城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年11月10日
(令和7年11月10日(月) 19:08~19:24 於:中央合同庁舎8号館1階108会見室)
1.発言要旨
本日、日本成長戦略会議の議論がスタートしたところであります。高市内閣における成長戦略の肝、これはまさに危機管理投資であります。リスクや社会課題に対しては、先手を打って供給力を強化する。そのため、官民連携の戦略的投資を促進し、世界共通の課題解決に資する製品、サービス、インフラ、これを提供することによって、更なる成長を実現してまいります。17の戦略分野がございますが、この検討は今後、民間の有識者を交えた分科会等で議論を深めてまいります。日本成長戦略会議では、この先、戦略分野の検討も踏まえまして、日本経済全体の成長の観点からもご議論いただきたいと考えております。
そして、そうした日本成長戦略会議での議論・検討については、経済財政政策全般を取り扱う経済財政諮問会議の議論にも反映させてまいります。
本日の会合では、官民連携の投資に関連して、造船分野について一般社団法人日本船主協会様、一般社団法人日本造船工業会様から、そして、フードテック分野につきましてはOishii Farm Corporation様からそれぞれお話を伺いました。また、有識者の方々からは、今後の成長戦略の全体的な方向性等について、様々なお立場から貴重なご意見をいただきました。
その上で早速、近く取りまとめる予定であります総合経済対策に盛り込むべき重点施策、これにつきましては、必要な修正をご一任いただいた上で、取りまとめさせていただきました。
そして最後に高市総理から、関係大臣に対して、必要となる補正予算の確保や税制の実現に努めるとともに、経済対策の取りまとめを待たず、できるものから直ちに着手するよう、具体的なご指示がございました。
年末の予算編成、来年夏の成長戦略の取りまとめに向けて、より一層精力的にご議論いただくために、年内にも第2回の日本成長戦略会議を開催したいと考えております。
私からは以上ですが、より詳細なブリーフにつきましては、この後、事務方からございますので、そこでよろしくお願いいたします。
2.質疑応答
- (問)戦略分野として掲げられた17項目には先端技術もある中で、国土強靱化など、かねてから課題とされている項目もあります。今後、特に優先していく項目を選択したり絞っていく予定はありますでしょうか。
- (答)成長戦略の肝、これは何度も繰り返し述べているように危機管理投資でありますが、先ほど申しましたように、リスクや社会課題に対し先手を打って、供給力を抜本的に強化するため、官民連携の戦略的投資を促進し、世界共通の課題解決に資する製品、サービス、インフラ、これを提供することによって、更なる我が国経済の成長を実現するということであります。
こうした観点から、17の戦略分野を選定いたしましたので、どこの分野、17のうちの5つに絞るとか、そういうことは考えておりませんでして、いずれも優先して取り組むべき重要な分野であるというふうに考えております。 - (問)先日と本日の予算委員会でも、高市総理がプライマリーバランスについて、単年度ごとの黒字目標の達成状況を、今後は数年単位でバランスを確認する方向に見直すことを検討しているといったご発言をされました。例えば成長戦略、官民投資ロードマップ、また、骨太の方針など様々ありますが、今後はこのご発言のような考え方に基づいて策定されるご予定でしょうか。
- (答)高市総理からそのような発言があったかと思いますが、繰り返しになりますけれども、17の成長戦略分野につきましては、いずれも優先すべき、取り組むべき分野として、規模ありきということではありませんが、しっかりと補正予算に反映する形で総合経済対策を策定する考えであります。
- (問)今ちょうど規模ありきではないというご発言がありましたが、本日総合経済対策に盛り込む重点施策をまとめたということで改めてお伺いしたいと思います。与党内でも新たに取りまとめる予定の総合経済対策、相応の規模というような発言もございます。大臣として現在、どのくらいの規模というようなお考えはありますでしょうか。
- (答)特にこれぐらいの規模というようなものはございません。いずれにしましても、繰り返しになりますけれども、こういった危機管理投資、成長投資の分野につきましては、関係省庁から必要な金額の積み上げがあるかと思いますが、規模ありきということではありませんし、私の頭の中に現時点で具体的な数字、思い描いた数字があるというわけではございません。
- (問)冒頭発言の最後に、2回目の日本成長戦略会議をまた開催されたいというお話がありましたが、ここでは来年度予算編成に向けた議論をされるということでよろしいでしょうか。また、時期などがありましたらお願いします。
- (答)まだどういう議題にするか現時点では決まっておりませんが、いずれにしましても、高市総理が掲げております危機管理投資、成長投資、来年の夏に向けていろいろ提言をまとめていかなければなりませんので、1回、2回で終わるわけではなくて、これからも累次にわたり日本成長戦略会議を適時適切に開催していく予定でありますので、その2回目を年内に開催するということだというふうに私は理解しております。
- (問)17分野いずれも大事というふうに、優先順位も特にないとおっしゃっていましたけれども、たしか大臣は就任直後の記者会見で、経済対策の危機管理投資については選択と集中が大事だということをおっしゃったと思うのですが、やや17分野と幅広いと、選択と集中というお言葉とどう整合性があるのかなという気がするのですが、そこはいかがお考えでしょうか。
- (答)もちろん正直言うと、分野というとこの17分野に限らずありとあらゆる数限りない分野がある中で、選択と集中でこの17分野が危機管理投資、成長投資の戦略分野として絞られたわけですが、現時点でこの中から優先分野を5個だとか10個だとか絞るという段階にはないということです。いずれも重要な分野でありますので、現時点でこの中のこれとこれが三重丸の優先分野、これが二重丸とか、そういうことはまだ全く考えておりませんで、先ほど述べたように、いずれも大事な優先すべき分野だというふうに考えております。
- (問)複数年度の予算措置を宣言というのが今回の資料の中にも入っておりますが、その手法としてはいろいろあるかと思うのですが、基金の活用なども考えられると思います。基金に関していえば、いろいろ乱立して規模ありきになったり、無駄遣いの温床になったりということで、2年前にある程度見直しの方針を出されて、それに沿って見直し等を進めてきたと思うのですが、そういう方向性との兼ね合いというのは、複数年度の予算措置についてはどうお考えでしょうか。
- (答)基金につきましてはご指摘のとおり、たしか2年前に政府として基金全体の点検・見直しを実施したというふうに私も承知しております。いずれにしましても、供給構造、これを抜本的に強化するためには、政府として複数年度にわたる予算措置をコミットし、これによって民間企業が投資の予見可能性、これを向上させていくことが極めて大事だというふうに考えております。そうした観点に立ちまして、具体的な手法としては、今後、個別の戦略分野ごとに検討を行いまして、早急に実行すべきものは総合経済対策にしっかり盛り込んだ上で、来年夏の成長戦略の策定に向けて検討を継続していく、そのように考えております。
なお、一般論で言いますと、複数年度にわたる支援の手法としては、ご指摘の基金以外にも、例えば国庫債務負担行為あるいは税制措置なども考えられるところであります。いずれにしましても、支援はあれもこれもではなくて、真に必要かつ効果的なもの、そういったものに限定するよう、今後の戦略の取りまとめ過程のプロセスにおいて、具体的に検討してまいる考えであります。 - (問)先ほど諮問会議との関連について冒頭でご説明があったと思うのですが、今日、例えば有識者の方の資料からは、国債発行もちゅうちょすべきではないといったようなご提案も出ていて、やや個別の分野ごとの成長戦略というよりは、全体のマクロの構造であるとかマクロ経済的インパクトといいますか、あるいは財政に関わることも提案されていると思うのですが、この辺は、日本成長戦略会議でやっていくことと諮問会議でやっていくことの仕分けなり仕切りみたいなものはどのようにお考えでしょうか。
- (答)これは民間有識者の方のそういう発言があったというふうに私も承知しておりますが、それはあくまでもエコノミストとしてのその方のお考えでありまして、こういう有識者の会議の場ですので、いろいろな立場の発言があるのは当然でございますので。
ただ、もちろんそういったマクロ経済の在り方についても議論を排除するものではなく、ミクロの各戦略分野における、いろいろなどういった分野で何を戦略分野として投資していくかという議論も大事ですけれども、当然、日本のマクロ経済の在り方について、諸外国の事例なども参考にしながら検討していくということをやるかどうかについては今後、民間有識者の方々とも、あるいは総理とも相談しながら考えていかなければいけないと思います。
今日、第1回目が立ち上がったばかりですから、こういうやり方でやっていくのだというのではなく、民間有識者の方々のいろいろな意見も、そして総理、関係閣僚とも相談しながら、いい形で第2回目以降の日本成長戦略会議を進めていきたいと思います。
いずれにしましても、会議のための会議、何か役所のほうで文書を用意してそれでおしまいではなくて、やはり活発な委員の方の議論を次の会議までにしっかりまとめて、そういうベースをちゃんとつくりながら、総理も冒頭おっしゃったと思いますけれども、あまり前例とかにとらわれないで、ダイナミックに大胆に、そのような話をされたと思うのですけれども、そういう形で、名前も日本成長戦略会議ですから、やっているうちにどんどんいろいろなアイデアが出て、爆発的な何かいい方向に、分野とかも含めて議論が進んでいくことができたらなというふうに思っております。 - (問)本日示された重点施策の中からは、これまで新しい資本主義で記載されていた最低賃金の引上げや1%程度の実質賃金目標などの記載がなくなっておりますが、今後、政府としてこうした最低賃金を含めた賃上げなどについて、具体的な目標値を掲げていく方針はあるのでしょうか。
- (答)この内閣が最優先に取り組むことは、国民の皆様が今直面しております物価高、この対応・対策だと思いますが、やはり何といっても物価上昇を上回る賃上げが必要でありまして、今日も総理が予算委員会で答弁されたように、事業者にそれを丸投げするということをしてしまっては、事業者の経営が苦しくなるだけでありますので、継続的に賃上げができる環境を整えること、これを政府の役割というふうにしっかり認識して対応するということだと思います。
そのため、生産性向上支援、そして更なる取引適正化等を通じまして、中小企業・小規模事業者の皆様を強力に後押ししていく考えであります。
なお、11月4日に設置いたしました日本成長戦略本部におきまして、高市総理から賃上げ環境整備担当大臣である私に対しまして、物価上昇を上回る賃上げが継続する環境整備に向けた戦略策定、その指示があったところでありますので、この戦略の中で最低賃金を含むこれまでの政府決定の対応について、経済動向等も踏まえながら、今後、具体的に検討していく考えであります。
(以上)