第12回 食品表示部会 議事録

日時

2011年7月27日(水)14:00~15:30

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 田島部会長、日和佐部会長代理、青柳委員、阿久澤委員、阿南委員、石塚委員、
 海老澤委員、鬼武委員、春日委員、川戸委員、栗山委員、澁谷委員、立石委員、
 手島委員、中下委員、森委員、山浦委員、山根委員、山本委員
【説明者】
 消費者庁 原審議官、相本食品表示課長、中村課長補佐、今川課長補佐
【消費者委員会事務局】
 消費者委員会 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.「遺伝子組換えパパイヤ及びパパイヤ加工品の表示義務化」に関するパブリックコメント等の募集結果について
3.その他
  ・生食用食肉に係る表示基準の策定に関する現在の状況
  ・東日本大震災を受けた食品表示の運用通知の取扱いについて
4.原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会の報告について
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:8KB)
【資料1-1】 食品衛生法施行規則及び遺伝子組換えに関する表示に係る加工食品品質表示基準第7条第1項及び生鮮食品品質表示基準第7条第1項の規定に基づく農林水産大臣の定める基準の一部改正案に関するパブリックコメント等の募集結果について (PDF形式:16KB)
【資料1-2】 食品衛生法施行規則及び遺伝子組換えに関する表示に係る加工食品品質表示基準第7条第1項及び生鮮食品品質表示基準第7条第1項の規定に基づく農林水産大臣の定める基準の一部改正案に関するパブリックコメントの募集結果について (PDF形式:28KB)
【資料1-3】 新旧対照表 (PDF形式:21KB)
【資料1-4】 パパイヤのDNAの検査結果 (PDF形式:17KB)
【資料1-5】 ハワイ産パパイヤの遺伝子組換え表示について (PDF形式:87KB)
【資料2】 原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会報告書 (PDF形式:364KB)
【参考資料1-1】 食品衛生法施行規則の一部改正案に関する御意見募集 (PDF形式:481KB)
【参考資料1-2】 食肉の流通経路の概要(国産) (PDF形式:588KB)
【参考資料1-3】 平成23年6月28日食中毒・乳肉水産食品合同部会配布資料(第11回消費者委員会食品表示部会 参考資料9) 【参考資料2-1】 東日本大震災を受けた食品表示の運用通知の取扱い(概要) (PDF形式:124KB)
【参考資料2-2】 東日本大震災に伴うJAS 法の運用に係る通知の取扱いについて (PDF形式:111KB)
【参考資料2-3】 東日本大震災に伴う食品衛生法の運用に係る通知の取扱いについて (PDF形式:116KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間が参りましたので始めさせていただきたいと思います。
 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
 ただいまから「消費者委員会食品表示部会」の第12回の会合を開催いたします。
 本日は、迫委員、宗林委員が所用により御欠席との御連絡がございましたけれども、過半数に達しており、本日の部会が成立しておりますことを御報告いたします。
 議事に入る前に配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第と書かれた紙の裏側に配付資料一覧を掲載しております。
 資料1は枝番が1~5番まで付いておりますけれども、遺伝子組換えパパイヤ及び加工品についての関連の資料です。
 資料2といたしましては後段御報告させていただきますが、原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会の報告書となっております。
 参考資料に移ります。
 参考資料1-1から枝番が3番まで付いておりますが、生食用の食肉についての関連の資料になっています。
 参考資料2といたしまして、これも1~3番まで枝番が付いておりますけれども、東日本大震災を受けて食品表示のいろいろな運用について少し特別なことをしておりましたが、その取扱いについてということで、これも御報告資料で付けさせていただいております。 審議の途中で不足がございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。
 それでは、田島部会長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○田島部会長 本日は、消費者委員会事務局から原事務局長のほか、齋藤審議官、消費者庁からも原審議官、相本食品表示課長に御出席いただいております。
 なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても、後日公開することにいたしております。
 それでは、本日の議題に入ります。
 本日は「『遺伝子組換えパパイヤ及びパパイヤ加工品の表示義務化』に関するパブリックコメント等の募集結果について」及び「原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会の報告について」を議題として取り上げております。
 まず、議事次第2の「『遺伝子組換えパパイヤ及びパパイヤ加工品の表示義務化』に関するパブリックコメント等の募集結果について」の審議に入りたいと思います。
 消費者庁から御説明をお願いいたします。

≪2.「遺伝子組換えパパイヤ及びパパイヤ加工品の表示義務化」に関するパブリックコメント等の募集結果について≫

○相本食品表示課長 お手元の資料1に基づいて御説明申し上げます。
 遺伝子組換えパパイヤ及びパパイヤ加工品の表示義務化に関しましては、資料1-1の「2.経緯」にありますとおり、昨年の3月に表示の改正案を諮問し、第1回、第2回の食品表示部会で御審議をいただいたところでございます。
 この結果、原案に基づいて手続を進めてよいとの御了承を得たことを踏まえまして、食品衛生法に基づく厚生労働大臣協議及びJAS法に基づく農林水産大臣協議を終了し、本年4~5月の1か月間、パブリックコメントを募集、また同じく本年4~6月の間、WTO/SPS通報及びTBT通報による意見募集を実施したところでございます。
 このパブリックコメントによる意見募集の結果につきましては、御意見として3件、WTO/SPS、TBT通報に関しましてはそれぞれ受付がなかったという結果でございました。

 資料1-2でございますけれども、本年4月から1か月間実施したパブリックコメントの募集結果の概要でございます。

 資料1-2の2ページ目でございますけれども、全体として3件のコメントをいただいたということでございます。そのうち本件改正案に賛成する意見が1件、遺伝子組換え食品の表示全体に関わる御意見等が2件、また個々のパパイヤに表示を行うべきといった御意見も中にあったところでございます。
 御意見に対する消費者庁としての見解につきましては回答として記載しておりますけれども、個別のパパイヤに対する表示に関しましてはまた後ほど御説明をさせていただきたいと考えております。
 以上の結果から、消費者庁といたしまして現諮問案どおりの改正を行いたいと考えております。
 資料1-3に食品衛生法施行規則の一部改正、JAS法に基づきます遺伝子組換え食品品質表示基準の改正案につきまして現諮問案どおりの案を添付しているところでございます。 以上、諮問案に関しますこれまでの手続の経緯の御説明でございます。
 補足いたしまして、パパイヤのDNAの検査結果の現状につきまして資料1-4で御報告申し上げます。
 パパイヤの加工品に関しましてDNAの検査ができるかどうかにつきまして、第2回の食品表示部会でそれぞれの加工食品の種類ごとにどの程度DNAの検査ができるかということについて御報告を申し上げたところでございます。この表の真ん中の段でございますけれども、一部に関しましては遺伝子が検出できなかった食品もあったというのが第2回の食品表示部会で御報告した結果でございます。
 その後、国立医薬品食品衛生研究所の御協力をいただきまして、DNA抽出に関します工程の追加あるいはDNAの増幅方法などの検査方法の改良を行っていただいたところでございます。このような検出技術の改良を踏まえまして、改めて国立医薬品食品衛生研究所で追加改良した方法による検出の結果が、この資料の右側の検出結果でございます。ご覧いただければわかりますとおり、ほぼすべての加工食品に関しまして遺伝子のDNAの検出ができたという結果でございます。消費者庁といたしましては、加工食品につきましてもこのような検出技術を活用いたしまして、確実に遺伝子組換えであるかどうかの検証を行っていきたいと考えてございます。
 続きまして、資料1-5でございます。
 遺伝子組換えのハワイ産パパイヤに関しまして、容器包装に入っていないパパイヤは生鮮食品の品質基準の一般的なルールに基づきまして青果物自体に表示を行う、あるいは青果物から見やすい場所にPOP等という形で表示を行うことが義務づけられているところでございます。
 他方、このハワイ産パパイヤに関しましては青果物の形で流通するという初めてのケースでございますので、POP以外に確実にパパイヤに遺伝子組換えである旨が表示できないかという御意見が当部会でもあり、またパブリックコメントでもそのような御意見が寄せられたところでございます。
 このことに関しまして、消費者庁、パパイヤを輸出する当局であるハワイ州政府で話し合いまして、ハワイ州政府より日本に将来輸出される遺伝子組換えパパイヤに関しましては、この表の真ん中の段の左側にありますとおり、非遺伝子組換え、遺伝子組換えを確実に区分するIPハンドリングを行って流通を行うということともに、遺伝子組換えであるパパイヤに関しましては梱包の段階でそれぞれのパパイヤにシールを貼ることになりました。
 表示の例でございますけれども、これは青果商の店頭で売られるパパイヤをイメージしておりますが、右側のハワイ産の遺伝子組換えのパパイヤにつきましては日本語で遺伝子組換えである旨がわかるシールを貼付することを行う旨の回答をいただいているところでございます。私どもといたしましては、このようなシールの貼られているパパイヤによって消費者に対して確実に情報が伝わっていくということで、遺伝子組換えである旨の表示を担保していきたいと考えております。
 なお、このシールが剥がれた場合の扱いでございますけれども、遺伝子組換えパパイヤのみを取り扱っていることが書類で確認できる場合には、遺伝子組換えである旨のシールを貼ってよいということになります。また、流通の段階で何らかの事故により遺伝子組換えである旨のシールが剥がれてしまったといった場合に、例えばPOP等で遺伝子組換えである旨を表示せずに、消費者が遺伝子組換えでないと誤認をするような形でそのまま販売することはこの表示基準の違反になる恐れがあるということになります。また、当然のことながら遺伝子組換えである旨のシールを故意にはがして、遺伝子組換えでないパパイヤであることを偽装して販売する行為は、表示基準の違反になるということになります。このような形で消費者庁としてしっかり遺伝子組換えである旨の情報伝達を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について御意見等はございますでしょうか。
 山浦委員。

○山浦委員 資料1-5の最後に説明いただいた中で質問したいと思います。
 シールが剥がれた場合の扱いですけれども、確認できる場合に限り再貼付することができると書かれていますが、確認できなかった場合はどういう扱いになるんでしょうか。
 その後の「剥がれたままの状態で流通させることは、違反となる場合があります」という言い方と、最後の「違反となります」ではニュアンスの違いがあると思うんですけれども、「違反となる場合があります」という場合にはすぐに違反という扱いにしないで、何らかの警告とかさまざまな指導を行った上で改善させるというニュアンスなんでしょうか。私としては、シールがないということはやはり問題であるので、これについては厳しく規制、ペナルティーを与えるべきだと思います。

○田島部会長 消費者庁の方からお願いします。

○相本食品表示課長 再貼付につきましては担当から御説明させていただきます。
 剥がれた場合に「違反となる場合があります」ということに関しましては、JASの基準上は例えばPOP等での表示でもよいということになっておりますので、剥がれたものにつきまして、そのパパイヤが遺伝子組換えである旨をPOP等で表示してあれば違反にならない。他方、そういう表示が全くなく、剥がれたままで販売すれば当然違反になり得るということでございますので、それはJASの基準の違反の対象として取り扱うことになります。

○中村課長補佐 山浦委員の最初の質問の補足を申しますと、この資料の一番上に「分別生産流通管理(IPハンドリング)を原則としています」と書いてありますので、シール表示がないと、表示する者はいわゆるIPハンドリングで証明書に従って表示しなければいけないことになります。ですが、先ほど課長も説明しましたとおり、その証拠になる書類がないと違反になるということなので、シールが剥がれて根拠となる書類がない場合は実際には不分別扱いになるんですが、現実的には先ほど申しましたように、シールが貼っていないものであれば遺伝子組換えの表示がないことになってしまいますので、消費者からの指摘も含めると、そのままでは適切に販売するのは非常に難しいのではないかと思っております。

○田島部会長 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 そうしますと、その場合は販売できないという扱いになるんでしょうか。

○中村課長補佐 販売するかどうかは販売する方の判断なんですけれども、正しい表示ができるかどうかは非常に難しいのではないかと思っております。

○田島部会長 山浦委員。

○山浦委員 遺伝子組換えである可能性があるので、その旨何らかのインフォメーションを与えるべきだと思いますけれども、そういうような手法が必要ではないでしょうか。

○相本食品表示課長 繰り返しになりますけれども、JASの基準上POPによる表示が認められておりますので、剥がれた場合にはそういう形で遺伝子組換えである旨の表示があれば販売自体はできるということになります。

○田島部会長 ほかにございますでしょうか。
 青柳委員。

○青柳委員 店頭の実態を申し上げますと、パパイヤを並べたときに、やはりどうしても1つ2つ剥がれることが出てくると思うんです。そういったときに剥がれたものについては原理原則としては違反ということになると、小売店としてはPOP表示を付けざるを得ないのかなと思うんですが、そこら辺はいかがなんでしょうか。

○相本食品表示課長 いずれにいたしましても、剥がれたままでパパイヤが遺伝子組換えであるかどうかわからない状態で販売することは表示違反となりますので、買う方が遺伝子組換えであるとわかる何らかの形での販売をお願いしたいということです。

○田島部会長 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 まず、資料1-4のところで質問があります。2つです。
 1点目は、パパイヤ茶についてです。これはDNAが検出されたということで、果実を使ったものという理解でいいでしょうか。よくわからないのですが、パパイヤ茶というのは果実を乾燥したものと葉だけを乾燥したものの両方が流通・販売されているみたいです。この辺について今回対象となるのは果実を使ったものだと私は理解しているのですけれども、それでいいかということです。
 あと一点は、今回は国立医薬品食品研究所で追加改良法ということで、前回からDNA検査方法の改善はされていますが、やはり糖度の高い乾燥パパイヤ、ジュース等については全品の確認ができなかったということになっていますけれども、この程度の検出率でいいのかどうかという判断についてお尋ねしたい。
 この2点と、資料1-2の裏に消費者庁のパブリックコメントに対する回答があります。これは細かいことなのですが、「遺伝子組換え食品は、食品衛生法に基づいて科学的に安全性が確認されたものだけが、輸入・流通」ではなくて、「製造・輸入・流通」と修正した方がいいと思います。

○田島部会長 では、お答えをお願いいたします。

○中村課長補佐 私の方から御質問にお答えしたいと思います。
 パパイヤ茶の分析、サンプルの内訳なんですが、御指摘のように2種類果実を乾燥させたものとパパイヤの葉っぱをお茶にしたものがありまして、今回はこの3件の中に両方入っております。
 それから、分析ができない場合の対応、モニタリング検査等で買い上げて分析したときにどうするかというのは、従来どおり農林水産省の方では農林水産消費安全技術センターが今まで例えば豆腐とかについての遺伝子組換えの表示のチェックを行っております。その際に何らかの条件で分析がうまくいかなかった場合については、工場に遡及調査をかけるというやり方をとっておりますので、今回の場合も加工食品がどれくらいこれから出回るかよくわかりませんけれども、同様の形で遡及の工場による調査によって原料がどういうものなのかは、その証拠によって判断をされていくものだと思っております。

○田島部会長 鬼武委員。

○鬼武委員 よくわかりました。
 パパイヤ茶については果実を使ったものが表示の対象ということですか。

○中村課長補佐 パパイヤなので、葉っぱについても対象にはすることで考えております。実際そういうものが食品として出回っていることも分析法の改良での買い上げの中で確認ができておりますので、対象になると考えております。

○田島部会長 そうなんですか。食品衛生法施行規則ではパパイヤ及びパパイヤを主な原材料とするものと書かれていて、これで葉っぱも読めるんですか。

○鬼武委員 果実が安全性を確認されているからそれが対象で、それ以外は今まででも対象ではないのではないですか。今までの関係からも含めて、今事務局の回答された理解でいいのですか。拡大しているような気がするのです。

○田島部会長 食品安全委員会でパパイヤの安全性を評価したときは、あくまでもパパイヤの果実ではないですか。葉っぱも安全性の評価をしているんでしょうか。

○相本食品表示課長 いずれにしても輸入が認められるものということで、葉っぱの扱いについては至急確認いたします。

○田島部会長 よろしくお願いします。
 ほかに。
 どうぞ、中下委員。

○中下委員 パパイヤについてPOP表示だけでなくて、このような個別のシール表示がなされるようになったというのはいいことだと思います。
 これはハワイ産と書かれているんですけれども、それ以外のところからも輸入がされているんですね。そこからの遺伝子組換えパパイヤについてはどうなるんでしょうか。

○相本食品表示課長 現在、食品安全委員会で安全性が確認されているものはハワイ産のパパイヤに限定されておりますので、仮にほかの国で遺伝子組換えのものをつくられているとしても、それは日本には入ってこないことになります。

○田島部会長 ほかにございますでしょうか。
 どうぞ、山根委員。

○山根委員 山浦委員の先ほど御指摘のシールが剥がれた場合の取扱いのところですけれども、私もここの書きぶりとしても違和感を持っています。遺伝子組換え食品に不安を持っている消費者がいるという実態があるので、当然遺伝子組換えではないパパイヤを売りたいという事業者がいると思っています。剥がれてしまって確認がとれなければ云々ということであるならば、「不分別」という表現が必ずしもいいかどうかはわかりませんけれども、根拠がないものに関して組換えではないと判断させるような実態にはおかない方が消費者のためにはいいと考えます。

○田島部会長 御意見でしょうね。
 消費者庁。

○相本食品表示課長 確かに若干書き方が不親切だったと思いますので、剥がれた場合に消費者が遺伝子組換えであることがわからない状態で販売する場合は違反だということがはっきりわかるように書換えをいたしたいと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 ほかに御意見がなければ、お茶の件は後ほどお返事をいただくということにしまして、大方意見は出尽くしたと思いますので、この改正案で答申してよろしゅうございますでしょうか。

(「はい」と声あり)

 それでは、所定の手続、消費者委員会委員長同意などを経て答申することといたします。
 議事次第3の「その他」でございます。
 「生食用食肉に係る表示基準の策定に関する現在の状況」「東日本大震災を受けた食品表示の運用通知の取扱いについて」について消費者庁から御報告をよろしくお願いします。

≪3.その他≫

○相本食品表示課長 御報告事項の1点目といたしまして、生食用食肉の表示基準に関しましては前回の食品表示部会で御議論いただいたところでございますけれども、前回の御議論を踏まえまして、今月7月22日にこの改正に関するパブリックコメント、意見募集を開始したところでございます。パブリックコメントの本体につきましては参考資料1-1としてお付け申し上げておりますけれども、説明に関しましては参考資料1-1の一番最後の参考資料という横長のカラーの資料で御説明させていただきます。
 前回御議論いただいた際には、生食用食肉全体に対して表示基準をつくるという案を御説明したところでございますけれども、部会における御議論の場で厚生労働省が現在準備を進めております内臓を除く生食用の規格基準がつくられる牛の肉とそれ以外のもの、馬肉、豚肉、鶏肉あるいは内臓それぞれに分けて意見を聞くということで御了解いただいたところでございます。
 このような方針に基づきまして参考資料の意見募集1と意見募集2という形でそれぞれ分けてパブリックコメントを開始したところでございます。
 意見募集1でございますけれども、これは前回御説明申し上げた表示基準の案と同じ内容でございます。対象は内臓を除く牛の食肉。これは現在、厚生労働省が生食用の牛の食肉の規格基準の策定の準備を進めておりますけれども、対象となる牛の食肉について容器包装された生食用食肉については、現在、食品衛生法に基づいて表示義務がかけられている名称、消費期限等の表示項目に加えまして、新たな表示事項(案)として赤字で表示しております生食用である旨、と畜場・食肉処理場等の所在地等を表示いただくとともに、食肉の生食に関するリスクあるいは抵抗力の弱い方は生食を控えていただきたい旨の表示をお願いしたいという内容の基準案となっております。
 また、容器包装されていない生食用食肉、焼肉屋、レストランあるいは肉屋の量り売りに関しましては、このような食品衛生法に基づく現行の表示基準の対象になっておりませんけれども、同じく一番下の段、リスクに関する表示あるいは抵抗力の弱い方は生食を控えていただきたい旨の表示を、例えば店舗の見やすい箇所などにお願いしたいという基準案としております。
 このほか生食用の牛の食肉以外の食肉、豚肉、馬肉、鶏肉、内臓に関しましてはこの表示基準の案という形ではなくて、意見募集2ということで規格基準の対象外となっている生食用食肉の表示基準の必要性について御意見を募集しているところでございます。このパブリックコメントに関しましては7月22日に意見募集を開始し、8月22日に意見の締切りを行うというスケジュールで進めているところでございます。次回8月24日に食品表示部会を御予定いただいているところでございますので、24日の部会におきましてこの表示基準案についての御審議をいただきたいと考えております。
 参考資料といたしまして「食肉の流通経路の概要」、これは国産でございますけれども、食肉の生産者から小売の段階までどのような流通過程をとるのかということを図示したものを参考としてお配りしております。
 いろいろな段階がございますので、すべてを網羅するのは難しいんですけれども、まず左側の生体流通の段階では集出荷団体あるいは家畜市場等を通して生体が流通される。その右の段でございますけれども、と畜解体の段階でと畜場、食肉センター等でと畜がなされるということでございます。と畜がなされた食肉に関しましては卸売市場あるいは卸業者、食肉加工業者等を経まして、最終的な小売段階、量販、外食店、小売店等で消費者向けに販売されるということでございます。
 今般、食品衛生法に基づく義務表示の対象としておりますのは、一番右側の「事業者向けの表示」と矢印が書かれている流通過程の部分、その右側の最終的に消費者に提供されるまでの間の「消費者向けの表示」を想定しているところでございます。
 併せまして、前回の食品表示部会で配付申し上げたんですけれども、厚生労働省が薬事・食品衛生審議会に提出している食肉の規格基準に関します資料でございます。衛生に関するいろいろなデータに関しましては当該資料が一番詳しいと判断いたしましたので、改めて御参考のために配付しているところでございます。
 続きまして、参考資料2に基づきまして「東日本大震災を受けた食品表示の運用通知の取扱いについて」を御説明申し上げます。
 本年3月11日の東日本大震災を受けまして、国内の各地の食品工場あるいは包材を製造する工場などが被災したことを踏まえまして、本年3月にJAS法、食品衛生法の運用に関しまして一部緩和を行ったところでございます。
 具体的には参考資料の一番左側でございますが、幾つかの内容に分かれておりますけれども、まず一番上の段、「食品表示の違い(軽微なものを除く。)に係る運用通知」は震災地域に限って、震災地域における被災者の方に対します食料の供給を最優先するという観点から、本来法律に基づいて必要な表示事項がなくても当分の間は取締まりの対象としないといった通知を3月に発出したところでございます。
 これに関しまして消費者庁でその後、被災地域の現地の調査あるいは食品の製造・流通を所管しております農林水産省とも協議・確認をいたしまして、おおむね被災地域におけます食品の供給についてはほぼ支障がなくなっているということ、またこのような運用の緩和を続けますと、今度は逆に消費期限の欠如による食中毒でありますとか食品アレルギーの問題といったおそれもございますので、このような通知について速やかに廃止すべき時期に来たと判断いたしまして、今月7月31日をもってこの運用については廃止するという扱いにしたところでございます。
 これ以外に、被災地域に限らず全国にわたって運用の緩和を行っている通知が幾つかございます。
 まず、2番目の「食品表示の違い(軽微なものに限る。)に係る運用通知」に関しましては、震災地域に被災者向け等に食料を供給されている事業者の方が、例えば包材が一時的に間に合わないといったことで、包材に表示されている項目と内容が異なるケースであっても、例えば店頭で何が違っているのかというような掲示を行えば取締まりの対象にしないといった通知を3月に発出しているところでございます。
 また、食品衛生法に関しましては製造所固有記号の届出を消費者庁に届けていただいて、製造所の表示に代えて固有記号の表示によって運用しているところでございますけれども、これも1工場について固有記号が1つというのが原則でございますが、包材の不足あるいは工場の被災などによってこのような対応が困難になっている工場がございましたので、例外的に消費者庁に届けることによって変更前の既存の包材も使用してよいという運用緩和を3月に行ったところでございます。
 また、一時期水道水の放射線汚染に関してミネラルウォーターなどの容器包装に入った飲料水の不足が深刻化したことを踏まえまして、例えば海外から輸入されるミネラルウォーター、あるいは国産であっても容器包装の表示が異なっているものであっても、店頭掲示できちんと本来表示されるべき項目が表示されていれば取締まりの対象にしないといった通知を3月に発出したところでございます。
 これらの通知に関しましても、既に震災からの復旧の状況等から、これ以上長期に続ける必要もないということを判断いたしましたので、8月15日をもって廃止するという取扱いを行ったところでございます。
 他方、8月15日以降10月31日にかけて点線の矢印で表示しておりますけれども、例えば通知廃止までに既に容器包装を手当てされている事業者がいる、あるいは通知の廃止の前に既にミネラルウォーターを海外から輸入する契約を行っている事業者がいらっしゃるということが想定されますので、通知廃止後も10月31日までの間は以前の容器包装を用いることを認める、あるいは既に契約されているミネラルウォーターであって、かつ10月31日までに製造・輸入されたものであれば販売を認めるという経過措置を設けているところでございます。
 関連する通知につきましては参考資料2-2としてお配りしているところでございます。
 以上でございます。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ただいまの報告は2件ございますが、御質問等ございますでしょうか。
 山本委員。

○山本委員 2つありますので、まず最初の方から。
 生食用の食肉に関する表示についてですけれども、これは「食品衛生法第19条第1項に基づく」云々と書いてありますね。だから食品衛生法上の規制の対象とするということで当然罰則も付いているわけでありますが、容器包装されているものについては従来同様容器包装ということで、それは必要かなと。注意書きについても、カキなどに「生食用」と書いてあるのは事実ですので、それは別に構わないかなというか、そのとおりかなと思います。ただ、店頭とか焼肉屋とかそういうところまで食衛法で注意書き表示の義務化の対象とすることに対して、法の整合性というか、今までの食衛法の対象とは違うことをここだけ特別に認めているといいますか、例外をつくるというか、そういう形になるのでしょうか。それがいいかどうかは別にして、何か店頭表示については「推奨」というような形にして、食衛法で縛るものではないのかなというような気がしております。
 もう一つは、前回の表示部会で、たたきのようなものは今回の対象になるとおっしゃいましたけれども、一般的に牛のたたきなどは加工食品ですね。今回の対象は生食用というから生鮮食品として提供するものだと思うのですが、生鮮と加工食品が一緒になっているのではないかなという気がするんです。たたきについてはやはり今回の対象内なのでしょうか。
 生食についてはこの2点です。

○田島部会長 消費者庁の方からお願いいたします。

○相本食品表示課長 店舗等の場合の表示でございますが、食品衛生法上は販売される食品に対しての表示の基準を定めることになっておりまして、特に容器包装に入っているかどうかの限定はしていないということです。今までは食品衛生法施行規則に基づいて容器包装に入ったものについて規則で範囲を定めていたということでございますので、制度といたしましては、容器包装に入っていない食肉について店舗等の表示基準を定めることは法律としては可能であると考えております。勿論そのことについてどうかという政策御判断はこの部会でも御議論があるかと思いますので、また御意見を賜りたいと思いますけれども、法律としては可能であるというのが私どもの解釈でございます。
 たたきに関しましては、生と判断される部分についてはこの対象になると考えてございますけれども、確かにどの程度の加工がなされた場合に生となされるのかというのは表示の問題といいますよりは、厚生労働省が現在準備を進めております生食用の食肉の規格基準が何に適用されるかという問題とセットの話でございますので、たたきと具体的な商品がどういう場合にこの表示基準の対象になるのかというのは、厚労省と調整の上、具体的な範囲を明確化していきたいと考えております。

○田島部会長 それでよろしゅうございますか。
 どうぞ、山本委員。

○山本委員 特に表示ですので、表示について食衛法上、容器包装でなくても罰則つきの義務対象とすることができるという解釈でよろしいですね。

○相本食品表示課長 法律上は可能であると判断しております。

○田島部会長 法律の専門家が公式の場でそう御返答なさったんですので、承知する以外ございませんね。
 どうぞ、澁谷委員。

○澁谷委員 生食用の肉の方のお願いですけれども、厚生労働省でもこれはパブリックコメントをとられるということで、締切りが23日で1日違うのですが、次の部会には間に合わないかもしれませんけれども、どのようなパブリックコメントの状況だったかという情報提供をここにもしていただけると、多分今のような御質問の接点になる部分のコメントが出てくる可能性もあると思いますので、情報提供をお願いしたいと思います。

○田島部会長 私からも要望しておきましょう。
 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 お願いであります。参考資料1-2でまず食肉の流通経路の概要の図を今回提出いただきましたが、できれば現状で、例えば生食というのがこの中で表示としてどういうふうにひもづけられてきているというか、あるいはされていないのならされていない、何らか生食とそうではないというふうに区別はされて、こうやって外食とか量販に出ていると思いますから、具体的な事例を知りたいというのが1点です。
 それから、今回は牛肉の話だと思いますが、併せて輸入でいうと馬肉が輸入をされていると思いますので、その流通の関係をこういう形の図で説明し、それについても表示がどういうふうに付いているか、現状についての実態を知った上で判断したいと思いますので、是非次回にその点の調査結果を付けていただければと思います。
 資料の生食用食肉に係る表示事項(案)のパブコメについて、前回申し上げた意見を基にして、意見募集の内容・目的を2つに分けていただいたことについてありがとうございました。
 ただ、お願いということになりますが、表示の事例ということで、これはまだ表示事項(案)の段階で表示事例を示したものと理解していますが、気になる点があります。今まで行政の方でリスクがあるというようなことを消費者に向かって、表示の上で言ったことはないと思うのです。例えば政府広報誌の資料を見ても、食中毒に注意をしましょうというところの資料を参照しても、厚労省の資料の政府広報オンラインの5ページ目に書いてあるのは「O157やO111などによる食中毒に注意! 食中毒の発生しやすい季節です」ということで、「生食用として提供された肉でも、子ども、お年寄り、抵抗力の弱い方は、生で肉を食べないようにしましょう。」と、これくらいの表現しかしていません。いろいろ資料を調べたのですが、今まで行政サイドで食品にリスクがあるからというようなことは書いていないし、そのような表現はしていないような気がします。消費者とか一般の人に伝えるのであれば、もう少し別な表現がいいのではないかと思いました。リスクがあるというのであれば、そもそもそのような食品を流通させるなとも言えますので、もう少し別な表現を考えた方がいいのではないかと思います。あと1か月ぐらいあるでしょうから、是非御検討いただければと思います。
 以上です。

○田島部会長 消費者庁、コメントはございますか。

○今川課長補佐 今の鬼武委員の1点目、2点目につきまして若干御説明申し上げたいと思います。
 参考資料1-2の流通の表なんですけれども、あと意見募集1、2となっている1枚紙の色がついた絵があるパブコメの表示事項(案)を併せてごらんいただきたいと思います。
 今までの流通は基本的に容器包装された、パッケージされたものでございまして、それが店頭に並んでいる小さいパッケージか、あるいは流通時にパッケージされて流通するものかは大きさとかはあると思いますけれども、パッケージされて販売されるものにつきましては基本的に現時点でもまず表示事項案の黒字の部分、名称とか賞味期限ですとかその辺は書く必要があるとなってございます。その上で牛、馬の肉、内臓につきましては「新たな表示事項(案)」の上の方の赤文字、生食用である旨、と畜場名、食肉処理場名が、パッケージされたものにつきましては通知で記載が必要としているところでございます。それを流通のところで当てはめていきますと、卸売段階、小売段階の辺りでパッケージされて流通されるものにつきましては、基本的に法律で決められている名称、賞味期限とか、それプラス、法的義務はないんですけれども、通知で生食用である旨、と畜場、食肉処理場、この辺は記載されて流通される必要があるというような形態になってございます。
 馬肉の割合はここに記載がないんですが、豚の数字は協会などに確認してわかっているんですが、馬肉は少しわからなかったというのが正直なところです。今後わかるかどうかまた調べて、もしわかれば下に馬ということで追加してお示しできるかもしれません。それは調べた上で御回答させていただきたいと思います。
 以上でございます。

○田島部会長 原審議官、どうぞ。

○原審議官 今の説明に対して補足させていただきますけれども、本件の一番契機となった生肉での食中毒でございますが、それについては基本的に卸から焼肉屋さんがパッケージで仕入れたわけなんですが、当該パッケージには生食用ということは書いていなかったという形です。具体的なデータ等々を私どもは把握しておりませんけれども、巷間大体生食用ということでパッケージをして、卸業者さんですとかと畜業者さんですとかそういうような形でやるというのは極めてまれだと聞いております。したがいまして、今のままであれば多分生食用という表示がない、それが生食用なのかどうなのかわからないようなものについて生食用として供されるのかどうなのかという部分がございます。そういった面で生食用としてしっかりと規格基準に従ったものが流通していくような場合には、これは生食用であると表示することは必要ではないかと考えております。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 森委員、どうぞ。

○森委員 厚生労働省の方で検討されている話が十分伝わってこないんですが、今回の話の中で表面を加熱処理するという事があって、どこかでトリミングをして最終的には生食用の食肉として売ると聞いています。そこで流通段階のどこで加熱するのか、どこでトリミングするかというのがよくわからないんです。特に業者向けの表示の中に加熱処理をしたかどうかという情報も必要ではないかという気がします。食肉加工業者が1つだったらいいんでしょうけれども、幾つかまたがるような場合、加熱処理をどこかでしたよという情報が途切れてしまうと、実際もらった場合にそれがどちらなのかがわからないということが起こるのではないかという懸念があるんですが、それは如何でしょうか?

○田島部会長 どうぞ。

○原審議官 今、厚生労働省さんがパブリックコメントを出している規格では枝肉にした段階で直ちに包装・真空をして、そこで加熱をするという基準になっておりますので、多分ここでいうと、枝肉にするところが基本的にやる、ないしは大手のチェーン店なり何なりが直接セントラルキッチンでやるのかという形がありますので、いろいろなところで加熱をしてどうのこうのとかいうようなことはないと思います。いわゆる熱処理をして真空パックにしてしまいますので、そこでこうやります。そこで開いてまたやったら、それは直ちに食に供さなければいけないという規格に今はなっておりますので、多分委員の懸念は現行の規格基準を前提にすればないのかなと考えております。

○田島部会長 よろしゅうございますか。
 ほかにございますでしょうか。
 山本委員、どうぞ。

○山本委員 震災後の食品表示の運用の取扱い通知で、もともとの法の適用や取り締まりに関して今回の災害があったということで緩和運用というのは消費者にとってもメーカーにとっても非常にいい措置だったと思います。結果的にこの緩和をした数か月の間に、緩和したことで消費者の方が混乱をしたかどうか、あるいはメーカーがこの機に及んでむちゃくちゃやったとか、そんな事実は多分余り聞こえてこないですし、実際ないのではないかなと思うのです。あったら申し出いただきたいです。
 このことは、表現は悪いですけれど、ある意味では、今回の震災を受けて大きな社会実験をやって、現行の法律が本当にみんなの要求というか、みんなの求めている内容にあるのかどうか、あるいは緩和した状態でも別に何も問題が起こらないのではないかということを検証したとも考えられるわけです。一時的な緩和ですので元に戻す方向にあるのは仕方ないと思うのですけれども、今回元に戻すに当たって、消費者の混乱が起きたかどうかとか、メーカーがきちんと守ろうという意識でやっていたか、逆にどこかのメーカーが悪さをしようとしていたかとか、健康被害を及ぼすような問題が起きたかどうかというような検証も併せてしっかりとしておいていただければいいかなと思います。
 例えば、ミネラルウォーターでいいますと、ラベルの付いていないものなどがよく出ました。日本ですと賞味期限は年月日という順番の表示ですけれども、アメリカというか、外国産の日月年表示のままでも構わないとか、日本語ラベルを付けなくても大丈夫だということに対して、本当に消費者から「これではわからない」という声がなければ、そうした商品が日本の市場に出ても構わないかなという気がしています。そういうものも含めて検証の方も必ずしておいていただければと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 それでは、御報告でございますので、以上で終わらせていただきます。

○相本食品表示課長 済みません、パパイヤ茶のことでよろしいでしょうか。
 先ほどの議論でパパイヤ茶の扱いについて御指摘がありました。遺伝子組換えしたパパイヤの葉を使ったパパイヤ茶が輸入できるかどうかにつきましては、食品安全委員会、厚生労働省に改めて確認をいたしたいと考えておりますけれども、現時点で遺伝子組換えのパパイヤの葉を使った茶も輸入される可能性があるという前提で御説明させていただきます。
 これまでの経緯といたしまして、JASあるいは食品衛生法に基づいて遺伝子組換えの表示基準を策定する際には、消費者の購入の際の選択に資するという観点からその食品に組換えたDNAが含まれるかどうかで表示のルールを策定してきたところでございます。このため安全の審査等が行われまして、国内に輸入製造が可能となった食品については植物の部位に関わらず表示の基準がかかるという解釈をお示ししてきたところでございます。1例といたしましてトウモロコシのひげを使った加工食品があるらしいんですけれども、これについても遺伝子組換え表示の対象になるという解釈をお示ししたところでございます。したがいまして、今回も遺伝子組換えされたパパイヤの葉からつくられたパパイヤ茶がもし輸入されるのであれば、組換えDNAが残っていると判断されますので、表示の基準の対象にするということでございます。勿論こういったお茶が輸入されないのであれば、この規定の空振りになるので特に問題ないかと考えております。
 以上でございます。

○田島部会長 ありがとうございました。
 議事次第4にまいります。「原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会の報告について」です。

≪4.原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会の報告について≫

○田島部会長 原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会につきましては、本年1月に第1回の調査会を開催して以降、これまで6回にわたって御審議をいただき、去る7月6日の第6回の調査会におきまして報告書がとりまとめられました。本日は、調査会の座長として報告書とりまとめをさせていただきましたので、まず私の方から調査会の報告書について御報告させていただきます。
 昨年11月の第5回食品表示部会における審議過程で部会委員より、原料原産地表示の拡大をより進めるためには、義務対象品目を選定する際の基本的な考え方や対象品目の候補の選定方法について改めて議論する必要があるのではないかとの意見があったことから、部会に調査会が設置されました。関係団体、事業者、学識経験者などからヒアリングを行うほか、現地調査を実施し、原料原産地表示の拡大に関し調査審議をするに当たっての必要な専門的事項について議論を行ってまいりました。
 具体的には、約6か月にわたって加工食品の原料原産地表示の義務対象品目を選定する際の基本的な考え方、原料原産地表示を義務づける際の基本的な要件の見直しの必要性、新たな要件を設定するべきかなどについて検討を行いました。
 この報告書ではJAS法に基づく現行の仕組みの下で原料原産地表示を拡大するための議論とともに、食品表示に関する一元的な法律の設定に向けた取り組みの中で更に議論を深めるべき課題に分けて整理しております。
 今後、この報告書を受けて、消費者庁において食品表示が消費者の商品選択に資するためのものであること、食品表示の根本的な意義を踏まえ、消費者、事業者等からの意見も聞きつつ、新たに制定される法体系の下で現行のJAS法にとらわれない議論が行われ、その中で原料原産地表示の対象品目や選定方法等が改めて検討されることを期待したいと考えております。
 報告書の内容につきましては、事務局の方から説明させていただきます。
 原事務局長、よろしくお願いいたします。

○原事務局長 事務局から資料2に基づいて説明をさせていただきます。タイトルは「原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会報告書」としております。
 報告書の本文自体は1~10ページというところです。前半1~5までについては現行のJAS法の下での整理というんでしょうか、原料原産地表示の進め方、拡大の方向についてまとめておりまして、6については、今、部会長からもお話がありましたように、食品表示に関する一元的な法律の制定に向けての議論は消費者庁でも進められておりまして、今後に向けてさらに議論を深めるべき課題について御意見があったものを紹介しております。
 参考資料としてそこに掲げておりますけれども、参考資料の説明は割愛させていただきます。
 1ページからが本体ですが、この前文については、今、部会長の方から御説明があったようなところなので省略させていただきます。
 2ページからが本文になります。
 まず、1として原料原産地表示に対する基本的な考え方の整理をしております。最初の段落のところで、加工食品の原料原産地表示は農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、以下JAS法と省略させていただきますが、これに基づく品質表示基準を根拠として表示義務を課しております。
 JAS法における「原産地の表示」の取扱いについては、青果物の輸入が急速に増加するような中で、原産地による品質格差が大きい青果物などに限って表示義務を課す品目を政令で個別に指定をしておりました。
 その次、「その後」から始まる段落のところで末尾に書いておりますけれども、平成12年にすべての生鮮食品に原産地表示を義務づけることとされております。
 他方、加工食品についてなんですけれども、原材料の原産地の差異が製品の品質の差異に与える影響は必ずしも大きくないと考えられてきたことから、原料原産地表示を義務づけることとはされておりませんでした。しかしながら、原料調達先のグローバル化が進展し、御存じのように大変多様なところから食品、原材料が入ってくるという状況になってきております。
 3ページに移りまして、上から6行目になりますけれども、「一方で」というところから書いてありますが、原材料の調達先のグローバル化に伴い、消費者にとって食品の履歴を知る一助ともなる原料原産地に関する情報は、食品選択の重要な要素となってきております。
 その後の議論は本文の中にもありますのでそこで御紹介したいと思いますが、2に入る前の段落のところですけれども、JAS法は、品質に関する適正な表示を行わせることによって消費者の商品選択に資することを目的とする法律であることから、本調査会では同法の目的の範囲内で原料原産地表示を拡大する方策について取りまとめるとともに、消費者庁で進められている食品表示の一元的な法体系の在り方の議論の一環として、原料原産地表示の意義を含め、その議論に資する課題を提起するといたしました。
 「2.原料原産地表示の目的と進め方」です。
 「(1)目的」といたしまして、先ほど申し上げたように、JAS法の下でというところではありますが、3行目のところから、食の安全・安心に対する消費者の関心の高まりを受け、消費者基本計画では、「消費者の権利の尊重と自立の支援」を基本として、原料原産地表示の拡大を含め、食品表示に関する諸施策を着実に推進することが明記されたところで、消費者政策としても大変大きな意義を持つということを目的に書いております。
 4ページに入りまして、「(2)進め方」として幾つかの論点を上げております。
 「マル1 商品選択のための情報提供方法」ということを書いておりますが、これは最初の2行に書いてありますように、原料原産地表示は消費者が商品選択をする際の重要な情報であるので、消費者が商品選択時に役立つものが求められるとしております。勿論東京都が条例に基づいて調理冷凍食品の原料原産地表示制度について工夫をされているところとか、「米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律、いわゆるトレーサビリティ法ですけれども、こういった産地情報伝達制度等いろいろな工夫がされているところがございます。こういった原料原産地に関する情報提供についてはまず店頭で消費者が商品を選択するときに役立つ情報提供方法としてどのようなものが考えられるかを議論すべきとしております。
 「マル2 わかりやすい表示の重要性」です。わかりやすさというのは表示にとっては絶対的な条件ですので、原料原産地表示は消費者にとってわかりやすさが求められるということを書いてありますが、新たな表示方法というもので幾つかの表示の可能性、切替え産地を列挙する可能性表示とか大括り表示とか輸入中間加工品の原産地表示等の案が上げられているわけですけれども、そういうことがわかりやすさにつながるかどうかも課題として考えるべきだろうと提案しております。
 「マル3 国際規格との関連性」なんですが、食品衛生法並びにJAS法とも食品に係る法令及び通達は、国際食品規格(コーデックス規格)に準拠して制定されており、原料原産地表示についてもこれに準拠することが求められております。コーデックスの規格では食品の原産国の省略が消費者の誤認を招く場合には義務表示とすべきとのルールが定められているところですが、原料原産地表示については過去に議論されたけれども、作業は中止されたところにございます。
 5ページに入って、最後の段落のところでは、今後これらの取り組みの重要性が更に増すことに留意すべきである。なお、必要に応じ、コーデックス委員会における規格に関する議論に、日本がリードする提案を行うなども検討すべきというような御意見もございました。
 「マル4 表示の実行可能性の確保」ですけれども、これは事業者の実行可能性については頻繁な原材料の変更に伴う煩雑な作業の発生等、事業者によるさまざまな負担が増えてくるということを考える必要がある。それから、単純ミスにより生じる食品回収の問題の発生等を考慮して、実行可能性があることが求められるとしております。虚偽の表示をした者はJAS法の第23条の2で直罰の対象となることから、事業者にとっても大変重い責務を負っているところですので、ここは十分に考えていただきたいということです。
 「このため」から始まる段落のところですけれども、義務付けの基準が客観的であり、かつ事業者にとって義務づけられた表示が実行可能なものである必要があることに留意すべきであるとしております。
 6ページに入りまして、「3.加工食品の原料原産地表示の義務対象品目の選定要件の考え方について」です。
 これについては食品の表示に関する共同会議の報告書、平成15年88月にまとめられたものですけれども、義務対象品目の選定要件として要件Iと要件IIが示されております。要件Iですが、「原産地に由来する原料の品質の差異が、加工食品としての品質に大きく反映されると一般に認識されている品目のうち」、要件IIですが、「製品の原材料のうち、単一の農畜水産物の重量の割合が50%以上である商品」、この要件IとIIに合致をすることが基本的な選定要件としてルール化をされております。
 要件Iに関しては品質に関する適正な表示を行わせるということですので、「要件Iは」から始まるところの5行目から書いておりますけれども、今後もJAS法の目的の範囲内で原料原産地表示を義務付ける限り、「原産地に由来する原料の品質の差異が、加工食品としての品質に大きく反映される」に着目することは必須となるとしております。
 ただ、最初のところで割愛させていただきましたけれども、1でも述べたとおり、JAS法の下で原産地表示を拡大してきた過去の経緯にかんがみれば、近年の消費者の意識・行動の変化に応じて「品質」についての考え方も変化しつつあり、「品質」とは何かがわかりにくくなっているのではないかとの御意見、当初考えられていた原材料となる生鮮品の品質の差異が減少してきているものもあり、また実態との整合性の問題や新たな課題が生じてきており、JAS法における「品質」の概念、定義を明確化するべきではないかとの意見もあることから、まずは消費者庁において原料原産地表示に対する消費者の意識の変化等を調査した上で、さらに検討を進める必要があるとしております。この要件Iでいう品質についての考え方の整理も必要だということです。
 要件IIの「重量の割合が50%以上である」という要件ですが、「品質の差異」に着目した要件であるという点では要件Iと異なるものではありません。ただ、例えば原材料の重量割合が49%であれば品質の差異がなくなってしまうかと問われれば必ずしもそうではなくて、このパーセントについてはいろいろな御意見があったところではあります。ただ、何%とすることが適当かというと、それを議論することも難しいというところで、7ページの上の最初の行ですけれども、例えば、原産地を強調して表示している商品や冠商品に着目することや、原材料の重量に占める割合が多い順に幾つかの使用原材料を対象とすること、重量に占める主要原材料の割合が一定以上の商品を対象とすることなどを組み合わせた新たな要件を検討することも考えられるとしております。
 4から始まる項目の上の段落のところに「消費者庁は」としておりますけれども、消費者庁は今後、原料原産地表示を拡大することについての明確な要件を設定する方法や事業者の実行可能性、行政による監視可能性等について調査した上で、上記の制度における工夫等も参考にさらに検討を進める必要があるとしております。
 「4.新たな表示方法の実効性について」です。
 これは食品の表示に関する共同会議でも取り上げられておりましたけれども、マル1 切り替え産地を列挙する可能性表示、マル2「国産」・「外国産」又は「輸入」といった大括り表示、マル3 輸入中間加工品の原産地表示の方法の導入の案が以前から上げられているところです。これについても委員の間からたくさんの御意見が出されました。
 8ページに入りますが、非常にいろいろな御意見があってなかなか収れんするというところではなかったのですけれども、消費者庁においてはこれらの意見も踏まえ、先ほどと同様ですが、更に検討を進める必要があるとしております。
 「5.原料原産地表示義務対象品目の選定方法について」の部分です。
 これはさまざま工夫がされているところです。2段落目に「これは」から書かれている文章ですが、共同会議の報告書が平成21年8月28日にとりまとめられておりますけれども、ここに、「消費者団体、事業者、学識経験者等が公開の場で検討するとともに、地方においても公開ヒアリングを実施したり、パブリックコメントを活用すること等により、幅広い関係者の意見を聴取して検討するという、これまで実施してきた透明性の高い検討プロセスを維持していくことが必要である」ということを掲げておりまして、この方針で勿論今までもやってこられているわけですが、「他方」のところから書いておりますように、パブリックコメントを実施しても、原料農林水産物の生産者や食品事業者の要望は収れんしやすいが、消費者の多様な意見をまとめることは難しいとする指摘もあり、国民の意見を十分に組み上げてまとめていくためには、このような消費者意識にも留意して消費者アンケートを実施するなど、消費者の要望を把握するさまざま工夫が必要であると考えられるとしております。
 大前提として、ここもいろいろな御意見が出ておりますけれども、「また」から始まるところの4行目です。直ちに義務化を図るのではなく、まずは事業者団体等を中心に任意表示や自主的な情報提供等によって消費者へ原料原産地に関する情報を伝達する取り組みを促進し、一定期間が経過した後に事業者の取り組み状況や負担の程度を調査・分析して、義務化に向けた検討を進めるべきとの御意見もございました。
 消費者庁においては、消費者と事業者双方の要望がより反映される対象品目の選定方法についてさらにさまざまな工夫を行うことを検討すべきであるとしております。
 9、10ページが先ほど申し上げた「6.食品表示に関する一元的な法律の制定に向けた取組の中で、さらに議論を深めるべき課題」を掲げております。ここは今後の課題でもありますので読み上げさせていただきたいと思います。
 「食品表示に関する一元的な法律の制定に向けて、消費者庁では、『食品表示に関する一元的な法体系のあり方ワーキングチーム』を設置し、平成24年度中の法案提出を目指して、検討が進められている。
 検討に当たっては、JAS法、食品衛生法、健康増進法等の食品表示の関係法令について、現行制度の課題を把握するなどして、一元的な法体系のあり方が議論されることとなっており、その一環として、原料原産地表示についても検討される必要がある。
 その検討に関連して本調査会で出された意見は、以下のとおりであった。
 ・JAS法に基づく現行の仕組みの下でさらなる品目拡大を図ることには限界がある
 ・原則としてすべての加工食品の原料の原産地を表示すべきであり、重量順に上位のものを義務化すべき
 ・『消費者の商品選択に資する』という趣旨を明確にすべき
 ・加工食品の原料原産地表示は義務化を原則とすべき
 ・食品のトレーサビリティ制度の検討とも連携すべき
 ・優良誤認についての考え方を整理すべき
 ・健康食品も含め議論すべき 等
 食品表示の一元的な法体系のあり方の議論に関しては、このような観点も含め、食品表示が消費者の商品選択に資するためのものであることを踏まえ、食品表示が何のためにあるのかといった根本的な意義について、消費者・事業者等の意見を聞きつつ、現行のJAS法にとらわれない幅広い議論が行われ、新たに制定される法体系の下で、原料原産地表示の対象品目や選定方法等が改めて設定されることを期待する。」
 以上となっておりまして、大変長くなって恐縮ですけれども、事務局からの説明とさせていただきます。

○田島部会長 どうもありがとうございました。
 御質問、御意見をいただきますが、発言の順番として、調査会の委員につきましてはこの間たくさんの御意見を伺ってきておりますので、まずは調査会に参画されていない部会の委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
 森委員。

○森委員 今回の調査会の報告書の取扱いですけれども、今、この場で議論をして、食品表示部会として承認をしてその次のステップに進めるのか、それとも今回は単に報告だけだという位置づけなのかという、一番最初のところを教えていただければと思います。

○田島部会長 その点につきまして事務局はどうお考えでしょうか。

○原事務局長 調査会自体はもう終わって、今日、部会に御報告をいただいているわけですが、この部会で報告を受けてまた皆さんも御意見があると思いますので、それも含めたというんでしょうか、報告書自体はこれで確定しておりますけれども、御意見も入れた形で消費者委員会に報告を予定しております。消費者委員会の場でまた議論をした上で、消費者庁にどのような形で御意見としてお渡しするかはそこでの検討になるかと思いますけれども、ここでまとめてこの話をしっ放しということではなくて、委員会としての対応も考えるということになります。

○田島部会長 よろしゅうございますか。

○森委員 今回の報告書を読ませていただいて、どちらかというと提案みたいな話が多くて、結論の部分に関して特にとりまとめることができなかったと思っています。ですからここの部会の中でも採決というよりも、報告書を伺ってまたこの場で議論すると更にいろいろな意見が出て、また同じことの繰り返しになりますので、この委員会の中ではこの報告を受けたという形の方が私はいいのではないかと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 山根委員。

○山根委員 さまざまな意見が出て、なかなか選定要件など条件もまとまり切らずに、今後検討を続けるというまとめになったのかなと見ています。
 一元的な法律の制定に向けての議論の中できちんと議論していくということですが、一方で消費者基本計画の中では原料原産地表示の義務づけを着実に拡大するということがきちんと決定されて書かれているということがございます。その辺をどういうふうに考えるのかが疑問というか、どういうことで認識されているのかを伺えればと思います。

○田島部会長 私の考えでは、24年度に法案提出を目指していって、それまでの間は現在までの共同会議の結論の要件I、IIに沿って新しい品目が選定されていくものと理解しております。
 そのほかにございますでしょうか。
 鬼武委員。

○鬼武委員 専門調査会委員の方々はいろいろ御努力されたと思われ、報告書の作成ありがとうございました。読ませていただいて、先ほど森委員からも発言があったように、やはりこの間、加工食品の原料原産地について委員の中にさまざまな意見があってまとまらなかったというのが正直な話だと私も思います。結論としてまとまらなかったのも1つの答えです。
 ですから今のJAS法に基づく品質表示基準では限界があると思っており、最終的には来年に予定されている食品表示の一元化の中において、この問題についてどういうふうな目的といいますか、現行のJAS法でこのまま議論しても多分何年やってもコンセンサスを得られず同じ結果だと思います。消費者委員会の方でもその点は十分に議論していただいて、もっと大きな枠組みの中で加工食品の原料原産地についてどうするのかという別の視点で考えていただいた方がいいと思っております。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。
 海老澤委員。

○海老澤委員 消費者庁で食品表示が一元的に取り扱われるということになったのは、もともと農林水産省管轄のJAS法と厚生労働省管轄の食品衛生法の表示の部分を一元化していこうということだったと思います。今回この報告書を拝見して、やはりもう既存の法律ではどうにもならないということですから、今後消費者庁として、それらの法律をまとめていかなければいけないんだろうなと思います。私は素人でよくわかりませんが、ほかにも食品表示で不都合とかいろいろなことがあると思いますけれど、その辺の今後の予定はどういう方向になっているのか、少し教えてほしいと思います。

○田島部会長 現在、消費者庁の中に食品表示に関する法体系の一元化に向けてのワーキンググループがつくられていると私は聞いております。
 消費者庁、何か追加の御発言はございますか。

○相本食品表示課長 食品表示の一元化の検討でございますけれども、7月に一部改定しました消費者基本計画の中で具体的に制度の法案提出について平成24年度中を目指すということと、検討に当たって事業者あるいは消費者の方の意見を聞いていく場を設けることを明記しているところでございます。
 私どもとしては今後多くの事業者の方、消費者の方の意見を聞くような検討の場を早急に設置していって、きちんと関係者の御意見を入れながら制度の検討ができるように作業を進めていきたいと考えております。具体的な内容につきましては固まり次第、また部会の方に御報告させていただきたいと考えております。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 スケジュールのことをお伺いしたいんですけれども、法案の要綱案の形とか、その辺の具体的なスケジュール観はどういうことを目指していらっしゃるのか、もしわかりましたら教えていただきたいと思います。

○田島部会長 消費者庁。

○相本食品表示課長 具体的な法案提出に向けたスケジュールに関しましても、検討の場の公表とともに明らかに御説明できるようにしていきたいと考えております。

○田島部会長 ほかにございますでしょうか。
 鬼武委員。

○鬼武委員 先ほどの発言の補足ですが、多分これまで食品表示に関して議論してまとまらなかったことは、全て表示の一元化のところに集約されて議論されると思うのです。その点を考慮するとスケジュール的にはかなりタイトになると思うので、食品表示の一元化の枠組みをどのようにやるというのを少しずつでも本食品表示部会に提案していただけないでしょうか。一つひとつの案件についても意見がそれぞれ違うでしょうし、食品表示の一元化に係る案件は丁寧かつ慎重な進め方をやっていただければと思います。
 例えば、EUの消費者に対する食品情報の提供に関するヨーロッパ議会および理事会の規則に関する議論では2008年からスタートしています。以前からEUでは食品表示に関する様々な規則があって、今回は消費者にわかりやすい情報提供という視点から、具体的には、表示させる活字の大きさであるとか、栄養成分表示であるとか、もしくはカントリー・オブ・オリジン(原料原産地)表示、アレルギー表示とかについて今回最終的には採択されて、EUの中で新しい法案が認められました。EUでも3年もの歳月がかかりました。この規則改正に関しては、ヨーロッパ会議、EU理事会およびヨーロッパ委員会各々意見が違うわけです。そのやりとりをしているだけでも3年かかっていますが、非常に丁寧なやり方をしているなと感心しました。
 多分ここにいる食品表示部会の委員も心配している点は、食品表示の一元化になるというのは概ね理解しているけれども、一元化に関する具体的なことが示されないと、どこから議論するのであるかと多分心配を含めてあると思うのです。したがって、EUの例で見られるように、是非丁寧な進め方をしていただきたいのです。消費者庁が設置されて2年間経ちました。今後消費者庁がおこなう施策として一番大きな成果になるとも思われますので、是非よろしく早急なるご検討をお願いしたいと思います。意見です。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 それでは、調査会に参画していた委員の方から追加で御発言はございますでしょうか。
 立石委員。

○立石委員 御存じのように調査会の最後の場、第6回の際に私は意見書を提出いたしました。非常に不本意な報告書だということでもって、私の意見をその中で述べさせていただいたという内容でございます。はっきり申し上げまして、結論が何も出なかったというのが実態でありまして、先送りというのがこの調査会の内実でございます。
 先ほど座長の方から共同会議でもって決められた要件I、IIはそのままこれからも通用するというお話でした。明らかに今回の調査会の中では要件I、IIは全面的に否定されたと私は受け止めているのですけれども、それがそのまま続くということは非常に残念な御意見です。
 それから、これは事務局として、消費者庁としてどのようにすすめるかという根本的な考え方が明示されていないところがそもそも私は非常に不満足です。今回の消費者行政一元化、農林水産省と厚生労働省から移管を受けて、消費者庁が発足したときから、どのようにすすめるのかという基本的な考え方を持って、仮説を示してこうするんだという方向性を示した上で議論するとかいうことであれば非常にわかりやすかったですけれども、そういうことは一切なかったわけです。
 言いたい放題言わせてもらって非常にストレス解消にはなりましたけれども、そういうことではなく、ある方向性を持って、消費者行政をどうするのだというしっかりした考え方、見識を持って進めていただきたいと思います。だからこれから消費者庁の本当の力量が試されるということで、私は非常に期待をしております。よろしくお願いいたします。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかの委員の方から御発言はございますか。
 それでは、ただいまの意見も含めまして、さまざまな御意見につきましては報告書と併せて消費者委員会に報告いたします。ありがとうございました。
 本日の議事は以上でございます。
 最後に次回の日程について事務局から御説明をお願いいたします。

○原事務局長 次回の日程の前ですが、報告書のとりまとめにつきましては、労をとっていただきました田島座長におかれましては大変お忙しい中をありがとうございました。それから、各委員の方々も大変お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、本日の報告を受けまして、各委員からいただいた御意見も踏まえ、食品表示部会として田島部会長より消費者委員会に対して御報告をさせていただく予定です。
 次回のこの部会の日程につきましては、8月24日、水曜日の10時からを予定しております。議題につきましては改めてご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。

○田島部会長 それでは、本日はこれにて閉会させていただきます。
 お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございました。

≪5.閉会≫

(以上)