小野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年11月11日

(令和7年11月11日(火) 9:49~10:09  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 昨日、第1回目となる「日本成長戦略会議」が開催され、経済安全保障担当大臣として出席をいたしました。
 昨日の会議では、「総合経済対策に盛り込むべき重点施策」等について議論が行われ、私が担当している戦略分野の一つである造船に関しては、造船、船主業界から、造船業を取り巻く状況や今後の造船業の振興のために必要な施策等の御説明がございました。業界から、中長期の民間投資に向けたコミットメントをいただいたことを心強く感じております。
 会議において、私からは、総合経済対策に盛り込むべき重点施策に関して、造船については、10年先を見据えて官民1兆円規模の投資を実現していくことが必要であり、関係大臣と連携して支援策を進めていくこと、科学技術については、AI、量子技術、フュージョンエネルギー、創薬・先端医療等の戦略分野を推進するとともに、「新技術立国」を支える研究力の強化、「科学の再興」に向けた取組を進めること、航空・宇宙については、宇宙戦略基金の速やかな1兆円規模化や、衛星・ドローン等の生産基盤整備、準天頂衛星・航空機等の開発を進めること、コンテンツについては、中核的専門人材の育成、大規模コンテンツの製作等に取り組むことなどを説明いたしました。
 その上で、今回取りまとめられた重点施策に関して、総理からは、必要となる補正予算の確保や税制の実現に努めるとともに、経済対策の取りまとめを待たずに、できるものから直ちに着手するように、との御指示がございました。
 総理の御指示を踏まえ、まずは今般の総合経済対策への反映、必要な補正予算の確保等に向けて取り組んでまいります。

2.質疑応答

(問)成長戦略の検討課題について、小野田大臣は7つも戦略分野を担当するかと思うんですけれども、各分野の官民ロードマップ、これから検討されていくかと思うんですが、それぞれのスケジュール感とどの場で検討していくのか、教えてください。
(答)御指摘のとおり、成長戦略における17の戦略分野のうち、「AI・半導体」、「造船」、「量子」、「航空・宇宙」、「コンテンツ」、「創薬・先端医療」、「フュージョンエネルギー」の計7分野という非常に広範な分野の検討を担当させていただいております。
 これらの分野においては、今月4日の日本成長戦略本部において、高市総理より、来年夏の成長戦略の策定に向け、投資内容やその時期、目標額なども含めた「官民投資ロードマップ」を策定するように御指示があったところです。
 現時点で、これ以上の具体的なスケジュールについて決まっているものはないのですけれども、早急に検討すべく、まずは各所管行政についての専門的知識や業界との関係を有する所管省庁の皆様の御協力を賜りたいと考えています。
(問)造船業の再生について伺います。昨日の日本成長戦略会議では、総合経済対策に盛り込む施策の中で生産拡大に向けた大規模投資を支援するということになりました。今後の成長戦略の取りまとめに向けた意気込みを教えていただきたいのと、今、国交省のほうでロードマップの策定を目指しているかと思いますが、造船再生に経済安保の担当大臣が関わる意義についても教えてください。
(答)造船分野は、成長戦略における17の戦略分野のうちの一つでございまして、国土交通大臣とともに、担当大臣として取りまとめを行います。
 周りを海に囲まれ、エネルギーや食料などの自給率が低い我が国において、貿易量の99.6%を担う海上輸送は、国民生活・経済活動に不可欠なインフラであり、造船業の振興はまさに経済安全保障上の重要な主要課題の一つと認識しています。
 この課題の解決には、各省の政策を有機的に結び付ける総合的な対応が必要と考えています。例えば、経済安全保障推進法の特定重要物資に船体を追加すべく検討を行っていくことは、船舶建造能力の強化等のための国交省の政策との相乗効果によって、より迅速かつ実効性のある形での取組を進めることができると考えています。
 昨日の日本成長戦略会議を踏まえて、経済安全保障の観点から横断的に、国交省をはじめ関係省庁とも連携・調整をしながら、造船業再生に向けた官民総額1兆円の投資を含むロードマップの策定に貢献し、早急に取りまとめてまいりたいと考えています。
(問)海底ケーブルについてお伺いいたします。今年、台湾周辺で人為的に海底ケーブルが切断されたんではないかという事案があったとの報道もございました。日本近海の海底ケーブルをめぐる現状をどのように認識されているのかというところと、また、政府としてどのような方策が必要だと考えられていますでしょうか。よろしくお願いいたします。
(答)言うまでもなく、四方を海に囲まれた我が国にとって、海底ケーブルは国民生活や経済活動に欠くことのできないインフラであり、その安全性の確保は極めて重要であると考えています。
 海底ケーブルについては、通信事業者が通信状況の監視を行うとともに、関係省庁が連携して、生産・敷設・保守体制の強化の検討が行われていると承知しています。
 もちろん、海底ケーブルは、経済安全保障の観点からも極めて重要で、本年6月に策定した骨太の方針でも、経済安全保障推進法の見直しに関して、海底ケーブル等のサービスに不可欠な物資や付随する不可欠な役務の確保に対応することとしています。先日の経済安全保障推進会議の中での議論も踏まえながら、関係省庁と連携をし、スピード感を持って必要な取組を実施してまいりたいと考えています。
(問)先日、大臣御自身のAIによるフェイク画像がありましたね。動画が拡散された件で、大臣も警告されました。米国では、州ごとらしいんですが、多くの州でディープフェイク動画や画像の生成・流布を規制する法律があり、韓国でも対応が進んでいると言われております。日本における法律の制定の必要性と緊急性について、お考えをお聞かせください。
(答)私のAI画像、今に始まったことではなく、ずっと前からあったはあったのですけれども、私がされた・されないに関わらず、本当に重要な問題だと思っていまして、虚偽の画像や動画を用いて再生回数を稼ごうとする行為は、誤った情報の拡散であるとか、個人の尊厳を傷付けること等につながりますし、また、近年、他国で選挙に影響するような形で悪用されるという例も起きておりますことから、極めて不適切な行為だと考えております。
 政府としては、SNS上の偽・誤情報に対して、投稿の削除件数やアカウント停止件数等の公表を含む措置を事業者に義務付ける「情報流通プラットフォーム対処法」の運用、そして、各種リテラシー向上の充実に取り組んでいるところであります。
 また、AIによるディープフェイク情報に関して、AIの安全・安心な活用を促進するための「AI事業者ガイドライン」による普及・啓発、生成AIよる偽・誤情報の流通・拡散に対応するための対策技術の開発と実証、そして、事業者からの情報収集や対話、要すればAI法に基づく指導、助言、情報の提供等にも取り組んでいるところです。
 今後も引き続き関係省庁と連携し、こうした法制度やガイドライン等を適切に組み合わせながら、ただ、日々進化する技術にも対応できるように、実態を見ながら総合的な対策をこれからも行ってまいりたいと思っています。
(問)今現在やっていることの前段御説明がありました。ただ、にもかかわらず、大臣のフェイク画像はやはり相変わらず出てきているということで、もう少し強い対応というのを図る必要性については、御自身はどうお考えですか。
(答)(AI法が)施行はされているのですけれども、まだ具体的な運用が始まったばかりなので、そこをいかにちゃんと機能するかということも見ながら、そこで対応し切れない分は、やはり次また何か考えていかなくてはいけないのではないかと。まず、しっかり運用していこうと思っています。
(問)質問2つ目です。
 米国のメディアで、日本のコンテンツ海外流通促進機構(CODA)がOpenAIに対して、ジブリなど加盟社のコンテンツを許可なく学習に利用しないよう求める公開書簡を送ったと。また、Sora2をめぐる加盟社からの抗議や問合せに誠実に回答するよう要求したということが報じられております。これは、前回出席させていただいたときの質問でも申し上げましたけれども、OpenAIが採用するオプトアウト方式が日本の著作権法に合わないのと、米国内でもAIの学習及び再現行為に関しまして裁判の判例が存在しないのではないかという指摘もあります。いわゆる日本と米国で法律がマッチしないとなると、これはまさに政治問題であり、国際問題だと思いますが、CODAの対応に関する御所見と、政府として今後取り組む必要性についてお聞きします。
(答)御指摘の報道については、もちろん承知をしております。著作物の利用においては、原則、著作権者の許諾が必要とされること、これは我が国の著作権法上も、著作権に関する条約においても、同様であると認識をしています。CODAの要望書も、この原則を指摘した上で、OpenAIに対して適切な対応を求めているものと承知をしています。
 政府としては、これまで申し上げているとおり、OpenAI社に対し、著作権侵害となるような行為を行わないように要請を行うなど、知財事務局及びAI推進室の両事務方において、対話を密に行っていると聞いております。
 引き続き、諸外国における検討状況や裁判例も注視しながら、我が国の誇る日本のアニメやマンガのクリエイターが創造性を最大限発揮できる環境をいかに整備できるかという観点から、必要な対応を検討してまいりたいと思っております。
 これを言うと、クリエイターというところで引っかかる方も多いと思いますが、決して対価を得ているクリエイターの話だけを私はしているわけではなく、いろいろ対価を得ている絵だったり、写真であったり、声、声優さんだったりもありますけれども、我が国のコンテンツの強みというのは裾野の広さだと思っています。例えばpixiv(ピクシブ)であったり、いろいろなところに自分が好きな絵を描いて載せる。対価を求めているわけではない、そういった絵師さんだとかクリエイターという方が我が国にはたくさんいらっしゃって、そういう方々がいるから我が国のコンテンツは強いのだと思っているので、我々がしっかり守ろうとしているクリエイターは、対価を払えばいいのでしょうというところだけではなく、そういった利用されたくないという方々も技術的だったり、いろんな方法でどう守っていくのかということも、実態に応じてしっかり考えていきたいと思います。その上で、著作権法の解釈に関する詳細は文化庁にお尋ねいただきたいと思いますが、我々としては実態をしっかり注視しながら、彼らを守れるようにやっていきたいと思っています。
(問)ありがとうございます。大臣の御意見はもっともなんですが、大臣ならではの新しい対応というのがあると思いますので、是非よろしくお願いします。
(問)参政党の神谷代表が6日の参議院本会議で、削減すべきは議員定数ではなく外国人受入れ数だと強調されて、街頭演説などでも外国人の比率を10%以下にするべきだと言っているんですが、この神谷代表の主張への受け止め、賛成するかどうかについてお伺いしたいです。
(答)外国人の受入れの基本的な在り方に関しては、まずは出入国在留管理行政を所管し、外国人の受入れ環境整備に関する総合調整機能を有する法務省において、基礎的な調査及び検討を可能な限り進めているものだと考えております。
(問)10%以下にするべきだという数値目標については、どう受け止められるんでしょうか。
(答)その数値に関しても、今、法務省のほうだと思いますけれども、私は所管外であるとすれば軽々に言ってはいけないところだと思います。ただ、10%云々という議論も、今は1億2,000万人の人口かもしれませんが、数十年後にはそれが9,000万人になり5,000万人になるとも言われている日本の中で、どの時点の何%というところも全然違ってくると思いますので、そういったことを踏まえて、今、法務省において適切に検討されていると承知しております。
(問)前段の議員定数削減よりも外国人受入れ規制のほうという、その優先順位についてはどうお考えでしょうか。議員定数はそもそも先進国の中で日本は最低レベルで、そんなに急いで削減する必要があるのかどうかという問題提起も神谷代表は同時にしていると思うんですが、議員定数削減についてはどうお考えでしょうか。
(答)すみません、他党の党首が、どの政策よりどの政策を優先すべきだということに対して、私からそれに関してコメントすることは差し控えたいと思います。
(問)議員定数削減について聞いているんですが。
(答)議員定数削減も、私の所管ではないので。
(問)高市元大臣は、所管外でも万博のことなど発言されていましたが。
(答)私は守ります。
(問)初めまして。よろしくお願いいたします。すみません、少し遅れまして、別の大臣の会見にも取材に出ておりましたもので。
 私からは、これも大臣の所管外にはなるのですが、ただ、大臣と密接に関連することなのでお尋ねしたいことがあります。
 実は、私、今、安倍元総理の裁判の取材をしております。これはあまり報道されていないのですが、事件の前日、山上被告が小野田大臣の演説会の場所に接近していたという証拠が裁判で明らかにされました。裁判について、直接、大臣のお立場でコメントできないことは承知しておりますが、もう3年以上経ちましたけれども、事件前日に山上被告が実際に手製の銃を持って岡山市民会館に近付いていたという証拠が、3年余り経って裁判で証拠が出たということについての大臣の率直な御感想、若しくは事件に対する今のお気持ち、思いというものが何かおありでしたら、お聞かせいただけないかなと思います。
(答)捜査当局が捜査中のことに関して、また、裁判のことに関して、私がコメントすることはやはりございません。
(問)事件についてのお気持ちの整理というのは、3年余り経ちましたけれども、今、率直にどのようなお気持ちになっているのかというのはございますでしょうか。
(答)一生つきません。以上です。
(問)初代AI戦略担当、城内先生、非常に力を込めて基本的なものをつくられました。2代目で推進役ですけれども、基本的にまだまだ日本はAIについての予算が少ないんではないかという議論があります。この点をどうお考えになるか。これが一番期待されるし、若い人が一番関心があると思うんですが、御自身、2代目のAI戦略担当大臣として、城内さんも多分いろいろ思いがあったと思うんですが、どういう引継ぎを受けて、それについてどういう取組、規制と推進のバランスもあるんですけれども、率直なお考えを伺いたいです。
(答)城内大臣からは、様々、御自身がやってきたことを引き続き力を入れてほしいという引継ぎは受けております。その中に、当然、AIも入っています。AIに関しても、御承知のとおり、我が国の官民両方におけるAIへの投資額というものは他国に比べてかなり低いというのは事実でございます。AIを制する者が、これから様々な軍、民、そしていろいろなインフラ、科学も含み全てを制していくだろうという話もある中で、AIに投資をしていくことは非常に重要なことだと考えておりますし、そのための予算を取れるように我々としても全力で取り組んでまいりたいと思っています。
(問)一言だけ。AI戦略担当大臣として、大臣はどれぐらいAI、チャットを含めてお使いになっているのか、参考までに伺いたいんですけれども。
(答)Google検索をしたときに自動で勝手にAIが上に出てくること以外では、基本的に私は使っていません。すみません。
(問)先ほどの質問に関連して、通告していないですけれども、申し訳ありません。  安倍元総理の銃撃事件というのは、海外の宗教団体が日本の政治に介入したのではないかと。安倍元総理が高額献金の規制を甘くする一方で選挙で協力を受けて、その一方で、宗教2世の方が経済的被害を受けて事件に至ったという側面もあると思うんですが、この事件全体への見方、安倍元総理が統一教会を野放しにしたことについては、どうお考えになっているでしょうか。
(答)所管外だと思いますし、加えて、「テロリストには何も与えない、名前もだ」とおっしゃった方がいましたが、テロリストに対して、私が何かコメントすることはございません。
(問)外国の宗教団体の政治的介入だという位置付けからすれば、外国人政策の一環に含まれると思うんですが。あと、テロリストとおっしゃいましたが、山上さんの家庭が経済的に破綻したと、そういう責任については、自民党政権が野放しにした責任はないということなんでしょうか。
(答)私から申し上げることは一つもございません。

(以上)