野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年12月3日

(令和3年12月3日(金) 11:06~11:27  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 冒頭発言なし

2.質疑応答

(問)こども庁の関連で質問させていただきます。昨日、政府の「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」の原案が自民党の会議の方に示されまして、党内でも本格的に議論が始まりました。昨日の議論の中では、文部科学省からの権限移譲の範囲などを巡って、議員の賛否といいますか、考え方に隔たりが見られる場面もございました。一連の動きにつきまして、大臣の受け止めをお聞かせください。
(答)昨日、私は出張で長崎に終日行っていたので、今、話があった会議には出ることができませんでした。赤池副大臣が出席されていたので、いろいろと簡単にその会議の内容については御報告をいただいたところです。
 まず私が思うことは、自民党での議論が始まって、極めて前向きに様々な御意見を出していただいたことを感謝します。やはり党にあっては様々な意見があって、それを議論する場所があって初めてまた私たちがお示ししたものがパワーアップするというか、より子供たちのためになるものだと思っています。
 いろいろと、まだ指摘されたことを一字一句拝見していないので、ここで軽々にお話しすることはできないのですけれども、皆さん本当に子供のためにと思ってそれぞれのバックグラウンドからの発信だと思いますので、丁寧に承って、できる限りいいものがつくれるよう取り組んでいきたいと、お誓いしたいと思います。
(問)日本版DBSについてお伺いします。日本版DBSは、先日大臣が発表された政策パッケージでも在り方を検討するということで盛り込まれています。現在の検討状況と、新設されるこども庁で日本版DBSをどのように取り扱っていくべきか、お考えをお伺いしたいと思います。
(答)私自身は大臣になる以前から児童ポルノ法の議員連盟の方で数年前から、やはり教育現場における指導者からの性的な問題について、いろいろと対応できないかという議論をしてまいりました。
 そのうちの一つがDBSだったと思います。これはイギリスで取り組んでいるということで、当時のメンバーだった木村弥生さんが極めて熱心に取り組んで、説明をいただいたところです。
 ただ、導入するに当たっては、やはり日本の既存の法律との整合性をしっかり取っていかなくてはならないという大きな課題がございましたので、まずは先般成立した、わいせつ教師に関する法律を作った上で、今後もっとより安全に子供たちを性的被害から守るためにどうしたらいいかということで、各省がそれぞれ検討していただいているものだと思います。今現在、結論は出ていません。
(問)こども庁での取扱いについては。
(答)もちろん、こども庁というのは子供のことをやっていますから、そこも排除することなく、イギリスのようなことができないにしてもそれに近い形で、やはり上下の関係というのは、特に日本はハラスメントで、これは別に子供に限ったことではなく、男女間でも組織内でもハラスメントというのがある中で、人権の問題になってくるのですよね。私たちが取り組んでいたのは、わいせつという性的なことに特化してやってきたのだけれども、これは実は一連の問題で、それについて特に子供の場合は性的被害に関して、私の側からすると、もう少ししっかり取り組んでいいのではないかと。やはり一生の傷になりますから。そこをこういうDBSの議論を様々なところで検討する、特にこども庁がそれを排除することはありません。
(問)内閣府が進めている地域の生活ネットワークや交通ネットワークの確保による「小さな拠点の形成」に向けて、今後どのような主体に一層関わってほしいなどのお考えはありますでしょうか。
(答)郵便局ですか。
(問)郵便局に限らず、いろいろな地域の生活や交通のネットワーク確保のために、小さな拠点づくりというのを内閣府がずっと進めてこられたと思うのですけれども、今後、郵便局も含めて言っていただけるとありがたいのですが、どのような主体に地方創生に向けて一層関わってほしいなどのお考えはありますでしょうか。
(答)言うまでもなく、ここずっと過去20年ぐらいさかのぼって地方で顕著なのは、東京を本社とするような大きな金融機関がどんどん支店の撤退とかをしていく中、郵便局はもともと国営であったので、法律に基づいてそこに利益があろうとなかろうと、そこに住む人、国民の最後のライフラインとして置こうと。例えば工事現場とかの近くの、工事現場で働く建設業の人たちは、近くに金融機関がないからお金を引き下ろす所がないとか、そういうのも含めて、本当にどこでも全国津々浦々、不便なく金融や通信、郵便やらができるようにしようということが、たぶん最初の理念であったと思います。
 民営化されても、法律でしっかりそこのところは、今、ネットワークが担保されています。私も総務大臣をやったり、今も地方創生担当大臣をやっているのですけれども、せっかくそれだけ法律でしっかりネットワークが守られている割には、地方の拠点として話題に出てこないなという、じくじたる思いもあります。
 でも、今後も考えられることは、やっぱり相当な人口減少がこの国の都市部、中央部にかかわらず日本全体の問題だという前提でいろいろ対策をする中で、やはり、より先に地方がその人口減少の負荷にさらされることになって、そこで人がいなくなるということに対して、それが要は、満遍なく人が減るというよりは、むしろその担い手、仕事をする現役世代が地方ではどんどん割合が減ってくるわけですから、そこをカバーするのに、例えば市町村の役場だけでは届かなくなっていく、高齢者の人がそこまで行けなくなるようなときに、やっぱりその地域の「小さな拠点」と言われている郵便局等がやはりそこの代替ができるといいなと。
 また、今、子供の居場所なんかもいろいろ議論されている中で、なかなか平準的に居場所づくりというのができない中、もうすでにそういうような制度設計になっている郵便局とかがいい形で行政と関わり合って、居場所づくりにも貢献できればいいなと。かつては当たり前のようにやっていたのですけれども、それが今、民営化ということでいろいろステークホルダーの関係もあるでしょうけれども、やっぱり日本全体の経済の取り戻しのためには、やはりそういう地域、とりわけ地方が厳しくなっている中で、そこで人口を安定させるにはどうしたらいいかということの協力ということは、結果として自分たちの将来の利益にもつながっていくというような新しい流れをつくってもらいたいなと願っています。
(問)先日、立憲民主党の代表選が行われまして、泉健太さんが選出されました。西村智奈美さんが幹事長になったほか、泉代表は党執行部の半数を女性にするべく調整していくと言っていますが、この点に期待したいことと、政治分野における女性の進出においては、与野党の垣根を越えた女性同士の連帯や取組が必要だと思うのですが、この点を改めてどうお考えかお聞かせいただきたいです。
(答)まず、立憲民主党初の女性幹事長ということで、おめでとうございます。
 大事なことは西村さんもキャリアを積まれているので、やはりある程度力を発揮できる立場で、実現できる場所に就かれたわけだから、いろいろ取り組んできた、与野党問わず取り組んできたことを形にしていただけるよう、これはもう与野党ではないですね、日本の政治の向上のために、女性の仲間としてエールを送りたいと思います。
 先日の(衆議院)総選挙でもそうですけれども、必ずしも与党の女性が勝って、野党の女性が落ちるということではなく、残念だけれども、与野党とも女性が減ったということが大問題なのだと思います。安倍晋三(元)総理が恐らく初めて国会において「女性の活躍が日本の再生の一丁目一番地だ」と言っていただいてから、もう随分な月日が経つのですが、せっかくそこで男性である安倍晋三(元)総理に言っていただいたものが、なかなか形になってきていない、かつ、今は法律も作ったのに下がったということで、しっかりとここは党がどうのということではなく、大きな枠組みの中で女性の議員たちが明るく活躍できる場所はどうつくっていくのかというのを抜本的に考えていける関係でありたいと思います。
(問)こども庁の話に戻るのですけれども、今回出てきた案の骨子を見ていると、厚労省とか内閣府からかなり権限がこども庁に来ている一方で、文科省の教育の分野に関してはかなり、ゼロ回答とは言わないですけれども、かなり渋かったのではないかなと思いまして、子供が成長してくると、教育こそが子育てだと思うのですが、そこが分かれたままのこども庁ができたら、こども庁と教育が、教育と子育ての他の部分に分かれて、結局、船頭多しみたいなことにならないか、そこをどう懸念されているかと、今後、そこを野田大臣はどのように切り込んでいきたいかをお願いします。
(答)これはもう、はなから私は教育が柱だと。大人の私たちは自分たちで学ぶ意思があるけれども、子供たちはやっぱり私たち大人が学ぶ環境を整えなければいけなくて、そして、教育によって様々な付加価値を得ることができるし、教育の現場によってやっぱり社会生活を学ぶことができるし、やはり子供イコール教育というのは、もう当たり前のことですね。
 当然、今、とりわけ幼児教育の中で問題になっていたのが、1年生になって義務教育になったときに学力の差があって、最初でつまずいてそのまま自己肯定が得られず、苦しんでいる人たちがいると。そういうのを解消しましょうということで、まず教育の質の平準化というのが大事ですよねと。
 私も教育の役所ということで文科省が取り組んでこられたので、是非、義務教育に行く前の幼児教育というのは、かつては私の時代は幼稚園しかなかったのです。だけれども、今はこの時代、共働きが8割とか様々ある中で、「認定こども園」という両方のミックスもできて、トレンド的にはやっぱり幼稚園で学べる人が減り、いわゆる教育そのものを学べる人が減り、保育園という「教育」とうたっていなくても教育をやってくれていますけれども、そういう所に大多数が行き、さらには最近のトレンドでは教育と保育のミクスチャーというか、融合されたハイブリッドな「認定こども園」に行く子が急増しているという現実の姿を見たときに、やはり教育が広がりを持っていると。教育を受けたいという広がりがある中で、文科省にはさらにプライドを持ってそこへの質の向上に努めてもらいたいということをずっと申し上げてきました。自民党の中でそれが見えないという、文科省は私に対しては誠意を持ってしっかり取り組むとおっしゃっていたけれども、恐らく自民党の中ではそこが目に見えない、分かりづらいということであったと思います。これに対して文科省がしっかりとその答えを、たぶん次の会議にでも出されるというような話も承っていますので、期待をしたいと思っています。
(問)今の関連ですけれども、認定こども園という制度ができてからだいぶ経つと思うのですが、なかなかその数が増えてこない、普及していないというのが実態だと思うのですけれども。新しくできるこども庁ではそのこども園の数を増やしていくとか、保育園の幼稚園化ではないですけれども、保育園でもそれなりの教育を受けられるような体制を目指していくということになるのでしょうか。
(答)幼児教育は義務教育ではありませんので、やはり選択肢が様々あっていいと思います。子供と親が相談して、その家庭環境に無理のない子供の社会活動の場、教育の場というのを漏れなく提供できるような体制で、今、3つの選択肢があるのだと思います。
 それでもまだ行けていない子供たちもいますから、全ての子供たちが幼児教育の学びと出会うような場所をつくることがこども庁の一番の主眼だと思っているので、形はどうであれ、そして、今まではこういうことでないと入れないとか、認定こども園はあまり条件がないので、そういう意味では入りやすいのかもしれないのですけれども、そういうのをそれぞれの個性で切磋琢磨する中で、要は漏れなく子供たちが友だちとの出会いの場がつくれる、のびのびと指導者の下で様々な知識を得られる場所がある、そこをどうつくっていくかということなのだと思っています。
 例えば、少子化という問題もあって、これは実は、どの園も経営は非常にだんだん厳しくなってくると思うのです。子供がいないという状況がもうずっと続いているので。でも、意欲のある人たちが、何が原因で増えないのかということもしっかりと確認しながら、とにかく1人も取り残さずに子供たちが成人に向かって歩める第一歩を約束しようというのがこども庁だと思っています。
(問)大臣は今週、埼玉県と長崎県に視察に行っておられましたけれども、成果についてお聞かせいただけますか。
(答)埼玉県の方は、今お話があった認定こども園に行きました。もともと幼稚園を経営していて、様々な苦難があって認定こども園に変わって、それから飛躍的に様々な子供に必要な支援とのリンクができて、「こどもむら」のようなものができたと。こども庁をつくるときの好事例は、私たちは無いからまだ分からないのですね。埼玉県の久喜の「こどもむら」というのは、まさにその一つの形だなと。
 是非皆さんも行っていただいて、昭和ながらの駄菓子屋さんもありまして、非常に子供たちが楽しんでいる。楽しむことが大事ですよね。そこに生まれたことを楽しんで、かつ、そこの地域は子供が増えているという結果を出しているので、そういうところをしっかり学びたいと思って行きました。
 長崎県の方は、またこれはDVの方で長崎モデルというのがあって、これも好事例で、長崎県では様々な交付金があって、基本自由に地方自治体は使えるのだけれども、率先してDV防止のためにその交付金を使っていただき、積極的に県が単独で取り組んでいるということで拝見しました。それがまず一つ素晴らしいこと。
 2つ目は、どうしても行政とNPOというのはなかなか反りが合わなかったりしますが、長崎県の場合はがっつりとその垣根を越えて、お互いに支え合ってくれていて、結果として隙間なく相談から支援から、そして、一時のいろいろな保護が終わった後も支援するという人間らしい、制度らしいではなくて、その1人の人間をちゃんとDVから支えていくという流れを見せていただいたことに感銘を受けました。
 同時に、やっぱり同伴の子供たち。配偶者控除というと、どうしても夫と妻で想像力が終わってしまうのだけれども、やっぱり妻は子供を連れてというケースがほとんどになってきているそうです。そこで、今までは女性対象の保護であったけれども、やっぱり配偶者によって多くは母が子供の身の安全を守るために連れてくるということで、一般的には後手後手になっている子供に対する支持、支援についてもしっかりと取り組んでいるということを知り得ました。
 いずれにしても埼玉県、そして長崎県で共通していることは、やっぱりこれは私が担務している地方創生そのものだなと。女性が大切に守られることによって、そこにいる子供たちがしっかり育まれる。全く違うような事案に見えても、共通するところは、子供をどうしっかり地域が支えていくかということにつながってきたなということを熱く実感したところです。

(以上)