第10回 消費者安全専門調査会 議事録

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日時

2011年7月12日(火)14:00~16:07

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
宇賀座長、中川座長代理、阿南委員、大前委員、齋藤委員、杉山委員、
田澤委員、鶴岡委員、中尾委員、中嶋委員、中村(晶)委員、中村(均)委員、
橋本委員、松岡委員、横矢委員、吉岡委員
【消費者委員会委員】
中村(雅)委員長代理、佐野委員
【説明者】
消費者庁 福嶋長官
       消費者安全課 金児企画官、滝政策企画専門官
【事務局】
消費者委員会 齋藤審議官、原事務局長、諏訪園参事官

議事次第

1.開会
2.消費者安全専門調査会報告書(案)について
3.その他
4.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:64KB)
【資料1】 消費者安全専門調査会報告書(案) (PDF形式:471KB)
【参考資料1-1】 事故情報の収集・一元化に関する議論の整理 (PDF形式:120KB)
【参考資料1-2】 事故情報の分析に関する議論の整理 (PDF形式:124KB)
【参考資料1-3】 事故情報の公表・活用に関する議論の整理 (PDF形式:146KB)
【参考資料2】 消費生活用製品安全法と消費者安全法に基づく重大事故報告(通知)と公表状況 (PDF形式:81KB)
【参考資料3】 「焼肉酒家えびす食中毒事件」に関する情報の流れと公表状況について (PDF形式:119KB)
【参考資料4】 消費者庁からの主な注意喚起情報のまとめ (PDF形式:170KB)
【参考資料5】 消費者委員会 消費者安全専門調査会 設置・運営規程(平成21年10月26日 消費者委員会決定) (PDF形式:126KB)
【参考資料6】 消費者安全専門調査会の進め方(平成22年3月 消費者委員会作成) (PDF形式:123KB)
【参考資料7】 消費者安全専門調査会 審議経過 (PDF形式:116KB)
【参考資料8】 消費者安全専門調査会 委員名簿 (PDF形式:122KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、おそろいになられたようですので、始めさせていただきたいと思います。
 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会消費者安全専門調査会」第10回会合を開催いたします。
 なお、本日は専門委員の赤松委員、片山委員、佐竹委員が御欠席となっております。
 それでは、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第の後ろに座席表がありまして、資料1として「消費者安全専門調査会報告書(案)」を準備しております。
 その後ろに1から9まで参考資料をお付けしております。逐一御紹介いたしませんけれども、審議の途中で不足がございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。
 それでは、宇賀座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○宇賀座長 本日は、消費者委員会事務局から原事務局長のほか、齋藤審議官、諏訪園参事官、消費者庁から福嶋長官、消費者安全課から金児企画官、滝政策企画専門官に御出席いただいております。
 なお、本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても、後日、公開することといたします。
 カメラの方はここで御退室をお願いいたします。

(カメラ退室)

≪2.消費者安全専門調査会報告書(案)について≫

○宇賀座長 それでは、議事次第の第2。

○阿南委員 済みません、阿南です。今日は、消費者庁長官が御出席ということですが、ここの場は消費者委員会の専門調査会です。私は、消費者庁長官が出られるということについて、それは違うのではないかと思っています。なぜそのようなことになったのか。座長はそういうことを御承認されたのか、ちゃんと御説明をお願いしたいと思います。

○宇賀座長 本日、手元にございます報告書(案)につきまして、消費者庁の方から御意見をお伺いしていたわけですけれども、今日お配りの報告書(案)につきまして、消費者庁の長官として御意見を述べたいというお申し出をいただきました。ここは消費者安全専門調査会の審議の場ですけれども、消費者庁としてこの報告書の案につきましての御意見があるということであれば、やはりそれはお聞きすべきだろうというふうに考えまして、長官からの申し出をお受けしたということです。

○阿南委員 消費者庁との間の事務局のところで調整は必要だと思いますけれども、なぜこの場に、メンバーでもない長官がいらして意見を述べるのですか。

○宇賀座長 勿論、事前の調整は事務局間で行ってきたわけですけれども、なお最終的に調整ができていない点があります。その点につきましては、消費者庁として長官がこの場で御意見を述べたいという御要望があったということです。

○阿南委員 私はそのようなことは納得できないです。ここは安全専門調査会であり、私たちは委員として指名され、それで議論をしているわけですね。

○宇賀座長 勿論、ここは消費者庁とは独立した消費者委員会の専門調査会です。したがって、消費者庁長官からの御意見を伺うのは、いわばヒアリングです。この報告書案についてのヒアリングということで御意見を伺うという趣旨です。ですから、ここのメンバーに消費者庁長官が加わるということではなく、安全専門調査会の場に消費者庁長官がヒアリング対象ということでお出でになっている、そういうふうに御理解いただければと思います。

○中村(晶)委員 今の関係ですが、そうしますと、今日いただいている調査報告書の案には消費者庁の御意見が反映されているのですか。そこを確かめさせてください。

○ 宇賀座長 消費者庁のことがいろいろ書いてありますので、それについて事実関係に間違いがないかどうかということは、当然、事務方の方で確認をしていただいておりますし、また、報告書案について、消費者庁側の御意見は勿論事前にお伺いしているわけです。その過程で反映できる部分は既に反映しているわけですけれども、消費者庁としてなお、意見を述べたい点があるということですので、この場でヒアリングをするということです。ですから、ここで消費者庁長官が述べられた意見については、私たちの専門調査会でそれを容れるか否かを判断することになります。意見を伺って修正をするか否かは、勿論、私たちの判断ということになります。

○中嶋委員 そうすると、今日が報告書の作成の最終日と思っていたのですけれども、これからまた案が大きく変わるということはあり得るのでしょうか。そういうことであれば、ちょっとどうかなと思いますね。

○宇賀座長 そういうことはないと思います。基本的には既に事実関係等も確認しておりますので、今日消費者庁長官が述べられる御意見で報告書案が大きく変わるということはないだろうと思います。今日、皆さんの方で、消費者庁の御意見を伺った上で、報告書案について修正する必要がないということであればそういうことになりますし、いずれにしても今日でこの案は確定するということです。
 よろしいでしょうか。消費者庁の御意見を伺った上で、専門調査会の皆さんの方でそれをどう判断するかについて、皆さんの御意見を伺って、それを踏まえて判断いたします。消費者庁の御意見を伺った上で、皆さんにそれについての御意見をお伺いさせていただきたいということと、すなわち、ヒアリングというふうに御理解いただければと思います。
 それでは、報告書案につきまして議論をしたいと思います。前回の専門調査会での皆様の御議論、御意見、更に専門調査会後にメールにていただいた御意見をもとに報告書の素案を修正した報告書案となっております。
 まず、事務局から、前回お示しした報告書の素案からの修正点の説明をお願いいたします。

○諏訪園参事官 それでは、お手元の資料1に基づき御説明申し上げます。
 前回に続きまして、各委員、消費者庁におかれましては、報告書案への多数の御意見をいただきまして、この場をかりてお礼申し上げたいと思います。
 めくっていただきまして、目次のところでございます。第1については、「専門調査会の検討の方向性」と変えたのと、参考資料につきまして、これまで述べていたデータのバックデータ等を載せております。
 4ページ目でございます。「はじめに」というところから始まりますが、この中で青字で書いてあるところは、前回の専門調査会での御指摘を踏まえまして修正した後、再度、皆様から御意見をいただいて変えたところでございます。必ずしも前回からの修正すべてが青字になっているというわけではないので、適宜、そこも紹介しながら御説明申し上げたいと思います。
 「はじめに」のところは青字になっていませんが、安心と安全についての言葉の定義を整理するようにとの御指示がございましたので、特に第1パラグラフの最後の文章ですけれども、「消費者一人一人の安全を確保し、もって一人一人にとっての安心をより確かなものとして実現することは、容易でなくなってきている」という形で、その後も安心と安全をきちっと分けた形でまとめております。
 4段落目のところですけれども、この報告書での位置づけとして、これは検証なのか、点検なのかという話がございまして、検証というと、もっと大規模なものを予定されていると思いますので、点検という形に定義を変えております。
 「はじめに」のところは以上でございます。
 第1のところ、「本専門調査会の検討の方向性」というところでございますが、前回、御指摘をいただきまして、特に第2パラグラフのところで、この専門調査会でどういったところを目標として考えているのか。消費者庁自らが、消費者安全法17条、16条に基づいて司令塔として機能する。まさにこの理念を実現したおかげでいろいろな問題点が明らかになったという形で、この報告書の位置づけを述べた上で、各見出しごとに問題点について横串のことを入れていったという形にしております。また、それに基づいて、各問題点に即応した形でどういった対応がなされるかのということを、注をつけて見やすくしているという整理にしております。
 6ページ目以降でございます。事故情報の収集・一元化の制度の概要ということで、前回はこの制度を淡々と述べているだけだったのですが、この両方の制度自体、双子の法律というわけではないですけれども、事実上、この2つの法律は補完する形になっている旨の説明を入れてほしいという御指示がございましたので、それを7ページ目の第1パラグラフと第2パラグラフで述べております。これが、後で両方の機能がどう運用されていくのかということにつながってきますので、見やすくなったと思います。
 7ページ目の下から2つ目の段落のところで、重大製品事故の定義についてやや詳しく述べております。
 8ページ目で、論点について見出しをつけて整理をしております。
 10ページ目ですけれども、消費者安全法に基づく行政機関の通知の励行の話について、どうして遅れてしまったのかということを問い合わせることを通じて迅速な通知を要請するということで、通知機能の励行を図るべきではないかということを、やや詳しく載せております。
 4月、5月のデータについて、消費生活用製品安全法の方で、事故公表があった後に消費者安全法の通知受理があったということだけをピックアップしていますが、全体としてどうなのかということの集計をすべきではないかという御指示がありましたので、下から2つ目の段落で集計した結果を載せて、参考資料2でやや詳しい一覧表を付けて参考とさせていただいております。
 11ページ目でございます。この報告書では、特に火災が起こった場合について、消費生活用製品安全法と消費者安全法の違いから、どうも消費者安全法の施行がうまくいっていないのではないかということですけれども、これはある意味で火災だから非常にその違いがわかりやすかっただけであり、後で述べるように、ほかの行政機関の通知についても同じような問題があるだろうということをここで確認的に述べております。
 次の12ページ目、13ページ目は、やや詳しく述べたのと、12ページ目の下の(注)のところですけれども、前回、佐竹委員、田澤委員から御指摘があって、加水分解コムギ末に関する事件の話については、特に佐竹委員の御指摘を踏まえまして、どうしてこれが早く重大事故として上がってこなかったのかということについて詳しく述べております。
 14ページ目です。「焼肉酒家えびす食中毒事件」については、いつ食事をして、いつ発症したのかというところから細かく表に載せて分析してほしいということで、これは前回、お手元限りということでしたけれども、参考資料3を本日配付した上でここに抜粋を載せて分析しております。
 15ページ目は、若干詳しく文章のつながりも含めて整理しております。
 16ページ、17ページ目です。17ページ目の真ん中のパラグラフのところで「東京都の例」については、前回、注だったのですが、これが非常に大事な話ではないかと。要は東京都の教育委員会が事故発生報告事務処理要綱を定めているわけですけれども、消費者安全法に基づく消費者庁の通達が、一番上の行で、平成21年9月1日とありますけれども、その前に平成21年8月10日に改正されたきり改正されていない。だから、消費者安全法の言うとおりにはなかなか通知が来ていないということを端的に示す例ではないかということで、これを本文に格上げしております。老人ホームの話も、もう少し詳しく記載した形にしております。
 18ページ目は、特段ございません。
 19ページ目です。現行制度の下で、どうやって対応していけばよいのかということでございますけれども、4の(1)のマル1の最後のパラグラフにございますように、個別に督励を続けるだけではなく、各問題について定期的に消費者庁と関係省庁が、明確になった問題を含めて対応策を策定していくことが必要だろうということを明記しております。
 20ページ目は、現行制度の対応として、事故情報データバンクの活用という話をうたっているわけですけれども、実は消費者庁としても、最近では、扇風機の発火・発煙に関する注意喚起については事故情報データバンクに収集された事故例をもとに行ったということを述べております。実は、これは21ページ目の注にあったところを本文に格上げして明記したというものでございます。
 22ページ目は、注がいろいろとございましたので、この辺りは割愛しております。
 24ページ目以降、今度は事故情報の分析及び公表・活用のところでございますが、最初の制度分析については特段の御意見はございませんでした。26ページ目までそうだと思います。
 27ページ目のところで、消費者安全法15条1項に基づく注意喚起について、事業者との関係で手続をどう設けるかということで、前回は、非常に重い手続を課しているということを、27ページ目の第1パラグラフの下から3行目のところで書いていたのですが、御意見がありまして、これ自体は別にこの研究会で重い手続を予定していたものではない。言ってみれば意見書の提出の機会がなくとも、電話で意見を伺うということでもいいはずだったということで、その観点からは、付与するとしているという形にして、その上でこの趣旨は、例のカイワレ大根事件の判決を踏まえて、この手続保障の精神も尊重されなければならないという判示の話を載せております。それに伴って、重い手続の裏側にあった、消費者庁として消費者安全法15条1項を重く見ているという話も裏付けが必要なくなりますので、この注は落としております。
 28ページ目では、そうは言いましても、消費者安全法15条1項の注意喚起というものについては、先ほど申しましたように電話でもいいのではないかということも含めて、手続の運用の見直しについて検討が必要ではないかという御意見がございましたので、そこを載せております。28ページ目の2つのパラグラフにわたって御意見を載せております。
 30ページ目のところですけれども、EUのニューアプローチ方式について、中嶋委員から、定義についてもう少しきちんと詳細に書いた方がよいのではないかということで、中嶋委員の方からいただいた文章をそのまま載せて記述を充実させております。4のところでは、論点について見出しをつけて整理をしております。
 32ページ目以降ですけれども、これも最初のところでは、食事から発症までのところを整理しております。
 34ページ目は、若干仮の話を載せておりましたので、そこを削って整理しております。
 35ページ目、論点マル2のところでは、どうも回収がうまくいっていないことについて、もう少し具体的なデータを示すべきではないかというお話がございましたので、図表3-2に「重大製品事故が発生したリコール案件の状況」ということで、本年4月、5月の公表分について載せて、特に網かけをしている部分については、4月、5月に発表された事故であって、かつ、リコール開始後6か月以上経過しても回収率が50%未満のものを載せております。これは36ページ目の下の注に※印で載せております。
 36ページ目の一番下のパラグラフです。現在、NITEが分析したものについて、消費者庁と経済産業省で連携して、誤使用、非重大事故情報について分析しているわけですけれども、NITEの情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、やはり消費者庁としてもそれを受け取って、きちんと自ら事故原因分析をすることも必要だろうという御指摘が前回ございましたので、これを36ページ目から37ページ目の上にかけて載せております。
 38ページ目は、特段ございません。
 39ページ目では、前回、事故情報分析タスクフォースで電気製品を今後取り上げるということについて、どうしてこれを取り上げるようになったのかという御質問がありましたので、これは消費者庁から文章を提供していただいております。
 40ページ目は、特段ございません。
 41ページ目では、真ん中のマルdのところで、これは焼肉の事件をきっかけとして厚生労働省との間でどんなやり取りがあったのかということで、前回、厚生労働省に状況を聞いただけというお話がございまして、緊急に分析を要する事故については、やはり分析能力を消費者庁としても持つべきだろうという御指摘があって、それを追加しております。
 42ページ目は、それに対応してマルcをつけて、消費者庁としても分析をできる体制をつくるべきだし、これは事故調査機関の在り方に関する検討会との関係も整理すべきだということでなお書きを入れております。
 43ページから45ページは、特段ございません。
 46ページ目は、注を整理の関係で削除しております。
 47ページ目では、事業者にデータを渡して、事業者の方である一定期間内に誤使用と見られる重大事故等についての分析を行うということで、指導すべきであろうということを提案しておりますが、その結果報告については、消費者庁としても、消費者の視点に立って改めて検証することが求められるだろうという御意見をいただいておりますので、それを述べております。注で、消費者庁では、iPodの事件があったという話でしたが、この事件での消費者庁の対応は既にこの提案を先取りした形になっておりますので、それを本文に格上げして述べております。
 48ページ目は、マル3とマル4について若干段落の順番を変えたということです。
 49ページ目の(1)は、前回、御指摘があって、最初に述べた第1の検討の方向性と各対策はどう対応しているのか、ということを整理されたいという御指示がございましたので、(1)のアからウまで、50ページにかけて整理しております。
 51ページ目の(2)のところでは、本調査会でなかなか検討までいかなかった点、今後課題となった点といった、今後の予定表的なものも含めて記載すべきだという御指示がございまして、その辺りも整理したところでございます。
 以上、簡単でございますが、前回からの修正点でございます。

○宇賀座長 それでは、この報告書案について、福嶋長官がお時間の関係で途中で退席されるということですので、御意見があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

○消費者庁福嶋長官 お時間をいただいて恐縮です。どうぞよろしくお願いします。
 最初に申し上げておきますが、根本的にこの報告について、変えてほしいとかいうような意見を言うものではありません。個別のところでもう少し修正できないだろうかということを、何点か申し上げたいと思っています。私も、本当は事務レベルの調整でこのぐらいはできないといけない、わざわざ委員さんのお時間をいただくというのは大変恐縮だと思いますが、どうもその辺がうまくいかないところがあって、これは消費者庁と消費者委員会双方の今後の課題だと思っていますので、より連携を深められるように努力をしていきたいと思っておりますが、今回は何点か、事務局同士の調整がし切れなかったところがありますので、個別のお話をさせていただきます。
 まず、32ページの表がありますが、4月28日(木曜日)の消費者庁、一番右の欄に「消費者安全法の定例公表日ながら、焼肉事件については、公表せず」と赤字で書いてあります。実は前日に富山県の報告が通知されたということが、27日に書いてあります。ですから、この表だけを見ますと、既に富山県から報告が通知されていて、定例の公表日なのに、焼肉事件についてはあえて公表しなかったというふうに読めるのですが、定例の公表というのは、前の週までに通知されたものをいろいろな事実関係の整理とか調査、確認をし、前の週に通知があったものを定例公表日に公表するというルールになっています。
 ですから、前日に来たこの食中毒の件は、ルールとしては翌週に公表するということになりますので、少なくとも食中毒の事件の定例の公表日だということはありませんし、定例の公表日なのに「公表せず」というふうに誤解が生じる表現は、何とか変更をしてもらえないかということがまず1点です。細かいところで恐縮です。
 同じ表の5月2日(月曜日)のところに、青字で「消費者庁は一般的な注意喚起として」、その後は赤字ですが、「『集団食中毒の発生を受けた食中毒予防に関しての御願い』を公表」とあります。これは蓮舫大臣と私の連名のメッセージのことだと思いますが、このメッセージの考え方は、個別の事業者の食中毒事件については、それぞれお店があった県の保健所と厚生労働省で一義的にしっかり対応してもらっている。それは保健所と厚生労働省でちゃんと対応はしているけれども、実は生食用の食肉の基準自体に問題がかなり大きくあるのではないか。つまり、法的な基準ではないということがありました。
 そういう問題があって、食中毒を起こした事業者のお店だけではなく、全国のいろんな関係するお店で同じような問題がある、危険性があるということを認識できたものですから、全体的な注意喚起としてこのメッセージを出しました。この事業者のお店に限らず、とにかく飲食店で生肉を食べるときは気をつけてほしい、ちゃんと自分でも確認してほしいというメッセージを出したわけです。これは既に消えていますが、「ただし、事業者名は公表せず」というと、このメッセージは事業者名をあえて落として公表した中途半端なメッセージだというふうな印象を受けますけれども、もともと特定の事業者ではなくて、ほかの事業者も問題があるということで出したメッセージなので、「事業者名を公表せず」というのは当たらないわけです。ここは棒線で消していただいたのですが、そのかわり前段の青いところで、「一般的な注意喚起として」とあります。この間の議論を踏まえると、事業者名を落として一般的な注意喚起にぼかしたという意味ではなく、この事業者だけではなくて全事業者、全体的な注意喚起としてやったということなので、一般的なということよりも、全体的なというニュアンスが出る表現の方がより正確ではないかというふうに思っています。
 それから、34ページの真ん中辺りの青字で傍線が引っ張ってあるところで、「4月30日に把握した」と。5段落目の消してある「なお」というところからです。消費者庁としては4月27日からこうこうで4月30日に把握した。つまり、4月27日から29日にかかる経過というのを4月30日に把握したと書いてありますが、これは消費者庁としても、4月30日に把握したということを正確に確認しているのではなく、むしろ29日の段階で把握をしていると思います。消費者庁に残っている文書は、27日から29日までの経過をまとめた30日付の文書があるということですので、別に消費者庁が27日からの経過を30日に把握したという意味ではそもそもありませんので、この日付は取っていただいた方が正確かなと思います。
 その下の段落、「したがって」というところで、「したがって、中国産冷凍ギョーザ中毒事件を受けて、国が、あるいは消費者庁が率先垂範して、注意喚起を図っていくという消費者安全法の趣旨が生かされた対応であったとは、評価し難いと思われる」というふうに書いてあります。これは、どこをどう修正するというよりも、中国産冷凍ギョーザ中毒事件の教訓というのは、情報がいろいろな行政機関に入っていてそれが一元化されなかった、まとめられなかったというところが重要な教訓だと考えています。
 ですから、今回の食中毒は、保健所と厚生労働省でちゃんと情報をやり取りして、100%完璧だったというふうには言いませんけれども、各県の保健所と厚生労働省が、それなりに連携をとって対応をしていたと思います。消費者庁は、全体的な問題を取り上げたという問題意識なのですが、その後、厚生労働省が生食用の法的な基準を秋までにつくりますと。今、作業をしていますが、そういうことにもつながりましたし、消費者庁自身も、それに伴って表示の基準もつくりますという作業をやっているわけです。そういうところを消費者庁がきちっとやらないといけないという問題意識でいるわけで、今回、冷凍ギョーザ事件の教訓が生かされていないと、少なくともここで言うのは、冷凍ギョーザ事件の教訓というものがどういうものなのか、ちょっと曖昧になっているのではないかと思います。
 次の段落、「なお、消費者庁の」ということですが、「消費者庁の『公表の基本要領』では、重大事故等に該当し」云々と書いてあって、要するに消費者庁の今の公表の基本要領では、「事実関係の詳細が未確認であっても事故の概要を公表する方針であるとしている」と書いてあります。これは事実です。「しかしながら、総務省報告では、『既に公表がある場合を除いて事業者名及び型式名の公表を行っていない」と指摘されている」というふうに書いてあります。この文章の構成では、公表の基本要領では公表することになっているのに、しかしながら、総務省から公表していないという指摘を受けているという文章になっているのですが、公表の基本要領にある、「事故の概要」を公表すると。この事故の概要というのは、製品の型式とか事業者名を入れないものを「事故の概要」と言っているわけです。だから、今の公表の基本要領は事業者名や型式名を入れるという方針だということではないのです。概要しか公表しないという基本要領になっているのです。だから、「しかしながら」で総務省はこう言っているというのは、逆に公表の基本要領の内容を誤認されているのではないかと思います。
 繰り返しですが、公表の基本要領では公表することになっているのに公表しない、ということは事実ではないのです。今の基本要領が今のままでいいとは思っていません。今、この改定作業をやっています。改定作業のポイントは、既に運用では一部、そういう運用をしていますけれども、その事故が引き続き起こり消費者に被害を及ぼす危険が強いときは、事故原因が明確でなくても事業者名や型式名を公表するという運用を既にしていて、そういう運用を踏まえての改定の作業も行っています。ですから、基本要領が今のままでいいとは思いませんが、今の基本要領で公表になっているものを、していないということは事実ではありませんので、ここのところも正確に書いていただければと思っております。
 最後に1点、これはごく簡単な話ですが、47ページの真ん中辺りにある青字で傍線が引っ張ってあるところですが、「また、事業者からの結果報告については、消費者庁としても消費者の視点に立って改めて検証することとする」。これは文章表現の話で、消費者庁が「こととする」というのは、消費者庁が自分で言うことなので、消費者委員会の文章としてこの言いぶりは少し変えていただいた方がいいのではないか。中身がどうこうという話ではなく、消費者庁が「やることとする」というのは、消費者庁の文章に出てくる言いぶりではないかと思います。
 済みません、お時間をいただいて。以上です。

○宇賀座長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの福嶋長官からの御意見について、御質問、御意見はございますでしょうか。
 まず、1点目、32ページの表について、4月28日のところで、「消費者安全法の定例の公表日ながら、焼肉事件については、公表せず」というところにつきまして、そもそも、前の週のものをまとめて公表することになっていたので、前日のものは公表の対象外であるということがこれだと伝わらないため、前の日に報告があったのにあえて公表しなかったようなニュアンスを与えてしまうので、そこの表現を考えてほしいという御意見かと思いますけれども、その部分について、いかがでしょうか。

○中嶋委員 中嶋ですけれども、今の長官のお話を聞いて、逆に私の方から一つ質問をしたいことがあります。一番初めに、「はじめに」というのがありまして、これをまとめられた参事官からも御説明がありましたけれども、安心と安全についてきちっと書いてもらいたいというふうに要求をしたのは私であります。消費者庁ができるということで、できるだけ、立ち上がった省庁を何とかしたい、応援したいと思ってやってきたんですけれども、今の長官のお話を聞いていると、まず、安心と安全を並べて考えるときに、どちらが優先するか。初めにどちらが実現されて、その次にどちらが実現されるべきか。順番を答えていただきたいのです。安全が先か、安心が先か。

○消費者庁福嶋長官 私は一体だと思っていますけれども、ベースとしては、安全がないと安心は確保できませんので、あえて言えば、安全だろうと思っています。

○中嶋委員 安全を実際にやっている者からすれば、安全が実現しない限り安心は実現しないのです。安全というのは、技術とか、システムとか、仕組みででき上がってくるわけです。安心は信頼感ででき上がってきます。今の長官のお話を聞いていますと、とても安心できないような御指摘なのです。
 なぜかと言いますと、定例公表日、これは1週間に1回だから、この次までできませんと。これは消費者庁の都合なのです。それから、基本要領は、今、こうなっているのでできませんと。これも消費者庁の都合なのです。その都合を前面に出しますと、消費者は、消費者の都合を主張します、「私たちを今すぐ安心させてもらいたい」「今すぐ安全にしてもらいたい」と言います。どういうことかというと、定例公表日を変えてほしい、毎日やってください。できるかできないかの問題ではなく、恐らくニーズはそういうふうに出てくる。それから、今、私たちの基本要領はこうなっていますからできませんと言うと、それは変えてもらえないでしょうか、と消費者は反応する恐れがあります。
 そういう意味では、安全とか安心を御自分たちの力で何とかしたいと思っておられるのなら、自分たちの仕組みを早くに変えないといけないでしょう。ですから、こういうふうに指摘されたときに、ものの言い方を変えてもらいたいではなくて、「自分たちも努力するから、変えてください」と言われるなら、ここに座っておられる方はよくわかると思うのです。この点が、私がもっとも期待することです。でも、書きぶりが違うと言われると、ここの修正点を指摘した人がいたとしたら、私ではないですが、「何で?」というふうに疑問に思われると思います。そういう意味では、正直言って、ちょっとがっかりした御指摘でございました。
 以上です。

○消費者庁福嶋長官 私のお話の趣旨が伝わっていないと思います。現状のままでいいというふうには全く思っていません。公開の基本要領は現に改定作業をやっているところですし、改定を待たずに運用としては、事例によっては事業者名や型式名を既に公表しています。ですから、今のものがいいとは全く言っていません。定期公表を毎日できるかどうかというのは、体制との問題で、今すぐ毎日に変えようというところまでは残念ながら考えていませんけれども、内容も含めて、定期公表のあり方が今のままでいいとは私は全く思っていません。
 そういうところまで本当は時間があれば申し上げた方がよかったのかもしれませんが、最低限の話だけしましたので。この表現では、本来、今のルールで公表になっていることを意図的に公表していないというふうに誤解を受ける可能性があるので、その部分はそういう誤解を生まないようにしてほしい。今のルールで公表することになっているのではなくて、今のルールでは、逆に申し上げたような状況になっているので、だから今のルールを変えないといけないんだという御指摘ならば、大いにしていただければいいと思うのです。今のルールどおりにやっていなくて、公表を意図的に押さえているというふうに読めるところは、変えていただけたらということです。

○中嶋委員 個人的にはよくわかりました。今のルールを変えなければいけないというふうに自覚をされて、やろうとされていて、というふうなことをここに明記するという方向であれば、個人的にですが、そういう方向の修正もあってしかるべきかな、とは思います。極めて論理的ですから。

○中川座長代理 時間も余りないので、引き取りますと、こういう修正だとちょうどいいのではないかと思います。32ページの「28日(木曜日)」、赤字のところですが、「定例の公表日のルールにより」、あるいは「ルールに基づき焼肉事件については公表せず(次週)」というふうに書いてあれば問題ないということですね。であれば、問題点もはっきりすると。

○中嶋委員 そうですね。

○宇賀座長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 ちょっと疑問があります。まず、28日に公表しなかったということですけれども、これは定例とはいうものの、緊急の場合には定例によらないという取り決めはないのかということ。何しろこれは4月26日に福井で死亡している事件ですね。その報告が前日にあった、それも28日ということですから、重要だと思えば緊急アナウンスというのは追加的にあり得たというのが直感です。
 もう一つは、5月2日です。全般的な注意喚起をしたということですが、それはそれでいいと思います。全国に呼びかけた。ですが、そのときに事業者名を言うこともできたはずです。それ以前に県の方では公表されているわけで、それをなぜ言わなかったのかという説明は先ほどなかったと思います。そこを説明いただけますか。

○消費者庁福嶋長官 両方合わせてのお答えにもなりますけれども、事業者名や事件の内容は各県の保健所あるいは厚生労働省を通して発表され、マスコミでも大きく取り上げられていました。だから、このメッセージは、この事業者以外、全体的な問題がありますよというメッセージでしたから、事業者名を入れるとか入れないという検討自体がそもそもありませんでした。メッセージの目的が違いましたので、あえて事業者名を入れようとか、外そうとか、そもそもそういう発想ではなかった。事業者名は周知のこととして、どういうメッセージを出すかという議論をしていたということです。
 ですから、前日のものも緊急性があったら出すというのはそのとおりで、そういう対応をしなければいけないと思っています。ただ、この場合、それに該当したのではないかという御指摘は御意見としてあるだろうと思いますが、消費者庁としても前日通知されて、事実関係の整理をしているところでしたし、事件自体は新聞報道もされていましたし、そういう判断、前日のものを翌日に入れ込むということは実際としてしなかったということです。

○諏訪園参事官 若干、事実関係だけ。今の齋藤委員の御指摘で、ルールはなかったのかと。実はルールはあります。公表の基本要領で、「週1回程度を目途として定期的に情報を集約して公表を行っていく」とありますが、「また、消費者事故等による被害の拡大、または当該消費者事故等と同種もしくは類似の消費者事故等の発生の防止を図るため、消費者の注意を喚起する必要があると認められる場合等、緊急重大な事案については、定期的な公表によらず迅速に公表を行っていく」というルールがあります。

○消費者庁福嶋長官 ですから、定期公表ではなく、いろいろな注意喚起はしているんです。この食中毒の問題ではなく、いろいろな問題で定期公表以外に注意喚起をやっています。それは今、参事官が言われたルールです。ですから、定期公表に無理に入れないと公表できないという話ではなくて、翌日ではなく、翌々日にそれ単独で注意喚起するということ自体はやろうと思えばできるわけですが、個別の食中毒事案については保健所と厚生労働省が対応していますので、消費者庁はそれがちゃんとされているかどうか監視しつつ、もっと全体的な問題があるというところに私どもは意識が行っていたので、そういう方向でやったということです。
 食中毒事案というのは実はたくさんあって、保健所と厚生労働省で対応しているわけです。そうすると、食中毒事案も消費者庁がもっと突っ込んで注意喚起も徹底してやっていくんだということも、一つの御意見としてはあると思います。ただ、そういう対応を今はしていませんので、それは一つの御意見としてあれば、課題なのだろうと思います。食中毒事案は保健所と厚生労働省で対応してきていますので、もっと消費者庁も突っ込む方がいいのかどうか、という判断だと思います。

○宇賀座長 諏訪園参事官、どうぞ。

○諏訪園参事官 今の長官のお話について、新聞で報道されているという話がございましたが、28日の公表がルールとしては迅速にやるべきだったかという話ですけれども、実は28日に新聞で報道したのは富山県の北日本新聞だけでございます。全国紙が報道したのは、4月30日になって報道されたというふうに私も認識しておりますので、そういう意味では28日に定例の公表に合わせるかどうかはともかく、ここで公表することは一つの判断としてあり得ただろうということで、事務局としては「公表せず」というふうに書いているところでございます。

○宇賀座長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 私も齋藤委員と同じように感じまして、長官がおっしゃった、前の週までに通知があったもののみ公表するルール。ルールはわかるのですが、事故情報ですから、緊急なときだって常にあるはずです。ルール、ルールと言われると、重大事故が起きたときに即消費者に知らせるというときは、このルールに従っていたらとんでもないことになってしまうので、これはきちんと公表するべきだった。前日に通知されているのだったら、公表はするべきだったと思います。
 もう一つの大臣と長官連名のメッセージでというお話ですが、ここも確かにそのとおりで、連名のメッセージで全体的メッセージだった、それはわかります。ですが、それと同時に事業者名をなぜ公表できなかったのか、そこがよくわからないのです。消費者にとっては事業者名がわかると非常に具体的になって、事故の未然防止につながるわけです。それを何度でも、たとえ新聞に出ていようが、どこに出ていようが、消費者庁としてきちんと、こういう情報があるということは発表すべきだったと思います。

○消費者庁福嶋長官 今の件ですが、重大事故で緊急性がある場合に定例公表によらずに公表していく、注意喚起をしていくというのは、先ほども言いましたけれども、必要があるときはやっていますし、それを否定するものでは全くないです。ただ、重大事故の公表の話ですので、前の週までの重大事故を整理して、事実確認をして、定例日に公表するというルールになっています。そのルールが遅過ぎるという御指摘はあると思いますし、公表日だけではなく、私も改善しないといけないところはたくさんあると思っています。重ねてですが、私がお願いしているのは、公表するルールになっているのに、あえて公表しなかったというふうな誤解を受けるところは、表現を変えていただきたいということですので、よろしくお願いします。

○宇賀座長 橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 ここでは、事実確認をしているわけで、確かに長官のおっしゃることはわかります。消費者庁としては、今のルールでは当然のことをやったというのはわかるのですが、消費者目線で考えたならば、何でそのとき事業者名を発表しようという考えに至らなかったのかというのが私には非常に理解しがたいところです。このとき公表しなかったというのは事実として載せるべきでありますし、今後、もし定例の記者会見の内容が緊急性があった場合には、それも同時に発表するという内容に変えていくという方向性につながるのであれば、過去のことをあえていろいろとまどろっこしく書く必要はないのではないかと思います。5月2日に既に各新聞が報道されているからというのは、私は全然理由にならないと思っております。
 長官の言うことは重々わかるんですけれども、一般の消費者の目線で考えると、どうしてだろうという疑問は決して払拭されるものではありません。事実関係であれば、別にあえて隠したというふうには私はここからは読み取れなかったのですが、長官にそう言われると、逆に何かあったのかなというふうに思ってしまいますので、ここは事実関係を書くべきで、今後、もし消費者庁が発表する際の、変えていく一つのきっかけになればいいのではないかと逆に私は感じております。

○宇賀座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 済みませんけれども、この焼肉の事件というのは重大事故ではないのでしょうか。人が死んでおりますけれども。

○消費者庁福嶋長官 重大事故です。だから、ここで問題になっているわけです。

○中嶋委員 緊急対応できないというふうに、長官のお話をそのまま鵜呑みにして先ほど話したのですが、重大事故であれば、そういう対応はできるというふうに法律がなっているのであれば、ここに書いてあることは間違ってはいないと思います。いかがですか。要件は満たしていると思います。

○消費者庁福嶋長官 重ねてですが、定例公表するのは全部重大事故です。重大事故の公表のルールなんです。重大事故もたくさんありますし、通知されてきますので、前の週までに通知されたものを事実関係や内容を整理して、それで定例公表日に公表するというルールにしているわけです。

○中嶋委員 ちょっと待ってください。定例公表日だけに発表するというルールにはなっていないとのことですが、長官のお話を聞いていますと、長官だけが、定例公表日しか発表できないと思っておられる、ということではないのですか。

○消費者庁福嶋長官 それは違います。私は何回もこの場で、定例公表日以外でも単独でも注意喚起できますというのは繰り返し申し上げていますから、定例公表日の公表しかないというふうには全く思っていません。

○中嶋委員 重大事故に関しては、定例公表日以外でも発表しないといけないと、お考えなんですね。

○消費者庁福嶋長官 重大であろうと、なかろうと、消費者にとって必要なものは公表するという姿勢でやっていきたいと思います。

○中嶋委員 私もそう思います。消費者にとってそれの方がいいです。とても大事なことです。であれば、ここの書きぶりは何らおかしくはない。いわゆる要件を満たしていると思います。今、長官が御説明されているとおりです。別段私は、この委員会の事務方の肩を持とうとか何とかは全く考えておりません。単に、論理的に考えて、今のお話であれば書きぶりとしてはおかしくない、この内容が御説明のとおりだと思います。変えてもいいと一瞬思ったんですけれども、変える必要もないかもしれないなというふうに思っております。

○消費者庁福嶋長官 皆さんが読んで判断していただければいいと思うのですが、「定例の公表日ながら、公表せず」というと、本来この案件を定例公表すべきものなのに公表しなかった、という印象を受けるのではないかということです。

○中嶋委員 済みません。もう一度、定例公表日以外にでも、緊急に公表しないといけない事案についての定義、要件をお話しいただけますか。

○消費者庁福嶋長官 ケース・バイ・ケースですけれども、消費者の安全を確保しなければいけない、そのために緊急性があるということです、大きく言えばですけれども。

○中嶋委員 この案件はそれに当たらなかったとおっしゃるわけですか。

○消費者庁福嶋長官 一つは、その判断がどうかという議論は、該当させて公表すべきではないかという御意見があるとしたら、それはそれで率直に受けとめたいと思います。現実には通知があって、問題の整理をしている、保健所や厚生労働省も調査をしていてというような時期でしたから、実際に消費者庁は現場を見ているわけでも、現場に存在してもいませんし、直接担当していませんので、厚生労働省や保健所との連携を密にしていた時期なのです。だから、単独で公表するなり翌日の定期公表の中に入れ込むという作業は、結果としてやりませんでした。そのことに対しての御意見ということであれば、いろんな御意見をいただければと思います。繰り返しですが、ルールになっているものをやらなかったということではないですよと。それを言っているだけです。

○中嶋委員 でも、それがルールだったのではないですか。

○消費者庁福嶋長官 ルールをもう少し正確に言うと、ここで言っている定例公表するルール、前日の食中毒事件を、この日に定例公表するルールなのにやらなかったということではありません。そのことを申し上げています。

○中嶋委員 では、「29日に、緊急事案でありながら公表しなかった」と書けば、それはオーケーとおっしゃるのでしょうか。

○消費者庁福嶋長官 もし消費者委員会としてそういう判断をされるならば、消費者委員会の判断だということだと思います。

○宇賀座長 松岡委員、どうぞ。

○松岡委員 いろいろルールだとか何とかと言っていますが、私の感じるところは、消費者庁というのは、消費者の安全を守るために、知り得た情報をできる範囲ですべてアクションをとっていくのが消費者庁の立場だと思います。そういう基本的なスタンスから見てどういうふうに行動したかということを、この検討会が書いても差し支えないのではないかと思います。

○宇賀座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 長官のおっしゃることもわかるんですけれども、逆に見方を変えますと、定例の公表日という公表の機会がありながら、緊急事態として公表すべき案件について公表しなかった。消費者側から見るとそう受け取らざるを得ないです。私は個人的には先ほどの修文案でも差し支えないとは思いますけれども、そういう姿勢自体についてやはり疑問視せざるを得ない。その姿勢については、その前段にある事業者名について問い合わせしていなかったという、ここのところがそもそも、消費者にとって被害の拡大防止につながるような情報の公表という基本的な姿勢の点で問題があるのではないか。
 今までも、固有名詞についてできるだけ公表すべきだということを申し上げてきましたけれども、消費者にとって参考になる情報というのは何なのか。それはやはり固有名詞だと思います。固有名詞でなかったら、いくら一般的な注意喚起といってもなかなか自分自身の問題として受け取りにくいという問題があります。姿勢の問題として、事業者名について問い合わせしていなかったというのは、私は非常に問題だと思います。

○宇賀座長 時間の関係もありますので、まとめたいと思います。消費者庁としては、定例の公表日のルールの原則に基づいて公表しなかったということを明らかにしてほしいということなので、「定例の公表日ながら」というところは、「公表日のルールの原則に基づき」という形にしてもいいと思います。ただ、皆さんから御意見を伺っていると、それ自身が問題ではないかということですね。
 33ページのマル3のところにそのルールが書いてありますので、本文を読んでいただければそういう誤解も生じないかと思いますけれども、そもそもその前の週の事故についての情報だけを公表し、今回のような緊急案件について、定例日に公表しなかったこと自身が問題だという御意見がこの安全専門調査会では多かったと思います。そういう御意見を安全専門調査会として述べていただくのは消費者庁長官も結構ですということなので、マル3のところにそれを書いて、定例日公表のルールそのものの見直しをこの安全専門調査会として求めることは、今日、皆さんの御意見を伺っていると書くべきだということかと思いますので、そこはそのようにさせていただきたいと思います。表の方につきましては、「公表日ながら」というところを、先ほど中川座長代理が言われたように、「公表日のルールに基づき」というふうにするということでいかがでしょうか。

○齋藤委員 先ほど事務局から、読みながら説明がありました。その読まれたルールによると、緊急の場合には、そのルールはあるということですか。

○宇賀座長 そうですね。そのうちの原則的な部分に従って、本件の場合、例外扱いをしなかった、そういう趣旨ですね。

○齋藤委員 それを適用されなかったということですか。

○宇賀座長 はい。
 では、そこはそういう形でまとめさせていただくということとします。
 2番目の5月2日の「一般的な」を「全体的な」というふうに変えてほしいというご意見についてはいかがでしょうか。ここはよろしいですか、「一般的」を「全体的に」と変えるということで。

(「はい」と声あり)

○宇賀座長 では、それはそのようにさせていただきたいと思います。
 3番目は34ページです。これは、4月30日に把握したというふうに書いてありますが、事実関係が明確でないので、この部分は取ってほしいということで、これはよろしいですか、事務局、どうぞ。

○諏訪園参事官 ここは、そもそも消費者庁はいつ、「喫食による新たな被害の拡大はないと考えていた」というのが、消費者庁の事務局に何回か聞いてもはっきりしないんですね。それもあって最初は、消費者庁としては、かぎ括弧としてこういうふうに言っていたと。我々も消費者庁に、いつ喫食による新たな被害の拡大がないと考えていたか、判断の事実がわからないのであれば、これはやはりかぎ括弧にせざるを得ないですよ、としていたわけです。
 ただ、昨日、消費者庁の方から、ここはかぎ括弧ではなく事実として書いてほしいということでございましたので、聞きましたら、どうも4月30日に把握したということがうかがえる文書があったということでしたので、地の文とするのであれば、4月30日をもって組織としては把握したのだろうということで、ここに書いたわけです。ただ、これが30日より前かもしれないし、後かもしれない。文書自体の信憑性もあるというのであれば、そもそもそれは消費者庁の主張としてということで、かぎ括弧を復活させる。専門調査会としては事実関係がはっきりしない以上、消費者庁の言い分としてかぎ括弧の主張というふうにするのが整理だろうと、事務局としては考えております。

○消費者庁福嶋長官 細かい事実関係は違うように思いますが、余り言った言わないをしてもしょうがないので、消費者庁が把握したということを、ここはかぎ括弧で言っていただくのはいいと思いますが、4月30日は外していただきたいと思います。

○宇賀座長 はい。そこは事実関係ですので、そういうことでよろしいでしょうか。
 4つ目は、中国産冷凍ギョーザ中毒事件を受けて、「国が、あるいは消費者庁が率先垂範して、注意喚起を図っていくという消費者安全法の趣旨が生かされた対応であったとは、評価し難いと思われる」という部分について御意見がございましたが、ここの部分についていかがでしょうか。

○齋藤委員 4月28日に、事業者名まではともかくとして事故の報告は受けていた。ヒアリングをしていけば、28日か29日には多分わかったと思います。死亡事故にまでなっていますし、特に食の安全はみんなナーバスなところですから、これを情報提供しようというのが適切ではなかったのかと考えると、ギョーザの事件で何が教訓かというのはまだ列挙して整理はし切れていませんけれども、できるだけ迅速に提供するという観点では少し抜かったのではないかと感じました。

○宇賀座長 ほかはいかがでしょうか。中尾委員、どうぞ。

○中尾委員 冷凍ギョーザ事件は、この前も言ったけれども、調べてみたら、あのときはいい加減だったから、それと比べたら今回の消費者庁の対応はすごくよかった。だから、評価し難いと言われたら、何もしていなかったのかということになるけれども、中国産の冷凍ギョーザ事件のところが何も書いていないのだから、それから比べたらだいぶよくなった。これも前に言ったけれども、一般的な意味で民間企業は、情報伝達を時間単位、分単位に変えている、日単位や週単位でやっていることを見ればいまいちだよねと。そういうふうに言っている。これを読んでみると、評価し難いというと、全くだめだったのかというような感じだけれども、前から比べればすごくよくなったというふうに書いてあげないと、ちょっとかわいそうなんじゃないかなと思います。どうですか。

○諏訪園参事官 事務局としては、今回、よかったというのは、まさに厚生労働省と保健所が素早く対応した。消費者庁が事業者名を公表したのは5月12日でございますので、そこがどうなのかということに疑問がありますのと、あとは、4月30日に全国紙でもう報道されて、その後を受けて5月2日の全般的な注意という話でございましたので、消費者庁が率先垂範することが一元的にという話だとすると、事実上、率先垂範するという話がこの事実関係から読み取れなかったのではないか、そういう趣旨でございます。

○中尾委員 率先はしてないね。率先はしていないけれども、前から比べたら情報はよく流れるようになったのではないかと思います。

○宇賀座長 中川座長代理、どうぞ。

○中川座長代理 その率先垂範が多分議論の分かれているところで、長官のお話を聞いていると、これは厚生労働省と保健所がやっているのだから、国の機関が出ていく問題かどうか、まだ見ていると。好意的に見れば、そういう分析をしていた可能性もあるわけです。すべてを国でできるわけではないから、ある意味セレクションをやっているんだと。セレクションをして対応していくんだというふうなとらえ方をすると、率先ではなくなるんですね。他方、多くの委員の方は、やはりこれは率先垂範すべきだということなんですけれども、問題は、消費者安全法が消費者庁に率先垂範してやれと言っているのかどうかです。情報を集めろとは言っていますけれども、それもすべての情報を完全に集めろと言っているのか、ほかがどうも動いていないというところを探すために、いわば多重防御といいますか、補充的にやっているという意味なのかというのが法律ではっきりしないんですね。立場によって見方が違うので、全然話がかみ合わないところがございまして、率先垂範することが求められているのか、求められていないのか、はっきりわからないというところが、法律を読んでいると私が感じるところなのです。
 だから、そこは今後の課題になるだろうと思いますけれども、率先垂範を求める立場だと確かに遅れている。率先していない。だけど、本当にすべて食中毒で消費者庁が先頭に立つことが必要なのかというと、それだとやり切れないということにもなると思いますので、その辺はどうなんでしょうね。率先垂範と書き切っていいのかどうか。あるいは、そこがはっきりしないことが意識のズレを生んでいて、消費者安全専門調査会からは不満があると。そこを今後の、法改正になるのか、法解釈になるのかわかりませんけれども、課題とすべきだという感じの報告書にやっていただくとちょうどいいのではないかと思います。

○宇賀座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 被害拡大の防止という観点から見ますと、やはり4月28日というのは非常に重要な日であっただろうと思います。消費者庁はそもそも消費者行政の司令塔ということで発足した経緯から考えましても、純粋な法律解釈上の問題は別としまして、姿勢として、率先垂範、まさに率先して被害拡大防止に当たるべき立場にある官庁だろうと。中国産の冷凍ギョーザ中毒事件の教訓というのは、各関係官庁あるいは自治体の連携が十分でなかったのではないかという点が一番気になった点ですけれども、それが具体的にあらわれたのが、情報の早期の公表という点だったろうという点を振り返ってみましても、4月28日の対応はやはり問題だっただろうということで、私は原文どおりで何ら差し支えないと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 私は、中国産冷凍ギョーザ事件ではなくて牛肉コロッケ事件を思い出しました。あのときも、地元の保健所、農政事務所どちらにも言ったのに、どちらもそれが報告されていないというような観点の論争が最初にあったのですが、先ほどの4月30日、これはなくなりましたが、まさにいつきちんと把握したかわからなかったというのが、いまだに起きているんだなというふうに改めて感じた次第です。
 ただ、先ほど中尾委員がおっしゃったように、教訓としては少しずつ蓄積しているのかなというふうに感じています。今回のことに関しましても、いろいろ議論はあるところですが、これだけ明らかに出しているということであれば、全く評価し難いというふうに言い切るのは、私としても、今までの経緯を見ていくと、いろんな縦割り行政を直していくんだというような方向は見えるので、全く評価し難いというふうには書かず、先ほどの言い回しではないですが、率先していたかどうかというところも検証して書いてはいかがかなというふうに思います。

○消費者庁福嶋長官 消費者庁としては、冷凍ギョーザ事件の教訓というのは、情報が一元化されなかった、それで対応が政府全体として遅れたというところにあると考えています。実際に冷凍ギョーザ事件の総括した文書などを読むと、反省点としてそういうところに一番ポイントが置かれています。今回もそうですし、いろいろな消費者事故が起こったときに、ちゃんと情報が集められ機能しているのかどうかというところは、完璧かどうかは別として、すべての事案について注意深く見ているつもりです。
 この場合は、保健所や厚生労働省がちゃんと機能していたことは少なくとも確認をしているわけですが、そこはきちっとやらないといけないと思っていますが、率先垂範ということで言えば、すべての事案に率先垂範でやれるか。すべての事案というのは、食中毒はたくさん起こっています。食中毒に関するものに消費者庁が先頭になって動いていくということは、今の消費者庁の持っている資源を消費者のために一番有効に使うという観点でいけば、なかなか難しい。食中毒問題を消費者庁が前面に出て取り組んでいくというよりは、関係省庁あるいは自治体がちゃんと動いているかどうか見ていくことが、現状の体制ではやるべきことかなというふうに思っています。ただ、どこをどう修文してくださいという、個々については具体的な要請ではありませんので、皆様にお任せします。

○諏訪園参事官 先ほどの中尾委員の御質問に対して、私はきちんとお答えできなかったのですが、先ほど御指摘がありましたように、28日の段階で福井県の報告は事業者名なしで通知がありまして、事業者名について問い合わせをしなかった。実は福井県、富山県の事件をリンクさせるというか、結びつけることができたのは厚生労働省と消費者庁だけなんです。つまり富山県は富山県で自分のところで手一杯で、富山県は自分の県に対しては、生肉料理を避けるように28日に県民に啓発しています。福井県はしていないわけです。しかも、このフーズ・フォーラスというチェーン店は横浜にも出店していましたから、全国的に周知できるというミッシングリンクを結びつけられるのは消費者庁と厚生労働省だけで、厚生労働省はどちらかというと保健所の対応に追われるということで、消費者庁が消費者目線に立って、全体の情報をマクロ的に見てそこを統合する。まさにそれが消費者庁が情報収集を一元化するということなので、それができていなかったということで、先ほどの率先垂範というのは、一元化の話も含めてという意識で書いているわけでございます。そういう意味では、先ほどの答えはその部分が欠けておりましたので、追加で申し上げます。

○消費者庁福嶋長官 いいか悪いかはそれぞれ御意見があると思いますが、消費者庁がこの時点でやってきたことは、厚生労働省がちゃんとどちらも把握している、両方の事件を把握して調査しているということを、消費者庁は確認をしていたということです。

○宇賀座長 中川座長代理、どうぞ。

○中川座長代理 率先垂範というのは、私は個人的に一つの方向で法律を読み過ぎているという違和感があります。他方、共有されるのは、情報一元化をした司令塔ということだと思いますので、そういう表現ならば恐らく違和感はないと思います。司令塔というのは、常に攻撃の先頭に立つとは限らない。後方から、おまえあれやれ、これやれと命じることもある。今、まさにおっしゃったように、厚生労働省がちゃんとやっているから今回は厚生労働省に任せようというのも、あり得る選択肢だと思います。それが不十分かどうかという評価の問題はもう一つありますけれども。
 そうしますと、「率先垂範して」のところは、「消費者庁が事故情報を一元化した司令塔として」、消費者安全法の趣旨が生かされた対応だったかについて、あとは、「評価し難い」と言うのか、「徐々に進歩している」という形にするのか、今、私はアイデアがありませんけれども、率先垂範に関しては、そういう一般的に使われている言葉の方がよろしいかなと思います。

○中嶋委員 消費者安全法から考えると、率先垂範ということに問題があるとことであれば、食中毒に関しては、消費者庁としては、厚生労働省の対応を主として自分たちは従として対応しますと、はっきりここに書いても良いのではないでしょうか。それの方がもう少し文脈としてははっきりしてくると思いますけれども、いかがですか。

○消費者庁福嶋長官 直接の所管という意味では、例えば食肉、生食の基準をつくるのは厚生労働省の方です。ですが、食品表示の部分は消費者庁が直接持っているということですので、そういう表現を書いていいかどうかというのは皆さんの判断だと思いますけれども、所管としてはそういうことです。

○中嶋委員 もしそういうことであれば、消費者庁としては、現在の消費者安全法に則って、機能を果たそうとされているわけで、我々が期待している機能とは違っているわけですから、ここで、こういう論調のレポートをまとめること自体が余り意味がないように思います。言ってみれば、私たちの期待とは離れて、消費者庁の方々は動いておられるというふうに私には見えますけれども、いかがですか。

○消費者庁福嶋長官 期待をされているということがどういう中身なのか、正確に把握しないといけないと思いますが、食中毒の問題を、消費者庁が直接所管をして基準をつくったり、現場に立入検査をしたりというふうに、直接消費者庁がやるという仕組みにはなっていないということは確かだと思います。

○中嶋委員 消費者に対して、こういうことが起きたということを通知する義務というのは消費者庁にあるのでしょうか、それとも厚生労働省にあるのでしょうか。主たる義務ですね、主たる仕事としてはどちらが管掌されるべきなのでしょうか。

○消費者庁福嶋長官 勿論、消費者庁としても公表の仕組みがあるわけですから、義務を持っていると思いますが、現場の保健所、厚生労働省も、その地域の人、県民あるいは国民全体に周知をします。これもちゃんと義務として、します。どちらかだけが持っているということではないと思っています。

○中嶋委員 消費者庁も消費者に対してこういうことを告知する義務があるのだとすると、ここの書きぶりは、文章の表現は別にして、このストーリーでまとめていってもおかしくはないということになりませんか。問題は「評価し難いと思われる」というところの表現だけですね。この辺はレトリックでかわせばいいということで、論調自体は変わらないということでよろしいんでしょうか。

○消費者庁福嶋長官 私は、「評価し難い」というところが消費者庁として困ると申し上げたのではなくて、冷凍ギョーザ事件の教訓という形で消費者庁がこの問題で率先垂範というふうに持ってくるのは、ギョーザ事件の教訓とどう整合しているのか。少し違和感といいますか、明確ではないというところで申し上げたので、「評価し難い」というのは余り歓迎はしませんけれども、別にここは、困りますと申し上げたのではないです。

○中嶋委員 これを書かれた方の思いを推測しますと、消費者庁ができるというトリガーになったのは間違いなく中国ギョーザの問題であり、福田首相が就任された後で消費者庁設立が急に動き出したのですけれども、これも餃子事件が大きなトリガーになっているので、そういうふうに書かれて、筆が走ったという部分もあるかと思います。しかし、メディアにしても、私個人も、消費者庁ができるきっかけになっているので、こういうふうに書かれたのではないかと私は思います。ですから、確かに違和感があると言われれば、そのお立場からはそうかもしれないんですけれども、一般的にはそんなふうに見えるのですが。

○消費者庁福嶋長官 ギシギシ議論して、これが絶対正しいとかいう問題ではないとは思いますが、消費者庁設立のきっかけになったことは確かです。ただ、冷凍ギョーザ事件で問われたことという中身があるわけで、そのこととこの書きぶりがストレートにつながるのかなということで申し上げたわけです。

○諏訪園参事官 中国ギョーザ事件はさまざまな教訓がありますので、何が一番の教訓かというのはありますけれども、あれはいろんな地域で散発的に起こって、その情報の収集が一元化できなかったことが一番の大きな話だろうというのが、当時の国会等の記録でもございます。今回の場合は、富山県と福井県と2つの離れた地域においての情報を収集して一元化して、これは同じ業者だなということがわかるということができたのは、消費者庁か厚生労働省ではなくて、消費者庁は消費者視点に立っていち早く公表ができたというところを逸してしまったという意味では、中国産冷凍ギョーザ事件が当たるだろうというふうに考えています。

○消費者庁福嶋長官 それは先ほどお答えしたことです。

○中尾委員 インターステートみたいにいろいろなところがあって、確かにギョーザ事件は、生協がそれぞれ6つぐらい違うところだったからうまくいかなかった。あのときうまくいかなかったというのは、生協の本店の方でも月に3,000件もそういう情報があったときに、ギョーザの情報だけを取ることができなかったわけです。それはなぜかというと、紙だったから。これが、もし消費者庁が自分でPIO-NETか何かを使って分析して、これを見つけたらすごかったけれども、それは厚生労働省の質の高い情報が来たもので、県が違っても同じだというチェックをしたわけだから、もっと件数が多いところでできたらパーフェクトだったとは思う。その辺のところをいろいろ書いておかないと、これからだけですというと、何だ、消費者庁があっても大したことないじゃないかと思われるのはちょっと悲しいから、それはやめておいたけれども、これが見つかったのはこういうところだったんだというところも分析してもいいのではないかなと思います。

○諏訪園参事官 見つかったというか、繰り返しになりますけれども、28日の時点で厚生労働省に福井県の報告が来まして、これはファックスで紙で来ているわけです。これは福井県が既に公表した報道発表資料なのです。それが消費者庁に届いた。前の日に富山県からも同じような情報が届いていて、富山県の方は事業者名が書いてあった。ここで福井県が漏れていれば、必ずこれは消費者安全法違反になりますので、聞かなくてはいけないわけです。それを聞いていなかった。だから、聞くという基本動作があれば容易に結びつけられただろうということですけれども、それは勿論、仮の話といえば仮の話ですが。

○中尾委員 これから考えなければいけないのは、次にドイツと同じことが起きて、5,000人ぐらいがバーッと食中毒になったときにどう対応するのか。何だかわからないですね。ユッケみたいな肉というのが特定できればいいけれども、特定もできないような状態になってしまった。これが起きたときにどういうふうに対応するのかという部分は、考えてやっていかなければいけないと思います。

○宇賀座長 そうしますと、ここの部分はいろいろな御意見が出ましたけれども、基本的に中国産冷凍ギョーザ中毒事件では事故情報の一元化がうまくいかなかったというのが大きな教訓であって、それについては、今、諏訪園参事官から御説明がありましたようなことで、複数の県からの報告を得た段階で、それについていろいろ調査をすることによって、同一の事業者に係るものだということを結びつけることが期待されていたということかと思います。それは多くの消費者の方の御意見だと思います。、「消費者庁が率先垂範して」という部分については、先ほど中川座長代理が言われたような問題もありますので、「消費者庁が事故情報を一元化し、司令塔として、注意喚起を図っていくという消費者安全法の趣旨が」という形に変えることとしたいと思います。
 それから、「評価し難い」という部分については、評価する御意見もありましたし、これは少しきつ過ぎるのではないかという御意見もありました。それなりの対応といいますか、厚生労働省で適切な対応がとられているかを確認する等の対応がとられたけれども、しかし、消費者安全専門調査会の皆様の御意見の大勢としては、やはり十分ではなかったということだと思いますので、そういった表現に変えるということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○宇賀座長 それでは、そのようにさせていただければと思います。
 5点目が、34ページの一番最後の段落です。ここで「公表の基本要領」の話があって、その後、総務省の報告がある。ここがうまくつながっていないのではないかという御意見だったと思いますが、ここはいかがでしょうか。

○中村(晶)委員 前段部分の基本要領ですが、これは、基本要領の定期的な公表の部分の文言をとっておられるのでしょうか。これは事務局にお伺いしたいのですけれども。

○諏訪園参事官 おっしゃるとおりです。定期的な公表の部分です。

○中村(晶)委員 7回目にいただいた資料を、今、手元に持って申し上げているのですけれども、先ほど長官は、事故の概要というのは、事業者名や型式を含まない概念だとおっしゃったのですけれども、基本要領を見ますと、「事故の概要等」と書いてあって、「事実関係の詳細が未確認であっても事故の概要等を公表する」というふうになっています。この場合、特にその後の2つ、「因果関係があると強く疑われる場合には詳細な内容を公表する」となっていますから、それからしますと、「なお」の前段部分3行を、基本要領の言葉に即したように正確に直していただいた上で、総務省報告として現にこういうものがあるということの指摘は、それでよろしいのではないかと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。

○消費者庁福嶋長官 今の御指摘をいただいたことに沿ってお話をすれば、「事故の概要」というのは事業者名、型式名を含まないものを言っていて、含むものを「詳細な内容」という言い方にしています。御指摘いただいたとおりでいいと思います。私が最初にお話をしたのは、公表の基本要領に沿って公表していない。それに対して総務省の指摘があるということは事実とは違って、公表の基本要領がいいかどうかは別にして、今、改定作業をしていますから、今のままでいいとは思っていないのですが、基本要領に反して公表していないから総務省が指摘したのではなく、基本要領に沿って公表していることが総務省から指摘を受けた、そういう論理だろうというふうに思います。だから、「しかしながら」という言葉でつないであるのが、構成上の問題だろうと思います。

○中村(晶)委員 34ページの「なお」という部分は、ユッケ事件とは少し離れて、基本要領の文言と総務省報告は、今、こういうふうになっていますという指摘だと思うのです。そうしますと、ここの基本要領の文言を正確に挙げていただいて、もし、「しかしながら」という接続詞がよくないのであれば、他方、総務省からはこういう状況であるという指摘があるということを事実として並べていただいて、読み手は、こういう基本要領がありながらこういう状態であるんだなということがわかるようにすれば、よろしいのではないかと思います。

○消費者庁福嶋長官 申し上げているのはそういうことです。だから、「他方」でもいいし、「これに対し」でもいいと思います。基本要領がこうなっていて、これに対し総務省からこういう指摘があるというように、「他方」でも、どちらでも構わないと思います。

○中村(晶)委員 ただ、私も、基本要領に完全に従って公表がなされているかどうかについては若干の疑問を持っています。先ほど何度もやり取りがありましたように、基本要領の一つ前の項目に、定期的な公表にかかわらず迅速に公表を行っていくという項目が、わざわざ「基本的な考え方」として定められているにもかかわらず、それがおこなわれていないということについて、先ほど来、消費者庁としての姿勢はどうなのかという御意見があったと思います。基本要領に完全に従っているという言葉を入れるのがいいかどうかについては、私としては若干の疑念がございますけれども、そこはほかの先生方の御意見を聞いていただきたいと思います。

○消費者庁福嶋長官 基本要領全体が全部守られているか、という御議論かなと思うのですが、ここの総務省の指摘というのは、事業者名、型式名の公表についての指摘です。それについて公表の基本要領ではどう言っているかというと、「被害等、結果の原因がある」、要するに製品起因だということが明確な場合、強く疑われる場合は、事業者名、型式名を出すというふうに今の基本要領では言っているわけです。だから、全体が基本要領に沿って公表しているかどうかというよりは、今の基本要領ではそうなっていて、それに基づくと総務省のような指摘が来るということなのです。
 ただ、申し上げたように、基本要領を越えて事業者名あるいは型式名を出すように努力しているところは、実際の運用ではあるのですが、公式の場でこうやっていると、逆に言っていいのかどうかわかりませんが、それはもう公にしていますからいいと思いますが。ですから、ここは型式名や事業者名のことだというふうに理解しております。

○諏訪園参事官 事務局として、「しかしながら」をつけた趣旨を申しますと、まさに消費生活用製品安全法で報告があって公表された、事業者がごめんなさいをしてきたという場合に限ってということなので、今の基本要領は、いろいろと御指摘がありましたように、「因果関係があると強く疑われる場合には」とありまして、そこは消費生活用製品安全法等の運用に合わせてあります。製品起因の事故であるか否かについては、そもそも行政機関が調べるわけですから、その行政機関によく聞いて、そこで強い疑いが把握できれば発表してもいいということはあり得るのに、実際には公表していない実態があり、そこも含めて総務省はそういうふうに指摘しているのだろうと思われましたので、「しかしながら」と書いているわけで、「しかしながら」の接続詞が本当に間違っているのかという感じは、事務局としては、間違っていないというふうに思っております。基本要領は非常によくできていまして、要は消費者庁自らいろいろ調べてやってもいいはずなのに、まさに消費生活用製品安全法で上がってきた場合だけ型式名を公表する、それはいかがなものかというのが、総務省も我々もそう思っているということでございます。

○宇賀座長 ほかは、いかがでしょうか。

○中村(均)委員 別件でよろしいですか。2つありまして、まず一つ目は、公表のところまでは書いてあるんですけれども、たしか我々の議論の中では、公表しても消費者に届かないと意味がないという議論をしたはずです。そのところで、消費者に届く有効打をどうやって打つのかというところが少し欠けているのかなという認識があります。これは皆さん方の御意見を伺いたいというのが1点で、要は消費者の皆さん方に届かないものは、公表とは私は言わないと思っておりますので、そこはちょっと議論したいと思います。
 2点目は、この報告書で提言した後どうなるのかというのが、初めてなので、すごく疑問を抱くんですけれども、我々の目的は、繰り返すまでもなく、4ページ目の下から11行目に書いてありますように、安全を確保して安心を確かなものとするために、法制、その運用体制をどのように見直したらよいのかについて我々は議論して、ここに出したはずなんですね。それについて我々としては、今、議論されているようなことで疑問を抱いている。それに対して、今回、消費者庁の御意見だけが返ってきているわけですけれども、それに対してまた我々は意見があるわけです。そうすると、この報告書を出した後、それぞれ問題を投げかけたところから、いつ回答が返ってきて、それに対して我々はまた意見を言う機会を与えられるのかどうか、そこをお聞きしたい。この2点です。

○諏訪園参事官 今後どうなるかというのは、まさに消費者委員会の方で決めるので、むしろ消費者委員会の委員もいらっしゃいますので、どんな感じかをおっしゃっていただけますか。

○佐野委員 中村(雅)委員と二人で出席させていただいておりますけれど、この報告書は座長から消費者委員会に報告していただきます。その後、消費者委員会としてどうするかと考えるのですが、建議がきちんとできたらいいかなというふうに考えております。その後、またやり取りができるかどうか、ちょっとそこまではわかりませんが、この報告書で、コンマになるか、マルになるかわかりませんが、一たん締めるという形になり、消費者委員会で更にこれに建議をするという形になると思います。

○宇賀座長 それでは、5番目の点ですけれども、先ほど中村(晶)委員から御提案がありましたように、公表の基本要領のところをもう少し詳しく書いていただくということ。それから、接続詞はいろんな御意見がありまして、「しかしながら」ということについては、必ずしも適切でないという御意見もございました。中村(晶)委員は「他方」でしたね。

○中村(晶)委員 「しかしながら」というのに、評価が入っているとおっしゃっているわけですね。だから、もし委員の先生方がそこにこだわらないとおっしゃるのであれば、別の方法を考えてもいいのではないか。

○中嶋委員 長官は「これに対して」と言われているんですか。

○宇賀座長 「しかしながら」という部分について、それでは正確ではないという御意見ですけれども、ほかの委員の方、いかがでしょうか。

○中嶋委員 長官は、「しかしながら」の代わりに「これに対し」というふうに先ほど言われたんですね。

○宇賀座長 「他方」とかですね。

○中嶋委員 それの方がよいと言われましたね。私はそれでもいいと思います。

○消費者庁福嶋長官 こだわりません、「他方」でも。中村(晶)委員がおっしゃったように、前段を全部引用した上で「他方」ということで、それで私はいいと思います。

○宇賀座長 ほかの委員の方、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
 最後、ここは表現だけの問題ですけれども、47ページの真ん中です。「事業者からの結果報告については、消費者庁として何々することとする」という部分です。これは消費者委員会が書くのだから、「消費者庁として何々することとする」という言い方は問題ではないかという御意見です。消費者庁として、消費者の視点に立って改めて検証すべきであるとか、そういうふうな表現にした方がよいという御意見ですね。

○消費者庁福嶋長官 はい。

○宇賀座長 それは、そういうことでよろしいでしょうか。
 それでは、今、長官からいただきました御意見につきまして、皆様の御意見を伺いまして、若干修正する点もございますけれども、今、皆様からいただいた御意見として、ここでまとめましたことを踏まえて修正させていただきたいと思います。

○佐野委員 済みません、確認させていただきたいのですが、32ページの2日の大臣会見のところです。ここで消費者庁は、「一般的」というのを「全体的」と修正したいというのはわかりましたが、次のページにある、「ただし、事業者名は公表せず」と消してあるのは、これは生きるということでよろしいのですか。

○宇賀座長 これはなぜ消えたかというと、消費者庁の御意見で、これは全体的なものであるから、特定の事業者の名前を出すことを目的とそもそもしているものではないけれども、「事業者名は公表せず」という表現を使うと、特定の事業者の公表であるにもかかわらず、あえて事業者名を伏せたという誤解を与えてしまうからという御意見でした。「全体的な」という形にすればそういう誤解を与えないから、復活させた方がいいという御意見であればまた議論しますが、そういう御意見ですか。

○佐野委員 はい。

○宇賀座長 では、ほかの委員の方、いかがでしょうか。全体的な注意喚起として公表したため個別の事業者名は公表せずと、そういうふうな表現ですかね。そういうことでよろしいでしょうか。
 では、今、佐野委員からそういう御意見がありましたので、そのようにさせていただきたいと思います。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、ここでまとめました方向に従って、若干報告書を修正させていただきたいと思います。修正の仕方につきましては、ここでとりまとめたような形で、議事録も作っておりますので、それを参考にしながら私の方でまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○宇賀座長 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
 昨年の3月以降10回にわたる検討会で、非常に熱心な御議論をいただきまして、本当にありがとうございました。せっかくの機会ですので、今回、消費者安全専門調査会を終えるに当たりまして、御出席の方から御意見、御感想をいただきたいと思っておりましたが、残り時間も少なくなってしまいました。限られた時間の範囲ですが、消費者安全専門調査会での検討につきまして、何か御意見、御感想がありましたら、お伺いしたいと思います。

○齋藤委員 この案について、今、長官のところだけはコメントされましたけれども、報告書の書き方について、5ページの一番下のところ、「したがって、消費者庁の人員を抜本的に増やす必要がある」と書かれておりますが、私はこれは問題で、書かない方がいいと思っています。もし書くのならば、「消費者庁が効果的に機能する体制を充実すべきである」のような書き方にすべきだろうと思います。
 というのは、専門人材を補強しなければならないと書かれていますけれども、どういう専門人材が求められるかというのはケース・バイ・ケースで違ってくるわけでして、消費者庁に人員を増やすということは国家公務員を増やすことになります。そうすると、国家公務員をどんどん増やせ、解雇はできないということになるロジックもあるわけです。人を固定するよりは予算を確保して、やり方はケース・バイ・ケースで良いやり方をすればいいというのが、通常の考え方だと思うのです。が、その辺の議論はなかったように思います。

○宇賀座長 「人員」を「予算」に変えるということでしょうか。

○齋藤委員 「効果的に機能する体制を整えるべきである」ということです。やり方は、人を増やすよりは金を増やした方がいいだろうと私は思います。あとは外注したり、ケース・バイ・ケースでいろいろあり得る。とにかく抜本的に人を確保すると、二度と縮小しなくなることを懸念します。

○宇賀座長 わかりました。そうしましたら、消費者庁が効果的に機能するように、人員ではなくて予算の増加が必要というように修正したいと思います。

○齋藤委員 「予算等」でもいいですけれども。

○宇賀座長 「予算を抜本的に増やす必要がある」、そういうことでよろしいでしょうか。

○中嶋委員 諏訪園さんに、「はじめに」のところを見直していただいたのですが、やはり最後にもう一言申し上げたいのは、安心と安全という言葉の並びなんですけれども、安全と安心の方が個人的にはしっくりくる。安全をやっている人間からすれば、まず安全を確実にして、信頼関係を事業者と消費者の間で確立して、それで安心というふうになるので、安全、それから安心という語順に並びを変えていただければと思います。これはほかのページにも出てきますので、またメールで送りますけれども、いかがですか。

○齋藤委員 もう一つ言おうと思いましたら、間で発言が入りましたので、済みません。同じコメントが、23ページの一番下のところ、ここは予算を書いていますけれども、人を増やせと書いております。人はむしろ削る方がいいのではないか。

○宇賀座長 わかりました。23ページも人員のところは削ることにしたいと思います。

○鶴岡委員 行政効率化の観点については、基本的にはスクラップ・アンド・ビルドといいますか、不要になっている点を人員を減らして、必要な部分は増やす、これが原則だと思います。安全問題に関しては、今までの消費者庁さんの説明を聞いてきましても、人員の不足というのは切実だと思うのです。したがって、完全に人員を消してしまうというのは私はちょっと問題だと思います。したがって、「人員と予算を効果的に増やす」とか、そういった文言にしたらいかがでしょうか。

○宇賀座長 今の鶴岡委員の御意見に対しては、いかがでしょうか。

○齋藤委員 とにかく、増える一方ということにならないようにしていただければ結構。このままならば、抜本的に増やせと書いていますから、それは私はノーです。
 それから、これは事務局に質問ですが、27ページの真ん中、マル3の上のところです。「消費者庁設立以来、取引関係の事案2件に止まり、身体安全関係の情報については、これまで実績は存在しない」とございます。私の記憶では、たしか福嶋大臣だったと思いますが、乳母車で幼児が指を切る、その製品を買わないでくださいという注意喚起がテレビでなされた。そう記憶しているのですけれども、あれはこのルールではなくて、イレギュラーな発表なのでしょうか。

○諏訪園参事官 そうです。その下のマル3の「社会的影響等を勘案した公表」だというふうに理解しています。もしあれでしたら、消費者庁から。

○消費者庁金児企画官 消費者安全法第15条1項に基づく注意喚起ではないということです。

○宇賀座長 よろしいでしょうか。

○齋藤委員 わかりました。

○宇賀座長 阿南委員、どうぞ。

○阿南委員 先ほどの人員のところですけれども、地方消費者センターはもっと人員の体制強化が必要なのです。今、何とか増やそうという努力もしているところでありますので、そこはちょっと削れないです。

○齋藤委員 地方はね。

○阿南委員 はい、地方は。

○中尾委員 この第4の結論は目的と対応してくれて、非常にありがたいと思います。でも、これは何々すると書いてあったけれども、過去形で「した」でもいいのではないか。例えば、情報を集めましたかというのは、前と比べればすごくよくなったから、よくできましたという感じだし、誤使用とか非重大事故の情報にもきちっと対応していますかというのも、過去形で「した」にしてもいいぐらいで、立派に集めた。
 ただ、さっき中村(均)委員がおっしゃっていたように、公表とか活用とか、これはどうなっているのかというところを、さんざん委員会でいろいろ言った気がするけれども、何も書いていないから、なにか悲しいなと。もっともっと強く、私の意見で言えば、ちゃんとスタンダードをつくるところまできちっと命令できるようになってほしい。そのくらいにしないとフィードバックはされないですね。だから、体制を変えていく。
 (2)のところで、提言のところは業界を指導するというけれども、これは20世紀の話ですね。中国製品に業界はないですね。だから、それは国が一生懸命自分たちのスタンダードをつくっていかなければいけない。業界にもっといいものをつくってこいという命令は、日本のものづくりがちゃんとあるときにはいいけれども、なくなったときはどうするのかといったときには、やはりスタンダードをつくっていかなければいけないのではないかなと思います。
 最後に、人間を増やすということについて、PIO-NETがそうだけれども、めちゃくちゃ情報が多くなってきたときに、デジタルに情報処理できる人を最低限増やさないと、情報に埋もれてパンクしてしまうのはもう目に見えています。だから、6人、7人増やすなんてことを言わないで、100人増やしたっていいぐらいなんだから、もっとガンガン増やして、消費者庁に集中する情報をどんどん処理する人を増やさないとやり切れないというのは、もう見えていると思います。デジタル化に対応するということをきちっと書いて、人をよこせというのを書くべきではないかと思います。

○中嶋委員 今の中尾先生の御意見に関して、第4については、「一層強化するための」と書いてあります。今までやっていなかった、ではなくて、今までやってきたんだけれども、「一層強化するための対策とその実現に向けた検討について」ということで、今後のテーマ出しをしていると思うのです。したがって、今までやっているから、「やった」と書けでは、これは全体がちょっとまとまらないのではないでしょうか。これが「です」になったからといって、今までやっていなかったとは読めない。理由は、「一層強化するための対策」となっているので、現状否定ではないように思うのです。

○宇賀座長 49ページの第4のところですけれども、今、中尾委員と中嶋委員から御意見がありました。中嶋委員が言われたように、一層ということですけれども、前のところに、これまで一定の努力がされ、前進も見られるが一層、という形にしたらどうでしょうか。それでよろしいですか。

○中尾委員 「一層」ね。はい、いいです。

○宇賀座長 では、そういうことにさせていただきたいと思います。
 田澤委員、どうぞ。

○田澤委員 ユッケの事件のことをこれだけ非常に精査してあることについてはよくわかって、興味深かったのですけれども、前回も申し上げましたとおり、12ページの加水分解コムギ末を含有する石けんによるアレルギーが発症するということ。先ほど事務局から、佐竹委員からというふうにお話があったりして、ちょっと私の記憶と違っているのですが。これは「悠香」という事業者の化粧石けんなんですね。その化粧石けんの件については、表示に加水分解コムギ末が入っていることを明示してあるのだから、アレルギーを発症したからといって、たとえそれが1か月以上であったとしても重大事故にはならない、というお話が消費者庁からあったと私は聞いたんですね。消費者庁に確認をしていただきたいと思って、それで発言したのです。
 非常に重篤な事故で、アレルギーですからショックが大きいですから、救急車で運ばれたというような事件があって、佐竹委員がおっしゃっていたのは、数日で退院して、その後、原因がはっきりすれば、常にいざというときのためのお薬は持っているけれども、通院をずっとしていくということはない。30日を過ぎることはないから、報告することはないけれども、とても重篤なものであったという場合でした。
 それから、原因がはっきりしない。コムギだとわかっているけれども、ふだん使っている化粧石けんがアレルギーの重篤なものが起きてしまう原因だなんて思っていなければ、ずっとお医者様に通っていて、30日を超えてしまう場合があって、そういうものについては1か月を超えていますから、私どもは通知をする。ただ、通知をした場合、それが重大事故ではなくて参考情報というふうに扱われたことがないか。その辺を検証していただきたいという趣旨で前回私は発言いたしました。
 佐竹委員は、そういう重篤なものだけれども、1か月にならないので通知はしなかった。だけど、重篤なんだからもっと大事に扱ってほしいという御趣旨であり、私は、30日を超えた場合はこれは通知するべきものと思うけれども、仮にそうしたとしても、参考情報とされるようなことはなかったか。その辺のことをきちんと見ていただいて、厚生労働省が12月に発表し、5月に事業者の回収があって、それから6月に消費者庁が注意喚起をしたわけです。そうではなくて、もっと前にPIO-NETに入ってきたいろいろな情報を見たならば、もっと消費者庁としてやるべきことがあったのではないかということを前回申し上げたかったということで、注のところは、小さいものではありますけれども、私はとても重いものだと思うので、訂正していただいて、また、検証した結果を教えていただきたい。または、ここに少し書き込んでいただきたいというふうに思った次第です。

○諏訪園参事官 それは消費者庁の方で調べて。

○田澤委員 どんなところがあるか、是非、教えていただきたいと思います。

○宇賀座長 消費者庁の方、どうぞ。

○消費者庁滝政策企画専門官 悠香の石けんに関しては、公表する際にはPIO-NETでも当然調べたわけですが、その結果についても数をはっきり覚えていませんが、公表資料に載せてあったかと思います。そこも確認して調べていきたいと思います。

○田澤委員 あれはたしか厚生労働省の方に、何件とかいう書き方であったように思います。

○消費者庁滝政策企画専門官 それ以外にも、消費者庁として調べた結果も公表資料に載せたかと思います。

○田澤委員 ですから、それを調べた結果、振り返ってみて消費者庁としてやるべきことはなかったか、ということを私はお尋ねしたかったということでございます。

○消費者庁滝政策企画専門官 わかりました。

○田澤委員 それと、文言のことです。書き方のルールですけれども、ここでは石けんという書き方をしてあって、悠香という事業者名は出ていないです。でも、ユッケのところでははっきりと事業者名が出ている。こういうバランスの悪いのはどこかに統一した方がいいのではないか。言葉で、お年寄りという言葉と、高齢者という言葉が混在したりしているので、それを、もっと早く申し上げればよかったんですけれども、直していただけたらと思います。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。今の点は事務局で訂正をお願いします。
 中川委員、どうぞ。

○中川座長代理 先ほどの中尾委員の御意見のサポートなんですけれども、今後はもう少し権限を強化するような一言を入れてくれないかということでしたが、恐らく29ページの一番下のことを言われているのではないかと思います。ニューアプローチの話です。これは、中嶋委員もあのときは御発言されて、私は非常にいいアイデアだと思ったんですけれども、51ページの最後のところでは特にそれが出てきていないような気がします。51ページの(2)の2段落目辺り、ここに書いてあるのは情報収集強化、あるいは、収集のことばかりですけれども、ここ、ないしは次の段落のどちらかに、29ページの一番下の指摘事項、例えば、「安全基準策定における消費者庁の役割の在り方を、今後、法制の検討を含め考える」というような一文があると、せっかく議論をした甲斐があるかなと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。それでは、今の点は加筆していただくということでお願いします。
 ほかはいかがでしょうか。

○中村(晶)委員 先ほど中村(均)委員が言われた、情報を公表するということは届かなくては意味がないというところなのですが、参考資料の1-3に挙がっておりますように、ここでだいぶ時間を使ってそういう御意見が出ていたと思うのです。いかにして届けるか、また、受け手がわかりやすくするか。そこのところが、もう一回読み直してみましても、最後のところにその部分がやや足りないというふうに思います。あれだけ皆さんから意見が出ましたので、資料の1-3を引いていただいてもいいんですけれども、そのような視点での受け手の側に届きやすい公表の仕方が多く挙がっていたということと、それをもう一回工夫していただければというところを、加えていただいた方がよろしいかと思います。

○宇賀座長 では、事務局、どうぞ。

○諏訪園参事官 今のところは文章表現が足りなかったのかもしれませんが、49ページの「マル3リコール後の効果的な注意喚起等による回収策強化」ということで、「消費者の意識・行動を変えるような」と。これは当初、御発言ではセンセーショナルなという話がございましたが、それはちょっと取りまして、「注意喚起を行い、リコール後の回収率を引き上げる~メカニズム」云々ということで、まさに消費者に届くようなということを書いてはいるのですが、もうちょっと表現ぶりを工夫することも考えてみたいと思います。

○中村(晶)委員 中村(均)委員が言われたのは、多分リコールの場合だけじゃないですね。

○諏訪園参事官 わかりました。

○宇賀座長 ここはリコールの後のことが書いてありますけれども、この調査会では特にリコールの場合に限定せず、消費者にわかりやすく情報を伝えるべきという意見がいろいろ出ていますので、その辺りも加筆をお願いします。
 横矢委員、どうぞ。

○横矢委員 今、ご説明いただいていることなんですけれども、今日のお話で、質問をして、それにお答えていただいて、すごくよくわかる部分があったのですが、それが、これを読んだだけの方には伝わらないのが残念だなというふうに思いました。それで、これからもっと伝わりやすくしていかねばならないと思うのですが、私の頭の中では、どこが改善できる点なのか、わかりやすいQ&A集や、これを読むための手引き書みたいなものにホームページのイメージがムクムクわいてきています。例えば、「緊急アナウンスを出すルールはどうなっているんですか」、「何で出さなかったんですか」、「今後変わる可能性がありますか」というふうな質問に回答があって読んでいけるとか、幾つか思いつくんですね。さっきの小麦のアレルギーの話にしても、何でここでこれを取り上げたんですか?という説明がちょっとあったら、すごくわかりやすくなっていくと思います。報告書としては多分こういう形が重要だと思いますけれども、せっかくいろいろ公表についてもお話ししてきたのですから、期限は今回というのは無理かもしれませんが、何か新しいことに取り組んでいくきっかけとして考えていただけるといいなと思いました。

○宇賀座長 諏訪園参事官、どうぞ。

○諏訪園参事官 確かにおっしゃったように、専門調査会の報告書自体は細かい話も詰めているのですが、消費者委員会に上げて説明するときには、横紙のわかりやすいパワーポイントの資料を図解で示したものをつくっておりますので、こういった形で、より消費者にわかりやすくといったことを心がけたいと思います。

○宇賀座長 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは、事務局から連絡事項等ありましたら、お願いします。

≪3.その他≫

○原事務局長 長時間、どうもありがとうございました。消費者庁から長官も御出席いただきまして、充実した議論ができたと思います。
 昨年3月の第1回以来、今回第10回に至るまで、1年を超える長きにわたりまして御審議をいただきました。いろいろな事象を、走りながら見ながら検討していったというところがございまして、調査会でこれまで提案として出たものは、すでに消費者庁の方で取り組んでいただいているものもございます。そういう意味で、今後も消費者庁と並行しながら議論をまた進めていきたいと考えております。
 報告書をまとめるに当たりましては、委員の皆様には本当にいろいろな貴重な御意見をいただきましたことを、感謝申し上げたいと思います。
 本日、御意見をいただきましたものを、座長一任というところで、もう一度、修文した文章を皆様には御案内したいと思いますけれども、今週の金曜日、7月15日に開催を予定しております消費者委員会において、座長から御報告をいただく予定となっております。今後、やはりこの消費者安全の問題は大変大きいですので、何らかの形で課題として取り組んでいくことになろうと思います。
 事務局からは以上です。

≪4.閉会≫

○宇賀座長 ありがとうございました。
 本日、最終回ということで、皆様から10回にわたる消費者安全専門調査会の審議全般について、いろいろと御意見、御感想をいただきたいと思っておりましたが、時間が十分とれなくなってしまったことをお詫び申し上げます。
 長期間にわたりまして、貴重な御意見をたくさんいただきましたことに、心よりお礼を申し上げます。それでは、消費者安全専門調査会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

(以上)