小野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年12月2日
(令和7年12月2日(火) 9:01~9:16 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
科学技術政策担当大臣として御報告いたします。
先週11月28日、官邸において、第80回総合科学技術・イノベーション会議(CSTI本会議)を開催いたしました。
会議では、私から、第7期科学技術・イノベーション基本計画の検討状況を報告し、関係大臣等や有識者から御意見をいただきました。
高市総理からは、科学技術・イノベーション基本計画について、一つ、運営費交付金などの基盤的経費や、基礎研究への投資の大幅な拡充について検討をすること、一つ、基礎研究から社会実装まで一気通貫での支援を実現するための施策を計画に盛り込むこと、一つ、国家安全保障上の要請に科学技術が応えていくという視点等を踏まえて検討すること等の指示をいただきました。今後、関係大臣と連携の上で、しっかりと検討を進めてまいります。
また、会議では、ムーンショット型研究開発制度の進捗状況等の評価と、福島国際研究教育機構の評価案への答申を決定いたしました。
詳細は、事務方までお問合せ願います。
次に、経済安全保障担当大臣として御報告いたします。
1日に神奈川県に出張し、ジャパン マリンユナイテッド株式会社(JMU)の磯子工場において造船の現場を視察させていただきました。
JMUでは、鋼材の曲げや溶接を繰り返して巨大な船舶を造り上げていく現場や、北極海を含む海洋地球観測活動を担うこととなる北極域研究船「みらいⅡ」、そしてカーボンニュートラル船といった次世代船舶の効率的な開発等を可能とするデジタル技術などを視察し、造船の現場のスケールの大きさや技術の進化を改めて実感いたしました。
また、造船に携わる皆様と直接お話をさせていただきまして、人手不足などの喫緊の課題、その対策としてAR技術の活用等に取り組まれていることもお伺いさせていただきました。
我が国の経済安全保障の観点からも造船業の再生は不可欠です。11月21日に閣議決定された、「強い経済」を実現する総合経済対策においても、10年間の基金を創設して総額3,500億円規模を目指すことや、「造船業再生ロードマップ」を年内に策定することなどが明記されております。
造船は、成長戦略における17の戦略分野のうちの一つでもございまして、国土交通大臣をはじめとする関係大臣と連携し、事業者の皆様ともお話をしながら、造船業の再生にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
次に、健康・医療戦略担当大臣として御報告いたします。
本日、「創薬力強化に向けた総合経済対策における対応」について、関係省庁の協力の下、パッケージとして取りまとめましたので御報告を申し上げます。
このパッケージは、医薬品産業を成長・基幹産業と位置付け、我が国を「創薬の地」とするため、政府が一体となって実施していくことを内外に明確に示していくために作成したものです。
健康医療安全保障の構築に向けて、創薬基盤の整備、ドラッグロス・感染症危機などへの対応、再生・細胞医療・遺伝子治療に係る国内製造体制整備のための予算等を措置し、経済対策として全体で3,300億円程度の事業規模となっております。
今般、「創薬・先端医療」が、日本成長戦略本部において、「危機管理投資」・「成長投資」の戦略分野の一つに位置付けられたことを踏まえ、我が国の創薬力強化を力強く推進し、国民の皆様に医薬品が迅速に届くように取り組んでまいります。
次に、宇宙政策担当の大臣として御報告いたします。
昨日、我が国の衛星測位システムである準天頂衛星システム「みちびき7号機」を、来年2月1日に、H3ロケット9号機で打ち上げる予定である旨を発表させていただきました。
準天頂衛星システムは、現在、5機で運用しており、12月7日に打上げを予定している5号機、そして、この7号機を打ち上げることにより、令和8年度からは、日本上空で常に4機の「みちびき」を見ることができる7機体制が構築できます。これによって、他国の衛星がなくても、「みちびき」のみで測位を可能とする社会インフラを実現でき、測位サービスの更なる高精度化と安定化が図られることを大いに期待しています。
引き続き、官民が結束して、準天頂衛星システムの整備と利活用が進むように、政府を挙げて積極的に取り組んでまいります。
そして、最後に、鈴木農林水産大臣からお声がけをいただきまして、私からもお願いがございます。
失礼させていただきます。
普段、ここではお水をいただくところでございますけれども、今日は、地元・岡山県の「蒜山ジャージー牛乳」をいただいております。
例年、寒さが増す季節になりますと、牛乳の消費が極端に落ちてしまいます。牛乳として消費されない分はヨーグルト、こちらですね。これは、おなかがごろごろしにくいA2のものですね。ヨーグルトなどの乳製品に、牛乳として消費されない分は加工されるのですけれども、近年はその需要も振るわない状況になっています。
牛乳の安定供給を確保していくためには、牛乳やヨーグルトの需要回復が急務ですけれども、まずは皆さんにこのことを知っていただくことが重要ということで、所管外ではあるのですけれども、農林水産大臣からの命を受け、今日、飲ませていただいております。
先日、鈴木農林水産大臣からも国民の皆様にお願いがございましたので、私自身も、普段から飲んではいるのですけれども、あえてこの場でも率先して牛乳を飲み、ヨーグルトを食べることで、酪農家の皆さんを応援していきたいと思います。
ここで全部飲んでいいと書いてあるので、飲ませていただきます。ありがとうございます。
わあ、うま。ひげは大丈夫ですかね。おいしいですね。参議院のほうは、農林水産委員会で牛乳を飲むというような文化もあったりするのですけれども。おなかがごろごろして飲めないなという方は、おなかごろごろしづらいかもねというようなA2ミルクがあったりですとか、あと、シチューに入れてミルクを使っていただいたりとか、いろんな方法がございますので、是非このミルクをみんなで飲んでいただけたらありがたいなと思います。ごちそうさまでした。
2.質疑応答
- (問)牛乳は、鶏の胸肉を柔らかくするためにも役に立つみたいで。
- (答)さすが科学新聞。
- (問)それは置いておいて。先週のCSTIでの総理指示についてなんですけれども、運営費交付金などの基盤的経費と基礎研究への投資の大幅な拡充と。これは、これから具体的にどのように実現していくのか、大臣のお考えを教えてください。
- (答)先端科学が国の社会経済の発展、そして国家安全保障に直結することから、基礎研究力の強化などを内容とする「科学の再興」が重要でございます。文部科学省の「科学の再興」に関する有識者会議が示した提言では、「新たな研究領域への挑戦の抜本的拡充」や、「大学改革と連動した基盤的経費の確保」が盛り込まれておりまして、11月27日に開催された内閣府の基本計画専門調査会にもそのように報告されています。
今回、高市総理の指示も踏まえまして、このような施策を、我々、第7期科学技術・イノベーション基本計画の中にしっかりと位置付け、運営費交付金などの基盤的経費や、基礎研究への投資の大幅な拡充に向けて、関係省庁と連携をして取り組んでまいりたいと思っています。 - (問)日本新聞協会が、11月27日に、政府の人工知能基本計画骨子に対する意見書を公表しております。報道コンテンツが無許諾で生成AIに利用されている実態があるとして、1つ目は、AI事業者は学習データを開示し、2つ目として、適切な対価を支払うような仕組みづくりを政府に対して求めております。また、3つ目として、AIの政府調達に当たっても、適切な権利処理を行っている開発業者の製品かどうか判断基準に盛り込むべきとしております。新聞の販売部数が年々減少していく中で、活路の一つはネットであるわけですが、無断利用でよいことなど一つもない状況だと思います。そして、新聞は非常に大事だと思っております。日本新聞協会の意見についての受け止めと、何らかの対応を検討するお考えがあるのか、お願いします。
- (答)御指摘の意見については承知をしております。本件は、11月21日から27日の期間でパブリックコメントを行った、「人工知能基本計画骨子」及び「人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針骨子」の双方に関するものと認識しております。
パブコメに寄せられた個別の意見について、ここで回答するというのは難しいのですけれども、例えば、一般的に、情報の開示等の「透明性の確保」、「対価還元」に係る考え方、政府調達の議論にも通ずる「各府省庁所管のガイドラインの適宜の点検・見直し」については、既に指針骨子でも示しているところでございますので、今後、議論をしっかりと深めてまいりたいと思っています。
いずれにいたしましても、今回、パブリックコメントをさせていただきましたので、そのいただいた様々な御意見を踏まえて、基本計画や指針の年内目途での策定作業を進めさせていただきたいと思っています。 - (問)今の質問に関連してなんですけれども、米生成AI事業者のパープレキシティに対して、昨日、報道48社が一斉に抗議をするような、記事の無許諾収集に関して抗議をするということがありまして、パープレキシティに対しては、そういう姿勢が問題視されて、海外でも訴訟とか、そういう動きがあるわけですけれども、これに対する所感と受け止めを伺えれば幸いです。
- (答)御指摘の報道については承知しているところですけれども、民間企業の個別事案や民事訴訟についてコメントをするということは差し控えさせていただきたいと思います。
いずれにしても、AIをしっかりと皆さんに安心して使っていただくためには、リスクにもきちんと対応していかなくてはいけないというところは我々としてもずっと言っておるところでございますし、注視してまいりたいと思っています。 - (問)冒頭で御紹介がありました、創薬力強化に向けた総合経済対策の受け止めについて伺いたいんですけれども、コロナ禍では日本のワクチン開発の遅れですとか、日本の創薬に関する課題があらわになったかと思うんですけれども、大臣として、現状、日本の創薬の場面での課題はどこにあって、今回の総合経済対策でその辺りをどのように強化できていくとお考えか、お聞かせください。
- (答)冒頭でも申し上げたとおり、創薬基盤を整備して、ドラッグロスや感染症対策、感染症の危機などに対応していく体制をしっかり整えていかなくてはいけないなということはもちろんなのですけれども、具体的にこの事業にこれぐらいつけて、やるよ、ということに関しては、恐れ入りますが、事務方に後ほど聞いていただけたらと思います。
ただ、いずれにいたしましても、これからの安全保障の点を考えても、この創薬力の強化というのは喫緊の課題で、全力を尽くしてまいりたいというところは同じ考えでございます。 - (問)クールジャパンの御担当として、2点伺いたいんですけれども、上海で、浜崎あゆみさんであったり、大槻マキさんであったり、パフォーマンスが中止になって強制終了みたいなことが起こっています。まず、こういった事案が、日本のアーティストが現地でそういう目に遭っている、その率直な受け止めを伺いたいというのと、もう一つが、クールジャパン戦略の取組の一つとして、現地で日本のファンを増やすというのをうたっているわけですけれども、ハードルが上がったように感じるんですが、戦略の見直しといいますか、政府として何のやりようがあるか、その辺りのお考えがあればお聞かせください。
- (答)御指摘の報道については、もちろん承知しておりますけれども、民間企業による個別のイベントでどういうことがあったかということに対しては、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、クールジャパン戦略に関しては、日本の素晴らしいコンテンツ、そして文化を世界に発信することで、日本のファンを増やそうというのはそのとおりなのですけれども、どこか特定に偏るというものではなくて、全世界にファンを増やしていくということを目的に頑張っておりますので、そのために我々としてしっかりサポートしていきたいと思っています。 - (問)ネット上の誹謗中傷について伺いたいと思います。今年、情報流通プラットフォーム対処法が施行されたわけなんですけれども、大臣もSNSでネット上での投稿に対して自ら反応して対応されたと思うんですけれども、この情プラ法に則って、投稿の削除を申し出たりとか、そういった対応を今後も含めて検討される予定はないのかどうかについて、お伺いできないでしょうか。
- (答)インターネット上の誹謗中傷に関しては所管外なのですけれども、私個人がということですか、個人がどうするか。
こういう状況になったらこうしますというのは、手の内を明かすことになるので言いたくないので、私がどうするかということは差し控えますが、皆さん、是非、インターネットは匿名ではないよということは、常々、心に留めていただければと思います。
(以上)