西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年9月17日

(令和3年9月17日(金) 10:42~11:05  於:中央合同庁舎8号館1階S101・S103会見室)

1.発言要旨

 まず、私からコロナの関係で申し上げます。
 昨日の新規陽性者数が5,690人ということで、減少傾向は継続しております。他方、多くの地域でまだ高い水準の感染者数、それから、医療は引き続き厳しい状況が続いている都道府県が幾つもあります。病床の使用率は50%を超えておりますし、医療のひっ迫度を見る一つの指標として示された、自宅療養者の数と入院調整中の方の数を合わせた数字も、10万人当たり60人という目安を示されておりますが、これを上回る県もかなりの数まだあります。引き続き医療をしっかりと強化していくこと、これが何より重要であります。
 このことについて先ほど、田村大臣とも閣議の前後で話をして確認いたしました。臨時の医療施設、あるいは酸素ステーションなどを含めて対応していくこと。それから、抗体カクテル薬も非常に有効であると。もう既に2万5,000人もの方が活用されて、非常に効果があるという報告を数多く受けておりますので、さらにこれを、外来の方ももう使えるようになっていますが、在宅でどのように使っていくのかについて急いで進めていくということであります。
 その上で専門家の皆さんからは、これまでも春の大型連休、あるいは7月の4連休、8月の3連休、お盆、昨年で言えば年末年始など、やはり連休に伴う県を跨ぐ移動であるとか活動が非常に活発になる、その時に感染が広がっているという分析を頂いております。今週末から3連休を含むシルバーウイークということでありますので、引き続き県を跨ぐ移動、旅行や出張を是非控えていただくように改めてお願いしたいと思います。
 大学もそろそろ始まってくる時期だと思います。若い方々の活動が活発になるということだと思いますが、引き続き感染防止対策の徹底をお願いしたいと思います。特に不織布のマスクです。ウレタンのマスクでは効果が低いということもこれまで分析がなされています。非常に感染力が強いデルタ株であります。もちろん肌荒れとかファッションとかを考える方は上とか下に工夫して2枚重ねでされたらいいと思いますが、不織布のマスクを必ず隙間なく着けていただいて。さらに、「3密回避」ということを言ってきましたが、できれば「ゼロ密」。人と人との距離を取ること、それから混雑を避けること。是非こうした取組み、感染防止策の徹底をお願いしたいと思います。
 それともう一つは、体調が悪い時、これは必ず休むということ。もう何度も申し上げていますが、職場、学校、そして部活、運動部などクラブ活動。こうしたところで、少し具合が悪いけど出ていって、感染を広げてしまっている例がもう多数報告がありますので、是非体調が悪い時は休む。そうした環境、ルールをそれぞれの組織、場面で是非対応をお願いしたいと思いますし、できればすぐに検査を受ける。調子が悪ければ、体調が悪ければPCR検査を行政検査として無料で受けられますので、対応していただくということ。
 それから今、抗原検査キットも大学や高校、中学、小学校、幼稚園・保育園なども配っております。出かける時、朝は調子が良かったが、昼頃になって少し具合が悪いという時に、この抗原検査キットを活用していただいて。一定のウイルス量は検知できますので、そこで陽性ということになれば、医者や診療所に行っていただくということで対応していただければと思います。とにかく具合が悪いときは休む、このこともお願いしたいと思います。
 ちなみに、シルバーウイークの予約状況は、前年度に比べて航空機、JRともに大体3割減ぐらいでありますので、多くの皆さん方にご協力をいただいていると思います。改めて感謝申し上げたいと思いますが、予約されている方も、出張も含めて本当に必要なものかどうか、是非吟味していただいて、できれば少し延ばしていただく、こうしたこともお考えいただければと思います。航空会社各社は9月30日までキャンセル料無料ということで対応してくれていますので、是非もう一度吟味いただいて、この緊急事態で何としても感染を抑えていけるようにご協力をお願いしたいと思います。
 どうしても必要があって行かれるケース、この場合も各緊急事態宣言のエリア、まん延防止等重点措置のエリアを含めて、地方に向かっていく便、あるいは東京、大阪などに帰ってくる便も含めて、各空港で無料のモニタリング検査、搭乗前の検査も行っております。事前に予約していただくことも必要ですし、事前に送ってもらって自宅から唾液などを送り返すことも可能ですので、是非この検査にもご協力をいただければと思います。
 まずは、もう一度必要なのかどうか是非吟味いただいて、航空会社各社キャンセル料を取らないという協力をいただいていますので、是非改めてお願いしたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)総裁選についてお伺いします。今日、告示になりましたが、大臣は具体的に誰を支持するとか、もし今の時点で考えている、推薦人もありますが、支持理由や、推薦する経緯があれば教えてください。
(答)総裁選についてであります。最終的に4名の方になられるということを前提に。いずれも仕事も一緒にさせていただいていますし、見識、経験をお持ちの方々だと思います。
 私自身、様々熟慮を重ねました。その上で、高市早苗さんを支持することにいたしました。先ほど、高市さんの推薦人代表として党に推薦の届け出が行われたもの思います。
 高市さんは、政治理念、経済政策、様々な分野で私と考え方が共有できる部分が非常に多くあります。長年同じ政策グループでも活動してまいりましたし、それから、2009年に私が総裁選に立候補した時に、私の考え方、政策に共鳴していただいて、私の推薦人にもなっていただきました。そうしたことから今回、推薦人代表として届け出がもうなされたと思いますが、高市早苗さんを支持したいと思います。
 政策について少し申し上げると、まさに現下の課題であり、私が担当しているコロナ対策、そして経済対策、これについて最優先の課題で取り組むということで高市さんは表明しておられますし、何度か意見交換もさせていただきましたが、まさにコロナ対策を最優先に取り組むと、必要に応じて強い措置で抑え込むことも含めて対応するというようなことも様々議論させていただいております。コロナを何としても抑え込むという姿勢を強く感じております。
 それから、併せて他の政策面で申し上げれば、一つはデフレ脱却、経済再生への強い決意、これを感じています。既に表明されているところであります。それから、併せて日本の将来に向けてのいわば成長への投資に対する強いコミットメント。これは私が3つのニューディールと申し上げてきたグリーン、デジタル、ヒューマン、こういったことも含めて未来への投資をしっかりやっていくということ、これへの強いコミットメントもされています。
 それから3点目に、日本の主権を守り抜くと。この決意、覚悟、これも極めて強いものを感じています。さらに、農林水産業の重要性を含めて、地域社会、あるいは日本の伝統文化への深い理解、こういったものも強く感じているところであります。
 このデフレ脱却への決意、経済再生への決意、それから未来への投資、主権を守り抜く決意、そして農林水産業を含めた地方への深い理解、この4点の強い覚悟、深い理解、これはどの候補者よりも極めて強いものがあると考えております。
 その上で、私自身はまさに緊急事態宣言の解除に向けて、まずこの感染を抑えなければなりません。コロナ対策に全力を挙げなければなりませんので、なかなか選挙活動に時間を割くということは難しいですが、今回は候補者の皆さんも地方に行って何かやるということもやられないと聞いておりますので、むしろ政策論争をやっていただいて、そして活発な政策論争を通じて、新たな自民党、新たな政治のページがめくられること、このことを期待したいと感じています。そして、日本初の女性総理が誕生することを期待したいと思っています。
 その上で、女性も若者も高齢者も障害を持った方も、全ての人が夢とチャンスを持てる社会、誰1人取り残されない、そういった社会の実現に向けて私自身も努力していきたいと考えています。
(問)高市さんは、積極的な財政出動と経済対策挙げていますが、どのようにお感じですか。
(答)これも私もこれまで申し上げてきていますが、GDPギャップが今なお22兆円程度ありますので、需要が非常に低い状況ですから、これは政府が財政出動していくべき時。まさにデフレの状態に戻してはいけない。デフレ脱却に向けて今は財政出動を積極的に行うべき時だと思います。
 特に2点。一つは、やはりコロナの影響で非常に厳しい状況にある事業者の皆さんやそういう世帯の方々がおられますので、そういう方々に目配りしながら必要な支援をしっかりと行っていくこと。そしてもう一つは、今申し上げた新たな時代が始まっておりますので、未来への投資、これをしっかりと行っていく。民間の投資を引き出すために、民間の創意工夫を引き出すために政府が積極的に支出を行う、規制改革を行う、こういったことが今は必要な時だと思います。
 民間の需要を引き出す、そのためのワイズスペンディングな政府の支出。世界がもう大きく動き出していますので、グリーンやデジタル。もう既に日本もデジタル庁を作り、カーボンニュートラルを宣言し、一歩踏み出していますが、さらなる課題も見えてきていますので、サプライチェーンの強靱化を含めて、政府は必要となる支出を行って、民間の投資、創意工夫、これを引き出していくことが大事だと考えています。
(問)話題は変わるのですが、中国がTPP加盟を正式に申請しました。このことの大臣の受け止めと、中国の加盟の実現性についてお伺いしたいと思います。あと、今年日本は議長国ですけど、例えばTPP本部を開催するような考えはございますか。
(答)まず、事実関係から申し上げますと、昨日、中国からTPP11への加入を正式に申請する旨の書簡が送付されたという連絡が、このTPPの寄託国でありますニュージーランドから、わが国を含む参加国に対して行われました。
 ご存じのとおり、TPP11は市場アクセスの面でも、それから様々なルールの面でも、例えば知的財産保護、投資、政府調達、国営企業、あるいは衛生植物検疫措置のルール、電子商取引、こういった極めて高いレベルの内容を有しております。
 わが国としては、今般加入要請を提出した中国がこのTPP11のこうした極めて高いレベルを満たす用意があるのかどうかについて、まずはしっかりと見極める必要があると考えております。
 いずれにしましても、他の参加国とよく相談しながら対応していくことになります。
(問)総裁選に関して質問ですが、高市さんを支持されるということですが、高市候補は、物価上昇率2%になるまではPBの黒字化目標を凍結するというようなお考えを表明しております。政府としては2025年度黒字化に向けまして、西村大臣としても取り組んでこられたと思います。とはいえ、これまでの主張とずれがあると思うのですが、西村大臣の取組みと高市さんの主張にずれがあると思うのですが、どうして高市さんを支持されるのか教えていただけないでしょうか。
(答)先ほども申し上げたとおり、今は財政出動が必要な時だという認識を持っています。
 高市さんは、まさにデフレ脱却に向けて最優先に取り組むという強い決意を示されたものと理解しております。この点、デフレ脱却、経済再生に向けた考え方については私と共有しているところであります。
 その上で、財政健全化との関係においては、菅内閣としての方針については、閣議決定した骨太の方針に記載されているところであります。本年度内に感染症の経済財政への影響の検証を行い、その結果を踏まえ、目標年度を再確認するということになっておりますので、菅内閣としてこの方針で臨んできておりまして、私もその方針で臨んできております。高市さんとも、こうしたことについて、よく意思疎通を図りながら対応していきたいと考えております。
(問)TPPの話に戻りますが、中国のTPPへの加入、日本は既に中国との間でRCEPという協定がありますが、中国がTPPに加入することによる日本にとってのメリットについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)もちろん、RCEPはTPPほどの高いレベルのルールなり、市場アクセスもそれほど高いレベルではありませんが、アジアの地域において、東アジアを中心に、ASEANと東アジア、まさに一歩を踏み出したということで、私は大きな意義があると感じております。
 そのうえで、中国は、先ほどから申し上げているとおり、知的財産であったり、国営企業であったり、政府調達であったり、こういったことについての極めて高いレベルのTPPのルールを満たす用意ができているかどうかについて、まずはしっかりと見極める必要があると考えております。
(問)TPPの件ですが、米中の対立の中での今回のこのタイミングでの申請については、どのようにお考えでしょうか。
(答)中国側がどのような意図で提出されたのかということについては、私から述べる立場にありませんので、お答えは控えたいと思います。
 いずれにしても、しっかりと見極めていく必要があると考えております。
(問)急速に感染者数が減ってきて、何とか2週間後にはある程度、シルバーウイークを乗り越えれば解除できるというように、そのようにお考えになっているのか。それと併せて、尾身さんもおっしゃっていましたが、結局、それでも残るホットスポットみたいなものについて、今回は何か手を打つということを尾身先生も言っておられました。抗原検査キットが今度市販されますが、そういうことを含めまして、種火が残ることについて何か既に検討を始めておられるのか、解除に向けて、そこも伺いたいです。
(答)まだ月末に向けては時間がありますので、日々分析は行っておりますが、専門家の皆さんと何か特定の方向について考え方を共有しているわけではありません。
 特に、先ほど申し上げたとおり月末にかけて、特にこの週末からの3連休も含めてシルバーウイーク、ここで活発な活動が行われます。これは月末から来月初めにかけて感染が増えてくる可能性があります。今日は17日ですが、2週間後が10月1日ですから、大体10日から2週間後に早い方は発症して検査が行われます。10日後ぐらいに出てきますので、ちょうど月末の解除の判断をするころに感染が増えてくるということになりかねませんので、引き続き移動、あるいは普段の活動も感染防止策を徹底していただいて、できる限り人との接触を避ける、できれば「ゼロ密」を常に意識していただいて対応していただくことをお願いしたいと思います。
 感染者の数が今のところ減ってきておりますが、昨日のアドバイザリーボードでも、少し減り方が鈍化している地域も見られますので、ここで手を緩めてしまうと、また感染拡大になってしまうということ。それから、冬にはもう一度また感染がくると。各国の状況を見ても、ワクチン接種が6割、7割進んでも感染が広がっている。シンガポールで8割進んでも感染が広がっているという報告がありますので、寒い時期に再び感染が広がることを想定しながら、できるだけ低いレベルに抑えておくことも大事であります。そういった意味で、まずは感染を抑えていく。
 それから、解除の判断に当たっては、医療のひっ迫度、これがどのぐらい緩和されているかという、新しい追加的な指標も示されておりますので、そういったものも見ながら対応していくことになります。
 いずれにしても、臨時の医療施設や酸素ステーション、入院待機ステーションを含めて、自宅療養されている方、調整中の方の数が一定程度まで減ること、保健所の負荷や医療の負荷が下がること。これをまずは目指して様々な都道府県との対応を進めておりますので、今の段階でまだ何か方向性を持っているわけではありません。いずれにしても、今回、ある程度抑えていく、冬に備えるということが大事だと考えております。
 ありがとうございました。

(以上)