小野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年10月28日
(令和7年10月28日(火) 8:58~9:10 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
宇宙政策担当大臣として御報告申し上げます。
10月26日、H3ロケット7号機による新型宇宙ステーション補給機1号機(HTV-X1号機)の打上げが成功いたしました。まずは、打上げに向けて着実に準備を進めてこられたJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)や関係企業の皆様、HTV-Xの開発や製造に携われた皆様、御地元の皆様をはじめとする御関係の皆様に心から敬意を表します。おめでとうございます。
H3ロケットは、我が国宇宙活動の自立性確保と国際競争力強化のために極めて重要な基幹ロケットです。これまでH3ロケットは固体ロケットブースターを2本適用した22形態のみでしたが、今回、ブースターを4本適用した24形態での打上げに初めて成功したということで、H3ロケットの打上げ実績がまた一つ積み上がり、大変喜ばしいと思っております。
また、今回打ち上げられたHTV-Xは、「こうのとり」の後継機として、国際宇宙ステーションへの物資輸送を担いますが、輸送能力が「こうのとり」の約1.5倍に増強され、また、輸送中の物資への電源供給能力も追加されたことから、ユーザーサービスの大きな向上が期待されます。
JAXAにおいて、現在、油井飛行士が滞在するISSに、HTV-X1号機を無事届けることができるよう、引き続き着実にミッションを進めていただきたいと思います。
また、次の打上げ機会は、12月にH3ロケット8号機によるみちびき5号機の打上げが予定されておりまして、打上げに向けて着実な準備が実施されることを期待しております。
続きまして、科学技術政策担当大臣として御報告いたします。
本日、米国のクラツィオス大統領府科学技術政策局長と面会し、「技術繁栄ディールに関する日米間の協力覚書」への署名を行うとともに、両国間の科学技術協力について意見交換を行う予定です。
地政学的な情勢の不安定化や、新興技術が社会に与える影響の拡大が進む中で、AI、量子、フュージョンエネルギー、宇宙といった先端分野において、同盟国である米国や、その他の同志国との間で協力を進めていくことの重要性が増しております。
特にAIに関しては、本年5月に制定したAI法の理念も踏まえ、信頼できるAIエコシステムを構築していく必要があり、この分野において世界トップレベルの技術を有する米国との協力が不可欠であると考えています。
本日の署名及び意見交換をきっかけとして、日米間の科学技術協力が更に発展することを期待しております。
2.質疑応答
- (問)高市総理の所信表明演説で「新技術立国」という言葉が出てきたんですけれども、大臣の思っている「新技術立国」に対するイメージと、これから具体化されていくかと思うんですけれども、どのような取組を進めていくのか教えてください。
- (答)御指摘のとおり、先日、高市総理の所信表明演説において、「新技術立国」を目指すという方針が示されております。科学技術・イノベーションは、強い経済の基盤、ひいては国力の源泉となるものであり、我が国の科学技術力の向上は喫緊の課題です。私もとても重要だと考えてございます。
このため、国家安全保障の観点も踏まえ、「科学の再興」を実現するための方策や、重要技術領域の特定と産業化に向けた一気通貫支援等の検討を進めて、第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定に取り組んでまいりたいと考えております。 - (問)この間の日曜日に、サイエンスアゴラに行ってきたんですけれども、QST(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構)のブースもありまして、これはプチ情報なんですけれども、JT-60SAというのは、現場では「ロクマル」というふうな愛称で使われているようですので、何かの機会があれば、お使いになってください。
- (答)ありがとうございます。
- (問)すみません、話が逸れましたけれども、そのサイエンスアゴラの会場で、行政官にも博士人材の活躍の場をというふうに訴えていらっしゃいます有村総務会長も出席されて、「輝く女性研究者賞」という表彰式がございました。今年もお二人の研究者が選ばれたんですが、御所感があればお願いできますでしょうか。
- (答)まずは、科学技術振興機構が主催する本年の「輝く女性研究者賞」を、九州大学の中野知香氏と東京科学大学の原祥子氏がそれぞれ受賞されたことに心からお祝いを申し上げたいと思います。
「輝く女性研究者賞」は、優れた研究等を行っている女性研究者や機関を表彰する制度と承知しており、優秀な女性研究者の活躍を大変喜ばしく思います。
しかしながら、我が国の女性研究者は、一貫して増加傾向にはあるものの、研究者全体に占める女性の割合は、2024年時点で18.5%ということで、依然として低い状況にとどまっているのも事実であります。
科学技術・イノベーションの促進であるとか、研究の多様性向上のためには、女性研究者の活躍が必要不可欠だと、重要であると思っております。このため、政府では、第6期科学技術・イノベーション基本計画においても、女性研究者の採用割合等に係る数値目標を掲げるとともに、出産・育児等のライフイベントと研究を両立できる環境をつくっていくこと、研究環境のダイバーシティ実現に向けた大学等の取組の支援、そして、女子中高生の理工系への進路選択の促進などに取り組んでまいりました。
第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定に当たっても、女性研究者の更なる活躍促進に向けて、引き続き関係省庁と連携をしながら取り組んでまいりたいと思います。 - (問)冒頭にありましたアメリカとの技術協力の覚書に関して伺いたいんですけれども、今回は日米間の協力覚書になりますけれども、恐らく内容についてはヨーロッパですとか、同盟国・同志国との協力も必要な内容も含まれるのではないかなと思うんですけれども、その辺り、今後拡大していかれる考えはあるのか、お聞かせください。
- (答)御指摘のとおり、今般署名予定の協力覚書に記載されているAI、量子、フュージョンエネルギー、宇宙といった先端分野については、同盟国である米国のみならず、様々な同志国との多国間連携が大変重要だと考えています。
例えば、本年5月にカナダで行われたG7サミットにおいては、AIや量子技術に関する共同声明が採択されておりまして、日本を含む各国が連携して取組を進めているところです。加えて、私の前任の城内大臣のときに、EU、ドイツ、英国といった主要国との間で、大臣級の協力文書の署名を行っており、現在、これら署名文書に基づいて具体的な協力に向けた検討が進められているところです。
私としても、本日署名予定の協力覚書やその他の二国間・多国間の協力の枠組みを通じて、同盟国・同志国間との戦略的な科学技術協力を推進してまいりたいと思っております。 - (問)今月12日なんですけれども、前デジタル大臣がOpenAIの動画生成サービス「sora2」に対しまして、著作権侵害の懸念が出ているということで、OpenAIに対しまして、事前に同意を得る「オプトイン方式」をとるように要請しています。この問題は、今後もデジタル大臣のみが対応されるのか確認させてほしいのと、あともう一点は、最新版の「sora2」をめぐっては、ポケットモンスターなど、日本のアニメキャラクターに酷似した動画が生成、作成されているということが問題視されていまして、これはハリウッドでも同様なんですけれども、「オプトイン方式」へのOpenAIの対応スケジュールがもしお分かりになれば教えてほしいです。
- (答)知的財産及びクールジャパン戦略、そして人工知能戦略担当大臣として、デジタル庁に任せていたわけではなくて、前任の城内大臣のときから、本件、既に内閣府として対応を進めているところであります。具体的には、城内前大臣から過去会見で発言があったとおり、著作権侵害となる行為を行わないように要請を行うなど、知的財産戦略推進事務局及びAI政策推進室の事務方において、OpenAI社との対話を密に行っていると承知をしております。
御指摘の「オプトイン方式」への変更を含め、OpenAI社への対応については、引き続きデジタル庁を含む関係省庁と連携をしながら、政府全体で同社に対し、適切に見直されるように注視してまいりたいと思います。
今、様々な、特定の作品名も挙げられながらの状況を教えていただきましたけれども、今般、全面施行されたAI法の理念にあるとおり、イノベーションの促進とリスクへの対応のバランスというのはAI政策の中で非常に重要だと思っております。このアニメやマンガのクリエイターが、引き続き創造性を最大限に発揮できる環境をいかに整えていくのかということは非常に重要なことではありますが、具体的なスケジュールというよりは、まずそれぞれのやるべきことを一つ一つ、デジタル庁と連携をしながら、政府としても、そして著作権を持っていらっしゃる民間企業のほうでも、しっかりとやっていただけたらと思っております。 - (問)ありがとうございます。さすが大臣ですが、もう一つ重要な問題がありまして、同様の問題が「Midjourney」でも起こっていまして、ディズニー、ユニバーサル、ワーナーが提訴しています。この問題がフェアユースなんですよね。フェアユースを盾にMidjourney側は反論している状況なわけです。先ほど大臣がおっしゃいましたように、AIと著作権の兼ね合いの戦略については、世界的な問題になっていて、海外と連携していくなど、どういう対策を講じていくお考えなのか、是非教えていただきたい。
- (答)これは日本だけではなく世界各国で問題になっていることと承知しておりますので、諸外国における検討状況であるとか、裁判の判例なども引き続き注視しながら、我が国もしっかりとクリエイターの著作権を守っていけるように、環境整備がどういうふうにできるのかということを検討してまいりたいと思っています。
(以上)