小野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年12月5日

(令和7年12月5日(金) 9:05~9:14  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 宇宙政策担当の大臣として御報告いたします。
 12月2日、第4回目となる「衛星リモートセンシングデータ利用タスクフォース大臣会合」を開催いたしました。
 本タスクフォースは、政府が率先して人工衛星データの利用拡大を推進していくための会合であり、令和5年6月に閣議決定された「宇宙基本計画」において、実施が位置付けられているものです。
 会議において、令和6年度から3年間とされた「民間衛星の活用拡大期間」の中間地点での、政府における衛星データの利用拡大に向けた取組状況が報告されました。また、衛星データの利用を更に進めるため、官と民の衛星のそれぞれの特性を生かした「コンビネーション利用」の拡大や、様々な社会課題分野で利活用に取り組む府省の連携促進を盛り込んだ「衛星データ利用に関する今後の取組方針」の改訂が了承されました。
 「航空・宇宙」は高市内閣における戦略分野の一つであり、内閣府としては、宇宙政策の司令塔として、関係府省の皆様と連携しつつ、様々なリスク、そして社会課題への対応に資する衛星データの利活用を一層促進するため、積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、科学技術政策担当の大臣として報告いたします。
 昨日開催されたSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)第3期「海洋安全保障プラットフォームの構築」の報告会に参加いたしました。多くの方に御参加いただきまして、レアアースの生産技術開発、海洋ロボティクス調査技術開発など、これまでに積み上げた研究成果を広く発信する機会となり、嬉しく思います。
 特定国に依存しない安定した国産レアアースの供給体制の実現を目指す本事業は、我が国の経済安全保障上、極めて重要であると考えています。
 来月には、我が国が誇る地球深部探査船「ちきゅう」が出港し、深海約6,000メートルまで揚泥管を接続し、開発した機器が機能することを確認する予定です。
 まずは、この成功に期待をしておりますが、引き続き、国産レアアース生産に向けた研究開発を加速すべく、政府として必要な支援を行ってまいります。

2.質疑応答

(問)昨日、4省庁合同の会議で、ゲノム編集をしたヒト受精胚の胎内への移植を法律で禁止すべきという報告が取りまとめられました。大臣としての受け止めをお願いします。
(答)昨日、「ゲノム編集技術等を用いたヒト受精胚等の取扱い等に関する合同会議」において、ゲノム編集技術等を用いたヒト受精胚等を人や動物の胎内へ移植することを法律により禁止するべきとする報告書が取りまとめられる見通しになったことは承知をしております。
 総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)は、令和元年6月に取りまとめたヒト胚の取扱いに関する基本的考え方の見直し等に係る第二次報告において、ヒトの受精胚の適切な取扱いのため、法的規制の在り方も含めた、適切な制度的枠組みの検討を関係省庁に求めてきたところです。これを受け、関係省庁において丁寧に議論を積み重ねていただき、この度の報告書の取りまとめの見通しになったところです。
 報告書においては、新たな法律に基づき、ゲノム編集技術等を用いたヒト受精胚を用いる研究に関する指針を策定すること、その策定に当たっては、CSTIの意見を聴くこと等の記載が盛り込まれていると承知しており、引き続き、CSTIの事務局である内閣府においても、適切に協力をしてまいりたいと思っています。
(問)運営費交付金について伺います。総合科学技術・イノベーション会議で、高市総理から、運営費交付金などの基盤的経費などの大幅な拡充を検討するよう指示があったと承知しています。一方で、財政制度等審議会では、競争的資金の更なるシフト、運営費交付金の依存度低下を目指すべきということが提言されていると思います。こうした議論を踏まえて、政府としてどのような方向性を目指しておられるのか、御説明いただけますでしょうか。運営費交付金については、人件費や設備費や研究費など、幅広い用途があると思うのですけれども、増額検討に当たって重視されていることや課題と思われていることについてもお聞かせください。
(答)先月の財政制度等審議会において、高等教育について議論され、国立大学法人運営費交付金に関し、競争的資金への更なるシフト等が論点とされたことは承知しております。
 一方で、文部科学省の有識者会議がまとめた「科学の再興」に関する提言では、運営費交付金をはじめとする基礎研究投資、この抜本的拡充の必要性が盛り込まれておりまして、CSTIの基本計画専門調査会でも議論されたところです。
 また、それに加えて、ノーベル賞を受賞された研究者の方々からも、再三にわたり、基礎研究の充実には運営費交付金の拡充が必要不可欠であるというような御指摘をいただいているところでございます。
 運営費交付金は、研究を含む大学のあらゆる活動の基盤と支えるものでございまして、各法人の改革を促進しつつ、ミッションや機能強化の方向性に沿った活動を安定的に支援していくことができるようにすることが重要と考えています。どこを拡充というよりも、しっかり基を拡充して、しっかり使っていただけるようにするということが重要だと思っています。
 第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けて、先日のCSTI本会議での総理指示も踏まえて、引き続き総合的に検討を進めてまいりたいと思います。
(問)冒頭でもお話がありました、SIPの南鳥島沖のレアアース採掘計画について伺います。豊富な資源が南鳥島沖にあることが分かりまして、来月には接続試験を控えておりますが、長い目で見ますと、6,000メートル級の深海からレアアースを実際掘り起こして、それを実際に社会実装するまでには、たくさんの試験であったり、多額の費用、時間がかかると思っています。政府としてどのように息の長い支援を行っていくのか、具体的に伺います。
(答)冒頭申し上げましたとおり、御指摘の南鳥島沖のレアアース泥の採鉱を目指す取組は、現在、内閣府のSIP事業において実施をしています。
 国産レアアースの供給体制の実現に向けては、今後、関係省庁の一層の連携が必要であると認識しておりますけれども、社会実装につなげるためにも、まずは、SIPにより、必要な研究開発と技術実証を行うことが重要であると考えています。
 研究開発と技術実装を一層加速化すべく、今般の補正予算案に164億円計上したところでございます。引き続き、関係省庁との連携を強化して、どのように息の長い支援を行っていくのかというところに関して、今、具体的に、長期的にこういう予算をつけますということは申し上げられませんけれども、関係省庁と連携して、しっかりと検討を進めてまいりたいと思います。
(問)今のレアアースの関係で伺いたいのですけれども、レアアースそのものの採掘、資源開発もとても重要かと思うのですけれども、それと同時に、例えば、レアアースの使用を減らしたり、若しくは使用しなくてもいいようにするですとか、若しくは代替の物質を探すなど、そういった研究開発も一緒に進めていく必要があるかと思うのですけれども、その辺りどう幅広く研究開発を進めていかれるか、お考えをお聞かせください。
(答)おっしゃるとおり、レアアースに関しては、資源開発のみならず、供給元の多角化、レアアースの使用量削減や代替、回収・リサイクル、備蓄等、様々な観点からの取組が同時に求められるものだと思っています。
 内閣府においては、SIPによるレアアース生産に向けた技術開発等の取組に加えて、御指摘いただいた、レアアースの使用量削減や代替に向けて、経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)において、レアアースを使わない磁石の開発や、レアメタル使用量を低減した耐熱超合金の開発等を行っているところです。
 引き続き、関係省庁と連携をして、レアアースに関した研究開発を着実に推進してまいりたいと思います。

(以上)