西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年9月21日

(令和3年9月21日(火) 10:52~11:11  於:中央合同庁舎8号館1階S101・S103会見室)

1.発言要旨

 まずコロナの関係で申し上げます。全国的に減少傾向が続いております。他方、病床の状況はまだ厳しい所も残っております。病床使用率が50%を超えている所、あるいは療養者数が非常に多い所がありますので、引き続き医療の強化に力を入れております。
 大阪では、重症確保病床を40床ぐらい増やしておりますし、今月末に向けて、いわゆる展示場のインテックスに1,000床の臨時の医療施設ということで、今、準備を進めています。さらには大阪コロナ重症センターを野崎徳洲会病院に2カ所目ということで、2施設50床の予定で調整をしているということであります。さらに沖縄でも、この1ヶ月余りで重症者病床を40床近く増やしておりますし、確保病床も増加をしております。そういった形で、それぞれの都道府県で病床の確保、医療の強化に全力を挙げているところであります。
 かなり改善傾向は見られますが、50%ぎりぎりの所、大阪はまだ超えていますし、それから療養者数が何と言っても非常にまだ多いです。それから、医療確保を安定的なものにするためにも、新規陽性者の数がやはり下がってくることが大事になりまして、まだ沖縄も1週間10万人当たり90人という非常に高い水準であります。引き続き感染対策を徹底していくということだと思います。この3連休、人出がかなり出ているという報道があります。かなり活発に活動がされているようでありまして、この辺りの分析も今進めております。
 いずれにしても、それぞれの都道府県と連携して医療の強化に全力を挙げながら、引き続き緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が発動されていますので、できる限り人と人との接触を控えながら、様々な形で自粛をしていただけるようにお願いをしたいと思います。
 この3連休、あるいは今週はまだ休みもあります。活発な活動で感染が拡大すると、月末以降、また感染が増えてくるということの可能性があります。何としてもしっかりと下げきるということが大事だと思っております。
 冬にはまた大きな流行が来るのではないかということで専門家の皆さんも指摘をされています。乾燥した中で締め切った空間で活動が活発になる冬の時期。また、飲食や、普段会わない人と様々な形で忘年会などが行われる季節でありますので、冬の流行に備えてしっかりとできるだけ下げておくこと。さらには医療の強化をしていくことが大事だと考えています。是非、引き続きの御協力をお願いしたいと思います。
 そうした中で、本日午後、和光市にある理化学研究所を訪問いたします。紫外線、赤外線などでウイルスを不活性化していく技術、あるいはいわゆる最近、感染経路の一つとして指摘をされているエアロゾールといわれるマイクロ飛沫、この感染の可視化、マイクロ飛沫の可視化、こういったことに取り組んでいる技術などを視察する予定にしております。
 また、今週、上手く調整ができれば、医療施設の視察をできればと思っております。医療の現場の今の声もお聞きできればと考えています。
 それから、私どものウェブ調査の結果が幾つか出ておりますので見ていただきますと、検査についてであります。「具合が悪い時にPCR検査を受けようと思うか」。7割の方が「受けようと思う」ということですが、3割ぐらいの方は「そうは思わない」ということで。その理由を確認しますと、一番多いのは、「どこに相談してよいか分からない」、「検査にお金がかかる」、「どの検査会社を選べばよいか分からない」、あるいは「近所に検査を受けられる場所がないから」といった理由が挙げられています。
 まず、具合が悪いときは行政検査で無料で受けられますので、お金がかかることはありません。それから、きちんと連絡すればどこで受けてくださいということを言われますので、自分で検査会社を選んだりする必要もありませんということですが、どこに相談してよいか分からないということも3割近くおられます。次のページを見ていただくと、窓口は地元の都道府県、この受診・相談センターということで検索をしていただくと、それぞれの都道府県の連絡先があります。例えば東京都で言いますと、発熱相談センターでこの番号、5320-4592で24時間対応しています。それぞれの県の、これは検索できますので、是非、発熱センターに連絡をしていただけると、調子が悪い、具合が悪いときは無料で行政検査で検査が受けられますので、是非、相談をしていただいて検査を受けていただくようにお願いをしたいと思います。
 自分で何か検査会社を選ぶ必要もありませんし、何かお金がかかるということではありませんので、熱があったり調子が悪いときは、会社を休む、仕事を休む、あるいは部活を休むと同時に、検査を受けていただくようにお願いしたいと思います。
 今も連日20万件ほどの検査が行われています。感染者の数はかなり減ってきていますけれども、検査は確実に増強していっています。能力も33万件ぐらいになってきています。去年の春先には、1日数千件とか1万件しかできなかった検査が、今は20万件の検査を行っています。この8月から9月にかけて感染が多い時は、26万件、27万件の検査、PCR検査を行政検査で行っていますので、是非、具合が悪い時はそれぞれの都道府県の、東京で言えばこの電話番号にかけていただいて、検査を受けていただくようにお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、抗原検査キットについてもお聞きしました。7割近くの人が知っているということでありますが、使ったことがある人は1割ぐらいありまして、使ったことがない理由を聞きますと、同じように「検査にお金がかかる」、あるいは「どのキットを選べばいいか分からない」ということであります。
 御案内のとおり、今はまだ薬局等で厚労省が承認されたキットを買うことはできません。大学や高校、専門学校、医療機関、保育園、そして9月以降、中学、小学校、幼稚園にもお配りして、ちょっと具合が悪いときですね。熱があったりすると、もう行政検査でPCR検査を受けていただいた方がよいのですが、何か喉に違和感があるとか、学校行ってから、あるいは職場に行ってから、少し何か変だなと思うときにこれを使っていただくと、一定量のウイルス量があれば検知できますので。特にデルタ株はウイルス量が多いと言われていますから、人にうつす量は検知ができますので、これを使っていただくようにお願いをしています。
 それぞれの職場でも、今は医療機器の販売会社などから購入をしていただいています。これを薬局等で手軽に手に入るように、厚労省のほうで今、検討を急いでもらっています。身近な所で手に入って15分ほどで分かりますので、そういったことが対応できるようにしていきたいと考えています。こうした、どのキットがいいか分からないとかお金がかかるというところを、できる限り承認されたものを薬局で買えるように、手軽に手に入るように対応していきたいと考えております。コロナの関係は以上です。
 それから、TPP11の関係で申し上げます。9月19日に、ペルーについてTPP11が発効いたしました。同国が8番目の締約国ということになります。
 これに先立ちまして、16日に、日本時間で朝9時から30分程度、ペルーのロベルト・サンチェス新通商・観光大臣と電話で会談を行いました。ペルーと今後しっかりと連携していく旨も確認をいたしました。ペルーの新政権ができてから閣僚同士の会談は、これが初めてになると聞いております。
 いずれにしても、コロナで世界経済はダメージを受けたわけでありますけれども、今後、経済回復の中で、自由な貿易、投資、この環境を作っていくこと、維持していくこと、広げていくこと、これは世界経済の回復に大きく寄与するものと考えております。21世紀型の高い水準の、ハイレベルなルールが広がることも非常に喜ばしいと思っております。このペルーの動きによって、他の未締結国3か国マレーシア、ブルネイ、チリ、それぞれ国内手続の加速化が後押しされることを期待したいと思います。
 また、ペルーが発効しましたので、一部の農産物などでは、日本から輸出されるものが、もう既に19日から軽減をされております。
 例えば緑茶が、今までは2.8%の関税がかかっておりましたけれども、無税になっております。輸出額もまだ小さいですけれども、緑茶の輸出にもプラスになると思いますし、牛肉も、日本からペルーに輸出する場合、今11%の関税がかかっておりますけれども、2028年には無税になりますし、りんごも今2.8%の関税がかかっておりますが、2023年1月には無税になりますので、様々な農林水産品がさらにこうした形で海外に、ペルーを始めとして、輸出が広がることを歓迎したいと思います。鉱工業品については、両国とももうほとんど関税がありませんので、鉱工業品よりも日本にとっては農水産物のペルーへの輸出ということで期待をしたいと思います。
 私から以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭で大臣から御紹介ございましたが、コロナの関連で、まだ厳しい指標ももちろんあるようですけれども、全体としては改善傾向にあるのは事実だと思います。このまま感染状況の改善が続けば、期限の30日で東京等の緊急事態宣言は解除できると、大臣は現時点ではお考えでしょうか。お願いいたします。
(答)全国的に減少傾向にありますし、東京の指標もかなり改善をしてきています。特に医療を非常に重視して、専門家の皆さんも重視をされています。私どもも国民の皆さんの命、健康を守るということが何より重要であります。臨時の医療施設であったり、あるいは酸素ステーション、東京でも築地でスタートするということであります。それぞれの都道府県で病床の確保、あるいは特に臨時の医療施設、あるいは酸素ステーション、入院待機ステーション、臨時の医療施設も全国で40近くなってきているんじゃないかと思いますが、こうした取組が評価をされていますので、かなり改善傾向が見られていると思います。
 他方、先ほど申し上げましたけれども、依然として療養者数の数、それから新規感染者の数もまだ高い水準であります。もう一段の改善が必要だという認識をしております。
 特にこの3連休、そして今週、まだ休みがありますので、かなり活発な人の移動。そして活動も、それぞれの繁華街もかなり人出が出ております。分析を進めているところでありますけれども、こうした活発な活動、大学も始まってくるということもありますので、これが月末から来月にかけて感染者の数が増えてくることも考えられますから、しっかり、そうならないように、できる限り冬に備えて低く抑えていくことも大事だと思います。
 第1に医療の強化、これを引き続き行っていくこと。医療が安定的に提供できる体制を確保すること。そして第2に、できる限り冬の感染拡大にも備えて、新規陽性者の数も抑えていくこと。特にこの3連休からシルバーウィーク、今週、しっかりと皆さん方の御協力を得ながら、感染対策、それぞれの地域で、また、それぞれの場所で徹底をしていただきながら、抑えていく、このことが何より重要だと思います。いずれにしても、こうした状況について各都道府県と情報を共有しながら、また分析も行って、専門家の意見を聞きながら判断していきたいと考えています。
(問)コロナの関係で、行動制限の緩和に向けた実証実験の都道府県の対応が、17日が期限だったと思います。現時点でどれぐらいの自治体が参加を表明されているのでしょうか。実施の開始時期等はいつ頃までに決定する予定でしょうか。教えてください。
(答)今、整理をしているところですけれども、御案内のとおり、イベントであったり飲食店であったり移動であったり、様々な場面での活用が考えられますので、それぞれの都道府県、どういった内容でどういったことを考えておられるかということを含めて、確認をしながら進めているところです。先般、知事会との意見交換の中でも、自治体と協議をする場を設けるということで申し上げまして、その設定ができるよう準備を進めているところであります。
 さらに経済団体、あるいはスポーツ、文化のイベントの団体とも意見交換を行うべく、調整を進めているところであります。
 また、ホームページ上でも、9月14日からこのワクチン・検査パッケージについての国民の皆さんの意見も求めているところでありまして、既に21日、今日の朝までで700件ぐらいの意見が寄せられておりますので、そういった御意見も今、一つ一つ分析をしているところであります。
 そういったことを踏まえながら、いずれにしても自治体との意見交換、あるいは経済団体、イベントの関係の皆さんとの意見交換等も重ねながら、技術実証を行うべく調整を進めていきたいと考えています。
 なるべく多くの方と議論を重ねながら、まさに国民的な議論が必要だと思いますので、事業者の側、それから利用される国民の側、それぞれ幅広く意見を聞きながら、そして技術実証を進めて、大きな方向性、制度設計をしていきたいと考えています。

(以上)