野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年11月26日

(令和3年11月26日(金) 11:01~11:15  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 私の方から今日は1点。この度、東証一部上場企業において、女性役員がいない企業数を内閣府で集計したところ、2021年7月31日現在で732社であるということが分かりました。女性役員がいない東証一部上場企業の数は減少していますが、未だに約3分の1の企業において女性役員がいないということになります。
 また、全上場企業の女性役員割合の分布を業種別に集計したところ、女性役員がいない企業が過半数を占めている業種が33業種中9業種あることが分かりました。
 これらのデータは企業名も含め、男女共同参画局ホームページにおいて公開いたします。是非御覧ください。
 企業で女性が能力を発揮することは多様な視点によってイノベーションを促進し、企業の持続的成長につながるものであり、また、グローバルな人材獲得競争が激化する中で、我が国の企業が国内外の人材から選ばれるためにも極めて重要です。資本市場においても企業の女性登用の状況が投資判断に考慮されるようになってきています。役員に占める女性の割合が高い企業は、役員に女性がいない企業に比べてパフォーマンスが高いという傾向にあるというデータがあり、企業が女性登用に取り組むことで、企業価値の向上が期待されるところです。
 内閣府においては、こうした情報を、機会を捉えて発信するとともに、企業と人材のマッチングの土台となる女性人材のリスト化、企業のトップ等から構成される民間団体と連携した、女性役員登用の事例の共有や機運の醸成等に取り組み、女性役員の登用を加速してまいります。
 これまで積極的に取り組んでいる企業名は周知されているのですけれども、安倍政権で、女性の活躍と、そして数値目標を掲げて、それぞれの皆さんに協力をお願いし、安倍(元)総理は特に経済界においては、全上場企業の皆様方には、必ず1人は女性の役員を置いてほしいという要請を日本の国で初めて出して久しく経っているわけでありまして、今、現実に頑張っていただいているところはさらに良き評価をしつつ、是非取り組んでいただくことが、ペナルティーではなく、結果として企業の利益につながるということを踏まえて、みんなで応援できればと思います。

2.質疑応答

(問)今、冒頭にありました上場企業の女性登用の件ですけれども、具体的に女性役員登用の課題とか壁になっているものはどういったことかとお考えになるかというところ。あとは今、選択的夫婦別氏制度を導入されていないことが女性の起業家とかにとって壁になっているというようなお話も聞きますけれども、そういった実態についてもお考えをお聞かせください。
(答)それぞれ当事者によって意見は違うと思うのですけれども、私が今日この公表をするに至ったのは、恐らく国民消費者が知らないということを知っていただくことで、やはり消費者に寄り添う多様性でイノベーティブな企業になってもらいたいというエールなり、導きを国民が知ることによって加速すればいいなという思いがあります。
 あと、役員の場合は今、社外から。要するに管理職と違って役員ですから、これは必ずしもその会社に入社して積み上がった人でなくても一向に構わないわけで、そこについてのリーチが足りていないのであるならば、今までも取り組んできたのですけれども、そういうマッチングについても積極的に私たちもお手伝いしていければいいかなと思います。
(問)今のこの冒頭の発表ですけれども、政府として女性役員がいない企業を減らしていくために、どのような働きかけが必要になるというふうに考えられるのか、お伺いします。
(答)今申し上げたとおりで、基本、当たり前のことなのですね。やはりそれぞれの業に精通している人は別にジェンダーの別はなく、今まではどちらかというと、企業の役員というのは下からずっと上がってきた人というふうに限定されていたから、当然いろいろな経済不況のときに女性は非正規とかにシフトされた結果、社員育成もままならず、プロパーでは役員まで至らないケースが、これが今の日本のありようだと思うのです。
 ですから、安倍(元)総理もおっしゃっていたのは、役員は外から当然、世界中、そして日本でも社外から社長が来たりとかあるわけで、それに倣って、男性限定ではなく、やっぱり広く視野を広げていただいて、そういう国内外の女性の力を生かすことがその企業価値を上げることなのだという、そういう働きかけをいろいろなところでしていくことが大事だと思うし、むしろそれは国民の利益にかなうことだから、国民の皆さんにも「そうだったのだ」と知っていただくことで、いろいろな企業の応援団になっていただければいいのではないかなと思いました。
(問)関連して冒頭の御発言の件で、この女性登用をして実現している企業もいるという話で、そういった企業に対して応援できればという御発言もあったと思うのですけれども、インセンティブの付与など、何か具体的に大臣として後押ししていくというのは考えられたりするのでしょうか。
(答)これまでもそうやって頑張っていただいているところには表彰があったりとか、取組はあります。先だっても、男性リーダーの会という男女共同参画に熱心な企業の方たちともオンラインで話をしたのですけれども、常にそういう方たちのオピニオンリーダーとして、私たち、この行政、政府側、政治側にいる人間との密あるやりとりをする中で、そういう人たちの意見を生かしていくということが私たちの役割としては一番大事なことかなと。そうやって取り組んでいる人たちの意見を最大限活用して、社会変容につなげていくということをお約束してきたと思うし、さらに共に取り組んでいければというのが大事だと思います。表彰という形もありますから、逆にそれは今後どういうことを望まれているかということも承りながら詰めていければと思っています。
(問)政府の方で検討が進められています公定価格の引上げの件ですが、今回の件で対象となっている職種はいずれも女性の比率が高い職種であります。
 一方で、政府の方では男女賃金格差の解消ということも掲げていらっしゃいますが、今回のこの検討を契機に、大臣はどのようにその解消の部分を図っていかれるかということと、昨日の男女共同参画の会議の方でも、この賃金の格差がやはり配偶者の税制控除、配偶者控除の部分の撤廃が必要ではないかという指摘もありました。その点についてもどうお考えかをお聞かせください。
(答)今、おっしゃったことは全て取り組まなければいけない課題でありますけれども。表面上、上書きしていくというよりも、やはり保育の歴史とかをさかのぼってみると、そもそも当時は女性が働かない時代にやむを得ず働くからというような形で始まったところを、やはり令和の時代になって、今は共働きが8割ということになって、当然、誰か第三者によって子供の保育が支えられる日本なのだという、そのギャップをしっかりと男女とも年齢にかかわらず現実を理解していただくことがまず大事かなと思っています。
 つまり、サポートのような形だったから、しっかりと業としても男性が、なり手不足というか、男性はそれで生計を立てるにはちょっと厳しいような形になっているとするならば、やっぱり働き方がシフトする中で望まれる在り方も変わってきたと。そこに足りない部分があるとするならば、男性がしっかりと今、保育士なりで半分を占められるような形にもっていくのがこれからの双方の幸せ。女性ではなくて、男女ともやはり心豊かに暮らせる、子供もゆとりをもって生きていける時代なのだと。
 今回は岸田総理がそういうことも踏まえて、まずは経済対策で一歩前進をしていただいたので、歩みを止めることなく現実の形に近づけていけるように取り組んでいきたいと思っています。
(問)先ほどの女性役員の登用の件ですが、社外取締役を外から呼んでくるというのはそう難しいことではないので、それで役員の女性比率を上げるという手法を取っている企業もたくさんあると思うのですけれども、一番課題になっているのは女性のプロパーの社員をどう役員に育て上げていくかということだと思います。
 育児をしていると、なかなか男性並みに働くというのが難しくなってきて、そこで女性たちが挫折してしまって、キャリアアップは「これ以上はいいです」という話になってしまうと思うのですが、そこをどう政府として政策誘導していくかというお考えはありますでしょうか。
(答)これは同時進行だと思うのです。というのは、役員に女性がいなければ女性固有の、例えば妊娠・出産という事実がやっぱりボードメンバーの中でシェアできない、共有できないという現状があります。例えば、月に1回生理があるということも知らない役員だけで働き方の議論がされている懸念があります。
 そのために、やはりそういう女性ということで経てきた、そういう経験のある人がいることによって、その会社の在り方というのが、そういう人たちがいるということを見える化させていくのではないかと思います。そういう人がいて初めて、男性だけだったところが、こういう違う、自分にはない日常があるということを知っていただく。
 あと、子育てについてはちょっと別で。もう少し男性の方にその権利、夫になる権利とか、パパになる権利とか、そういうことがスムーズにできるように、これはこれで男性女性を問わず、両方が担えるような形をつくっていかなければいけませんが、やはりどうしても上の方に女性がいないと見えてこない。そこをまずは1人でも入ることで見えてくるようにしてほしいなと。男女ともに生きているのだということを知る機会を、やっぱり役員会議なりで月に1回でも週に1回でも見ていただくことで空気が変わってくることを期待しています。
(問)改めて、こども庁についてお伺いしたいのですが、これまでの報道でも勧告権を持たせるという報道もあって、そういう方向で検討しているやに思いますが、こども庁が子ども政策に関する司令塔というからには、やはりそういったものが必要であるのか、改めて大臣のお考えを伺いたいと思います。
(答)今進行しているこども庁を設置するに当たっての工程の中で、やはり一番気を付けていることは、これによって子供の安全や安心がしっかりと確保できるかどうかということです。
 そのためにはやっぱり強い権限を持たないと駄目だし、やっぱり網羅的に司令塔にならなければ駄目だし、今までやはりできてこなくて、子供を傷つけたことを改善するという意味では、相当力を持つ役所になっていかなければなりません。それはそのとおりだと思います。

(以上)