小野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年12月9日

(令和7年12月9日(火) 9:00~9:09  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 昨夜、青森県沖を震源とする非常に大きな地震が発生いたしました。被害に遭われた方々に、心よりお見舞いを申し上げます。地域の皆様には、まずは考え得る余震や地盤の緩み、家屋の損傷などに起因する2次災害に十分気を付けていただき、また、政府や自治体の情報発信に注意を払っていただきながら、お過ごしいただければと思います。生活インフラの損壊や避難場所での生活など、寒い時期に不便な暮らしを強いられている皆様が、少しでも早く普段の生活に戻ることができることを祈念いたします。
 それでは、まず、科学技術政策担当大臣として御報告いたします。
 12月5日に、フュージョンエネルギーの産業団体である、一般社団法人フュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)の表敬訪問を受けました。
 J-Fusionの活動報告を伺うとともに、フュージョンエネルギーの産業化や将来展望について意見交換を行いました。J-Fusionには、重工業や商社、スタートアップなど、多種多様な分野の企業が現在100社以上参画しているとのことで、様々な視点からのお話を伺うことができました。
 フュージョンエネルギーは、日本成長戦略本部において、17の戦略分野の一つに位置付けられ、私が担当大臣として指名されております。2030年代の発電実証の実現に向けて、産業界の意見をしっかり踏まえながら、関係省庁の先頭に立って全力で取り組んでまいります。
 次に、人工知能戦略担当の大臣として報告をいたします。
 先週5日に、AI戦略本部の下に置かれたAI戦略専門調査会の第3回会合を開催いたしました。
 本会合においては、先日実施したパブリックコメントを踏まえた、AI基本計画案、適正性確保のための指針案について、委員の皆様から、様々な観点から大変示唆に富んだ貴重な御意見を頂戴いたしました。
 AI基本計画案の内容につきましては、本会合において大筋で認められたところです。指針の案につきましては、いただいた意見を踏まえて策定した案に対し、12月5日から11日を期間として、改めてパブリックコメントを行っています。
 引き続き、詳細について検討を深めているところであり、年内の策定に向け、必要な調整を進めてまいります。

2.質疑応答

(問)昨日の感染症協議会で提言案が示されましたけれども、それに対する大臣の受け止めと今後の取組について教えてください。
(答)感染症危機対応については、本年2月に閣議決定された「健康・医療戦略」において、「感染症研究基盤の強化・充実」や、「ワクチン・診断薬・治療薬の研究開発・支援の推進」等に取り組むこととしています。これを受け、本年6月より、感染症協議会において、産学官の有識者よりヒアリングを行い、MCMと呼ばれる感染症危機対応医薬品等の研究開発や生産等に関する意見を集約してきたところです。
 昨日検討された提言案では、強化すべき研究開発支援等の対象を、ワクチンのみならず、感染症の治療薬・診断薬にも拡大していくこと、感染症有事対応の実効性を上げるために訓練やシミュレーションに取り組むこと、そして、研究開発段階に加え、製造環境維持等の実用化後の支援を検討・導入し、MCMエコシステムを構築すること等が記載されています。
 MCMの研究開発の成果は、次なる感染症危機における国民の健康医療安全保障に非常に影響が大きいものと認識しています。感染症協議会の提言は年明けにまとまる見込みであるところですので、今後、国として、提言を踏まえた戦略を策定していきたいと考えています。
(問)昨日、マテリアル戦略の有識者会議が開催されて、改定国家戦略の新たな推進方策の検討が始まりました。どのような議論を期待されているか、それから、補正予算の中で3.9億円の予算が計上されていますけれども、その狙いもお教えいただければと思います。
(答)マテリアル分野は成長戦略の戦略分野の一つであり、「危機管理投資」、「成長投資」の観点からも非常に重要であると認識しています。マテリアル戦略有識者会議においては、この分野で我が国が勝ち続けるための推進方策を打ち出してもらいたいと思っています。
 その際、AIが科学研究や開発の在り方を抜本的に変えつつあることを踏まえて、AI駆動のマテリアル研究拠点の形成、それを支える人材の育成、データ基盤の構築などについて、具体的な提案を期待しております。
 補正予算案では、KPI設定に向けた国内外の動向調査や、国際共同研究が有意な分野の精査等、推進方策の速やかな検討着手に必要な経費を計上しているところです。
 有識者会議において推進方策の策定を進め、我が国がマテリアル分野で勝ち続けるために必要な施策を力強く推進していきたいと考えています。
(問)冒頭でありましたAI基本計画の案についてですけれども、今回、おおむね了承されたんですが、基本的な投資や利用の具体的な数値目標についてはまだ盛り込まれていない状況で、今後、議論がまだまだ必要だということだったんですけれども、こういった目標の設定について、どういったところに課題があるとお考えでしょうか。それと、今後、どのように目標設定に向けて議論を加速させていくかについてもお聞かせください。
(答)5日のAI戦略専門調査会においても、投資や利用に関する具体的な指標について議論があったところです。この議論の中では、投資や利用に関する指標だけでなく、投資や利用によって生じる効果等についての指標も重要であるといった御示唆もあり、引き続き検討をしていくこととされました。
 なお、日本成長戦略本部においては、高市総理から、「AI・半導体」についても目標額などを含めた「官民投資ロードマップ」を来年夏までに策定するように御指示があったところであり、AI基本計画への反映も見据えながら、経済産業省をはじめとする関係省庁と連携しながら、また、有識者の御意見を踏まえつつ、着実な検討を進めてまいりたいと思っております。
 参加した議論の中で、AIを使うとなったときに、以前もお答えしたかもしれないですけれども、何をもってAIを活用するなのか。例えば、検索したときにAIが自動で出してくるもの、ChatGPTを使えばそれがAI活用なのか、具体名を出してしまいましたが。こういう活用の仕方をして、こういう効果を出してまで、或いは出さずにただ使う目標でいいのかとか、いろいろな御議論があったところなので、そういったことも踏まえて、今後、検討してまいりたいと思います。
(問)トランプ大統領が出された新NSS(国家安全保障戦略)、これを大臣はどう御覧になったか。主体的防衛力の強化は高市政権の眼目ではございますが、経済安保上、両国関係を含めまして、どのような影響があったり、新たな取組や、あるいはサプライチェーンですとか、インテリジェンスですとか、この新NSSを受けて、何かしらの対応とか、議論とか、今後どう考えておられるのか、お考えを伺いたいです。
(答)米国政府が公表した国家安全保障戦略については、昨日、木原官房長官の会見において、「インド太平洋地域における紛争を抑止するために同盟国等と協力すること」などが記載されていることに触れた上で、「トランプ政権の目指す安全保障政策が明確に示されたものと評価をしている」と言及があったと承知しています。
 米国は同盟国であり、かつ経済安全保障上も重要なパートナーです。10月にトランプ大統領が訪日した際に行われた首脳会談でも、幅広い分野において、経済安全保障の取組を一層強化していくという点でも一致しています。私自身も、クラツィオス科学技術政策局長との間で、重要技術分野における協力を進めていくという合意をしました。引き続き、多面的に日米間の連携を経済安全保障の面でも緊密にしてまいりたいと考えています。

(以上)