野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年4月15日

(令和4年4月15日(金) 10:30~10:50  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは、本日、国家戦略特別区域諮問会議の内閣総理大臣が任命する民間有識者について任命が行われました。国家戦略特区諮問会議は内閣総理大臣を議長とし、関係大臣と内閣総理大臣の任命する有識者を議員として組織し、特区の重要事項について調査審議を行う会議です。
 本日、内閣総理大臣が任命する有識者として、5名の方々に対して岸田総理から辞令交付を行ったところです。ここで皆様方を御紹介したいと思います。
 あいうえお順になると思うのですけれども、垣内俊哉氏は株式会社ミライロの創業者・経営者であり、障害者や高齢者を含め、多様な人々の特性・視点を生かした事業を実施されるなど、特に「「多様性と共生」等、地域課題の解決に資する規制改革の推進」という国家戦略特区の新たな展開において、その経験や知見は特区諮問会議の有識者議員としてふさわしいと認識しています。
 次に、越塚登氏はデジタル分野で多くの業績をお持ちの専門家であり、特にデータ連携に関して深い知見をお持ちであり、地方創生推進事務局にて行った「スーパーシティ/スマートシティにおけるデータ連携等に関する検討会」では座長を務めていただきました。その経験や知見から、特区諮問会議の有識者議員としてふさわしい方と認識しています。
 菅原晶子氏は経済同友会の常務理事であり、規制改革推進会議の委員を務められるなど、以前より政府における規制改革の議論に関わっていただいています。令和3年からは「国家戦略特区ワーキンググループ」の委員として国家戦略特区における規制改革の推進にも取り組んでいただいています。その経験や知見から、特区諮問会議の有識者議員としてふさわしい方と認識しています。
 中川雅之氏は都市経済学、公共経済学の専門家であるとともに、その御知見を基に平成29年より「国家戦略特区ワーキンググループ」の委員として国家戦略特区における規制改革の推進に多大な貢献をいただいています。その経験や知見から、特区諮問会議の有識者議員としてふさわしい方と認識しています。
 南場智子氏は株式会社ディー・エヌ・エーの創業者、経営者であり、創業から企業の飛躍的な成長まで達成された業績をお持ちであるとともに、経団連の副会長を務めておられます。また、成長戦略会議や規制改革会議の委員として、我が国経済の成長や規制改革の議論に参加された御経験もお持ちです。その経験や知見から、特区諮問会議の有識者議員としてふさわしい方と認識しています。
 ということで、新たな体制では「人」への投資、地方活性化、多様性と包摂生、start-up、デジタル田園都市国家構想など、地域課題の解決に資する規制改革に重点を置いた展開を図っていきたいと考えています。
 今、御紹介申し上げたように、その展開にふさわしい人選と女性の積極登用を行うとともに、様々な経験者、議論に詳しい方の登用をさせていただくことにいたしました。これまでの国家戦略特区の成果をしっかり引き継ぎつつ、規制改革にスピード感を持って取り組んでまいりたいと思います。早速、有識者議員の皆さんと顔合わせを兼ねまして、今後の国家戦略特区に関して意見交換会を行いました。今後も積極的な議論を行ってまいります。
 これまで国家戦略特区においては、秋山咲恵氏、坂根正弘氏、坂村健氏、竹中平蔵氏、八田達夫氏の5名の方に有識者を務めていただいておりました。長年にわたる御貢献に心から感謝を申し上げたいと思います。

2.質疑応答

(問)冒頭の件に関しまして、特区諮問会議の有識者議員を選ぶに当たって、多様性やデジタルというキーワードがありましたけれども、改めてどのような議論を期待されるかということと、今の意見交換会でどのような話が出たか、少し紹介してもらえますでしょうか。
(答)繰り返しになりますけれども、岸田政権が重視している「人」への投資、そして地方活性化、多様性と包摂生、start-up、デジタル田園都市国家構想、これらを推進するエンジンとして新たな展開というのを行っていきたいと思っています。
 具体的には地方により焦点を当てて、子育て・女性活躍、健康・介護・障害者、人口減少に伴う医療・交通問題等の分野をはじめとする「多様性と共生」等、地域課題の解決に資する規制改革の推進、これに取り組んでいきたいと思っています。
(問)意見交換では。
(答)とても前向きな明るい意見交換ができたと思います。それぞれの分野でいろいろ究めている方が多いので、例えば垣内さんだと、車椅子の人生の中で、やはりデジタルが進んでも障害者が取り残されている事例とか、あとは例えば様々な公共インフラが今抱えている高齢者の介護の問題に資するということも、例えば電力はできるけれども、ガス、水道はとか、そういう非常に生活者にとって利益、利便を得られるような規制改革というのはまだまだたくさんあるのだということを、それぞれの専門性を基にお話しいただきました。
 南場さんからはやはりスタートアップ。日本は格差が大きくなったというよりも全体的に沈んできていると。諸外国は新しいものが古きものを乗り越えていく、そして新しい経済をつくっていくという流れがあるけれども、日本の場合はやはりそれが他国と比べて非常に劣っていると。それはやはりスタートアップについて、しっかり取り組むことが大事なのではないか。若い人たちへ勇気と夢を与えられるような規制改革、そのスタートアップができない様々な規制を取り除いていきたいというような話。
 菅原さんもやはり人材に関して、様々な資格があると。資格が逆に縦割りになっていて、しなやかな福祉とか学びの場をつくりづらくなっているのではないかという、そういう御指摘。
 中川さんは、やはりストーリーを作っていこうと。国家戦略特区のストーリーを作っていこうということで、私にもどんなことを考えているのかとお尋ねがあったので、私は国家というものをアクティベートさせる、活性化させるのは人なのだと。国家という言葉にばかり行ってしまうと、人がないがしろになってしまうので、これからの国家戦略は人がやはり幸せになれることが、国家にとっての最大の戦略になるという意識の中で、同じ意識で形を出していきたいと申し上げました。
(問)こども政策担当であったり、孤独・孤立担当大臣の関連でお伺いします。昨日、自民党と公明党がともに政府が取りまとめる経済政策の内容について提言を行いました。この中に、自民党の提言には、物価高による生活困窮者に対する支援金などを経済対策に盛り込むべきとの提言がありましたけれども、ひとり親世帯の支援なども大臣は考えられている、これまで考えてこられたと思いますが、今後こうした改革が必要との提言が示された受け止めと、その必要性についてお考えをお願いします。
(答)各党、しっかり議論いただいて、この短い期間で提言をまとめていただいたことに感謝を申し上げますし、今御指摘のように、私たちが取り組んでいる、政治はやはり弱者のためにあるという原理原則に資する施策内容がきちっと入っていることについて、評価を、感謝したいと思っています。それがしっかり形として皆さんに届けられるように、私のできる限り力を尽くしていければと思っています。
(問)今の質問に関連してなのですけれども、提言には地方創生交付金を活用した支援の強化ということもありまして、現状はどのような方策があると考えていらっしゃいますか。
(答)今、実は検討中の最中で、具体的にここでまだこれこれと言うことはできないのですけれども、やはり地方創生にしても、実際にこれまで取り組んできて、費用対効果が非常によく人々に評価されたものとかをしっかり捉まえていきたいなと思っていますし、来週までにはしっかりと具体のメニューをお出しできると思います。
(問)話題が戻って恐縮ですけれども、今朝の特区諮問会議の意見交換についてなのですけれども、兵庫県養父市の企業による農地取得の特例について話題になりましたでしょうか。
(答)なりません。今日初めての顔合わせだったので、そういう具体的な仕事についてのやりとりはしていません。今日、辞令を総理がお渡しになって、初合わせだったので、初会合だったので、やはり皆さんの思いを聞かせていただきました。
(問)兵庫県養父市の特例について大臣がどのようにお考えか、御所感を伺えますでしょうか。
(答)私はこの任を頂いたのが10月でしたので、もう既にいろいろ取組が進んでいる最中であって、まずやはり調査をするということがペンディングになっていたことについて、いろいろ御指摘がありましたので、年度内に調査を実施するということについて、全力で各方面の皆さんと遅れを取り戻すべくして、ぎりぎりセーフ、一般の方、法人の方、農家の方、全ての方を対象のパブコメのスタートを切れたところだと思っています。
 秋ぐらいには、その調査結果をまとめますので、そこからアクションが出てくると思っています。近々、市町にも実際にお目にかかることになっていますし、今現在はそういうフォローアップの最中と受け止めていただければいいと思います。
(問)先週行われた「人生100年時代の結婚と家族に関する研究会」、これに民間の構成員の方が提出した資料がインターネット上で、ルッキズムを助長するとか人権侵害とかいう内容で一部から批判されていますが、その受け止めと、この研究会の意義を改めてお伺いできますでしょうか。
(答)今、お話があった「人生100年時代の結婚と家族に関する研究会」、ここで人生100年時代を迎え、我が国の結婚と家族にどのような変化が生じているか、データを用いて多面的に明らかにするとともに、それに伴う課題を整理するため、各それぞれ有識者に参画いただいて、開催をしています。
 今、御指摘のお話は、資料は小林盾・成蹊大学教授がプレゼンテーションされたものですが、これまでの御自身の研究内容を発表されたものです。小林教授が研究者としての個人的な見解とか提案を述べたものであり、これは政府の公式見解ではありません。この国は、御発言は自由であるべきだと思います。
 そこで御指摘があったのは、これは少子化対策ですけれども、これはもう何度も申し上げているように、少子化による人口減少が今、国の様々なところでの問題を発生させているというのは、もうほぼ共通認識ができていると思うのですが、これからこの少子化対策、どう克服していくかと。どんどん生まれてこなくなっていることに対して、どうやはりそれを止めて、また過去のように増やしていくことができるかということが岸田政権の中で大変大きな、「こどもまんなか」という意味で大きな政策になっています。
 この国の場合は他国とやはり違うのは、子供がこの国に出生する大前提に結婚という制度があるのです。他国はやはり未婚、要するに結婚制度に伴わなくて生まれてくる子供が過半の所もあります。ですから、日本の場合は日本の特徴として、まず結婚が大前提になってしまっている。これがなかなか進まない。その進まない理由を掘り下げていくと、結婚に至るその結び付きが今非常に難しくなっていると。その結び付きの実は87.9%が恋愛なのだそうです。かつてはお見合いというのは結構多かったのですけれども、今はそういうことがなかなか日々なくて、恋愛によって結婚相手を決めていくというプロセスの中で、割合の在り方については、思い以外で、やっぱり非常に若い人たち、若い人でなくてもいいのですけれども、恋愛ができる環境というのを、どう皆さんが望んでいるのかなということをリサーチすることは、ひいてはプロセスの中でのスタートラインなのだなということは御理解いただければと思います。
 そういう把握をすることで、多様な角度からやっていただいたものだと受け止めています。でも、釘を刺すならば、恋愛、結婚というのはあくまでも個人の自由な意思決定でありますから、それがプレッシャーになる、そういう発表されたものがそれぞれの個人の決定に特定の価値観を押し付けたり、プレッシャーを与えてしまってはいけないということは御理解いただきたいと思っています。
 今後、報告書を取りまとめていく際には、そういう読んでくださる方、受け止める方に誤解がないように十分留意をしていただきたいと思います。
(問)特区諮問会議の件に戻るのですけれども、人選で前任は女性が1人、男性が4人で、健常者だったと思います。今回、車椅子の垣内さんが入られたり、あるいは女性の比率が上がったかと思いますが、この人選に対して野田大臣が意識的に助言されたりとかということはあったのでしょうか。
(答)そうですね。やはり私は男女共同参画担当大臣をしていて、3割という、皆さんにお願いしていますし、私は預かる会議の中で男女比というのは当然、本当は、5人だから半々というのはなかなか。でも、それはしっかり基本線として守りたいということと、あとはやはり垣内さんに入っていただいたのは、私が30年国会議員をやっていて感ずるのは、そのときに障害者の議題があれば、皆さん、熱心に1時間障害者についての議論をしてくださるけれども、平時の何もテーマが与えられていないときには、ほとんど出てこないです。ですから、常にやはりそういう、厳選された会議の中にはいていただいて、多様の存在として意識できるように、常に全ての人が意識できるように発信してもらいたいという思いはございました。
 あとはやはり先のことを決めていくので、比較的若い方にやっぱり、ややもすると、こういう会議というのは経験者とかベテランというのを望まれるけれども、やっぱり戦略というのは先へ先へで、今日も話題になったのはメタバースの話で、まだ私たちにとってはなじみのないメタバースだって、もうメタは相当メタバースで収益を上げているという現実もあり、そういうところにチャレンジできる人たちがやっぱり集まっていただくといいなという思いはございましたので、私からすると素晴らしい、まさにスタートアップな会議の人選ではなかろうかと思います。

(以上)