野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年7月12日

(令和4年7月12日(火) 11:05~11:23  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 まず私の方から3点ほどお話をいたします。
 7月8日、突然の蛮行により、安倍元総理が逝去されました。民主主義の根幹である選挙期間中に起きたこの蛮行は、決して許されるものではありません。断固として非難いたします。何とか一命をとりとめていただきたいと願っておりましたが、その願いが叶わず、残念でなりません。
 安倍元総理は8年8か月にわたり、総理、総裁の重責を担われ、内政・外交に大きな成果を残されました。様々な御功績に敬意を表し、また当選同期、7月18日が初当選の日であります。約30年間苦楽を共にした友人として、心から哀悼の意を捧げ、御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 続いて、地方分権改革の提案募集については、新型コロナウイルス感染症への対応で御多忙の中にもかかわらず、本年も地方から291件の提案をいただきました。特に、本年の「重点募集テーマ」とした「計画策定等」に関しては、地方から68件の提案をいただいたところです。地方の自主性及び自立性を確保するための検討をさらに進めてまいりたいと考えています。
 本件に関しては、今朝の閣僚懇談会において、私から各大臣に対して、地方からの提案をいかにして実現するかという基本姿勢に立ち、地方からの提案を自ら御確認いただき、提案の最大限の実現に向け、強力なリーダーシップを発揮していただくよう要請いたしました。今後、年末の対応方針の取りまとめに向け、関係府省と調整を行っていく予定であり、提案の最大限の実現に向け、努力をしてまいります。
 三つ目は、視察についての御報告があります。地域における意欲ある取組やニーズ等を把握し、地方創生をはじめとした今後の取組に活かすべく、7月14日(木)に兵庫県の淡路市を視察いたします。今回の視察では、淡路島に移住されたひとり親家庭の方々との車座による意見交換をはじめ、地域の魅力を生かした取組について視察する予定です。今回の視察を通じて地域の実情を直接伺うことにより、地方創生をはじめとした各種施策の推進に役立てていきたいと思います。詳細は事務方にお尋ねください。

2.質疑応答

(問)最初にあった安倍元総理のことですが、30年間御一緒だったということで、エピソードというか、事欠かないと思うのですが、何か御紹介できる生前のエピソードがあれば御紹介いただきたいことと、安倍元総理の下で、党幹部や閣僚などを歴任されてきたと思うのですが、改めて、今後遺志を継いでいきたい政治的な課題、政策などありましたらお願いします。
(答)当選同期で、私たちは細川政権の野党の1年生議員の集まりでした。数も少なく、20数名ということなので、懇親を深めようということになりまして、安倍さんのリーダーシップの下、同期会を結成して、月々会費を積み立てて、みんなで当初は会食をしたり、旅行に行ったり様々、今の当選10回の仲間たち、岸田総理ももちろん入っていますが、見聞を広めたことと、あとどうしても与党に戻らなければならないという、当初の状況の中で、先輩議員たちの考え方と新人の私達の政治に向かう情熱というのは、ややもすると違うところがあり、そういうところで盛んに議論したことを記憶しています。
 最近では、共通の趣味が海外ドラマを見ることだったので、直接会ってやりとりをする話ではないので、しょっちゅうメールで、それぞれ私が見たもの、安倍元総理が見たもので興味深かったドラマの情報交換などをしばしばしていました。
 不思議と世間一般ではいろいろ考え方が違うと言われてきたのですが、個人的には趣味嗜好が似ているところもあり、お互いに不思議だねというやりとりをメールでしておりました。
 コロナの感染拡大を受けて、しばらく同期会を開いておりませんでしたので、だんだん数も少なくなってきたけれども、いつがいいかなという問いをしたのが最後になりまして、お返事を聞かれないままお別れをしてしまったことがとても寂しくて残念です。
 安倍元総理の遺志ということでありますが、30年一緒にいた私は、その遺志というのは決して野党にならないことに尽きると思います。
(問)話題が変わって大変恐縮ですけれども、参議院選挙の件でお聞きしたいのですが、今回の参院選では、今おっしゃった安倍元総理が凶弾に倒れられるという異例の事態の中での投開票となりました。その中で与党が大きく議席を伸ばすことになりましたけれども、この選挙結果につきまして、大臣としての分析と御所感等ありましたらお聞かせください。
(答)コロナ禍にあって、世界の中の日本はもちろん有事でありますし、ウクライナ・ロシアのこともあり、またそれに伴う物価高騰や感染の問題も様々、本当に一番、ある意味、近年にない緊張感、危機的な毎日でありますけれども、岸田政権においては、岸田総理の安定した取組、そして野党の皆さんに対しても丁寧に、言葉荒ぶることなく受け止めていく、そういう姿勢が多くの方々に御理解いただいてきた結果であると思います。併せて、まさに安倍元総理が命を懸けて自民党を守らなければならないのだということも今回の勝利につながったとしっかりと受け止めなければならない。反面、今回は野党の方々もかつてのように統一候補をお出しになることなく、一人区では随分大勢の候補者がお出になっているなという感じがございました。そういう数式的なところ、票が分散することによって、私たち自民党は当然一本化していますから、数の上で明らかに有利になれたのではないかと思います。
(問)安倍元総理の事件の関連ですけれども、今回容疑者が特定の宗教団体の名前を挙げて、恨みがあったと、安倍元総理がその団体とつながりがあると思ったと供述しています。京都アニメーションの事件のときもそうだったのですが、自分の殻に閉じこもって、一方的な恨みを募らせた末に犯行に及ぶというケースが後を絶たないように思います。孤独・孤立担当大臣としてお伺いしたいのですけれども、社会の中で孤立している人に対して、犯罪の芽を断ち切るというのを、行政としてどのような対策が考えられるとお考えでしょうか。
(答)この件に関しては、今まさに捜査中なので、皆さんの報道以外知る術がありません。ですから、直接これについて決定的なコメントを申し上げることはできない現状ですが、孤独・孤立対策の担当大臣として、様々な世界の、また日本の状況を学ばせていただく中で、私たちも就職氷河期というのがございましたし、やはりコロナ禍から、生活困窮や家族との離散など、様々な理由で孤独・孤立という環境を意識している人もいるし、無意識の人もいるし、そういう方が増えていることは深刻に受け止めています。
 その方たちに何か差し伸べる手があれば解決し得ることも、これまでは孤独や孤立というのは弱いことだから自分でどうにかしなければいけないという風潮がありましたので、それを打破するべく、国としても心、又は経済的に、また身体の困りごとがあったらしっかり国が手を届けようということで孤独・孤立対策が始まって、まだそれほど日数はたっておりませんが、この度も「#9999」の番号も、試行的でありますけれども、その先にはその声を聞き、寄り添える人たちが待っているので、自分がそういうふうに感じたときにはためらいなくそういうところに声を届けてほしいなというのが私の心からの願いです。
(問)話題が変わって恐縮ですけれども、本日、「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針」に関する有識者懇談会が始まり、大臣も出席されますが、改めてこの議論で期待することと、アウトプットはどのような形になるのか、あと出来上がる時期も含めて教えてください。
(答)こども家庭庁というのは、今までの私たちのこども政策、固定化されているものを壊す組織であります。周産期から子供と見なして、実際に直接にその胎児である子供には構えない人もそれを守っている女性を守るというところからこども家庭庁がスタートしてく中で、次は幼児期になります。幼児期も、もう既に幼稚園か保育園かという時代は終わっているにもかかわらずこういう議論がまだ固定化されている。今、人数も増えていく中で、認定こども園が非常に高い評価を得ているわけです。ですから、まずそういうこれまでの思い込みを打破してもらうこと。
 かつ、もっと深刻なのは、そこにも、義務教育ではないので、未就園の子供達が存在するということ。その子たちが統計的には虐待とか様々な事件の被害者になりやすいことは明らかです。ですから、全ての子供達が幼児期に日本の大人達に支えられるという構図をつくっていかなくてはならない。
 これまでは子供というのは、いる子を対象にした施策ばかりだったので、保育園、幼稚園、認定こども園、いる子に対してのコミットメントはあったけれども、行かない子に対しては全くないとか、基本的には健常児を対象にしていたこども政策だったので、障害を抱える子供はそもそも行けないとか、そういう先入観の中で取り残された問題がたくさんあります。そういうことを、全く白地の中で新しいこども政策のスタートを切ってほしいと願っています。
(問)取りまとめの時期についてはどうでしょうか。
(答)まだ決めていません。未定です。熱心なそれぞれの意見表明が欲しいし、熱心な議論が欲しいし、それぞれが知らないことがたくさんあると思います。そういう情報共有をしっかりしていただければと願っています。
(問)安倍元総理の話題に戻るのですけれども、岸田首相がおっしゃっていた、国葬なども検討していきたいというお話があったと思うのですけれども、戦後、吉田茂さんが最後となっておりまして、安倍元総理に対する国葬ということを大臣としては検討についてどうお考えなのか、このあたり御所見伺ってもよろしいでしょうか。
(答)岸田総理がいろいろお考えになることなので、総理にお任せします。
(問)安倍元総理の死去に関連して、長く総理を務められた方が現役の国会議員でいらっしゃる間にこのような形で亡くなったことについて、国民全体もかなりショックを受けている状態だと思います。孤独・孤立の担当大臣でいらっしゃって、先ほどそういうお話もありましけれども、孤独・孤立は直接関係ないかもしれないですけれども、一閣僚として、国民にメッセージ等あればお願いします。
(答)安倍元総理の事件というよりも、先ほど申し上げたように、独りで苦しんでおられる方がたくさんいらっしゃるのです。試行的にスタートさせた「#9999」にも既に多数お問い合わせをいただきました。そして、まだ数字がきちっと出ていませんけれども、口頭では、全体で3割近く、とりわけ自殺に関してはやりとりができたと報告がございました。同様に、どうしていいか分からない方、なぜ自分がこんな気持ちなのか分からない方も是非、積極的にそこへアクセスしてもらいたいと心から願っています。

(以上)