小野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年10月22日

(令和7年10月22日(水) 11:13~11:49  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 この度、経済安全保障担当大臣、外国人との秩序ある共生社会推進担当大臣並びにクールジャパン戦略、知的財産戦略、科学技術政策、宇宙政策、人工知能戦略、経済安全保障を担当する内閣府特命担当大臣を拝命した小野田紀美です。よろしくお願いします。
 まず、経済安全保障についてですが、我が国の自律性、そして優位性・不可欠性の確保に向け、サプライチェーンの強靱化、重要技術の流出対策、同盟国・同志国との連携の強化など、関係大臣の協力を得ながら、各般の施策にしっかりかつ果敢に取り組んでまいります。このほかにも、産業が直面する各種リスクの点検、総合的な経済安全保障シンクタンク機能の強化など、言わば足腰を強めるための課題もございまして、これらも含めて様々な課題に必要な体制を構築しつつ、スピード感を持って取り組んでまいります。
 これらに加えて、令和4年に成立した経済安全保障推進法に定められた各施策を着実に実施いたします。その上で、同法では、施行後3年を目途に必要な措置を講ずることと規定されておりまして、見直しに向けた検討を進めてまいります。さらに、今年5月に施行された重要経済安保情報保護活用法を着実に運用してまいります。
 次に、重要土地政策について、重要土地等調査法に基づき、対象となる区域内の土地等の利用状況等について、土地等利用状況調査等を着実に実施し、重要施設及び国境離島等に対する機能阻害行為を防止すべく、万全を期してまいります。
 また、同法の附則第2条には、法の施行後5年を経過した時点での見直し規定が置かれているところでございまして、法の執行状況や安全保障をめぐる国内外の情勢などを見極めた上で、有識者の意見も聴取しつつ、同法の見直しの議論を進めてまいりたいと考えています。
 次に、外国人との秩序ある共生社会の推進について、一部の外国人による犯罪や迷惑行為、各種制度の不適切な利用などにより、国民の皆様が不安や不公平を感じる状況も現在生じております。排外主義に陥ってはなりませんが、国民の皆様の安全・安心の確保は経済成長に不可欠です。ルールを守らない方々への厳格な対応や、外国人をめぐる現下の情勢に十分対応できていない制度・施策の見直しを含めた様々な課題について、関係行政機関の緊密な連携の下で、政府一体となって総合的な検討を進めてまいりたいと思います。
 次に、科学技術政策について、科学技術・イノベーションは、経済成長を加速させ、社会課題を解決する原動力であり、世界の安全保障を取り巻く環境が厳しさを増す中で、その重要性は一層高まっています。今年度は、来年4月から始まる第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定年度に当たることから、特に重要なタイミングで担当大臣に任命していただいたものと認識をしております。我が国の研究力を抜本的に強化するとともに、AI・量子・フュージョンといった重要分野でのイノベーションを一層推進すべく検討を進めてまいります。
 原子力政策についてですけれども、原子力委員会が策定した「原子力利用に関する基本的考え方」を踏まえて、エネルギー安定供給やカーボンニュートラルに資する原子力エネルギーの活用を、安全確保を大前提に、国民の理解と信頼を得つつ、進めていくことが重要です。その際、内閣府としては、中立的・俯瞰的視点から、関係省庁としっかり連携して、検討と取組を進めていく必要があると考えております。
 次に、AI戦略について、AIは、社会課題の解決や産業競争力の強化に不可欠な国力を左右する技術です。世界でAIの開発競争が激化する中で、我が国も、まずはAIを使ってみる、その上で、AIでイノベーションを生み出していくことで「反転攻勢」を仕掛けなければなりません。AI戦略担当大臣として、AI基本計画を年内を目途に策定するとともに、スピード感を持って必要な支援策や制度的対応を講じてまいります。
 次に、「グローバル・スタートアップ・キャンパス」構想についてですけれども、日本の持つ技術を活かし、先端技術から世界に通用するスタートアップを生み出すエコシステムを形成するため、グローバル・スタートアップ・キャンパス構想を推進してまいります。昨年8月に統合イノベーション戦略推進会議で決定された「基本方針」に基づき、エコシステムのハブとなる拠点の運営法人の設立準備や拠点の整備、先行的活動をしっかりと進めてまいります。
 次に、宇宙政策について、近年、世界的に、官民による宇宙の開発・利用が活発化し、国際競争が激化しています。我が国としても世界の動きに後れを取ってはなりません。外交・防衛・経済・科学技術など、様々な分野につながる総合的な国力の源泉とも言える宇宙政策を、私自身が先頭に立って、関係省庁と協力し、しっかりと進めてまいります。
 次に、健康・医療戦略の推進について、国民が健康な生活と長寿を享受することができる社会を実現しなければなりません。第3期健康・医療戦略を踏まえた出口志向の研究開発マネジメントの強化や創薬エコシステムの発展に向けた取組、医療データの利活用の推進、感染症危機対応医薬品等の開発戦略の策定等を行うことにより、健康・医療に関する研究開発が更に発展し、国民の皆様にその成果が迅速に届くように取り組んでまいります。さらに、グローバルヘルス戦略等を通じた国際展開の促進や新産業創出など、健康長寿社会の実現に向けた施策を着実に進めてまいります。
 次に、知的財産戦略について、イノベーションの活性化や国際競争力の強化に向けて、内閣府が司令塔となって、「知的財産推進計画」の着実な実行や、「新たな国際標準戦略」の推進に取り組んでまいります。
クールジャパン戦略についてですけれども、「新たなクールジャパン戦略」等を踏まえ、関係省庁と連携して、クールジャパン関連産業の国際競争力の強化や、コンテンツを活用した地方創生の好循環プランの取組を推進してまいります。
 次に、特定秘密保護法の運用について、「特定秘密の保護に関する制度に関する事務」についても担当するよう御指示をいただきました。制度の適正な運用に万全を期してまいります。
 次に、遺棄化学兵器処理についてですけれども、化学兵器禁止条約上の我が国の義務を履行するために、引き続き処理事業を着実に進めてまいります。
 最後に、日本学術会議についてですけれども、さきの国会にて新たな「日本学術会議法」が成立したことを受け、来年10月の新法人発足に向け、準備を進めております。学術に関する知見を活用した国民及び社会への貢献、課題解決への寄与という新法の趣旨を実現できるように、学術会議とのコミュニケーションを取りながら、しっかりと進めてまいります。
 高市内閣の一員として精一杯務めてまいる所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

2.質疑応答

(問)大臣、就任おめでとうございます。
 早速、科学技術政策についてお聞きしたいんですけれども、大臣としては、科学技術政策にどんな問題意識を持っているのか、また、最優先で進めるべきことは何なのか、教えてください。
(答)ありがとうございます。
 科学技術・イノベーションは、言うまでもなく国力の源泉でありまして、城内前大臣が実施されてきたことを着実に引き継いで、私自身も可能な限り現場の取組を見せていただきながら取り組みたいと考えております。
 特に、就任間もない時点での考えでございますけれども、基礎研究力を抜本的に強化するための「科学の再興」、そして、国際的に競争が激化しているフュージョンなどの戦略分野への着実な投資、これが重要と思っておりまして、来年4月から5年間の、第7期科学技術・イノベーション基本計画の検討をしっかりと進めてまいりたいと思います。
 また、AI基本計画の早期策定、そして、グローバル・スタートアップ・キャンパス構想の推進も重要だと思っておりますので、こちらもしっかりと進めてまいりたいと思っております。
 詳細については、これから現場の声をちゃんと現場で聞きながら把握して検討していきたいと思っておりますけれども、我が国が「科学技術創造立国」として世界を先導していくために、科学技術・イノベーション政策の推進に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
(問)科学技術の関係で伺います。国際頭脳循環について、政府はこれまで取組を進めてきておりますが、海外から優秀な学生や研究者を受け入れていくこと、これを強化していくことについてどうお考えかということと、実際来られた方が、日本をまず選んでもらって、かつ来た人が長く日本で研究をしていける環境をつくる上でどういう方策が必要であるかという点について、お聞かせください。
(答)海外の優れた研究者を獲得していくことは、科学技術・イノベーションの推進において非常に重要なことだと思っております。
 海外の優れた研究者の招聘について、政府としては本年6月に「J-RISE Initiative」を取りまとめて、我が国が研究者にとって世界で最も魅力的な国になるように取組を進めているところであります。
 このイニシアチブに盛り込んだ施策については、優れた研究者等を直接支援するための取組に加えて、そうした人材の我が国への定着を図るために、人事給与改革、そして世界トップレベルの魅力ある研究環境を実現していくための各種取組を併せて実施することと考えております。これもまた、現場の声をしっかり、何が必要とされているのかを聞きながら、研究セキュリティを確保しながら、しっかりと取組を進めてまいりたいと思います。
(問)外国人政策について伺います。これは連立を組む維新との合意事項にも盛り込まれており、かつ高市首相の肝煎りの政策ということなんですけれども、改めて現状の課題をどのように認識されているか、そして今後どのように取り組んでいくか、所見を伺えたらと思います。
(答)冒頭発言でも申し上げましたけれども、一部の外国人による犯罪や迷惑行為、そして各種制度の不適切な利用によって、国民の皆様が不安や不満、不公平感を感じていらっしゃるというのは今の現状だと思います。それを排外主義に陥ることなく、ちゃんと国民の皆様の安心・安全を確保していくという視点から、総理からは、関係大臣と協力して、国・地方自治体の情報連携や制度の適正利用、そして、国土の適切な利用・管理など、外国人との秩序ある共生社会に向けた施策を総合的に推進するということ、そのために必要な推進体制の強化を図るようにとの御指示をいただいているところでございます。
 これらの課題について、主に入管庁になってくると思うのですけれども、関係行政機関との緊密な連携の下で、政府一体となって総合的な検討をしてまいりたいと思っています。
(問)科学技術政策のうちの核融合について、城内大臣から方針を引き継いでいくと思われますが、イノベーション戦略の検討課題は数多くあると思います。大臣が取り組むべき課題、真っ先に解決するべきところがどういうところか、教えてください。
(答)城内大臣、非常にこのフュージョンについても力を入れていらっしゃったのは承知しております。我が国初の国家戦略「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」が高市総理の主導の下で策定されて、今年の6月には城内大臣の下で改定され、2030年代の発電実証を目指すことが明記されております。高市総理、城内大臣が築かれた方向性に基づき、私もこのフュージョンには大変期待をしているところでございますので、引き続きフュージョン関連の政策を進めていきたいと思っています。
 また、発電実証に向けては、改定された戦略を踏まえて、現在、内閣府のタスクフォースにおいて、社会実装に当たっての課題を整理しているところでございます。このタスクフォースの検討結果も踏まえながら、フュージョンエネルギーの早期実現に向けて必要な取組を講じてまいりたいと思っております。
(問)今の質問に関連して、フュージョンに関しましては、高市首相も相当熱意を持って取り組まれていたかと思うんですけれども、何か総理から指示はあったんでしょうか。現状での認識を改めて伺いたいのと、もし実現に向けて意気込みがあればお聞かせください。
(答)高市総理は、令和4年8月から令和6年10月まで2年2か月の間、科学技術政策担当大臣を務めていらっしゃって、その間もいろいろなところでフュージョンエネルギーの大切さ、分野に高い関心を持っていらっしゃるというのは重々私も承知しております。
 フュージョンエネルギーの社会実装に向けては、更なる研究開発の推進、そしてコストと実施主体の在り方など、様々な課題が存在すると認識しておりますけれども、先ほど申し上げたように、タスクフォースの検討結果も伺いながら、とにかくフュージョンエネルギーの早期実現に向けて、私自身もここには大変期待をしているところでございますので、取り組んでまいりたいと思っております。
(問)就任おめでとうございます。
 経済安保担当大臣は総理も務められた役職になります。総理御自身も思い入れがあるかと思うんですけれども、総理からどのようなお言葉をもらいましたでしょうか。また、総理は、決断と前進の内閣だとおっしゃっています。大臣は、この経済安保の分野で、どういった課題に対してどう決断し、前進させていくお考えでしょうか。
(答)先ほども申し上げましたけれども、高市総理が2年2か月、経済安全保障担当大臣を務めていらっしゃったわけでございまして、今般、総理が大変大切に思われている担当大臣をお任せいただいたということで身の引き締まる思いです。
 その上で、経済安全保障については、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の下で、経済的手段を通じた様々な脅威が高まっている状況という中で、我が国の自律性、優位性・不可欠性の確保に向けて、冒頭発言でも申し上げたような各種施策について、必要な体制を構築しつつ、とにかくスピード感を持ってやってまいりたいと思っています。
(問)大臣おめでとうございます。
 今、生配信をやっておりますけれども、ものすごい同時接続者数で、大臣への期待の大きさがうかがえます。よろしくお願いします。
 クールジャパン戦略についてお聞きします。『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第1章』が、今年9月の公開時に全米で興行収入第1位を獲得しまして、アニメ映画のオープニング興行収入記録を樹立するなど、年々日本独自のコンテンツの世界的評価が高まっていると思います。大臣の御関心が高いことは承知しておりますけれども、改めてゲーム、アニメ、マンガ等の、日本のコンテンツに対する評価をお聞きしたいのと、もう一点が、クールジャパン戦略が、これまで国民からしてみると一体何をやってきたのかとよく分からない状況の中で、大臣が就任されて今後詰めていくと思うんですが、例えば成長戦略の柱とするお考えがあるのか。あるとすれば、それはどういった側面からの取組を進めていくべきとお考えなのか、現状の認識、お考えをお聞かせください。
(答)御指摘のとおり、我が国のゲーム、アニメ、マンガ等の日本のコンテンツというものは世界的な人気を博しておりまして、海外展開の市場規模も半導体産業や鉄鋼産業を超えて2023年には約5.8兆円に達しています。こうした中で、昨年、「新たなクールジャパン戦略」を策定いたしまして、コンテンツ産業を基幹産業として位置付けて、日本発のコンテンツの海外市場規模を2033年までに20兆円とするという目標を掲げております。
 また、コンテンツはアニメツーリズムやロケ誘致など、観光客の誘致にも、地方創生にも、大きな期待が込められていると思います。そのため、コンテンツを起点として、アニメのゆかりの地の食や伝統文化などの地域資源を最大限活用した、地域一体となった取組を加速し、コンテンツ産業と地域経済の活性化の好循環につなげていくこととして、そして骨太の方針や成長戦略にも位置付けているところでございます。
 加えて、クールジャパンのコンテンツ政策に対しては、輸出規模や経済効果が言われがちなのですけれども、それだけではないと思っておりまして、今、日本語を学ぶ方々のきっかけの多くが、アニメ、マンガ、ゲームであり、そしてそれをきっかけに日本の文化や考え方など、日本が世界で一番多様性がある国だということを分かってもらえるきっかけになる武器でもあると思っています。したがって、あくまでお金の道具だけではなくて、日本が誇る文化が知日派、親日派の育成にもなっていますし、世界平和にも貢献しているのだと私は思っておりますので、そういった日本の自由な表現が持つコンテンツの力というものを、これから海外との交流にもそうですし、そして経済の柱としても、あらゆる面で皆様の「好き」を力に変えていく、これを実現していけたらなと思っております。
 引き続き、関係省庁、自治体、民間事業者等と連携しながら、コンテンツに携わる人材育成、人材育成をしないと外にすごく流出をしてしまっているので、この人材育成や海外への事業展開の両面について、強力に取組を推進していきたいと思っています。

(以上)