伊東内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年6月13日

(令和7年6月13日(金) 9:48~10:07  於:中央合同庁舎8号館1階S101会見室)

1.発言要旨

 
 まず、地方創生2.0の基本構想について報告をいたします。
 本日開催を予定しました第4回「新地方創生本部」におきまして、地方創生2.0の「基本構想」が承認をされたところであります。
 基本構想は、今後10年間集中的に取り組むものであることから、現場で地方創生に取り組む方々の声を、丁寧にくみ取ることに重きを置きまして、これまで検討を続けてきたところであります。
 具体的には、昨年11月以降、地方で開催をいたしました4回を含めた合計10回の有識者会議や、地方団体や経済団体との意見交換の場を設け、意見交換を重ねてきたところであります。また、私自身も、先日の熊本県の視察を始め様々な地域に赴き、現場で活躍する方々の声を聞いてまいりました。
 地方創生2.0では「目指す姿」として、「強い経済」と「豊かな生活環境」の基盤に支えられる「新しい日本・楽しい日本」を創ることを掲げ、その姿を14の目標として定量的に示しております。
 そして、地方創生2.0は、1.0の反省を踏まえ、少子化対策には引き続き取り組むものの、当面は人口減少するという事態を正面から受け止め、適応策を講ずる。
 また、若者や女性にも選ばれる地方が重要との考え方を強く打ち出す。
 また、様々な要素の掛け合わせ、いわゆる「新結合」によりまして新たな価値を創出するなど、地方に仕事をつくるのみならず、「稼げる地方」をつくるということであります。
 また、急速かつ飛躍的に発展するAIを始めとしたデジタル技術の徹底活用など、新たな考え方の下で進めてまいります。
 この基本構想に基づき、地方創生2.0を力強く、かつスピード感を持って実行してまいります。
 次にテーマは替わりまして、消費者及び食品安全担当大臣として、2点目の御報告をいたします。
 1点目として、本日の閣議におきまして、「令和7年版消費者白書」が閣議決定をされました。
 消費者白書は、消費者基本法と消費者安全法に基づき、消費者政策の実施状況や消費者事故等に関する情報につきまして、毎年政府が国会へ報告するものであります。
 今回の白書では「グリーン志向の消費行動~消費から変えていく、私たちの生活と地球環境~」、これを特集いたしました。環境問題は喫緊の課題であり、行政、事業者及び消費者が一体となってその解決に取り組むことが不可欠であります。そこで、消費者の環境問題に対する意識と行動について分析等を行い、消費行動を起点といたしまして、持続可能な社会を実現するための課題や今後の方向性を展望しています。
 具体的には、消費者の行動変容を促すために、消費者の関心や問題意識に対し適切に働きかけることで「環境配慮への意識」を醸成すること。
 また、多数の環境ラベルがある中で、消費者に対してより一層「分かりやすい情報提供」を心掛けること。
 また、事業者が環境配慮商品を消費者に訴求する際には、商品の特性に合わせた訴求を行うこと、これが効果的であることなどをお示ししております。
 消費者一人一人の日々の行動は、私たちの生活だけではなく、地球環境をも変える可能性を秘めております。白書の分析も踏まえて、今後も消費者目線に立って、消費者行政に適切に取り組んでまいります。
 次に、2点目といたしまして、本日閣議におきまして、農林水産省及び消費者庁が共同請議を行った「国民生活安定緊急措置法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。
 この改正によりまして、備蓄米に限らない精米、玄米など、これらの米穀を小売店等から購入した者が、購入価格よりも高い値段で不特定又は多数の者へ転売することは法律で禁止されます。本改正は公布から10日後に施行されます。
 消費者庁としては、農林水産省と連携し、米穀の転売が行われないよう、適切に対応してまいりたいと考えております。

2.質疑応答

(問)地方創生の基本構想の関係で伺いたかったんですけれども、今回の基本構想では関係人口などを、いわゆる定量的な目標を定めているかと思いますけれども、今後年内に定めるとされている総合計画において、こういった目標についてどのように実効性を担保するのかというところと、あと併せて、今朝の会議でも総理のほうから地方創生の文脈で、企業城下町の形成の関係で民主導の新たなまちづくりの会議を立ち上げるというふうに発言があったかと思うんですけれども、この会議の詳細のところと、あと大臣として期待されているところを併せて伺えますでしょうか。
(答)地方創生2.0は、国とともに、地域の産官学金労言士等が一体となって実現を目指すものであります。
 このため関係者の共通の理解の下で進められるよう、基本構想では、10年後に目指す姿をお示ししたところであります。
 また、目指す姿の実現に向けまして、令和8年度予算での対応も含め、具体的な施策や事業を盛り込んだ「総合戦略」を令和7年中に策定することとしております。
 今回の基本構想で打ち出した「新結合」など、各省の施策が効果的に組み合わされて地域で実効あるものとなるよう、関係府省庁と連携しながら、議論を進めてまいりたいと考えております。
 なお、本日の本部で、総理から「民主導による新たなまちづくり推進会議」を今月内に立ち上げるとの御発言がありました。
 現在、会議の立ち上げに向け、検討を進めており、詳細が決まり次第お知らせいたしたいと思います。
(問)同じく地方創生の基本構想の関係で伺います。
 今回の構想で、ふるさと住民登録制度による関係人口の1,000万人の創出方針が盛り込まれていますが、実際、全国で見ると島根県の丸山知事が、「関係人口が定住人口につながらなければ意味を感じない。ゆるい空気みたいなふわふわした人口を追いかけることは理解しがたい」といった指摘もあります。
 こうした地方の声に対する大臣の受け止めを教えていただきたいのと、また、こうした関係人口を数値目標として設ける意義、そして関係人口が実際に社会増につながっていくためにはどういった手法が必要と考えているか教えてください。
(答)基本構想では14の「目指す姿」を掲げ、その一つに「関係人口1,000万、延べ人数1億人を創出する」ということがありました。
 これは期待を込めてということも付け加えさせていただいたところでありますけれども、関係人口の概念は幅が広く、年に数回現地に遊びに来る方もいれば、例えば岐阜県飛騨市(ひだし)の「ヒダスケ」のように、地域の困り事の解決に直接貢献する方もいらっしゃるところであります。
 このため関係人口の量的な拡大とともに二地域居住や飛騨市のような形で質的な向上を図ることで、地域住民が減少する中にありましても、都市と地域の連携強化、あるいはまた地域活性化への貢献が期待される、期待できると考えているところでもあります。
 こういったことから、今回10年後に目指す姿として、関係人口についての定量的な数値を設定したところであります。
 また手法としては、「ふるさと住民登録制度」、これにつきましては、誰もがアプリで簡単・簡便に登録でき、また自治体の既存の取組を緩やかに包含することができるよう柔軟かつ間口の広い仕組みとして総務省におきまして現在検討が進められており、そのような手法が望ましいと私も考えているところであります。
 様々な御意見があることは承知をいたしておりますが、私としてはふるさと住民登録制度が都市部育ちの人々も含め、地域とのつながりを日頃からつくることができ、また災害時などの避難先の確保にもつながるのではないかと考えており、大いに期待をしているところであります。
(問)大臣、すいません、地域のいろんな声があるということは御指摘はあったんですけれども、丸山知事の発言については大臣としてはどういう印象を持たれたかというのがありますか。
(答)直接私も聞いておらないものでありますから何とも言えませんけれども、知事は知事で大きな期待をする、その割にはという、そういう意味でなかったのかなという思いをします。
 ただ、この制度全般については御理解をいただけているかな、あるいは場合によっては期待をされているかなというところは感ずるところであります。
(問)ありがとうございます。すみません、もう一点別件で、今度は消費者問題の関係でお伺いします。
 今回全国14店舗を展開する中古車販売の「カーネル」という会社があるんですが、今回のFNNの取材で、中古車を購入しても納車されないというトラブルが相次いでいます。中には被害が800万円に上るケースや、400人近く被害者がいる可能性も指摘されています。実際店舗を4月頃から一斉に閉店しているんですが、従業員が解雇もされず給与も支払われないということで困っているという声も聞かれています。
 この事案に対して、まず政府は把握をされているのか。そして、この事案に対する受け止めと、政府として今後対応を検討する方針があるのか教えてください。
(答)御指摘の点、報道につきましては承知をしているところであります。
 消費者庁及び国民生活センターでは、これまでも中古自動車の購入や売却等について、事前に契約書をよく確認することなどの注意喚起を行ってきたところであります。
 仮に納車がされないといった消費者トラブルになりました場合、1人で悩まずに「消費者ホットライン」188(イヤヤ)に御相談いただきたいと考えているところであります。
 まだ具体的な相談等についてはそこまでは承知しておりません。
(問)政府側から改めて内容をヒアリングしたりとか、そういう対応・是正を求めるようなところの動きというのは考えているんでしょうか。
(答)これは個別の企業の商売の話であります。本事案に対してコメントすることは差し控えたいと思うところであります。
(問)今日(13日)閣議決定された消費者白書についてなんですが、去年1年間に(全国の消費生活センターなどに)寄せられた相談のうち「認知症などで十分な判断ができない高齢者が訪問販売などの契約のトラブルとかいった相談」がおよそ9,600件ということで、この10年間で最多になったとされています。
 これについての受け止めと、こうしたトラブルについて国としてどう対応していくのか考えをお聞かせください。
(答)今、記者さんからもお話ありましたとおり、人口構造の高齢化に伴いまして、高齢者の消費生活相談が近年、増加傾向にあるということでありまして、特に、認知症等の高齢者の消費生活相談件数は約9,600件と今お話のとおりで、この10年間では最多となっているところであります。
 認知症等の高齢者の消費生活相談につきましては、本人が十分に判断できない状態ということもあり、特に、「訪問販売」に関する相談が3割を超え、高齢者全体に比べても高い割合となっており、消費者庁としても重要な課題であると、このように認識をいたしております。
 認知症等の高齢者本人はトラブルに遭っているという認識が低いため、問題が顕在化しにくい傾向がありまして、特に周囲の見守りが大切であると、必要であると考えているところであります。
 消費者庁といたしましては、これまでも地方消費者行政強化交付金、これによりまして見守り活動を支援するとともに、消費者庁自らも優良事例の収集・横展開、先進的なモデル事例の創出等に取り組んできているところであります。
 今後も、さらなる見守り活動の活性化を進めてまいりたいと考えております。
 また、引き続き消費者トラブルにつきまして、適時かつ効果的な注意喚起を実施するとともに、法令違反等につきましては厳正に対処してまいりたいと考えております。消費者の皆様には周囲の高齢者の方がトラブルに巻き込まれたかもしれない場合も含め、少しでも不安に思ったら「消費者ホットライン」188(イヤヤ)に御相談いただきたいと考えております。
(問)すみません、今の御答弁に関連してなんですが、地方消費者行政強化交付金というのは今年度で多くの自治体で終了することになりますが、そうなったときにどのように見守り活動を支援されるのかというのを伺えますか。
(答)今、全国の相談員の皆様を始め、関係者の皆さんから予算の確保、存続の確保を求められておりまして、我々も真剣に取り組んでいかなければと考えております。

(以上)