西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年9月16日

(令和3年9月16日(木) 15:51~16:08  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 月例経済報告の閣僚会議を開きました。もう事務的に説明をしておりますので、ポイントだけ申し上げます。
 現状判断、先行き、ともに見ていただいたらお分かりのとおりです。一つには消費が、これは以前にもお示ししておりますが、2017年、2018年、2019年のそれぞれの週の消費額がこの幅になりますが、今年はこの水準ということです。7月の4連休の頃は非常に高い水準。この時期に感染拡大したということでありますが、その後は多くの皆さんのご協力を得て、非常に低い水準で消費額が推移をしております。直近も去年を除いた過去3年の一番下のところということでありまして、非常に低い水準で進んでいます。このことが感染拡大の今の減少傾向につながっている、裏返しでもあると思いますが、経済の視点から言うと消費が低く抑えられていると。
 これには、一つには緊急事態宣言の影響、もう一つは長雨。西日本を中心に、8月の降雨量が非常に多かったということでありますし、非常に気温も低かったということであります。季節要因もあって低い水準になっております。
 他方、ヨーロッパでは、ショッピングセンターやレストランでの人流がこういう形で増加傾向にあります。議論を始めたいと思っていますが、まさにワクチン、または検査、陰性証明、これをどう活用していくかということで、既に導入されている国々ではこういった形で、ワクチン接種率が高まっていきますと、そういった組み合わせの対応によって人流が非常に増えている、活発な活動につながっているということであります。
他方、アジアの景況感は非常に悪い。これは感染が広がっている、ワクチン接種率が低いということもあって、インドネシア、マレーシア、ベトナムともに非常に低い水準。タイや中国も低い水準になってきております。
 この影響で、鉱工業生産は、引き続き製造設備の設備投資関連のものは非常に高い予測値、それから電子部品も非常に高い水準ですが、半導体不足の影響など、アジアから部品の供給が、サプライチェーンの影響によって輸送機械、自動車は低い水準にとどまっております。先般申し上げた消費と感染拡大、それから輸出、生産が好調であることと、アジアを中心としたサプライチェーンの課題。期待と懸念を申し上げたわけであります。
 そして設備投資は非常に高い水準で進んでおります。全産業、製造業も高いですし、非製造業も高い。そしてソフトウェア投資がこれだけ高い伸びを示しておりまして、デジタル化の動きが非常に加速をしているということだと思います。
 設備投資は非製造業を含めて非常に高い水準であります。ソフトウェア投資も高い水準。それから、研究開発投資も非常に高い水準になっておりまして、未来に向けた投資がもう既に行われている、計画がどんどん進んでいるということだと思います。
 それから、今回、上方修正しました住宅着工戸数ですが、総戸数も上昇ですが、中身を見てみますと、貸家、それから持家、分譲ともに増えていまして、傾向として、首都圏でいえば郊外の一軒家への需要、それから都心のマンションの需要、これがともに伸びております。コロナを機に、満員電車に乗って長い時間通勤をするということへの警戒感から、より近い所で、場合によっては自転車などで通勤をする方も増えています。それから郊外で、以前から申し上げているとおり、去年よりも5ポイントから10ポイント近く乗客数が減っていますので、テレワークも全体に7割減にはなっていませんが、かなりの部分定着してきているのではないかと。まさにソフトウェア投資が増えてくる中でデジタル化が進んできている。そうした中で、郊外の一軒家への需要も増えてきております。こうしたことから、住宅については、今回、プラスの改定をしております。
 他方、住宅にも懸念がありまして、グリーン住宅ポイントが非常に人気であります。それから、住宅ローン減税も活用がされておりまして、それぞれ、このグリーン住宅ポイントは本年10月末に制度が切れます。住宅ローン減税は11月末に制度が切れます。いわば、新たな時代に向かって新たな住宅需要があって、ちょうどいい形でこうした支援策が活用されています。グリーン住宅ポイントであったり、ローン減税が10月、11月と期限が来ますので、その後の住宅投資への動向に目配りが必要であります。ある意味、期待は非常に高まっているわけでありますが、足元、非常に好調でありますが、その後の課題もあるということであります。
 それから雇用について申し上げると、引き続き、雇用調整助成金、4.4兆円程度を支給決定して、完全失業率は2.8%と低い水準に抑えています。他方、雇用者数も5,984万人と。着実に回復し、まだコロナ前の水準には戻っておりませんが、6,000万人という水準に非常に近づいてきております。一時期、6,000万人に回復しましたが、緊急事態宣言などの影響もありますので、こうした回復基調が続いております。
 他方、日次の有効求人件数も毎日取っておりますが、これもコロナ前の水準に近い水準にまで戻ってきております。しかしながら、先ほど申し上げたとおり、緊急事態宣言の影響、消費がどのようになっていくか、それから併せて生産活動、海外の特に東南アジアの感染拡大の影響を受けておりますので、それによる生産調整などが行われていく中で、期間工など、雇用にどういう影響があるか、この辺りをよく見ていかなければいけないと思っております。
 そして物価であります。物価については、アメリカがこの春から非常に急激に上がって、ヨーロッパも上がってきております。様々な影響があります。人手不足であったり、資材の高騰、色々な形で物価が上がってきておりますが、これが一時的なものなのか長く続いていくのか、これによって金融資本市場が影響を受けますので、こういったところを注視していかなければならないと考えております。
 いずれにしても、足元の緊急事態宣言の下で感染をまず早期に抑えていく、これが何より重要であります。そして、医療の逼迫を抑えるためにも、この感染も抑えていかなければいけないということであります。医療の確保、感染拡大の防止、特に来週のシルバーウィークでの人の移動、活動が活発化することも予想されますので、引き続きの自粛などのご協力をお願いしたいと思います。ワクチン接種も着実に進めていくという中で、一定の段階になってくれば、ワクチン・検査パッケージの導入に向けて、導入できるように国民的な議論も行っていきたいと考えております。
いずれにしても、まずは感染拡大を抑えること、早期に抑えることが、その後の経済回復にもプラスでありますので、是非そうした中で引き続き、都道府県とも連携して取り組んでいきたいと考えております。

2.質疑応答

(問)今年に入って3度目の景気判断引き下げと今回なったと思います。背景として、緊急事態宣言などのコロナ対策の強化をしてきた措置の反動で、消費抑制などにつながっている側面というのも見られているかと思います。この点、大臣はどのようにお考えなのか、ご所見をお願いいたします。
(答)これまでも申し上げてきたとおり、この感染の波は何度も繰り返します。今後も、ワクチン接種が進んだ国でも感染が広がっている。イギリスの例、フランスの例、あるいはシンガポールの例などありますので、特に冬の感染拡大にしっかりと備えていかなければいけないということであります。
 これまでも感染拡大してくれば医療は逼迫してくる。そうした中で、緊急事態宣言という強い措置を講じて感染を抑える。そして収まってくれば、医療も逼迫が緩和されれば、緊急事態宣言を解除し、また活動を活発になる。そうすると、また感染が広がるというこの繰り返しであります。これはもう当初から想定をしてきたとおり、感染拡大すればハンマーで強い措置で叩く。そして、その後も感染が起こるので、大きくなってくれば叩くというこの繰り返しを、これは各国も行ってまいりましたし、日本もそうした中で対応してきたわけであります。
 従って、緊急事態宣言を発出することによって、当然、経済活動の制約を受けて消費は低くなること、これは覚悟しなければならない点でありますが、他方、幾つかの点を申し上げれば、そうした状況でも、先ほど申し上げた雇用調整助成金、あるいは無利子無担保の融資、これを活用して、倒産件数は過去50年で最も低い水準に抑え、そして雇用も失業率が上がらないように維持をしてきている。事業、雇用、生活を支えてきています。厳しい状況になっても下支えをしっかりとやってきている、そのことが数字に表れていると思います。
 それから2点目は、そうした中でも、緊急事態宣言を解除すれば毎回そうですが、非常に消費は伸びます。いわゆるリベンジ消費、ペントアップ需要という言い方もしますが、先送りされてきた、ずっと我慢してきたものが出てくる。これは非常に潜在的な消費が強いものと思っています。マクロで見ても、30兆円を超える、例年のトレンドよりも多い貯蓄額が貯まっていますので。企業の皆さんは努力をしていただいて、もちろん厳しい業態の方には別途の支援策があります。今年も1.7%を超える賃上げをやっていただいていますし、同一労働、同一賃金、これによってパート、アルバイトの方もボーナスがもらえたり賃金が上がったりしてきています。そうした効果もあって、現金給与総額も上がってきています。けれども、消費する額は少なく抑えていますので、貯蓄が溜まってきているわけです。去年の、もちろん1人10万円の特別定額給付金の効果もあると思います。
 そうしたことから、ある意味我慢してきている、それをペントアップ需要、これは非常に潜在的に強いものがあるという理解をしておりますので、今回しっかりと抑え切って、そして、ワクチン接種が進んでいく中で、ワクチン or 検査の仕組み、これは海外の事例も参考にしながら取り入れることによって、日常生活あるいは経済社会活動との両立を図っていく。そうした次の段階に入ってくるものと考えております。
 ですから、足元、緊急事態宣言の下で非常に低い水準、さらには先ほど申し上げた長雨の影響、8月は非常に雨の降雨量も多かったですし、気温が非常に低い状態が続きました。そうしたことも含めて、消費が低い状況に抑えられてきています。
 家電も本来なら暑ければエアコンも売れる、テレビもオリンピック前の売れた分で、その後、低くなっている。あるいは去年からの巣ごもり需要で、家電を揃えている方も多いです。そうしたものが今年は見られない。様々なものが重なって、先ほど申し上げたような低い水準に消費額は低くなっていますが、感染拡大を抑えることによって、潜在的には消費は強いものがあると思います。生産、輸出についても、アジアのサプライチェーンがどう回復していくかという課題がありますが、海外の経済は引き続き強く、輸出も、好調に続いておりますので、さらには設備投資、住宅、こういった面も高い水準が続いておりますので、何とか今回、感染を抑え切ることによって、民需主導の経済回復につなげていければと考えております。

(以上)