第17回 消費者安全専門調査会 議事録

日時

2012年9月18日(火)13:00~14:53

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松岡座長、中川座長代理、片山委員、佐竹委員、佐野委員、齋藤委員、田澤委員、
鶴岡委員、中嶋委員、中村(晶)委員、中村(均)委員、横矢委員
【消費者委員会担当委員】
山口委員長代理、小幡委員、夏目委員
【説明者】
(株)産業経済新聞社東京本社 松本営業局長
【事務局】
消費者委員会 原事務局長、小田大臣官房審議官

議事次第

1.開会
2.前回までの議論の整理
3.消費者への注意喚起情報伝達に係る現状と課題について(第16回に引き続き)
4.その他
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:59KB)
【資料1-1】 前回(第16回)までの議論の整理 (PDF形式:265KB)
【資料1-2】 対策案検討表(前回までの意見のまとめ) (PDF形式:108KB)
【資料2-1】 (株)ビックカメラ ヒアリング資料(消費者委員会事務局作成資料) (PDF形式:150KB)
【資料2-2】 (株)ビックカメラ 製品安全の取り組みについて(経済産業省2011 製品安全対策優良企業パンフレットより抜粋) (PDF形式:164KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会消費者安全専門調査会」の第17回会合を開催いたします。
 本日は、内堀委員から御欠席の連絡をいただいております。
 最初に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第と書かれた紙の後ろに一覧を掲載しておりますけれども、座席表の次に資料1-1といたしまして、第16回までの議論の整理をしております。
 資料1-2といたしまして、これまで作成してきていますけれども、「対策案検討表」、加筆したものをおつけしております。
 資料2の関連ですけれども、2-1として、株式会社ビックカメラ様のヒアリングにお伺いいたしまして、その関連の資料です。委員会事務局で作成した資料になります。
 資料2-2といたしまして、ビックカメラ様の「製品安全の取り組みについて」ということで抜き刷りをした資料をおつけしています。
 手元に、産経新聞社様から御提供の資料を委員限りということでおつけしております。
 不足がございましたら、お申出いただければと思います。
 それから、本日は1時~3時の予定ではありますけれども、4時から消費者委員会を予定しておりますので、10分くらい早めに終わることができればと思っておりますので、ご協力をいただければと思います。
 それでは、本日はたくさんの内容ですけれども、松岡座長、議事進行をよろしくお願いいたします。

○松岡座長 本日は、消費者委員会事務局から原事務局長、小田審議官に御出席いただいております。また、14時頃から産経新聞社東京本社営業局長・松本肇様に御出席願う予定になっております。
 本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても、後日公開いたします。よろしくお願いいたします。

≪2.前回までの議論の整理≫

○松岡座長 それでは、議事に入りたいと思います。
 議事次第2の「前回までの議論の整理」ですが、資料1-1の19ページに皆様の御意見が出ております。その中には、前回の厚木市さんからのヒアリングのときにいただきました御意見も追加されています。
 また、資料1-2は御意見を対策案検討表にまとめ直したものです。項目の最後それぞれにマルで数字がありますが、回数です。マル16と書かれたものが前回の御意見をもとにした検討案になります。2ページ目の地方自治体、3ページ目の消費者の欄のところが追加されています。
 なお、前回、齋藤委員から御指摘をいただいた項目が2か所あります。それに伴って、内容を一部変更しております。
 2ページ目の企業の項目の上から5行目の右のところに、前回は「リコール対応窓口の永続的な設置」でしたが、今回、「リコール受付窓口の継続的な設置」に変更しています。
 その次の行は、前回は「100%回収まで最低限、ホームページでのわかりやすい情報発信の継続」でしたが、今回は「100%回収まで最低限」という部分は削除しています。
 企業がどこまでリコール対応をやり続けるのかという部分については、御意見がいろいろあると思いますので、今回、修正しております。
 また、佐野委員から追加の要望をいただいておりました。リコール推進法、基本法の制定の推進というところについても、行政の欄の下から2番目のところに追加しております。
 このような変更がなされておりますが、資料1、2について、これでよろしいでしょうか。
 では、この方向でまとめを続けていきたいと思います。
 ほかに、修正の御要望等ありましたら、後ほどでも事務局に御連絡をお願いいたします。

≪3.消費者への注意喚起情報伝達に係る現状と課題について(第16回に引き続き)≫

○松岡座長 それでは、議事次第の3、これは前回、地方自治体のヒアリングということで、セーフコミュニティのお話をいただきましたが、質問ばかりがあったので、追加の御意見や方策についての御意見がありましたら、いただきたいと思います。
 続きまして、流通・販売事業者の取組の確認ということで、事務局から、ビックカメラ様へのヒアリングの結果について報告をいただき、意見交換を行いたいと思います。
 その後に2時から産経新聞社の方に来ていただきまして、リコールの新聞社告についての現状や価格体系について御説明をいただくという流れになっています。ちょっとタイトですが、よろしく御協力をお願いいたします。
 それではまず、これから20分ほど時間をとってありますが、地方自治体に向けての部分で、追加の御意見や方策について、御意見があればいただきたいと思います。資料1-2の2ページ目の地方自治体に項目が簡単にまとめてありますが、これを横目でにらみながら御意見をいただければと思います。何か追加等の御意見はありますでしょうか。
 どうぞ、佐竹委員。

○佐竹委員 実際に地方自治体で仕事をしておりますので、前回のセーフコミュニティの話は非常にいい取組だと思って聞かせていただいたのですが、今回、私どもで議論しておりますリコール情報について、どの程度有効なのかなというのが、ちょっと疑問というか、リコール情報以外のいろいろなセーフコミュニティの取組がされているように思いました。実際、私ども消費者センターで仕事をしておりますと、リコール情報を市民の隅々まで届けるというのは、単にパンフレットや看板、回覧板で書いたものでなく、書いたものプラス説明をきちっとして届けることが非常に大切ではないかと思います。
 私ども行政の方にも消費者団体の登録制度というのがございまして、川崎にも幾つも消費者団体の登録がございます。消費者団体の登録だけではなくて、消費者の小さな団体がセンターのセミナーを御利用になったりというケースがありますので、そういう一つひとつのセンターを利用される団体(消費者団体も含めて)に、そういうところにきちっとリコールの情報、ペーパーだけではなくて、説明も加えて届けられるようなシステムが必要ではないかと思いました。実際、消費者団体などには、書いたものだけではなくて、それぞれの会合のときにきちっと説明をしてくださいというところまでお願いして、リコールの情報のポスターなりチラシなりを、定期的に届けるシステムが必要ではないかと感じました。

○松岡座長 ちょっと難しい御指摘かなと私は感じましたけれども、何か御意見はございますでしょうか。
 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 前回の議論の中で、厚木市の場合、セーフコミュニティをやっていると言われますけれども、国と地方公共団体と比べると、実務、いわゆる現場を持っているのは地方公共団体です。その地方公共団体が100%捕捉できていない、ということをこの間言われたわけです。これが私は一番の問題だと思います。いろいろな拠点を団体が持っていても、理想論で言えば、リコール情報が国民全員に渡らないといけない。どこそこの消費者団体に所属しているから私はもらえますとか、どこどこの自治会に属しているから私はもらいましたでは、これはリコール情報を届けたことにはならない。100%どうやったら捕捉できるかということを私は期待して聞いたのですけれども、地方公共団体が100%できませんと言われたわけです。この現実をよく理解をしておく必要があると思います。

○松岡座長 中村委員。

○中村(均)委員 セーフコミュニティ自体を、我々がやろうとしている消費者の皆さんに情報を全部伝えるという役割に使うのは、ちょっと無理だと私は思いました。セーフコミュニティというのは、あくまでもそこで課題を探してくるのであって、我々からこれをお願いしますというものを流す仕組みになっていないということで、セーフコミュニティの活用というのはちょっと難しいのではないか。
 前回お聞きした中で参考になったのは、広報だと思います。まだそんなに詳しくないので、広報がどういうふうに活用できるのか、模索していかなければいけないのでしょうけれども、広報というのはどうも使えるのではないかという印象を持ちました。

○松岡座長 何かございますか。今のことと関連しなくても、地方自治体の活用の方策について。
 どうぞ。

○消費者委員会夏目委員 地方自治体には、大変たくさんの課題がおりてくるわけでございます。その中で、地方自治体がリコール情報を優先的に取り扱うという土壌ができないと、どんなに情報を流しても難しいのかなということが一点あるかと思います。したがいまして、地方自治体では、リコール情報が国民の生活の安全のためにとても必要だということをまず理解してもらう。もちろん、それはやっていらっしゃるとは思いますけれども、例えばインターネットで紹介するときに、インターネットのウェブサイトをアレンジする人たちがきちんと把握しているかどうか。広報で流すときに、広報担当者がきちんとそういったものを理解しているかどうかというが前提になろうかと思います。
 自分が属している地方ですと、広報には必ず何々コーナーというところがあります。例えば男女共同参画のコーナーとか、そういうコーナーがありますから、そういうところを常設的に設けていただく。例えばリコールだけではなく、製品安全というコーナーを設けていただければ、それは広報に有効な使い方なのではないかということを実体験から申し上げます。

○松岡座長 鶴岡委員。

○鶴岡委員 私の住んでいる自治体の広報誌にも、日曜当番医等が必ず載ります。市民の安全といいますか、そういう関連の欄が設けられていますので、そこのところに、かなり緊急性の高い、あるいは回収率の低いリコールの情報を載せてもらうという方法が一つ考えられると思います。ただ、自治体の行政、各部署の中でリコールを扱うところがどこなのか、はっきりしないところがある。厚木市のセーフコミュニティの場合、あのセクションの方にリコール情報に注意を払ってもらって、それで広報担当にその情報を伝えてもらう、そういう流れというのは考えられると思うのです。そういう意味では、セーフコミュニティを広報誌利用の一つのルートといいますか、そういう位置づけをすることはできるのではないかというふうに感じます。

○松岡座長 では、中川委員。

○中川座長代理 鶴岡委員と夏目委員の御発言を受けてですけれども、そもそも自治体には、製品安全やリコール情報を担当する部署はあるのですか。悪徳商法については自治体からよくお知らせが来ますね。それは相談員がいたり、担当部局があるからですが、消費者安全情報を住民に伝えなければいけないという使命感を持っている部署は、もしかしたらないのではないかという気がします。そうすると、いくら地方公共団体を通じてリコール情報をと言ってみてもしょうがないという気がするのですが、そこはどうなのでしょうか。

○松岡座長 どうぞ。

○消費者委員会山口委員長代理 その関係で、重大事故情報を収集し、それを発信するというのが消費者庁の基本的業務の一つになっていますが、それについて自治体に委任することができるということになっているわけです。消費者庁・消費者委員会設置法の中で、委任規定を実行している都道府県は30都道府県で、ほかの県についてはまだ体制がとれないから、重大事故情報を収集して発信するという業務について、まだ委任ができていないという実情があります。
 実は先日、医療機関債について消費者委員会で提言をしたのですが、自治体が主体的に消費者事故情報を収集し発信していくという体制を、国からの委任を受けて促進していく環境をつくっていく必要があるだろうということも提言の中に入れさせていただきました。その辺は、中川座長代理がおっしゃったように、自治体の方の体制がまだとれていないという実情はあるかと思います。

○松岡座長 現状がそうなっているということですね。
 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 自分のところを例にとりますと、県はお知らせなのかよくわかりませんけれども、県からも来ていて、市からも広報が来ます。単純に考えれば、都道府県を押さえるほうが、数が少ないから押さえやすいのではないか。市町村までいったらどうやって網の目をかけるのか。私は茅ヶ崎なので、神奈川県の情報と茅ヶ崎の広報が来ます。茅ヶ崎の広報は1日と15日、神奈川県のはたしか月1回だと思いましたけれども、そういうのが来ます。だから、単純に見たら、我々にとっては神奈川県を押さえてしまえば、厚木とか川崎を押さえるよりも簡単に押さえられるのかなというふうにちょっと思ったわけです。

○松岡座長 いずれにしても、県でも市のレベルでも広報というものを通じて住民の方に伝える体制というのは、一応、自治体ではできているわけですね。

○佐野委員 一般的なものは。

○松岡座長 一般的なものですが。ただ、そこにどういう内容を載せるか、情報をどこから取ってきてどういうふうに流すかというものがしっかりしていない。特にリコール情報に関して見れば、それをどういう流れにするかということがはっきりしていない。だから、結局どういう流れが活用できて、スムーズにこれから流れるようにできるかということをまとめていかなくてはいけないということだと思います。

○中嶋委員 それに追加して。実は、皆さん御存じの消費者教育推進法が8月に制定されました。先ほどの重大事故の法律と同じように、これも推進母体は国と都道府県と市町村になっています。情報を伝達するだけではなくて、本当は安全な情報については教育もしたい。リスクの回避まで一人ひとりに理解してもらいたいので、もしリコール情報で都道府県の広報を利用するというようなことがあれば、都道府県にもう一歩踏み込んでもらって、消費者教育の計画の立案の中に製品安全に関してこういうものも入れてもらえないか、と思うのですが。

○松岡座長 結構難しい問題がいろいろあると思いますが、今まで出ました意見等ももとに、今後の検討で、発信の方法とか、今、中嶋委員がおっしゃったように、回避に向けて消費者に実際に行動してもらうために、自治体の御協力をどのように得ていくかということを念頭に置きながら、今後ともまとめていきたいと考えております。早急にいいアイデアが出るというわけにもなかなかいかないのですが、今まで聞きました中では、自治体のほかにも、例えば母子手帳の活用とか、既存のルートがいろいろありますので、その辺を活用してうまくのせていければと考えております。
 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今までの経験の話で、別にリコール情報ではないのですが、東京都の情報誌に載せてもらうには、何か月も前からこういう催し物をやりますからということで、情報提供する必要があり、相当大変です。自治体も、多くの情報を掲載したいという気持ちがあるので、職員の方たちにいかにリコール情報が大切かというのを考えていただかないと、そう簡単に載るものではないと私は感じています。

○松岡座長 わかりました。貴重な御指摘をありがとうございます。先ほど夏目委員からも、自治体は非常に仕事が多くて忙しいと。有効に協力していただくには、はっきり言ってハードルが非常に高いということを念頭に置きながら、検討していきたいと思います。
 それでは、この辺で次の議題に移らせていただきたいと思います。
 続きまして、ビックカメラ様の取組につきまして、事務局から御説明いただきたいと思います。原事務局長、よろしくお願いいたします。

○原事務局長 5分程度使って説明をさせていただきたいと思います。資料は2-1と2-2になります。
 8月24日に、ビックカメラ様の池袋の本社に、事務局でお伺いいたしまして、主にリコール情報のお客様への周知についての取組をお伺いいたしました。
 なお、ビックカメラ様は、昨年の経済産業省主催の製品安全対策優良企業表彰において、商務流通審議官賞を受賞されています。そのときの受賞のポイントを資料2-2に掲載していますので、ごらんください。
 戻っていただいて、資料2-1です。事前に委員の皆様方からいただいた質問事項をもとに質問いたしまして、回答を寄せていただいて、この回答についても確認をとったものを掲載しております。委員名は省かさせていただいておりますけれども、3ページにわたっておりまして、主なところだけ御紹介したいと思います。
 No.1のところで、「ビックカメラのリコール情報伝達についての具体的な取組」ということです。回答は、ポイントカードの顧客情報・購買データを使って自社からDMを発送、これが基本です。ただ、転居先不明でDMが届かないというお客様も相当いらっしゃるわけですけれども、ここは工夫されております。後日、ポイントカード使用時に、レジにこのお客様のお買物ですというのが出ると、そのときにフラッグが立つようになっていて、販売員がそのお客様にリコール情報を知らせることができるシステムを整備されておりまして、少しでも多くのお客様に伝えるよう工夫をされています。
 No.5ですけれども、「リコール製品の販売顧客情報をメーカーが利用する上での阻害要因」ということです。この製品をリコールしたいということで、DMは自社から発信していますけれども、緊急時の場合はメーカーからというところで、それは連名でおやりになっていらっしゃいます。やはりハードルがあるのは個人情報保護の関連で、それについてはメーカーと覚書を締結して作業をしているというお話でした。
 No.7ですけれども、「流通業者として、メーカーとは別に独自にリコール判断をすることはあるのか? あるとすれば、その判断基準はどのようなものか?」ということです。社内規程として製品事故等対応規則を策定済み。コールセンター設置基準、ダイレクトメール発送基準ありということで、事前にこういったマニュアルを用意されていて、即対応ができる体制をとっておられます。それから、これらの社内規程に基づき、危険度合い、多発性を考慮して判断の上、メーカーに申し入れをする場合もあるということです。
 No.8ですが、「リコールにかかった費用の負担はどのようにしているか?」ということです。DM発送のための切手代程度はメーカーに負担を求めている。商品の保管・輸送はほとんどメーカーが行っているということで、DMのところは自社の費用で負担をしていることになります。
 No.12は、先ほどと同じことになりますけれども、「消費者が製品の買い替えをするような場合に、その消費者が現在使っている製品がリコール対象かどうかの確認はしているか?」ということです。特にしているわけではないですけれども、同じビックカメラ様でお買い上げになっていれば、ポイントカード使用時にフラッグが立つという状況で、必然的に御案内をすることになります。
 No.13ですが、「リコール情報の入手先はメーカーに限定されるのか? メーカー以外にどのような情報ルートがあるのか?」ですが、主に仕入れメーカーから。それから、NITEからの情報提供もあるというお話でした。
 No.17は、皆さんお聞きになりたいところだと思いますけれども、ビックカメラさんは以前から、リコールの情報提供とか、製品安全に非常に積極的に取り組んでおられるのですが、「なぜビックカメラさんはリコールに協力していただけるのか。どこにメリットがあるのか」ということです。御回答としては、売上増加等の目に見えるようなメリットはないということです。ただ、企業行動憲章の第1条に規定しており、消費者からの信頼を勝ち取ることができるだろう。それから、自社社員のモチベーションの向上にも結びついているという御回答です。
 No.23ですが、「リコール促進対策として、メーカーに求められ、協力してきた手法あるいは貴社独自に考案実施してきた内容には、どのようなものがありますか」ということです。これについてはいろいろと工夫をしておられて、御回答のところにもありますように、リコールに慣れていないメーカーや仕入れ先からどう対応すべきか相談され、アドバイスをすることもありますというお話です。それから、仕入れ先を集めて製品安全に関する研修会を定期的に実施されています。
 No.26ですが、「リコールの回収状況を常にメーカーと共有する体制はあるか」ということです。メーカーと回収情報までは共有していないけれども、定期的な研修会を通じて、製品安全ポリシーの共有を実施している。それから、リコールの回収状況を常にメーカーと共有する体制については、やはり構築する必要があるのではないかと考えていますということです。
 あらましの紹介で恐縮ですけれども、大体どういった考え方、体制で臨んでおられるかということを御理解いただければと思います。
 事務局からは以上です。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 ビックカメラさんは業界の中でもなかなか進んでいるところだということで、この内容について、何か御質問、と言ってもお答えがしにくいと思いますので、御意見を中心に御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 どうぞ、齋藤委員。

○齋藤委員 ビックカメラさんの取組はなかなか積極的で、こうあるべきだろうと私も思いますが、その前に、こういうことが行われていることを知るにつけ、流通段階の協力というのが美談なのかと思うのです。どの人に売ったという情報はみんな流通段階が持っていて、メーカーは一切知らないわけです。そうすると、美談では済まされないのではないか。もう一歩踏み込んだ責務のようなものがあるのではないか、こういうふうに感じるわけです。
 それから、顧客情報をメーカーに渡さないとかいわれます。これは個人情報ということもありますが、基本的には顧客リストは流通業者の財産です。誰がお客さんかというのは営業秘密として管理しておくのは当然なので、そういう観点からも渡すはずがないと私は思います。渡すはずがないというのは、放っておいて自発的に渡すはずはないという意味です。
 それから、これは私も事前説明で質問しませんでしたが、倒産したメーカー、それから事業譲渡した場合、このフォローの仕方がどうなっているのか気になるのですけれども、何か関連質問はあったでしょうか。

○原事務局長 倒産した製造業者のリコール製品は、No.3のところに書いてあります。購入者へは周知のためのDMを発送されていますけれども、売り場でのポスター掲示、こういったことで適時判断して実施しているということで、もちろん、対応はされています。
 それから、美談ではないでしょうというところは、それは本当にそのとおりです。流通・販売事業者としての責務は一体どこにあるのかというところで、ビックカメラさんにしてもCSRの観点から取り組んでおられて、どこまでの責務を負うべきかというところは、まだ判然としないというところです。ただ、ほかの流通・販売事業者がすべて同じぐらいにやるようになるには、相当コストもかかるし、まだまだ時間がかかることのようには思いました。
 もう一つ、営業秘密については、例えばビックカメラの本社へ行きましたら、担当の部屋に入ると一番最初の目立つところに、個人情報保護のプライバシーポリシーの面でも表彰されておられて、それが大きく掲げてありました。個人情報保護にも非常に配慮しておられます。同時並行的にやっておられるなというのは感じました。御説明の中にもありました。
 以上です。

○松岡座長 ありがとうございます。齋藤委員、よろしいでしょうか。

○齋藤委員 はい。

○松岡座長 ヒアリングの質問、回答を全部見た感じの印象ですが、販売事業者が明確な責任意識を持っているようには感じなかったということです。今、齋藤委員のおっしゃったように、顧客情報が販売事業者の財産である。それは、秘密を守らなくてはいけないという立場に立つのだったら、リコールに対してある程度の責務を持ってもらわないことには、財産を保護するいわれはないんだという立場でもって、販売事業者さんにリコールに対するある程度の責任があるという理由づけを明確にして、我々としても、御協力いただくことを明確にしていくのが筋ではないのかなと感じましたが、いかがでしょうか。

○片山委員 私もこの回答を見て同じように感じました。前回からも、流通・販売業者の責任をどう考えるかという点については意見がいろいろと出ていたと思いますが、要するにメーカーは製造物責任、すなわち製造した者としてある意味全消費者に対して責任を負います。しかし一方で、流通・販売業者は少なくとも売買契約上の責任があるわけです。それはここにも書かれていますけれども、明らかに債務不履行責任を負うし、売った後で欠陥商品だとわかれば、少なくともそれを買った人には伝えて回収する、代金を返金するという、それは民法上の責任でもあるわけですね。そこのところが十分に流通業者に理解されていないのではないかという印象を持ちました。少なくとも売買契約上の責任をどう果たすかという意味でも、契約の当事者である購入者に対してはきちっとフォローをして売り主としての責任を果たす必要があり、その意味でも、リコール情報の伝達にはきちんと関与するべきだと思います。

○松岡座長 貴重な御意見、ありがとうございます。
 中川委員、どうぞ。

○中川座長代理 同じことですが、そこで具体的に販売業者が責任を負うといったときにお金をどこまで負担するべきなのかが重要だと思います。民事の債務不履行ですから、売った相手に対しては賠償しなければいけないかもしれませんが、その賠償金をさらにメーカーに対して全額請求できるということであれば、販売業者は販売名簿を持っているから、販売業者を通じてリコール情報を伝えるという責務はある、あるいは法的義務があると立法してもいいでしょう。賠償金が全額メーカー持つならばです。しかし逆に、売った側にも責任があるから、メーカーは8割しか持たないということになると、かなり話は面倒になります。この辺り、齋藤委員はどうお考えですか。

○齋藤委員 典型的に問題が出てくるのが、メーカーが倒産している場合です。流通業者は、売った責任、自分がそこから仕入れた責任を果たすためには、自ら対応するということにならざるを得ない。そこを消費者庁辺りが、一般的な情報提供によってどのくらいバックアップできるかということになるだろうと思います。

○松岡座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 今の件で、トイレタリー商品、生活日用品の大手2社とちょっと話をしたんですね。回収とかになったときに、販売業者とメーカーの関係をお金の面から考えていったらどうかと。売り主としての販売業者は責任がある。メーカーはつくった者としてのPL責任がある。両方同じように責任を持っていて、売るという行為の段階では約3割の粗利益を得ている。メーカーも約3割の粗利益を得ている。これは同じなのです。通常リコールだと、今の状態ではメーカーに流通から請求が来るわけです。これはおかしいのではないかという質問をしたら、「そういうことは考えたことがありませんでした」と言われるわけです。例えば1965年、流通ができ始めたときはメーカーと流通は逆に争っていたわけです。どうやって営業権をとろうか、どうやって販売権をとろうかというふうに流通は考えていた。1985年以降は、流通がメーカーを押さえ始めて力関係が逆転しているので、こういう状況になっている。要は力関係の問題だと私は思っています。
 ある大手のパンのメーカーさんは、大手の総合スーパー等での自分たちの扱いが違っているけれども、どうするのかというと、「私たちは理不尽な要求は受けません。」と、はっきり言われます。でも、断れない製パン業者もおられる。
 これも力関係で決まっている。そうすると、枠組みはどうやってつくるのかというと、今、片山先生が言われたように、民事法の責任で売り主としての責任があるでしょう、費用の一部はやはり負担すべきでしょうと。そういう枠組みをつくっていかないと、流通事業者もある程度負担を負わないと、メーカーだけが吐き出していたのではメーカーがもたないと思うのです。ブリヂストンさんとかパナソニックさんの例は非常に稀な例であって、普通のメーカーさんではあそこまではできない。でも、それに近いことをさせようと思えば、費用は売った人とメーカーさんとで分担してもらう必要がある。
 リコール費用を消費者が持つ必要がありますかというと、これはないでしょうね。行政はどうしますか。本来ないはずです。でも、消費者の保護をするためには持たないといけないかもしれない。そういう意味では一番責任があるのはメーカーであり、それから売った人であるというふうに考えるのが一番妥当ではないかと思います。

○松岡座長 齋藤委員。

○齋藤委員 もし流通の方に負担義務ありとしたら、どういうことになるかということを考えると、リコールが多発する過去の実績と可能性のあるところとは、多分、つき合いが薄れていくと思います。そうしないと自分が全部責任を負わなければならない。それから、保険についても、リコールが多発する会社の商品を扱っていると保険料が上がることになるので、市場原理が働くという気がします。

○中嶋委員 それは、消費者の安全にとってはプラスになりますね。

○齋藤委員 そうですね。本当に信頼できるところが残っていくということだから、いいと思います。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 ちょっと私の会社の例を言いますと、流通といっても、一次問屋、二次問屋、ずっとあるわけです。我々の扱っている商品は特に、要するにメーカーがあって小売があってお客様ではないわけです。我々が扱っているような商品ですと、一次問屋ぐらいはツーカーですから、我々が伝票をめくりに行きます。顧客台帳を隠すとかそういうことは余りやらなくて、手間を問屋が出すのは馬鹿馬鹿しいから問屋はそんなことはしません。だから、メーカーが来るならやれといって資料をくれる。相手は資料を出すけれども、手間賃一切のことは全部メーカーがやっています。ですが、二次問屋とかその先になると、全然影響力がないわけです。ここになると、もう、お願いしかないわけです。そのときには対価を払う場合もあるし、ケースバイケースです。だから、流通といってもそれぞれの状況がある。今のは私どもの会社だけですが、ほかのところはどういうふうになさっているのかわかりませんけれども、いろいろ実情は違うような気がしますね。

○松岡座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 具体的な例ですけれども、品質レベルがかなり高いと言われている水道管を敷設してもらって、4年目ぐらいで水漏れが起きたわけです。これは実は私の家のケースですが、水漏れの部分を見たところ、明らかに応力が働いて穴が開いたということではなくて、ポツッと開いた。要するに、製造の欠陥が疑われるようなケースだったわけです。これは、最終的な原因まではまだはっきりわかっていないと私は思っていますけれども、その水漏れによって発生した過剰な料金の部分の負担は住宅会社が払っています。住宅会社が流通事業者としての責任を、今のところ、負っている。
 私は、製品欠陥とわかった場合には、メーカーにも払わせていただきたいと申し入れてありますけれども、ビックカメラさんが御回答されているのは、予見可能性がない以外は、流通事業者の流通責任というのは、全くないようなご趣旨のようですが、そういうことはないだろうし、あるべきでもないのではないかというふうに思いました。

○松岡座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 今、鶴岡先生の話を聞いていて、住宅会社というのは住宅をつくって納めた会社ですね。

○鶴岡委員 そうです。

○中嶋委員 販売した会社ではありますけれども、製造メーカーでもありますね。

○鶴岡委員 製造自体はその請負がやっています。

○中嶋委員 それは水道管だけ。

○鶴岡委員 敷設は水道事業者がやっています。

○中嶋委員 ですが、管に穴が開いたのでしょう?

○鶴岡委員 ええ。

○中嶋委員 ですから、メーカーが部品を仕入れて、その部品込みで製品を売ったら、その部品に欠陥がありましたと。それをメーカーが取りかえたということだけではないのですか。

○鶴岡委員 メーカーが取りかえたということではなくて、住宅会社が取りかえたわけです。

○中嶋委員 住宅会社というのは、メーカーと販売社と両方の性格を持って動いていたのでしょう? 販売だけなのですか。

○鶴岡委員 メーカーの性格ではないと思うのです。

○中嶋委員 工務店さんのことですか。

○鶴岡委員 いいえ、住宅会社です。

○中嶋委員 それは販売業者であり、同時に製造会社ですね。

○鶴岡委員 住宅そのものは製造ですけれども、水道管の製造メーカーではないわけです。

○中嶋委員 だから、こういうことなのです。プラントメーカーでも機械メーカーでも、いろいろな部品を集めてそれを組み立てて出荷します。ですから、その部品に欠陥があれば、最終の、我々はプライムコントラクターと言いますけれども、元請業者であるメーカーがその部品の責任をとってお支払いをするわけです。その部品に本当に欠陥があれば、そのプライムコントラクターが部品メーカーに対してお金を返せと後で言えるので、この問題とはちょっと違うと思いますが。

○鶴岡委員 流通させた責任というのは、やはり住宅会社も負うべき筋ではないかと思いますが。

○中嶋委員 済みません、今、中村先生のお話があって、私はそれについてコメントしたいと思っていたのですけれども、確かに消費者製品でないかなり大きなもの、いわゆる金額の張るものは、一次問屋、二次問屋、三次問屋を通して入ってくる。ところで、もし事故があった場合、保険求償をしていくといったときに、求償するときには、支払い能力のある人のところに最後追い詰めていきます。
 一次問屋、二次問屋は支払い能力がある。三次、四次はないとすると、さかのぼっていって、一次もしくは二次で何とかしてくれと求償をする。もしくはメーカーです。メーカーが倒産していれば、一次問屋、二次問屋で救済してくれというふうに言うので、一次から四次までとか、流通があるからということを余り問題にする必要はなくて、メーカーの責任と流通の責任、この2つに分けて整理した方がいいと思います。流通の中でどういうふうになっているかというのは、求償をどういうふうにしていくかというときに考えたらいいのではないか、こういうふうに思います。

○松岡座長 ほかにございますか。
 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 私も、流通業者にはもっと責任を持っていただきたいと思っていますが、リコールへ行く前に事故情報の報告の義務化、そこに流通業者が入っていないというのはやはり私はおかしいと思うので、その辺りから入っていくと、流通業者も製品安全に関して興味を持たざるを得ない。そこでリコールに関しても責任を分担してもらう。そういうふうにやるべきではないかと思っています。
 ビックカメラは、表彰される前でしょうけれども、家電製品にちょっと不具合があったときに、店員さんにこういう不具合がありますと言ったら、それはメーカーに直接言ってくださいと、それで終わりでした。流通業者というのはやはり売った責任があるだろうと思います。勧めてくれたのはあなたでしょうと言いたいところですけれども、その辺り、今はどうか知りませんが、その当時は全く逃げられてしまったというイメージがあります。その責任というのは何かしらきちんと位置づけるべきだと思います。

○消費者委員会山口委員長代理 今の点ですが、消費生活用製品安全法で事故情報の通報義務が流通業者に入らなかったのはどういういきさつなのか。どなたか御存じであれば、教えていただければと思います。今のご指摘を法律改正まで提案することが実現可能性があるならば、それはそれで大きな問題だと思います。

○松岡座長 その根本について、どなたか。

○中嶋委員 先生、製品安全法、ここでも流通業者は入っていなくて、いわゆる輸入事業者は入っているのです。経済産業省の方の頭の中では、メーカーと輸入事業者は同じ範疇なのです。輸入事業者をメーカーとしてとらえている。一方、流通事業者はメーカーとして捉えておられない。このように考えると、たとえば経済産業省さんが法案をつくる際に主導的な役割を果たしておられたら、同じように流通事業者が抜け落ちている可能性が高いと思います。但し、これは推論であって、邪推に近いです。

○消費者委員会山口委員長代理 わかりました。調べてみます。

○松岡座長 齋藤委員。

○齋藤委員 今のことに関連して、一つ思い出すのは、OEMのときに、どうやって把握するのかということです。というのは、他社ブランドをつけています。メーカーはつくったのはわかるけれども、納入先ブランドなので、市場からはそのブランドに対してクレームがついてくるのです。OEMのメーカーの方にそのクレームが伝わらず、ブランド企業のところでクレーム情報が押さえられてしまった場合、メーカーには一切情報が入らない。その場合に、メーカー責任を問うのかということで、消費生活用製品安全法の運用のガイドラインでOEMが特別に規定された記憶があります。

○中嶋委員 OEMを売る人はメーカーの扱いということですか。

○齋藤委員 OEM商品は相手先ブランドをつけますから、買った方は、有名ブランド(大体有名ブランドですが)、そのブランドしか認識していない。したがって、そこにはクレームが行くのですが、そこは自分でつくったわけではない。普通ならクレームを設計に反映したり修理したりしますが、OEMではその情報が断たれてしまうことがある。つくった方にその情報がOEM先から来ない場合には、つくった方に責任をとれと言われても、とりようがないではないかという議論があり、OEMの場合にはどういう取扱いにするかについて詳しいガイドラインができたと認識しています。

○松岡座長 売っている会社が対処すれば、それで終わりになるわけですね。もし正当に対処できれば。

○齋藤委員 そうです。例えば、10件欠陥商品があったとします。同じ物だけれども、自社向けとOEMブランドで、ブランドだけ分けていた。そうすると、自社の欠陥商品は把握しますけれども、数は多くない、もう修理も終わってしまった。ところが、両方合わせると結構な数になる。これはリコールしなければ大変だ、原因もわかってきた、というような可能性が多々あるのですが、その情報が断たれた場合にはわからない。したがって、OEM取引でブランドを使わせた方にも一定の責任があることにしたと思います。

○松岡座長 小幡委員、どうぞ。

○消費者委員会小幡委員 流通と製造となかなか根本的な問題のようで、先ほど、力関係でうまく回るようになるのではないかというお話がございましたけれども、今の山口委員のおっしゃった話は、またこちらで考えさせていただくとして、基本的に販売業者の中にも、手厚いサービスをして、自分が売ったものなので、何かあったらすべて自分がやりますという形で売っている場合と、家電の量販店のように、自分は売るだけで、知らないから、何かあったらすべてメーカーの責任ですと。そこは多分、利益をどのくらい分け合っているかとか、その辺りの経済的な状況で関係ができているのではないか。そんなイメージがあるので、もう少しこの辺りは根本的な問題として調べる必要があるという感じですが、齋藤先生、いかがでしょうか。

○齋藤委員 確かにこの20年間ぐらいで、メーカーのポジションと、流通の特に大手量販店のポジションがガラッと変わりました。今は公正取引委員会が独禁法違反問題を調べるときに、量販店の方を調べているケースがあります。流通事業者に相応の責任を負ってほしいと私は思っていますけれども、これが法律ということになると、私は悪いのは国会議員だと思いますが、中小販売店がその任に堪えずということで除外されるかもしれない。これは票になるので、どの党も乗ってこない可能性があるのです。そこをどうやって世間の常識はこうだと知らしめていくか、という問題があるように思います。多分それが予想されます。

○松岡座長 齋藤委員の御意見、どうもありがとうございます。今まで議論していて念頭にあったのは、中小とか、小さな小売店の方が、販売業者だということで責任を問われなくてはいけないときに、どれだけ責任をとってもらえるのかというのを危惧したわけです。難しい問題で、大手の流通業者さんでしたら十分対処は可能だと思いますが、小売店さんをどうしたらいいかということですね。
 ただ、純粋に今までのここでの議論を考えますと、メーカーと販売業者それぞれ応分に責任はある。リコールにしても、事故情報の伝達にしてもあるということは、問題ないのではないか。さらに法律的な面から考えても、責任があるという立場でも別に不都合はない。最終的には、どのくらいの割合にしたらいいのかというところが残ってくるのではないかということです。それプラス、小さな小売店の責任をどういうふうに組み込んでいくかということが、これから整理しなくてはいけない問題なのではないかと考えていますが、いかがでしょうか。

○齋藤委員 個人情報保護法をつくるときにも同じような議論があったと思います。これは後で実際の運用を確かめてほしいのですけれども、たしか個人情報を5,000件以上持っているところが対象になったと思います。その辺で一定の規模というのを勘案しているわけで、今回の我々が議論しているケースも、そういうやり方もあり得るのかなと思っています。

○松岡座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 例えば法律を変えるとなると、一つの有効な方法は、海外がどうなっているかを調査することです。海外の先行事例を調べる。アメリカの場合とヨーロッパの場合。消費者保護の中にリコール情報を伝達するのがたしかあったように思うのですが、定かでないので、これもやはり調べておく必要があるだろうと思います。PL法をつくるときに、7年から10年かけて我々は議論をしたように思いますが、海外事例がやはり大きく効いていたと思います。そういう意味では、今回のものでも海外事例が一つ大きな力になるかもしれません。

○中村(均)委員 先ほど流通の責務という世界がありましたけれども、私は卑近な例しかわかりませんが、流通の方々に期待するのは販売先のリストだけです。販売先のリストをいただければ、直すのは当然メーカーの仕事であって、販売先をきちっと迅速に伝達していただければ、責務というのはそれだけのことだと私は思っています。

○中川座長代理 私も同じ意見で、責務、責務という言葉が乱舞していますけれども、販売業者に応分の金銭的負担を負わせると法律で決めてしまうのはかなり乱暴だと思います。販売業者は製品がどう危険なのかというのは、やはり知りえないことが多いと思うのです。教えてくれといってもメーカーの方から教えてくれるわけはないですから、製品の安全性を全部理解していなければ売ってはいけないというのは、それは無理な話ですね。
 だから、販売名簿を提出するなり、出すのが嫌だったら自分のところから販売相手にダイレクトメールを送る、どちらでもいいと思います。販売者はそういうことから逃げるなということは言えると思いますけれども、ただ、かかったお金は基本メーカーの負担だと思うのです。それが最初に私が質問したことで、100%メーカー負担が基本なのではないか。それがPL法の発想だろうと。安全でないことを見抜けなかった過失がない流通業者にまで、金銭を負担させるというのは、相当大きな変更、民事法の発想の変更ですから、そんな簡単には立法できないと思います。そこを考えた上で、佐野委員がおっしゃったように、まずは事故情報を出してくださいとか、リコールに協力しなさいとか、その辺りの立法をするのが最初であって、その次の金銭的な意味での分担までは無理ではないかと思います。

○松岡座長 片山委員、どうぞ。

○片山委員 私が最初に申し上げたのも、自分が売った物が欠陥商品だったということがわかれば、それを可能な限り買った人に伝える、それは当然の売り主の責任ですね。それは売買契約上の責任でもある。あとは、そこで具体的に経済的損害が発生して消費者から販売者に損害賠償請求がなされた場合、もちろん販売者から製造メーカーの方に賠償を請求する、すなわち売った人とメーカーとの間の求償といいますか、賠償責任をどちらが負うかという問題はあるでしょう。しかし、消費者との関係で誰がどういう立場で責任をとるかという整理をすべきであって、そうすると、売った人は購入者にちゃんと通知をする責務はあるでしょうし、回収には協力すべきでしょう。それから、何か事故が起これば、最終的にはつくった人が、自分が売買契約の当事者ではなくても作り手の責任というのは全消費者に対して負うべきでしょう、という発想なのです。
 最終的な金銭的な負担というのはものによっても全然違いますし、大量につくられている食品を売って誰が買ったかもわからないときの責任のとり方と、購入者を確認できる自動車だとか家電製品の場合とは全然違うので、そこは一概に整理は難しい。ただ、製造者だけでなく販売者・流通事業者にもリコールの情報伝達に積極的・主体的に協力する責務はあるということは言っていただきたいと思います。
 さっき言われた海外ですけれども、前回いただいた参考資料で調査研究の報告書がありましたね。それを見ていたのですが、アメリカのCPSCのリコールハンドブックには、リコール実施者に、輸入業者、卸売業、小売業者、販売業者、全部入っています。EUの指針も、製造者、販売者のためのリコール指針というふうになっていて、オーストラリアの指針は広く供給者というふうになっているというので、そこでも販売業者は別という発想ではないのだと思います。

○中嶋委員 ちょっといいですか。実際に今、製品で事故が起きているのは、日本の大手メーカーさんの製品ではなくて、基本的には輸入事業者の製品が多いのです。輸入事業者というのは、事故が起きると消えてしまう。意図的に会社を整理してしまうのです。では、どこで売っているかというと、豊富な品ぞろえと安値で客を呼ぶような流通事業者です。これが一番の問題だろうと思います。
 例えば、輸入品のミキサーに安全装置がついていないことを知っているが、国内メーカーのものよりも4,000円も安く売れるので扱いますという流通です。それで実際事故が起きました。どうなったかというと、輸入事業者は会社を畳んで逃げました。誰が事故の責任を負いますか。輸入事業者は居ません。流通事業者は「うちは販売業者だから」と言って責任を負いません。これでは消費者はいつまでたっても救済されないし、危険な状況に置かれたままになるわけです。
 そういう意味では、いろいろなケースがありますけれども、ある部分では流通事業者も応分の負担を負わなければいけないということを念頭に置いて、それで、中川先生の言われたようなことを考えていくのが良いのではないですか。

○中川座長代理 今の例だったら、多分できますね。それは、販売業者も安全でないことをわかって販売しているわけですから、それは販売業者にも賠償責任を問えると思います。ただ、例えば8割メーカー、2割販売業者で費用を持ちましょうというふうに定量的に限定してしまうのは無理だろうと思います。販売業者が悪質であれば、そこは損害賠償責任が発生するわけで、それは現行法でもできると思います。

○松岡座長 いろいろ貴重な御意見をありがとうございました。以上の議論で、流通業者、販売業者がどうしたらいいかというのは、大分意見が出て煮詰まってきたような感じがしますので、今後の議論の参考にさせていただきたいと思います。
 では、時間が来ておりますので、次の議題になります。
 産経新聞社様から、リコールの新聞社告の掲載の流れとリコール社告の料金体系の考え方について、御説明をいただきたいと思います。
 株式会社産業経済新聞社東京本社営業局長・松本肇様、どうぞよろしくお願いいたします。

○産経新聞社松本営業局長 よろしくお願いします。産経新聞の松本です。
 最初に簡単な自己紹介をということですが、私は昭和59年4月に産経新聞の大阪本社に入社いたしました。今、産経新聞は営業局と称していますが、当時は広告局という名称でした。新聞広告の全般を扱うという意味で広告局。これは、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞などは広告局という表現をしているかと思いますが、広告局を営業局に名称を変えたのは昭和63年で、これは、広告だけを扱うビジネスをやるのではないということが一つ。もう一つは、フジサンケイグループが一体化していこうという中で、テレビ、ラジオなどの広告部門は営業局という名前を使っていますので、人事異動もかなり活発に行われていることもあり、営業局という名前にしたということであります。しかし、一般的には新聞社は大体、広告局という名前にしているかと思います。
 63年に東京に一度目の転勤をしまして、2年、東京で広告、営業局の仕事をしました。二度目が平成18年に東京に転勤しまして、21年に現職、営業局長をやっております。現状、大阪からの単身生活7年目に入っております。今年の4月から、新聞協会の広告委員長をさせていただいておりまして、広告委員長であるということで今回の役目が回ってきたと思っております。よろしくお願いいたします。
 リコール開始から新聞社告掲載までの時系列の流れということですけれども、リコールであれリコールでない広告であれ、新聞社の広告取引というのは、広告会社というものを介して取引をすることが原則になっています。一般的に我々の中では、広く告げるという「広告」と、公に告げる「公告」というのを区別していて、リコールに関しては公に告げるという部類に入ろうかと思います。広告の方は、A社の商品が発売されるとか、B社のこんなキャンペーンが始まりますということで、半年前とか、大きなものでしたら1年ぐらい前にそのプランが上がって、広告会社の方でそういうプランを策定して、媒体者の方に話が来て、広告スペース等を2か月前とかそういうタイミングで押さえていくというのが通常かと思います。
 先ほど申し上げた公告という部分に関しては、料金表(委員限り配布資料)がありまして、例えばA社さんがキャンペーンでこういう広告を打ちたい。半年に200段の広告を打ちますという場合には、200段以上という合算段数になります。産経新聞の場合で言いますと、全国版で1段当たりが70万ということで、新聞1ページは15段でできていますので、70万×15段、1,000万を超える金額で基本的には取引をされる。もちろん、たくさん出すとかいろいろな事情があって、この料金がすべて適用されるかというと、そうではありませんけれども、原則はそうだということであります。
 もう一つ、基本料金として、「1回の出稿が1段未満の記事下広告に適用します」というのと、2番目の「次の広告は、出稿料や契約の有無に関係なく基本料金を適用します」というのは、告知広告という部分がこれに相当すると考えています。基本的には全国版1センチ1段で5万5,000円。最も小さいもので10センチぐらいで2段を使うという場合が、大体最小に近いのかなと思いますので、10センチ×2で20になりますので、5万5,000円×20で110万円ということになります。
 もう一つ、記事下基本料金と基本的には一緒ですが、法定公告料金に関しては、1センチ1段5万3,000円、東京本社版だけでいいですという場合には3万円、この料金を適用します。
 お手元の資料(委員限り配布資料)、リコールということで言えば、消費者庁から措置命令(第6条)が出された場合、企業は新聞の2紙以上を使うという決まりがありまして、これは産経新聞に出た例であります。2紙以上、例えば産経新聞と読売新聞を使う、産経新聞と朝日新聞を使う。しかし、その使い方に関しては、事業者の考え方次第である。2紙以上ですから、3紙でも4紙でも5紙でも使っていいわけですけれども、最低2紙以上使いなさいというのが消費者庁の勧告だというふうにとらえています。
 その次からは主にリコールに関して掲載された資料(委員限り配布資料)があろうかと思います。基本的にリコールに関しては、法令によるリコールと製造者・販売者の自主的なリコールがありますが、製造者・販売者の自主的なリコールが圧倒的に多いです。ここの例はすべて製造者・販売者の自主的なリコールです。この場合には、経産省の指導といいますか、「消費生活用製品のリコールハンドブック」というのを経産省が出しています。リコールプランの策定であったり、新聞広告を出したときにはこういうことを注意した方がいいですよというハンドブックがありますが、何紙以上にとか、もっと言えば、新聞で告知をしなさいということは義務づけていません。ですから、事業者が新聞広告を使う必要がないという場合には、使わない。
 特に消費者が完全につかめている場合は、新聞のようなマスメディアを使わずにということがあるのかなと思いますけれども、大手企業ですと、社会的信頼に応えるとか、ブランドイメージを傷つけないということで、積極的に、新聞で言えば中央紙の5紙を使うことはよくあるケースではありますが、義務づけられてはいないということです。いろいろな告知の方法を経産省はハンドブックで提示しています。
 私が知る限りで言えば、法令によるリコールというのは、消費生活用製品安全法によるリコールというものですが、2005年、石油温風暖房機の一酸化炭素中毒による死亡事故が発生したときと、翌年に起こったガス湯沸器の一酸化炭素中毒による死亡事故、この2件のみと理解しております。これが経産省から法令によるリコールが出た例であります。
 しかし、製造者・販売者の自主的なリコールというケースが圧倒的に多いものですから、読者に広く周知徹底してほしいということは我々としては当然のことではありますけれども、義務づけられていないものですし、当然ながら費用もかかる話ですし、強制的にそれをお願いすることはできないということであります。
 かいつまんでではありますけれども、流れと料金関係等についてお話をさせていただきました。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、この席ですので、委員の皆様から御質問がありましたら、よろしくお願いしたいと思います。

○佐野委員 一つお伺いしたいのですけれども、リコール社告の掲載依頼が来るときは、もうでき上がったものが来るのか。それとも、会社としてこういう社告の方がいいとアドバイスをされるのか。というのは、ここで見ましても、経済産業省系の製品はほとんどJIS規格の社告にのっとって図が入っていたり、見やすくなっているけれども、食品系はほとんど字だけズラズラと書いてあります。本当にこれがリコール、自主回収をしているのかどうかもわかりにくいものが多いのですが、その辺りをどういうふうにアドバイスされているのかということと、もう一つは、ものによっては社告としても、記事としても掲載されています。なぜ記事になるのか。大きな事件だからなるのかもしれませんけれども、その辺りはどういうふうにされているのかということをお伺いしたい。
 それから、料金についてですけれども、確かにリコールになりますと急な広告だから、高くなるのはしょうがないとお考えと思いますけれども、消費者にとってみると、新聞社として「社会のために」という面もお考えになれないのか。通常価格、またはそれ以下でもいいのではないかと私は思っています。メーカーの方に聞くと、通常よりかなり高くなっているという話です。その辺りをどうお考えなのか、お聞かせください。

○産経新聞社松本営業局長 1つ目の新聞社側からのアドバイスはないのかということに関してですけれども、基本的にはありません。大体、大手広告会社がリコール案件には入っておりまして、広告会社の方も、守秘義務みたいなものが広告主の会社とあって、この原稿でいきますというものが申込みとともに直前に入ってくる。新聞社としては、広告掲載基準にのっとっているかどうかということと、校閲的に誤字脱字がないかということは確認しますけれども、絵を入れてもう少し大きくした方が効果的ですよということであったり、この場合はイラストは不適切ではないですか、というようなことに関してはまず行われていないと思います。
 例えば、大手自動車メーカーがリコールをするというと、大手広告会社とともに、この原稿で広く徹底しよう、大きさとしてはこうだというようなことを決めます。新聞社も、中央紙だけでいい、いや、今回は中日新聞とか、北海道新聞とか、西日本新聞というブロック紙まで掲載しようということであったり、この件は甚大な影響を与えているので、地方紙も含めてすべての新聞に告知をしようということも含めて、メディアのプランニング、中身に関しては、広告主といいますか、事業者と広告会社との間でやられているということであります。
 記事と広告に関しては、中央紙の記事は比較的似通っていると思いますけれども、これは、重大な影響を及ぼすかどうかということで判断していると思いますが、かなりの確率で記事にされていると思います。記事にされているものが、同時に、公に告げる公告という形で載っているケースは間々あります。記事の方はかなりの程度を網羅しているのかなという気がしております。先ほど申し上げたように公告に関しては義務づけられていないわけですから、例えばA紙にだけ1紙に出そうと。中央紙のほかの4紙に関しては出しませんということもあるわけです。しかし、産経新聞の編集局は、記事としてはそれをカバーしているというケースがほとんどですので、記事にも公告にもなるということもあります。
 料金問題に関しては、確かに御指摘の部分もあろうかと思いますが、契約をしている広告というのは、かなり前にプランニングがされて相談があり、2か月か3か月前に、掲載をしてほしいと。しかも、何があるかわからないので、掲載日の日にちに関しては少し融通を持ってほしいということであったり、例えばスポーツ面に入れてください、最初の全広に入れてくださいとか、そういう話はあります。そういうことをのめる場合もありますが、のまないケースもあります。
 リコール等の広告に関しては、すべての広告を排除して社会面の下に入れることが大原則でありまして、極端な話、今から申し込まれても翌日の朝には必ず載せる。どんなものを排除してでも載せるということですから、御指摘の「広く告げる」という意味で言えば、料金的な部分を考えるべきではないかというお話はよくわかりますけれども、基本的にはすべてのものを遠慮してもらってでも入れるということで、料金的にはこの体系になっています。
 御指摘の意味はよくわかりますが、これに関しては、我々としては今までどおりのやり方でというのが原則であります。

○消費者委員会山口委員長代理 今の佐野委員さんの意見に賛成です。11ページ辺り(委員限り配布資料)を見ますと、商品のパッケージ写真や食品のポスターが出ていれば消費者も気がつくと思うのですが、文字だけで何とかハムとか、字だけを見ても消費者はまず気がつかないと思います。包装用紙の写真か何かが出ていれば、見覚えがあるなということになると思います。その辺は工夫の余地があるのではないかと思いますが、余り議論はされていないのですか。

○産経新聞社松本営業局長 基本的にこちら側からサゼスチョンをすることは、余りないのですが、できたとしても強制的な力がないわけです。リコールに関しては経済産業省が、新聞社告、広告の例として、ハンドブックには、イラストを入れるのだったらこれぐらいでというひな型みたいなものはつくられていますけれども、半強制的にといいますか、この場合はこういうふうにしなさいということがあるのでしたら別でしょうが、我々から新聞社の思いでは、時間的にも余裕がほとんどありません。このぐらいの時間に入って即、次の日の朝刊全国版に載せるということがほとんどです。何日か前かに申込みがあるということもありません。検討する時間的余裕のないケースがほとんどであります。ですから、これは我々の問題というよりは、企業並びにそれを指導する経産省の指導の問題なのではないかと思います。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(晶)委員 ちょっと確認させていただきたいのですけれども、きょう、いただいているこの資料(委員限り配布資料)の1ページ目の上の段ですが、こういう通知をしようと思うと、広告主さんの費用としては幾らぐらいでしょうか。

○産経新聞社松本営業局長 先ほど申し上げました記事下基本料金です。

○中村(晶)委員 基本料金だけで済むわけですか。広告料金表(委員限り配布資料)の基本料金ですか。

○産経新聞社松本営業局長 最初の1ページ(委員限り配布資料)の上の「謹告」というのは、これは10センチ以上あるかと思いますけれども、横が10センチだとします。縦は2段分です。ということは、2×10(10センチ2段)で20になるわけです。1センチ1段が5万5,000円ですから、掛ける20で110万円ということです。

○中村(晶)委員 基本料金のところに書いてあるこういう種類のお知らせというのは、告知広告に当たるのですか。

○産経新聞社松本営業局長 そうです。

○中村(晶)委員 法定公告料金というのは、ざっと見るところ、会社法などに法的な根拠があるような公の告知ですね。

○産経新聞社松本営業局長 そういうことです。

○中村(晶)委員 そうすると、措置命令に従ったお知らせとか、リコール社告で新聞を使うことを選んだ場合はこういうものには当たらないので、すべて、こちらの最初の方の広い方の広告と。

○産経新聞社松本営業局長 基本的には記事下基本料金というものを適用します。

○中村(晶)委員 例えばリコール社告ですとか、安全情報のお知らせであるという内容を考慮して、今後、新聞社さんで、少し費用的なことを考慮なさる余地があるのかどうかというのは、いかがですか。

○産経新聞社松本営業局長 私は別に新聞社を代表しているわけではありませんので、何ともお答えしにくいですけれども、一気にその方向に向かうとは考えにくいかなと思います。何か月も前に申し込まれている原稿を排除するというのはそれなりの理由があって、これは緊急的にお伝えしないといけないと。であれば、料金的にもこういうものをいただいているのだということが、どこかで既に掲載をされている企業に関しての説得にもなっていますので。

○中村(晶)委員 内容のいかんにかかわらず、一定のスペースを確保するということでは同じだということですね。

○産経新聞社松本営業局長 原則としてはそういうことです。ただ、新聞社の場合は、記事でかなりの部分を網羅していると思います。広告はその記事の補完だというふうには思いませんけれども、そういう理由をすぐに覆して新聞社として違う料金体系の方向に向かうというのは、難しいのではないかという感じがします。

○中村(晶)委員 きょう拝見している料金というのは、大手さんは似たような感じなのですか。

○産経新聞社松本営業局長 そうです。それぞれの考え方が反映されていますけれども、記事下という基本料金があります。これは、年間とか半年で何段の契約をしてもらいます。1か月、2か月前に申込みをしてもらって交渉をしていきますという意味では、ほとんど同じような形だと思います。基本料金に関してもほぼ同じような考え方です。

○中村(晶)委員 ありがとうございました。

○松岡座長 佐竹委員、どうぞ。

○佐竹委員 リコール社告について、絵や図を入れることまで指示ができないということでしたが、ただ文字だけで説明がされているのを見ますと、一体どのメーカーのどの商品なのかというのがこれを一見してわかりにくい。リコールの情報というのは、これは何のメーカーの何の情報だというのが、見た人に瞬時にわかるようにしていただくことが一番必要かなと思います。例えば、そんなにお金をかけなくても可能だと思われる工夫として、メーカー名と商品名だけを太字にするとか、そういう工夫をしていただくことはできないのでしょうか。それだけでも、見たときにどこのメーカーのどの商品ということがわかりやすいと思うのですが。

○産経新聞社松本営業局長 通常の広告と違って、公に告げるという公告に関しては、我々はスペースを提供しているという立場なのです。普通の広告の場合は、広告主と何か月前から仕掛けをして、こういうふうに売れる仕組みをしましょうとか、知名度を上げるようにということはありますけれども、これは、原稿が来たものを触るというのはほとんどありません。経産省が消費生活用製品のリコールハンドブックと、新聞社告、公告の例ということで、このようなものをつくっています。これも義務づけてはいないわけですけれども、今のお話を具現化するとすれば、どこかで、経産省なのか、企業側が意識といいますか、そういう方向性を持ってもらう以外に、我々がこうしなさいと言うことに関しては、この公告に関してはなかなか難しいということであります。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 先ほど、1ページ目(委員限り配布資料)の上で110万というお話がありましたけれども、これは大体6か月とか、大分時間があった場合ですね。飛び込みでこの金額ではやってもらえませんね。

○産経新聞社松本営業局長 いえ、その料金です。今、申込みがありました、原稿を夜入れます、それで翌日というのが、その例です。

○中村(均)委員 それでこんなもんですか。

○産経新聞社松本営業局長 こんなもんというか、そのような料金です。

○中村(均)委員 そうなんですか。

○産経新聞社松本営業局長 ただ、別に他紙のことを言う必要はないと思いますが、5倍ぐらいの部数を持っている読売新聞は、多分もっと、ということではありますけれども、産経新聞は。

○中村(均)委員 産経新聞ではこんなもん、この金額ですか。

○産経新聞社松本営業局長 こんなもんと言うとあれですが。

○中村(均)委員 ちょっと言い方が悪いですが。

○産経新聞社松本営業局長 これが料金表(委員限り配布資料)ですので、どんなに緊急であれ、これ以上いただくことはできませんし、大体緊急なんですね。きょうギリギリに申込みがあって、あした出してくれと。そうすると、何か月も前から話をしていたところをどかしてでも入れるということですから、これは新聞社の料金の中で一番高い料金になっているわけです。

○松岡座長 逆に、事前にネゴしていてこのスペースに出したときは、一番安くて幾らぐらいですか。

○産経新聞社松本営業局長 380ミリというのが1段ですので、それ以上でないとだめなのですが、380ミリで、1段だけですと102万です。

○松岡座長 110万で飛び込みでやっていただけるものと同じスペースで、これを事前に十分準備していて掲載していただくときに、料金としてはどのくらいですか。

○産経新聞社松本営業局長 1回の出稿が1段未満の記事下広告は基本料金です。1段以上の場合ですと、2か月とか3か月前から話をしてもらうと記事下契約料金というものに移行しますので、例えば、6か月で1段だけ出しますという場合には102万円という料金になります。ですから、110万円よりは大きくなって、かつ、安くなっているということです。その比較で言いますと。当然ながら、事前に何段出しますと。もっと言えば、半年でこれだけ出しますという場合には、料金的にはこういう契約料金を適用しますので、かなり安くなるということです。

○中嶋委員 いただいた資料(委員限り配布資料)の11ページを見ていただきたいのですが、下の「お詫びとお知らせ」で、これは写真が入っています。写真が入っても値段は変わらないのですか。

○産経新聞社松本営業局長 値段は変わらないです。大きさだけなのです。

○中嶋委員 昔は、版をつくるのでこの分は高いですと。

○産経新聞社松本営業局長 制作費はわかりません。広告会社とこれを出される企業との間では、版をつくるお金は。

○中嶋委員 新聞社としては印刷するだけだから、版をもらえば同じだと。

○産経新聞社松本営業局長 そうなのです。ただ、これはちょっと私は覚えていないのですが、例えば、部分的にカラーにしますという場合には、カラー料金はいただかないといけないのですけれども、そうでなければ、イラスト、写真という形式をとっても、縦と横の大きさでしか換算しませんので、それで安くなったり高くなったりということはないです。

○中嶋委員 ということは、広告を出そうと思うと、広告の原稿をつくってくれる編集会社。

○産経新聞社松本営業局長 広告会社ですね。

○中嶋委員 広告会社ですか。広告会社との間で、また別の料金のやり取りがあるわけですね。

○産経新聞社松本営業局長 そうです。

○中嶋委員 社告を出す人は広告会社にお金を払わないといけない。そのときに写真を入れたいというと、当然、版が必要になりますから、特別料金をそこではいただきますと。普通の字だけの方が安いという考えはあるのですか。

○産経新聞社松本営業局長 広告会社の範囲のことを私が申し上げるのもあれですけれども、今はほとんどパソコンでつくりますので、制作費は以前のようなかかり方をしませんので、それでイラストをやるとか、やらないというようなことはないと思います。

○中嶋委員 写真を入れてもですか。

○産経新聞社松本営業局長 余り変わらないと思います。ただ、これは正しいかどうかわかりませんけれども、写真を入れるとその分少し大きくなります。それが影響しているのかどうか、これはよくわかりません。写真を入れる必要がないという考え方のところもあるでしょうし、それはちょっとよくわからないですね。制作費によって、イラスト、写真を入れる、入れないという判断はほとんどないと思います。昔は意外と高くしたと思いますけれども、今はコンピュータでつくってしまいますので。

○松岡座長 では、あと質問を一つということで、鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 私は読売新聞のOBですけれども、本日はどうも御苦労さまです。国民生活センターの調査などによりますと、リコール情報の認知率は新聞によるものが結構高いということです。私も消費者の一人として、新聞社の実情はかなり厳しい流れにあることは十分承知しておりまして、ビジネスベースを大幅に外れたような対策はなかなかとりにくいかと思いますけれども、できるところはなるべくやっていただきたいなと思います。
 今の広告の内容の問題についていろいろな御意見が出ましたけれども、リコールハンドブックで示されているような社告規格は、経済産業省から企業側に対してきちっとやってもらうほかに、新聞協会としても、大手の広告代理店に集まってもらって、今まで出された特に食品関係などについては、わかりにくいのが多々出ていると。こういうところは是非この規格をもとにして、広告代理店としても企業側と打ち合わせて、わかりやすい文面をつくるように努力していただきたいというふうなことを、協会の側からやっていただけたらどうかと思います。
 それと、きょうの議論は、料金を含めていろいろな御意見、御要望が出たかと思うのですが、消費者委員会の方でこういう意見が出ているということを、新聞協会報あるいはホームページなりを使って、加盟各社に是非お伝えいただきたいと思います。
 もう一つは、編集あるいはニューメディア関係の担当部署の話になるかと思いますけれども、ホームページで重大なリコール案件についての情報を紹介するということも考えられるかと思うのです。インターネットを使えば経費的にもそれほど大きな負担にはならないかと思いますので、こういったことについても、松本さんの御専門ではないかと思いますが、ほかのところに問題提起をしていただいて、是非、御検討いただけたらというふうに思います。よろしくお願いします。

○産経新聞社松本営業局長 わかりました。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 本日は、お忙しいところを、松本局長においでいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、質問は以上にさせていただきまして、もし、新聞社告についてさらに追加の御意見がありましたら、出していただければと思います。いかがでしょうか。
 今、伺っていて意外に思ったのは、新聞社告と新聞記事とを比べると、すべて新聞記事になっているということで、そんなものなのかなと。

○佐野委員 違うと思います。

○松岡座長 そうですね。記事の情報も把握していないところへ新聞社告を持っていったら、それを記事にしてくれるのかなという疑問があるのですが、その辺、詰めてみないと。

○齋藤委員 産経新聞は、ということでしょうね。

○松岡座長 そうですかね。
 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 一つ、消費者委員会にお願いしたいのですけれども、食品などいわゆる農水省関係のリコール社告には写真や図が何も出ていないものが多いのですが、基本計画の中で、農林水産省がJIS社告にのっとってやるということをはっきりおっしゃっています。農水省の課長から通知も出されているので、是非、その辺りを消費者委員会でもう少し突いていただきたい。写真があるかないかでは全然消費者の受け取りが違いますので、その辺をお願いしたいと思います。

○松岡座長 どうぞ。

○原事務局長 消費者基本計画に施策として、担当省庁は農水省で、食品についてのリコール社告、広告の在り方というのを、家電とか、経産省に並んで、検討してください、やりますと。そういう施策が入っていて、農水省にも1回来ていただいて検証・評価というところでお話をしたときに、農水省の方がはっきり「検討しています」というお話をされています。それからもう1年ぐらい経っているわけですが。

○佐野委員 検討しますとおっしゃって、その次の年平成23年に、JISを参考にしますとはっきり文書になっています。

○原事務局長 それは、事務局としても確認します。

○松岡座長 よろしくお願いいたします。
 では、中村委員。

○中村(均)委員 メーカーとしてお話ししたいのですけれども、先ほどは産経新聞社さんの全国紙でしたが、メーカーがリコールしようとしますと、各都道府県で読者層の一番多い新聞を全部網羅します。要は、朝日、読売、毎日、産経は当たり前で、各都道府県で、ここの新聞社を押さえないと消費者の人に伝わらないという新聞社があるわけです。だから、これ掛ける何十倍という数字になることを、皆様方、頭に置いていただきたいと思います。110万で「こんなもん」と言って、大変失礼いたしました。

○松岡座長 鶴岡委員。

○鶴岡委員 リコール情報の認知率を高める報道を通じた工夫の一つとして、企業の発表だけではなかなか報道されにくい場合が結構あるんですね。法律の手順に従ってリコールを行う場合は、これはもう当たり前ということで、実はそれほど大きなニュース価値があるとはみなされないわけです。では、そのほかにどういう工夫があり得るかということを考えてみましたけれども、一つの方法として、行政機関を通じてリコール協力要請をする。例えば、子どもの場合は保育園に対してリコール情報の周知を要請してもらうとか、そういった形で行政機関と一緒に発表しますと、企業がやる場合は私企業的な私的な性格が強いのに対して、行政機関が絡んでくると、公共的な性格が強まるということでニュース価値が上がる。そういう判断になっていきますので、そういう工夫も紹介していただけたらと思います。
 それと、都道府県別の販売数がわかっている場合は、都道府県ごとの回収率を把握して、地方版の地方の記者に対してその情報を伝える。特に回収が遅れている案件については、まだこれしか回収率が到達していないという発表を行ってもらうと、都道府県版ではかなり報道されやすくなりますので、そういったことも紹介していただけたらと思います。

≪4.その他≫

○松岡座長 ほかにございますでしょうか。
 それでは、冒頭説明がありましたように、この後、消費者委員会の会議が予定されているということで、本日の検討会はこの辺で終わりにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 次回以降、そろそろ、取りまとめの骨子等も考えながら議論を進めていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局から、連絡事項等ございますでしょうか。

○原事務局長 本日は御協力いただきまして、ありがとうございます。
 次回は、10月15日(月曜日)の16時からを予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。

○松岡座長 では、どうもありがとうございました。きょうは後ろが詰まっておりまして、十分議論が尽くせなかったという点もあります。ただ、販売業者についても議論がいろいろ出てきて、大分煮詰まってきたのではないかと考えています。あと、新聞社の対応につきましては、もう少し考えていかなくてはいけないかなという印象を受けました。

≪5.閉会≫

○松岡座長 それでは、これにて本日は閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

(以上)