城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年11月28日
(令和7年11月28日(金) 9:30~9:47 於:中央合同庁舎8号館1階108会見室)
1.発言要旨
おはようございます。本日、冒頭2点ご報告申し上げます。1つ目は、本日夕刻に開催されます第80回総合科学技術・イノベーション会議に、日本成長戦略担当大臣として出席いたします。私も前職として担当していたわけでありますが、科学技術イノベーション、これは我が国の国力の源泉でありまして、成長を加速させ、そしてまた社会課題を解決する原動力となるということは言うまでもございません。成長戦略ではAI・半導体、そして造船、量子等の17にわたる成長戦略分野におきまして、設備投資・研究開発投資を促進する総合的な支援策を取りまとめるとともに、「強い経済」の基盤を構築する「新技術立国・競争力強化」など、分野横断的課題への解決に向けた戦略も策定します。
本日は、第7期の科学技術・イノベーション基本計画について議論されると承知しておりますが、成長戦略のねらい・方向性を踏まえた検討を期待しつつ、来年夏の成長戦略の取りまとめに向けまして、小野田科学技術政策担当大臣をはじめとする関係閣僚と緊密に連携してまいります。
2点目ですが、規制改革推進会議の第7回健康・医療・介護ワーキンググループを来週12月3日(水)に開催いたしまして、「特定施設等における人員配置基準の特例的な柔軟化などの推進」につきまして議論を行う予定です。会議の模様につきましては、公式YouTubeチャンネル「規制改革チャンネル」でオンライン配信を行っておりますので、ご関心のある方は是非ご覧になってください。
以上、冒頭2点、私からの報告事項とさせていただきます。
2.質疑応答
- (問)2点お尋ねします。1点目は、本日この後の閣議決定で補正予算が決まるかと思うのですが、既に歳出規模等については、総合経済対策の中で総合経済対策分は既に発表されていると思います。それに伴って追加の国債発行が11兆円規模、ただ前年よりは当初予算分を含めると下がるようなことが報じられておりますけれども、こういった補正予算案について大臣の評価と、それがおっしゃられている債務残高GDP比の引下げの確保という点にどのようにつながるのか、従来から債務残高GDP比が下がるというのは試算で示されていたと思うのですが、それにどのような影響があるのかといった点をお伺いします。
- (答)まず、国債発行額を含めた補正予算案につきましては、現時点でまだ決定されておりません。具体的な金額について言及することは差し控えさせていただきますが、先日の会見でも申し上げたとおり、2025年度の当初予算と補正予算を合わせた補正後の国債発行額については、予算ベースでは2024年度の補正後の国債発行額を下回る見込みであるということであります。引き続き、強い経済を構築し成長率を高めることと相まって、政府債務残高対GDP比を引き下げて、財政の持続可能性を実現し、マーケット(市場)の信認をしっかり確保してまいりたいと考えております。
昨日、経済財政諮問会議で高市総理が発言いたしましたとおり、令和8年度予算編成につきましては、令和7年度補正予算と一体となって編成する。すなわち、どちらも「責任ある積極財政」の考え方の下、危機管理投資と成長投資によって潜在成長力、これを引き上げて「強い経済」を実現するとともに、経済成長を通じて税収を増やし、財政の持続可能性を実現することを目指しております。
具体的には、成長型経済への転換を図るため、まず物価上昇を適切に反映するとともに、EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング:証拠に基づく政策立案)などによって政策の実効性を検証し、国民生活の下支えや経済成長に資すると期待される施策を大胆に重点化する一方で、やはり当然効果が乏しい場合はしっかり見直しを行うなど、歳出、そして歳入両面で強い経済を支える財政構造の転換を図ってまいる考えです。
こうした考え方の下で、令和8年度予算編成については、予算全体のメリハリをつけていくと。この作業を行う中で、当初予算で措置すべきものは当初予算に計上する取組を少し前に進めていく考えということで、是非ご理解をいただければありがたく思います。 - (問)もう一点、今のお答えに若干既に含まれていたのですが当初と補正の関係について、昨日の諮問会議で今後議論するというのが予算編成基本方針の原案にも含まれ、あと民間議員ペーパーからも似たような趣旨のことが出ていたと思うのですが、これについてはどういうスケジュール感で、どういう論点整理でお進めになる方針かということと、令和8年度当初予算の中にもそういう考え方を盛り込むというお考えかという部分については今ご説明いただいたのですが、そこをもう少し詳しく教えていただきたいです。
- (答)総理のご発言にもありましたとおり、今後も経済財政諮問会議等において、まだ議論が始まったばかりでございますので、その中でしっかり議論をしていこうということでありますので、現時点でこれ以上より詳細なことを申し上げる状況にはないということはご理解いただきたいと思います。
いずれにしましても、先ほど申しましたように、令和8年度の予算編成においても、歳出歳入面をしっかり全体のメリハリづけを行う中でこうした取組を進めていくという方針でありますので、もう少し、経済財政諮問会議をやっていくプロセスにおいて、より具体的にご説明できるのではないかというふうに思います。 - (問)令和8年度においては既に当初にきちんと積んで、その代わり令和8年度の補正についてはいわゆる緊要な経費に絞るというような発想で、令和8年度当初予算から編成していくということでよろしいでしょうか。
- (答)基本的にそういうことでありますが、ただ、既に当初予算については着手しておりますので、どこまでそれができるかについては、今後そういう方向性が示されたわけでありますけれども、実際結果としてどのようになるかということについては、現時点では何とも具体的には言えないと思います。いずれにしても、そういう方向性で取り組んでいくということでご理解いただきたいと思います。
- (問)予算編成の基本方針における今年の骨太の方針と、昨日の諮問会議で説明された政府案の差異についてお伺いさせていただきます。
今年の骨太だと、「債務残高対GDP比をまずはコロナ禍前の水準に向けて安定的に引き下げることを目指し」とあるのですが、一方で昨日の諮問会議で示された内容だと、「債務残高対GDP比を引き下げていくことで財政の持続可能性を実現する」ということになっています。ここで、「コロナ禍前の水準」という表記が入っていないのですが、これはコロナ禍前の水準にはもうこだわらないということよろしいでしょうか。 - (答)そもそも予算編成の基本方針とは、まず今の足下の経済状況、そして経済再生運営の大枠を確認した上で翌年度の予算についての方向性を総論的に記載するものであるということであります。今回お示ししました「令和8年度予算編成の基本方針案」では、高市内閣の経済財政運営の考え方を明確化するため、高市総理の所信表明演説に沿う形で、経済成長を通じて税収を増やし、成長率の範囲内に債務の伸びを抑制し、政府債務残高対GDP比を引き下げていくことで財政の持続可能性を実現し、「強い経済」の実現と財政健全化を両立させていくと盛り込んだところであります。
すなわち、お尋ねがあった文言は、「『強い経済』の実現と財政健全化を両立させていく」という経済財政運営の一つの考え方を示すためのものであって、これが新たな財政健全化目標を定めるといった性格のものではないということでご理解いただければ幸いであります。 - (問)高市さんが首相になったのが10月21日で、それから11月21日には総合経済対策でズドンと大きなのがきたわけです。これは、旧来型のメディアは勘違いしているのですけれども、不連続な大きな経済財政政策の劇的な転換があったと、もちろんいろいろな目標もおきまして。ただ、これが付け焼き刃にきたのではなくて、やはり先生がやっておられた責任ある積極財政議連、そこの共同代表をやっておられましたから、これはある程度準備をして、僅か1か月ですけれども、劇的変化というのはそこをベースメントにして十分練って矢を放ったというふうに私には見えます。
逆に言うと、小泉政権時代のある種の竹中さんのような役目をこれから城内先生がやるのではないかと思うのですが。しかしこの劇的な変化というのは、旧来の文脈でいくら理解しても因数分解できないぐらいの変化なのだと私は思っています。そういうところの中心大臣が城内さんなので、これは十分練った政策なのだということの、ある種の達成感があるのかどうかを含めて伺いたいです。 - (答)まず、すみません1点訂正させていただきたいのですが、私は自民党の責任ある積極財政議連の共同代表ではなく、一顧問でありまして、主要メンバーではございませんので、その点ご理解いただきたいと思います。黒幕やラスボスなどと言われていますが、そういう事実はありませんので、単なる一顧問でございました。
あと、前政権との不連続性や劇的な転換というご指摘がありましたけれども、必ずしもそうではなくて、前政権で行ったことについても包摂する形で経済財政運営をしていくということであります。
先ほども申しましたように、いわゆるサナエノミクスというものは経済成長を通じて税収を増やして、成長率の範囲内に債務の伸びを抑制して、政府の債務残高対GDP比を引き下げていくことで財政の持続可能性も維持しながら「強い経済」を実現していく。特に供給力、アベノミクスはどちらかというと需要面中心でしたけれども、供給力を上げてクオリティーの高い製品、サービス、インフラをどんどんつくれるようにして国際競争に勝って、余剰のものは海外にも展開するという、そういう好循環を生み出すということであります。
サナエノミクスについては、私なりにこの短い期間でいろいろ取り組んでいるところでありますが、まだ結果はこれから出てくる話でありますので、そのように高く評価していただけることは大変ありがたく思いますが、まだ道半ばでございますので、しっかりとおごらず謙虚に、私なりにこつこつ取り組んでまいる考えであります。 - (問)先ほどの質問に対するお答えで少し確認なのですが、要するに現時点では、まずは債務残高対GDP比をコロナ禍前の水準に低減させるという目標は、今回の当初予算編成に当たっても一応念頭に置くものとしては生きているという理解でよろしいのでしょうか。
- (答)債務残高対GDP比の引下げを安定的に実現していくという方針については変わりありません。
- (問)コロナ禍前の水準にというのはいかがでしょうか。
- (答)いずれにしましても、来年の骨太方針に向けまして、この点についてはより明確化していく考えでありまして、繰り返しになりますけれども、債務残高対GDP比の引下げを安定的に実現していくという方針には変わりません。来年の骨太方針に向けてより明確化していく考えであります。
- (問)コロナ禍前の水準というのは意識されないということなのでしょうか。
- (答)骨太の方針というのは閣議決定されたわけですから、当然維持はされています。ただ、同時に、それについては今後骨太の方針を来年また策定するわけでありますけれども、それに向けてより明確化することとしてありますので、この目標を撤回したということではなく、維持をしながら新たに来年の骨太方針に向けてより財政健全化目標については明確化する、今、そのプロセスにあるということでご理解していただければありがたいと思います。
(以上)