野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年8月10日

(令和4年8月10日(水) 12:06~12:34  於:中央合同庁舎8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 先ほど臨時閣議において、辞表の取りまとめがございました。皆様方には本当にお世話になりました。たくさんの勉強をさせていただいたこと、そして御協力を心から感謝いたします。
 少しだけお時間いただいて、10か月間の振り返りを御報告したいと思います。今日、実は秘書官2人、そして事務方が本当に立派な原稿を作っていただいたのですけれども、ちょっと長めなので、私がかいつまんで自分の言葉でお届けしたいと思います。
 昨年10月に大臣に着任しました。私はこども政策の推進、少子化及び男女共同参画、地方創生、孤独・孤立と多方面にわたる業務をいただいて、全力で取り組みました。
 まず、こども政策についてですが、6月15日、国会最終日までずれ込みましたが、おかげさまでこども家庭庁の創設のための設置法を基本法と共に成立させるに至りました。私個人としては、何十年の思いがございましたので、大変この大きな一歩を嬉しく思いますし、多くの仲間たちが子供という新しい考え方をこの国家、政治、行政に押し出していく中で大変な苦労をかけたと思いますが、しっかりと国民の目に見える形で器を作ったことを本当にうれしく思い、是非ともしっかりと次の方に大きく育てていただきたいと願っています。
 この設置案の審議は衆・参で約55時間いただきました。男性・女性問わず、年齢問わず、ほとんどの方が、かつてなかった子供という言葉を毎日発していただいたことは、大きな前進だと思っています。
 こども家庭庁設立準備室が6月にできました。これから、こども家庭庁設立準備室が後の役所となっていくわけですけれども、既に様々な具体的な事業を進めています。これから、やはり出現した新しい子供であるこども家庭庁。「器」という言い方は何となく冷たく聞こえるので、私はやっぱり自分としては子供を産んだというぐらいの思いを持ってこの役所を見ているのですが、そこに必要なエネルギーとなる予算、そして人の獲得、さらには今まで霞が関や永田町になかった子供の意見の反映とか、ややもすると親任せになっていた就学前の子供達の安全・安心、学び、そして必ずしも実の親から愛されないとか傷つけられた子供達がすぐに癒しを得ることができる多種多様な居場所づくりにしっかりと取り組み始めましたので、それを立派な形にしていただきたいと願っています。
 この国を蝕んでいる最大の有事は、人口減少だと私は信じています。その原因がやはり少子化であることは、皆さん御承知のとおりだと思っています。「こどもまんなか社会」を掲げることは、傾きつつあるこの日本の力をもう一度元気にしていく、そのための、大げさに言えば歴史の転換の大事業と私は信じています。是非今後は各省庁、そして準備室改め将来役所になったときに、常に子供が見える形の仕事をしてもらいたいし、常に役所の中に、子供専一の役所ですから、子供がいる、そこにいるということを分かるような制度づくりをしていただかなければなりません。
 私の願いは、こども家庭庁の看板は政治家でもなく、大人でもなく、子供の中から選ばれた子供に看板をかけてもらいたい。そして、その子供が成人した暁には、また次の世代の子供からこども家庭庁の看板を書いてもらいたい。そうやって常に子供が中心であるということを、なかなか頭の中では想像できないので、見える形で取り組んでいただきたいと思います。
 男女共同参画の方は、私たち人生100年時代、とりわけ女性は90歳以降まで生きる時代に科学的にも医学的にもなってきています。大切なことは、その女性たちが最後の時の前に貧困にならないこと、経済的な自立が約束されることだと思います。もう一つは、やはりそれを阻害している要因は、私たちの先入観、まだまだ制度もそして政治の在り方も、これは政治のみならず組織の在り方も昭和のまま、「もはや昭和ではない」ということを男女共同参画の中では高らかにうたわせていただいております。
 そして、「女性版骨太の方針」の中に、それを乗り越えていくには四つの大きな柱が要るだろう。一つは、今申し上げた、長寿社会になって、とりわけ女性が90歳を超えるまで生きる中のライフプランで、しっかりと経済的に自らが自らを支えられる、そういう形を作っていかなければなりません。
 さらに、コロナ禍でDVをはじめ女性の性被害が大変増えました。女性が人権の下にしっかりとその尊厳と誇りを持って生きられる、そういう品格のある国を改めてつくり直していかなければならないと思います。
 さらには、パートナーである、男女共同参画ですから、男性もしっかりとエンパワーされなければいけません。とりわけ、少子化の原因が少し前までは女性に主な要因があると言われてきたけれども、実際にデータを取ってみると、結婚に至らない未婚の男性が急増している。若い男性の方たちに夫になれるチャンス、後押し、これをしっかりしていく。金銭的なことがもっぱら言われているけれども、それ以外にやれることはしっかり若い男性たちが元気に生きていけるよう支えていきたいと思いますし、併せて、父になったときに、これまで昭和の時代は働くことの方が子育てよりも気高いという時代がありました。それはもうありません。やはりしっかりと夫としてそして父として、でき得る限り自分が望む子育てを男性たちができるような制度改革をしていきたいと思います。
 最後に、女活で残された登用目標、これも厳しく、褒めるだけではなくて、やはり怠けているところには叱咤激励をしながら目標をお届けしていきたいと思います。その中には、一つ大きく進んだことというのは、配偶者からの暴力、これも来年には形が見えてくると思いますけれども、これまでDVというのはもっぱら身体的暴力でありましたけれども、今後はやはり精神的暴力もしっかりと加えていこうと進めています。
 政治分野においても、なぜ女性の候補者、議員が増えないのかという様々な原因の中で、やはり有権者又は同僚議員によるハラスメント、セクハラ・パワハラが存在しているということがアンケートによって明らかになりました。そういうことを無意識のうちにしている側への御理解をいただくための動画も作らせていただいたところです。
 地方創生に参ります。地方創生でまず、最初に取り組んだのが、国家戦略特区のリニューアルです。これまで10年同じメンバーで誠心誠意取り組んでいただきましたけれども、岸田政権になって「人への投資」ということに連動するように、人を育てていくような国家戦略特区を目指すために、メンバーを全員交代していただきました。その内訳は、民間委員のうちの5人のうちの経済界からの2人は女性であります。あまり皆さん注目してくれてないのですが、ちゃんと登用目標を私の足元では実行しています。さらには、身体障害者の起業家にも入っていただいて、今まで見落としていた多様な人たちが持っているポテンシャルを引っ張り出せるような国家戦略特区、それによって国家が生き返っていく、そのような形を目指していくよう、進めていたところです。
 また4月には、かねてからのスーパーシティとデジタル田園健康特区の指定をいたしました。これは、総理のデジタル田園都市国家構想の先導をしていくことを期待しています。
 地方創生では、様々な法律改正もございました。地方からの声を十二分に受け止めて、地方が望む地方の創生、地方分権改革に取り組んだところです。また、今後は計画策定等、国の方であまり深く考えず地方に押し付けている様々な事務手続きの負荷等を排除して、真に現場で働いている地方の方たちが自らの仕事に取り組めるような道をつくっていきたいと思っています。
 地方創生臨時交付金については、コロナ対策を何度もここで申し上げていますが、十分に資金を用意して、そして当然、地方創生の観点から地方それぞれの創意工夫で縛りをかけることなく、それぞれの地域に応じた取組をしていただいており、また、原油価格・物価高騰に対しても改めて上乗せをさせているということで安心して地方自治体でのそれぞれの取組に邁進していただきたいと思います。
 ずっとなかなか霞が関の外に出ることができなかったのですが、参議院選挙が終わって、わずかな期間ではありますが、多くの地域を訪問することができました。全て、どこもかしこも私にとっては、はっとする、学ばせていただけるところですけれども、特にやはり印象に残っているのは、淡路での、女性のひとり親の、企業がしっかりとその能力を支えて、そしてひとり親イコール貧困とか生活困窮ということの中で、そこに何か福祉適用するのではなく、それぞれの女性の能力を活かそうということで、淡路では、ひとり親の女性が家を買ったという話を聞いて、ひとり親女性の支援の在り方についても視野が広がったという思いをさせていただきました。
 さて、山古志、錦鯉で有名なところですけれども、ここは合併して地域の一つになっていますけれども、今まさに取り組もうとしている Web3.0の一つであるNFTを先進的に取り組んで、デジタル住民票を発行することによって、実際に山古志にいる住民よりも多いデジタル住民票を持つ関係人口を増やし、かつ、これまでと違うところは、その住民票を持っている人に地域の様々な取組の投票権を持つという、非常に関われる、エンゲージできるという地方創生の取組に感銘を受けた次第です。
 最後に、湯沢、ここもやはり五、六千人規模の消滅危機と言われたところだと思いますが、だからこそピンチをチャンスに変えて、地方創生の拠出金では子供のために、さらには、私は残念ながら中に入ることはできなかったのですけれども、珍しく認定こども園・小学校・中学校という一環教育を中央に置いて、そしてスクールバスでしっかりと子供の安全を守りながら、一貫した幼児教育からのつながりを作っているということに、ピンチだからやったことかもしれないですけれども、結果的にこれはこども家庭庁の目指す姿だなということで、非常に嬉しく思った次第であります。
 最後に、一番悩んだのが孤独・孤立です。何しろ世界で大臣は私だけという孤立状態の中で、まだまだ新しい分野ですので、いろいろエビデンスがそろっていない中、ただやはりコロナ禍で被害を受ける人、そして残念ながら加害者になる人の根底には、望まない孤独・孤立というのがじわじわと浮かび上がってきています。
 私とすると、新たな取組として、孤独・孤立に悩む方がいつでもどこでもどんなときでも相談できる窓口を作りたいということを願っていて、ようやく、ぎりぎりですけれども「#9999」という、実はこれは旧郵政というかテレコム系に携わった人間からすると驚天動地の番号でございまして、これまではややもすると平時の会議の中で、語呂合わせのような公共ダイヤルサービスがあったのですけれども、いざというときに思い浮かばなければなりません。頭が混乱している、もう生きていくのがどうにもならないという最後の手立てとしての番号としては、いささか利用者にとっては分かりづらい、使いづらい番号だとずっと思っていました。ですから、今回は望まない孤独、様々な理由があります。その人たちはとにもかくにも手を伸ばして、そしてつながる場所が「#9999」という分かりやすい番号にできたことは、本当に嬉しく思います。
 まだまだ試行の段階ですけれども、なるべく早く実行に移してもらいたいと思います。国際会議ができなかったので、外務省をお借りして、各国の日本にいる大使と国際会議を孤独・孤立でいたしました。最初は関心がないかなと思っていたのですけれども、多くの大使からの御発言がございました。これは日本固有の問題ではなく、世界がコロナ禍によって得た新たな政治課題ということを認識したところです。
 話は尽きませんけれども、本当にありとあらゆる、しかし根っこのところは人の力でつながっている有意義な仕事をさせていただいたこと、そして、たまには私と意見が衝突した官僚の方たちもいますけれども、しっかりとお互い理解をし合ってここまで来られたことを心から感謝し、引き続き皆さんで作り上げたものを次の人たちが大きく育てて、これが直接ここにいる皆さん一人一人の力、または伴走者になれることを願って、感謝の気持ちを込めて最後の御挨拶といたします。ありがとうございました。

2.質疑応答

(問)大臣、お疲れさまです。大臣就任以来、「こどもまんなか社会」の実現ということを目指しておられましたけれども、現段階において、政治の世界または霞が関、一般社会、子供を巡る認識というのは変わってきたようにお感じになっておられますか。
(答)子供がいて当たり前というのがまだ全てではないと思います。皆さん、慌てふためいたりすると子供とか女性のことをすぐ忘れるのがこの近辺の体質なので。ただ役所ができるということは、常に他の役所同様、国会でも、さらには様々な場所で意識をするわけですから、まずその見える化ということには一歩前進かなと期待しています。
(問)お疲れさまでした。任期中に印象深かったことをお伺いしたいのですが、その中の一つに、3月にあった選択的夫婦別姓の世論調査のところを改めてお伺いします。調査結果発表時のぶら下がり記者会見で大臣が旧姓の通称使用の法制度という実態がないことが説明になったことに疑問を呈すなど、調査の仕方に問題があると指摘されていましたが、今振り返って、改めて今回の調査について思うところがあれば聞かせていただきたいのと、また、この選択肢、旧姓の通称使用の拡大を選択肢に入れなかった方が良かったとすると、例えば夫婦別姓に賛成か反対か2択で聞くとか、今後の調査の在り方はどうあるべきかというのも、お考えがあればお願いします。
(答)そもそも、お言葉を返すようですが、2択ではなくて、選択できるという社会をつくることなので、それぞれ、ここにいる皆さんの夫婦で話し合った結果が同姓を望むのか、さらには別姓を望むのかという社会の広がりをずっと四半世紀議論してきているわけで、通称使用というのは、私も関わりましたが、その途中の、便宜上のものでしかないと。つまり、会社とかそれぞれの組織で、結婚したけれども、営業をやっているので名字を変えたくないとか、そういう便宜を図る暫定的な手段であったはずです。そこにおいては、将来的に法整備への道はなかったし、今もないし、法務省に確認してもないし、そういうところがあたかも法律になるような誘導に思えるようなこと。一般の人はそれほど法律に詳しくないですから、今までの流れに対して、ずっと取り組んできたものに対しては違和感があるということで、それは変えられませんと。
(問)ありがとうございます。もう一点、アンケートですが、この調査をするに当たって、法務省と事前協議をいろいろされてきたというようなお話の中で、法務省が一部の国会議員から、過去の世論調査が別姓賛成派に傾き過ぎたという批判が出ているというようなやりとりがあったのですけれども、そこでお伺いしたいのは、大臣は今回の調査に国会議員もしくは政治へのそん度があったと思うのかを、せっかくなので、率直なところをお聞かせください。
(答)私は多様性を支持する人間ですから、国会議員の中に様々な声があるのは、国民の声です。反対する国民もいるし、賛成する国民もいるし、どちらでも良いと思っている国民もいるし、そういう有権者が選んでいただいたのが私たちなので、そういう声があるということを否定してもいけない。ただ、これまでの国の方針として、随分古くなりますけれども、法制審議会が今後のやはり若い人たちの社会でのウェルビーイングのために選択的夫婦別姓は必要だという答申を出された後の経緯の中では、どうしても形の上でも通称だけ名乗りたいという人たちのオプションであったということをやっぱりしっかりと、いろはみたいな話ですが議論していきたいなと思うだけです。
(問)忖度があったかなかったかというと、なかなか答えづらいですかね。
(答)いや、私は自分の見たこと、聞いたことしか答えられないですが、私自身がそういう圧力、そういう反対の議員から言われたことも全くありませんでしたし、こども家庭庁のときもいろいろ臆測で話があったのですが、全く、誰一人私のところにそういう話がなかったわけで、私の知る限りは、そこは分かりません。ただ、法務省が、委員会の中で少しそういう声があったという答弁がありましたので、恐らく法務省に対してはそういう意見を述べられた人はいたのだと。それをどうこうするかというのは法務省の考え方だと思います。
(問)こども家庭庁について伺います。こども家庭予算については、総理は将来的な予算倍増ということを表明されていますけれども、次の大臣には、その予算倍増に向けたいろいろな、政治的なことも含めていろいろ力が必要なのかなと思いますけれども、大臣として次の大臣に向けたアドバイスというか、こういうふうにしてほしいみたいなことがありましたら教えてください。
(答)新しい大臣に小舅のようなことを申し上げるのは、新しい大臣の手足を縛ることになるので差し控えるとしても、ただ、当たり前のことですけれども、これまでこども政策というのは隅に追いやられていて、本当に少人数の頑張りでここまで少子化対策とかこども政策をやってきてくれたのだと思います。ですから、やるべきことはたくさんあって、それに対して小さな中でしか動きを取れなかったということは事実なので、やはりこども家庭庁という大きな看板の下で、当然リストはできていますから、これまでやってきたこと、そしてこれまでやれなかったことというのは、もう準備室の方で用意されているので、それにしっかりと費用対効果も考えつつ、いち早く子供の幸せ、子供の権利に結び付くようなメニューの中で、財源をどうするかというと、ここも私はこういうふうにという、まずありきで考えてはいけなくて、やはり今までと違って人への投資です。子供は最大の「人」ですから。そこに投資をするという新しいコンセプトで財源確保にチャレンジしてもらいたいと。私もそのつもりでいましたので、期待しています。
(問)特にこども家庭庁については来年から始まっていくとのことで、このタイミングでの交代については、大臣の中ではやり切ったという思いなのか、それともまだやり残したことがあるとお思いになるのか。なぜ、この時期に交代なのかということについてもお聞かせください。
(答)私は20年、国会議員になってからずっとこのこども専一の役所というのをライフワークにしてきたので、どこかの建物に役所ができるということが大事ではなくて、立法府ですから、その根拠である法律をつくるということが最大のパフォーマンスというか実績だと思っています。そういった意味では、さっき申し上げたように、ぎりぎりセーフでしたけれども、この国会でこども家庭庁設置法案を成立させた責任者としては、私が望んでいたことは果たせたと。今後は、私はもう既に、過去に内閣府にいたときに消費者庁という役所も設置法案を成立させて、生みました。すくすくと育ってくれているので、今後は多くの人たちの手に委ねて、こども家庭庁が真に、子供は元より、子供と一緒にいる私たち大人を幸せにする役所としていろいろな人たちの手が加わることで最大限の力を発揮してもらいたいと思っています。そういう意味では、しっかり働きました。
(問)ちょっと話題は変わるのですけれども、今回の内閣改造で、旧統一教会との関係が指摘された閣僚は多く代わっているとの見方もありますが、大臣も昨日ツイートをされておりますが、改めて旧統一教会との関係について御説明いただければと思います。
(答)私が出したコメントのとおりで、事実上その団体との関係は全くございません。相手の方も、野田さんとは全く関係ないと言っておられます。ですから、それを維持させていくということです。今回は主催でもないということで、非常に分かりづらくて漏れてしまったこと、ですから細心の注意を払って、恐らく二度と失敗しないように、私も秘書も取り組んでいきます。

(以上)