第2回 消費者安全専門調査会 議事録

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日時

2010年5月25日(火)13:00~15:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
宇賀座長、中川座長代理、赤松委員、阿南委員、齋藤委員、佐竹委員、杉山委員、鶴岡委員、
中尾委員、中嶋委員、中村(晶)委員、西村委員、橋本委員、横矢委員、吉岡委員
【消費者委員会委員】
佐野委員、中村(雅)委員
【説明者】
消費者庁 野村消費者安全課長
【事務局】
消費者委員会 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.前回の議論の整理
3.事故情報の通知・集約について(現状と課題)
4.その他
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:59KB)
【資料1】 事故情報を用いた消費者安全行政の現状と課題 (PDF形式:101KB)
【資料2-1】 消費者安全法に基づく通知制度について 【資料2-2】 消費者事故等の通知状況等について 【資料2-3】 消費者安全法施行対応マニュアル(生命・身体被害関連)
(参考資料1) 合同会議(消費者委員会消費者安全専門調査会製品事故情報の公表等に関する調査会及び消費経済審議会製品安全部会製品事故判定第三者委員会)委員名簿 (PDF形式:69KB)
(参考資料2) 消費者安全に関する審議体制について (PDF形式:39KB)

≪1.開 会≫

○原事務局長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきたいと思います。本日は、皆様、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
 ただいまから「消費者委員会 消費者安全専門調査会」第2回の会合を開催いたします。よろしくお願いいたします。
 本日は、大前委員、片山委員、廣瀬委員、松岡委員、山上委員及び消費者委員会の担当委員の櫻井委員が御欠席となっておりますが、過半は超えておりますので、会としては成立をしているということを御報告申し上げます。
 齋藤委員が少し遅れておられるようですけれども、始めたいと思います。
 議事に入ります前に、第1回の会合を御欠席されました杉山委員、それから吉岡委員に簡単に自己紹介をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○杉山委員 皆さん、こんにちは。日本労働組合総連合会、連合の方から参加させていただいております杉山と申します。よろしくお願いいたします。

○吉岡委員 大阪府立急性期総合医療センターの吉岡でございます。財団法人日本中毒情報センターの専務理事をしております。その関係でここに参加させていただきました。よろしくお願いします。

○原事務局長 どうぞ、よろしくお願いいたします。
 それでは、宇賀座長、議事進行をよろしくお願いいたします。

○宇賀座長 本日は、消費者委員会の事務局から原事務局長のほか齋藤審議官、それから消費者庁からも野村消費者安全課長に御出席いただいております。
 では、議事に入る前に、事務局から配付資料の確認をお願いします。

○原事務局長 お手元に「消費者委員会消費者安全専門調査会(第2回)議事次第」となっております紙の裏のページですけれども、配付資料の一覧を掲載しております。
 資料1として、前回、皆様方、活発な御議論をいただきましたけれども、その議論の整理というものをしております。
 資料2の1~3については、消費者安全法に基づく通知制度など、後半の議論のための資料として掲載をしております。
 参考資料1と2というものをお付けしておりますので、議事の進行の中で不足の資料がございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。
 それでは、どうぞ、よろしくお願いいたします。

○宇賀座長 それでは、議題に入ります。本日は、前回の議論の整理と事故情報の通知集約について現状と課題を議題として取り上げたいと思います。
 それでは、まず、議事次第の2、前回の議論の整理について議論を行いたいと思います。
 御提案されました中川座長代理より、資料の1-1、前回の議論の整理に基づいて、全体の構成について説明をお願いしたいと思います。
 その後、第1回会合に出された意見のとりまとめについて、この資料に沿って事務局の方から御説明いただきたいと思います。

≪2.前回の議論の整理≫

○中川座長代理 中川でございます。前回、さまざまな意見が出まして、情報の収集・分析・利用の3点を大くくりにして議論を整理したらどうかということを申し上げました。言い出しっぺが整理しろということになりまして、簡単でありますが、このような表をつくってみました。
 冒頭に中川座長代理の整理に基づくとありますように、これはあくまで私の個人的な考えも含めたものでございまして、決して委員会として方向が決まったというわけではありませんので、まず、そのことを申し上げたいと思います。
 表の見方でありますけれども、1ページの一番上のセルを左から右に見ていただきますと、問題項目、そして、前回の消費者安全専門調査会で出された意見等、運用の改善策、制度改正を伴う改善策(立法的課題)となってございます。
最初の問題項目は、大体このように問題を大くくりに分けてはどうかという提案であります。
 その次が、これは事務局で御整理いただいた前回の委員からの意見であります。
 運用改善策と立法的課題というところが、私の個人的な考えも含めた指摘事項ですけれども、まずは、現状の運用をよく知った上で、改善策で何とかなるところはあるだろう。これまでもこれについて何度も問題が提起され、そして議論して、やはり難しいといったところ、あるいはある程度方法が見えてきたところ、いろいろあると思いますので、そこを整理しておこうという趣旨です。運用の改善策では、やはりどうにもならぬという場合に、最終的な立法的な改正あるいは新規立法というところに入っていくだろうと思います。
 例えば立法的課題のすぐ下に制裁金制度なんて書いてありますが、これは実際にやるとすると、大変な作業になるわけですけれども、そこにいくまでに、まずは改善でうまくいくところがあるのであれば、まずそれを議論しましょうと、そういう趣旨でございます。
 今度は、縦、同じページの一番左側のセルを縦に見ていただきたいのですが、まず、1ページ目は、情報の収集・一元化とございます。今日は、この議論をするのだと思いますが、情報の収集をするといった場合に、これを2つに分けまして、問題項目が2項に分かれておりますが、最終的に行政に情報が一元化されるとして、ひとつは、事業者から入ってくるという場合があります。これは主として消費者生活用製品安全法を念頭に置いてございます。
 それから、もうひとつ、消費者から行政に情報が入ってくるという場合があります。これが消費者安全法に基づくものであります。こういう2つに分けまして、それぞれどのような問題があるかというのを議論していけばいいのはないか。例えば事業者からの収集に関しましては、運用の改善策で、もう少し事業者や事業者団体そのものを活用するという方法はないのかということを書いてございます。
 次のページをごらんいただきたいと思いますが、今度は情報の分析であります。これも大きく問題項目を2点に分けておりまして、だれがどこまで分析するのかと、そのコストをどうするのかというのが上の方のセルです。
 下の方が捜査機関との関係でございます。ここには運輸安全委員会等が書いてございますが、ほかに、消防と警察の関係という消防法35条の4があります。こういったほかの場面でどうしているかということを考えながら、運用の改善策を考えてみたり、立法を考えるということになろうかと思います。
 そして、最後の3ページ目、情報の活用、情報の公表というところでありますが、だれに何を届けるのかということ、これもさまざまな課題がございます。運用の改善策として、例えばリコールの場合との比較を考えたらどうかということが書いてございますが、このような形で整理をしてみました。
 最後は全般でございますが、これは特にどこに限るというものではないだろうと考えて置いた欄でございます。
 以上でございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。では、続けて、齋藤審議官、お願いします。

○齋藤審議官 消費者委員会事務局の齋藤でございます。今、お話がございましたけれども、中川座長代理がおつくりになりました、この表の中に、前回、この安全専門調査会でさまざまな御意見が出されましたので、それをこの表の中に整理するとどうなるだろうかということで、宇賀座長からの御提案、御指示もございまして、整理作業してみたものでございます。
 それぞれの箇所での御意見のまとめ方でありますとか、位置づけにつきまして、実はこういう趣旨ではなかったのだがというような御指摘がありましたら、また、後ほどいただければと思います。
 まず、1ページでございますが、情報の収集一元化ということに関連して出された意見、上の方の段で整理しておりますのは、最初の2つのポツのところは、事故をどうやって捕捉するかということが大事であると。労働災害については、そういう制度的な仕組みもありますので捕捉率がかなり高いと、そういうことを参考にできないかという御意見がございました。
 また、それを受けたような形でありますけれども、事故情報収集の仕方について、事業者からも取り、その補充として消費者からも取るというとらえ方をできないかという御意見もございました。
 下段の方をごらんいただきますと、こちらは消費者からの収集というところに整理しましたけれども、まず、最初に書いてございますのは、消費生活センターに寄せられる相談情報というものにつきましては、相談者のプライバシーの問題がありますので、公表が難しい、何らか制度的な検討が必要であるという御意見がありました。
 他方で、そういった情報も含めて、なるだけ情報提供してほしいという御意見もございました。
 また、事故まではいかないのだけれども、事故になりそうなもの、起こりそうなものはないのか、そういう情報も集める必要があるのではないかという趣旨の御意見もございました。
 それと近い御意見ですが、例えば車の違和感がある場合に、そういった違和感に関連する情報収集をして公表するということは重要だという御意見がございました。
 また、学校で起こった事故というものが、データバンクに入らないのかという御意見ですけれども、これは利用の方の御意見にも整理できるかと思いましたが、一応、ここの収集のところで整理させていただいております。
 同じようなことで、消防庁が集めた情報というものも集められないかという御意見がございました。
 1枚おめくりいただきまして、2ページ目をごらんいただきたいと思います。
 今度は、情報の分析に関する部分でございますが、まず、消費者庁ができまして、情報が消費者庁に集まってくると、そういうことになりましたので、分析の局面におきましても、消費者庁が主役となってNITE等の役割を活用してほしいという御意見がございました。
 また、同じような趣旨でありますけれども、消費者庁が自前で専門家のアドバイザリーグループをつくるなど、自ら調査・分析する体制を整えるべきという御意見がございました。
 また、地方の分析体制に関連いたしまして、地方においてこそ技師がいて、商品テストの充実を図ることが重要という御意見がございました。
 それから、何のためのテストということに関連するかと思いますが、消費者からの商品テストの希望を一義的にテストするような機能を充実させてほしいという御意見もございました。
 他方、事故の分析を国で全部やるのは無理があると。民間の方がいろいろノウハウもあるので、民間にお金を出して、民間で調査した方がいいのではないかという御意見もございました。
 それと近い御意見ですが、事故情報を迅速に調査できるのは、製品を設計・製造した企業であると。企業にリスクアセスメントのデータを出してもらわない限り事故を防ぐことは難しい。企業をどのように組み込むかも大事だという御意見がございました。
 更にその下ですが、これは行政側の体制の問題ですが、分析官を置いて、データをしっかり分析する必要があるという趣旨の御意見がございました。
 それについて、専門分野が非常に細分化している中で、ある程度ゼネラルに分析のできる人材がいるのかというような御指摘がございました。
 以上が情報の分析に関することでございました。
 それから、情報の活用ということで、3ページ目をごらんいただきたいと思いますが、この活用ということに関連しましては、かなり御意見が多く前回出されたと思います。
 最初は、公表された情報が消費者のアクションに結び付く必要がある。
 2つ目に、事故情報の内容が一般の消費者にわかるようなものにすべき。あるいは消費生活センターに寄せられる情報を共有財産になるようにシステムをつくるべきだと。子ども向けにわかりやすく伝わるようなことを考えるべきであると。食中毒について、注意喚起が不十分ではないかという御指摘もありました。また、事故が起こった後ではなくて、予防が大事であり、これから商品を買うような人にリスクを伝えることが重要ではないかという御意見もございました。また、非常にたくさんの情報が出されてくるので、どれが一番重要かわからないという問題がある。
 それと関連するかもしれませんが、1つの事故でもいいので徹底的な事例紹介ということをすべきではないかそういうような御意見もございました。
 次の2つは同じような趣旨でございますけれども、情報には2種類あるということで、セミプロ向けの専門的な分析がなされた情報が利用できるようにすることと、一般の消費者が関心のある情報を伝えるということは分けて考える必要があるのではないか。また、センシティブに反応しなければならない事例をセレクトする仕組みが必要。
 次に、公表する情報に2種類ある。1つは共有財産としていつでも見られる状態にしておくものと、もう一つは消費者の行動を変えるような公表。
 後者については、センセーショナルにしないとだれにも見えない。そういう御指摘がありました。
 次は、事故情報データバンクについてですが、今の情報の内容が短かぎる。図面、写真がないとの問題点の御指摘がございました。その点で失敗知識データベースというものが参考になるという御意見がございました。
 また、自動車のリコールデータ、医療関係、労働災害のデータベースを見ても原因が書いていないので、実際の役には立たないという御指摘がございました。
 データはインターネットに載せないと意味がない。紙ベースでは見えないのと同じという御意見もございました。
 最後に全般ということに関連としまして、事業者はコストとの見合いで事故が起こる確率の消費者から見た許容限度を知りたがっているという御指摘もございました。
 以上でございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。それでは、資料1につきまして御質問あるいは御意見のある方は御発言をお願いいたします。
 どうぞ。

○吉岡委員 中毒情報センターの吉岡です。前回、日程が合いませんで出席できませんでしたので反映されていないものと思いますが、例えば1ページ目には、情報の収集一元化、消費者からの収集という欄には、財団法人日本中毒情報センター経由というのも是非とも考慮していただきたいと思います。
 我々中毒情報センターは、いわゆるトキシコビジランス、毒物監視という役割を果たしておりますので、この組織の中に組み込んでいただけたらと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。今の点について、こちらの議論の方に追加したいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○中嶋委員 中嶋ですけれども、1ページ目の消費者からの収集、事業者からの収集とあるのですけれども、この消費者からの収集の中に極めていい意見が出ているのです。事故は起きていないのだけれども、起こりそうなものはないのかと、例えばとあるんですけれども、こういうふうにしてみますと、情報に2種類ある。1つは事故情報、もう一つはヒヤリハットとは言えないのですけれども、ヒヤリハットに近いもの、これは取扱いを別にしないと、非常に危険なことになるといいますか、難しいことになりますけれども、情報の一元化で事故情報を集めると言っておられるのですけれども、ここの部分、起きていないのだけれども、起こりそうなもの、これはちょっとちゃんと議論した方がいいと思います。
 それから、運用の改善策というのは、まだ議題には挙がってこないのですね。今は質問の対象にはならないのですね。

○宇賀座長 これにつきまして、資料1が終わりました後に、今日、まさに事故情報の通知集約について取り上げる予定ですので、そこで御議論いただきたいと思います。

○中嶋委員 わかりました。

○宇賀座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうぞ。

○中嶋委員 事故情報収集の中で1つ抜けているのがメディアからの情報の収集というのを、この中では意識的に私たちは落したのでしょうか。
 実際に、平成19年以前の消費者事故の収集では、その段階ではメディアからの事故情報の収集は50%だったのです。現在、25%くらいだと。メディアからの収集というのを、どういうふうに位置づけるかというのも大事かもしれない。
 もう一つは、メディアからの情報は、必ずしも事故情報として使えるかどうかわからない。事故ではあるのですけれども、同じようにセンセーショナルに伝えてくる。ということは、その情報の中にリスクが入っているということです。いわゆる消費者も混乱させるとか、企業を風評被害に陥れるとか、こういうところもやはり、収集制度の中で、うまく活用するための議論をしていく方がいいと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 それでは、今後の専門調査会の当面の課題としましては、このマトリックスに沿った形で、事故情報の収集、そして、分析、活用の3つの場面に分けて審議を深めていきたいと思います。
 それでは、今日はその第1回目ということで、議事次第の3、事故情報の通知集約についてこの議論を行いたいと思います。
 それでは、初めに野村課長の方から資料2に基づいて御説明をお願いいたします。

≪3.事故情報の通知・集約について(現状と課題)≫

○野村消費者安全課長 消費者庁消費者安全課の野村でございます。よろしくお願いいたします。
 お手元に資料の2、資料の2-1、2-2、2-3と3種類資料をお配りさせていただいてございます。
 まず、資料の2-1といたしまして、消費安全法に基づく通知制度はどういうふうになっているのか、現状を御説明させていただければと思います。
 ちょっと条文の定義的なところとか、まどろっこしい説明になりますが、御容赦いただければと思いますが、消費者安全法に基づきます通知に関わります消費者安全法上の条文といたしましては第2条の4項、5項、6項及び12条の1項、2項、この5つの条項が関連する規定ということになります。
 資料をお開きいただきまして、2ページ目から3ページ目にかけまして、まず、通知の対象になります消費者事故というものの説明を書かせていただいてございます。
 消費者事故に関しましては、3ページのところに第2条第5項第1号~3号を掲げてございますけれども、消費者事故等とは、消費者がその事業として供給する商品もしくは製品、事業者がその事業のために提供しもしくは利用に供する物品、施設もしくは工作物または事業者がその事業としてもしくはその事業のために提供する役務の消費者による使用等に伴い生じた事故であって、消費者の生命・身体について政令で定める程度の被害が発生したものを言うと。ただし、その事故に係る商品等または役務が消費安全性を欠くことにより生じたものでないことが明らかであるものを除くとなっております。
 第2号では、消費安全性を欠く商品等または役務による使用等が行われた事態であって、前後に掲げる事故が発生するおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものとしてございます。
 第3号は、本調査会の対象外かとは思いますけれども、前2号に掲げるもののほか、虚偽または誇大な広告、その他の消費者の利益を不当に害し、または消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為であって、政令で定めるものが事業者により行われた事態、財産的な損害に関する規定を置いてございます。
 という規定でございまして、ポイントになりますところとしては、消費者による使用等に伴い生じた事故であるといったところ、あと、政令で定める程度の被害が発生をしたあるいは政令で定める要件に該当するおそれがあるといったところがポイントかと思います。
 あとは、消費安全性を欠くことにより生じたものではないことが明らかであるものを除くといったところが要件と理解しております。
 この消費安全性というところは、この新規立法に伴いまして、新しく創設された概念ですので、補足をさせていただきますと、2ページ目の方に該当条文がございますが、第2条の第4項になりますが、消費安全性とは商品とまたは役務の特性、それらの通常予見される使用または利用の形態その他商品等または役務に係る事情を考慮して、それらの消費者による使用等が行われるときにおいて、それらの通常有すべき安全性のことをいうと定義してございます。
 おめくりいただきまして、政令で定める被害の程度等に関してでございますが、4ページ目から5ページ目でありますけれども、まず、被害の程度に関しましては、4ページの要件2というところにありますが、被害の程度、死亡、治療に1日以上かかる負傷・疾病、一酸化炭素中毒、これらのものが先ほどの政令で定める被害ということであります。
 それから、政令で定める要件に該当するおそれというものでありますが、5ページ目の要件の2としてございますが、商品等役務が安全基準に不適合である場合、飲食物以外の物品・施設・工作物に、破損・故障・汚染・変質等の劣化、過熱・異常音等の異常が生じた事態。
 飲食物に関しまして、腐敗・不潔・病原体による汚染、有毒・有害物質の含有・付着、異物混入・添加、異臭、容器・包装の破損等の異常が生じた事態。
 マル4番目に、窒息その他生命に著しい危険が生じた事態の要件の定めとなっております。
 更におめくりいただきまして、6ページ目は、財産被害関係でございますので、略させていただきますが、7ページ目で第2条第6項、重大事故とは次に掲げる事故または事態をいうといたしまして、その被害が重大であるものとして政令で定める要件に該当するもの。または、そうした事故を発生させるおそれがあるものとして、政令で定める要件に該当するものとなってございます。
 これら政令に定める要件というのが8ページ目から9ページ目でございますが、被害の程度でございますが、死亡、負傷・疾病であって治療に要する期間が30日以上であるもの、負傷・疾病であって、治癒時に府令で定める程度の身体障害が存するもの。
 この府令で定めるとしてございますのは、身体障害福祉法に基づく障害等級の考え方を準用しているものでございます。あるいはマル4番目に、中毒(一酸化炭素中毒)となってございます。
 それから、被害を発生させるおそれがある事態といたしましては、9ページでございますが、安全基準不適合かつ重要な部分の異常、安全基準不適合かつ毒物・劇物等の付着、窒息等生命・身体への著しい危険、火災等著しく異常な事態という4つの要件が政令で定められているところであります。
 以上が定義規定第2条の4項、5項、6項の説明でございます。
 それから、12条1項、2項に関しまして、11ページ目以降でありますが、今のように定義をされます消費者事故等に関しまして、12条の1項でございますが、行政機関の長、都道府県知事、市町村長及び国民生活センターの長は、重大事故等が発生した旨の情報を得たときは、直ちに内閣総理大臣に対して内閣府令で定めるところにより、その旨及び当該重大事故等の概要、その他、内閣府令で定める事故を通知しなければならないとなってございます。
 第2項では、重大事故ではなくて、消費者事故等が発生した旨の情報を得た場合であって、当該消費者事故等の対応、特性、その他、消費者事故等に関する状況に照らして、被害が拡大し、または同種もくしは類似の事故が発生するおそれがあると認めるときには、内閣府令で定めるところにより通知をするものとするというのが第2項でございます。
 ここも府令で定める事項ということが何か所か入っておりますけれども、そこを整理しておりますのが、13ページになります。
 ここで、タイミング、方法、通知事項とございますが、内閣府令では方法と通知事項に関しまして定めがございます。通知事項に関しましては、事故が発生した旨及び概要、発生した日時、場所、情報を得た日時、方法、事故の対応、商品、役務を特定するために必要な事項、被害の状況といった内容を通知事項として定めております。
 また、方法に関しましては、重大事故の場合には、電話、FAX、電子メールで速やかに通知をいただくこととなっております。
 また、重大事故に至っていない消費者事故の場合にも、書面、FAX、電子メール、PIO-NET入力、事故情報データバンク入力といずれかの方法により通知いただくというふうに方法について定めをしてございます。
 以上が制度的な説明、資料の2-1でございます。
 そうした制度に基づきまして、9月以降の通知実績を説明させていただいている資料が資料2-2になります。
 引き続きで済みませんが、今のような制度に基づきまして、消費者事故として消費者庁に通知をされた事案、昨年の9月から昨年度末3月31日までの通知件数は1,330件、このうち重大事故が318件となってございます。
 また、中国製冷凍ギョウザ事件などを念頭に置きまして、事案の性質が明らかでない事案あるいは被害拡大防止の方策が明らかでない事案等について、情報を共有するために消費者安全情報総括官制度というものを各省連携の申し合わせとしてございますが、これらによりまして、関係省庁間の連携を図っている。そこにございますような消費者事故に必ずしも該当するか否か定かでない事案についても情報共有を図っているという状況であります。
 通知にありました事故情報に関しましては、その後、消費者庁で通知元に対して追跡確認を行うということをやってございます。
 具体的には対策が既に実施されている対策に関して、検討中もしくは実施中である。これから対策を検討するための分析に着手をしているところである。進展が見られない。あるいは事実確認が困難である。そういう形で追跡確認をする業務をいたしてきておるところであります。
 2-2の資料の2枚目でありますが、これは通知された事故情報、重大事故でありますけれども、分野別に整理をさせていただいたものであります。件数として目立ちますのは、ガス・石油製品、乗り合いバス、ガス・石油製品以外の日用的な製品、家電製品、自動車、この辺りが30件から50件程度の事故件数を勘定してきているところであります。
 それ以外に、医療事故、自転車、遊具、公園施設、こういったところが十数件程度半年間で通知がございます。
 それ以外には、タクシー利用サービス、介護サービス等々といった順番になっております。
 3枚目でありますが、重大事故、消費者事故の通知件数、各省別の通知件数の実績であります。重大事故に関しましては、経済産業省、国土交通省、消防庁、この3省庁で全体の7割5分くらいをウエートとしてはございます。
 重大事故を含めた消費者事故の通知件数ということになりますと、厚生労働省のウエートが6割くらい、これは食中毒の事故が重大事故であるケースが基本的にないのでありますけれども、件数としては多いためにこういう分布になっております。
 4ページ目以降で、通知事案に関しまして、先ほど説明させていただきました1件1件の追跡確認をどういう形で行っているかというものを付けさせていただいております。通知があったその速報の段階で消費者庁としてどういう取扱いをしたかということと、その後、仕分けをいたしまして、既に対策済みなのか、対策を実施中なのか、分析に着手をしたところなのか、未進展その他であるのかということを追跡確認してこういう形で整理をしてきてございます。
 これまでに、12月と3月に2回こうした追跡確認のとりまとめをやってきておりますが、私どもとしては、こういう作業は通知を受けっぱなしということではなくて、こういう整理をしていくということは必要なことではないかと思っておりまして、今後も定期的に行っていきたいと考えております。
 こういう追跡確認をして、何を具体的にやれているかということですけれども、1つには分析なりその対策の検討が進みますと、製品に起因した事故であったのかどうかということがはっきりいたしますので、通知のあった速報段階では概要のみを公表した事案でありましても、製品起因であることが判明した段階では、製品名、事業者名等、詳しい情報をもう一度出し直しをするということができ得ると考えております。
 もう一つには、関係省庁、あるいは自治体に対しまして、通知をして終わりということではなくて、その後、ちゃんと対応がなされているかどうかということを、私どもの方から問い合わせ、照会させていただくことによって、通知をいただきっぱなしで終わりでないという一個一個の事故が適切に対応されているかどうかということの働きかけといいますか、意識づけのために必要な作業なのではないかと思っております。
 3点目には、進捗状況を点検しますことで、進展がはかばかしくない、取組みがきちんとなされていないような事案というものの拾い出しが可能になってくると思っておりまして、例えば具体的には、12月にこの点検を行いましたときには、公園やいろいろな施設での遊具の事故の対応状況が遅いということが判明いたしまして、3月に具体的な注意喚起を行うといった取組みをやってきておるところであります。
 更に資料2-3という資料をお配りさせていただいております。消費者安全法の施行の対応マニュアルということで、これは地方自治体の消費者行政部局の方々に利用していただくことを念頭に置いて作成をして、関係部局に利用に供しているものでございまして、法律の施行前、8月に一度、更に施行後半年ほどした後に改定をしたものを今年の2月にも自治体の方に利用に供させていただいているものであります。
 主要な部分は、先ほどの資料2-1に重なる部分もありますので、そこは略させていただきますが、若干御紹介させていただくべきかと思っておりますのは、1つには15ページ目を恐縮ですが、お開きいただければと思いますが、先ほどの説明で、12条の1項、2項の御説明をさせていただきましたが、法律の12条には、更に第3項という規定がありまして、消費者事故、重大事故の通知が関係機関の間で重複的に行われることを避けるための規定というのが設けられております。
 これは、法律の規定に基づいて、あるいは法令に基づかなくても地方から国への情報集約のシステムが確立している場合、この場合には、その経路によって事故情報を集約するというルートの整理がなされているものでありまして、そこにありますような保健所の関係、消防情報の関係、警察の関係等に関しましては、個別的に消費者庁と地方の現場とをつなぐという形ではなくて、一度本省、本庁レベルに上げていただいて集約いただいた上で、本省、本庁と消費者庁との間で情報のやりとりをしているという交通整理をしているものであります。
 2ページほどくっていただきまして、19ページ目でありますが、事故情報の通知をいただいた後でありますが、私どもとしては、自治体さんに対しまして、こういった説明をお願いしてきているところでありますというところが、19ページ目から20ページ目にかけてでありますが「(2)補足調査について」とありますが、消費者庁に通知された情報を消費者事故等の発生、被害の拡大防止に役立つ情報として公表するためには、なるべく詳細な情報が消費者庁には集まっていることが重要であります。
 もっとも通知の迅速性との関係では、当初時点で詳細な情報が不明であっても、詳細情報の入手を待つことなく、消費者庁に御一報いただく必要があると考えています。
 しかしながら、第一報以降も事案の特定、何があったのか、当該事故にいかなる商品等が関わっていたのかといった詳細がわからないまでは、定期的な公表において役立つ情報として十分活用することが困難になります。
 したがって、一報以降に追加情報が入手できた場合においては、積極的に御連絡をいただくよう御協力をお願いいたしますというお願いをしてきております。
 また、更にその下の「(3)情報共有について」というところですが、消費者の誤使用等との関係で、重大事故や消費者事故に該当するか否かが一義的に判断し難い場合あるいは単一の事故情報だけでは、同種・類似の事故が発生・拡大するおそれがあるのか、ないのかが判断できない。こういうような場合には、法律基づく通知として連絡をすることが難しい場合であっても情報共有のために消費者庁に情報を提供いただくことが有益と考えております。
 例えば、遊具事故などでは、個別事案においては利用者の不注意等の区別が困難な場合もあり得ますが、各種の情報が集約・分析されることによって、安全対策の必要性が明らかになる場合がありますという形で条文の共有のお願いをさせていただいているところであります。
 もう少し先になりますが、37ページ目以降で、自治体さんの方での消費者安全法の施行に伴う対応状況のアンケート調査結果というのを付けさせていただいております。
 37ページ、問の1では、自治体の消費者行政担当課さんあてのアンケート結果でありますけれども、問の1では、消費者行政担当課で消費者事故等の情報をすべて把握しておられますかということに関しましては、24%がすべてを把握しておられる。
 先ほど御説明させていただきました12条3項に該当する事案を除いては把握をしている。これらで60%強という状況がございます。
 38ページ目では情報の把握のために、どのような対応を自治体の中で講じておられますかという質問に関しましては、自治体の中に会議体を置いているとされている自治体さんが21%、安全法に関する周知徹底を図っているという自治体が49%、人員の拡充等を検討しているといったところは2%にとどまっているといった状況がございます。
 消費安全法の施行に伴って、どのような取組みがなされているかという質問が4ページ目から5ページ目にかけてでありますけれども、把握した情報に基づいてどのような対応を講じておられますかという問いに関しては、区域内での注意喚起の推進に反映している、商品テストに反映している、消費者政策の企画立案に反映している等のお答えになっております。
 また、消費者事故等の措置に関する情報の把握についてどのように評価されておられるかという質問に対しましては円滑かつ有意義に行われているとしておられる自治体さんが4%、円滑に行われているが有意義な活用方法を見出していないが15%、有意義ではあるが円滑に行われるためにさらなる制度の周知・浸透等が必要である70%といった御回答になっておりました。
 問の6で消費者事故等に該当するか否かで迷ったことがありますかという質問でありますが、ときどきある36%、まれにある26%、ない38%というお答でありました。
 その後、消費者庁の取組み状況に対する評価等の質問がございますが、少し略させていただきまして、今の問の6に関連してでありますけれども、51ページまで飛んでいただきますと、消費者事故等に該当するか否かで迷ったことがありますか。ある場合にその具体例を御説明くださいという記述式の御質問をさせていただきましたところ具体例としては51ページ目から55ページ目にかけてございますような質問をいただいているところであります。
 ここでは、御質問の詳しさによって、御説明できるところは御説明させていただきつつ、一般論の場合にはマニュアルII3(3)参照とございますのは、これは先ほどの情報の共有という箇所を指しておりますけれども、迷った場合にはとりあえず情報共有をいただき、また、確認ができた場合に取扱いを御相談させていただくという御説明をこのマニュアルの中ではさせていただいております。
 その後、56ページ目以降で消費者安全法全般に関する御意見、御質問等というものが寄せられたものを書かせていただいておりますけれども、一番御要望としてありましたのは、新法でありますので、解説書的なものつくってほしいという御要望が一番多数の御要望であったかなと認識をしておりまして、これに関しましては、既に施行後半年を経過しておりますので、可能な限り速やかに対応しなければならない課題であるというふうに思っております。
 資料の一通りの説明は以上でございます。
 あと、事前に座長の方から、現状を踏まえた課題的なところを、もし、何かあれば説明をするようにという御指示をちょうだいしてございますので、必ずしも整理できているかどうかはございますが、3点ほど申し述べさせていただければと思います。
 まず一つは、消費者安全法の12条、先ほど説明させていただいたとおりでありますが、事故情報が発生した旨の情報を得た状況かどうか、あるいは同種・累次の事故が発生するおそれがあると認めることができるかどうかという判断が、通知元となる機関の側において判断をしていただいた上で、消費者安全法12条に基づいて、消費者庁に通知いただくという構造になっておりますので、私どもの側といたしましては基本的には、通知元の判断に従って、受け身的に通知されたものを受け取っているという構造になっております。
 それぞれの物資なりサービスなり、どう安全性があるべきか、そこから逸脱した自体かどうかという判断はやはりそれぞれの専門性があるところで御判断というのは、いただかざるを得ないのかとは思っておりますけれども、片やどういったものが対象になり得るかというような認識共有も、公布から施行まで3か月しかなかったという事情もあったかとは思いますけれども、どういったものが通知の対象となり得るものなのかというところの認識の共有が消費者庁と関係省庁の間できちんとなされているかというと、準備期間の間にそこまでの作業は必ずしもなされていなかったのではないかと思いますので、いろいろな御意見をちょうだいした上ででありますけれども、先ほどの通知の実績など、点検を見ていただいてということでありますが、そもそもどういった事故情報が通知の対象となるべき情報であるのであろうかというところは、もう一度どこかの時点で点検をするということは課題としてあり得るのかと思っているところであります。
 2点目に、消費者安全法の第2条の定義規定の御説明をさせていただいた中で、消費安全性を欠くことにより生じたものではないことが明らかである場合は、これは消費者事故ではないという定義になっておりますという御説明をさせていただいたのですが、こういう定義になっておりますので、事故の状況を見てみまして、安全基準には適合しているとか、取扱説明書はきちんとしているとか、消費者の誤使用と見るべき状況が確認されているとか、そういう状況がありますと、なかなか行政としては消費者事故として扱うのは難しいと、定義規定的にはそういう解釈にならざるを得ないかと思っております。
 ただ、定義に該当するか、該当しないかということのみに余りにもこだわり過ぎるのではなくて、同種・累次の事故の発生可能性を考えて、そうした情報であっても、いろいろ関連する情報を集約するといったことは、過去の代表的な消費者事故と言われる事案で、行政の対応についていろいろな御議論があって消費者庁が発足したという経緯にかんがみますと、今、改善策を具体的に持ち合わせているわけではありませんが、もう一段の工夫なり努力というものは求められているのではないかということは課題としては考えているところであります。
 もう一点、3番目でありますが、消費者安全法の12条の御説明をさせていただきました中で、通知に関しては、内閣府令で定める事故を通知しなければならないと。
 それで、これは施行規則の9条になりますけれども、消費者事故の発生日時、場所、被害の程度、商品を特定するために必要な情報、こういうものが通知事項ということで定められています。
 ただ、いつ、どこで、どういったものでどの程度の事故が起こっているかといったことなのですけれども、特に自治体さんとの関係、消費生活センターさんなどからいただく情報の場合に、これら事項を満たさないケースは相当程度ありまして、そういうときには、これら事項の確認を、私どもの方としては通知元の方にお願いをいたしまして、消センさんの方でも何とか確認をしようと、いろいろしていただけるケースというのが通常なのでありますけれども、相談業務の中で、そこまでしていただくというのが難しいという状況もしばしば起こっているというのは、現場としては感じているところでありまして、そこももう一段の何か工夫をしていかなければいけない課題が含まれている論点なのではないかと思っているところであります。
 とりあえず説明は、以上でございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。それでは、御質問あるいは御意見のある方、お願いしたいと思います。
 どうぞ。

○中川座長代理 先ほど吉岡委員と中嶋委員から出た御意見というか、御質問について、今、ちょうど野村課長にお聞きするのがいいのではないかと思いまして、発言します。
 1つは、日本中毒情報センターが今のお話の中のどこに位置づけられるのかということ。
 それから、中嶋委員がおっしゃった、事故なのかどうかはっきりしないような情報は、この法律でどこに位置づけられるのか、位置づけられないかということを御確認いただくといいのではないかと思います。

○野村消費者安全課長 まず、消費者安全法に基づく通知ということでありますので、事故情報の通知義務を課されておりますのは、専ら行政機関であります。日本中毒情報センターは、財団法人、民間の法人でありますので、消費者安全法に基づく通知義務が課されている機関という位置づけには、この制度上はなっておりませんので、更に制度にとらわれない情報の収集としてどういう御協力、連携というものがあり得るかというところでのテーマ、御指摘を検討させていただくというところかと思います。
 それから、事故に至っていない情報に関しましては、先ほどの資料の中では、資料2-1の5ページと9ページに御説明をさせていただいたところなのですが、事故は発生していないんだけれども、その程度の被害を発生させるおそれのある事案というものが、それに近い概念であるかと思っております。
 ただ、消費者安全法上は、このおそれのある事案というのは、かなり定義がきっちりしておりまして、例えば安全基準に適合していなかったとか、毒物劇物法の指定されるところの物質が付着をしておったとか、かなりはっきりと事実関係、どういうおそれがあるかという事実認定ができるようなものに限定されているというところではありますけれども、これらに該当するものに関しましては制度上乗っかってくる、これに該当しないものに関しては、その外側で御議論いただく性質の情報ということになるかと思っております。

○宇賀座長 ありがとうございました。よろしいですか。

○中川座長代理 私はいいのですけれども、お二人はいかがですか。

○宇賀座長 どうぞ。

○赤松委員 お茶の水女子大学の赤松です。ありがとうございます。質問というか、私が理解し切れていない部分があるかもしれないのですけれども、資料2-1の一番最後の消費者庁への情報の流れという図があるのですけれども、消費者庁にやはり情報が速やかに収集されるというのはすごく重要なことだと思うのですけれども、一番下にある消費者や事業者から情報が集まってくるところがやはり滞りなく出てくることが重要だと思いますが、この事業者の相談事故情報という通知対象というのは、どういうものが上げられなければいけないという決まりはまだないんでしょうか。
 と言いますのは、今、消費者と事業者が矢印で結ばれていないのですけれども、私はここにも矢印があるんではないかと思っています。消費者の方が直接事業者の方へ相談事故情報というのを上げていると思います。
 ですので、消費者と事業者と、あと大きくまとめて行政という三者が共同してやらなければいけないものだと思いますので、この矢印の消費者から事業者に上がってくる情報というのが事業者で止まってしまわないように、何かしらうまくスムーズに情報が流れるようなシステム、仕組みにならなければいけないかなと思っております。

○野村消費者安全課長 御指摘の15ページの表の一番下に、事業者から消費者庁の方に矢印が走っているのがありますが、これは消費生活用製品の重大事故情報の報告とありますが、今、御説明させていただきました消費者安全法と別に、消費生活用製品安全法という法律がありまして、家電製品ですとか、ガス製品、石油製品など、日用品、消費生活用製品と定義されておりますけれども、日用品の製造事業者や輸入事業者は、事故情報を知ったとき、それは、お客様のクレームなんかで知ることが多いのだと思うのですけれども、そういう情報を知ったときには、自分の方に落ち度があったかどうかはともかく、まず、そういう事故があったということを知りましたということを通知してくださいというのが、これがパロマの一連の事故などを踏まえまして、平成19年に施行、当時は経済産業省さんですけれども、そういうふうに制度ができております。
 この法律は、現在は消費者庁の消費者安全課の方で所管をしておりますので、消費生活用製品に限りましては、事業者からお客様のクレームなり何なり、知った事故情報の通知ということは、いただくようなルートにはなっております。
 ただ、すべからくそういうふうになっているというわけではありませんので、そこは1つ消費者安全行政上の大きな論点ということであろうかと思っております。

○宇賀座長 どうぞ。

○鶴岡委員 100円ライターの問題ですけれども、あのケースは、非常に現行制度と照らし合わせても大きな教訓といいますか、問題点を示したものではないかと私は思っているんです。事故情報の収集についてもそうです。
 先ほど野村課長の方から御紹介のあったさまざまな要件ですが、5ページあるいは9ページの要件、100円ライターの場合、もともと火が出るものですから、火災案件とは異なる、あるいは政令に違反してつくられたものではないという点から見ますと、現行法制度上の安全保持する上での違法な製品でもない。
 そうすると、あの火事が起きた場合、自治体の対応として、消防は勿論調べますけれども、それが通報案件かどうかということになるとかなり迷うというよりも、通報すべき案件ではないのではないかという判断があってもおかしくない。これはやはり、消費者安全性を守っていく上では、問題だろうと思うのです。特にあの件が問題だと思うのは、1件だけではなくて複数件続発している。
 もう一つは、海外で既に安全保持のための規制が行われてきている。その2点。にもかかわらず、日本では遅れてきたということ、この2点と現行法制度上の問題を照らし合わせてみますと、1つは通知案件の定義をもう少し広げる必要があるのではないか。やはり、たとえ誤使用であっても、あるいは製品そのものが安全性を欠いていなくても、事故を続発するようなケースについては、やはり報告すべき案件として定めるべきではないかというふうに思うんです。
 そういった点から見ますと、消費者安全法の要件のところの見直しというのはやはり必要になってくるだろうと思います。
 それと、この対策は、海外と比べて遅れたという点につきましては、消費者庁が発足するときの理念といいますか、要するに、消費者目線に沿って安全対策が取られているかどうか、この点でやはり問題を露呈したのではないかと私は思っております。
 やはり海外の動向を見れば、100円ライターについて、子どもたちが遊びに使って、それで火災を発生させるような事態を防ぐための構造的な対策を取るということを、所管官庁は検討しておくべきだったのだろうと。そういったことが行われなかったということ、この点は、今後消費者庁としても、法令上問題がなくても続発するような事態については、まず、通知案件として扱うということと同時に、所管官庁が別にあったとしても、消費者庁が独自に検討して、積極的に改善措置を促していく、こういうパターンを確立していくべきではないかと思います。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。野村課長、何かコメントはありますか。

○野村消費者安全課長 まず1点目のライターの火遊びによる火災事故は、今の制度的にどうなっているのかというのは、消費者事故に該当するとは解釈上考えておりません。火遊びによって火災があったということが、状況からそういう判断ができるのであれば、やはりそこは製品の使用に伴う、製品の通常予見される使用状況で火災が起こったと考えることは、現在の定義を前提にすれば困難ではないかと思っております。立法的な課題、定義を広げる云々ということは私の立場からは何とも申し上げられないのですけれども、現行の制度上はそういう解釈かと思っております。
 ただ、定義に該当する、該当しないということは、ある意味そんなことはどうでもいいというか、被害の拡大を防止するために何ができるのかということを、考える必要性というのは御指摘のとおりかと思いますので、ライターの件に関しましては、特段の政務三役からの御指示もありましたものですから、消防庁さんに御協力いただいて、全国の実態調査をやってということを、それ自体後手後手といいますか、もっと迅速にできなかったのかという御指摘は、当然そこは厳しい御指摘として受けなければいけない部分だと思うのですけれども、全国の実態調査を踏まえまして、それを経済産業省の方に提供いたしまして、先般、消費生活用製品安全法の特定製品に指定をするという方向性は出していただいてというのが、今、消費者庁として、関係省庁とやってきている取組みというところであります。
 あと、海外との取組みに比べて、日本の行政の取組みが怠慢だったかどうかというところは、そこは、また、評価の部分ですので、私の方からは避けるべきかもしれませんけれども、ただ、海外状況を調べました範囲では、2000年代の早い時期に、ヨーロッパの方でも導入されつつ、ただ、製品の性能、いわゆるチャイルド・レジスタンス機能という、子どもの使いにくい機能というものは何なのかというテストの方法が非常にきちんとしたものを確立することが難しくて、まだ、ヨーロッパでも制度的に確立しているというよりは、指令のローリングをやっているという状況だと思いますので、海外と比べて著しく日本の行政の対応が遅かったのかということは、客観的な状況としてはそんな時間の流れだったのかと思いますけれども、関係省庁と協力しながら、少しでも、より火災になりにくい状況をつくっていくというのは御指摘のとおり、責務だと思っております。

○宇賀座長 では、阿南委員、どうぞ。

○阿南委員 ありがとうございます。随分遅くなってから資料をいただいたので、準備が難しかったのですけれども、実は、今のライターの問題がいい例だと思うのですけれども、私たちが何のために消費者庁をつくったのかというところが、十分に共有されないままになっていて、対応がとても悪いと思います。
 何とか早く改善しなければいけないと思います。先ほど消費者安全法に基づく通知制度についての御報告がありましたが、実は、昨年の7月4日に私ども全国消団連として、この施行令と施行規則案に対する意見を出していまして、そのときに心配して指摘したことが、今、まさに現実の問題になって現れているように思います。
 何を言ったかといいますと、例えば消費者安全法の第2条の第5項の1号には、政令で定める程度の被害と言っていますけれども、私たちは、ここは重要な情報が抜け落ちることなく、消費者庁に報告されるということを重視すべきだという考え方にもとづき、ここは広く、死亡及び治療を要する被害として、いろんな事故が報告されるような仕組みにすべきだと言ったのです。
 要件についても、特定したり、著しい危険の発生に限定したりすべきではないと述べています。
 誤使用問題についても、今のままでは全く対応も何もできないわけですね。やはり誤使用であってもさまざまな情報が全部集まるような仕組みを早くつくって、早く対応できるようにすべきだと思います。
 第2条の第5項第2号の要件についても意見を出しております。重大事故については、8ページに6項の第1号ですけれども、ここでは、例えば2番目の治療に要する期間が30日以上であるものとしていますが、私たちの意見は、10日以上にすべきではないかということでした。なぜかといいますと、すぐに治療期間が30日以上かかると判断できるとは考えにくいということなのです。
 30日過ぎてみないとわからないということもあると思いますので、少なくとも10日以上の治療を要する負傷・疾病とすべきではないかと思います。ほかにもいろいろと意見を述べたのですが、当時、意見は全く取り入れられませんでした。そしてそのままスタートしてしまったわけですけれども、もう一度見直す必要があると思います。
 以上でございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。どうぞ。

○中嶋委員 今、消団連の阿南さんからお話のあったとおりなのですけれども、実はこれを読ませていただきますと、消費者安全法に基づく通知制度の4ページ目、ここの要件の2の解釈ですけれども、これは労働安全法とほぼ重なっていますね。
 それから、8ページ目の重大事故もどちらかというと、労働安全法に近いものがあって、例えば症状固定という言葉が使われていて、症状固定で、実は労働安全の現場では、クレームとか訴訟が起きています。だれが、この症状固定を認定するのか。労働省に来る医者は、自分が判断するのは嫌だというようなことが結構起こっていて、このまま運用するというのは非常に難しいということ。
 もう一つは、いわゆる労働安全の世界というのは、従業員と企業との関係が前提になっている。従業員は、企業からお金をもらう立場。ある程度、1972年からの約40年にわたる実績があって、こういう形で大体落ち着いてきた。言ってみたら、ちょこ手災害(赤チン災害)はあなたの責任で、何とか勘弁してくださいと企業は言って、それでもってOKをされているのが実情。
 消費者安全については、どこまでが許容範囲なのかというのを、実は企業と、消費者と、行政と、いわゆるステークホルダー全部が集まって、消費者が受入れ可能なリスクというのは一体どこまでなのか。安全の閾値をきちんと議論をしていく必要がある。
 いわゆる消費者庁をつくるためには、こういうものは一たんはつくってしまわないことにはどうしようもないのでつくりましょうと、これはこれでいいと思うのです。ただ、実際に運用が始まったら、少しずつ直していく必要があって、今、企業は消費者からの情報がほしいと言っている。自分たちで安全についての施策を幾らやっても、後から後からクレームが出てくる。ここに挙がっている要件はすべて企業にとって見ると、クレーム、賠償が必要なものなのです。
 では、企業が抜けているクレームというのは苦情の中の何%かというと、せいぜい10%未満なのです。残りは苦情で、使い勝手が悪いから始まって、いろんな問題が起きましたというのが出てくる。
 実はこれは、消費安全法の中である程度に対応できるものだと思っているのです。ですから、企業を責めるとか、責めないではなくて、どこまでが社会として、もしくは消費者として、もしくは私たちとして、消費者製品のリスクをどこまで受け入れますかと、無制限に受け入れからコストがすごくかかるわけです。社会的な損失にもなります。ですから、ここをきちんと議論をすれば、今、起こっている苦情だとかクレームというのはかなりの部分が解決していけると思います。
 もう一つ、誤使用というのは、製品事故の収集一元化ということで進んできたわけですけれども、今日、野村さんからもお話があったように、関連情報として位置づけて何とか取り組めないかというお話が先ほどありました。これの最たるものは誤使用だと思っています。では、パロマの問題を一つ取ったときに、端子が2個あって、それを直結すると完全に安全装置が死んでしまうという不正改造がなされた。ああいう判決が出たのですけれども、あの端子をむき出しのまま放ったらかしていたことは、これは何なのでしょうか、誤使用には当たりませんでしょうか、もしくは欠陥なのでしょうか、実は裁判の中でパロマは、自分たちの商品には欠陥がないと主張していて、今度の記載では、何らそこに触れていない。
 でも、改造しやすい状態で放置していることは、私は商品の欠陥であると見ているわけです。それは、ちゃんと伝えないといけないことであって、それもひょっとしたら誤使用の中に入れてもいいかもしれない。
 消費者が、いわゆる自分たちの被害から逃れる最大の方法は誤使用を勉強することなのです。こんなことをやってもいけません。ジョンソン・アンド・ジョンソンがカビキラーを壁紙にまいて、中村先生がたしか御担当されたと思うのですけれども、クレームがあって訴訟になりましたと、やってはいけないことをやるのが消費者だというふうに企業は考えてしまう。
 でも、やってはいけないことは、やってはいけないことだとだれも教えてくれないのです。ここに私は消費者庁の別の仕事があっていいように思います。ですから、皆さんの御指摘のことと重複で恐縮ですけれども、この2点は是非とも消費者庁の中でもしくは委員会の中で議論をしていって、社会のコンセンサスとして受入れ可能なリスクであるとか、誤使用をどういうふうに伝えていくんだとか、単にネットで書いたからといって、こんなものは防げないと思っていますので、みんなで協力してやらないとだめだと思います。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 北海道消費者協会の橋本と申します。北海道消費者協会は、現在、北海道から北海道立消費生活センターの指定管理者ということで、相談を受けております。今回この事故情報の収集について最前線にいる相談員から事故収集に関して現場でどんなことが悩みなのかというのを聞いてまいりました。
 先ほど野村課長さんが、3点述べましたが、まさにその3点が非常に大事なところで、まず、第1に消費者安全法の12条で、直ちに通報しなければいけないというふうになって、マニュアルの方には、通知すべき情報の整備等のために必要と考えられる数時間以内に通知されない場合には、直ちに通知したものと評価することは困難ということから、相談を受けたときに、もし、重大事故であった場合、数時間以内に提供しなければいけないというのは、相談員にとっては、かなりのプレッシャーです。それが重大事故なのか、消費者事故なのか、その辺の判断が現場に任されるというのは、非常につらいものがあると言っております。
 といいますのも、相談者は、何日かたってどうもおかしい、または病院に行ってから、かなりけががひどいので通知しましたという場合には、かなり冷静に状況を説明してくれたりということができるのですけれども、例えば、今、まさに親が救急車で運ばれました、そういった場合に、連絡先すらもし取れないという場合、この数時間以内に連絡しなければいけないというのは、やはり現場にとってはかなりのプレッシャーです。
 ただ、消費者にとっては本当に直ちにそういったことが通報されるというのはすばらしいことなのですけれども、相談に至っては、そこの情報をいかに収集するかということが非常に大変だというふうにしています。
 同センターでは、それを一相談員に任せるというのは、これは酷であるということから、うちは職員、相談部長以下4人おりまして、その4名と主任相談員、副主任、そして、当事者の相談員、そしてそこに商品テスト部長というものを交えて相談をします。相談した上で、これが重大事故になるとか、消費者事故になるのかという判断を合議制で決めています。
 といいますのは、先ほどおっしゃられました2条の定義です。2条の定義の中に、通常予見される使用または利用の形態というふうになるのですが、実は、この合議制をした場合、消費者問題に関わっている職員4人、それから主任、副主任、相談員、それからテスト部長、それぞれ通常予見されるというのが、結構その中ですら違いがあるのです。それをこれだけの定義で判断してくださいというのは、本当に大変なことだと思っておりますので、マニュアル化していきたいとおっしゃっていたので、是非こういったものを少し具体的にやっていっていただきたいと思っております。
 それから、先ほど相談員が、これは合議をした方がいいというふうに判断するのは、消費者センターではPIO-NETの入力作業というのがあります。このPIO-NETの入力作業の中に、危害、危険情報の入力というのがあります。この危害・危険情報の入力をしなければいけないと判断した時点で、聞き取りが終わった後、合議にしてくださいと諮っています。
 それで、国民生活センターのPIO-NETの危害・危険情報の中には、先ほど非常に生命・身体被害を発生されるおそれのある事案というふうになっているのですけれども、勿論そのとおりなのですけれども、そのほかに、これは先生の方が専門かもしれませんけれども、乳幼児に関しては、これは被害が非常に大きいということから、乳幼児に関しての情報、それから、高齢者に対する情報など、多くの同じ生命、身体被害情報といっても、9つくらいに分かれていて、その中で、こういうような情報ですよと流すので、それぞれやはり同じ身体の発生状況といっても、乳幼児、高齢者、障害者、そういった方々によっては違うということもありますので、そういったもっときめの細かい施行令なり要綱なりにして、先ほど阿南委員の方からありましたけれども、その辺の方、よろしくお願いしたいと思っております。
 それから、最初の12条の直ちに通報した場合、先ほど通報した省庁、それから地方自治体の判断をとても大事にしていると課長がおっしゃっていましたが、非常に言葉としてはいいんですけれども、要するに通報者にその責任があるんだと思われます。そこまで各自治体、特に省庁に関しては、大きないろんなテスト機関とかを持っている省庁であればいいんですけれども、地方自治体のように、それほど情報の分析力、それから情報の蓄積がないところに、そういった責任を課すというのは、やはりちょっと違うのではないか。やはり消費者庁ともっと合議して、消費者庁にそういった分析官なり、そういった相談窓口というものを設けて、一緒に考えて、これは通報ですねというようなことにしていただかないと、特に地方の者にとっては、非常にこれが大きな負担になると思います。
 それから、3番目の通知事項についてなんですけれども、やはりこれだけ見た限りでは、まだまだ情報の蓄積が行われていないので、今後、これをいかに有効に活用するのかというのは、これからにかかっているのですけれども、通知の仕方なのですけれども、先ほど遊具、シーソーの件について、インターネットの方に本当にいい情報提供をしていただいていると思っているのですが、最初のころ、実は北海道でもシーソーの事故があったのですが、その事故に遭われた方が、旅行中か帰省中ということで、地元に帰られてから、センターなり、どこかの関係機関に通報なさったということで、自治体の方に、シーソーのある自治体とかにいろいろと問い合わせがあっても、事故の内容がよくわからなかったということがあって、せっかく通報されたのですけれども、当該のところにまで、なかなか行っていなくて、それがいろいろな情報提供につながらなかったという反省があって、今、PIO-NETの方がかなり充実してきたので、今後そういうことはないと思うのですけれども、そういった情報提供者がどこで情報を提供するのか、そして実際の現場がどうなのかというところが、ちょっと見えないので、逆に相談を受けていないんだけれども、そちらで起きた事故だから、概要を説明してくださいと言われたときに、その情報が手元にないというのは本当に困ることなので、そういった意味で、情報の方の収集というのを、もっとネットワークづくりをしていただきたいと思います。
 その情報なのですけれども、北海道では、赤レンガインターネット会議室というのがあって、担当者だけが見られるメーリングリストがあります。それで、実は不確定なものも結構流れています。今のところ事故情報というのはないんですけれども、財産的分野に関してのいろいろな情報があって、実はそれは違いましたとか、後から訂正させたりとか、不確かなところも流れる場合もあるんですけれども、北海道という限定されたところだからこそ有効に働いていると相談員も言っておりますが、そういった確定な段階、先ほど中嶋委員もおっしゃっていましたけれども、何かおかしいのではないかという段階を公表までには至らないけれども、関係者の間に、これについてはどういうふうに情報を今後収集しましょうかといったようなネットワークがあると、この製品について何か変な情報があるというのが、後から公表する場合、公表するまでではない、この定義には当てはまらないんだけれども、いずれは当てはまるかもしれないというものも、少しあるといいなと思いました。
 それから、全国版であれば、いいのかどうかというのは、ちょっと地域的にもよるので、全国一律というのは多分難しいとは思いますけれども、そういう関係機関等のネットワーク、まだ外には出せないけれども、みんなで少し情報を共有しようみたいなものがあるといいのかなと感じております。
 長くなって申し訳ありません。

○宇賀座長 ありがとうございました。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 質問が2つと、あと、先ほど野村課長が最後に言われた点について、少しコメントしたいと思います。
 質問は資料2-2の2枚目なのですが、これは通知された重大事故等における対応等一覧となっています。
 その左側の方が1つ目の質問で、行政と自治体で合計と書いてありますところ、これは行政から来たのと、自治体から来たのがオーバーラップしたようなケース、つまり重複してきたということはないのでしょうか。それが1つ。
 それから右の図です。2番目に長い乗り合いバスという棒がありますが、これは自治体からは1件もなしで、100%行政から来るということです。これには、どういう背景があると考えたらいいのでしょうかというのが、質問の2つ目です。
 それから、コメントです。先ほど最後に3つ言われたと思います。3つとももっともですが、2つ申し上げます。まず、判断するのが通知元であるということ。
 これは、特に先ほど言われましたが、関係省庁はさほど問題ないというか、霞が関近辺で話し合いができるのではないかと思うのです。しかし、地方の物差し、判断基準が一緒かということになると、先ほど困っているということでした。確かにそうだろうなと私も思っておりました。
 よくコンピューターなどで操作上のわからないところがあると、よくある質問としてまとめ、だれもがのぞけるようにして、そこでかなり解決方法がわかるという仕組みを作っています。こういうケースにおいては、こういうところに焦点を当て、どのように判断しましたとか、そういうことをみんなで見ることができる形にすると、全国区でもある程度役に立つと思いました。
 もう一つですけれども、先ほど安全基準のところで、再発防止に向けて、これを消費者啓発活動にしていく、その対象として100円ライターとかが考えられるという話がありました。
 私は100円ライターと限定していわれるのが不思議でしようがないのです。なぜ100円だけなのだろうかと。100円ライターでトラブルがあるならば、もっと値段の高いものでも同じ構造ならばで同じ現象が生じるはずだと。象徴的に100円と言っているのかもしれませんけれども、多分ライター全部が対象だろうと思うのです。そうすると、もう少し広げて考えると、これは固有名詞になりますけれども、チャッカマンというのがありまして、ガス等に点火するときに使う。構造はライターと一緒なので、火遊びをしようとすればできる。そういうトラブルはないのかとか、マッチはどうだとか、ロウソクは、この間、放火に使ったのではないかと言われる事件がありましたが、ロウソクが倒れたりすることもある、あとはタバコがどうだとか。火が出ることを念頭において、元を絶とうとすると、そちらの方まで広がってくるわけです。このように、100円ライターが話題になったら100円だけで済ますのではなく、失火による自己がないようにするのが多分消費者庁の役目だろうと思います。いきなり範囲を広げて調べるのは大変ですけれども、そういうものをにらんだ上で、どういう消費者の常識の形成の仕方がいいのかということを考えることが重要だとうと考えます。
 以上です。

○宇賀座長 それでは、質問に対してお答えいただけますか。

○野村消費者安全課長 御質問の1点目ですが、通知情報の国と地方の重複があるや、なしやという点は、重複はございません。先ほど12条3項の御説明をさせていただきましたけれども、重複がないという形になっているはずであるかと思っております。
 ですから、自治体の方からは消費生活センターから直接消費者庁とか、食品衛生法上の58条に基づくものは厚生労働省経由で消費者庁、そうではないものは保健所の方から直接消費者庁とか、そのような交通整理はなっているのではないかと思っております。
 資料2-2の2枚目の分野別の事故の、専ら青い棒グラフとか、半々で青と赤とか、専ら赤とかというのは、ここはもう少し精査、勉強したいとは思っておりますが、専ら自治体の方から、例えばエステサービスでの事故とか、介護サービスでの事故とか、こういうものというのは確かに経験的には、専ら消費生活センターさんから御連絡をいただくとか、乗り合いバスで、急停車して骨折事故というのは、専ら地方運輸局の方から情報が来てというような、実態的にはそういう状況はあるんですけれども、そこは制度的なところも含めて、なぜそういう構造になっているのかというのは、もう一度勉強いたしまして、また、必要があれば御報告させていただければと思います。

○宇賀座長 佐竹委員どうぞ。

○佐竹委員 NACSの佐竹でございます。私も橋本委員と同じように、行政の方で消費者相談に携わっておりますので、橋本委員がおっしゃった意見というのは、まさにそのとおりなのですが、それにちょっと補足してコメントを申し上げたいと思うのですが、今、対応マニュアルの中で、アンケートの結果で出ておりましたが、消費者事故等の関係で、事故情報の範囲というのが余りにもあいまいで、相談現場でどういうものを消費者事故として報告するのかというところが非常に混乱していると思います。
 先ほどの通知された「重大事故等における対応等の一覧」という中に書かれておりますように、2番目に「乗り合いバス」における事故が入るのですね。また医療事故というものまで6番目に入っているのですが、相談現場では確かにこういう乗り合いバスが急停車したためけがをしましたとか、医療事故の相談の中には、例えば歯医者さんで、治療受けたのにもっとひどくなりましたとか、美容医療関連の相談も多いのですけれども、こういうものまで、一応、消費者事故として通知するものなのかどうかというのが、本当に相談現場では混乱しております。
 先ほどもマニュアル化ということをおっしゃっておりましたけれども、この通知の基準というものを明確にしていただくと、相談現場で、通知する内容が精査できるのかなと思いました。
 それと、今、見せていただいておりました「行政機関、地方機関及び地方公共団体からの通知一覧」というものの、中で、既に私どもの相談機関から通知させていただいた事案もあるので質問したいのですけれども、「分析着手」というところの項目が「関係機関と調査中」となっているのです。この関係機関、調査中というのは、どういうような状態を指すのかがよくわかりません。私どもの事案で出させていただいた事案があるのですが、22年の1月、今年の1月に出した情報なのですけれども、既に私どもの中ではNITEの方で表示の欠陥ということは言えるというような結果をいただいているはずなのですが、この通知の中では、まだ関係機関と調査中になっているのですね。その辺り、この通知の情報をどのように精査して通知していらっしゃるのかというのを教えていただきたいと思いました。
 もう一点、定義のところにかかるのですが、定義の第2条1項は、「消費者による使用等に伴い生じた事故」となっているのですが、相談を受けておりますと、消費者が使ったことによる事故ではないのですが、個人の事業者さん、この前もあったのですが、飲食店の方が、商売用に仕入れた炭酸飲料を夜の仕事の準備のために拭いていたら突然爆発しましたという通知もありました。この定義からいいますと、消費者が使用した事故ということにならないのではと相談現場では悩んだ経緯がありました。もう少し「消費者による使用等に伴う生じた事故」という定義を広くしていただきたいと思います。使ったのは事業者さんが事業用に準備されたものなのですが、それを飲食店の現場でお使いになると、やはり消費者事故にもかかってくると思いますので、この辺りの定義をもう少し広く解釈できるようにしていただけたらと思いました。
 以上です。

○宇賀座長 それでは、質問に関する部分をお答いただけますでしょうか。

○野村消費者安全課長 まず、分析着手の関係機関で調査中というのは、その文言どおりでありますけれども、この追跡確認の作業、12月と3月にいたしましたということで、その辺のスピード感というか、委員の御認識よりも、情報として古い部分が多分あるのではないかと思いますので、そういうところはできる限り改善を尽くしたいと思いますが、分析着手の調査中というのは、恐らく日用品であればNITEの方で調査中で、結果についてはまだですという回答をもらったので、こういう表記をさせているものだと御理解いただければと思います。
 それから、消費者の使用に伴う事故というときの、物品なり使用していたのが事業者の側でというときに、事業として物品を利用している場合でありますと、どうしても労働災害等の分類に入らざるを得ないのかと思いますけれども、ただ、今、引用いただいたような飲食店での事例、その飲食店に入って食事をしておったところが、突然飲食店で爆発事故に巻き込まれたということは、飲食店の供するサービスを利用、使用しておった状況での事故だというふうに理解をして、なるべく取り込んで消費者事故に該当するという解釈で取り扱われるべきものだと思っております。立法的な部分はちょっとコメントできませんけれども、解釈上、今の事例に関しましては、解釈上対応が可能なのではないかと思っております。

○宇賀座長 では、中尾委員どうぞ。

○中尾委員 私は、何でもかんでもデータは入れておいた方がいいのではないかと思っています。ITが進歩し、自然言語処理という手法ができたので、何でもかんでも入れたら、それに一番類似的なデータを出すということは、すぐできるようになりました。
 特許を検索とき、自分の書いた特許が特許庁の4,000万件の特許の中のどれに一番近いかという作業は瞬時にできます。とにかく4,000万件から6秒以内にコレというものが出てきますので、とにかく何でもいいから自分の情報を入れて検索すればいい。
 花王さんは、自分の会社のお客さんのクレームを、年間に13万件処理しているのです。それも自然言語処理すれば簡単で、同じようにこの商品も悪かったというデータが瞬時に出てきます。
 それから、35歳以下の人は、コンピューターが使えるので、消費者から消費者団体を通さずにインターネットで文句を言えばよいと思います。そして、消費者庁もコンピューターを使って自然言語処理をすればいくら件数が多くなっても分析は簡単だと思います。
 アメリカの場合、自動車のリコールの半分は、消費者の直接のクレームから作業が始まります。メンテナンスする自動車の修理工場を通さずに役所が直接情報を得てリコールをします。その文句を言われたメーカーは、クレームが多いから何とかしろと役所から言われて調査を始めます。とにかく何でもかんでもクレームをデータベースに入れれば、今は分析が簡単にできます。とにかく迷ったら入れるというふうにすればいいのではないかと思います。
 それから、先ほどの100円ライターのリスクは、昔から燃えていたのです。今は火事が少なくなってきたから、こんなのもいっぱいあるんだと騒ぎ出しただけです。過去のデータを見直せばザクザク類似事例が出てくると思います。
 民間には、例えばキッズデザインみたいな賞を出しているNPOが幾つかあるのです。子どもの事故をなくすために、NPOから企業に頼んでこういうのをつくってね、といって実現した商品がたくさん紹介されています。
 役所が法律をつくって新しい商品を規制するというより、消費者庁が協賛すると言って、こういうのを使ったらいいですよと社会にすすめればいい。たとえば、幼稚園はこういうものを使ったらいいじゃないかということを、メッセージとして伝えればよい。
 たばこも、今、竹の節みたいに、たばこの紙が部分的に厚くなるようにつくって、たばこを灰皿に置くと、節のところで火が消えてしまう商品もでています。そういうボトムアップがヨーロッパではあり、火事をなくしてきたのです。
 たとえば、リカちゃんの靴というのが有名です。子供がリカちゃん人形の靴をなめると物ものすごく苦いのです。子どもが口に入れるかもしれないプラスチックをものすごく苦くして吐き出させよう、という設計が、このごろは一般的になってきたのです。しかしこは法律ではないのです。法律ではないけれども、それを飲み込んで、子どもさんが亡くなった場合、お母さんが世の中にこんなに安全な技術があったのに、メーカーが使わなかったのはおかしいと訴えれば、メーカーは過失かPLになります。こうしてフィードバックがかかります。
 安全技術はみんなが知ってくれないと困るから、やはり消費者庁が、こういうのもあるのだからみんなで使おう、というキャンペーンをうち出していくべきです。そうすれば、リカちゃん人形の靴みたいに安全が一般的になってくるのではないかと思います。
 以上です。

○宇賀座長 どうぞ。

○中嶋委員 追加で、中嶋ですけれども、今、中尾先生が言われたように、何でもかんでも全部情報にしろと言われたのですね。データにしろと、これがまさに正解でして、もう一度12ページの絵を見ていただきたいのですけれども、これは消費者安全法に基づく通知制度というのがあって、これは3回スクリーンがかかるようになっているのです。
 今日、橋本委員とか、皆さんのお話を聞いていまして、地方公共団体とか自治体の中に生活指導員の方はおられる、相談員がおられるのですけれども、3段階スクリーンがかかっていると、そのたびに判断で時間がかかるというのと、判断に苦しむと。
 最後の問題は、被害が発生・拡大の恐れがあるか、これは一地方では判断ができない。例えばギョウザ事件なんかでも、千葉で起きて加古川で起きる。これは企業なら、それはいわゆる全国的に広がる可能性があるとわかるわけですけれども、地方では、これはちょっと見えないわけですね。ですから、非常に難しいところがあって、そうすると、言ってみたら、消費者事故に該当するかどうかを、重大事故に該当するかどうかも、被害の発生・拡大のおそれがあるかどうかも、さっき言われたように、全部データ処理の中で引っ張ってくればいいと、入力事項は事故の発生時だとか、場所だとか、被害の程度とか、商品名とか、これは関係者の中ではちゃんと入れることができるわけです。
 そうすると、いわゆるコンピューターの言語処理でもって、一応これは該当しますと、該当しませんというのが出てくるわけです。それを消費者庁の方で判断をしていけばいいのではないか、むしろ地方の相談員の方には、では、どういう仕事をお任せするのかという問題が出てくると思うのですけれども、私は、そこはコミュニケーションがちゃんと取れると、信頼関係というのは、こういう情報処理きちんとできるということと、いわゆる消費者一人ひとりとの対応がちゃんととれるということが、信頼関係を得る実行があって、対話が取れるということだから、私は別にそういうふうにしたからといって、地方のセンターの仕事がなくなるわけでもありませんし、逆に対話をつくるという重要な仕事がちゃんと果たせるようになるので、私は中尾先生が言われたことは大賛成です。

○宇賀座長 では、中川委員。

○中川座長代理 ちょっと先走りかもしれませんが、今日、各委員の言われていることは、ほぼ一緒だと思うのです。
 今、御指摘のあった資料2-1の12ページのこの絵は、今日のマトリックスで言いますと、情報の収集の問題ではなくて、本質的には、分析の問題だということではないでしょうか。法律の書きぶりからすると、いかにもこれだけを通知しなさいと書いてあるのだけれども、それは読み方によるんですけれども、要するに最低限、これだけは届け出よということであって、そこは義務ですよと。ただ、情報を通知するときに、これに限って、ほかを持ってくるなというわけではない。多分、野村課長もそういう趣旨だったと思うのです。
 ですから、今後の改善としては、消費者庁による情報の収集にあたって、地方から国に持ってくるときにはもっと幅広くとらえていいのではないか、そして出すほうが迷わないようなマニュアル化がどうすれば可能なのか、現場でわかるようなマニュアル化ですね。迷えば全部持っていけということになるのだと思いますけれども、情報収集というのはそういうものだという指摘がなされたのではないかと思います。
 他方、分析というのは、まさにこれが重大事故である、そうであればその後に各種の措置が続きます。また、重大事故、消費者事故ではなくても、誤使用が多いと、やはりそれは製品がおかしいんだろうとか、安全性とは何かという再検討につながっていきますので、やはり有用な情報です。消費者事故等の概念に該当しなくても、しかし、それは将来のために分析するということになると思います。
 消費者庁によるその分析の過程で、もう一度地方の消費者センターとか、相談者に戻っていって、どんな状況だったか、また相談する。それは事故を通知するところではなくて、分析の話です。
 そういった意味で、収集というのはどういうもので、その後、分析をどうするのか、そして、恐らく今の御意見だと、今の法律で書いてあるよりも、もう少し広めに事実上やっていくとという改善が必要なのではないか。それ自体は、別に法律で改正しなくてもできることだと思いますので、そういう方法が実際に可能なのかという検討をすることになるのではないか。これに対してあり得る反論としては、消費者庁がパンクするということだと思いますので、今度は分析体制をどうするのか、そこで自治体と連携できないかという話になっていくかと思います。その2段階に分けて議論した方がいいと思いました。これが1点です。
 もう一点は、赤松委員のご発言に関して、消費生活用製品安全法の話です。私のマトリックスで言うと、最初の欄、つまり事業者から行政が収集する情報です。ここも重要な論点があると思うのですけれども、今日はほとんど議論になりませんでしたけれども、それを今後やった方がいいのではないかという気もします。ただ、そもそも消費者委員会の所管なのかとか、経産省ではないかとか、そういう問題もありますので、これは御検討いただいたらどうかというのが2番目の提案です。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 どうぞ。

○西村委員 時間のないところで済みません。公表に関する調査会の方の委員もやっている関係で、公表に関して一つ質問だけさせてください。
 今日いただいたマニュアルの入っている資料の中の消費者庁による重大事故の情報の公表に関するアンケートの、ページで言いますと、42ページないし43ページのクエスチョンの9になりますが、消費者庁が公表するのに当たって個人情報保護や事業者不利益情報の取扱いに注意を要するということに関して、手続をどのように思いますかという質問に対する回答の中で、3分の2の自治体がロというところで、取扱い指針等を示してほしいと書いてあるわけです。
 これは、私どもの調査会でも話題になりますが、個人情報保護あるいは事業者不利益情報というようなことに関しての指針というのがどのようになっているのか。これは恐らく存在するわけですね。それを少し伺いたいと思いました。
 以上でございます。

○宇賀座長 では、野村課長の方からお答えいただきますか。

○野村消費者安全課長 まず、中川先生から一連の議論の御整理をいただきまして、ありがとうございます。
 一言で言いますれば、安全法よりももう少し広めに集める努力しなさいという点は、どういうことができ得るかというのは、少し検討させていただいて、また御報告させていただければと思っています。
 それから、西村先生の公表の取扱指針かありますかという御質問については、こうした指針ございます。同じ資料の69ページから盛り込ませていただいております資料で、生命・身体被害に係る消費者事故情報等の公表に関する基本要領という資料でございますが、情報の取扱いに関してお詳しい有識者の方々に御意見をいただきながら、私どもの内規として持っているものであります。
 この中で、事業者の特定に関する情報の取扱いですとか、個人の識別に関する情報の取扱いというものをどのタイミングで、どういうふうに考慮要素として考慮するかという考え方の整理をしてきておるところですけれども、専ら内規として持っているものでありますので、こういうところも関係機関、自治体さんなどにもちゃんと御説明をしていく必要があると、先ほどのクエスチョンの9に関しては、そういうふうに認識しております。

○宇賀座長 では、今の議題につきましてはそろそろとりまとめをしないといけないんですが、どうぞ。

○阿南委員 中川先生が先ほどまとめられましたが、その中で今の仕組みでも、通知のところは、十分に情報収集ができるのではないかとおっしゃいましたが、それはどういう意味でしょうか。本当にできるのでしょうか。

○中川座長代理 マニュアルで、情報を広めにくださいとすればいいかなと。

○阿南委員 マニュアルでやるということですか。

○中川座長代理 はい。もちろん、ある自治体がどうしても情報を出してこない。ですから、何らかの制裁を加えなければいけないということになると、それは法的な問題になるかもしれませんので、立法措置が必要となるかもしれない。しかし、そこまでは心配する必要はない、今のところは自治体はみんな協力する体制であるという前提であれば、法律より広めに出してくださいということを、ある種の行政指導としておこなうのは、相手が行政ですから、そこはうまくいくと、私は期待しております。

○宇賀座長 今日取り上げた論点に関しまして、いろんな御意見をいただきました。1つは最初の資料1で言うと、事業者からの収集と消費者安全法に基づく収集とありますけれども、1つは消費者安全法に基づく収集についての範囲をで、もう少し柔軟に解釈して広げられないかという意見がございました。
 それから、消費者安全法に基づく収集以外の収集についても考えていくべきだというご意見もございました。最初吉岡委員から出た、例えば公益法人からの収集とか、あるいは中嶋委員から出たメディアの情報の収集とか、中尾委員とか中嶋委員から出た消費者から直接行う収集のように、消費者安全法に基づく収集ルールとは違うルートからの収集ということをもっと考えていくべきだろうという意見が出ました。
 これについては、今日の御意見を踏まえて、消費者庁としてどこまで現行法の下で対応できるのか。どこから立法論的な問題になるかという辺りも整理して、野村課長からまた次回にお話しいただければと思います。
 それから、現行の消費者安全法の通知の要件です。これが厳格過ぎるから緩和すべきだという立法論にわたる意見と、それから解釈でもう少し柔軟に解することができないかという解釈論にわたる意見とございましたし、また、特に通知する側の方からすると、何を通知したらいいかというのが非常にわかりにくいから、マニュアル等でそこもっと明確化、具体化してほしいという御要望等があったところです。
 野村課長からも最初にありましたように、現在、何を通知するかという判断が、基本的に通知元の方の機関に任されているといるのですけれども、そこについても、もう少し消費者庁の方のイニシアチブで情報を集めるとか、そういうことを考えてもいいのではないかといったような御意見もあったかと思います。
 それから、消費安全性を欠くことによって生じたものでないことが明らかであるものを除くという部分についても、もう少し柔軟に対応できないかといった御意見もございました。
 それから、通知事項については、これは野村課長の3番目の問題提起にありましたが、本来通知すべき事項が通知されていないという点です。これは消費生活センターの所掌が、基本的に相談業務と位置づけられているというところから来ている点もあるかもしれませんけれども、この辺りも引き続き検討すべき課題だと思います。
 その他、今日はいろいろ貴重な御意見をいただきましたので、それをまた整理して、次回に議論を進展させたいと思います。
 それでは、次に、議事次第の4、その他の報告についてですが、去る4月20日に消費者委員会の消費者安全専門調査会の製品事故情報の公表等に関する調査会及び消費経済審議会製品安全部会の製品事故判定第三者委員会の初めての合同会議が開催されました。
 そこで、この合同会議の議論内容につきまして、西村座長の方から参考資料の1と2に基づいて、簡単に御報告いただければと思います。

≪4.その他≫

○西村委員 それでは、今、座長から御紹介のございました会合について、時間もありませんので、簡単に御紹介させていただきます。
 お手元の一番末尾にございます参考資料1、これが第1回合同会議の委員の名簿でございまして、私どもは製品事故情報の公表等に関する調査会ということになります。製品事故判定第三者委員会の委員と申しますのは、消費生活用製品安全法に基づく消費経済審議会製品安全部会の下部組織のいわゆる第三者委員会と言われるものでございます。
 参考資料2ということで、この位置づけが示してございます。現在、まさに消費者安全専門調査会という形でこの会が運営されているわけですが、私どもの調査会はその下にございます。
 今、宇賀先生から御紹介がありましたように、合同会議が4月20日にございました。これまでは、専ら消費者庁ができる前は、消経審の下にある第三者委員会が、消費生活用製品の製品事故の公表制度、これの適切な運用をあるいは製品起因であるか否かについての妥当性の判断を、専門家の方々がやってこられたというところでございます。
 今回の審議事項といたしましては、製品起因による事故でないと判断した案件と、また、確認の結果、消費生活用製品ではなかったまたは重大製品事故ではなかった案件、更に原因究明調査の結果、製品起因する事故ではないと判断する案件、原因究明調査を行ったが、製品に起因して生じた事故であるかどうか不明であると判断した案件について審議が行われまして、今回の審議件数は120件という膨大な数字でございました。平成22年分の受理件数としては8件、21年分の受理件数として79件、20年の受理として32件、19年度分としては1件でございました。
 審議の中での議論の論点だけ簡単に御紹介いたしますと、この合同会議の性格として、製品起因でないと判断した理由を明確化して、公表するべきであるということ。つまり、その合同会議自体は、製品欠陥の有無を判断しているわけではないということで、NITE等の検査結果に関する書きぶりを正確に求めるようにということでの要望や意見が多数出ました。
 例えば先ほども話がありましたけれども、その製品起因でないという判断の中でも、判断要素の中に、何らかの安全基準の規定を満たしていたという記載で、あたかも製品自体がもとより安全であるかというような表記の記載は好ましくないのではないかという意見。あるいは介護用ベッドの手すりの問題がございましたけれども、判定理由の1つに要介護度3というような記載がございまして、もともと会議に提示されたものですが、使用者の責任が大きいと判断しているような誤認を与えると、こういったことは配慮が必要であるというような意見がございました。
 その結果、公表に当たっては、記述ぶりの修正をするということで、10件ほど指摘がございました。また、再度審議に26件が回りました。
 この消費生活用製品安全法に基づく重大製品事故の報告件数は、おおむね月に100件程度ということで伺っておりますので、当面この合同会議に関しましても、2か月に1回程度審議が行われるようになるだろうと思っているところでございます。
 簡単ですが、以上、報告とさせていただきます。ありがとうございました。

○宇賀座長 ありがとうございました。それでは、御質問や御意見のある方、御発言をお願いいたします。
 特によろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、本日の議題は以上になります。そこで、次回の日程でございますけれども、これにつきましては改めて御連絡いたします。 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして大変ありがとうございました。

≪5.閉 会≫

(以上)