野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年4月12日

(令和4年4月12日(火) 9:36~10:04  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 まず初めに、御承知のとおり、私は去る4月1日(金)に新型コロナウイルス感染症に感染していることが明らかになりました。昨日まで保健所による指導に従い、自宅療養をしておりましたが、本日から公務に復帰することが可能となりました。皆様には大変御心配をおかけいたしました。
 療養期間中は様々な方、ここにいる方たちの中からも温かい励ましのお言葉をいただき、おかげさまで私も家族全員陽性となってしまったのですが、力を合わせて頑張って療養させていただき、体調は2日ほどで快方に向かいました。以降は体調には全く変化なく、異常なく過ごすことができました。本日ここから、法案審議が続いていく見込みですので、体調にしっかり注意しながら務めてまいりたいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、先週4月8日(金)に孤独・孤立の実態把握に関する全国調査の結果を公表いたしました。この調査の結果、孤独感がある人の年齢層や性別などのほか、現在の孤独感に至る前に経験した出来事、社会的孤立の状態などの全体的な傾向、これが政府統計として初めて明らかになったところです。
 調査結果によれば、孤独感に関する質問に対して、孤独感が「しばしば・常にある」との回答が4.5%、「時々ある」が14.5%、「たまにある」が17.4%。一方で孤独感が「ほとんどない」という方は38.9%、「決してない」が23.7%でありました。また、未回答は0.9%です。この結果について、「孤独感がある人は約4割」という解釈もあると思いますが、「孤独・孤立の実態把握に関する研究会」においては、「しばしば・常に」「時々」などをまとめて扱うことの適否や、逆に孤独感がないと答えた約6割の人をどう考えるかなどの議論もあり、孤独感の解釈については慎重であるべきという結論に至ったと聞いています。
 一方で、見方によっては、孤独感が「決してない」というのは約2割であり、残りの約8割の人には、程度の差はあるものの孤独感があるとも考えられ、改めて孤独は誰にでも起こり得るということを実感したところです。
 また、孤立の状況に関する質問に対して、同居していない家族や友人たちと直接会って話すことが全くない、そういう人の割合が11.2%、月1回未満の人の割合が15.2%でありまして、これらの人では孤独感が「しばしばある・常にある」という割合も高いことが明らかになりました。
 今回の調査結果を踏まえて必要な対策を検討し、孤独・孤立に悩んでいる方に必要な支援が行き届くよう、しっかり取り組んでいきたいと考えています。詳しいことは事務方にお尋ねください。
 続きまして、既に先週金曜日に御案内いたしましたが、孤独・孤立対策キャンペーンの一環として、4月21日(木)午後7時からYouTubeにて「ひとりじゃないカフェ」の第2回のライブ配信を行います。是非皆様に視聴していただきたいと思います。
 今回は、文部科学省及び防衛省との共同のキャンペーン企画として「誰にでもある孤独(アスリート編)」と題して、ゲストには、スポーツ庁長官の室伏広治さん、自衛隊体育学校所属で東京オリンピック日本代表の濵田尚里さん、そして乙黒圭祐さんをお迎えしていろいろなお話をお聞きしたいと思います。お手元の配付資料に番組のURLやQRコードを掲載しておりますので、1人でも多くの方に見ていただけるよう、報道各社の皆様の御協力をお願いいたします。
 また、一般の方から、孤独にまつわる体験談やゲストへの質問等を募集し、番組で紹介する予定です。募集は既に内閣官房のWebサイトで行っているところです。引き続き皆様からたくさんの投稿をお待ちしています。これも詳細については事務方にお尋ねください。
 続いて、この度、政治分野におけるハラスメントの防止のための研修教材を作成いたしましたので、今日公表いたします。
 政治分野における男女共同参画の推進は、政治に的確に民意を反映させる観点から極めて重要であります。令和2年度に内閣府で実施した調査では、議員活動等においてハラスメントを受けたと回答した地方議員の割合は全体の42.3%、特に女性では57.6%もあり、政治分野における男女共同参画を進める上で、ハラスメントの防止は喫緊の課題と言えます。
 また、昨年6月に「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が議員立法により改正されました。そこでは、内閣府を含む関係行政機関が、適切な役割分担の下でそれぞれ積極的に取り組む、そのことのほか、セクハラ・マタハラ等への発生の防止に資する研修の実施等に関する規定が追加されました。
 これを受けて、この度、政府における初の取組として、各議会等において研修に活用できる動画の教材を作成しました。内閣府において、昨年秋に地方議員を対象に実際のハラスメント事例を収集し、その際に寄せられた1,324例を基に作成しています。本教材では、単にハラスメント行為のみを示すのではなく、ストーリー仕立てにして、ハラスメントが発生する動機とか人間関係の背景についてもしっかり描いた上で問題点を解説するという工夫をしたところです。
 この会見終了後、10時から、新たに開設する男女共同参画局のYouTubeチャンネル、ここで公開いたしますので、是非御覧ください。今後、各議会等に対して本教材についての情報提供をしっかりしてまいりたいと考えています。詳細は男女共同参画局に聞いてください。
 最後に、本日の閣議において、「国家戦略特別区域を定める政令の一部を改正する政令」を決定いたしました。この政令は、先月の国家戦略特区諮問会議における審議を経て、スーパーシティ型国家戦略特区として、茨城県つくば市と大阪府大阪市の区域、そしてデジタル田園健康特区として岡山県吉備中央町、長野県茅野市、石川県加賀市の区域を新たに指定するものです。
 スーパーシティ、デジタル田園健康特区共に、デジタルを通じて、地域の個性を活かしながら地方を活性化し、持続可能な経済社会を実現するという、岸田内閣が進めるデジタル田園都市国家構想を先導することが期待できます。今後は、これらの特区において規制改革を推進して、データ連携や先端的なサービスの実施を通じて地域課題の解決を実現していくことで、デジタル田園都市国家構想の実現につなげてまいります。

2.質疑応答

(問)冒頭の御発言にもありましたけれども、今回コロナに感染された受け止めと、こども家庭庁設置法案の審議など、公務への影響や今後の対応について教えてください。
(答)私自身は、子供がもともと先天性の心疾患を持っているということで、当初から、一番最初に、まだまだあまり多くの方たちがコロナについて御関心がないときからずっと自分なりに息子を守るために、オーバーなぐらい取り組んできて、ずっとやってきたつもりだったのですが、そういうことであっても今感染してしまったということで。これは本当にいつどこでも起きることという冷静な受け止めを多くの方々にしていただいて、そこで、よりリスクを下げるための予防接種であったり。今回私たち家族は、夫も私も接種3回しています。息子は11歳ですけれども、子供の接種を1回したところでした。ですから、また逆に、症状については、これは個人差もあると思いますけれども、大事に至らずに来たのではないかという、そういうドクターの見立てもございました。
 目に見えない厳しい戦いの中ですけれども、自らできることを全力を尽くして、そしてまた感染した際には、悲観的にならず、しっかりと治療に専念して、とりわけ、我が家は家族クラスターだったので、私も病人でありながら看病しなければいけないという、また家族が一歩も外に出ることができないという大変厳しい環境でしたけれども、それを悲しみと捉えずに、みんなで治していこうと、とにかく家族で頑張ろうというような空気をどうにかつくってこられたことが今回のいい学びだったと思います。
 皆様方にも、絶対はないので、でもしっかりと取り組むべきことは取り組んでいただければと思います。私自身もずっと治療、そして療養の中で、様々な厳しい経験の中で見えてくるものもありました。それは単に体のことだけではなくて心のこともありましたし、また家族の在り方についてもありました。そういうことにならないのが一番いいけれども、感染しても誰かがしっかり支えてくれているから前に進んでいけるようにいっていただきたいなと思っています。
 幸いなことに、私にはすばらしい副大臣、政務官がいてくれて、私の不在、しっかりと私以上に活躍していただいたことが大変うれしかったし、役所自体も、大臣がいなくても、だからこそ頑張るということで、皆さんから熱い思いを受け止めさせていただいたことが今日の私の最初の笑顔につながっていると思います。
 今後は法案が幾つか、こども家庭庁の法案もあります。少しスタートが遅くなりましたが、その分しっかりと取り組んでいきたいと思うところであります。
(問)スーパーシティとデジタル田園健康特区なのですけれども、今回大阪市とつくば市がスーパーシティに選ばれたことに関する受け止めといいますか、今後期待することと、基本構想の策定に向けた今後のスケジュールについて教えてください。
(答)今後それぞれの特区については区域方針が策定、その上で内閣府や地方公共団体等が構成員となった区域会議を立ち上げます。さらに具体的な事業を定める区域計画を作成していくことになります。
 これらの特区においては、規制改革を推進して、データの連携とか先端的なサービスの実施、これらを通じて地域課題の解決を実現していくことで、デジタル田園都市国家構想の実現、目に見える形で進んでいくことを期待しているところです。
 つくば市、大阪市区域ですね。厳しい、1回皆さん持ち帰りがあって、そしてさらにブラッシュアップして出していただいたものです。まだまだ道半ばのものもありますけれども、そういう課題をしっかりと解決して、先進的な地域を見せていただくことで、地方創生の明るいシンボルとして、今はまだ紙の上での意識が強いのですけれども、見える形で、そこに住む人たちが「良かったね」と、「便利だね」と言えるようになってくるようなことまでスピーディに進めていけるように頑張ってまいりたいと思います。
(問)追加です。スケジュールが全体的に遅れたことになりますけれども、基本構想の総理への提出というのは最終的にいつごろになりそうですか。
(答)まだそこまで検討していません。とにかくしっかり、日々積み重ねていくことだと思います。
(問)冒頭の発言に戻らせていただきたいのですけれども、今回大臣、御家族が全員陽性になられたということで、改めてそういう場合、子供を持つ家庭が感染に見舞われた場合、行政としてどのような支援が必要かというのをお伺いしたいのと、今日は閣議に久しぶりに来られて、岸田総理からどういうお言葉があったのかお伺いできますか。
(答)私の方から、閣僚懇の後で「ようやく治療が済み、戻ってくることができました。しっかりと頑張ります」という話をしまして、同じく古川大臣も同時期療養されていたので同様の御発言があって、岸田総理から「元気で頑張りましょう」と、いつもの笑顔で励ましていただきました。
 家族、本当に、まず治療の方なのですが、これは人それぞれですが、やはり特に小さい子供がいる場合は、ホテルでの療養とか入院というのが、なかなか子育ての中で厳しい選択肢になります。私たちも息子の医療的ケアがあるものですから、前から陽性になっても自宅でということは決めていましたから、そういう形で取り組みました。
 やはり体もきつかったですけれども、自分のそばにいて、子供の体調が悪くても自分なりに看病できることで、精神的には不安がないのかなと。あと、隔離をということを言われたのですけれども、子供が走り回るし、例えばトイレもその都度アルコールで除菌してねと指示があるのですが、私と夫はできますが息子はできないので、結局はなかなか厳しい状態だったかなと。
 あとは、全く外に出られないので、ここはコロナで虐待が増えている、DVが増えているというのですけれども、いかに家族で密になったときにそれぞれの気持ちを逃していくかというか、そばにいればいらいらすることもあるし、特に体が疲れているので、そこをどううまい距離感をつくっていくのかなというので、なるべく違うことをしていました。私がテレビを見ていたら夫はゲームをしていたり、息子はTikTokをしていたりとか、そういうばらばらの時間をつくったりすることで、濃密過ぎる時間にいさかいが起きないような距離感みたいなものも、おかげさまで最初は非常に大変なことになるかなと思っていたけれども、穏やかに、とにかく外に出られる日に丸を打って楽しみにしていました。
 あとは、私は東京都港区に住んでいるものですから、東京都と港区の方から常に連絡をいただいて、朝と夕方とLINEでやりとりをさせていただく中で、そこは非常によかったなと。できれば、一番不安なのは自分の体の状態なので、医療関係者、うちの場合はかかりつけ医とLINEをしながら、状態を言うと、こうだよ、こうだよと慰めていただいたり安心させていただくようなものがあったので、外に出て診療を受けることはできなくても、その指示に従って投薬とかをすることができたので、それも一つ学ぶことがございました。
 いずれにしても、コロナの在り様は十人十色だと思うので、野田家の在り様が全てだとは思いませんけれども、しっかり現場の人たちは頑張っていただいているし、最初のころに比べて、そういう取組というのも非常に丁寧に緻密に行われているので、そこは自ら経験して、不満はいろいろあるのでしょうが、自分が感染者になったとき、自分が発症したときに頼れるプラットフォームはできているというのは私自身は実感いたしました。
(問)政治分野のハラスメント防止教材についてお伺いします。昨年秋の議題収集では、有権者からのハラスメントも半分以上を占めていたと思います。今回の動画は、実際には研修教材で、主な視聴者が議員だと思います。もちろん男女共同参画のYouTubeにも上げて一般公開するのですが、もともとハラスメント意識が低い人はそこにたどり着かないと思いまして、有権者の意識改革に向けてどのようなアプローチがいいとお考えですか。
(答)それもあって、動画という形にしました。こういうハラスメントの教材というのは文書が多いのですが、文書はほとんど読まれません。ですから、いつまでたっても自分の行為が相手にとってハラスメントに当たるという意識がなかなか生まれてこないので、今回は視覚に訴えていこうということでYouTubeで。これは議員専用ではなくて、全ての人にオープン、公開いたしますので、初めはたどり着けないにしても、様々な媒体で御紹介いただくなり、また議員が自分の後援会に届けるなり、各政党がそれを使っていただくなり、それだけで、私たちの力だけでは当然広がりませんので、多くの方たち、とくに地方議会で有権者からのセクシャルハラスメントで苦しんだ人たちは、自分からは言えないけれども、この教材を第三者的に見ていただくことで気づいてもらう、自分たちの周りの有権者に気づいてもらうというキャンペーンにどんどん活用していただければいいと思います。
 やはりどうしても候補者や議員だと、あなたのそれはセクハラよと言うと、1票入れてもらえなくなるのではないかという、そういう葛藤が私もかつてありましたので、そのためになかなか自ら言い出せない人が多かったと思うので、そういう私たちがつくったYouTubeの教材を何気にいろいろな会場で見ていただくとか御紹介することで、1人でも多くの方が、「ああ、自分がやったのはハラスメントなのだ」ということを1人でも気づいていただくことをこつこつと積み重ねていくことが大事なのだろうと思います。
 若い人たちは比較的もう分かっているのですね。学校などできちんと教わってきている。問題は、やはり私たち中高年がハラスメントの学びのないまま成人し、有権者になっているので、それを見ることで自ら振り返っていただいて、それが他人の嫌がる行為だったということに気づいていただければ、それでまずは大きな一歩だと思います。是非御覧ください。
(問)少し関連ですけれども、大臣自身、こうしたハラスメントをほとんど経験したとおっしゃってこられまして、当時から今日に至るまで、とはいえあまり現状が改善されていない要因はどこにあると考えますでしょうか。
(答)根本的にはやはりまだ政治活動は男性がするべきことだという根強い意識がやっぱり中高年にはあって、ですからウェルカムされていない。だからどうしても意地悪になってしまう。そんな感じがしますね。
 私の若かりし頃は、このくらい耐えてみろと、政治は厳しいものだぞみたいなわけの分からないことを言われて、戸惑うことが毎日でしたが、今はでもこうやって皆さんも積極的にハラスメント、セクシャルハラスメントについてしっかりと男女別なく声を出してくれているので、当時はセクシャルハラスメント、セクハラの言葉すらなかったので、私は不安の行き先がどこなのかが分からない中でしたけれども、今は明らかにこれはセクハラである、パワハラである、マタハラであるというのがしっかり見えているので、今後やっぱり気づかずにやっている人たちにそういう動画を配信することで、どんどん使い回しをしていただいて、気づいていただきたいなと。YouTubeを見ない高齢者の方もテレビは見ますので、そんなところで是非御協力をいただければと思います。
(問)1,324件の事例なのですけれども、これまで以前の閣議後会見で、ほとんど経験されてきたというお話がありましたけれども、あまり思い出したくないことかもしれませんが、特につらい思いをされた経験について、御紹介いただける範囲で教えていただけますか。
(答)どうでしょうか。やはり一番今でも思い出すとぞっとするのは、身体中を触られたことですかね。様々会合に出て、酒席に出て、皆さんも酔った勢いもあるのでしょうが、そういう心が麻痺するというか。その当時だけは、ほとんど思ったことはないのですが、男になりたかったですね。男の人はこんなに触られないだろうと。
 あとはやはり、郵政民営化のときに反対票を投じたときの、全国の有権者の方たちの言葉のハラスメントは非常に苦しかったですね。やっぱり私の内容を理解せずに、私の行動だけを批判されてしまうので、自分がこういうことでこういう言動をしているということを伝えられないもどかしさ、一方的に非常に厳しい言葉を浴びせかけられたりしたことがやっぱり。それは結果として後の自分の様々な政治活動の土台になっているのですが、自分はそうならないようにしようということです。

(以上)