野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年11月30日

(令和3年11月30日(火) 11:04~11:25  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 本日は、私からの発言が5件ほどあります。初めに、こども政策担当大臣として報告します。
 19日に、こどもに関する政策として補正予算を中心に、前倒しで当面実施する施策を公表いたしました。そして、この度、来年度以降も実施検討する施策を含め、「こどもに関する政策パッケージ」を取りまとめました。昨日、総理に手交された「こども政策の推進に係る有識者会議」の報告書も踏まえ、結婚、妊娠・出産、子育てしやすい環境整備や、子育て・教育にかかる経済的負担の軽減、ひとり親家庭や障害のある子供など、様々な事情を抱えた子供・家庭に対する支援の充実、未就園児やその保護者の実態把握など、こども政策を進めるに当たっての共通の基盤整備など、今後進めていくべき重要な施策を多数盛り込んでいるところです。
 少子化対策や子供を巡る様々な課題に適切に対処するために、政府全体でしっかり取り組んでまいります。個別事業の内容等の詳細については、それぞれ担当部局にお尋ねいただければと思います。
 2件目は、昨日、岸田内閣発足後初となる「男女共同参画会議」を開催いたしました。今回の会議は「女性版骨太の方針2022」の策定に向けたキックオフ・ミーティングであります。
 私の方からは、女性の経済的な自立、女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現、男性の家庭や地域社会における活躍、そして、女性の登用目標達成、この4つの柱立てをお示しし、会議として了承いただいたところです。また、有識者議員からは今後検討すべき事項についていろいろ示唆を頂きました。
 特に、今回のポイントとしては、家族の姿が多様化し、女性も男性も人生が昭和の時代とは異なる、そして、多様化していることを踏まえて、1つ目の「女性の経済的な自立」、そして、3つ目の「男性の家庭や地域社会における活躍」を大きな柱として新たに打ち出したところです。
 会議の締めくくりに総理から、引き続き議論を深め、実効性のある具体策を取りまとめるよう関係閣僚に対して指示がありました。総理からの御指示や有識者議員の皆様の御意見をしっかり踏まえながら、来年6月を目途とする「女性版骨太の方針2022」の策定に向けて、各府省一体でしっかり検討を進めてまいります。
 3件目は、12月2日木曜日、長崎県を訪問します。配偶者暴力、DV対策に関し、婦人相談所等の見学を行うとともに、岸田内閣で実施している車座対話の一環として、これらの施設において現場で支援をされている方々のお話を伺う予定です。長崎県では配偶者暴力対策を「長崎モデル」として、被害者の立場に立ったきめ細やかな支援を県独自で行っているということを伺ったからです。
 今回の視察では、こうした取組について知見を深めるとともに、支援の現場の実態や課題をしっかり把握してまいりたいと考えています。また、車座対話で伺う御意見については、現在検討中の配偶者暴力防止法の見直しにも反映させていきたいと思っています。
 4件目は、本日午後、埼玉県久喜市にある学校法人柿沼学園が経営する「こどもむら」の視察及び職員等との意見交換を行います。この「こどもむら」は認定こども園を中心として、子育て支援センターや放課後児童クラブ等の子育て拠点との連携によって、地域の子育て支援のセンター的役割を担っており、地域で暮らす全ての子供や子育てを支える場所を目指しているものと聞いています。
 子ども・子育て支援政策の推進、特に今後本格化するこども庁の創設に向けた議論に資する有意義な視察・意見交換にしたいと考えています。
 最後は、持続可能なまちづくりの実現に向けて、地域課題の解決やSDGsの達成に取り組む地域事業者への支援の普及・拡大を目的として、「地方創生SDGs金融表彰」を創設し、本日公募を開始いたします。
 表彰対象は地方公共団体と地域金融機関等とし、両者の連携による地域事業者への優れた支援の取組を表彰することで、地域活性化に向けた実効性ある取組が他の地域へ広がっていくことを期待しています。本表彰については外部有識者で構成される選考委員会で審議いただきまして、3月下旬頃には地方創生担当大臣表彰を実施する予定です。細かいことは事務方にお尋ねいただければと思います。

2.質疑応答

(問)こども政策についてお伺いします。昨日、「こども政策の有識者会議」の報告書が総理に手交されました。今後、政府の基本方針とあわせて、与党での議論が本格化しますけれども、どのような議論を期待するかを教えてください。
(答)私は自民党にいまして、ずっと長いこと子供に関しては、様々な議員連盟もできています。被害児童、例えば児童虐待にしても、いじめに対しても、自殺防止対策にしても、不登校に対しても、それぞれ受け皿があって、有志の議員の方たちが勉強を重ねて、その都度いろいろと提案・提言をしてきたところですが、基本的にはやはりその連携がうまくいっていないのではないかということを指摘されてきました。子供に対して様々な取組はあるけれども、そこに特化してまとまらないというか、シームレスになっていないということがあったので、党内でそれをやっぱり一元化していかなければいけない。誰かが責任の所在にならなければいけないという流れの中で、今日に至ってきたと思います。
 ですから、これまでは「こどもまんなか」という政策をとってこなかったように見えますけれども、網羅的に様々なことには着手しており、専門的な議員もたくさんいる中で、それらの知見をしっかり集約して、無駄のないよう、隙間のないよう受け皿になることがやっぱりこども政策の大きな捉えどころだと思っています。
 行政組織においても責任を持って、「これはうちの役所ではないですからうちではやりませんよ」みたいなことはないように、「これは全部、こども庁が引き受けます」のようなイメージでたらい回し、隙間事案、そんなことをなくしていく、そして、様々な知見を集積させるような拠点づくりというイメージでこども政策を進めていきたいと思います。子供がこの私たち大人の取組の結果、より安全でより安心で、そして、より幸せに暮らせるという、やはり見える化をしていく作業になっていくと思います。
(問)パッケージの位置付けをちょっと確認させていただきたいのですけれども、19日にパッケージを発表された段階で、令和4年度予算に反映させるための別のパッケージをつくるということで御説明があったように思うのですけれども、それが今回のパッケージということになるのですか。
(答)そうです。
(問)今回のパッケージの中で、どれも重要な政策だとは思うのですが、大臣が特に思い入れのある政策があれば、お伺いできますでしょうか。
(答)いや、これは選べないですね。一番大きなことは、やはり本来もっと子供に様々な資源が行くべきであったけれども、残念ながら振り返ってみると至らないところがたくさんあったのでしょうと。子供に直接行くものもあれば、子供を支援する人たち、サラリーであったり、または人員であったり、そういうものをやっぱりしっかりと網羅的に「子供」というキーワードで捉えていくことが大事なのではないかと。
 あえて「子供」ということに一点集中して、今までもやってきたけれども、もっともっとやっぱりやらなくてはならないという発信が、この間の補正でのスタートだったと思います。今後はやっぱりそれをしっかりと固定的に、さらに不足前(たらずまえ)のところはしっかりと充てていくという、そういう姿勢が今回、これはちょっと紛らわしいのですけれども、ステップ2という形でどんどん子供に対して質・量ともに充実させていくという過程、大きなステップだと思っています。
(問)今まさに話が少し出た、こども庁に関してですが、創設時期について再来年度ということが多数報道もされているのですが、まだ何も決まっていないというところではあると思うのですけれども、方向性としましてはやっぱりきっちり議論を進めて、時間をかけてということで、やっぱり再来年度創設ということも視野に入れて取り組まれているというふうな理解でよろしいでしょうか。
(答)はい、そのとおりです。少し前にデジタル庁ができたことで、庁というイメージがだぶっているのではないかと思うのですけれども、デジタル庁とこども庁というものは似て非なる、全く違う組織体だと思っています。
 1人の人間、こども庁の場合は有識者のお勧めもあって、妊娠、まだ子供が世に出てこないときからトータルでしっかりと支えていこうという、そういう仕掛けでありますから、皆さんの人生がとても大事なように、やはりこれから生まれてくる子供の人生をしっかり支えるという意味では、そんなに早ければいいという話では絶対ないと思います。
 あと、御承知のとおり、教育とか保育を現場で担ってくれているのは地方自治体であります。ですから、その人たちに十二分に情報共有ができて、同じレベルでスタートを切れるように歩んでいかなければなりません。丁寧に取り組むためには時間ありき・早ければいいということではなく、やはりしっかりとした中身のあるものをつくっていくために時間をかけていくべきだと思います。
(問)今のお話で、方向性として令和5年度かなというふうな理解をするのですが、そうしますと、来年通常国会に法案を出すということも必ずしもこだわらないというふうな解釈でしょうか。
(答)いや、ちょっとそこに誤解があると思うのですけれども、やはり、今、補正で、まずはその必要な中身をつくっていますよね。こういうことをしてきたけれども、足らなかった。これはしてこなかったから、しっかりと予算と人をつけて取り組もうというのも、ある意味、中身はこども庁なのですよ。そして、次、当初(予算)でしっかりとそれを固定していく、これもそうなのですね。そして、次にはそれを骨格というか、どういうものかというのをお示しを、というのがたぶん、法案になってくると思うのです。
 有識者会議から頂いた、このすばらしい結果を活かして、年末に向けてその法案の中身がこうあるべきだということを与党の皆さんを中心にお諮りしながら進めていって、それを通常国会に提出するというのが、私の任務だと思っています。
(問)こども庁のことに関して、有識者会議の報告書でも、子供に関するデータの一元化というところで、縦割り行政を排していくことの重要性が述べられていましたけれども、先日、大臣が孤独・孤立フォーラムでNPOの方々とも支援の在り方について意見交換されていて、データの一元化というと、地方自治体がメインになってくるのかなと思うのですけれども、NPOとか、それから、サードプレイスで持っている情報との連携の在り方というのはどういうふうにお考えでしょうか。
(答)そもそもこの国で子供を主体とするデータベースというのが散逸していて、それぞれが、例えば小児科にかかれば小児科の先生がデータベースを持っている、施設に入れば、福祉の関係でデータベースがあると。全て、少なくとも私の経験からすると、ばらばらにその部分的なデータベースがあるのですけれども、子供が人として育ち学ぶ、トータルでのデータベースというのは、この国ではまだないというのが現状だと思います。
 デジタル庁ができたのも、たぶん、子供だけではなくて、この国がデジタル庁をつくる理由の一つは、やっぱりデータベースというものの活用がなされていない国の一つであって、それを巻き返すためにちゃんと独自のデジタル庁をつくって、そこでデータベースを集めて、そして、それを私たちの幸福のために使っていこうということであると思うのです。
 ですから、そのデータベースの活用というのはそこから始まっていて、それも真剣にデータベースの必要性が問われてこなかった。結果として、1人の子供のデータベースがあちこちに行っていて、例えば福祉と教育とか、教育と医療というのがつながらなくて、そこでやっぱりその周辺の大人たちの様々な齟齬が生じてきたということが子供への被害につながったとも言われるわけです。そこをちゃんとならして、1人の子供に関わる人たちがきちっとしたデータベースの下で客観的に子供たちと等距離で、そして、なおかつその関係者がつながっていくということが子供のデータベースにとって大きな意義になってくると思っています。
 デジタル庁の方で、その関連の副大臣会議が発足されていて、そういう取組をしてくれているというので、是非応援をしていきたいと思っています。
(問)話題が変わりまして、選択的夫婦別姓についてお伺いしたいのですけれども、10月の就任後にお伺いした際には、解散総選挙の後に落ち着いた中で党でPTを開いて、双方の意見を聞いて結論を得る努力、というお話だったのですけれども、今のところ党本部の方の動きはないように思われていまして、議論の前進や制度の導入に向けて大臣側から働きかけるなど、どう進めていくのがいいのか、お考えがあればお願いします。
(答)政権が変わりました。人事も刷新されたので、私が幹事長代行だったときに出ていた結論は、選択的夫婦別氏制度については、これまでは党内での議論をやっていなかったけれども、やることにすると。それぞれ賛否の議連が立ったこともあり、顕在化してきたので、ついては総選挙終了後、内閣であったか、法務であったか、そこは失念しましたけれども、PTをつくって、その座長の下でそれぞれの代表者が真摯な議論をして結論を得るというところが前政権での約束事でありました。
 ただ、それが今どういう状況になっているかは、私はもう今、党のそういうオペレーションに関わっていないので、恐らく引き継がれた茂木幹事長をはじめ皆さんが御検討くださるものだと思っています。
 私の方は、やはり担当大臣として意見の隔たりの中にある様々な御意見の実際はどうなのかというのを、例えば統計でお示ししたりとか、様々な御質問に対して真摯にお答えしていく中で、歩み寄りがあればいいかなと思っています。
 実際に、党内で選択的夫婦別姓について総裁選での議論になったのは今回が初めてではないかと思っているので、そういう意味では随分前に法務省からオファーがあったものの、議論がずっと空白だったということで、今から本格的に与野党議論を進めていただけるものだと信じています。
(問)話が戻るのですけれども、こども庁の議論の中で、勧告権というのがここの会見でもよく出ていたのですけれども。勧告権は持たせるのかどうかというところ、決まっていない部分もあるかと思いますが、現状どうなっているのかということと、持たせるとしたら期待することというのをお聞かせください。
(答)まだ様々な方々の意見を承る時期なので、どの言葉が正しいかどうかは私の方から申し上げる時期ではないと思いますけれども、意味するところはしっかりと責任の主体になれるということ。そして、何か不正や子供にとって被害を及ぼすことがあったら、強い力をもって止めることができるような、しょっちゅう例に出して申し訳ないけれども、消費者庁のような、そういう権限というのは必ず必要だと思っています。それがどういう言葉になるかはまた別として、とにかく省庁の縦割りを廃していくためには、消費者庁は相当強い権限を持つことが可能になりましたので、そのようなイメージを持って子供をしっかり守れるように約束したいと思っています。

(以上)