小野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年10月31日
(令和7年10月31日(金) 9:49~10:01 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
科学技術政策担当大臣として御報告いたします。
29日に茨城県に出張し、量子科学技術研究開発機構(QST)那珂フュージョン科学技術研究所を視察いたしました。就任会見の際に申し上げましたとおり、科学技術政策の推進に当たっては、「現場の取組を見させていただきながら」取り組みたいと考えておりまして、早速、現場に足を運んだ次第です。
那珂フュージョン科学技術研究所では、2023年に初めてプラズマを生成した世界最大のトカマク型超伝導プラズマ実験装置「JT-60SA」や、高周波加熱装置試験施設を視察いたしました。
今回の視察では、QSTの現場の皆様から直接説明をお聞きし、それぞれの実験施設が国内外の研究をリードしていると実感できました。
フュージョンエネルギーの2030年代の発電実証を目指して、官民の研究開発力の強化やイノベーション拠点化などの取組を加速していきたいと考えています。私自身、関係省庁の先頭に立って全力で取り組んでまいる所存です。
次に、人工知能戦略担当大臣として御報告いたします。
一昨日、米国AI企業であるアンソロピック社のダリオ・アモデイCEOによる高市総理大臣への表敬訪問が行われ、私と村上AISI(AIセーフティ・インスティテュート)所長が同席いたしました。
表敬では、AIの安全性確保に向けて、同社とAISIとの協力及び覚書の締結を歓迎するとともに、信頼できるAIエコシステムの実現に向けて意見交換を行いました。
来月4日に第2回AI戦略専門調査会を開催する予定でありまして、今後、こうした視点を含めて、AI基本計画の策定に向けた作業を加速してまいります。
次に、宇宙政策担当大臣として御報告いたします。
10月26日に打ち上げられた新型宇宙ステーション補給機「HTV-X1号機」は、昨日30日、無事、国際宇宙ステーション(ISS)に到着し、ISSに物資を送り届けるミッションに成功いたしました。
HTV-XのISSへのドッキングに当たっては、現在、ISSに長期滞在中の油井亀美也宇宙飛行士がロボットアームの操作を担当されました。このような大役を日本人宇宙飛行士が務められたことは、油井飛行士への厚い信頼と、我が国がこれまで積み上げてきた宇宙分野への貢献の賜物です。油井飛行士をはじめ、日本人宇宙飛行士の皆様の今後一層の御活躍を大いに期待しております。
また、HTV-Xは、ISSへ物資を届けた後、地球低軌道での実験・技術実証のプラットフォームとしての役割も予定されています。ここでの成果が新たな宇宙ビジネスの創出や、国民生活や社会の課題解決に活用されることを期待しております。
2.質疑応答
- (問)先日、クラツィオス米国OSTP(科学技術政策局)局長と覚書をされたかと思うんですけれども、そのときに意見交換をなされたと思います。具体的な内容について、問題のない範囲で教えていただけますでしょうか。
- (答)クラツィオス局長との意見交換において、私からは、重要なパートナーである米国との間で、AI、量子、フュージョン、宇宙といった先端技術分野において、緊密に連携していくことが極めて重要であるという認識をお伝えさせていただきました。特にAIに関して、我が国では、本年5月に制定したAI法の理念も踏まえて、「信頼できるAI」を推進しており、米国と協力して取り組んでいきたいという旨を私からお伝えさせていただきました。
ほかにもたくさんお話はしましたけれども、クラツィオス局長からは、日本は信頼できる技術パートナーであり、今回の覚書を通じて両国の更なる繁栄をもたらし、イノベーションの黄金時代を築いていきたいというお話をいただきました。
引き続き、同盟国・同志国との戦略的な科学技術協力を推進してまいりたいと思っております。 - (問)関連しまして、先日、日米首脳会談が行われました。共同ファクトシートでは、AI向け電源開発やAIインフラの強化、重要鉱物関連施設の建設など、経済安全保障上、重要な点が挙げられました。また、首脳間の合意でも、レアアースを含む重要鉱物の供給網の強靱化、造船能力拡大の協力など、経済安保分野が盛り込まれていました。経済安保を所管する大臣として、今回の首脳会談の成果をどう捉えていらっしゃるか、また、合意の履行に向けた各省庁の取組に対して横串を刺す役割が求められていると思いますが、どう臨まれていくか、伺います。
- (答)今回のトランプ大統領の訪日を通じて、重要鉱物・レアアースに加えて、AIをはじめとした重要技術、造船など、幅広い分野で、経済安全保障分野の日米協力を更に強化していくことを確認いたしました。私としても、今後、米国との間で経済安全保障面の協力を進めていく上で有意義な成果が得られたと捉えております。
今後は、こうした成果を踏まえた具体的取組を推進していくことが重要であると考えておりまして、経済安全保障担当大臣として、関係省庁と緊密に連携をして、政府一丸となって取り組んでまいりたいと思います。多岐にわたりますので、横断的にしっかり頑張っていきたいと思います。 - (問)昨日、ノーベル賞の受賞が決まったお二人が来られて意見交換をされたと思うんですけれども、どういうやり取りがあったのかということと、お二人とやり取りをして、改めて、日本の研究環境における課題で気付いたことや、その解消に向けて必要な施策についてどういうお考えを持ったか、教えてください。
- (答)昨日、本年のノーベル生理学・医学賞を受賞される大阪大学の坂口志文先生、そして、ノーベル化学賞を受賞される京都大学の北川進先生から表敬訪問を受けました。
先生方からは、特に、運営費交付金の確保等による基礎研究への継続的な支援の重要性のほか、若手研究者への支援の充実や、研究を支える体制の強化が必要であると、研究に集中できる環境をつくっていくことが大切であるというふうに御意見を賜りました。
国力の源泉とも言える科学技術・イノベーションの一層の推進に向けては、新たな「知」を生み出すための基礎研究力を抜本的に強化すること、すなわち「科学の再興」が重要であるというふうに考えております。
内閣府としては、お二人の先生方の御意見を参考にさせていただいて、我が国から優れた研究成果が今後も生み出されるように、第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けて検討を進めてまいるとともに、関係省庁と連携して、基礎研究への支援の充実に必要な予算の確保に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。 - (問)先日、日本学術会議の総会が開かれまして、大臣も冒頭に出席されたかと思うんですけれども、現在、学術会議では、新しい法人設立に向けた議論が活発化しております。改めて、新たな日本学術会議に求めることですとか、期待することがありましたらお聞かせください。
- (答)日本学術会議の法人化は、日本学術会議が世界最高のナショナルアカデミーとして、国民の福祉及び我が国の発展に貢献するために、独自性・自律性を抜本的に高めること等により機能強化を図るものです。
日本学術会議におかれては、現在、タイムリーでスピーディな意思の表出を行うことをはじめとして、今期の重点事項をアクションプランとして掲げ、より良い役割発揮に向けた取組を進めていただいているところと承知しております。
法人化により、こうした活動を更に強化しながら、日本学術会議が、我が国の科学者の内外に対する代表機関として、学術の更なる発展に貢献し、世界や国内の社会課題の解決に寄与していただくことを期待しているところでございます。 - (問)重ねてなんですけれども、学術会議につきまして、大臣は、就任時の会見でも「丁寧にコミュニケーションを取っていきたい」というふうにおっしゃっておられたと思います。先日の総会、冒頭挨拶も行かれて、会長等ともお話をされたと聞いておりますが、今後、どのようにコミュニケーションを取っていくのか、信頼関係等について、進めていくのかという考えをお聞かせください。
- (答)10月27日、日本学術会議の総会において、日本学術会議が法人化して良かったと多くの方々に思ってもらえるような組織となるように力を尽くしてまいりたい旨、御挨拶を申し上げました。また、それに先立ち、光石会長をはじめ幹部の方々とお会いさせていただいて、皆様の専門分野のお話など、貴重なお話を伺うことができたところです。
坂井前大臣も日本学術会議を訪問して意見交換をされたと伺っておりまして、信頼関係を築きつつ、法人化を円滑に進めていくためにも、引き続き緊密なコミュニケーションを取ってまいりたいと思っております。
時間が足りなかったので、またお話を是非聞かせていただきたいというふうに申し上げたところでございまして、時期を見て、私も直接意見交換できる機会をまた持たせていただけたらありがたいと思っています。 - (問)昨日から今日にかけて、外国人政策について新しい閣僚会合を設けるとの報道がございました。もし事実関係についてお話しできることがございましたらお願いいたしますというのが1点と、加えて、維新の会と自民党の連立合意書におきまして、外国人及び外国資本の土地取得の規制について法案を目指すという記述がございます。外国資本、外国人による土地取得について、具体的な問題意識などございましたらお伺いしたいです。
- (答)まず初めに、関係閣僚会議の件についてですけれども、こちら報道は承知しているところですが、御指摘の会議の開催等について、現時点で申し上げることはできないため、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
そして、もう一点、土地の問題ですけれども、外国人等による我が国の土地取得等に対して、国民の皆様が、安全保障や不動産価格高騰など様々な観点で御不安を抱いていらっしゃることは承知しております。こうした不安は、我が国の土地所有者等の実態がよく分からないというところにも起因していると考えております。このため、政府としては、まずは実態把握を進めるとともに、土地取得等のルールの在り方も含めて、関係行政機関の緊密な連携の下で、政府一体となって総合的な検討を進めていきたいということでございます。まずは実態把握、これを早急にやろうというふうに取り組んでいるところです。 - (問)外国の旗には損壊罪があるけれども日本の旗にはそれがないと、これは明らかなダブルスタンダードではないかという議論がございます。先生はハーフから日本の国籍を取られて、日本の旗は共生社会、秩序があると、そういうものを掲げるならば、日本の旗は大事にしようという法律があっても私は当たり前だと思うんですけれども、そういう意見がありますけれども、大臣はどうお考えになるのか。共生社会の中で日本の旗というのも、やはりそれなりのそういう法制があってもいいのではないかと普通に思うんですけれども、お考えを伺いたいです。
- (答)御質問の内容と私がハーフで混血であることに何の関係があるのか、私にはよく分からないのですけれども、ただ、私にとって日本国旗はとても大切なものでございます。それは間違いないことでございます。ただ、所管外でございますので、これに対してどう思うかということについては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
(以上)