野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年4月26日

(令和4年4月26日(火) 10:10~10:27  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 本日、私の方から報告が2件ございます。初めに、本日、総理官邸で「男女共同参画会議」を開催しました。会議では二つの議題について議論を行いました。
 一つ目の議題は「女性デジタル人材育成プラン」についてです。コロナ禍における女性の就労支援、女性の経済的自立、デジタル分野におけるジェンダーギャップの解消を柱として、就労に直結するスキルを身に付けた女性デジタル人材の育成を加速化するため、関係大臣と連携して総合的な対策を取りまとめ、本日の会議で決定いたしました。
 本プランのポイントは三つあります。第一に、基礎的なリテラシー獲得の支援など、間口を広く取り女性の参入を促進します。第二に、育児等で時間的制約がある場合も、柔軟な働き方で就労ができる環境を整備します。第三に、自治体や企業に周知・啓発を行い、全国各地域へ官民連携の取組を横展開します。
 本プランに基づき、官民連携で3年間集中して女性デジタル人材育成に取り組むとともに、本プラン策定3年後をめどに、プランの効果を検証し、施策の在り方について必要な見直しを行います。
 二つ目の議題は、「女性版骨太の方針」の策定に向けた検討です。昨年11月に決定した4つの柱立てに基づいて、有識者の皆様から忌憚の無い御意見をいただきました。
 例えば、半数以上が非正規雇用労働者を占める女性の経済的自立を進めるため、「女性活躍推進法」のスキームを活用して、男女間賃金格差の解消に取り組んでほしい。このことは、高齢社会、高齢女性の貧困への対応という観点でも重要である。男性の地域・家庭生活への参画拡大は、女性活躍の土台作り、長時間労働の是正や男性の育休取得促進等をより進めてほしい。さらに、AV出演被害について、身近な問題になっている。SNSを通じた被害もあり、他人事ではない。ワンストップ支援センターの相談体制や教育など、総合的に進めてほしい。
 有識者の皆様からの御意見を踏まえて、5月、6月を目途として、「女性版骨太の方針」の策定に向けて、各大臣と連携して、具体的に対策の検討を進めてまいります。
 次に、本日の閣議におきまして、「都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域を定める政令の一部を改正する政令」が決定されました。この政令では、都市再生の拠点として、緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき「都市再生緊急整備地域」について、神戸市の区域を拡大しています。国の活力の源泉である都市の魅力と、国際競争力を高めるため、都市計画や税制上の特例の適用等を通じて、今後も関係自治体と協力して、質の高い都市再生を推進してまいります。

2.質疑応答

(問)今日の「女性デジタル人材育成プラン」ですけれども、3年間の集中期間の中で、何か目標や目指すところがありましたら教えてください。
(答)本プランは、就労に直結するデジタルスキルを身に付けた女性、デジタル人材育成の加速化のために、デジタル分野への間口を広く取り、3年間集中で女性デジタル人材の裾野を全国津々浦々に広げていくことを目的としています。
 この3年間でというよりは、様々な統計を用いて、デジタル人材の男女割合をマクロの視点から点検するとともに、本プランの主要施策について、男女役割や人数を実績として把握した上で、3年後のプランの効果を検証し、施策の在り方について必要な見直しをするということにしています。
 いずれにしても、アナログからデジタルへ、特に岸田政権になってから後押しが、デジタル田園都市構想で、基本的にはやはりデジタルが前提になってくる中、人数とかそういうことは設定するまでもなく、どんどん必要だということが前提になってくると思います。
(問)おっしゃった中で、デジタル人材育成プランの基礎的リテラシーの獲得支援とあるのですが、具体的に、どういうことが今不足しているからそういった知見がなくて、では、どういったことをして支援をしていこうという、具体的なことがあれば教えてください。
(答)そもそもリテラシーについてもしっかり承知していない方も多く、例えば、PCを使う場合は皆さんキーボードを使っていますよね。仕事柄毎日使っているとブラインドタッチも普通にできるようになるけれども、そこもまだできない。学校教育でやっぱりそこまで教えていないということで、スピードが要求される場合、そこから始めていかないと仕事ができないというところから、プログラミングも基本的にアルファベットになっていますから、そういうところも、分かっている人は分かっているのですけれども、ほぼほぼ出来上がったアプリケーションを使っている人からすると、その一つ手前のプログラミングも実はほとんど学んでいない。
 そういうところも、今後間口を広げてというのは、そういう非常に基礎的なタッチの勉強から、英語、ワードの勉強から、それでとにかくデジタルの人材を、もうほとんどなきに等しいところがあって、非常に特化した人、ずっとITをやってきた人という限られた中でのIT利活用だから日本は裾野が広がっていかないので、そうでない、普通に暮らしている人がそこと出会うことが、私は間口を広げるという意味で、特に消費活動の活発な女性がデジタルの技術と融合することで、やっぱり新しいマーケットとかそういうものを創り出していけるのではないかと。非常に難しく考えないで、とにかくまずは使いこなすと。いろいろ使いこなせる自信を持つこと、そしてそこから自分たちの、女性としての知見が乗せ上げられるような、そんなスムーズな展開を私自身は狙っています。
 まだまだやっぱり、ややもするとIT業界の難しい言葉を知っている人だけの世界というイメージがあるけれども、そうではない。本当に普通に暮らしている人がセキュリティーに対峙すること、例えば普通に家に住んでいれば鍵をかけるということがセキュリティーですが、デジタル機器だと暗号であったりいろいろな鍵であったり、そういうものも当たり前に使うことができるような、これは多分繰り返し作業だと思うのですが、そういう学びでリテラシーを得ていただいて、自信を持って、デジタルだからできないのではなくて、自分の家に鍵をかけるのと同じような所作をデジタル機器の中で出来るような女性人材をつくることで、そしてその上に、自分たちの女性として生きてきた中で、これがあるといいなとかこれは不便だなというところを出していけるマーケットをつくっていくという感じです。
 特殊な人をつくりたいのではなくて、普通にやりとりしていることがデジタルの上でもスムーズに出来るようなことが、本来のデジタル、デジタルと付けること自体あれなのですけれども、展開というのかな、こちらからこちらへ移していくという作業を私たちは応援していきたいと思っています。
(問)そうした学びというのをしてもらう上では、どうしても場所の設定が必要になりますけれども、それは職業技能訓練だとか、社会人の学び直しにリカレント教育だとか、そういった場を使っていくようなことになるのか、そのあたりはどうですか。
(答)場といっても、手持ちのスマホの中で幾らでも学びは可能になっているので、当然リカレントで、まずはやっぱりデジタルという言葉への恐れというか、距離を縮めてあげることだと思います。それで、今申し上げたようなこと、反復練習をしたりすることで、要は自分の苦手意識というのを、これは男女問わずですけれども、なくしていくことで、髪を切るのがはさみであるように、やっぱり様々な仕事の手段がデジタル化されたものであるという、そういう意識付けができることもリテラシーの第一歩だと。
 まだまだやっぱりそういう意識が持てずに、とりあえず使ってみるだけで、それで何かプラスになるというところまでは、それが仕事として収入を得られるものであるというところまでいっていない方が多いので、そこへ導いていけるように取り組めたらいいなと思います。
(問)話題が変わりまして、少子化対策についてお聞きします。来週こどもの日を迎えますが、野田大臣が考える少子化の原因と、併せて来年設置予定であるこども家庭庁における少子化対策についてお聞かせください。
(答)私は国会で30年、ずっとこれを取り組んでいるのですけれども、やはり、少子化というのがこの国にとって大きな問題ではないという空気があったと思います。もっと踏み込めば、子供が生まれないのは、男女でいうと女性の方に何かあって、それを手当てすればいいだろうという、分断されている、女性の問題だと矮小化されてきたと思うのです。
 あとは、高度経済成長のときに少子化が始まっているのですが、当時の有識者は誰もが、そのデータを見れば経済の成長と子供の数は関係ないという結論を付けられたと思うので、それ以降、政治の、または行政の、または様々なメインストリーム、主流にこども政策というのは乗ることができなかった。そこが始まってもう3、40年たっている。そこをスルーしてきたことが一番大きな問題だと思っています。
 あとはやっぱり、その間にデジタル化されたり、いろいろと国際社会のスタンダードの中で生きていく中で、考え方も、そして仕事のやり方が、例えば電話の仕方一つにしても、ダイヤルからほとんど今は電話を使わなくなったりと。そういうものを通じて、人間の生き方がすごく変わってきているのに、それに着目してこなかった。
 例えば、数十年前の世帯の平均というのは親と子供2人みたいなのがスタンダードだったけれども、今の国勢調査での第1位は独り世帯ですから。そういう、やっぱり変わったということについて、どんどん変わってきたのですが、それについて非常に目に見えないことで、それでプライベートなことということで逃げてきたところがあるのではないかなと。
 もはや見過ごせない、危険な人口減少に入ってきているので、しっかりとここは踏ん張って、V字回復に向けてスタートに立っているのではないかと。やっぱり子供というのが新たな国の指標なのだ、数とか、そしてまた、彼らの多様性が次の日本の指標なのだということを、やっぱり全世代、全ての人が共通認識を持っていただいて。
 一番の問題は、望んでいる人がいるのに叶えられないというのは政治的に非常に問題で、そこを叶えられるようにするには、実際の制度と今のライフスタイルの社会のギャップをやっぱり埋めていくこと。そこを具体的にやっていく場所がなかったと思います。気持ちだけで「こども政策やらなくてはね」「そうね」で終わってきたので、それを実際に賛否があっても進めていくというので、こども家庭庁が大きな受け皿になっていくと信じています。
(問)こども家庭庁の関連ですけれども、先日の国会審議を見ていると、民間などの外部人材の登用を積極的に進めたい考えなのかなと思ったのですけれども、こども政策を進める上で、民間も含めた外部の人たちに期待することがあればお願いします。あと、現状でどのぐらいの規模感を想定しているのかもお願いします。
(答)発想としては、先ほどの話の続きで、子育てをほぼ100%に近くその親に依存していたというか、国の宝と言いながら、やはり基本親ということ。親は例えば民間人であるかもしれないし、ひょっとしたら公務員かもしれないし。だからそのあたりはあまり民間とか公とか、そういうレッテルで何かではなくて、やっぱりみんなでやるということがまず大事だと思います。
 民間なのかそうでないかというのは後からくっついてくるもので、親にだけ担わせていた子供を育てていくという大変な仕事ですよね、日本の国を明るくする仕事ですよね。これをやっぱりみんなで、それぞれ専門性を持った人が、それは肩書きは公なのかもしれない、民なのかもしれない、そんなことは構わないですね。とにかくかつての地域社会がやってきたことが今ないのですよ。消滅している中で、やはり1日も早く、手を差し出せるような体制をつくるということなので、そういう分けて何かということは考えない、みんなでやるということが大前提だと思います。
 あなたが民であるか民でないかということではなくて、あなたが子供に対しでどうであるか、何ができるかというところを問われているのだと私は思っているので、そのような感じで取り組んでいきたいです。

(以上)