小野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年10月24日
(令和7年10月24日(金) 10:51~11:05 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
人工知能戦略担当大臣として報告をいたします。
昨日、人工知能戦略専門調査会の座長である東京大学の松尾豊教授の表敬訪問を受けました。松尾座長からは、AIに関する最近の国際的な潮流と、AIをめぐる政策課題について意見交換をさせていただきました。AIは、我が国の産業競争力や安全保障など、国力に直結する重要な技術でございます。お話を伺って、改めて、AI戦略担当大臣としてしっかりとAI基本計画や指針の策定に取り組む必要があると強く感じました。このため、できるだけ早期にAI戦略専門調査会を開催し、年内目途の策定に向け、具体的な議論を進めてまいります。
2.質疑応答
- (問)総理から経済対策の御指示があったかと思うのですけれども、それについて大臣はどのような取組をお考えなのかと、前回聞けなかったアニメやマンガについて、大臣の最近お好きな作品や、あるいは過去に感銘を受けた作品などありましたら教えてください。
- (答)まず、経済対策について、先日、閣議において、高市総理から、「未来への不安を希望に変える」ための「総合経済対策」を取りまとめるように指示があったところです。私としても、今般の指示を受けて、例えば、AI、量子技術、フュージョンエネルギーなど戦略分野の推進、重要物資のサプライチェーン強化や海洋資源開発を含む経済安全保障に資する取組の強化、研究力強化のための研究費拡充や基盤整備、そして、企業・大学等の技術開発を支援する「宇宙戦略基金」や、11機体制を目指す「準天頂衛星システムの開発」、創薬力強化や感染症危機対応といった健康・医療分野の重要課題への対応を検討しているところです。日本経済の強さを取り戻すために、総合経済対策の柱に沿って、盛り込むべき内容をしっかりと精査してまいりたいと思います。
後段の御質問については非常に難しくて、私自身はそういう業界にいたこともあって、たくさん挙げたいものはあるのですけれども、今までもXやそういう同じ趣味を持つ仲間に向けたネット番組で発信してきたことはあるのですが、私、大分嫌われている人間でもありますので、小野田が好きだと言うことで、その作品を好きな人が嫌な思いをされる方もいらっしゃると思っております。最近、報道などで過去の私のつぶやきや番組を面白おかしく公表されてしまうことで嫌な思いをされている同じ番組や同じキャラクターのファンがいらっしゃるというのも耳に入っていますので、思いはあるのですけれども、それは公的な場ではなく、あくまで一個人の場所でお話をできたらいいなと思っています。 - (問)延期されていたISS(国際宇宙ステーション)への補給機「HTV-X」の、26日の打上げが再設定されました。「HTV-X」の特徴として、宇宙で様々な実験・技術実証が行えるような機能を持たせたことがあるかと思いますけれども、今後、宇宙産業が活性化していくと見込まれる中で、こうした技術実証の「場」が果たしていく役割についてお聞かせください。それと、今後、宇宙産業は競争が激しくなっていくかと思うのですけれども、その中で、日本の独自の技術をどう育成していくかについても伺えますでしょうか。
- (答)新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」を載せたH3ロケット7号機が、今週末10月26日に打ち上げられる予定です。御指摘のとおり、「HTV-X」は、現在、油井亀美也宇宙飛行士が活動する宇宙ステーションへの物資補給の役割のみならず、物資を届けた後に、地球低軌道での実験・技術実証のプラットフォームとしての役割も予定されています。ここでの成果が新たな宇宙ビジネスの創出や、国民生活や社会の課題解決に活用されることを、私としても大変期待をしております。
また、我が国の宇宙開発が官中心から官民の連携に移行していく中で、政府としては、我が国の今後10年間の宇宙政策の基本方針を定めた「宇宙基本計画」や、我が国の勝ち筋を見据えながら開発を進めるべき技術を定めた「宇宙技術戦略」を取りまとめてまいりました。申し上げた計画や戦略を着実に実行していくために、宇宙政策担当大臣として、宇宙戦略基金をはじめとした必要な予算の確保などを通じて、我が国の宇宙産業の拡大に向けた支援を進めてまいりたいと思っております。 - (問)AI基本計画の策定について伺います。政府は基本計画を年内を目途に策定する予定とのことですけれども、その中には、AIを基軸とした産業構造の構築という項目がございます。与党内からは、AIに投資していく上で、政府としてこれだけ投資していくのだという数値目標を出すべきではないかという声も上がっています。政府として、計画ないし、それに付随する形で数値目標を出すお考えがあるか伺います。
それと別件なのですけれども、内閣支持率についても伺います。弊紙の世論調査では71%と歴代5位の高さとなりました。総裁選ではキャプテンとして総理を支えた大臣としての受け止めをお願いします。 - (答)まず、AIについては、昨日、自民党のデジタル社会推進本部が開催され、AI産業への投資について、数値目標を示すべきではないかといった声が上がったことは承知しております。AI基本計画の策定に向けた議論をしているAI戦略専門調査会の初回会合においても、委員から、様々な数値目標の設定について御指摘がなされているところです。AI基本計画をより実効性のあるものとするためにも、重要な論点の一つだと考えておりまして、これらの声を踏まえながら、今後、AI戦略専門調査会などにおいて、その件についても検討してまいりたいと思います。
支持率については、やはりキャプテンとしての思いはありますけれども、個々の世論調査の結果については、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。 - (問)国際頭脳循環と外国人政策の両立について伺います。J-RISEなどの取組では、海外の優秀な研究者を好待遇で受け入れることを目指していますが、このような政策について国民の理解をどのように得ていくべきだとお考えでしょうか。また、日本人の研究者と好待遇で受け入れる外国人の研究者との間に不公平感が生じないようにするには、どのような配慮や制度設計が必要だとお考えでしょうか。大臣は、就任会見で、排外主義に陥らないように外国人政策を検討していくとお話しされていましたけれども、優秀な研究者が日本に来やすい環境を整えるには、日本が開かれた社会であることを示す必要があると思うのですが、どのようにこのバランスを取りながら2つの政策を進めていくお考えかお聞かせください。
- (答)科学技術・イノベーションは国力の源泉でございまして、その推進のためには、国際的に開かれた自由な研究環境における多様なパートナーとの協働、そして、日本人も含めた海外在住の優れた研究者の招聘が非常に重要だと認識しております。このため、政府としては、御指摘のとおり、本年6月に「J-RISE Initiative」を取りまとめ、海外研究者の戦略的な招聘に取り組むとともに、同時に、我が国の研究者への処遇、そして研究環境の改善についても取り組んでいるところであります。
研究セキュリティをしっかりと確保した上で、これらの取組を推進するとともに、国民の理解を得るための丁寧な説明・発信も継続してまいりたいと思っております。あくまで、これで招聘された中には海外在住の日本人の研究者もおりますけれども、大事なのは公平・公正を皆さんに納得していただけることだと思います。外国人問題と、真っ当にルールも何も違反していない研究者の方々とは、全く別の議論でございますので、しっかりと優秀な方々に、この多様性のある日本の中で自由な研究をしていただくということは、しっかり取り組んでいきたいと思っております。 - (問)外国人政策について伺います。就任会見のときにも、現下の情勢に十分対応できていない制度の見直しを含めて検討を進めたいとのお話でしたけれども、これまで高市総理の発言を含めて、自民党総裁選や自民・維新の連立合意文書などで挙がった論点として、土地取得規制や不法滞在者対策、在留外国人の量的マネジメント、外国人への社会保障制度の適用の在り方、オーバーツーリズム対策など、極めて多岐にわたると思います。それぞれの項目の検討のスケジュール感や、また、優先的に議論を進めたい項目についてお考えを伺います。
- (答)外国人をめぐる様々な情勢に対応するに当たって、例えば、国・地方自治体の情報連携、制度の適正利用、国土の適切な利用・管理など、外国人との秩序ある共生社会に向けた課題はおっしゃっていただいたとおり多岐にわたっており、これらはどれが優先などはなくて、それぞれの省庁で、どれも重要なので関係行政機関の緊密な連携の下で、政府一体となってスピード感を持って対応していきたいと思っております。なので、具体的なスケジュールというよりは、各省庁は責任を持って、スピード感を持って進めていただくのが重要だと思っております。
- (問)今の質問の土地取得規制に関連するのですが、外国人富裕層の不動産購入で、都市部のマンション価格が高騰して、若者世代が住みにくくなっていると、東京以外に出るような現象が起きていますが、これをどう規制して、いつまでにどのような結果、高騰はいつまでに抑えるなど、そういう目標があればお聞きしたいです。現状認識と意気込みだけでもいいのですが。
- (答)外国人による我が国の不動産取得に対して、国民の皆様から不安の声が寄せられていることは承知をしております。現在、国土交通省において、不動産市場の動向の把握に努めていただいているところですけれども、近年、都市部を中心として、マンション価格が上昇傾向にある背景としては、供給と需要の両面での様々な要因があると承知をしております。いずれにしても、外国人をめぐる様々な課題について、関係行政機関の緊密な連携の下で、政府一体となって総合的な検討を進めてまいりたいと思います。
- (問)外国人による需要を抑えるという意気込みがあるかどうか聞いています。
- (答)そもそもそれがどういう原因で高騰しているのかというところの状況を、今、国土交通省のほうで調べていただいているので、これが原因だ、これを解決すれば収まるのだというものかどうかということも踏まえて、今、関係省庁で検討中ということでございます。
- (問)関連なのですけれども、オーバーツーリズムの問題、小野田さんはかねがね問題視してきたと思いますが、国交省の方向としても、2030年6,000万人を目指していると。このことに関して、大臣自身はどう感じるか。
そして、研究者、博士課程へのSPRING(次世代研究者挑戦的研究プログラム)という研究資金による、外国人の方に対する支援は規制がかかって、一部の中国国籍の外国の方たちが大変研究に支障が出ていると、抗議の声が上がっています。この点についてどう感じるか。
それから、靖国参拝とスパイ防止法の制定に関連しても、一言いただければと思います。 - (答)オーバーツーリズム問題に関しては、法の遵守をしていただけない、マナー違反がある、あと混雑など、いろいろな視点での問題点があると感じておりまして、これをそれぞれの省庁において、この問題はどう解決していけるのかということを、今、話し合っているところでございます。数値目標、いろいろな有識者の方々に話を聞く中で、インバウンドの集中が問題であって、これはやはり分散して受け入れることで解決できる問題もあるなど、いろいろその課題によって対策は違うと思いますが、私個人としての意見を述べる場ではないので、私がどう思うかというよりは、今、起きている問題に対してきちんと解決ができるように、省庁連携して、司令塔としてやっていきたいと思います。
次に、SPRINGに関しては、これは文科省ではないかと思いますので、いずれにしても、研究セキュリティをしっかり守った上で適切に行われるものと思いますが、詳細は文科省にお尋ねをいただけたらと思います。
靖国参拝に関しては、今までも当たり前のように日常的に参拝をしておりますが、適切に個人として判断をしてまいりたいと思います。
スパイ防止法については、所管ではないと思うので、これも個人的なところではなく、所管のところにお話をしていただけたらと思います。
(以上)