城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年11月25日

(令和7年11月25日(火) 9:27~9:38  於:中央合同庁舎8号館1階108会見室)

1.発言要旨

 冒頭、第9回TPP(環太平洋パートナーシップ)委員会についてご報告申し上げます。CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)の閣僚級の会合である第9回TPP委員会が、11月20日、21日にメルボルンで開催され、政府を代表して岩田副大臣が私の代理として出席いたしました。
 今回のTPP委員会では、ウルグアイ、UAE(アラブ首長国連邦)、フィリピン及びインドネシア、この4か国について、締約国間で一致した新規加入対応に係る原則、いわゆるオークランド原則を満たしており、まず、ウルグアイについて加入交渉を開始することを決定いたしました。
 また、協定のアップグレードのため、電子商取引、サプライチェーン強靭化及び貿易円滑化についての協定改正の交渉開始も決定いたしました。
 更に、EU(欧州連合)やASEAN(東南アジア諸国連合)との初の閣僚級対話も成功裏に実施されました。通商を巡る状況が困難に直面する中で、今回の委員会は、CPTPPが生きた協定として発展し続け、ルールに基づく自由貿易体制の維持・強化に貢献していく上での重要な機会となったと考えております。
 今後とも、CPTPPがその高い水準を維持し、拡大・アップグレードしていけるよう積極に取り組んでまいります。

2.質疑応答

(問)21日に決定した経済対策で、17の戦略分野のうち、造船については1兆円規模の投資フレームの策定が発表されましたが、今後、各戦略分野について投資規模などを決めるスケジュール感、次回の成長戦略会議で議論が想定されるような事柄があれば教えていただきたいです。
(答)先日設置いたしました日本成長戦略本部におきましては、来年夏の成長戦略の取りまとめに向けて、総理から17の各戦略分野の関係大臣に対しまして、戦略的投資を直接後押しする供給サイドの支援措置のみならず、戦略的投資の促進につながる需要サイドからの支援措置を含め、総合的な対策を取りまとめること、そしてこれらの支援措置を通じて実現される投資内容、そしてその時期、目標額などを定めました「官民投資ロードマップ」を作成することについて、それぞれ指示がございました。
 その成長戦略の取りまとめに先立ちまして、21日に閣議決定された総合経済対策では、ご指摘のとおり造船分野について年内に「造船業再生ロードマップ」を策定し、官民が連携して1兆円規模の投資実現を目指すフレームを示すことといたしました。
 また、この造船以外の分野についても、今後それぞれの分野の特性などを踏まえまして、順次、具体的な投資案件も想定しながら、多角的な支援策を検討してまいります。
 今後の成長戦略会議は、年内に第2回の会議を開催する予定でありますが、その具体的な日程や議題については現在調整中であります。
 いずれにしましても、現在の新たな成長を切り開き、国民各層の皆様に体感温度として経済の回復・成長を実感していただけるよう、また、成長の果実をお届けし、今の暮らしや未来への不安を希望に変えていく考えであります。
(問)本日開催予定の政労使会議についてお伺いします。今回、政権発足後初の政労使会議となりますが、まず、大臣の意気込みをお願いします。
 もう一点、石破前政権では、かなり積極的に賃上げの目標を前倒したり、賃上げの働きかけをしましたが、今回も同様の取組をなされる方針かお伺いします。
(答)本日夕刻17時15分から17時45分にかけまして、2026年春季労使交渉に向けまして、「政労使の意見交換」を実施する予定となっております。
 この内閣が最優先で取り組むことは、国民の皆様が直面している物価高対応であります。物価上昇を上回る賃上げが必要でありますが、高市総理も何度も申し上げているように、それを事業者に丸投げしてしまっては、事業者の受入れが大変苦しくなるだけでございます。
 このため、21日に閣議決定した総合経済対策におきましては、官公需の価格転嫁を徹底すること、政府全体で1兆円規模の支援を行い、基金も活用して賃上げに取り組む中小企業・小規模事業者の成長投資等を後押しすること、そして、2兆円が追加されました重点支援地方交付金の中で、中小企業・小規模事業者の賃上げ環境整備などの推奨事業メニューを強化すること、こうしたことに取り組むことといたしました。
 このような政府の取組を紹介しつつ、労使の皆様と率直な意見交換を行うことによりまして、来年の春季労使交渉での賃上げに向けた機運を醸成していきたいと考えております。
 なお、最低賃金につきましては、総理からいただいたご指示に従いまして、来年夏の成長戦略の取りまとめに向けまして、最低賃金を含むこれまでの政府決定の対応については、経済動向等を踏まえて具体的に検討していくこととしております。
 なお、最低賃金は、今回の政労使の意見交換における議題となってはおりません。
(問)先週、円相場がユーロに対して下落し、初めて1ユーロ180円台をつけました。大臣はドイツとの関係が深いですが、現在のユーロに対する円安水準をどう思われますか。
(答)為替につきましては、やはり内外の金利差など、様々な要因により、市場(マーケット)において決まるものであり、日々の動向について私の立場からコメントすることは、この場では差し控えさせていただきたいと思います。
 いずれにしましても、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であると考えており、政府といたしましては、投機的な動向も含めて為替市場の動きを高い緊張感を持って見極めているところであり、引き続き注視してまいる考えであります。
(問)冒頭のTPPのご発言の関連でお尋ねですが、TPPで質の高い協定をと、枠組みをということでご発言がありましたけれども、一方で、日本を含め昨今、市場任せにしないで、社会課題を解決のために産業政策を、産業に成長投資をする、政府が補助金を出すといったような動きが強まっていると思います。この2つの兼ね合い、補助金についてはWTO(世界貿易機関)で直接規制されているわけではないと思いますが、隠れた関税であるという指摘は従来からあると思うのですけれども、そういったものの日本も加わっている世界的潮流と自由貿易協定的なものの兼ね合い・バランスについてどのようにお考えでしょうか。
(答)当然、WTOをはじめ、自由貿易の理念、これはしっかり維持することが大事だと思っておりますが、他方で、日本のみならずアメリカ、そして特に中国、ヨーロッパにおいても、これまでの官から民へ、官は官、民は民という市場原理主義的な、いわゆる経済情勢から、安全保障環境も東アジアのみならず、世界的にも非常に厳しくなっておりますし、新たに経済安全保障という概念も出てきましたので、やはりここは大きなリスクがあるそういった分野、あるいは戦略分野については官が呼び水としてしっかり投資して官民連携で対応していくと。全ての分野ではなくて、そういった一部の分野については官民連携でやっていくということが世界的な流れになっておりますので、決してWTOをはじめとする自由貿易の理念に反するものだというふうには、私は認識しておりません。
 いずれにしましても、ご指摘のようなことはないというふうに理解しております。

(以上)