城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年11月21日

(令和7年11月21日(金) 15:29~15:46  於:中央合同庁舎8号館1階108会見室)

1.発言要旨

 本日は私から冒頭1点、総合経済対策についてご報告申し上げます。
 先ほど、臨時閣議におきまして「『強い経済』を実現する総合経済対策」を閣議決定いたしました。今回の経済対策は、サナエノミクスによって、日本と日本人の底力で不安を希望に変える経済対策であります。私から、その全体像や狙いについてご説明申し上げます。
 「『強い経済』を実現する総合経済対策」は、先月総理からいただいたご指示のとおり、「生活の安全保障・物価高への対応」、「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」、そして「防衛力と外交力の強化」、この3本柱に沿って取りまとめを行ったところであります。
 まず、第1の柱であります「生活の安全保障・物価高への対応」では、物価高から暮らしと職場を守るため、足元の物価高対策を最優先で実施してまいります。そして、「重点支援地方交付金」において、従来の支援分とは別に、食料品の物価高騰に対する支援を措置するなど、更なる十分な追加を行います。また、寒さの厳しい冬の間は、電気・ガス代をこれまでよりも深掘りして支援いたします。これにより、来年1月から3月までの3か月間でおよそ7,000円程度の負担が軽減されます。また、ゼロ歳から高校3年生までのこども達に、1人当たり2万円の物価高対応子育て応援手当、これはまだ名称は仮称でありますが、これを支給いたします。地方の生活環境を支える基幹産業を支援・活性化し、地方発の世界をリードする技術・ビジネスの創出を後押しします。価格転嫁の徹底や中小企業の稼ぐ力の強化などを通じて、中小企業・小規模事業者が賃上げや設備投資に踏み出せる環境を整備いたします。
 そして、第2の柱ですが、「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」、ここは5つの分野を中心に、先行的かつ集中的に取組を強化いたします。
 1つ目に、経済安全保障の強化にも資するAI・半導体、造船等の17の戦略分野において、官民が連携して積極的な投資を迅速に行うことにより、日本の社会課題を解決し、先端産業を開花させます。また、重要物資の追加によるサプライチェーンの強靱化等を図るため、経済安全保障推進法の改正等の必要な措置を講じてまいります。
 2つ目に、農林水産業の構造転換、農林水産物・食品の輸出拡大を通じた生産能力向上により、食料安全保障を確立いたします。
 3つ目に、エネルギーコスト上昇に強い経済社会の実現に向けた積極投資、GX(グリーン・トランスフォーメーション)の推進等により、エネルギー・資源安全保障を強化してまいります。
 4つ目には、今なお続く自然災害からの復旧・復興を加速化させるとともに、防災・減災、国土強靱化投資の取組を進めます。
 5つ目に、先端科学技術の支援、スタートアップ支援強化とコンテンツ分野等の振興、健康医療安全保障の構築、人への投資の促進などにより、未来を切り開く投資の拡大を進めます。
 第3の柱でありますが、「防衛力と外交力の強化」です。ここでは、防衛力と外交力の強化を図り、国民の皆様の安全と繁栄を支える「強い日本」を実現します。厳しさを増す国際情勢を踏まえ、防衛力の抜本的強化等を進めます。人的基盤の強化等を図り、我が国を守る人々が誇りを持って任務を果たせる環境を整えます。また、外交面では、「自由で開かれたインド太平洋」を推進し、同志国やグローバルサウス諸国との多角的な経済・安全保障協力を拡大します。米国の追加関税措置について、中小企業向けの資金繰り支援や事業環境整備等により、国内経済・産業への影響緩和に万全を期してまいります。
 今後は、経済対策の裏づけとなる補正予算を速やかに編成し、早期成立に取り組みます。補正予算の成立後は、全府省庁の連携の下、地方公共団体等への周知を徹底し、国、地方が一体となって、できる限り早期の執行に努めます。また、広報・PRを強化して、各施策を国民の皆様に分かりやすく周知するとともに、執行に当たりましては、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を前提とした簡素かつ迅速な実施を基本とします。政府全体で政策の実効性とスピードを両立させ、国民生活への効果を最大化する考えであります。なお、令和7年度の当初予算と補正予算を合わせた補正後の国債発行額は、昨年度の補正後の国債発行額を下回る見込みと承知しております。強い経済を構築し、成長力を高めることと相まって、政府債務残高の対GDP比を引き下げ、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保してまいります。
 以上、皆様のご理解とご協力をお願いして、私からの説明とさせていただきます。

2.質疑応答

(問)今回、経済対策の規模が全体21兆円余り、一般会計の支出が17兆余りと、いずれも去年の対策を上回る規模となりました。こうした中、債券市場では金利の上昇、外国為替市場では、今日は若干円高になっていますけれども、円安方向が傾向としては出ています。背景には財政状況が悪化するのではないかという懸念があると見られますけれども、こうした状況の中で、今回の規模を決めたことへの考えや、改めて今後の財政運営に対する考えを伺います。
(答)今般の経済対策の意義、狙いは、責任ある積極財政の下で、財政規律を維持しつつも、国民の暮らしを守る効果的な物価高対策を最優先で講じること等によりまして、強い日本経済を取り戻し、未来の不安を希望に変えること、もうこれに尽きるかと思います。こうした考え方に沿いまして、規模ありきではないと、私、何度も申し上げておりますが、関係省庁の協力も得つつ、検討に検討を重ね、与党においても、維新さんにも精力的にご検討いただいて、更には党派を超えてご議論をいただいたところであります。そういったことを踏まえまして、その結果として、真に必要で効果的な政策の積み上げ、今般の規模となったと認識しております。これらの施策をできるだけ速やかに執行し、一刻も早く国民の皆様に支援をお届けすることで、私も記者会見でも何度も言っていますけれども、景気の体感温度を高めていくこと、それとともに家計や事業活動に与える影響に細心の注意を払いながら、引き続き経済、物価動向に応じた機動的な政策対応を行っていく考えであります。
 また、繰り返しになりますが、令和7年度の当初予算、そしてこの今回の補正予算を合わせた補正後の国債発行額は、昨年度の補正後の国債発行額を下回る見込みであると承知しております。強い経済を構築し、成長率を高めることと相まって、政府財務残高のGDP比を引き下げ、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していく考えであります。
(問)補正後の国債発行額が前年より下がるということを強調されておられますが、これが政府債務残高GDP比の低下につながるというのは、どういう根拠を持って、どのぐらい確度で言えるとお考えでしょうか。
(答)昨年度の経済対策では、実質GDPを21兆円程度、これは年成長率換算1.2%程度押し上げる効果があるとの試算をお示しし、その後、対策に盛り込まれた各事業が着実に執行されたと承知しています。一方、実質GDPをはじめとするマクロ経済全体の動きは、ご案内のとおり、経済対策以外の様々な内外の経済動向や金融市場の動きなど、そういった様々な要因の影響を受けることでありますので、その専ら経済対策の効果のみを抽出して、定量的に分析することは極めて困難でありますので、政府としてはいずれにしても過去の経済対策に係る各施策の執行状況や成果等について関係省庁と協力しながら進捗確認等を行っているところであり、今般の経済対策においても、経済効果が十分に実現されるよう、こうしたフォローアップに取り組み、適切な進捗管理に努めてまいる考えです。いずれにしても、先ほど申しましたように、国債の発行額については、今年度の当初と補正を合わせた合計の国債発行額は、昨年の合計よりも少なくなる見込みと承知しておりますので、そういった形から債務残高対GDP比は押し下げる効果になると思いますし、分母であるGDPが少し増えるという見込みで、高市総理が繰り返し述べているように、いろいろな経済動向がありますけれども、最終的には債務残高GDP比を押し下げる効果が出てくるものと認識しております。
(問)関連して、先ほど当初と補正の合計国債発行額について触れられたと思うのですが、これは補正だけで国債の発行額がある程度、現時点で見込めているということになりますか。また、その規模というのはどれくらいで、昨年の経済対策と比べてどう異なるのでしょうか。
(答)これについては、まだ正確な数字はこの場で申し上げることは適当ではないかと思います。いずれにしましても、税収の上振れ分、税外収入などを活用しながら、それに加えて、昨年の補正予算のときもそうでしたけれども、同様に国債をある程度発行するということだと承知しております。ただ、いずれにしましても、今年の当初予算のために発行した国債の額と、そして今回の補正の国債発行額合計は、昨年の当初、補正の国債発行額の合計額よりも下回る見込みであるということを申し上げたいと思います。
(問)もう1点、経済対策と異なるのですけれども、先日、日銀の植田総裁と会談をされたと思うのですが、その際に城内大臣からはどのような意見を総裁にお伝えになられたのか教えてください。
(答)私からは、先般の日銀総裁と財務大臣、私を交えての三者会談におきましては、責任ある積極財政の考え方に基づく経済財政運営を行い、日本経済の力強い成長を実現していくこと、今後の強い経済成長と安定的な物価上昇の両立の実現が非常に重要である旨、私からお伝えしたところであります。その上で、引き続き政府と日本銀行が、日本銀行法第4条の趣旨に沿って、物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、一丸となって取り組んでいくこと、このため互いに緊密に連携し、十分な意思疎通を図っていくことなどを確認させていただいたところであります。
(問)今回、危機管理投資と成長投資ということで、多くの戦略分野に関わる項目が重要政策として盛り込まれ、そのような中、中国が世界シェアのトップであったり、競争力を高めている分野も目立つと思います。中国は、現在、高市総理の国会答弁をめぐって、経済的威圧を強めておりますけれども、重要物資などのサプライチェーン構築を急ぐ意味を改めてお聞かせください。
(答)サプライチェーンの構築を急ぐ意義についてのご質問ですが、私も前職は経済安全保障担当大臣でありますが、重要な物資のサプライチェーンにつきましては、グローバル化の進展、科学技術の発展、それに伴う産業構造の変化の背景に、その多様化が進んでおりますが、一方で世界各国地域で重要な物資を外部に過度に依存することによる供給リスクが顕在化しております。実際に、一部の重要な物資については、既に外部に過度に依存している状況が見られるところでありますので、とりわけ近年、一部の物資についてはサプライチェーン上の脆弱性が顕在化しており、国民の生存や国民生活・経済活動を脅かす事態に発展した事例もございます。このため、経済安全保障推進法に基づいて、国民の生存に必要不可欠な、又は国民生活・経済活動が依拠する重要な物資を特定重要物資ということで指定をいたしまして、その安定供給確保を図るなどの取組を進めているところであります。今回の総合経済対策においても、この取組を含めて、重要物資のサプライチェーン強化をしっかりと位置づけたと、そのような形になっております。

(以上)