋委員 それは、本省から都道府県に対して通達が出て、都道府県の人たちはもらったチラシを単に郵送しただけですか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 回収はしていないです。

○中嶋委員 もちろん。ですが、注意喚起ですから伝えるほうですね。単に郵送したのでしょうか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 経産省と厚生労働省が直接というよりも、都道府県から。どういう形を介してかは具体的にはわかりません。手足などを挟む事故等の未然防止のための安全点検についてということで、安全点検をしてくださいということで、安全点検チェックリストというものをセットにして各都道府県に送っています。都道府県からいろいろなところにそれが行っていますが、それはどういう媒体を使ってとか、どこまで行っているかは、細かくはわかりません。

○中嶋委員 要は、チラシを単に配布したのでしょうか。それを受け取った人は、何かしたということをちゃんと返すのでしょうか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 返していないようです。

○中嶋委員 では、単に受け取っただけですか。それを注意喚起と言うのでしょうか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 今回、注意喚起がどこまで届いているのかわからないと思いましたので、そこを追いかけようと思ったのです。行った先に、その結果どうだったのかを聞きたいと思ったのですが、追いかけるのも難しいという状況でしたので。

○中嶋委員 なぜそういうことを聞くかというと、平成19年に重大事故の法律ができた後、介護ベッドだけではなくて、重大事故はほとんど減っていないのです。もっと言えば、毎年、死亡事故を含めて8件とか、食中毒と同じぐらいのひどさです。主婦の方は、食中毒が起きれば危機感を持たれるのですが、介護ベッドの事故を恐らくご存じないから、そういうふうにはならない。だから知らせないといけないということがあるのですが、都道府県の部長から各施設に手紙を配布してチラシをまいただけでは、当然、一般の人が知ることはありません。
 注意喚起が注意喚起らしくされていれば、もう少し結果が変わるでしょう。ですから、どんな注意喚起をされたのかというのはもっと大事なことではないですか。チラシを受け取りましたと言うのを、注意喚起だと言うのでしょうか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 御指摘のとおりだと思います。私たちも、届いたかどうかというよりも、内容の注意喚起を実際に介護していらっしゃる方が知っているのかどうかということが大事なので、それを調査したいということです。多分ご存じない方が多かったり、危険だと思わない方もいるのではないかということで、実態をきちんと把握した上で、先ほどスピード感という話もありましたけれども、次の対策につなげていきたいと考えています。

○松岡座長 田澤委員、どうぞ。

○田澤委員 都道府県の所管部署を通じてということで、追いかけようとしても追いかけられなかったというところが、今、聞いていて、私たちの検討しているところとつながるものがあると思ったので、そこを具体的に教えていただけたら参考になるかなと思います。

○消費者庁消費者安全課 答えになっているかわかりませんが、レンタル業者は日本で1万社弱と言われています。今回、調査で初めて知りましたが、移り変わりが早くて、つぶれたり新しくできたりというのがどんどんありまして、以前送った名簿をそのまま使えるというわけでもありません。以前送った名簿がリバイスされたものが独自で入手できなかったということ、なおかつ、日本全国の1万のレンタル業者を洗いざらいやるというのは、かなりの時間を要する。その上で、24年度も4件の死亡事故が起こっていますし、スピード感を持ってやらなければいけないということで、まずはこういったアンケート調査で傾向を見てみようと。
 その中で、今、先生方がおっしゃったように、情報が途中でストップしているのではないかとか、情報が行っていたとしても、介護される方の意識がそこまで行っていないのではないかとか、そういったものを、スピード感を持って把握しようと思ったためにこの調査を行いました。

○田澤委員 そうすると、所管部署を通じて各担当のところに行っているかを追いかけようとしたけれども、レンタル事業者については数がいっぱいあって、どうも都道府県の所管部署から行っていないであろうと。その辺がよくわからないのですが。

○消費者庁消費者安全課 行っている可能性もあります。この調査結果で出てくるところだと思います。

○田澤委員 逆のやり方で調べようと。

○消費者庁消費者安全課 そうですね。

○田澤委員 では、それぞれの都道府県からそちらのところに流れていく道筋は、把握することはなかなか難しいということですか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 そうです。次々と変わっていたりして、名簿の一覧がどこからも取り寄せられる状況ではありませんでしたし、すべてのところに働きかけて回収してというよりは、いっそのこと、サンプルとして消費者そのものに聞いたほうがいいだろうと思っています。

○消費者庁消費者安全課 不可能というわけではないと思いますけれども、一番の問題は、スピード感が必要だということ。全部を把握して、限りなく全部に送って全部を回収するというと、相当な時間もかかりますし、それぐらいの時間の猶予がないような重大な事故も起こっているということで、まずは早めに、こういった調査でも概観をつかむのが重要だろうと思っております。

○田澤委員 ありがとうございました。

○松岡座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 では、視点を変えて、どこまで情報が届いたかを考えるときに、出発点は官庁であり、都道府県ですね。ボトムはどこでしょうか。消費者ですか。そうすると、特定の消費者をちゃんとノミネートしておいて、「届きましたか」と聞くのが一番固いですね。そうすれば、情報がどこで詰まっているかがわかる。
 実は、介護を受ける人の横にいるのはヘルパーさんです。ヘルパーの名簿は手に入りますね。6月に注意喚起をしました、どういうチラシを出しました、そのヘルパーさんのところに届きましたかと調査ができます。ジャストアイデアです。そういう文書が私のところまで回ってきましたと言われれば、それは、注意喚起がずっと回っていったということになります。レンタル業者さんであろうと、ベッドを買われた消費者の方であろうと、要介護者の横には必ずヘルパーさんがついているはずです。そうすると、ヘルパーさんを一つの受け皿にして、その人のところにその情報がちゃんと届いていますかというのが使える方法ではないでしょうか。

○消費者庁宗林消費者安全課長 先生のおっしゃる方法も有効な方法だと思います。今回は、一般の消費者というよりも、実際に介護されている方がどうなっているのかということなので、もしかすると在宅の家族の方もいらっしゃるでしょうし、このアンケートの回答の中には、ヘルパーさんでやっていらっしゃる方も含まれていると思います。ですが、共通項としては、実際に介護ベッドで介護をしている方が、本当にこの時点で、この注意喚起が届いていて知っているのかということが一番大事だと思っています。

○松岡座長 それでは、いろいろな議論、質問がありましたが、宗林課長には、ありがとうございました。

○消費者庁宗林消費者安全課長 今後ともよろしくお願いいたします。

○松岡座長 今の御説明、御質疑を通じまして、どのように注意喚起をするか、どのように到達させるかということでの一つの事例であり、そこでいろいろな問題点が挙がってきたと思います。商品によりまして、どこを押さえたらいいかというポイントはそれぞれ事例毎に個別でいろいろありますので、その辺をどう工夫していったらいいかというところが大いに問題になると思います。
 注意喚起全般につきまして、今の事例を参考に何か御意見等ございましたら、少し議論できればと思いますが、いかがでしょうか。
 個別の問題でなかなか難しいですが、押さえるべきところをピタッと押さえると、通知なり注意喚起が行き届く可能性もあるのではないかという気はいたします。ただ、事例によっては注意しないと、例えば自治体を使ったりしてやろうとしましても、それこそ砂漠に水をまいているような感じになって、どこかに連絡が行ってしまって、そのままになってしまっていることがあることも注意しなくてはいけないと感じました。
 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 私の例を話させていただきますと、自分の住んでいるマンションの理事をやっていますが、知らないうちに、消費者庁と国土交通省から立体駐車場の注意が来ているんです。どこからどう来たのかわからないのですけれども、私どものところは平置きと地下3段の駐車場があって、地下3段の駐車場のほうに対して、操作している最中に小さい子どもが手を離して落ちたり、挟まったりという事故があるというのが来ていまして、すごくタイムリーで、うちのマンションの住民にはちゃんと知らせましたけれども、これはどこから来たのだろうかと見たら、消費者庁と国土交通省の連名でした。ですから、ちゃんと消費者庁とか省庁が連携してやっているものがあるのでしょうね。私のところに来るということは、きっと、立体駐車場を持っているマンションや施設には行っているのだろうと思います。

○中嶋委員 連絡は個人名で来るのですか。

○中村(均)委員 連絡はマンションの管理組合宛てでした。私どもがお願いしている管理業者から来ているのかどうか、まだ確認はしていません。だから、意外と有効に来ているなと私はびっくりしました。

○中嶋委員 私もうちのマンションの理事をしておりましたが、これは、管理組合とか、委託している会社が送ってきます。そこの会社が、管理組合の住所や会長名を連絡して、そこへ来るようになっています。

○中村(均)委員 ということは、国土交通省か消費者庁が管理業者に対して通知しているということですか。

○中嶋委員 そうだと思います。

○松岡座長 片山委員、どうぞ。

○片山委員 すごく粗っぽい意見を述べたいと思いますが、今回の介護ベッドの黄色いチラシを見ていただきたいのですけれども、「ご注意!」の下のところに、「誤使用や想定外の使い方により事故が発生しています」という注意喚起になっていますね。ですから、「普通の人は事故に遭わない、けれど」と、そういう注意喚起になっているところがまずは問題だと思います。
 この注意喚起チラシの書き方一つで多分違うと思いますし、実際に63件起こっている事故で、介護度がどれくらいの人がどういう状況で事故にあっているのかもこれではわからない。非常に緩やかな介護度の方でも、ちょっとした拍子にこういう事故に遭ってしまうことがあると思いますけれども、その辺の伝え方も、いい加減といいますか、何となくこのチラシだけを見ると、かなり介護度が高くてベッドからの起き上がりも自分では難しいような人が、何かの拍子に無理をして事故にあってしまったという印象にとれますが、そこは実態は違うと思います。その辺の伝え方にまだまだかなり問題があると感じます。
 もう一つ、先ほどの経産省や厚労省がこれだけのチラシを配ったりして、2万7,000か所にも通知をしたにもかかわらず、多分、病院や介護施設、レンタル事業者はきちっと対応していないのではないか。それはなぜかと言うと、前回も少し議論が出ましたが、自分たちは責任を負っていないという意識がどこかにあるのではないか。結局は製品欠陥なのだから、何かあってもメーカーの責任で、自分たちは一々こういうチェックに対応しなくても最終責任を問われない。そういう安易な間違った感覚があって、本当に事故を防げる立場にある人たちがちゃんと動いていないという気がするのですが、その辺はいかがでしょうか。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 実は、このベッドを私の義母が使っています。実情をちょっと話させていただきますと、別に介護ベッドを弁護するわけではありませんが、使用者側にとって非常に難しいのです。現在は在宅でできなくなったので老人ホームに入れていますが、サイドレールカバーをつけています。ですが、これをつけるとテレビが見えないのです。ですから、テレビを見るときはこれを取り外しています。私のところは8室を1人のヘルパーさんが見てくれますが、やはり8室の中で一番症状の重い人のところに行く時間が長いのです。私の義母はそれほどひどくないので、知らないうちにほったらかされているのです。そうすると、サイドレールカバーは外れたままの時間が結構あります。
 そうは言いながら、サイドレールをやらないと、うちの義母は歩けなくていざるから、落ちてしまうのです。ですから、この横にマットを敷いて、落ちたときに大丈夫なようにしてもらったら、今度は、動くときに車いすが要るので、車いすがリーチできないから、その度にマットをどけなければいけないとか、なかなか書いた通りにできない。
 それまでは家でこの介護ベッドを使っていましたが、私たちはよくわかっていないから、テレビが見えるように義母を起こしたりしたときは、落ちてはいけないからといって横にサイドレールをつける。そうすると、いつも決まった人間が見ているわけではないから、違う人間が来たら、義母が「寝たい」と言ったときに、下ろします。また違う人間が来たときは、そのままで上げようとしてしまうわけです。
 ですから、別にメーカーの弁護をするわけではないけれども、これはなかなか難しいです。ですが、このベッドのおかげでうちの義母はかなり快適に過ごさせてもらっているので、この下に書いてあることは片山先生のおっしゃるとおりだけれども、これはメーカー側としては言いたいだろうなという気はしますね。私個人の話で済みません。

○松岡座長 貴重な御体験をありがとうございます。

○中嶋委員 今のお話を聞いて驚きました。ただ、片山先生が言われた誤使用や想定外の使用ですが、これがいかにも事故の原因だと言われると、それは許せないだろうと思います。これは普通の消費者の感覚ではないかと思います。
 私はISO/TC199機械安全部会の委員ですが、この分野にはISO12100という規格があります。これは安全の基本規格ですけれども、意図する使用に基づいて商品は使用されないといけないと規定していますが、予見可能な誤使用については単なる注意喚起で対応してはいけないと規定しています。「誤使用を防止するための設計上の対策をとってください」と規定しています。介護ベッドのスペーサーはその対策ですね。でも、その対策をとりますと、テレビが見えないとおっしゃるのであれば、ひょっとしたらテレビの位置を変えれば見えるかもしれない。今の状態ではだめかもしれないけれども、総合的に対策をとっていくことが必要でしょう。
 もう一つ、いろいろなことがこのチラシの中で見え隠れするのは、経産省のNITEのいつもの話ですが、事故件数の報告の一番下のただし書きに、「製品起因ではないと思われるものも含まれる」となっています。一般論としてNITEが報告しているのは、製品起因であるものは約3割です。ほとんどのものが、製品起因かどうかわからないというふうに報告をされているわけです。製品起因であれば企業の責任で、製品起因でないものは企業の責任ではないと言っています。
 でも、誰の責任かわからないけれども事故が起こりましたと、この状態で放置されていることは果たして使用者にとって幸せなのか。行政としては、調査をすることで責任を果たしておりますので、それ以上はしませんと言われたら、やはり使用者は怒るのではないでしょうか。そういう意味では片山先生が言われたように、誤使用については、企業は警告などの情報提供だけではなく、具体的な設計による事故防止の対応するようにしてくださいとなっていないといけない。想定外の使用だから許されるというものではないということが基本にあると思います。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(晶)委員 今、中村委員がおっしゃったような、ベッドの上でテレビをごらんになるとか、車いすに乗り移ったりされるというのは、想定外でも誤使用でも何でもない。まさに日常生活の普通の使い方なわけで、介護ベッドを使う方の使い方というのを本当にきちんと身近な人の目で見ていたら、それを、誤使用とか想定外の使用とは呼ばないと思います。やはりこれは、警告認知性のさらに前の問題として、警告の中身のつくりが問題であるということは間違いないと思います。

○松岡座長 最後に、齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 経済産業省と一緒に、これは製品起因かどうかを検討することがあり、こういう案件がたまに出てきます。本当に製品が原因となって死亡事故が起きたとは理解できない案件も記憶にあります。したがって、本当に製品起因の死亡事故、あるいは誤使用の範囲まで含めてベッドが原因になったものと、本当は違うのではないかというものを分けてもう少し議論すると、数字がはっきりして議論の対象が明確になると思います。今はそういうのを全部ひっくるめていますから、最大この範囲だという言い方になります。消費者庁は、今はそれでいいと思いますけれども、手を打つときには、もう少し詳しい数字が要るような気がします。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 議論は尽きないかと思いますが、このぐらいにして終わりにしたいと思います。このような具体的な事例で検討してきますと、本質的なところまで浮かび上がってくるような感じがしますので、今回の検討も今後のまとめの参考にしたいと思います。よろしくお願いします。

≪4.取りまとめの方向性について≫

○松岡座長 それでは、議事次第の4に入ります。
 リコールや安全に係る情報の周知徹底について議論を続けてきましたけれども、取りまとめということが最後にありますので、その方向性について少し整理して、最終的な報告書までまとめていきたいと考えています。
 資料3につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○原事務局長 資料3に基づいて、取りまとめに向けての考え方の案ということで提示させていただきたいと思います。これは全く仮のものですので、肉付けを是非お願いしたいと思っております。
 まず、問題意識です。狙いですが、当初、この専門調査会を立ち上げたときにも皆さんにディスカッションしていただきましたけれども、事故情報を見ていると、製品回収(リコール)がされているにもかかわらず、使用を続け事故に至るケースが報告されています。これは経済産業省でも年間130件ぐらい、消費者庁に寄せられているものでもそれぐらいということを、事務局でも分析して、それぐらいの事故が目に見えたものだけでも起こっているということです。これらの事故は、リコール情報が着実に届いて行動しておられれば確実に防ぐことができたのではないかという問題意識です。
 2つ目の段落ですけれども、「リコール情報を確実に消費者の手元に届け、消費者を行動させるために、さらに方策として考えられることはないか検討を深めた」。届いただけでは不十分で、それに基づいて行動を起こすところまで念頭に置いて検討を深めてまいりました。このリコール情報を消費者の手元に確実に届くようにすることは、今も注意喚起情報がございましたけれども、いろいろ情報を消費者の手元に確実に届けるというところにも応用できるのではないかと考えております。
 中の構成は、1、2、3、4、5と分けておりますけれども、1は「これまでの検討の経緯」ということで、リコールについては、経済産業省、国民生活局でも検討を重ねています。これまでの検討の成果というものもあります。
 2つ目は、「現在のリコールの周知をめぐる体制」として、今、どういうふうに体制が構築されているのかという、現状の紹介が要ると思っております。
 3は「専門調査会の検討結果」です。資料1-3に本日も示しておりますけれども、消費者がリコール情報に接したときに、認識する、理解する、行動するという3パターンに分け、行政、企業、報道、消費者が、どういう認知、理解、行動をすればいいかということを表の中に落とし込む作業をしております。具体的には、毎回まとめている対策案の表からアイデアを抽出したいと考えています。
 4の「各省庁への提言」が、今回の取りまとめの柱になると思いますけれども、マル1からマル6を掲げています。マル1は事故情報収集ルートの活用ということで、消費者庁にいろいろな事故情報が入ってくる仕組みができていますけれども、それを、逆に届けるというところにも活用できないかということです。
 マル2としては、ヒアリングの中でも随分出ていましたけれども、販売事業者の責務の明確化です。これは、一体どれぐらい明確にするのかというところはまだ議論のあるところだと思っておりますけれども、販売者の責務の明確化が2つ目の柱です。
 3つ目は、自治体の意識づけというところで、地方自治体、消費生活センターのルートを利用した、情報提供の拡大、地方の消防組織、警察組織の情報伝達網の活用というところで、身近な自治体というところに認識をしていただいて、メーカーがリコール社告を出すということだけではなく、自治体の意識づけも3つ目の柱としてはあるのではないかと思います。
 4つ目は、消費者のリコール・危険認知能力の向上ということで、受け取る消費者側が、注意喚起、リコール情報についてアンテナを張って行動できるように、情報提供の工夫ですとか、消費者教育における危険認知能力の向上というのがあるのではないかと思います。
 5つ目は、インターネットの活用ということで、リコール社告ですとか、回覧板とか、既存のものもありますけれども、これだけのネット社会ですので、消費者庁もリコール一元化サイトを立ち上げましたが、こういったものの充実と、継続的なPRによるリコール情報の総合窓口化を目指してはどうかということで、ネットの活用も5本目の柱として考えられるのではないかと思います。
 6つ目は、リコール基本法、促進法制定という御意見も出ておりました。これについてはマル1からマル5を全部含んでくるものになるかと思いますけれども、法律ということであれば、法律には何を盛り込むべきなのかということも入ってくるかと思いますが、この6つの柱立てを考えております。
 5は、「製造事業者、消費者、報道関係への提案」ということで、マル4については基本的に、行政、施策に対しての意見になっておりますけれども、今回の取りまとめ、資料1-3をごらんになってもわかるとおり、製造事業者、消費者、報道関係と、いろいろな責任主体にお願いをしたいということがありますので、それはまた別途、報告書へ記載をして、皆様へ御協力をお願いするということをしてはどうかと思っております。
 それから、資料集といたしまして、ヒアリングの内容とか、これまでお示しした資料データなども報告書に盛り込んでいくことを予定しております。
 事務局からの説明は以上です。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 今まで、いろいろ議論が出てきておりまして、それがある程度きれいに項目別にまとまった形になっていると思います。これは、あくまでも報告書の骨子案をつくるための前段階としての取りまとめの方向性を探るということで、案ということになっております。このような大項目、中項目というまとめ方になっていますが、この中で、足りないところ、もう少し強調したいところ、いろいろな御意見があると思いますので、これから、皆さんにご議論をしていただければと思います。資料1-1、1-2、1-3等にいろいろ項目が出ておりまして、この辺も参考になると思いますので、よろしくお願いいたします。
 どうぞ、齋藤委員。

○齋藤委員 1ページの2ポツの書き出しのところですけれども、「リコール(製品回収)は、企業における自主判断が起点」となっています。自動車や医薬品、消安法の対象物などは、一応、企業がやらなければ当局が命令まで出せる仕組みになっていたと思います。これは入り口のところで整理しておかないと、最後のリコール基本法というところまで議論がいくと、後で混乱する可能性があると思います。

○松岡座長 では、その辺は少し整理して。

○原事務局長 整理します。

○松岡座長 では、中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 全く同じ話で、消安法もそうですし、製品安全法も、改善命令で回収を指示できますというふうになっているわけです。ですから、自主回収と強制回収とはきちっと分けないとだめだと思います。
 ここで議論してきた中には、例えばパナソニックさんの石油ファンヒーターは、強制回収、いわゆる命令を受けて回収したけれども、7割ぐらいしか回収できなかったという話がありました。情報が伝達できたかどうかが議論になったと思います。市場にまだ残っているのか、残っていないのか。全部捨ててしまっていたから7割で終わったのかというのもあるので、法律で回収命令が出されているケースと自主回収をやるときのケースに分けて考えて、なおかつ、その2つについて情報がどういうふうに伝わっていったかということを分析していく必要があると思います。

○松岡座長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 4のマル2、2ページの一番上です。販売者の責務の明確化というのは必要だと思いますけれども、これが、ここに書いてある製安法だけでいいのかというところがあって、食品とか役務とか、ほかのものは入らないわけですから、ここは、日用品だけしか考えていないということになるので、もう少し広げるべきではないかと思います。
 それと、自主的であってもリコールをしたとき、きちんと情報を提供するシステムにしたらいいのではないかと私は常に思っています。例えば東京都の食品関係は、きちんと東京都に報告しなければならないことになっていますけれども、すべてのものにおいて、もし自主的であってもリコールするのでしたら、やはり消費者庁なりにきちんと報告を義務づけることも必要ではないかと思います。

○松岡座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 今の佐野さんのお話に関係しますが、リコール基本法とか促進法の制定というのはたしか佐野さんから出たと思うのです。ちょっとお伺いしたいのは、今のお話に関連しますが、自主回収でも、それをリコール基本法で決める必要がありますと言ったときに、それは自主回収だけれども、報告義務だけを義務づけるみたいなことを基本法で決めるのか。もしくは、自主回収も強制化するという意味でリコール基本法と言われたのか。リコールを事業者はどういうふうに考えて、何種類かを分けてうまく使いなさいというふうに考えたらいいのかまだ大ざっぱな感じですけれども、どういうイメージなのか。あのときはたかだか2、3分で話をされたのですけれども、もう少し詳しく教えていただけませんか。

○佐野委員 私が考えているマル6ですけれども、要するに1から5まで全部入れたらいいのではないかという気がしています。基本法と言うと理念になってしまうかもしれませんけれども、やはりきちんと自治体にも意識づけが必要であるし、事業者にも、どういうときにリコールしたらいいのかということもきちんと書ければいいのではないか。その中で、販売者の責任もあるということも、ここに書かれていることは全部必要ではないかと思っています。
 ですから、リコール基本法または促進法でもいいですが、もしそれができるのだったら、全部入れて、いわゆるリコールというのはどういうものであって、どういうときにやって、どういうことが義務であり、何を自主的にやるか。そういうことをきちんと順序立てて書ければ、もう少し、リコールというものは何かということが消費者にも事業者にも自治体にもわかるのではないかと考えています。

○中嶋委員 ということは、今回のここでまとめるものがそのまま促進法になります、というふうに言われているのではないですか。

○佐野委員 はい。それでもいいのかなと。

○松岡座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 リコール基本法について、提案した者としてイメージについて説明しておきたいのですが、強制義務的なケースと自主的に取り組むケースと、2本立てを含む。自主的なものについては、努力義務を規定化するというふうなイメージを考えていました。なぜ、こういうことが必要だと思ったのかは、以前も話したことがありますが、自主的な取組についてもかなり差が出ております。絶対にやらなければいけないだろうと思われるようなケースでも、リコールをしていなかったり、単に行政庁の発表に任せてしまったり、そういうケースが見受けられる。そういうことが混在したままでずっとこれからも行きますと、まじめに取り組んでいる事業者が損をしたような気になってしまう。そういうことがないように、全体の底上げを目指すという形で、個別法で規定されているものは、もちろん個別法に委ねるとして、そうでないケース、特に重大事故が発生したケースとか、発生させるおそれがあるというふうなケースを、例えばの話ですが、それを強制義務の対象にするとか、そういったイメージで申し上げたわけです。
 ついでの提案になってしまうのですけれども、4ポツの中に、リコールに特化した表彰制度のようなものを考えてはどうかと思います。リコールハンドブックの改訂の議論のときからずっと言っていますけれども、今回、ビックカメラのヒアリングの結果の一つとして、一生懸命あの会社は取り組んでいる。ただ、取り組んだ結果について、企業的なメリットの効果は見えませんという回答になっていたと思います。一生懸命取り組んでいる事業者、あるいは自治体、行政庁でもいいですが、そういうところの努力が可視化するような形で、例えば再発が何年たってもやまないというようなケースに対して、事業者が念入りに情報提供なり注意喚起を行ってもらうのを促す。インセンティブ対策としてそういう制度を考えたらどうかと思います。
 経産省のほうで、安全製品の製造に関して表彰制度をつくっているというのを、ビックカメラのケースのときに資料で紹介されていましたけれども、リコールについて特化した形で、かつ、消費者サイド、消費者団体の人たちにも選定の役割を担っていただいて、消費者目線で表彰の対象を選んでもらうということも考えていいのではないかと思います。
 以上です。

○松岡座長 ほかに、御意見ございますか。
 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 このレポートの中に入れないリコール対象というか、自主回収、これもちゃんと書いたほうがいいと思います。というのは、食品などではよくあるのですが、パッケージの印刷がずれたという理由で自主回収することがあります。それは中身に何の影響もない。消費期限、賞味期限はちゃんと印刷されています。ただ、印刷のイメージがよくないので回収いたしますと。実際に、大手の食品会社であったことですが、大量に自主回収されたわけですけれども、これはソーシャルコストが無駄になっていく例です。そういう意味では、自主回収であっても、いわゆる本来の自主回収の目的に沿っていないものはここの中では除外をする。もっと言えば、本来それは回収しなくていいと本当は書きたいわけです。これは、NACSの古谷さんなどはそうおっしゃっておられますけれども、私もそれはそうだと思います。ですから、そういうものはこのリコールの中からは除外していくほうがいいだろうと思います。この問題もどこかで簡単に触れていくほうがいいのではないかと思います。

○松岡座長 中川委員、どうぞ。

○中川座長代理 今の除外は、例えば、消費者安全にかかわらないという言葉だけで全部オーケーですか。

○中嶋委員 多分、それでいけると思います。企業のブランドイメージを守るためだけの回収はこの対象外であるとか、消費者安全にかかわらないものは対象外であるとか、そういうことでいいかもしれません。

○松岡座長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 2ページのマル2のところですけれども、販売業者の責務の明確化についてひと言。同じ書き方が後ろのほうにも出てきます。メーカーと流通、販売というのが私の頭の中でも一番ピタリとくるのですけれども、きょうの介護ベッドの件を伺うと、業務上、製品を利用する者も含めたほうが有効な手を打てる可能性があります。将来、外すかどうかは別にして、一応入れておくほうが、検討漏れがなくなっていいと思います。

○松岡座長 貴重な御意見ですが、いかがでしょうか。一応それを項目に入れるということで。

○中嶋委員 齋藤先生、それは使用者という名前ではだめですね。利用者とか使用者ではないですね。というのは、使用者は寝ている人、介護されている人ですから、その人ではなくて、ヘルパーさんのことを言われているわけですね。

○齋藤委員 レンタル業者であり、ヘルパーであり、そういう者を含めるという意味です。

○中嶋委員 用語をどういうふうにするか。

○齋藤委員 こういうのを法律で書くときには、「販売業者(○○を含む)」とか定義するのですが、議論をするときには、それをクリアーにしておかないと後で混乱すると思います。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 3つありますけれども、一つは、4のマル5、インターネットの活用で、「消費者庁のリコール一元化サイトの充実と」のところです。これは、形はできているけれども余り利用されていない。利便性を改善するのが先で、みんなが使うようになって初めて相談窓口化になり得るので、今の形はあるわけだから、そこの使い勝手をよくするというのを是非盛り込んでいただきたい。具体的な案を、やはり出さなければいけないのではないかという気はします。
 2点目は、同じく2ページのマル4です。リコール情報の危険度ランク付けというのは、以前に紹介されたR-Mapがイメージされると思いますけれども、あれを全メーカーに共通して使えと言うのか、全メーカー勝手に自分の尺度でやれと言うのか、ここもどういうふうにするのか、議論をしないといけないのではないかという気がします。あのR-Mapに基づいてやれというのだったら、たしか頻度と重要度でとってあったような気がしますけれども、その辺ももう少しみんなで議論しないといけないのではないか。
 3点目は、私もこれは半分ぐらい大きいと思っていますけれども、マル4の「消費者教育における」というところは、我々は余り議論をしていないような気がします。これはもう少し議論をして皆さんの意見を集約しないと、一般的な文言で終わりそうな不安があります。

○松岡座長 佐竹委員、どうぞ。

○佐竹委員 2ページ目のマル3、自治体の意識づけというところが気になります。販売業者の責務の明確化は当然のことだと思いますが、以前、佐野委員は、情報を知らされるのが消費者の権利というふうに位置づけることが必要だとおっしゃいました。自治体のほうも、リコール情報を消費者に確実に届けることを、意識づけではなくて、もっと強く踏み込んで、努力義務にするとか、私は自治体の責務の明確化ぐらいにしていただきたいのですが、それぐらい踏み込んだ、消費者に確実に届けるように努力しなさいということを規定していただいたほうがいいのではないか。
 その中で、消費者教育推進法、これからは法律に基づいて地方自治体でも消費者教育がなされていくと思いますので、そういう法律に基づいて、安全の教育もきちんと行政のほうでするということも入れていただければいいのかなというふうに思いました。

○松岡座長 どうもありがとうございます。ただ、前の議論の中で、地方自治体さんが非常にお忙しくてなかなかできないという議論もちょっとあったので、どうしたらいいでしょうね。

○佐竹委員 マル17に「自治体広報における製品安全コーナーの設置」と出ています。これも佐野委員がおっしゃったと思いますけれども、私も帰りまして自治体のほうに確認しましたら、私どもの自治体でも、月に2回は各市民全部に広報誌を出しています。その中に一度もリコール情報というものは出ていません。一応私どもの市で、リコール情報はどこで窓口になっているか職員に確認しましたけれども、どの職員もわかりません。恐らく消費生活センターだけではないですかと、この程度です。
 ですから、行政でリコール情報が入る窓口を決めて、そこから製品安全の情報をきちっと自治体の広報に出すようにというところまで、踏み込んで書いていただくと、意識づけにもなろうかと思います。まず、自治体には広報誌に出すという意識がありません。忙しいだけではないのです。

○松岡座長 そうすると、現状は、体制自体がまるっきりできていないということですね。

○佐竹委員 はい。

○松岡座長 わかりました。
 ほかにございますか。横矢委員。

○横矢委員 2ページ目のマル4、消費者のリコール・危険認知能力の向上のところは、私も中村先生と同じように、気になります。実体験ですが、リコール情報というのは伝え方が意外と難しい問題だなというのを感じたので、ちょっとお話ししたいのですけれども、ベビーカーの補助いすのリコールの話は、実際にこういうことを気にしているお母さんに話を聞いたのですが、自分の自転車の補助いすは気をつけましたと。ですが、「周りの人には、とてもじゃないけど言えません」と言うのです。それはどういうことかというと、自分はいい物を使っているけれども、あなたはよくない商品を使っている、という形になってしまう。そんな失礼な感じになってしまう。そういうことがあって、とてもではないが言えないと。
 逆に言えば、何でも伝えればいいという形で、「あなたはだめなのを使っているわよ」という形で変な伝わり方をしてしまうと、これは意外と危険な問題ではないかと思いました。高圧的になって、「それでも使わせているあなたは一体どういう親なのか」という、攻撃的な雰囲気に感じるかもしれないような内容になります。伝え方を工夫すれば全然違うと思うのです。それと、教育がちゃんと届いていて、こういうことを言われたのだという理解ができればいいと思いますけれども、それを準備なくやってしまうと、対象によっては問題が出てくるような、かなりナイーブな問題だというふうに感じました。
 危険度ランクづけを考えるときも、受ける対象によってそのランクが違ってくるのではないか。重要度の高いものが、1枚のリストになって、このくらいの年齢で、こういう生活をされているなら、あなたはこのことから最初に気をつけてねとお渡しできるようなものがあれば、わかりやすいのですけれども、そういうものはあるのでしょうか。ごめんなさい、私はそれがよくわかっていなかったのですが。
 あした、赤ちゃんのおうちの危険度チェック、それは事故防止の話で行くのですが、少しリコールの話もしたいと思いますので、そういうときに、「これ」と言って見てもらえるような何かがあるといいなと思いました。何枚も持っていくのは大変なので、今の時期に優先リストとして出てくるような、例えばインターネットでそういうページがあって取れるとか、伝え方にもつながっていくことだと思いますけれども、伝える側、ハブになる人にも何かよい資料が提供されるといいなと思いました。

○松岡座長 難しいですね。消費者庁のホームページを見ますと、ズラッとたくさんリストがあって、最近の新しいものはこうですとあるけれども、本当に全体の中で何が重要なのか。
 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 ちょうどそれを言おうと思っていたのです。有効なリコール情報の提供についてきちんと書き込むことが必要だと思います。今まで事例を見てきましたが、半年から1年たつと回収はほとんど頭打ちになってきます。もう一つは、1年、2年たって、それ以上古い情報を置いておくと、新しい情報がその中に埋没してしまって、結果、目立たなくなってしまう。
 今、事故情報データバンクシステムに蓄積された事例が7万件を超えましたが、誰が見ているのか。私は知人によく、インターネットでそこにアクセスしようと言います。見る人もいて、「こんなのがあったのか」と言います。それからまた何か月かして、「その後、見たか?」と言うと、ほとんどの者がまだ見ていない。ということは、感じるものがないわけです。7万件も蓄積していてアピールしていないというのは、反省しなければいけないと思います。過去の分析をするのはいいですけれども、発信力という意味では欠けるのではないかと思います。それをどういうふうに伝えていけばいいのか。私は、情報はホットなうちに集中的に大きくアピールして、そのあとは、気になる人が蓄積された情報を見に行けばそこに必ずあるというように、扱いを分ける必要があるのではないかと思います。

○松岡座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 今のお話にも関連しますけれども、リコール情報といいますか、リコールをどこまで実施したら、回収をどこまで実施したら、消費者の側から見て満足ができるのか。これは非常に大きなテーマで、このレポートの中には多分書けないと思いますけれども、100%ではないだろうと思うのです。アメリカで調査したデータを越山先生がお持ちですけれども、7割ぐらいのところでサクセスフルと考えないといけないだろう、というふうなデータがアメリカの中にはあります。
 回収率100%でないと消費者は安心できないというのは、そうだろうと思います。しかし、実際にリコールを一生懸命かけても100%回収にならない。サチュレーションが起こってしまうようです。もう一つは、リコール情報をどれだけの期間載せ続けるのかです。今で7万件だとおっしゃっていますけれども、100%回収できなかったら消しませんとなると、リコール情報はずっと積み重なっていきます。すぐに10万件超えて、100万件超えてしまう。このような状態になったら、注意喚起も何もなくなるだろうと思います。この報告書の中には書きにくいですけれども、そういう問題点はあるという指摘は必要ではないか。法律問題とはまた別です。未回収品で事故が起きた際に、100%ではないけれども満足しましたからと消してしまったから、法律的には遡及されない、訴えられないということではなくて、今の消費者庁のリコール情報からは落としていきます、という決断があってもいいのではないでしょうかというふうに思います。これは全くの暴論かもしれません。
 それから、リコール情報というのは今起こっていることを伝えることであって、過去のものを洗いざらい出すということではないだろうと思います。その伝え方ですけれども、2ページ目のマル3とマル4とマル5は一体化して扱うことができます。
 どういうことかといいますと、今度、消費者安全推進法か何かができましたけれども、本省のほうは教育推進会議というのをつくって、地方公共団体はそれの協議会をつくるというふうになっています。これは上下の関係で連結しています。ということは、ICT(インターネット)の活用ということと自治体の意識づけというのは関係している。教育推進法でいくと、中央官庁と地方自治体だと。そこでツールは何なのかというと、これは教育だろうということなのです。どういうふうにリコール情報を流していくか。単に「こんな事故がありました」では、流れていかないだろう。確かに文書としては流れていくでしょうけれども、意識は変わらないかもしれない。ですから、この3つを一体化して扱うことが必要だという書き方があってもいいのではないかと思います。

○松岡座長 いかがでしょうか。全体の大きな章立てのようなものだとか、項目とか、もう少し説明が必要だとか、そういうことでも結構です。それがなければ、大体こんな形で整理していこうということになりますが。

○中川座長代理 マル2のところに法律の改正の話が入っていますが、書きぶりとしては、法律をどう位置づければいいのか、あるいは、法律に書くべきかどうかも含めてというのは、マル6のところで一括にして、マル2は、単に販売者ないしは業務上利用する者、どのくらいまでその範囲を広げることが望ましいか、それに関する知恵を書いておく。マル6は、法制化すべき対象と実際にどういう立法が必要かということにしたほうがわかりやすいと思います。
 マル6については、以前はなかなかうまくいかないのではないかと思っていましたが、今日のお話を伺っていると、消費者安全法の中に書き込むという手もあるかなとも思えてきました。自主リコールも含めて、消費者安全についての製造業者と販売業者の責務の在り方みたいな全く新しい章を置くというイメージですけれども。リコール基本法と言うとすごく大きな話になりそうですけれども、消費者安全法の改正であればスムーズに入りそうな気がします。

○松岡座長 確かにそうですね。

○中川座長代理 リコール基本法がほしいとおっしゃる方にとっては、いまひとつという感じかもしれませんが、消費者安全法に書きこめるのでしたらそのほうが楽ではないか。そういうことも含めてマル6で検討するというのはいかがでしょうか。

○松岡座長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 安全法には本当にいろいろなものが入っていて、消費者安全法を整理したほうがいいような気もします。これをまた一つ入れてしまうと,すごく大変になる。

○中川座長代理 安全法に多くのものが入り過ぎているという点は,私も否定出来ないと思います。

○松岡座長 夏目委員、どうぞ。

○消費者委員会夏目委員 リコール基本法とか促進法をつくっていくことに反対するわけではないですけれども、新しい基本法なり促進法を制定するのであれば、現在ある個別法の限界みたいなものにきちんと触れておく。例えばそこで、消費者基本法の中に盛り込むべきものがもしかしたらあるかもしれませんし、そこの限界をきちっと出した上で、だから新しい法律が必要なんだというところに持っていったほうが、わかりやすいのではないかということです。

○松岡座長 片山委員、どうぞ。

○片山委員 1ページの「4.各省庁への提言」のマル1のところで、消費者庁に対する提言という形では、今ある仕組みを逆に利用して情報を発信するということしか書かれていません。単に情報を流すだけではなく、横矢委員から、子どもに関する情報というのは、母子手帳とかそういう情報伝達のツールを使って、そこに載せていくことでうまく伝達できるという御紹介もありましたし、もっと、こういうルートがあるということの掘り起こしをして、そこに、子ども関係あるいは高齢者関係の情報はこう載せればいいという、伝達ルートをこの機会に消費者庁の責任で構築していただきたい。かつ、それは、そういう関連の事故が発生し、リコール情報の伝達の必要性があったらすぐ載せられるように、常設といいますか、常にそういうルートが開かれているというものを、はっきりさせておいていただきたいと思います。
 注意喚起情報もそうですけれども、消費者庁は、流すべき情報が生じると、その都度、どこへ伝達すればいいかという検討をして流しているのが現状という話でしたので、そうではなく、この機会に、分野ごとに活用できる情報伝達ルートのようなものを、きちっと整理して用意することも含めて、マル1に入れていただきたいと思います。

○松岡座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 今の片山先生のお話にも関連しますが、2つあります。
 一つは、事故情報収集ルートの活用とありますけれども、実際に現在どういうものを活用して事故情報を収集していますという議論を、ここでやりましたか。私はちょっと記憶がないように思います。というのは、例えば製品の重大事故情報をどうやって集めていますか。経産省は集めています。経産省にダイレクトに企業が報告しないといけないという義務づけがなされている。では、重大事故でないものはどうしますか。これはNITEに報告してくださいというふうに、これは努力義務化をなされています。それ以外のものはないわけです。では、食中毒はどうですか、これをどういうふうにして集めますかというと、保健所ですかね、というくらいのことで終わっています。
 実は収集ルートを逆用すれば確かに届くのです。ほとんどの場合が工業会ベースですけれども、今、私が挙げた事例は工業会では使われていないのです。工業会におろせない、ひょっとしたらネガティブかもしれない。だから、「事故情報収集ルートの活用」と簡単に言いますけれども、これは議論をしてから書かないといけないだろうと思います。
 それから、次のページのマル2にリコールガイドラインの作成というふうにボンと出されていますけれども、これは大作業の話ですね。こんな一言で片づくような話ではなくて、これはどうですかねというのが実のところの話ですから、これの扱いは別建てで考えたほうがいいでしょう。
 そういうふうに外していきますと、確かにこれは普通の1番、2番、3番、4番、それからマル1、マル2とありますけれども、ここは3つぐらいに括れるかもしれません。それ以外に、リコールガイドラインと本当にここに書くのですか、という議論をやりましょう。それから、事故情報収集ルートは具体的にどういうふうに考えますかとか、そういう議論をして載せることがいいでしょう。そのときに、満足度100%なのか、70%なのかという議論も必要ですよということで入れておけば、みんなおさまりがつくのではないか、こんなふうに考えます。

○松岡座長 そうしますと、まとめながら、また議論を重ねないことには。

○中嶋委員 そこまでやるのですか、ということです。時間的も問題もあります。

○松岡座長 それは回数を増やすとかですね。

○中嶋委員 でも、ガイドラインの作成というと大変な作業で、この2、3か月で終わるということはないと思いますけれども、いかがですか。

○松岡座長 その辺は、まとめの段階に当たって、今後やるべきですということで。

○中嶋委員 積み残しで、これを提案して。

○松岡座長 その下地の議論は大分やりました、ということですね。

○中嶋委員 リコールガイドラインをつくらないといけないといったら、後にリコール基本法があるわけです。この2つの扱いをどうするかという議論もあります。

○齋藤委員 それに関連してですが、リコールガイドラインというのは、経済産業省が何年か前に、名前がこれと一緒だったかどうかわからないけれども、出したと思います。だから、その中で、この辺は見直したほうがいいのではないか、検討を加えたほうがいいのではないかというところがあれば、「例えば」で挙げれば、それで済むのではないかと思ってこれを読んでいました。
 もう一つ、私が強調してほしいと思っているのは、インターネットの活用の辺りに入るのかどうかわかりませんが、消費者庁は、もっと当事者として積極的に消費者に対峙し、アピールして頂きたいということです。届いたリコール情報を集めて一覧表にして載せ、皆さん見てくださいという受動的なものでは足りない。前に言いましたけれども、倒産会社の事例などは誰かがやらなければいけない。倒産会社は存在しないわけですから。そうすると、一番適しているのは、取りあえずは消費者庁のホームページだろうと思いますが、一般の事業者であれば、もっとこのくらい積極的にアピールするだろうというラインがある。そのくらいのことを消費者庁にやってほしいと思っています。けれども、今、消費者庁にはそういうスタンスがほとんど見られないので、もう少し前向きに取り組んでいただきたい、ということを申し上げたい。

○松岡座長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 私は、リコール基本法なり促進法を制定するのであれば、ガイドラインの作成はここには要らないと思います。2つ書くのはおかしいと思います。

○松岡座長 中嶋委員。

○中嶋委員 今、齋藤先生からお話がありましたが、消費者庁にもっと前面に出てください、消費者に向き合ってくださいと。こういうふうにおっしゃられて、消費者庁ができたときはそれが正しいと思っていたのですが、例えばほかの省で、政策立案をするところと実際に実行するところはどうなっていますかというと、政策立案は本省です。現業部隊というのは都道府県か出先の局ですね。消費者や国民から見て、窓口が2つあったらどうなりますか。例えば、消費者教育推進法というのができました。これは、本省は方向性を出してください、施策を出してください、実行部隊は協議会ですというふうに分けたので、こういう形で上下関係になっている。
 ですから、恐らくこの法律を読みますと、消費者教育の実行部隊は地方公共団体です。それに消費者団体が協力してください、という枠組みになっているだろうと予想していますけれども、事故情報やリコール情報を伝えるときに、私たちは今までずっと、消費者庁にもっと前面に出てやってくれと言っていたのですが、では、事故情報を集めるときにはどうしますかというと、都道府県を媒介にしたほうがはるかに楽ですね。消費者から見て、2つ窓口があるというのはどうなんでしょうかという議論も、本当はここでもう少し議論をしてもよかったのではないか。今ごろになってこういうことを言うのはよくないですけれども、単に私のつぶやきだと思って聞いておいてください。そういう問題はあるのではないかなと思いました。

○齋藤委員 消費者庁をつくるときに、ギョウザ問題が代表的な例として取り上げられました。違った県で事故があったのに、一元化していなかったから、なかなかわからない状況にあった。したがって、中央官庁経由でも(大体、事業者経由になりますが)集めるけれども、片方、都道府県からも消費者庁に集めるという二重のパイプを持っているわけです。集めることができる立場にあるのは消費者庁です。
 重大事故が起こったというと、違う都道府県からも入ってくる。情報を持っているのは消費者庁ですから、消費者庁がどういうふうに全国民に知らせるかという問題になる。例えばインターネットなどであれば特に一つであってもいいのではないか。これが都道府県別になると、かえってややこしくなる。現場の教育などは、対人で面談しながらやることが多いと思いますから、これは現場のあるところということになる。そこは仕分けが要るでしょう。

○中嶋委員 ですから、私が思うのは、データを蓄積して、誰もがそれを見られるようにしておくのが消費者庁です。実際にアクションを起こしていくのは、例えばリコール情報を伝えるときに、国も責任を持っています、地方公共団体も責任を持っています、というふうにして責任者を増やしていくと、責任があいまいになります。だから、それも一つにして考えないといけないのではないか。
 これを見ると、インターネットの活用で消費者庁がボンと出します。これは中央官庁です。地方自治体の意識づけが必要ですと書いてあるわけです。消費者の教育もしないとだめですと。ひょっとしたらこれをそのままスッと書くと、自己矛盾をそのまま書いてしまうことにならないでしょうか。中央官庁は何をしないといけないんです、地方公共団体は何をしないといけないんです、この2つは競争してはだめなんですというふうにして、ちゃんと仕分けをした組織づくりができていないとだめではないか、こういうふうに思っただけです。

○松岡座長 貴重な御意見をありがとうございます。それは、まとめの段階でいろいろと整理しながらやっていくと、出てくると思いますので。

○中嶋委員 やはり議論をするべきだと思います。

○齋藤委員 役割分担をはっきりしろということに最後はなると思いますね。

○中嶋委員 そうですね。

○松岡座長 時間も大分来ましたので、このくらいで次回に送りたいと思います。本日は、いろいろ貴重な御意見をありがとうございました。
 これをもとに、骨子案の考え方をブラッシュアップして、次回は骨子案を出して進めていきたいと思います。ある程度形ができれば、それをもとに関連省庁にも少し御意見を伺えればということで、どういう進め方になるか、また、お考えいただいて御対処いただきたいと思います。

≪5.その他≫

○松岡座長 それでは最後に、事務局から参考資料1についての説明をお願いします。

○原事務局長 参考資料1ですけれども、時間もまいっておりますので、ごく簡単に説明させていただきます。
 前回の調査会のときに佐野委員から、食品のリコール社告については、消費者基本計画の施策にあり、検証・評価もやっていて、スケジュール感も示したものが出ているというお話だったので、提出させていただきました。昨年の5月20日、消費者委員会で消費者基本計画のヒアリングをいたしました。施策番号27、「食品のリコール社告の規格化の必要性について、消費者、事業者及び関係省庁等の意見を聴取し、必要性が認められた場合には、規格化に着手します」というのが具体的な施策です。
 農林水産省としては、平成22年度中に規格化の必要性についての結論を得るということで、22年度に調査をされて、23年度に「リコール社告JISを参考とするよう周知」ということが、去年の5月20日の時点です。
 参考資料の裏側のページを見ていただきますと、「平成22年度日本農林規格の制定等に関する計画(案)」の「3.今後の検討事項」のところに、食品のリコール社告の日本農林規格ということで、一応、制定等に関する計画の中には入っているわけですが、この後、調査に入られて、それを受けた形で、「農林物資規格調査会総会」議事録の抜粋ですけれども、次につけている資料をごらんください。ことしの2月24日の総会で、42ページに古谷委員から、43ページに光吉表示・規格課長から発言があります。
 黄色いマーカーをつけておりますけれども、「消費者委員会から御指摘をいただいて」というところです。4行目辺りから、「JISの方で規格がありますので、JISの規格をちゃんと食品の事業者の方々も知った上で取り組んでくださいというのをとにかく急いでやった方が、これは大事ではないか」ということで、周知徹底いたしますということが現状だということで、少し参考になる資料もおつけして説明とさせていただけたらと思います。
 確かに施策の中に入っていて、去年の5月にはそういうお話があって、それに基づいてのスケジュールでやっておられる。今は規格化というところではなく、JISの規格を参考にして、事業者は、やり方にならった形で実施してくださいということの周知をされているという状況です。
 簡単ですけれども、以上です。

○松岡座長 どうもありがとうございます。
 それでは、本日の議題は以上となります。
 事務局から、連絡事項等ございますでしょうか。

○原事務局長 ありがとうございました。
 次回は、11月13日(火曜日)の午前10時から予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

≪6.閉会≫

○松岡座長 それでは、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところを、皆様、どうもありがとうございました。

(以上)