伊東内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年8月29日
(令和7年8月29日(金) 10:51~11:18 於:中央合同庁舎8号館1階S101会見室)
1.発言要旨
おはようございます。まず、沖縄担当の大臣として御報告をいたします。
本日、令和8年度沖縄振興予算の概算要求といたしまして、総額2,829億円を要求するとともに、第1次国土強靱化実施中期計画に基づく取組の推進等に必要な経費の事項要求をすることといたしました。
要求に当たりましては、「Gate Way2050 PROJECTS(ゲートウエイ・にせんごじゅう・プロジェクツ)」の早期実現に向けた取組の一環として、基地跡地の先行取得等を引き続き強力に推進することや、また、「強い沖縄経済」の実現に向けまして、各般の産業振興施策を推進するとともに、物価高騰にも対応することといたしております。
これらに加えまして、地元自治体を始めとする関係者の皆様からたくさんの要望をいただいておりまして、この要望等を踏まえまして、一括交付金や、こどもの貧困対策・ウエルビーイング実現に向けた取組、北部・離島地域の振興、沖縄科学技術大学院大学学園(OIST)関連経費、沖縄振興特定事業推進費等につきましても、所要額を要求をいたしているところであります。
令和8年度沖縄振興予算を最大限に活用できるよう、引き続き地元の皆様の声を丁寧にお伺いしながら、財政当局との折衝にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
続きまして、沖縄の次は北方対策であります。北方対策担当大臣として、北方対策本部の令和8年度概算要求について、報告をいたします。
今回の概算要求では、「北方領土隣接地域における地域一体となった啓発促進策についての調査研究」に伴う経費、また標津町(しべつちょう)の北方領土館の建て替えに向けた基本構想等の策定や、あるいは既存の啓発施設の老朽化対策に伴う経費、また「昭和100年」を節目とした啓発事業の開催費などを要求いたしております。北方対策本部全体の概算要求額としては、19億8,200万円を計上しているところであります。
引き続き、地元の皆様や元島民、関係団体と連携・協力し、また、様々な方の知見もいただきながら、北方領土問題に関する効果的な啓発の在り方の検討をはじめ、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
続きまして、地方創生担当大臣として御報告いたします。
8月30日(土)に、明日でありますけれども、群馬県を訪問いたします。
6月に開催をいたしました「民主導による新たなまちづくり推進会議」におきまして、ジンズホールディングスの田中代表取締役CEOより、前橋市における取組についての御発表があり、説明があったところであります。
前橋市では、企業経営者やあるいは官民共創の組織が、公共的な役割を担いながら、人を惹き付ける質の高いまちづくりに取り組んでおりまして、今回推進会議の3名の有識者と共に、現地で取組を実際に拝見し、関係者と意見交換をさせていただく予定であります。
石破総理も訪問し視察をしているところでありまして、「大変参考になったから一度見てきたらいいよ」という総理お薦めのことでもありますので、期待をしているところであります。
この他、高崎市におきまして、デジタル人材育成の拠点であるTUMO Gunma(ツーモ・グンマ)、ここを訪問する予定であります。
今回の出張を通じて、先進的なまちづくりの取組を学ばせていただき、こうした取組を全国に拡げていくための方策につきまして検討してまいりたいと考えております。
心配なのは気温だけで、予想39度などというところでありまして、もう少し涼しくなってからにすればよかったかなと思っているぐらいでもありました。
私のほうからは以上のところでありまして、あとは皆さんからご質問があればお受けしたいと思う次第であります。
2.質疑応答
- (問)沖縄関係予算についてでありますけれども、令和7年度の当初予算よりは増額要求とはなりましたが、沖縄県が要望していた3,000億円台というところにはなりませんでした。その理由を含め見解を伺いたいと思います。
あと併せて、今回の要求事業の中での新規事業もありますが、目玉と位置づけているものがあれば教えてください。 - (答)令和8年度沖縄振興予算の概算要求につきましては、県を始め、地元関係者の御要望を幅広くお伺いした上で、国として考える各事業の必要額を積み上げた結果でありまして、総額2,829億円を計上することとなりました。
北部の市町村の皆さんも、中部も、南部の皆さんも熱心に要望活動をされ、また事業の必要性についてお伺いをしたところでありまして、その結果というか積み上げた結果が2,829億ということであります。お話ありますようにやみくもに3,000億という話では全くありませんので御理解をいただきたいと申します。
要求に当たりましては、今年の骨太の方針にも明記をされました「Gate Way2050 PROJECTS」の早期実現に向けた取組の一環として、自治体による計画的あるいは継続的な土地取得の取組を支援するとともに、自治体の計画策定等の取組への支援を拡充することとしております。
また、「強い沖縄経済」の実現に向けまして、例えば「農林水産・加工品」分野におきまして、沖縄農林水産物条件不利性解消事業、また農林水産物・食品の販売力強化支援事業につきまして、実績やニーズを踏まえて、取組への支援の強化を図るため、拡充して要求するなど、各般の産業振興施策を推進するとともに、先端医療技術等の研究開発から社会実装までを支援する取組等を新たに盛り込んだところでもありまして、また、物価高騰にも対応しているところであります。
令和8年度の沖縄振興予算が最大限に活用され、県民の皆様が暮らしの向上や豊かさを実感できるよう、所要額の確保に向けてこれからもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。 - (問)北方対策本部関連の予算についてお伺いします。
今回の概算要求に、北海道根室管内の北方領土返還の啓発施設の改修費や建て替えに向けた基本構想などの策定費を盛り込みました。隣接地域の一体となった情報発信の強化が求められますが、大臣の受け止めと、今後の期待をお願いします。
また、若い世代への広報強化も盛り込みました。元島民の高齢化が進む中で若い世代に運動してもらうことが重要だと思いますが、大臣のお考えをお願いします。 - (答)北方領土問題に関する効果的な啓発の在り方につきましては、今年度から行っている北方領土隣接地域における地域一体となった啓発促進策についての調査研究、これにおいて検討しているところであります。
お尋ねの標津町の北方領土館につきましては、御案内のとおり老朽化が著しく先行的に対策を講ずる必要があることから、調査研究における検証と並行して、北方領土館の建て替えに向けた基本構想、基本計画を策定するために必要な経費を要求することといたしているところであります。
このほかにも根室市の北方館及び羅臼町の羅臼国後展望塔につきましても老朽化が進んでおりますので改修工事を実施するため、必要な経費を要求することといたしております。領土問題に関しましては、効果的な啓発活動の在り方、また検討をはじめ、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
若い人たちのためには、えとぴりかを活用した啓発活動の充実、あるいはまた修学旅行や、あるいは地方の熱心な県民会議の皆さん方の研修の場として、これらの施設の大いなる活用を図ってまいりたいと考えております。 - (問)消費者庁の概算要求に関連して、質問させてください。
本年6月5日衆議院消費者問題特別委員会で、消費者庁創設以来初の地方消費者行政の充実強化を求める決議が行われています。具体的には地方消費者行政強化交付金推進事業の活用期限を終えた自治体が、引き続き消費生活センターの運営等が継続できる必要な対策などを講じるための交付金の見直しなどが盛り込まれています。
消費者庁は今回の概算要求で、この決議をどのように反映させていただいたのでしょうか、お教えください。 - (答)御指摘の決議におきましては、交付金の推進事業の活用期限の到来に対する適切な対策、また高齢化の加速、デジタル化、人手不足等への対応、これらのため交付金の仕組みを見直すべきということで決議なされたものであります。
今回の概算要求では、この決議を具体化すべく、地方消費者行政強化交付金の仕組みを見直すことといたしました。
具体的には、推進事業の活用期限到来に対しては、消費者基本計画の期間中の令和11年度まで、定額での支援を継続していくこととされております。
さらに見守り活動充実のための消費生活センターの体制整備、相談員の育成や確保、複雑・高度な相談への対応力強化等を支援する新たなメニューを設けることといたしております。
必要な予算はしっかり確保して、地方消費者行政の充実・強化に努めてまいりたいと思う次第であります。 - (問)新たなメニューは相談員の人件費にも活用できるのでしょうか。
- (答)人件費にも活用できます。
- (問)ありがとうございます。
それから消費生活相談をユニバーサルサービスとして維持・充実していくためには、これまでの「待ち」の相談の対応から、見守り活動や出前講座、消費者教育など、外に出て消費者行政を強化するという必要性が指摘され、多くの議員の方々からそれに対応できる予算の拡充が求められていますが、拡充できる予算になっているのでしょうか。 - (答)今回の概算要求では衆議院の今お話しした決議や、あるいは与野党からの提言をいただいておりまして、これを具体化すべく「待ち」の対応から転換をいたしまして、地域に積極的に出向く、今お話しの見守り活動や、あるいは出前講座等の充実を促進するための新たな支援メニューを設けるなど、交付金の仕組みを見直した上で、必要な予算として25億5千万円を要求したところであります。しっかりと予算を確保できるように努めてまいりたいと考えております。
- (問)前年度25億円を要求し、15.5億円しかついておりません。12.5億円の要求では少し心配なところがありますので、きちんと拡充につながるよう御尽力をお願いいたします。
- (答)令和8年度の予算の概算要求基準も踏まえた上で、決議等を具体化するための新たな交付金の枠組みの実行に必要な予算額を計上しておりまして、しっかり予算確保できるように努めてまいりたいと考えております。
- (問)地方創生関連の概算要求に関して伺います。
今回、来年度の地方創生関連の概算要求で2,444億円となっています。政権が掲げる看板製作の実現に向けて、どのような点に新たに重点を置いた上で実現すべき方向性を定めたのか教えてください。 - (答)今お話しありますように概算要求は総額2,444億円ということで、これに加えて事項要求ができるということであります。
地域独自の取組を支援する新地方創生交付金を2,374億円要求するとともに、基本構想の政策の5本柱を踏まえて、地方創生2.0の実現に必要な予算を要求したところであります。
新規事業といたしましては、社会の情勢変化にも適応できる持続可能なサービス拠点の整備を支援する「地域くらしサービス拠点推進事業」、また地方への新たな流れをつくるための「地方インターンシップ促進事業」、また更に「地方創生伴走支援事業」も引き続き要求するということとしております。
関係府省庁と連携をしながら、産学官金労言士等の関係者が一体となった取組を進めていく所存でございます。 - (問)今の地方創生の予算に関してお願いします。
地方創生、今、大臣からお話があった「地方創生伴走支援事業」についてなんですけども、事業内容について本年度からどう変える、どう進めるか、計画か教えてください。 - (答)今年度始まったばっかりでありますから、それぞれの地域で新しい刺激を与え、そしてまた市町村の職員も非常に新しい3名の皆さん方のアドバイスあるいはやる気というものを受けて刺激になっていると、こう思うところでもありまして、おおむね非常に評判のいい形で活動をしていただいております。
4月以降の創設でありますが、それぞれ伴走支援チームが定期的なオンライン会議、あるいは現地訪問、現地にもう3回も4回も行かれているチームもありまして、支援テーマが絞り込まれてくるなど一定の手応えが感じられるところでもあります。
このため来年度につきましては、支援する自治体数を今年度の60市町村から更に拡大することを考えているところであります。
今後、支援を行っている市町村や支援官の声もしっかりと伺いながら、関係省庁とも連携し、よりよい事業となるよう努めてまいりたいと考えております。私も支援官の皆さんと直接お話を現地でさせていただいた点も踏まえて、その声も聞きながら今後のよりよき在り方、検討してまいりたいと思います。 - (問)令和8年度の概算要求で、過疎地域のスーパーなどに行政窓口を設置する取組の記載があります。買物や行政機能を1か所で提供できるということは、伊東さんの地元とかもそうだと思うんですけれども、人口が減少している地域で暮らしに、どのような効果をもたらすのか、その狙いと期待というのを教えてください。
- (答)人口が急減する地域が顕在化していく中でありまして、買い物、医療、交通などの日常生活に不可欠なサービスにつきまして、その維持がなかなか困難であるというところが見受けられるようになってまいりました。
こうした状況を改善するために、今お話しのとおり、1か所で複数のサービスを提供するとともに、民間施設や民間のノウハウを活用した、総合的な拠点づくりを推進することにより、低コストでかつ効率的にサービスを提供していく、そういう必要があると考えております。
このために、「地域くらしサービス拠点推進事業」という事業があるんですが、こうした拠点のモデルプロジェクトを選定し、構想づくりを支援するとともに、得られた知見の全国への普遍化を図りたいと考えているところであります。
これによりまして、人口減少下でも必要なサービスを維持し、安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生を図ってまいりたいと考えております。 - (問)もう一点。冒頭でも御出張のお話あったと思うんですが、明日群馬県に出張に行かれる件で、民主導の新たなまちづくりの推進会議など、群馬県の取組が今後どのような展開が想定されているのかというのを、もし計画などあれば教えてください。
- (答)6月に開催をいたしました第1回の「民主導による新たなまちづくり推進会議」、ここにジンズの田中さん(代表取締役CEO)という非常にアイデアとやる気のあるすばらしい取組をしている方にお話をいただき、具体的な話聞かせていただきました。
今回はそこを視察し、本当にまちづくりに熱心に取り組む関係者の皆さん方のお話と実態を聞いてまいりたいと思うところでありまして、意欲と能力のある「民(みん)」が、公共的な役割も担いながら、人を惹きつける質の高いまちづくりに取り組んでいる。これはもう極めて重要なことであると思います。
先ほども言いましたけれども、石破総理もお話を聞いて感銘を受けたというお話でございまして、我々も是非そのすばらしい取組をしっかり見てまいりたいと思っております。できればそうした取組がほかの市町村にまで広がって普遍化していく、もう金太郎飴ではなくて自分たちの独自の考え方や行動をプラスアルファで発展させていくような、そういう取組を是非見てきたいと思っております。 - (問)先ほど伴走支援の関係で対象地域60市町村、拡大を考えているというふうに大臣おっしゃいましたけれども、これは来年度以降に拡大するという認識でいいのか、それとあとどれぐらいの規模に拡大をするか考えがあれば教えてください。
- (答)まず、今年始まったばっかりでありますので、今すぐいつまでにどれだけするという話ではありませんけれども、おおむね考えているのはできれば60市町村を倍くらいにはできないかなという、そんな思いであります。ですから、120市町村でしょうか。
- (問)それは、今年度中ではなく?
- (答)今年度始まったばっかりですから。
- (問)やはり来年度以降、そういうところを考えていきたいという・・・。
- (答)成果を見て、そしてまた伴走支援で各地域に派遣された皆さん方の声を聞いて、市町村の声も聞いて、今後の新たな拡大を図っていきたいと考えております。
- (問)同じく今の伴走支援事業の関係で1点確認だったんですけれども、本年度行っている60市町村のところは、基本的にはこれは1年で一旦終わるという理解でよろしいのでしょうか。
- (答)たくさんの市町村ありますから1か所ばっかり何年もという話にはなかなかならない話でありまして、内容によりますけれども原則は1年、そしてまた取組で2年かかるようなところもあれば、それはそれでまた検討していきたい。
(以上)