野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年7月15日

(令和4年7月15日(金) 11:01~11:18  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 まず、私の方から2件報告いたします。7月13日、スイスの非営利財団、世界経済フォーラムは、「ジェンダー・ギャップ・レポート2022」を公表しました。今回のレポートにおいて、日本の順位は116位、スコアは0.650であります。特に、経済分野と政治分野においてスコアが低調となっています。先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より下という結果になりました。我が国の現状が諸外国と比べて立ち遅れていると謙虚に受け止めなければなりません。
 先月政府で決定した「女性版骨太の方針2022」においては、「女性の経済的自立」等について、政府全体として今後重点的に取り組むべき事項を定めています。このうち、男女間賃金格差に係る情報の開示は、賃金格差の是正につながる第一歩です。先般、7月8日ですが、女性活躍推進法に基づく省令の改正が施行され、常用労働者301人以上の事業主について男女間賃金格差の開示が義務化されました。開示をきっかけに、各組織において賃金格差の要因を分析して、対応策の検討につなげることを期待しています。
 引き続き、「女性版骨太の方針2022」に基づき、政府一体となって取組を強力に進めてまいります。
 続いて、「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」の令和3年度の相談件数は約5万8,800件となりました。これは前年度を1割以上上回る件数であります。
 性犯罪・性暴力の被害者がためらわずにワンストップ支援センターなどに相談することができるように、政府を挙げて性犯罪・性暴力対策の取組をしっかり進めてまいります。

2.質疑応答

(問)ジェンダーギャップ指数について伺います。先ほど大臣もおっしゃったように、日本は特に政治、経済分野での女性参画が遅れていることが順位を押し下げています。改めて大臣の受け止めと、今後の対策を教えてください。
 また、ジェンダーギャップ指数の公表が始まってから16年間、スコアが0.65前後で横ばいとなっています。この間、男女共同参画が進んできたと評価できるのかどうか、大臣のお考えを教えてください。
(答)まず、繰り返しになりますけれども、今回の結果は我が国の現状が諸外国と比べて立ち遅れているということを示しており、謙虚に受け止める必要があると思います。
 申し上げたとおり、経済分野と政治分野、これに関しては、「女性版骨太の方針2022」、これはカウントされていないので、これから数字が出てくる政策ですけれども、「女性の経済的自立」、「女性の登用目標達成」について、重点的に取り組むと事項として定めています。
 政治分野でありますと、まず、候補者が様々なハラスメントに遭ってためらうというようなアンケートの結果の現状が出てきたのを踏まえて、ハラスメントの研修の様々な教材等々を出して、各地方議会等に促して、各政党も積極的に利用されるようなことを聞いているので、それぞれの議会のハラスメント防止の見える化について、男女共同参画の取組を後押しすることにより、パワーハラスメントが議会の中の先輩・後輩の関係だけでなくて、選挙中の有権者が自分では無意識にやっている行動も受ける側からすると相当のパワハラ、セクハラになっているということも御了解いただいた上で、環境を整備して、女性を出やすくするということで変わっていけばいいなと思います。
 ちなみに、今回、参議院では大変多くの各党の女性議員が誕生していただきました。ただし、このジェンダーギャップ指数に関しては日本の参議院の数は含まれていませんので、そこはちょっと現状、日本の衆・参という二院制の中で参議院の方ではどんどん女性が活躍し始めていることが反映されていないということも冷静に踏まえていただければと思います。
 経済の方は、やはり賃金の格差を是正することを多くの方たちが求められているので、その目安となる開示が相当効果的に効いてくると思います。これだけの人口減少で人材難の中で、やはり企業の方も持続可能な経営をしていくためには、やはりきちっと開示をして、ジェンダー平等だということを伝えることによって、よりよい人材を得られるというふうに視点を変えていく必要があると思っていて、次のデータを期待するところで、そういう取組が皆さんの御協力も頂いて動くことを期待しています。
(問)後段の質問で、16年間ほぼスコアが横ばいであることについての受け止めも、もしありましたらお願いします。
(答)ずっとこの政権が何もしてこなくて、ただただ下がってきたのではなく、前から申し上げているように、諸外国がこぞってこういう女性政策に取り組んできている中で、まだまだもう少しやらなければならない。これまでもやっぱりあえて「女性版骨太の方針」としたのは、「女性政策、男女共同参画、ジェンダー平等は大切だよね」といいながら、それに対する裏付け、予算の裏付けとかが無かったことで進まなかったことも多いので、今回の「女性版骨太の方針」によって具体的に変わってくるであろうと。
 取組はやっていたけれども、やはりそれに見合うだけの財源であったり、割とNPOの方たちの情熱に依存するところもあったことを反省して、しっかりと国が責任を持って女性政策をやっていくということの第一歩だと思っていると。これまでやってきていただいたことがきちっとそれぞれの全国で形になるようにやっていければと思います。
(問)先ほど、女性の政治参画のところで、衆・参の違いに言及されていましたけれども、参議院と比べて衆議院で女性の参画がハードルになっている要因は何でしょうか。
(答)それは、それぞれ候補者の方たちの考え方もあるでしょうし、一概に衆議院が女性は向かない、参議院は女性が向くということではないと思います。
 ただ、比較してみると、やはり6年間きっちり解散がなく、落ち着いて政治活動に臨める環境が参議院とするならば、私たちは常に今日選挙が終わっても、またいつ解散になるか分からないという、そういう意味では政治的不安定の中にいますので、選挙だけを見ると厳しいかなと、その予測が立てられないという中で。
 逆にまた今、参議院は女性が多いので、女性にとってシンパシーというか、親近感を感じる職場なのかもしれません。やはりどうしても衆議院の方では1割を切っているので、男性しかいないというイメージの中で衆議院の候補者になるのが億劫になるのかなと。
 もう一つはやっぱり比例ですかね。全国比例の方は組織で応援されるので、その候補者が女性、男性というそんなに性差がない選挙があるので、女性が当選してくる可能性は高いのかもしれませんね。
(問)選挙がいつあるか分からない、衆議院はそうなのですけれども、出産のタイミングとか育児との両立という意味で、選挙がいつあるか分からないというのはなかなかハードルが高いですよね。
(答)とても高いと思います。私もずっと経験してきましたけれども、私もある程度当選回数を重ねて、遅くに産んだ子だったのですけれども、そうであっても「早く国会に出ていただかないと」とか、「早く選挙区に帰っていただかないと次の選挙は」という声を聞かされて、正直ぞっとしました。
(問)先月、SNSで自分は京都の花街の舞妓だったと名乗る女性が、未成年だった当時にお客さんから飲酒や混浴を強要されたという内容の投稿をしました。これに対して、一部週刊誌とかインターネットメディアでも取材されたり、報道がなされていて、大きな反響を呼んでいます。
 これはこの方だけが体験した問題だったのか、花街全体で行われていることなのか、この報道だけでは分かりませんで、彼女のSNSの投稿だけでは分からない部分があるのですけれども、伝統文化とか、伝統芸能の世界で生きている未成年の方、また、女性の方の人権についてどのようにお考えでいらっしゃいますか。
(答)個々の記事とか、一部メディアが取り上げた個別の事案について、私がお答えすることは差し控えます。
 ただ、一般論として、男女共同参画の中にあって、先ほども申し上げたように、性犯罪、性暴力に当たるような行為があるのであれば、人権侵害であります。絶対あってはならないということですし、飲酒につきましても当然これは全ての方がご存じのように、成年年齢が引き下げになったとはいえ、「二十歳未満の飲酒の禁止に関する法律」がありますので、それに触れるということもあり、青少年の健全育成の観点から許されないものと考えています。
(問)性暴力被害者のワンストップ支援センターの相談件数についてですけれども、前年度から約1.1倍と微増ですけれども、その背景、要因というものをどう考えられているのか、大臣としての受け止めがあれば、よろしくお願いいたします。
(答)まず、ワンストップ支援センターの周知にずっと取り組んできました。結果、相談件数の増加の要因の一つには、その周知が進んできて、何かあれば相談できるという積み重ねの結果であると考えています。
 ただ、前年との比較をしてしまうと、前年は運営時間の短縮とか面談相談の中止というのがコロナ禍で結構ございましたので、そこも踏まえておかないといけないかなと。
 ただ、いずれにしましても、内容もしっかりと被害直後からの相談を受けますし、緊急避妊薬の処方とか証拠採取などの医療的支援、弁護士を紹介するなどの法的支援、相談カウンセリングなどの心理的支援が極めて重要であり、それに必要な交付金等によって、しっかりと進めておりますので、どうぞそういう方はためらいなくアクセスをしていただきたいと思っています。
(問)同じワンストップセンターですけれども、コロナ禍で例えばDVとかが増えているという指摘もありますけれども、今回の増加の背景にはコロナ禍も影響したと考えられるのでしょうか。
(答)これは今回ではなく、やはりそういうDVとか虐待とか、そうした数字が上がってきていることを踏まえると、恐らくコロナ禍によって家庭内で閉鎖的になったり、またはそういう精神的な不安定になって、そういう被害に巻き込まれる方が増えたことはトレンドとして、今、正確にそのデータは持っていないですけれども、あるということは申し上げたと思います。
(問)少し話題が変わってしまいまして、昨日の首相会見で、大臣の同期であります安倍晋三元首相の国葬が発表されました。こちらは政府の決定でありますけれども、当選同期として、大臣、以前会見でも想いをおっしゃっておられましたけれども、何か受け止めがありましたら、教えていただけますでしょうか。
(答)岸田総理が述べられたとおりで、安倍元総理は憲政史上最長の8年8か月、内閣総理大臣の仕事をお務めになられましたし、様々な分野で、とりわけ国際的な評価が高く、多くの外交に取り組まれたことはもう御存じであろうかと思います。
 また、今回の非業の死を遂げられてしまったのですが、まさに民主主義の根幹といわれる選挙の最中の蛮行であったということで、国内外から多くの哀悼、追悼の意が寄せられている現状を踏まえて、国葬儀の形で葬儀を行うこととしたものだと私は承知をいたしました。

(以上)