城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年10月28日
(令和7年10月28日(火) 9:21~9:38 於:中央合同庁舎8号館1階108会見室)
1.発言要旨
冒頭2点ほどご報告させていただきます。1点目は、月例経済報告等に関する関係閣僚会議の開催についてです。これを明日に開催する予定です。各種指標の動向を踏まえました今月の政府の景気判断につきまして、会議においてお示しする予定です。また会議後には、私から記者会見、その後事務方から会議のブリーフィングを行いますので、今月の景気判断につきましてはその際にご説明させていただきたいと思います。
2点目ですが、規制改革推進会議の第6回健康・医療・介護ワーキング・グループを明日開催いたしまして、全国がん登録及び院内がん登録の更なる利活用に向けた整備について議論を行う予定です。会議の模様は公式YouTubeチャンネル「規制改革チャンネル」においてオンライン配信を行いますので、ご覧いただければ幸いでございます。
以上、冒頭2点の報告を申し上げました。
2.質疑応答
- (問)昨日、終値ベースで日経平均株価が初めて5万円を超えました。成長を前面に出した高市首相への期待の表れもあるかと思いますが、5万円へ行ったことの受け止めと、また、今後への期待について伺えますでしょうか。
- (答)株価の問題ですので、株価につきましては、日々の動向につきましては様々な要因により市場において決まるものでありまして、私の立場からコメントすることは差し控えたいと思います。
その上で、ご質問の趣旨が、株価上昇が高市内閣への期待感の表れではないかということであれば、私たち閣僚としてはその期待に応えることができるよう、総合経済対策もございますので、政策に全力で取り組んでまいる考えであります。
まずは国民の暮らしを守る物価高対策、これを早急に講じるとともに、官民が連携した危機管理投資、成長投資により、日本経済の強さを取り戻すための経済政策をつくり上げてまいりたいと思います。
前の記者会見で申しましたように、やはり景気回復、経済成長の果実をしっかりと、一部の国民・企業ではなくて国民各層、中小企業・個人事業主、特に大変厳しいというところがございますので、そのいわば体感温度を上げていくというようなことが私は大事だと。もちろん経済指標がよくなることも大事ですけれども、やはり個々の各層の国民の皆様、そして企業、その方々が体感温度としてしっかり景気回復、経済成長の果実を実感していただくことが重要だというふうに思っております。 - (問)高市政権になり、株高になる一方で円安も進んでいます。円安は一部の輸出企業にとり、トランプ関税の影響を緩和する効果もあるといわれます。円安が日本経済に与える影響やその受け止めについてお聞かせください。
- (答)為替市場の動向につきましては、様々な要因によって市場において決まるものでありまして、私の立場からコメントすることは差し控えたいというふうに思います。
その上で一般論として申し上げますと、円安の影響につきましては、輸入物価の上昇が国内価格を押し上げ、家計や企業の実質的な購買力を低下させる可能性がある点には十分留意する必要があると思いますが、他方で、輸出企業の収益及び国内投資の拡大などのプラス面もあるというふうに考えております。
為替相場についてはやはりファンダメンタルズを反映して安定的に推移すること、すなわち、短期間で乱高下するというようなことがないことが私は重要だと考えております。為替市場の動向が我が国の実体経済に与える影響につきましては、引き続き注視していきたいと考えております。
いずれにしましても、物価高による生活コストの増加については、総合経済対策でしっかりと対応していく考えであります。 - (問)財政規律についてお伺いします。先週、片山大臣が経済対策において、国債増発もやむなしという発言をされました。大臣の持論として、財政規律としてプライマリーバランス、25年度から26年度にかけて黒字化するという、時期を明示した目標というのは撤回されたほうがよいとお考えでしょうか。財政規律についてのお考えをお聞かせください。
- (答)財政規律でありますけれども、まず、経済対策の規模につきましては現時点で想定しているものはありませんので、仮定に基づいてお答えすることは控えさせていただきたいと思いますが、その上で申し上げますと、組閣時の総理から私への指示書におきましては、「責任ある積極財政」の考え方に基づく経済財政運営を行うと。そして、「経済・財政新生計画」に基づき、歳出・歳入両面からの改革を推進し、経済財政と財政健全化を両立させるといったご指示をいただいているところであります。
したがいまして、財政規律を捨てるというわけではございません。しっかり財政規律も念頭に置いた上で戦略的に財政出動を行い、所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税収も増加させると。こうした好循環を家計への、先ほども申しましたけれども、実感へとつなげるということが「責任ある積極財政」の考え方でありますので、それによって強い経済を実現してまいる考えであります。 - (問)2つお尋ねします。1点は、先日の「日曜討論」でのご発言で、強い経済を取り戻す、強い経済成長を取り戻すといったご発言をされていたと思いますが、取り戻すとおっしゃっているということは、過去に何がしかの参照点があるというふうに聞こえるわけですが、取り戻す対象というのはいつ頃のどういう経済状態を指されているんでしょうかというのが第1点です。
- (答)高市内閣におきましては、「責任ある積極財政」という考え方の下で、戦略的に財政支出を行うことによりまして所得を向上させると。さらに大胆な危機管理投資、そして成長投資を行うことで、潜在成長力を高めると。
したがいまして、需給両面から強い日本経済を取り戻すこととなっております。景気回復及び経済成長の果実を、先ほど申しましたように、国民の各層の皆様にしっかりとお届けし、実感していただくことが大事であります。
私が今、中心となって取りまとめることになります経済対策の第1の柱、これが生活の安全保障・物価高への対応、これが示されたところでありまして、総理のご指示の中で、地域のニーズにきめ細かく対応する重点支援地方交付金の拡充、あるいは厳冬期の電気代・ガス代への支援、そしていわゆるガソリンの暫定税率の廃止までの間、基金を活用しましたガソリン等への補助、更に中小・小規模事業者の賃上げ環境整備の支援などが示されているところでありますが、これにより物価高に困っている方々の暮らしを守り、そして消費マインドを改善する、その上で所得が増え、事業収益を改善することを目指しております。
併せて、第2の柱として、危機管理投資・成長投資による強い経済の実現が示されまして、総理のご指示の中で、経済安全保障の強化、食料安全保障の確立、エネルギー・資源安全保障の強化、防災・減災・国土強靭化の推進、未来に向けた投資の拡大などが示されております。
これら様々なリスクや社会課題に対して、官民が手を携えて、先手を打って行う戦略的な投資、これにより未来への不安を希望に変え、経済の新たな成長を切り拓くということであります。
経済対策の取りまとめを担当する私としては、関係省庁からの提案も踏まえまして、与党と十分に連携し、また、党派も超えた議論も踏まえ、総理のご指示や考え方に沿った効果的な政策を盛り込んだ経済対策を取りまとめたいということであります。
ご質問のかつての強い日本経済の時期について、現在、日本経済は緩やかに回復しておりますけれども、潜在成長力は伸び悩んでいると承知しております。潜在成長率は、1980年代に4.2%、1990年代に1.6%となった後、2000年代に入ってからは1%以下で推移していることにも鑑みまして、私としては、高圧経済ということがやはりございますけれども、こうしたことを通じて足元の潜在成長率を高めていくことは重要と考えております。
いずれにしましても、早急に経済対策を取りまとめ、景気回復及び経済成長の果実を国民各層の皆様にしっかりとお届けし、実感していただけるよう努めてまいる考えであります。 - (問)今のお話、最後の部分ですと、潜在成長率で90年代1.6%という数値を上げられましたが、今「経済・財政新生計画」等でも成長移行ケースで1%台半ばの潜在成長率を目指しておると思うのですが、そういう姿ということを目指しているという理解でしょうか。
- (答)そこの点につきましては、どこを目指すかということも含めて、しっかりと政府、新しい高市政権ができたばかりですから、目指すべきところはどこにあるのかということも含めて、今後、議論していきたいというふうに思っています。最初から何かここだという具体的な目標を今設定してそれに向かうということではないのではないかなと思います。
いずれにしても、有識者の方々の様々な考え方もございますし、繰り返しになりますけれども、新政権ができたばかりでありますので、それぞれの方がそれぞれの政府の中の考え方もあるでしょうし、与党内にもいろいろな様々な考えがありますし、また、野党の皆さんの考え方もあるので、そういったことについてはご指摘を踏まえまして、現時点では申し上げることはできませんが、どういうところに持っていくのかということを考えなければいけないのかなと思います。 - (問)高圧経済という考え方について、ある程度加熱気味に経済を保つということかと思いますが、ある程度加熱気味のちょうどいい具合というのをどのように認識するのでしょうか。例えば、今の達成すべき潜在成長率に行くまではとにかく圧をかけ続けるのだという考え方もあるかもしれませんし、そうはいってもインフレ率が高まってしまえばそれはそれでよくない。高圧経済といった場合に、この辺はどのようにコントロールしていくことをお考えでしょうか。
- (答)繰り返しになりますけれども、高圧経済についても先ほど申しましたように、財政規律もそうですが、いろいろな考え方もありますので、様々な識者によって議論されているというふうに承知しております。
1つ例を挙げますと、例えば米国の経済学者であり、FRB(米連邦準備制度理事会)議長や財務長官を歴任しましたイエレン氏は、力強い総需要と逼迫した労働市場という高圧経済、これを維持することにより、供給サイド、サプライサイドの悪影響を反転させる可能性があるというふうに提起しております。
そのほかに国内にも高圧経済研究会だったか、そういう経済学者、有識者の研究グループもあるというふうに伺っております。
1つの例としては、例えば受給が引き締まった状況をつくり出すことによって失業率を低下させ、就業者を増やすことができると。こうしたことは当面の所得増だけではなく、就業者が職場を通じたスキルを獲得することにも貢献しますし、結果的に人的資本の強化を通じて供給能力を高めることにも資するという面もあります。
また、タイトな受給を背景に、投資や新技術の社会実装の進展も期待するということも考えられます。
他方、どの程度の需要超過をどの程度続けることが適切かという点についてはいろいろな考え方もありますし、経済統計の動きを丁寧に見ていくことも重要だというふうに考えております。
こうしたことから、内閣府におきましても、あるいは日本銀行におきましても、毎月の物価や賃金・雇用動向等から受給動向を観察しているところであります。こうしたことなどを通じて、適切な経済財政運営に努めてまいる考えです。
いずれにしましても、早急に総合経済対策、これを取りまとめて、国民の各層の皆様に景気回復及び経済成長の果実をしっかりとお届けし、実感していただく、体感温度を上げていただくということが大事だというふうに思っております。 - (問)先ほどご紹介いただきました潜在成長率の2000年代以降の低迷について、原因・理由はどのようなところにあるというふうに分析なさっていますでしょうか。
- (答)そういった理由については、日本だけではなくて海外の要因とか国内の要因、様々なものがあるかと思います。ここで確定的に私のほうから申し上げることは差し控えたいと思います。
いずれにしましても、そうした過去の経済成長の低迷、デフレ、そういったことにつきましては、高市新内閣におきまして、これをいかに脱却し、景気を回復させ、今、緩やかに景気は回復しておりますけれども、更に景気回復、経済成長をさせて、国民各層の皆様にいかにその果実を実感として感じていただくかということに取り組んでまいる考えであります。
(以上)