西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年9月28日

(令和3年9月28日(火) 20:22~21:30  於:中央合同庁舎8号館1階S101・S103会見室)

1.発言要旨

 本日の政府対策本部の決定につきましては、先ほど総理からもありましたので、ポイントのみ申し上げます。緊急事態宣言、それからまん延防止につきましては、9月30日をもって全て終了するということであります。
 これを見ていただきますと分かりますが、いつもの黄色と赤の表ですが、一番重視している病床使用率、緊急事態宣言のエリア、全てもう40%以下の使用率になりました。50をかなり下回っております。重症ベッドの使用数についても、40%を下回る基準まで落ちております。そして、新規陽性者の数もステージ4の25人以上。ここは大阪と沖縄が少し高いですけれども、陽性率も落ちておりますし、前週今週比で0.5前後ということで、非常に大きな減少幅で続いておりますから、こうした現状を踏まえて解除という判断をいたしました。
 特に新規陽性者の数については、専門家の皆さんからも、25を超えたとしてもワクチン接種率が高まってきておりますので、ワクチンが進んできておりますから、病床の方が大丈夫であればステージ4を超えても大丈夫ではないかという御指摘を頂いております。
 特に大都市部で、療養者数とも関係しますけれども、自宅療養者の数と入院調整中の方の数を合わせた人数、これが10万人当たり60人以下を目指していくということで、次のページを見ていただいたら、これがその10万人当たり60人、全て下回っております。これを大体換算すると、新規陽性者の数で10万人当たり50人程度ではないかということで、こちらでカバーしているわけですし、25人を超えても大丈夫という御判断であります。
 新たに頂いた指標についても、今のこの指標もそうですし、救急搬送困難事例も、幾つか少し1を超えた所がありますが、全体として非常に改善傾向。以前、見ていただいた時は真っ赤だったのがもうほとんど白になっているということで、重症者の数もこのように減少傾向ですし、入院率も上がってきているということであります。
 ということで、特に医療の状況を重視して判断をし、本日お諮りをして、分科会でいろんな議論はありましたけれども、最終的にこれで御了解を頂いたということであります。
 そして、今回の一番のポイント、今日の分科会でも御指摘を頂きました、段階的な緩和ということであります。まん延防止等重点措置をやらないからといって、何か全て自由になるということではなくて、これまでまん延防止等重点措置がある時もない時も、あるいはまん延防止重点措置から解除する時も、段階的に緩和ということを常に私自身申し上げてきました。
 もちろん著しく改善した所は、それが必要ないという所が場合によってはありますけれども、基本的には段階的な解除ということで。3つ申し上げると、飲食店への対策としては、引き続き時短を要請していくということで、1カ月までを目途に対応していくと。第三者認証制度を活用していこうということで、換気、それから距離を取る、あるいはこういうアクリル板を置く、こうした感染対策が徹底されている認証店では21時まで、それ以外は20時まで。いずれも酒類の提供は可能ということありますが、地域の感染状況にかなりばらつきもありますので、知事の判断で対応していただくということであります。
 ちなみにこういったことについては、全くの、いわゆるその他地域というか白地地域というか、緊急事態もまん延防止もないわけですので、基本的には都道府県知事の判断でできるわけであります。これまで対処方針にここまで、その他地域、白地地域で書いたことはありません。一部報道で丸投げみたいなことを書かれていましたけれども、これまでは何もない地域は都道府県知事の判断でいろんなことができるわけでありますので、時短なり、いろんな、24条9項で要請ができるわけですので、ここまで書いたことはないのですが、1都3県からの要請もありました。今回、これだけの大きな流行を経験したということもありますので、今後の冬の流行に備えて、やはり段階的に対応しなければいけないということで、今回このような形でお示しをし、分科会でも了承いただきました。
 イベントについては、これまでも段階的な経過措置というのをお示ししています。人数上限5,000人または50%以内の下で、いずれか大きい方で1万人を上限とするということであります。
 それから外出移動制限。ここはこれまで不要不急の外出自粛ということでお願いをしてきましたけれども、ワクチン接種が進んできたこと、また、これだけの感染が抑えられたこと、医療も安定してきたことから、外出する際には混雑を回避する。混雑する時間帯とか、買い物の時に場所を回避して少人数で行動する。大人数で混雑の場に行くとリスクが高まるということであります。
 それから、テレワークも引き続き「新たな日常」の象徴として定着をしていただきたいと思いますけれども、今なお、昨年よりも5ポイントから10ポイント近く、朝の出勤者数は東京も関西も減っています。そうした中で柔軟な働き方ということですから、テレワークをできる方は自宅でいていただくと。自宅の周辺で活動していくということであります。飲食店への時短要請がなされますので、8時、9時、それぞれありますが、9時までの場合はお店は9時までということで、夜間9時以降は控えていただくと。こういったそれぞれの状況に応じてありますけれども、基本的に注意をしながら対応していただくということであります。
 それから、県をまたぐ移動は基本的な感染対策を徹底して、これまでも申し上げているとおり、少人数分散といったようなことを分科会からも提言を頂いておりますので、リスクの高いことは避けていただいて、基本的な対策を徹底すると。特にワクチンの接種がまだ終わってない方はリスクがあるということで、検査を勧奨いたしております。
 こうしたことについても、それぞれの地域で感染状況は違いますし、県内である地域が感染が広がるケースもあるでしょう。あるいは隣の県で感染が広がるケースもあるでしょう。そうした状況に応じて、基本的には都道府県知事の判断で、さらにいろんな細かいことを県民の皆さんに要請なりをしていただくということになります。
 ちょっと何点かだけ。今日、これは特に分科会で議論になったわけじゃないんですけれども、アドバイザリーボードで出された資料で、イギリスの新規陽性者とワクチン接種者数です。
 これが18歳以上のワクチン接種率の割合ですから、1回目ですかね。18歳以上でここまで来ています。新規陽性者数は他方これだけまた増えてきています。これだけ増えるわけです。新規入院者の数はこのレベル。新規入院者はこちら側ですね。この色は新規入院者。入院者数が、グレーの色が見えないな。
 いずれにしても、例えば人工呼吸器付き療養者の方もこれだけの数が出てくるわけです。新規入院者の数もこれだけ出てきます。これがそうですかね。入院者数ですかね。これですね。入院者数もずっと増え続けています。ということで、これだけのワクチン接種が進んでも、新規陽性者がこれだけの数、そして入院者数も出るということであります。
 アメリカも同じでありまして、ワクチン接種率がこのように6割、7割というところに来ていますが、新規陽性者の数はブルーでこれだけの数、7日ですから1週間で15万人とか出ているわけでありまして、これだけの数が出る。そして、新規の入院はないですが、入院者数もこの色ですからこれだけの数が出る。それからICUに入る人もこれだけの数がある。新規の死亡者数も、紫ですけれどもこれだけあるということで、今、日本はアメリカのワクチン接種率を超えましたけれども、アメリカ、イギリスでもこのぐらい出ると。
 もう一つ、イスラエルはちょっと小さな国ですが、同じようにワクチン接種率が7割のところで大体頭打ちになっているのですが、新規陽性者の数は非常にまた増えておりまして、これまでの波よりも大きな流行になっています。1万人の単位になっています。そして、新規死亡者の数も一定程度出てくる。イスラエルの場合は、ワクチン接種が去年の12月から始まっていますので、今年の2月ぐらいからもう6割になっているわけですけれども、いわゆる6カ月、8カ月経った人が出てくる状況ということでありますので、ワクチンの効果が落ちてきたのではないかということが言われていますが、いずれにしても今日、専門家の皆さんからもリバウンドに最大限警戒をということでお話が、多くの委員の皆さんからありました。
 これだけワクチン接種が進んでもワクチンの減退もありますし、打っていない方も一定程度おられるので、特に去年11月、12月にあれだけの流行になりましたから、もう一度、再びまたああいう感染が起こる可能性があると。それに備えなければいけないということであります。
 何度も申し上げていますけれども、緊急事態を解除すれば活動は活発になりますから、人との接触が増えて、当然、感染がまた増える。もちろん今はワクチン接種が進んでいますから、これまでとは状況が違うとはいえ、海外の状況を見ていると、また大きな流行は起こり得るわけでありますので、それに備えるということ。このことを強く御指摘を頂いたところであります。
 そのために段階的に緩和をしていき、一度、一気に活発な活動にならないように、感染をできるだけ抑える。それから、冬に備えて医療をしっかりと確保していく。それから、感染拡大の予兆をつかむためにQRコード、あるいは検査の拡充とか下水のサーベイランスとか、これまで進めてきたことをさらに前へ進めていくということ。そして、予兆があれば、機動的に様々な対応を打つ。これはまん延防止等重点措置も含めて機動的に対応する。そうなったとしても、皆さんの命を守れるように、医療の体制を引き続き強化をしていくということで、厚労省を中心に、今、臨時の医療施設を引き続きお願いすることを含めて、対応が進んでおります。
 今日はこうしたことについて御議論いただき、そして基本的対処方針に今の趣旨を盛り込んだところであります。
 今後の取組についてもそういった趣旨が書かれているところでありますので、以上、私からポイントを申し上げたところであります。
 私からは以上です。
 
(尾身茂会長)どうも、また今日もよろしくお願いします。私の方は、スライドをお願いします。今日はたった3枚、簡単に御説明させていただきます。
 今日は、解除するということはみんな賛成して、むしろ解除した後、このことが非常に強調されて。解除後に国も自治体も我々専門家も、ワンボイスで明確なメッセージと総合的な対策が、一言で言えば、これをしっかりと確認してくださいということで、今日、会議が終わって、いわゆるぶら下がり、そのときに申し上げたので、これは復習ですから簡単にしますが、一般市民の皆さんにお願いしたいということで、感染対策の継続。
 今回は、今、大臣の方からも、ステイホームというより、もう今の段階では家にずっといてくださいというよりは、感染リスクの高い場面の回避、混雑した場所、時間、換気の悪い、大声の、こういうこと。感染リスクが高い所を、外に出ても回避してくださいということと。あとはワクチン未接種はより慎重に。それからこれはよろしいですよね。いろんな学校とか運動クラブなんかで、未接種が多い所はなるべく。高い予防接種をやってください。
 それから、もうここは繰り返しませんが、国、自治体は段階的な慎重な緩和で。自治体にとっては地域の感染状況に通じて、特措法24条9項、これは今日、重点措置を出した方が良いんじゃないかという声が一部でありましたけれども、こういうようなことで自主的に自治体がこれを使ってやってくださいと、必要であれば。それに対して、国は自治体が必要な支援をやってくださいということ。
 それから、重点というようなこと、あるいは何か一つのことだけに限定するんじゃなくて、今は総合的な感染対策、それから医療提供体制のさらなる強化という、こういうことが大事。
 それから最後になりますけれども、リバウンドの予兆があった場合には迅速かつ効果的な、重点を含めた強い対策を打つと。
 この5点をしっかりメッセージとして出す、あるいは実行するという前提というか条件で、今回、この緊急事態宣言の解除を合意したということです。
 これは前にも、全体像でこういうことを一般の市民にも共通の理解をしていただければということで。総合的な感染対策と医療提供体制の拡充。こちらをしっかりやれば、日常生活の制限とか社会活動の制限というものをどんどん軽くできるという。こういうシーソーのトレードオフの関係になっているということで、しっかりとした個人の基本的感染防止対策に、ワクチン、検査、科学技術、飲食店、こうしたことプラス、医療供給体制の充実、相当しっかりやれば、だんだんと日常生活を元に戻すと。この大きな考え方をみんなで共通の理解をすることが必要だと思います。
 最後になりますが、次のスライド。これは今、総理の会見でこれからどうすべきかというときに、やはり今回なぜ感染が上がったのか、あるいはなぜ感染が急に下がったのかという評価をする必要があるということで申し上げたことで、簡単に。
 実はここに書いてある5つに加えて、1つ重要な要素は、我々が何度もこの1カ月、2カ月申し上げてきた、夏休みがあり4連休がありお盆があり、こういうことで感染拡大する可能性があるという、その感染上昇の要素というものが一応なくなった、取れたということがまずあると思います。
その上で、先ほど申しましたように5つの要素で、こういう医療の逼迫とか、非常に急激な感染拡大があって、こんなことだというふうに人々の危機感というものが、かなり醸成。それによって今まで以上に、これはなかなか定量化することはできませんけれども、こういうことがあったんじゃないか。
 それから、ここは人流のことがいろいろ今、議論されていますけれども、我々がここで何度も示したので、記者の方、ジャーナリストの方は覚えておられると思いますが。我々は例の8月12日でしたかね。人流の5割といって、実は人流というのは特に夜間の滞留人口というのを示して、それの5割というのを皆さん覚えておられると思いますけれども。なぜ夜間の滞留人口に着目したかというと、これが感染の推移と比較的明確に相関するということが分かっていたので、これをなるべく5割にしてくださいよと。緊急事態宣言の発令前に比べてです。
 ところが、残念ながら5割には達しなかったけれども、大体、その後、6週間以上、20%から35%ぐらいの減少、かなり低いレベルに維持されたということで、人々の、ここも協力ですけれども、そういうことがあって。
 あとはこれはまだ推定でこういうことを、我々は仮定をしていますけれども、特に人流の、繁華街における夜間滞留。比較的、この危機感ということもあったかと思いますが、むしろ未接種の人。未接種の人は若い人が多いですよね。そういう人が今回、こういう所に行くことを避けてくれて、むしろ逆にワクチンを打った人たちは出掛けた可能性で、むしろワクチンを打っていない人の人流が下がったという、そういうデータも一部あるということ。
 それから、これは当然ワクチンの接種率の向上ということが関与しているということで。ただ、これは実効再生産の推移から推定しているわけですけれども、本当に厳密な意味で推定するためには、実はワクチンを持った人がおられるけれども、それと同時に自然感染を起こした人もいる可能性がありますよね。そういうことで、いわゆるセロサーベイランスと言いますけれども、抗体の保有率というものをしっかりと見ていく必要がさらに今あると思います。
 それから、医療機関、高齢者施設の感染者数の減少ということですけれども、前から申し上げましたが、以前は若者から起点で高齢者の方にいくということですけれども、今回はワクチンの接種があって、高齢者に感染が少なかったということと、院内感染というのが、ワクチンと同時に院内感染の方法もかなりいろんなところで努力されたということで、高齢者の感染者が少なくなったということで。今まではだらだらと下がるのは、それがなくて急にということもあった可能性がある。
 それから、気象の要因。これはなかなか前の4つに比べて少し、こういうこともあるんじゃないかというようなことで。これは現時点での我々の考えですけれども、これからさらにいろんな分析を加えて、さらにしっかりとしたことができるように検討を進めていきたいと思っています。
 そんなところで、今日はどうもありがとうございました。

2.質疑応答

(問)緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が30日で解除された後の段階的規制緩和についてお伺いします。
 今日の分科会では全面解除の諮問案が了承され、同時に飲食店への時短営業要請やお酒の提供、イベント制限などについても段階的な緩和の方針が示されました。ただ、この後、冬に入り、年末年始を迎える中、リバウンドによる医療体制の逼迫や、いわゆる第6波も懸念されています。
 そのような中で、具体的にはどのようなスケジュールと内容で段階的に規制緩和を行っていく考えでしょうか。配布資料や冒頭説明にも少しありましたが、改めてもう少し具体的に、大臣と尾身会長からそれぞれお聞かせください。
(答)先ほど申し上げたとおりですけれども、昨年も11月の半ばぐらいから、北海道では11月の初め、10月の終わりぐらいですかね、寒くなるのが早いですから、感染が拡大していった。そして、11月後半から12月、1月と非常に感染が増えたわけでありますので、その経験。寒い時は、何度も申し上げていますが、暖房を入れて閉め切った所で活動がある、かつ乾燥しているということで、感染しやすいと言われていますので、その時期には備えなければいけないということで。ただ、今の感染状況については、先ほど申し上げたとおり、御説明、表で見ていただいたとおり、かなり減少傾向が顕著で、医療の逼迫度も緩和され、安定的な体制になってきているということであります。
 先週の1週間のシルバーウィークも、私どもは警戒をして見ていました。人出はかなり、東京から郊外、江の島や鎌倉の人出もかなりありましたので。その後も、実は先行指標としていつも見ているんですけれども、いわゆる発熱外来の相談件数、これについて東京も大阪も、それぞれ大都市圏を見ていますけれども、いずれもこの間、先週から今週にかけても増えていることはありませんので、足下で何か急激に増えてくるという予兆は感じておりません。
 そういったことも含めて、今回解除をさせていただき、まん延防止等重点措置も取らずに、それぞれの地域の知事の判断も含めてですけれども、段階的に緩和していくということにしたわけであります。
 ただ、先ほど申し上げたとおり、その他地域で、基本的には知事の裁量の範囲で自由にできるんですけれども、こういった大きな流行を経験し、この後また冬に来る可能性があるという中で、段階的な緩和の基本的な考え方を、言わば初めて対処方針でお示しをした。それが、感染防止策が徹底されている認証店では21時までの時短であり、そうでないお店は8時までの時短。ここは知事の判断で、酒類の提供を停止する所もあると思いますけれども。いずれにしてもそうした対応で、1カ月までを目途ということで書いてありますので、ほとんどもう感染がなくなっている地域だと、例えば広島辺りも感染は非常に低いですから、1カ月やることはないと思いますが、それぞれの地域の知事の判断で、2週間なり3週間なり1カ月なり、判断がなされると思いますが、まず一定期間はそうしたことで対応するということが必要だと思っています。
 それからイベントについては、これまでもお示ししたとおり、1カ月は先ほど申し上げた上限1万人という中でやっていただきます。その後、感染拡大が見られなければさらに緩和されていくということであります。外出についても、当面という言い方をしていますけれども、先ほど尾身会長からありましたし、尾身先生からさらに御説明があるかもしれませんけれども、これまでのように不要不急の外出自粛でとにかくステイホームということではなく、リスクの高い場所を避けるということで、混雑した場所、買い物の時間帯、そういったところを注意していただく。引き続きテレワークはお願いしますので、テレワークをやれる業種の方々は、エッセンシャルワーカーの方はもちろん配慮しなければいけないのですが、そういった方々は自宅で仕事もしていただくということで、引き続き出勤者数は一定の割合、減少した状態で維持されるものと思いますし、9時までの時短ということであれば、9時以降の外出はできるだけ控えるというようなことも含めて、対応していただくということになります。
 いずれにしても、今後、ワクチン接種率が一定になった段階で、いわゆる技術実証も行いながら、ワクチン・検査パッケージの導入を考えていきますので、特に移動などについては、どういう形で利用してもらうかというようなことも含めて、具体的に検討を進めていきたいと考えております。
(尾身茂会長)もう今、大臣がおっしゃったように、段階的な緩和というのはどのぐらいのスパンでやるかという御質問ですよね。私は2つの観点から、3週間とか1カ月ぐらいが適当だと思います。
 なぜかと言うと、前から申し上げていますように、3週間ぐらいになると人々の行動が感染の数に反映する。この期間が3週間ぐらいということと、実は今は、先ほど大臣がおっしゃったように、11月になると希望者のほとんどがワクチンを打つことになりそうですよね。それまでのこの一月、3週間、これが言ってみれば過渡期という考え方ですので、この間少しやってみると。その後、また評価を当然することになりますから、その中で11月頃になると、ワクチンの接種が安定すると、これがどういうふうに感染の推移に影響するか。重症者あるいは中等症者に影響することがだんだんと明らかになりつつあるので、それでまた別の方向にいく。そのときにはワクチン・検査パッケージなんていうことの実証実験も終わっているから、これをどう活用するかということも見えてくるのではないのかと思います。
(問)すみません、2点お願いします。
 対策本部の資料の方で、中小企業向けの月次支援金が9月までとなっていると思うのですが、飲食店への制限は10月以降も続くので、どういった形になるのかということ。あともう一つ、新型コロナの今後の取組というものも今日発表されたと思うのですが、そこでワクチン・検査パッケージを活用した飲食店への制限緩和のところで、協力金の見直しを行うという記載がありました。具体的にどういった見直しを検討しているのか、お願いします。
(答)まず、月次支援金については、全て解除ということになりますので、現時点で変更は考えていないということです。
 これまで飲食店以外の皆さま方も、緊急事態、まん延防止の影響を受けて、大変厳しい状況にある。売上げ50%以上の事業者には、個人事業主を含めて支援を行ってきておりますので、全て50%減も満たされるとすれば、9カ月にわたって、最大20万円ということですので、180万円の支援になります。
 また、都道府県で地方創生臨時交付金を活用して、それぞれの県で、これまで合計、県には5,000億、市町村に1,000億の配分を今年はしております。昨年は3.4兆円だったと思いますけれども、配布しておりますので、それを活用して、今の20万円、10万円の月次支援金の上乗せ措置、あるいは50%減でなくても30%減でも支援の対象とするという要件の緩和、こういったことが40の都道府県で行われてきております。国の支援としては現時点では9月までということですけれども、それぞれの都道府県で要件緩和、上乗せあるいは延長など、対応がなされるものと思いますので、それぞれの地域の実情に応じて、今後は時短要請なども変わってまいりますから、影響を受ける方々の状況を見られて、都道府県で判断をされていくものと思います。
 いずれにしましても予備費もまだ2.6兆円ありますので、影響を見ながら、必要な対策は機動的に講じていきたいと考えています。
それから2つ目の点は、ワクチン・検査パッケージの話ですかね。これは、今後、ワクチン・検査パッケージをどのように活用していくかということは、技術実証もやりながら、現場で対応が可能なのか、利用者の皆さんもきちんとそれが対応できるのか、そういったことも含めて考えていきますが。例えばそこにありますように、今回、人数4人以下ということも改めて通知でお願いをしようと思っています。これまでどおりです。それぞれの飲食店、時短要請もそれぞれの県でありますが、5人以上はリスクが高まるということで4人以内でお願いしようと思っています。
例えばワクチン・検査パッケージを使って、4人までの所が5人、6人とする場合には、ワクチン・検査パッケージでそうした方々に限ってなら認められるというようなこともありますし、ワクチン・検査パッケージを使うことで、例えば20時までの時短を21時までにするとか、お酒が提供できないけれどもお酒を提供できるようにするとか、そういったことを対応することによって、当然、普段に近い活動ができるということで。協力金の在り方については、全く店を休んでいる店、時短をやっている店、お酒を出さない店、それぞれ状況が変わってきますので、もう少しきめ細かな対応が必要ではないかということで、このような書き方をしています。
今の段階で、このワクチン・検査パッケージをどのような形で導入していくか、まだ決めておりませんので、技術実証をしながら、そして国民的な議論を経て導入していく。その上で、飲食店の皆さんに導入する場合に、それぞれの影響を勘案しながら対応を考えていくということになると思います。
(問)今の点で教えていただきたいんですが。ワクチン・検査パッケージのところで、例えば「緊急事態宣言下でも酒類提供を認め、21時までの営業を可能とする」とありますが、ここら辺に書いてある具体的な制限緩和策というのは、技術実証を終えてワクチンが普及した後、政府が考える制限緩和策のことなんでしょうか。
 すみません。もう1点、全く別の話題なんですが、GDPについて伺います。足下、緊急事態宣言の影響で、7-9月期はGDP成長率が低迷する見通しなんですけれども、今回は宣言解除で今後の経済とか消費の見通し、こちらについて教えてください。よろしくお願いします。
(答)ワクチン・検査パッケージの飲食店の活用については、様々な議論があります。専門家の皆さんの間でもいろんな議論があって、海外でもいろんな対応があります。
 例えばニューヨークとかフランス、ドイツの場合は、ワクチン接種証明あるいは検査陰性証明がないとお店に入れない。マクドナルドとかスターバックスとか、1人で仮に利用する場合も、そこでそれがないと利用できない。それに対して罰則まであるという、非常に厳しい措置が取られている。
 フランスの場合は確か大統領令でされたということで、一定の期間だけだと思いますが、大変なデモも起こったわけです。それから法律を作って対応している国もあります。条例的な各州なり市のやり方でやっているところもあります。そういう一律に導入するということも、基本的にやっているところがあります。
 特に欧米はロックダウンという非常に厳しい措置を取りますので、そうならないように、普段からこのワクチン・検査パッケージのようなやり方で対応していこう、という考え方だと思います。他方、イギリスのように、そうした義務化はしないと判断された国もあります。
 日本の場合も、どのようなケースで入れていくか、技術実証を経て対応していきたいと思っています。例えば牛丼を1人で食べるお店に入るときに、ワクチンか検査か、やる必要があるかどうか。黙々と1人で食べる場合に、席もきちんと離れている、あるいはアクリル板がある、感染防止策が取られている認証店で、全ての店舗でそれをやるようなことが実際可能なのか、理解が得られるか、こういったことも議論になると思います。
 例示として挙げているのは、緊急事態宣言とかまん延防止とかのときに、これまでやってきたのは第三者認証。今回もやろうとしているのは、第三者認証のお店は感染防止策を徹底していますから、少し制限が緩いというメリットがあるということで、感染防止策を徹底してもらおうと。換気の設備を入れる、アクリル板を入れる、そういったことです。
 さらにワクチン・検査パッケージがあれば、それなりに感染リスクを下げられるわけですので、かなり下げられますから、そういう意味で緊急事態あるいはまん延防止のときに、制限が厳しいときにそれを入れた場合に、少しそれの制限が緩和できる。
 こういった考え方もあるわけでありまして、この辺りを例示として挙げておりますけれども、技術実証を重ねながら、そして国民的な議論。今、申し上げたようなケースで、そこまでみんな検査、ワクチン接種証明をやるのかと。お店の方も一人一人それをやらなければいけない。また、500円、1,000円の単価に対して、検査がまだ今はもう少し高いですから、そういったことをやるのが現実的なのかといったようなことも含めて、コストであるとか、現場で実効性があるのか、国民の皆さんに理解が得られるのか、こういったことを含めて論点をしっかりと整理して、導入に向けて議論を進めていきたいと考えています。
 それから、GDPにつきましては、確かに御指摘のように、今回7-9月期で見ますと、9月いっぱい緊急事態宣言がなされたわけでありますので、特に消費を見ますと、毎週お示ししている週次の消費額、マクロミルの数字も過去3年、去年を除いて17年、18年、19年の幅から比べて、それより低い水準で推移がなされていますので、消費はなかなか厳しい状況にあると思います。
 他方、輸出、生産は好調だったのですが、ここに来て半導体不足、さらには東南アジアの感染拡大により部品供給が滞っており、御案内のとおり自動車各社が減産を表明しております。そういった影響がそれなりに出てくるものと思いますので、そういったことを踏まえて見ていかなければいけません。
 これまでも月例などでも申し上げている通り、住宅着工とか設備投資、こういったところは非常に意欲の強い数字がありますので、全体としてどうなっていくのか、細かく数字を見ながら、経済の状況に目配りをしていかなければいけないと思っております。
 厳しい状況にある方々に対しては、既に一人親の方々には5万円、夏には二人親の方でも所得の低い方には、子ども1人5万円の給付。それから、今もなお厳しい状況にある方には30万円の支給、これも行っております。こういった対策を必要とする方に、しっかりと届けていくということだと思いますし、雇用調整助成金、休業せざるを得ない方々への支援、あるいはお子さんが休むことによって休業しなければいけない、そういった方々への休業支援金を含めて、必要な対策を講じていければと考えています。
(問)大臣と先生に1問ずつ質問させてください。
 大臣に。いったん全面解除に持ってこられたということは、これは総理大臣、尾身先生、脇田先生らの尽力の賜だと思います。これは高い評価をされることだと思います。一方で明日、新総裁選出となります。それで新政権になっても、大臣はもとより、分科会をしっかりとこのまま継続してくれるのか、という懸念があります。分科会、専門部会の継続性、あり方に関して、担当大臣として新政権に望むことがありましたら、是非、教えていただきたいと思います。
 尾身先生に。今の御説明でも感染者の急激な減少の要因は5つ考えられると。ただ、今の段階でこれは仮説だと思うんです。今後、詳細に分析していく必要があるとおっしゃっていらしたと思います。気になるのは、今回これほど早い段階で、感染者の減少を予測した専門家は、知る限り1人もいらっしゃらなかったと思います。原因を知ることができれば、第6波の防止にも役立てると思いますが、急激に減少した詳細な分析はいつ頃公表できるものなのでしょうか。例えば今回、実は感染しても入院できないのではという危機感が、自主的な行動規制をもたらした、ということも考えられると思うんですけれども、いつ頃公表できるのか教えてください。
(答)では、私から。今回、特に4回目の緊急事態宣言は、非常に長い緊急事態となりまして、延長も何度となくされたわけであります。この間、私自身はまさに今のお話のとおり、このまま感染がより拡大するんじゃないかと、収まらないんじゃないかという本当に強い危機感。尾身先生とも毎日議論する中で、相当厳しい強い措置を、どこかで国民の皆さんにお願いしなければいけないんじゃないか、というようなことも含めて考えていました。
 そういう意味で今回、菅政権のうちにこうして解除できたこと、専門家の皆さんにも御賛同いただいて解除できたこと、本当にある意味ほっとした気持ちがあります。
 ただ、先ほど来の話のとおりこれで終わりではないので、言わば新たな戦いが始まっているということだと思います。それはまさにこの冬の再拡大にどう備えていくのか。
 特に医療が今回大変厳しい状況になりましたので、医療をどのようにしっかりと確保し、臨時の医療施設や人材の確保や、こういったことをどういうふうにしていくのか、という非常に大きな課題があります。また、ワクチン接種も進めていく中で、諸外国の例を見ると、今度は3回目ということも考えていかなければいけない。12月以降そういった体制が取られていくものと思いますが、まだどういう形でするか、大きな課題になっています。
 それから、先ほどのお話のとおり、ワクチン・検査パッケージをどのような形で導入していくのか、これもなかなか大きな課題です。そういう意味で、こういった大きな宿題がまだ残っている。新たな戦いが始まってきた。
 尾身先生への質問にも関連しますけれども、この4回の緊急事態、特に今回のデータ分析、これを我々コロナ室、我々の側で分析を進めています。
 我々のチームで、これまで「人流」という言い方で一括りで言っていたものが、夜間の言わばリスクの高い場所での人流、それからリスクの高い時間帯の人流、あるいはワクチン接種を打っていない方の人流、打った方の人流、人流の中身を、全体を1つにして見るんじゃなくて、もう少し細かく分析をしなければいけないんじゃないか、ということも今進めています。
 この点、専門家の皆さんとも意見交換をしながら進めていますけれども、そうしたデータ分析に基づいて、次なる対策もまた考えていかなければいけない。そして、必要なら法改正も考えていかなければいけないということであります。もっと言えば、ワクチンや治療薬を何で国内でもっと早く開発して早くできないのかという、このこともずっと感じてきましたので、これも進めなければいけない。
 様々な課題、もっと言えば、さらに厳しい感染症が来るかもしれないという。今回の経験をしっかりと将来に生かさなければいけない。幾つもの課題、宿題がまだある。言わば新たな戦いが始まっているという状況ですので、新政権でこういったことを含めて、しっかりと取り組んでいかなければいけないと思います。
 この間、私自身は尾身先生と毎日、1時間、2時間とずっと重ねてきました。本当にいろんなことを大所高所から御議論いただき、時には私自身の強い思いを尾身先生にぶつけたことも何度となくあります。専門家の皆さんとのこうした関係を、しっかりと次の政権でも築いてもらわなければいけないと思いますし、ある意味、これまでの経験も踏まえた一定の継続性も必要だと思いますし、他方で局面がまた新たになってきています。
 今、申し上げたように、人流というものも細かく見ていかなければいけない。あるいは若い方々にワクチン接種をどう進めていくか。あるいは一時期から若い方々の行動変容をどうお願いするか。社会学とか心理学の先生に、もっと入ってもらった方が良いのかもしれない。
 こういった点も含めて、私自身しっかりと整理をして、次の政権に必要なところ、先ほど申し上げたような課題も含めて引き継ぎながら、どういう立場になっても、政権与党にはいると思いますので、しっかりと私なりの立場で責任を果たしていければと考えています。
(尾身茂会長)私の方には、いつ、より詳細な分析ができるかという。実は今日の分科会でも、なぜ感染が急激に減少したかということだけではなくて、緊急事態宣言を出したり、今までのいろんな対策がありましたよね。これの評価というのも是非もう少しやってくださいというのが委員から出たので、私どもはそのことも含めて、さっき5つのポイントを出して、それぞれにこう考えたのには理由があるんです。
 今日は時間がありませんけれども、このことのためにはこういうデータ、こういうグラフがある。これにはというようなことがあるんですけれども、それは言ってみれば関係があるということで、因果関係かどうかというのは分からないんです。
 そういう意味で、これはそう簡単ではないんですけれども。しかしこれから前に進んで、また今、大臣がおっしゃったように新しいフェーズに入るので、このことをなるべく、データに限りがあったり心理的なことも入っていて、なかなか定量的には難しい部分があるけれども、なるべく今あるデータよりも、さらに詳細なデータを得て、なるべく早い時期に。残念ながらいつとは言えませんけれども、みんなで頑張ってみたいと思っています。
(問)尾身先生は以前おっしゃっていたけれども、やはり解除に当たっては火種が残ると。そのホットゾーンというかハイリスクをどう抑え込んでいくか、ということをおっしゃっていたと。この中で今日の対処方針で唯一それが見えるのは、やっぱりカラオケですか。基本的に盛り場の中でも密室で行われたり、そういう部分で、じゃあカラオケについて段階的に解除するということが、私にはあまりイメージが湧かないので。
 やっぱりそういうハイリスクでマスクを外して、そういう所には政府が抗原キットを配って、ウイルスが出ていないことだけやらせるとか。実質的なハイリスクの所についてはそういうことをしないと、なかなかカラオケの段階的解除というのは、私にはよく分からないんですけれど。やっぱりどうしても業態的に、かなりうつる確率が高い部分については、やはり政府が抗原キットを配ってそれでやらせるとか、そういう部分がないと、それを都道府県に丸投げされても、なかなか難しいと思うんですけれど。そういうハイリスクというか火種をどういうふうに抑えていくか、ということについてのお考えを伺いたいです。
(答)私から先に言いましょう。尾身先生にはさらに付け加えていただければありがたいと思いますが。
 今回の対処方針でもカラオケをどうするかというのは、我々の中でもすごく議論しました。大きく2つの業態があって、いわゆるカラオケボックスで、これは飲食が出る場合もありますし、自分たちで持ち込んでやるような業態もあるようです。カラオケを主として歌うボックスです。それからもう一つが、昼カラオケとかスナックとか、飲食をしながらみんなで楽しむ場所です。
 大きくこの2つの業態があって、実は最近までクラスターがよく出ているのは、この昼カラオケとか夜のスナック。これは非常に今なおクラスターが出ています。
 ただ、カラオケボックスの方は、感染対策をかなり徹底しているようでありますし、これまで私どもも「大人数はやめてくれ」ということを申し上げているので、今は細かいデータを持ち合わせていませんけれども、割と1人の方もおられるし、2人、3人、少人数で利用される。そして、マスクをしてのカラオケであったり。
 以前に「富岳」のシミュレーションもお示ししたことがあると思いますけれども、換気が上に流れていけば、歌った空気も飛沫も全部上がりますので、非常にリスクが低くなるというケースの紹介もあって、カラオケボックスの方では、かなり感染防止策に徹底して取り組まれているという理解をしています。
 そこで今回、2つに分けまして、飲食を主として対応しているカラオケのお店については、引き続き自粛をお願いしています。ワクチン接種が一定程度進むまで、あるいはワクチン・検査パッケージ、まさにおっしゃるように検査で陰性の方か、ワクチン接種をした方ということで、リスクが非常に低い形でカラオケを楽しんでもらう。
 これも取りあえず飲食は4人以下となっているんですが、カウンターだけあるスナックの場合は、一人一人、7人の人が来るかもしれませんよね。そして結局、7人一塊のように楽しむケースもあるでしょうか。だから、なかなかルールづくりは難しいんですが。しかし、その7人の方が、あるいはお店の方も含めて、ワクチン接種済みか陰性ということが分かれば、かなりリスクは下がるし、その上でビニールカーテンとかマスクをしてとか、消毒を丁寧にやるとか重ねていただけると、かなりリスクも減りますので、そういったことをどういう形で今後進めていくか。
 当面は昼カラオケ、スナックのような業態については自粛をお願いし、ボックスのような所については密を避けたり換気を良くするという、そういう基本的な感染対策を取っていただくということで、やっていただいて良いということにしておりますけれども、今後、ワクチン・検査パッケージの技術実証を、こうした店舗でもやっていただきながら、どのような形で導入ができるか考えていきたいと思っています。
(尾身茂会長)カラオケのことは今、大臣がおっしゃったとおりで、特に付け加えることはありませんが、ワクチン・検査パッケージについて。
私ども専門家は、このワクチン・検査パッケージを検討してくださいということで、これを上手く活用することがこれから求められると思うんですけれども、同時にこれは万能ではないんです。
 ワクチン自身も効果はあるけれども、特に感染防御、今のブレークスルー感染等々があるし、そのことは有効だけれども、万能ではないと。検査は元よりそういうことですよね。だから、そういうことがあるので、運用の仕方を今回の実証実験。
 実証実験は、私の理解は感染がどうするかというスタディーよりも、運用上のいろんな課題を評価するということだと思うんですけれども。上手くワクチン・検査パッケージを、どういうときにどういうふうに使うかというのは、これからまだしばらく時間があるので、より効果的に使う。「有効だけれども、万能ではないので」ということだけは今から申し上げておきたいと思います。
(問)尾身先生にお伺いします。
 今後のリバウンド対策として、機動的に重点措置も含めて、もしはね上がってきたときには対策を取る、というお話で進んでいくかと思うんですけれども。そうなると新しい指標、今の指標は残っていますけれども、解除のための考え方までは出されましたが、ワクチンが進んで環境が変わった中で、じゃあどうなったら機動的に重点を打つべきなのかという基準は、今のところないのかなと思うんです。それを早めに作らなきゃいけないのかと思うんですけれども、目途であったりとか、どういうイメージをされているか、というのがもしあれば教えてください。
(答)今の御質問は、実は今日の分科会でも、ある委員から「どうなっているんだ」という御質問がありました。それで実は皆さんジャーナリストの方は、今日の解除もそうですけれども、今までのステージの考えは当然、まだ有効な部分がたくさんありますから、あれを我々は全くなしにするという考えは、今のところないですけれども、やはりこれから新たな状況が今出てきているわけですよね。
 ワクチンが出てきたり、いわゆる抗体のカクテル療法が出てきて、いろんな様々なことが出ているので、今回の解除の考え方というのは、今までのステージの考えに追加をするという形で、今回はお示ししたんですけれども。先ほど申し上げたように、今回解除があったんだけれども、いざまた何か感染の拡大の予兆、従って医療の逼迫が起きるということを早く見つけるというときに、今までのままで良いのか、新たな考え方をやるかというのは、当然今、我々は考え始めているので、これも先ほどの総括と同時に。
 もう一つここで大事なことは、これから求められるべき姿というのは、今はこの10月が過渡期ということで申し上げたとおりですけれども、いずれワクチンの接種率がある程度、高いところで安定してほしいと願っていますけれども、そうなったときに、これから経済と感染の両立をするということが、今まで以上に求められるわけです。
 そのときに求められる姿というのはどういうものかということを、私はなるべく早く示す必要があって。求められる幅、それはどういうことかというと、イメージということですので、私の今のイメージとしては、医療の逼迫が起こらないようなレベルに、感染をある程度抑える、ということが重要で、医療の逼迫が起こらないような状態でなるべく維持して、その中で経済を少しずつ回すということが恐らくこれから求められると思うんです。
 その求められる幅というものがありますよね。そこの幅から逸脱する場合があるんです。その後、早くタッチをして、そこのレベルから逸脱して、早く元に戻すというようなことが重要なので。そのためには今までの指標に何を加えるか、あるいは何を変更するかというのは、非常に重要だと思うので、解除の仕方と今度は発出する方、これは当然違うので、解除のときには医療の逼迫をより重視する。
 出すときには、感染の動向あるいは中等症者の出方というようなことも重要。ちょっとニュアンスを変えてやる必要があるんじゃないかと、今のところ考えて、これもなるべく早いうちに、これはそう簡単ではないので、いろんな人と専門家の間だけじゃなくて、政府の方とも連携しながらやっていきたいと思っています。
(問)お配りいただいた資料の5-1にある、緊急事態宣言下での酒類の提供などの行動規制緩和についてお尋ねいたします。
 西村大臣にお伺いしたいんですが、国民的な議論を踏まえて検討となっているんですが、結論はいつ頃までに出すべきだとお考えでしょうか。11月から年末にかけて、感染再拡大の恐れがあるというのであれば、その頃には国民的な議論を踏まえての結論というのは、出せるというふうなお考えでしょうか。
 あと尾身先生にお伺いしたいのは、ここに示されている21時まで営業可能ですとか、基本的にはワクチン・検査パッケージを利用すれば、制限が非常に緩和されるような状況なんですが、この案が議論のたたき台として、専門家から見て妥当なものなのか、このことについてお願いいたします。
(答)ワクチン・検査パッケージでありますけれども、まさに明日で緊急事態宣言は解除されるということで、10月から様々な技術実証を行います。例えばイベントで言えば、10月6日にJリーグの試合がございます。ルヴァンカップの準決勝、トヨタスタジアムで行われるもの、ここを皮切りに始めることを想定しております。
 プロ野球の方も、10月、11月でそうした実証を行うということで、調整を進めているところであります。また、飲食店は先般申し上げた、13の自治体から様々な提案がありますので、調整を行っておりますが、現時点で200店舗を超える規模で、様々な業態で行うことになると思います。
 今、尾身先生からありましたとおり、まさに現場で実効性が上がる形で円滑に、そうしたワクチン接種証明か検査陰性証明、場合によってはその場で陰性を確認するケースもありますので、そういったことがきちんとできるのかどうか、という運営上の問題。それから、コストをどう考えるか。
 それから、QRコードなども活用しながら、その後そうした技術実証を行う中で、2週間後、3週間後に感染が広がっていないかどうか。こういったことなども検証を行っていきますので、一定の期間は時間を要するということを、まず御理解いただけたらと思います。
 さらにその上で、できれば利用される方にアンケートも取って、どういうふうに不便を感じたのか、あるいは安心につながったのか、そういったことも含めてアンケート調査なども取りたいと思っていますし、さらに様々な視点から、いろんな意見も求めていかなければいけないと思います。
 今、我々のホームページでも意見を求めておりますので、様々な御意見が全国から寄せられておりますけれども、そうしたことを含めて国民的な議論をして、事業者の側にも理解を頂󠄀き、また、利用される側にも、国民の皆さんにも理解を頂いて、そのことによって感染拡大を抑えると同時に、様々な活動との両立を図っていくという、そうした取組です。そうしたものを国民的な議論を経て、具体的な検討を進めていかなければいけないと思っております。タイミングとして、どのタイミングでどのような形でできるか、制度設計もしていかなければなりませんので、なかなか大変な課題だと思っていますが。
 ただ、9月末の段階で2回接種の方が6割程度。先ほど総理は6割を超えたとおっしゃっていましたかね。手元の最新の数字はまだ見ていないんですが、6割ということで、もうアメリカを超えています。
 当然、10月の半ば過ぎには、それが7割近くになっていくわけですので、かなりヨーロッパの各国でワクチン・検査パスポートと呼んだり、ドイツは3Gと呼んでいますけれども、そういったものが導入されているレベルになってきます。
 当然、日本でも導入が進んできてもおかしくないレベルということでありますが、日本の場合どのような形で。先ほど申し上げたようにすごく幅がありますので、スターバックス、マクドナルド、吉野家さんから全て、ワクチン・検査パッケージを入れるのが現実的かどうか。あるいはイベントを緩和していく段階で、人数を増やすのに使うのはどうか。一定の人数になっても、そうした検査パッケージのオペレーションがきちんとできるのか。こういったことも見ていかなければなりません。
 そして、その後にまん延防止とか緊急事態になったときに、このことを使うことによって、一定の要件で緩和ができるということも、考え方の1つであります。
 そういったことをしっかりと整理をしながら進めていきたいと思っておりますので、今申し上げたような技術実証を10月になって進めながら、国民的な議論を経て導入ができればと考えております。
(尾身茂会長)私の方からは、こういうことで大丈夫なのかと。ワクチン・検査パッケージは先ほど大臣も申し上げているように、今もう全てが決まったわけじゃなくて、これから例えばどういう場面で使うのか、あるいは使わないのかということも含め。
 それからもう一つは、検査もワクチンもしない人というのがいるわけです。この人をどうするか。あるいはいつも、検査またはワクチン、ワクチンまたは検査なのか。場合によっては、ワクチンand検査にしなくてはいけない場合もあるのかないのか。
 それから今、大臣がおっしゃったような費用の問題。そういうことで、これは今、ワクチン・検査パッケージというアイデアがあって、これをどう実際にやるかというのは、そう時間はないので、しっかりと詰めていく必要があると私は思っています。
(問)すみません、コロナと関係ないんですが、話題は変わってTPPのことでお伺いします。
 本日、英国の加入に向けまして、作業部会の初会合が開かれたと思うんですけれども、英国がTPPのハイレベルな貿易投資ルールの水準を満たせるかについて、手応えですとか、あとは今後の交渉の見通しとか、教えていただける範囲で教えていただければと思います。
(答)すみません。今日、私は一日中、コロナ対策をやっておりまして、この関係でしておりましたので、まだ報告を受けていないんですが、そもそももう終わっているかどうかもまだ聞いていないんです。すみません。1日で終わるか、2日かかるか、3日かかるか分かりませんので、まだ今日は報告を受けておりませんので、また然るべきときにお話ししたいと思います。
 ありがとうございました。

(以上)