西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年10月1日

(令和3年10月1日(金) 11:35~11:57  於:中央合同庁舎8号館1階S101・S103会見室)

1.発言要旨

 何点か私から冒頭に申し上げます。
 まず英国のトレビリアン国際貿易大臣とのウェブ会談をオンラインで行いました。29日の夜18時半から約30分間であります。英国のトレビリアン国際貿易大臣との初めてのオンラインのウェブ会談です。
 英国は日本にとって重要な戦略的パートナーであります。外務大臣に着任された、トラス前大臣同様に、今後様々な課題について緊密に連携して取り組んでいくということの確認をいたしました。
 そのうえで、英国のTPP11の加入交渉について、28日から日本が議長国を務める形で英国加入作業部会の第1回会合が開始されました。英国からTPP11協定の義務を遵守するために同国がこれまで真摯に行ってきた取組、努力などを聴取したところであります。引き続き専門家による技術的議論などの確認作業を進めていくこととなっております。今後の進め方については、会合での英国側の説明も踏まえ、他の参加国とも協議をし、調整していく旨を私から伝え、今後の英国加入プロセスにおいても日英で引き続き緊密に連携していくことを、トレビリアン大臣との間で確認いたしました。
 既にご案内のとおり、TPP11は市場アクセスの面でもルールの面でも高いレベルの内容となっております。
 英国は初めて新規加入要請を行った国であり、今後のTPP加入の先例ともなるわけでもありますので、英国がこのTPP11の高いレベルのルールを満たす用意ができているかどうかをしっかりと見極めていきたいと考えておりますが、いずれにしても、英国の加入プロセスが、協定のハイレベルを維持しつつ円滑に進むように、しっかりマネージをすると同時に、日本として、守るべきは守り、また攻めるべきは攻め、我が国の国益にかなった最善の結果が得られるように、取り組んでいきたいと考えております。
 それからコロナについてでありますが、昨日をもって緊急事態宣言、まん延防止等重点措置を全て解除いたしました。
 もうご案内のとおり、全て改善がなされております。新規陽性者数で見ますと、ほとんどがステージ2になっておりますが、大阪、兵庫はステージ3のレベルですが、先週比0.6程度で減少傾向が続いております。
 沖縄がステージ4のレベルですが、ここはワクチン接種が進む中で、専門家の皆さんも「必ずしも25を下回ることが絶対に必要だということではない」ということで確認がされておりますし、沖縄も先週比0.53で減少が続いております。病床も使用率21%ということで大きく改善をしてきておりますので、現場の医療界の声も聞いておりますが、沖縄も解除ということになります。
 その上で今後も冬の感染拡大が想定されますので、解除については段階的に行うということで、既に発表したとおりであります。各県で若干の差はありますが、基本的に段階的な緩和を進めていくということになります。
 それからそれに関連して、以上のことを本日の閣僚懇談会でも私から発言したところですが、併せて関係大臣には引き続きの感染対策を各業界で取っていただけるように、ガイドラインの改定・進化の作業をずっと進めております。これについても引き続きお願いをするということ。それからワクチン・検査パッケージの技術実証を10月から開始するということでありますので、それについてのご協力、これについて各大臣にお願いをしたところであります。
 そのワクチン・検査パッケージの技術実証について資料をすでに昨日公表しておりますが、北海道から沖縄までここに書いてある県で、様々なジャンルの店舗で行います。
 居酒屋、ビヤホール、料亭、ビストロ、ホテルのレストランなど様々な店舗で行います。それからライブハウスや小劇場でも、この4つの道県で行います。具体的な店名は後日、ホームページで発表いたします。
 また、大型イベントは10月6日のJリーグのルヴァンカップから行います。それぞれの試合でありますし、10月18日からの世界体操選手権でも行います。プロ野球についても10月11月で行うということで、調整を進めております。なかなか日本シリーズやクライマックスシリーズの日程が決まりませんが、プロ野球の方も進めております。他方、音楽のコンサートなども同様に調整を進めているところであります。
 今回の課題ですが、幾つか検証していかなければいけないということで、一つはオペレーションがちゃんとできるか。事前の検査、あるいはその場の検査、あるいはワクチン接種証明。これは紙でありますが、写真を撮ってもらって、それをスマホで見るという確認も、本人確認をしながらやるという、こうしたオペレーションが実際にスムーズにできるか、という検証が何より重要であります。
 それから検査も3日前検査と当日の抗原検査キットと両方使いますが、このタイミングが海外では72時間とか、当日24時間以内とか、いろいろありますが、日本としてどういう形で、「ワクチン接種証明がない方の検査をどう行うか」というところの課題があります。
 それから新たな技術の検証も行っていきます。これはQRコードを使ったり、入場者リストをしっかりと確認して、濃厚接触者などを追い掛けていける仕組み。それからCO2のセンサーなども活用する。それから具体的にどういったコストが掛かって、その負担をどう考えていくのかという点もあります。
 抗原検査キットも薬局で15種類購入できるようになりました。まだ価格は一定程度しますが、今後活用が広がると安くなってきますので、こうしたこともできる限り手軽に、できるだけ安い金額で手に入るようにと。これは普段のセルフチェックも含めてですが、対応していくところでありますので、こういったコスト面をどう考えるか。
 それから利用者の利便性も、アンケート調査など採りながら見ていきたいと思います。これはオペレーションとも関係しますが、長い時間待たされたり、手間が掛かったりする。あるいは少し前に行かなければいけない。事前の検査。こういったところの利便性をどう考えていくかということも、しっかりと見たいと思います。国民的な議論を行っていく上のデータにしたいと思っています。
 それから今後のフォローアップとして、感染が出たのか出ないのか、2週間後、3週間後、どういった検査を行っていたのか、どういったオペレーションをやっていたのか、こういったところも含めて、こういったことを技術実証しながら、行っていきたいと考えております。
 それから、モニタリング検査を申し上げますと、今、平日はだいたい1日1万件ぐらい行ってきております。休日はどうしても休みが多くて、なかなかそこまで増えないですが、1日1万件程度、無症状の方を対象に行ってきております。
 現在9月に入って特に学校、幼稚園、保育園に重点を置いて検査をしております。1都3県を中心に、感染拡大が厳しかったところを中心に行ってきております。もう既にこれまで行ってきた大学、高校、それから中学校、小学校、幼稚園、保育園など、かなりの数行ってきております。
幼稚園、保育園でいえば、全国で350の団体、大学でいえば64の団体。特に大学の運動部などは定期的に検査も行ってきておりますので、そういった取組を引き続き進めたいと思っております。コロナに関しては以上であります。
 それから経済の指標が幾つか発表されていますが、必要があればまたコメントしたいと思いますが、日銀短観、労働力調査など、あるいは鉱工業指数も昨日公表されています。
 足元の経済の状況、繰り返し申し上げますが、半導体不足、あるいはアジアでの感染拡大による部品供給の停滞、それから中国の恒大集団という不動産開発会社の問題。最近では電力不足も指摘をされ始めています。
 それからアメリカの金融政策の動向、こういった様々な要因で、マーケットが少し不安定になっておりますが、緊急事態宣言解除の下で、段階的に経済活動の制限が緩和されていきます。そしてワクチン・検査パッケージも進めていく中で、また、これまでのペントアップ需要、いわゆるリベンジ消費というものも期待されますので、日本経済は着実に回復基調に戻っていくように、成長軌道に乗っていくように、企業の設備投資も旺盛な意欲を感じております。新たな時代、デジタルとかグリーンとか、大きな時代の転換点に来ている中で、新たな投資も行われてきております。
 そうした新しい経済、岸田新政権の下で、新しい資本主義の形を模索していくと新総裁は言われておりますが、まさに新しい時代になってきておりますから、そうした成長軌道、新しい成長、それを模索していくということになると思います。
 いずれにしましても、厳しい状況に置かれている飲食店の皆さんへの協力金であるとか月次支援金、あるいは雇用調整助成金も11月末まで延長することにしております。また、厳しい世帯への30万円の支援金、あるいは2人親の方も含めて厳しい世帯への、子ども1人5万円の支援、これももうほぼ終わっていると思いますが、そうした支援をしっかりと目配りをして行いながら、経済を回復軌道に乗せていくこと、このことに全力を挙げていきたいと考えております。
 もちろん感染拡大防止と両立をさせていくということが大事ですので、そうした観点で経済財政運営に万全を期していきたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)大臣が最後のほうにおっしゃいました、岸田新政権がこの後誕生するということで、自民党総裁選挙の今回の結果と、また、党役員人事が出始めておりますが、現時点でどのように受け止めていらっしゃるか教えてください。
(答)まず今回、私自身はコロナ対策、この緊急事態宣言をどのようにしていくのか、ということの議論を進めておりましたので、なかなか時間を割いてというわけにもいかなかったですが、そうした中でテレビで拝見したりしておりました。残念ながら地方に遊説ということは、今回はこのコロナ禍でできなかったということですが、逆にオンラインで日本全国の若い方も含め、様々な世代、様々な業種の方々と政策論争がかなり活発に、4人の候補者の中で繰り広げられたということは、良かった面もあるのではないかと。
 地方で遊説して、その場で演説される、もちろんそれも一つの、それぞれの候補者の政策を主張する場面ですが、オンラインでかなり突っ込んでいろいろ議論が、政策論争に時間が取れたということは、非常に良かったのではないかと感じております。
 その上で岸田総裁に決まりましたので、私自身どういう立場になるかは別として、自民党の一員として、岸田政権をしっかりと支えていきたいと考えております。
 特にこの2年間の私自身の大臣としての経験、特にこの1年半のコロナへの対応、この経験はしっかりと日本の将来のために生かしていきたいと考えています。
 いずれにしましても政府与党の一員として、今後も日本のそれぞれの課題に対応しながら、日本の将来、次の世代のためにも汗をかいていきたいと考えています。
 挙党一致で、ノーサイドでやると言われていますので、それぞれの議員の持ち味をそれぞれの場面や持ち場でみんなが生かしながら、日本の将来のために、それぞれの持ち場で全力を尽くしていければと考えています。総選挙が近いということがありますので、どういう立場になるか分かりませんが、自民党としてしっかりと公約、コロナ対策や日本経済や、そういったことに公約をしっかりとまとめて、そして総選挙に臨んでいければと考えています。
(問)9月30日の公表時点で、全人口当たりの1回接種が70%、2回接種は59.3%になっていまして、浜通りの相馬の辺は、8月段階で85%とか。ここまで来ると本当に思わなかったですが、やはり減ってきたのはワクチン、これのスピード感というのが、国民的にもやっぱり一番大きかったのではないかと。
 エビデンスの問題ではないですが、その勢いでいえば、尾身さんたちがやられた全人口の7割、あるいは7割を超えることは十分可能、というような数字が出てきているように私は思いますが、このワクチン接種のスピードについて今現在、日本は頭止まりになるのか、これから抜けていけるのか、そういうことを含めてどうお考えなのか伺いたいです。
(答)まず今回の新規陽性者数が減少してきた、感染者が減少してきたことについては、ワクチン接種が進んだこと、これが大きな要因の1つだと思っています。
 先般も尾身先生が幾つか要因を分析されておられましたが、ここは特に高齢者の方の重症化を防いでいるということも含めて、それが40代50代、当初は中等症が増えた非常に危機感がありましたが、この世代のワクチン接種も進んで、全体として今おっしゃったように、ほぼ6割の方が2回接種を終えるという中で、65歳以上の方、高齢者でいえば9割の方が終えられる中で、50代、60代、40代の方も含めてかなりの接種が進んでいるということが、大きな減少の要因の1つだと考えています。
 その上でワクチンを接種されない方の、特に夜間の外出が減っていること、これは先般データをお示ししたとおりで。これもリスクを感じておられるのだと思いますが、接種が終わるまでは外出を控えようという行動を取られてきたことも、要因の1つではないかと見ております。
 その上でワクチン接種率の動向を見ますと、我が国はスタートが遅かったですが、これを見ていただいたら分かりますように、ブルーが日本です。国内の治験なども踏まえてスタートしましたのでスタートは遅かったですが、先行した、これがイギリスです。それから次に先行したアメリカ、それからこれがドイツとフランスですが、日本のこのスピードは、非常にどの国よりもスピードが速く、今やアメリカ、ドイツを抜いています。これは1回接種した人の割合で見ていますので、7割ということですが、イギリスが71.5%、フランスが74.3%で、ご指摘のように7割のところで、だいたい横ばいになってきているということで、日本はまだ7割に来てもこの角度でありますから、この後もできれば8割、85%へと。85%というのはなかなか高い水準ですが、ワクチン接種の効果をしっかりと丁寧に説明しながら、若い方も含めてご理解をいただいて、何とかできるだけ高いレベルに持っていく。
 このままの角度が続いてくれれば、かなり高いレベルになるということは、このコロナに対して一定の感染予防もある。大きいのは発症予防、重症化予防ですので、是非これからも丁寧に正確な情報を伝えていきたいと思います。
 私も先般、ユーチューバーのはじめしゃちょーとの意見交換で、若い人の声も聞かせていただいて、公表させていただいております。尾身先生もインスタグラムなど若い人の声に応える形で努力、工夫をされています。
 専門家の皆さんの力も借りながら、また、我々もそれぞれ工夫を重ね、努力を積み重ねながら、できるだけ多くの人に接種が進むように、取り組んでいければと考えています。
 ありがとうございました。

(以上)