城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年11月4日

(令和7年11月4日(火) 10:47~11:07  於:中央合同庁舎8号館1階108会見室)

1.発言要旨

 冒頭、私から1点ご報告申し上げます。
 まず本日、日本成長戦略本部が開催されましたが、その結果についてご報告申し上げます。
 本日の閣議におきまして日本成長戦略本部の設置を決定したことを受けまして、第1回会合を開催いたしました。
 議題1として本部の運営要領を定めた後、議題2において成長戦略を策定・推進するための会議体として日本成長戦略会議、これを設置することを決定したところであります。
 次に、議題3として成長戦略の検討課題についてご議論いただきました。成長戦略の検討課題の内容は、お手元にあるかと思いますが、その資料のとおりであります。この際、11名の閣僚からご発言がございました。
 そして、最後に高市総理から、各戦略分野の供給力強化策として、複数年度にわたる予算措置のコミットメントなど、投資の予見可能性向上につながる措置や事業フェーズを念頭に、新たな需要の創出や拡大策を取り入れる、技術・人材育成・スタートアップ・金融など、分野横断的な課題についても、それぞれを解決するための戦略を策定する、投資内容やその時期、目標額等を含めた官民投資ロードマップを策定し、国富拡大に与えるインパクトについても定量的な見込みを示す、まずは経済対策に盛り込むべき重点事項を早急に取りまとめるとともに、来年夏の成長戦略の策定に向けて精力的に検討を行う、などのご指示があったところでございます。
 次に、日本成長戦略会議の民間有識者についてであります。お手元の資料のとおり、日本成長戦略会議の民間有識者として12名の方々にご就任いただくことが内定いたしました。
 ざっと見ていただくと、クレディ・アグリコル証券会社東京支店チーフエコノミストの会田卓司(あいだたくじ)様。
 日本電鍍工業株式会社代表取締役の伊藤麻美(いとうまみ)様。
 早稲田大学研究院教授の遠藤典子(えんどうのりこ)様。
 PwCコンサルティング合同会社上席執行役員であり、チーフエコノミストの片岡剛士(かたおかごうし)様。
 日本商工会議所会頭の小林健(こばやしけん)様。
 東京大学公共政策大学院教授の鈴木一人(すずきかずと)様。
 国際環境経済研究所理事・主席研究員の竹内純子(たけうちすみこ)様。
 日本経済団体連合会会長の筒井義信(つついよしのぶ)様。
 日本製鉄株式会社代表取締役会長兼CEOの橋本英二(はしもとえいじ)様。
 株式会社シナモン代表取締役社長CEOの平野未来(ひらのみく)様。
 東京大学大学院工学系研究科教授の松尾豊(まつおゆたか)様。
 日本労働組合総連合会会長の芳野友子(よしのともこ)様。
 この12名であります。学識経験者に加えまして、製造業・サービス業に携わる経済界の方、労働界の方など、成長戦略について高いご見識をお持ちの方々にお願いすることといたしました。
 今後、所要の手続きを経まして正式にご承諾いただき、会議の構成員としてご就任いただくこととなっております。
 以上、私からの冒頭の報告事項でございます。

2.質疑応答

(問)今、ご報告いただいた件ですが、冒頭の資料は私どもに配布されていなかったようです。
(答)資料を用意したのですけれども、若干修正があって今ちょうど刷り直しているところですので、後ほど事務方からブリーフをいたしまして、その際には間に合うと思いますので、配布させていただきます。
(問)日本成長戦略会議について、検討課題と構成員を示していただきましたが、具体的にどのようなスケジュール感で検討されていくのでしょうか。例年ですと、来年6月ぐらいを目途に計画をまとめたり、骨太に一部組み込んだりというようなことが想定されますが、そういうことなのでしょうか。あるいは、補正でも危機管理投資と打ち出されているので、それとの兼ね合いも含めていえば、そういうものも事前に検討していくのか、その辺のスケジュール感とか議論の進め方について教えてください。
(答)決まっている範囲で申し上げますが、冒頭に申し上げましたとおり、本日閣議後に第1回日本成長戦略本部を開催いたしまして、日本成長戦略会議、これは有識者の会議ですけれども、これを設置することが決定されました。
 この日本成長戦略会議におきましては、様々なリスクや社会課題に対しまして、先手を打って官民が連携した戦略的投資を促進し、世界共通の課題解決に資するような製品、サービス、インフラ、これを提供することによって、更なる我が国の経済の成長を実現することとし、今後、成長戦略をより具体的に策定し推進していくこととなっております。
 そして、現在、まずは経済対策に盛り込むべき重点事項を早急に取りまとめるということをやりますが、更に来年の夏に日本成長戦略を策定することになりますので、それに向けて精力的に検討を行っていくと。現時点ではそういう状況だということを申し上げたいと思います。来年の夏ですので、骨太の方針と同じ時期にということで、そこで日本成長戦略をまとめるということになると思います。
(問)民間有識者の12名の方について、先ほど学識経験者のほか、製造業、サービス業とご説明があったと思うのですけれども、今回、戦略分野を挙げられていらっしゃると思いますが、この12名を選ばれた基準といいますか、戦略分野に何か重視している分野があるのかお伺いします。
(答)成長戦略について、先ほど申しましたように、高い見識をお持ちの方々にご就任することをお願いするということであります。
 ただ、選定理由については人事案件でもございますので、個々の選定理由についてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきます。他方で、日本成長戦略会議だけで議論するのではなく、恐らく今後、前の新しい資本主義実現会議でもそうだったと思いますが、分科会のようなものをつくりまして、それぞれのテーマ、戦略分野に沿った形でより掘り下げたというか、突っ込んだ議論がなされるのではないかと。まだ現時点ではどのような分科会を作るのか、あるいは作らないのかも含めて決まっておりませんが、今申しましたように、前の新しい資本主義実現会議、そういうものがございましたので、そういうことになるんではないかと思います。
 いずれにしましても、この日本成長戦略会議については、繰り返しになりますけれども、成長戦略について高い見識を有する方を12名、そのうち女性が5名ということで選んだということであります。
 その選定基準については、人事案件ですので、この場で詳細について申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
(問)本日1回目の日本成長戦略本部が開催されたわけですが、今後の会議における意気込みと、改めて幅広く議論されると思いますが、優先していきたいテーマなどがございましたら教えてください。
(答)繰り返しになりますけれども、本日設置した日本成長戦略会議、これは様々なリスクや社会課題に対しまして、先手を打って官民が連携した戦略的な投資を促進し、世界共通の課題解決に資するような製品、サービス、インフラ、これをしっかりと提供することによって、更なる我が国の経済成長を実現するために、成長戦略を策定し推進していくということであります。そして、私自身は国民各層の皆様に、この記者会見の場で何度も申し上げているように、体感温度としての経済の回復・成長、これをしっかりと実感していただけるよう、成長の果実をしっかりお届けすることが大事だというふうに考えております。
 高市総理が所信表明で明らかにされたとおり、AI・半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙、サイバーセキュリティ等、いずれも重要な戦略分野でありますので、こういった各分野において大胆な投資促進等の検討を進めていくということだと思います。
 有識者の構成につきましては、先ほど申しましたように、学識経験者に加えまして、経済界の方、労働界の方など、成長戦略について高い見識をお持ちの方12名を選定し、ご就任をお願いすることとした次第であります。
(問)関連ですが、財源の部分などについてお伺いします。本日の会議の中で総理から、税率は上げなくても税収増加を目指していくという趣旨のご発言がありました。そうした力強い経済を目指していく間までというのは、足元の経済対策にも関わってくると思うのですけれども、税収で足りない部分というのは、税外なのか国債の発行なのか、そういうところが必要と考えているのかどうか。「責任ある積極財政」の責任というところについての考え方、改めてお伺いできたらと思います。
(答)総理発言は、「日本成長戦略本部で、日本の供給構造を抜本的に強化し、強い経済を実現するための成長戦略を強力に推進していく」と。そういうことで、そういう趣旨で税収をそれで中長期的に上げていくというふうに私は理解しております。
 他方で、国債増発云々については、総理がそのような話をしたかどうか承知しておりませんけれども、そういうことではなく、日本成長戦略本部でしっかりと需要を高めて、それを通じて供給力も高めていくという、そういう成長戦略だというふうに理解しています。国債増発云々については、私は承知していません。
(問)足元の経済対策のときに財政の考え、財源のところを改めて伺いたいという、そういう趣旨でした。
(答)財源論についてこの場でお答えすることは、今後いろいろと議論していくことになりますので、私が予断を持って財源論について、この記者会見の場で申し上げることは、差し控えさせていただきたいと思います。
 いずれにしましても、いろいろな形でしっかりと議論をして、今後の在り方について方向性が決まってくるのではないかと思います。いずれにしましても、この財源論についてこの場でお答えすることは、私の担当を越えることでありますので、差し控えさせていただきたいと思います。
(問)先ほどの財源確保の質問に関連してお伺いさせていただきます。
 先日、就任会見で、危機管理投資と成長投資の選択と集中が大事だということをおっしゃっていたと思うんですけれども、どのような評価軸で今後精査されていくお考えか、お伺いしたいです。
(答)評価軸というのはいろいろあると思いますので、日本成長戦略本部、そしてそれの下にこれから作られる成長戦略会議、17の分野がございますので、それはそれぞれ責任を持って担当される大臣、そして事務方でそういった評価軸というか、ものをきっちり定量的にできるだけ出していただくようなことになるのではないかと思います。
 私がこの場でAとBとCということを申し上げる段階にはまだないというふうに思います。
(問)こちらももしかしたらお答えいただけない範囲かも分からないのですが、財源に関するところで、以前、諸外国の事例もいろいろ踏まえながらご検討ということでしたけれども、大臣は海外でのご経験も長いと思うのですが、どこか念頭にあるような国があれば教えていただきたいです。
(答)これは前回申し上げたような「責任ある積極財政」という観点で、当然のこととして諸外国、日本のやり方、海外のやり方、いろいろとあると思いますので、そういったものは一般論として、政策を企画・立案するときには参考にするのは今でもやっていることだと思いますし、これからもやっていかないといけないということで、「責任ある積極財政」という観点から、一般論として申し上げたことでありました。特に具体的にこのA国、B国、C国を参考にして変えていくとか、そういうことを申し上げたつもりはございません。
(問)有識者メンバーのクレディの会田さんですけれども、城内大臣がご就任されてからたくさんレポートを書かれていまして、城内大臣のご発言の解説をたくさん書かれています。金融政策について、日銀に任せるとしながら、大臣が成長にも目配せしてくださいとおっしゃっているのを、この会田卓司さんはイエレン流のデュアル・マンデート、高市政権は日銀にデュアル・マンデートを課していると解説していて、物価だけではなくて、雇用か成長率か分からないですけれども、そういう解説をされているのですが、これは間違っているのか、我が意を得たりなのか、お話しいただければ。
(答)先日10月22日の就任会見で申し上げたかったことは、ご案内のとおり、日本銀行は日銀法2条というのがございまして、「通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」を理念としております。また、第4条では、「その行う通貨及び金融の調節が経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連携を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」とされておりまして、その上で2013年1月のいわゆるアコード、政府と日本銀行の共同声明におきまして、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け政策連携していくこととされているということだと思います。
 こうした仕組みを踏まえまして、強い経済成長と物価の安定、この2つの両立の実現に向けて、適切な金融政策運営を行うことが非常に重要と考えております。そういった観点での発言であります。
 日本銀行には引き続き、政府と緊密に連携し、十分な意思疎通を図りながら、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けまして、日銀法第4条、第2条もございますので、適切な金融政策運営を行うことを期待しております。

(以上)