小野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年11月21日
(令和7年11月21日(金) 9:10~9:26 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
AI戦略担当大臣として報告をいたします。
現在、AI基本計画等の策定に向け、第2回AI戦略本部を可能な限り早期に開催すべく、書面開催も視野に調整を急いでいるところです。同本部が開催され次第、幅広く国民の意見を聴取するために、速やかにパブリックコメントを開始する予定です。詳しくは内閣府の事務方にお問い合わせをお願いいたします。
2.質疑応答
- (問)スパコンランキングのトップ500が公表されました。ドイツのJUPITERが米国以外で初めてエクサスケールを達成して、日本の「富岳」は7位と健闘していますけれども、今回の結果について、大臣はどのように受け止めているでしょうか。
- (答)最新のスパコンランキングにおいて、スーパーコンピュータ「富岳」が、御指摘のように、単純な数値計算の速度で7位となったことに加え、ビッグデータ処理性能では2位、実際のアプリケーションを使うことを想定した場合の処理性能でも2位と、今回も複数の部門で上位に位置しているなど、その総合力の高さが示されたことを嬉しく思います。
他方で、ドイツのJUPITERなど、各国のスーパーコンピュータの開発に関する国際競争は活発化しております。国際的な動向を踏まえつつ、文部科学省において、「富岳」の次世代の新たなるフラッグシップシステムについて、2030年頃の運転開始を目指して、開発・整備を行っていると承知をしています。
最先端の計算基盤が、今後も卓越した研究成果の創出に貢献するとともに、産学官における多様な分野で活用されていくことを大いに期待しています。 - (問)AI関係で伺います。Googleが今週17日にAI for Science強化策の一環で、東北大学の認知症研究に1.5億円を寄付するという発表をしました。また、同じ日に、NVIDIAも理化学研究所とのAIによる科学研究の加速に力を入れると発表をしておりますけれども、こうした米国の巨大なテック企業による国内研究機関との連携や投資をどのように評価されますでしょうか。また、政府も、総合経済対策に盛り込む重点政策として、AI for Scienceの戦略方針を今年度内に策定するとしています。なぜAI for Scienceを重視するのでしょうか。また、どんな戦略方針を立てていくか、見通しを教えてください。
- (答)AIの急速な進展に合わせて、国際的にも、研究活動においてAIを利活用する「AI for Science」が進んでおり、研究の生産性や効率の向上のみならず、科学研究の在り方そのものが変革しているということでございます。
御指摘の、世界のAI産業を牽引する企業と国内研究機関との連携は、我が国の様々な分野での研究やイノベーションの加速をもたらすものであると考えており、期待しています。
我が国においても、AIの利活用を前提とした研究環境の構築、そして、AIの科学研究への応用による研究者の創造性の最大化に向けて、文科省において、AI駆動型研究開発の強化とそれを支えるデータの創出・活用基盤の整備及び次世代情報基盤の構築等を内容とする「AI for Scienceの戦略方針」の策定に向けた検討が進められておると承知しております。
内閣府としても、こうした動きを踏まえながら、研究の生産性や効率の向上のために、AI for Scienceを推進すべく、第7期科学技術・イノベーション基本計画やAI基本計画の策定に向けて、検討を進めてまいりたいと思っています。 - (問)先週、内閣府のワーキンググループが、基本計画の策定に向けまして、重要技術領域、16分野を特定した報告書をまとめました。16分野の中には、AIやフュージョンなど、特に安全保障などと密接に関係している分野は6分野として国家戦略技術領域として重要な領域だと指定されて、産業化まで一気通貫で支援していくという方針が盛り込まれました。もちろん、こうした分野はとても重要だと思うのですけれども、一方で、やはり基礎研究とのバランスも重要かと思うのですが、その辺りどのように両立を図っていかれるか、お考えをお聞かせください。
- (答)御指摘のとおり、基本計画専門調査会の下にワーキンググループを設置して、AIや量子といった重要技術領域に対して支援の重点化を図ることについて議論をいただいているところです。
このワーキンググループの場でも、重点化の議論のみならず、研究者の自由発想に基づいて行われる基礎研究は、イノベーションの源泉たるシーズを生み出す、まさに種を生み出すものであり、それが社会実装を目指す応用研究や開発研究につながっていくことから、基礎研究も大変重要だと指摘をされています。
科学とビジネスが近接化している昨今において、基礎研究力の強化と重要技術領域をめぐる取組のいずれもしっかり支援していくことが非常に重要なのだろうと思っています。
その上で、重要技術領域については、基礎研究から産業化に向けた出口まで一貫して支える、一気通貫で支援することが重要であると考えています。
今後、基本計画専門調査会にワーキンググループの取りまとめが報告される予定ですけれども、第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けて、検討を進めてまいりたいと思っております。いずれにしても、限られた予算やリソースだとは思うのですけれども、基礎研究も全て、どちらも大事だというところは、ぶれずにしっかり大事にしていきたいと思っています。 - (問)先頃、経産省が初めて、発火事故が多い中国メーカーに対して行政指導しました。非常に不具合が多い危険な電池が流通することも恐ろしいことですけれども、これらも特定重要物資で、日本は供給が弱いわけです。数年前に確かに1兆円か何か投資したとは思いますが、今の中国との関係が厳しい状況を考えますと、ここは一段とやはり担当大臣としましては、この分野に対する何かしらの策の必要があるのかどうか、どうお考えになるのか、特に危機管理投資ですか、この分野について、これは民生と関わるわけですから、このリチウムイオン電池についての経済安保の問題について、予算措置を含めて御見解を伺いたい。
- (答)御指摘のリコールの件は承知しております。このように、モバイルバッテリー等の民生用リチウムイオン蓄電池の事故については、製品の安全性担保の観点から、経済産業省などが適切な措置を講じていると承知しています。
一方、我が国の経済安全保障上の取組というのは、特定の国を念頭に置いたものではございませんが、重要な物資のサプライチェーンにおけるリスクの点検に不断に取り組みつつ、重要性、外部依存性、供給途絶等の問題があるかどうか、そして必要性、この4つの要件を満たす物資について、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資として指定をし、その安定供給の確保を図ることとしております。その過去の例もお話しいただきました。
車載用や定置用のリチウムイオン蓄電池については、特定重要物資として、民間事業者による設備投資等を支援しております。
引き続き、経済産業省等とも連携をしながら、我が国の経済安全保障を推進すべく、この重要な部分について対策を進めてまいりたいと考えています。 - (問)海賊版サイトに大量のデータ配信を可能にするネットワークサービスを提供したとして、講談社、集英社、小学館、KADOKAWAの出版社大手が、米国のクラウドフレアに損害賠償を求めた訴訟の件がありまして、一昨日ですけれども、東京地裁はマンガ4作品に対して約5億円の賠償を命じました。海賊版による著作権、出版権の侵害を、クラウドフレアがほう助したと判断したと言われています。そもそもの背景なのですけれども、デジタル化の進展に対して法規制が進んでいないということが挙げられますが、法整備についてどうお考えか。そして、このことに関して、本当に小野田大臣に期待する声は日増しに大きくなってきているのです。つまり、対応してほしいという期待ですね、これを含めてお願いいたします。
- (答)個別の判決事案については、詳細なコメントは差し控えさせていただきます。ただ、十分承知しているところです。
クールジャパン戦略担当大臣としても、この海賊版対策というのは本当に重要なので、我が国の知財が他国に不当に、他国だけではない、自国でもそうですけれども、搾取されるというのはあってはならないことだと思います。
一般論として、本件に限らず、CDNサービスが海賊版サイトに悪用されることは、政府としてこれまでも問題視をしており、対策を講じてきたところです。具体的には、総務省や内閣府等が連携して、CDNサービスの悪用防止の観点から、諸外国における運用制度の調査を行うとともに、クラウドフレア社に対しても、利用規約等に定めている対応が適切に実施されるように措置を講じるべく促してきたところであります。
引き続き、関係省庁と連携して、今までの取組をきちんとすることに加え、ほかに何ができるかも含め、考えていきたいと思っています。 - (問)ありがとうございます。2つ目なのですが、欧米などの国では、著作権侵害対策の一環として、著作権法に基づくISP(インターネット・サービス・プロバイダ)によるサイトブロッキングが認められていると思います。様々一部の国では意見もあるようですけれども、認められています。これを受けて、日本でも、過去、ブロッキングの法制化を有識者会議で検討しましたけれども、憲法で保障する「通信の秘密」を侵害する懸念から、まとまらなかった過去があると思います。今後、いろいろやはりAIや様々なことでものすごく世の中が変わっていく中で、政府として再びブロッキングの法制化を検討する可能性は全くないのか教えてほしいです。
- (答)ブロッキングの法制化に関する経緯、御指摘のとおりでありました。私も自民党の部会などでも参加していたので、そのいきさつは重々承知しておりますが、慎重な検討を要する論点であると議論されていたことも承知しています。
内閣府としては、有識者会議での議論等を踏まえて、2019年に「インターネット上の海賊版に対する総合的な対策メニュー」というものを策定し、その後も必要に応じて見直しを図るとともに、今年の5月には、「海賊版等対策官民実務者級連絡会議」における議論も踏まえ、官民が連携してより取組を着実に進めるべく工程表を策定したところです。
「総合的な対策メニュー」において、ブロッキングに係る法制度の整備については、「他の取組の効果や被害状況等を見ながら検討」するものとされており、引き続き、海賊版対策の取組状況や被害状況を注視しながら考えてまいりたいと思います。 - (問)外国人政策についてお伺いします。来年1月目途に取りまとめる方針に当たっては、大臣も重ねて「まずは実態把握が必要だ」ということをおっしゃっていたと思います。その実態を把握した結果というのは、その方針より前に別途事前に公表していただけるものなのかというのと、また、確認なのですけれども、その1月に取りまとめる方針というのは、EBPMの観点から、実態を把握した結果を基にした対策ということになるのでしょうか。
- (答)今月4日に開催された「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」において、総理から、外国人による不動産保有の実態把握に向けて、「不動産の移転登記時」や「森林の取得の届出時」の国籍把握の仕組みの検討、そして、外為法に基づき、国外居住者による不動産取得を幅広く把握する仕組みの検討などに加えて、外国人の土地取得等のルールの在り方を検討するため、安全保障への影響や国際約束との関係の具体的な精査について、御指示をいただいたところです。前段の国籍把握については、現在、関係省庁において仕組みの検討を進めているところで、実施可能と判断したものについては順次実施していくことなります。後段の外国人の土地取得等のルールの在り方については、安全保障への影響の精査などのほかに、重要土地等調査法の注視区域における土地等の取得状況の調査結果などを踏まえて検討していくというところです。
いずれにしても、関係行政機関の緊密な連携の下、政府一体となって総合的な検討を進め、来年1月を目途に基本的な考え方や取組の方向性についてお示しできるよう取り組んでいくのですけれども、この実態把握の結果公表との前後関係については、どちらも並行して頑張っているところですので、一概にこちらが先ですとお答えすることは難しいと思っています。 - (問)そうしますと、その実態把握をした結果というのが、例えば、国民が抱く不安感や不公平感の元になっているイメージと若干乖離しているといいますか、実態に伴っていない状況になった場合、同時並行で進める対策というのも変わってくるものなのでしょうか。
- (答)どちらかというと、その実態把握をしなくてはいけないという指示をいただいた中で、結局その実態把握がなかなか難しく、例えば、今のデータ取得の問題など、いろいろな難しい状況があるので、実態把握自体がどの時点をもって完璧にできるのかというと、そんなに簡単にできるものではないと思っています。ですので、その結果がどうかというところと、分かったことは随時その問題があれば進めていくし、分からないところはどうやって分かるようにするかということを、随時、取組を進めていくというところだと思っています。
- (問)マンション購入の実態調査についてお伺いします。19日に官邸で総理と御面会になっていると思うのですが、その際に、この件について小野田大臣にはどのような指示やお話があったのかというところをまずお伺いさせてください。
- (答)今月4日に開催された「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」において、総理から、国土交通大臣に対して、「国外からの取得を含めたマンションの取引実態の早急な把握と結果の公表」を行うように指示があったところで、先日19日には、国交大臣からその御報告があり、その場に私は立ち会ったというところでございます。ですので、詳細については国交省にお尋ねをいただきたいと思います。
- (問)あくまでも小野田大臣は御同席になっただけということですか。
- (答)はい。
- (問)ありがとうございます。もう1点、海外からの新築マンションの購入について、東京都においては、海外の人からの購入が約3%にとどまったというような報道がありますが、この調査を基に今後どのような規制が必要だとお考えなのかというところ、現時点でお考えがあれば教えてください。
- (答)その数値については、正式なところから出たものですか。
- (問)報道ベース。
- (答)報道ベースですよね。ですので、報道ベースの時点で私から今お答えすることはございません。
(以上)