西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年8月31日

(令和3年8月31日(火) 10:36~11:20  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

 私から2点申し上げます。
 まず感染状況ですけれども、御案内のとおり高い水準の感染、新規陽性者数の報告が続いております。
 首都圏は少し落ち着いてきているように見えますけれども、私どもが見ている今の姿は2週間前の姿とすれば、ちょうどお盆の時期、都心のかなり人が減った時期の姿でありますので、その頃の状況で今、少し減ったように見えるのだと思います。他方、その間、地方に移動していますので、この移動がどのぐらいの程度かといいますと、2019年と比べて去年が7割減ったんです。つまり、30%のところまで減りました。今年は2019年と比べてどうかというと、6割減ですので40%のところまで減っているわけです。つまり、去年が2019年と比べて30%、今年が約40%とすれば、10ポイントぐらい上がっているわけです。従って、去年と今年を比較すると、30:40ですから約3割増えているということが言えるのだと思いますが、その分で地方で感染がこの間増えている。
 これは繰り返し、できる限り帰省は控えていただくように、県をまたぐ移動は控えていただくようにということをお願いしてきていますけれども、帰省された方が親族との会食、あるいは同級生など友人同士のバーベキュー、会食、そして自宅での食事会、パーティーとかこういったもので、もう今も毎日多数の報告を受けております。この数日間、特にお盆の時期後の地方の感染が広がってきているものと思います。
 特に関西圏、中京圏、特に中京圏です。首都圏から遅れて感染が広がっていますので、1週間から2週間遅れて、特に愛知など、昨日もかなりの数、1,500人を超えての感染ということで、先週から比べても500人増えているという状況です。この間、首都圏が少しお盆の時期に落ち着いた分、地方で感染が増えているという状況です。
 さらに言えば、お盆の後、首都圏に人がまた戻ってきていますし、この8月末から9月にかけて学校が始まることを含めて、新しいシーズンになってくるということで様々な活動がまた活発になる。そうした中で人出が増え、感染が増える恐れがあるということですので、このレベルで続くと医療が厳しいというのはもうお分かりいただけると思いますけれども、引き続き警戒感を持って見なければいけません。もう9月に入りますけれども、是非、引き続き不要不急の外出は控えていただいて、2回に1回に買い物はしていただくとか。
 もうどこで感染するか分からない状況になってきています。夜の人流、昼の人流など様々取っていますけれども、報告が来るクラスター、感染の経路をいろいろ見てみますと、経路不明が首都圏は6割、7割あります。さらに言えば、これまで感染対策をしっかりしていると思われている場所でも、百貨店であったり、駅の窓口であったり、スーパーであったり、オフィスであったり様々な場面で出ていますので。私の知り合いの奥さんも、会社と家との行ったり来たりだけでも感染して、本当にどこで感染したか分からないということですので。
 このデルタ株は感染力が強いということですから、できるだけ人と人との距離は取る。それから、同じ場所で長い時間会議とかで一緒にいないということ。それから換気、ドアを2カ所開けていますけれども、こういった対策が不可欠であります。
 それから、空気感染と言う人もいますけれども、いわゆるエアロゾルと言われる、ふわっと飛沫じゃなくて息が上がっているわけです。これで感染があるのではないかということが言われます。
 最近の例では、体育館の窓を開けっ放しにして活動をしている2つの運動部、バレーとバスケ、それぞれ活動している、近い距離での接触、飛沫もあると思いますけれども、相当、換気は気をつけてやっていても、かなりの感染が広がっているようなケースもあります
 そういった中で、是非引き続き、これまで以上に感染防止策を徹底していただいて、さらには手洗い、消毒です。接触感染もやはりありますので、エレベーターのボタンとかドアノブとか、みんなが触るコピー機のボタンとか、是非、細心の注意を払っていただいて、みんなが触るところを触れば必ず消毒、手洗いをしていただくことを改めてお願いしたいと思います。
 医療が引き続き非常に厳しい状況にあります。繰り返し申し上げますが、どこで感染するか分からない、明日は我が身ということですので、若い方でも重症化しています。残念ながら亡くなられる方も出てきていますので、是非、お一人お一人の健康、命を守るためにも、そして家族や同僚の健康を守るためにも、お一人お一人が是非注意していただきたいと思います。
 その上で、医療の充実について各県と、厚労省を中心ではありますけれども、私どももそれぞれの県に医療提供体制をしっかり確保するようにということで、私からもそれぞれの知事に強くお願いしておりますし、それぞれの県で取り組んできています。
 少し事例を挙げますけれども、いわゆる臨時の医療施設ということで、建築基準法や消防法、医療法など、様々な特例が認められて、迅速に設置することができます。毎週のように増えていまして、今、14都道府県で20施設が開設しています。恐らく以前は14とか18のときを申し上げたかと思うのですが、今はこれだけの県でスタートしています。
 例を幾つか申し上げます。一つは東京。これはもう御案内のとおり東京の品川プリンスホテルで、抗体カクテル療法を実施するために60床を臨時の医療施設として使っています。抗体カクテル療法は、50代以上の方か基礎疾患のある方、発症7日以内、これもできるだけ早期に適用するのが効果があるということで、既に行われています。都民の城、旧こどもの城ですかね、ここも酸素ステーションとして130床を軽症の方を対象にこういう形でベッドを並べて受け入れを行っています。
 それから、神奈川の湘南鎌倉総合病院ですけど、私もここの視察をいたしましたけれども、プレハブを建ててベッドを並べています。ネーザルハイフローも可能ということで、基本的に中等症の方、180床が活用されています。
 それから、今後予定されている臨時の医療施設として幾つかの例。各県でそれぞれ対応を考えていますけれども、具体化されているもの、そして、もう公表されているもので言えば、福井県の100床、体育館を利用してやろうと。それから大阪がインテックス大阪、国際展示場に1,000床規模のもの。それから福岡県が、休床中の病棟を活用して50床規模の施設を本日から運用開始ということでスタートします。
 こうした臨時の医療施設について、それぞれの県に働き掛けを行っています。まずは福岡のように空いている病床を確保する、あるいは空いている病棟です。医療機関として一旦休止している施設などの方が活用は立ち上がりが早いですから、そうしたものを活用する。それから、体育館のような大規模な施設で、国際展示場とかベッドを並べていく。さらには、プレハブやテントなども使って外でやっていく。こういったことを進めています。東京は築地の駐車場跡、駐車場に使っているところも活用することを考えているという報道を承知していますれども、それぞれ様々な場所で、とにかく病床を確保していくということを取り組んでいます。
 併せて、例えば昨日、私も発信しましたけれども、横浜では市民病院の医師が電話で処方して、いわゆるデキサメタゾンというステロイドの重症化を防ぐ薬を処方して投与するということを自宅療養している方に行っています。あるいは、福岡でも、宿泊療養施設ワンフロアの全部消毒が終わるまで次の稼働はしないというのではなくて、部屋ごとに消毒をして稼働するというやり方で稼働率を上げていっています。それぞれ様々な工夫をして、自宅療養の方、それから宿泊療養の方にしっかりとケアをしながら宿泊療養の稼働率も上げていこうという工夫をされています。
 自宅療養の方に連絡を取って、そして、何か異変があれば直ちに治療を受けられるという体制をつくることが大事であります。東京都は医師会と連携して、夜間もオンラインで診察、相談ができる仕組みをつくっておりますけれども、いずれにしても外部委託も活用しながら、そうした費用も私どもは支援しながら、とにかく自宅療養の方も含めて、症状に応じて必要な医療、適切な治療が受けられるように対応を進めていかなければなりません。そうした中で、ベッドをしっかりと確保することも重要でありますので、こうした取組を引き続き進めたいと考えています。
 当然、臨時の医療施設については包括支援交付金でそうした設備、酸素の配管をするのであればそういった設備とか、それから人材確保についても支援を行っていますので、是非そうしたものを活用していただきながら、医療提供体制をしっかり確保していただきたいと思います。多くの所で60%、70%と病床が埋まっていっていますので、是非お願いしたいということで、連携して取り組みたいと思います。
 それから、入院待機ステーションは、東京では八王子に設置したり、16床と聞いていますが、さらに拡充していくと聞いております。私のところにも幾つかの病院からコロナ専用病床にしたいとか、あるいは酸素ステーションをやっても良いよということで相談がありますので、東京都と繋ぎながら少しでも多くの病床を確保し、酸素投与が必要な方に投与できる仕組みをつくっていければと考えております。
 それから、その関係でモニタリング検査について申し上げます。
 モニタリング検査は先週5万1,000件配っております。夏休み期間、あるいはお盆の時期ということもあって、この期間はちょっと少なかったですけれども。それから回収が、検査が、前週の分、25週目に配った3万6,000に対して次の週は3万4,000検査が行われているんですが、先週配った4万6,000に対して、1万9,000と少ないので、ちょっとずれがあるのかなと思いますのでこの辺りは確認しています。いずれにしても、先週は幼稚園・保育園に6,700、それから大学に1万、企業に2万3,000。特に大学は運動部であるとか、企業は密になりやすい現場、作業現場とか建設現場とか加工現場とか、そういったところに重点的に配っていますけれども、行っています。
 先週の1万9,000で言えば、48件陽性疑い。実はこれまでも、特に高校で無症状の人をかなり見つけて、ある高校でかなりクラスターを防いできたりしているんですけれども、同じ高校でまた、一旦収まったということだったんですが、検査してみると、かなりの数のまた無症状の方がおられてということで。感染が広がっている地域とか、それから密になりやすい運動部とか文化部、それから現場で重点的にやることで感染源を特定したり、あるいはクラスターを未然に防いだりということで、無症状の方に対してのモニタリング検査をさらに進めていきたいと思っております。
 今後、対処方針にもありますけれども、東京23区あるいは周辺の3県、首都圏の人口の多い、また感染の多い横浜、川崎とか、大宮、川口とか、船橋、千葉、こういった所で学校の先生に、無症状の方のモニタリング検査を今、始めるべく調整を進めております。できれば定期的に、ワクチン接種が進むまで、各地域で教員の方々へのワクチン接種を優先して進めるということも取り組まれていますけれども、無症状のうちに知らずのうちにうつしてしまうことがありますので、無症状の小中学校の先生方へのモニタリング検査を特に感染が広がっている首都圏で今、調整を進めておりますので、近日中に始められればと思っております。幼稚園・保育園は、もう既にかなり行っていますので、幼稚園・保育園の先生方にも進めてまいりたいと思います。
 その上で、さらに学校に今、80万回分の抗原簡易キットを配っています。これは、ちょっと具合の悪い人。全く無症状で元気のない人ではなくて、ちょっと具合の悪い方で、喉に違和感があるとか、ちょっとだるいなというのに学校に来て、何かそういうときに受けてもらうということを、これは4年生以上の生徒さんも含め、そこで人にうつす量があるかどうかは検知できますので対応したいと思います。その上で陽性者、あるいは陽性疑いが出れば、学校が確認して、どの範囲で行政検査をやるか、どの範囲で休んでもらうかということが基本的に決められると。それを保健所に確認してもらうだけで良いということで。保健所が一人一人に話を聞いて、濃厚接触かどうかという確認をしなくても、迅速に行政検査で多くの人に、関係者にPCR検査を無料でできるということでありますので、そうした取組をすることによって、学校が始まってきますけれども、感染を防いでいく取組を進めたいと考えています。
 空港のモニタリング検査ですが、この間、7月20日から始めて約5万人弱の方に受けていただいています。87名の方が陽性疑いということで、やはり無症状で知らず知らずのうちに感染を広げてしまう可能性のある方を特定して、この方々には搭乗を控えていただくという取組を進めています。
 この取組は9月末まで進めたいと思いますし、地方から都心に戻ってくるときにも、この枠組みが使えるようにということで進めています。もちろん、空港にブースがあるケース、それからそれぞれの地域に木下グループの店舗があるケースがあります。それから、ないところについては、事前に送って唾液でやっていただくという取組をしていますが、なかなか郵送で送っても間に合わない地方もありますので、宅急便で何かできるのか、少し工夫しながら今、少しずつ改善しながら取組を進めています。
 さらに昨日、沖縄県の玉城知事との意見交換の中でも出ましたけれども、沖縄県独自で那覇空港で進めていますので、連携して、より効率的に、効果的に検査ができないかということは引き続き考えていきたいと思っております。
 それぞれの県が独自で取り組んでいる分も含めて、全搭乗者数の3分の2の方に検査を受けていただく枠組みとなっております。できる限り移動は控えていただきたいと。繰り返し申し上げますが、やっぱり移動によって地域に感染が広がってきているというのはありますので、まずは今回、移動する必要があるのかどうか、出張する必要があるのかどうか、旅行を延期できないのかどうかを含めて、是非吟味していただいて。できれば、これだけの33の都道府県で緊急事態、まん延防止が出ておりますし、他の所でも感染が一定レベルになっておりますので、是非控えていただくということでお願いしたいと思います。できる限り出張ではなくオンラインでできるものはやっていただくということでお願いしたいと思いますが、どうしても行かなければいけないという場合は、この検査を受けていただくようにお願いしたいと思います。カバーできていないエリアについても、民間の検査などを活用して、是非検査を受けていただくということをお願いしたいと思います
 やはり、無症状の方が知らず知らずのうちに地方への移動によって感染が広がるというケースがありますし、何より最初に申し上げなければいけないんですけれども、職場も学校も移動もですけれども、ちょっとでも体調が悪いなと思ったら、もうやめてください。体調が悪ければ家にいる、そして検査を受ける。これを是非徹底していただきたいと思います。いろんな毎日のクラスターの報告でも、やっぱり多いのは、ちょっと具合が悪いけど出ていって会社で広げてしまう。あるいは食事会で広げてしまう。あるいは塾の講師。これは前も申し上げました。大都市部から帰省して、塾の講師でアルバイト、休みたくない、具合が悪いけれども教えてしまった。それで感染が広がっています。生徒に何十人という感染が広がっています。とにかくちょっとでも具合が悪ければ、もう休む。そういう環境、ルールを各職場、学校、運動部、是非徹底していただきたいと思います。具合が悪い方がやっぱり広げてしまっていますので、このことの徹底もお願いしたいと思います。
 それから、先ほどの、どうしても行く必要があるかどうか、その吟味をしていただくということですけれども、それぞれの航空会社に配慮していただいていまして、9月12日の緊急事態の措置の間までは、今のところキャンセル料は取らないということで、それぞれ各社協力していただいていますので、航空便で移動される方は吟味していただいて、延期しようということならばキャンセルしていただければと思います。
 以上がコロナの関係です。
 それから本日、経済の関係で「世界経済の潮流」2021年度の第1バージョンを公表いたします。今回の報告書では、各国のコロナ政策など全体についてカバーして、どういう政策が取られているか全体を総括していますので、これも参考にしていただければと思います。
 私も各国のロックダウンの政策とか、あるいは支援策とか、さらに理解を深め研究をしながら、今後の私どもの対策、政策に生かしていきたいと考えておりますが、私から紹介するのは、デジタル化や研究開発の投資の動向が、その後の企業にどういう影響を与えるかということで、後半部分について、この1点だけ今日は御紹介します。後で資料も公表されますので。
 こちらにR&D投資の売上高比率。こちらに行けば高いと。そしてその5年間で売上がどのぐらい伸びるか、ということを見ています。
 これで見るとソフトウエア、コンピューターサービスについて見れば、このオレンジ色の四角が日本の企業、アメリカがこの黄色というか黄土色というか。中国が青三角です。日本企業で見ていただくと、R&D投資比率も低いし、そして売上の伸びも低いという、ここに固まっていることが分かると思います。
 全体にアメリカの企業も散らばっていますが、非常に高いR&Dの投資をやり、売上を伸ばしている企業。この辺りが非常に高い売上。ここがだいたい売上比率が高いところで、こちらが低いんですけれども、日本企業は非常に低いと。
 テクノロジーのハードウエアについて見ても、同じような傾向が言えます。中国企業など非常に高い。あるいはアメリカ企業が非常に散らばっていますけれども、高い投資で伸び率も維持している。日本の場合はR&D投資も低いし、売上の伸びも低いということです。これはハードウエアです。
 次、電子部品、電気機器の業界で見ますと、ここも中には高い投資をしている日本企業もありますけれども、売上が伸びているのはそれほど多くなくて、まだ低い感じですよね。
 自動車は比較的高い。こういう投資をしている企業もありますし、比較的投資をしているということですが、全体として見ますと、業種別に分類をしてみますと、先ほどの最初に見たICT、ソフトウエアでいうと、世界がここです。同じ色が同じ業種なんですけれども、日本はひし形で作っていますが、このレベルということで、R&Dの伸び率も非常に低いし、売上の伸び率も低いと。
 それからハードウエアについて見ても、こことここですから、やはり差があるということ。化学は若干日本の方が高いんですけれども、自動車について見れば、世界とほぼ同じぐらいということで、化学は若干高いんですが、売上の方の伸びはそれほどでもないということで、業種ごとにこういうことが言えると思います。
 何を分析したかというと、やはりデジタルの世界の中で、あるいはバイオ産業もそうなんですが、電子部品もそうですけれども、やはりR&D投資をしっかりやるということだと思います。
 何が売上の伸びに寄与しているかということで、投資をゼロとした場合でも、売上は多少は増えるんですが、機械設備投資で増える分、それからR&D投資で増える分ということで、やはりR&Dで寄与する分が非常に大きい、ということも言えるわけであります。
 これが1社当たりの研究開発投資の2019年、10年との比較ですけれども、日本はあんまり伸びていないんですが、中国はこれだけ伸びていると。EUも倍近く伸ばしているということで、やはり研究開発投資の伸びが非常に低いというところであります。
 他方、今年の設備投資、これはR&Dも含めて、あるいはソフトウエア投資も含めてですけれども、以前からお示ししている日銀短観、政投銀を含めて、今年は非常に高い意欲を感じています。
 申し上げたいのは、やはり積極的に設備投資、その中にはデジタル化に向けたソフトウエアなど、実装していく投資もあります。それからR&D、やはり研究開発をしっかりと行ってもらう投資、これもあります。
 いずれにしても投資を行うことによって、将来の売上を広げていく、あるいはイノベーションを起こしていく、これを是非進めていかなければならないと思います。
 これまでもそうした民間企業の投資を促していくニューディールとして「デジタル・ニューディール」、「グリーン・ニューディール」、そして人材への投資の「ヒューマン・ニューディール」と申し上げていますけれども、3つのニューディールですけれども、一言で言えば「イノベーション・ニューディール」、イノベーションを起こす投資を導き出す政府の支出が必要だ、ということだと思います。
 これを見ていただいて分かるように、やはりアメリカの企業、そして中国の企業を含めて、研究開発に力を入れて投資をしてきています。
 これは既に作ろうとしている10兆円の大学ファンドとか、2兆円のグリーンのファンドとかを含めてですけれども、政府が呼び水となる支出を行う。あるいは規制改革を行う。あるいは税制改革を行うことによって、民間の投資を引き出していく。
 もう既にこのコロナを機に、次の経済社会の変革が始まっていますので、企業はそれを感じ取って、本年度の投資を増やすということだと思いますけれども、さらに世界をけん引できるようなイノベーションを起こしていく、政府としての支出、税制改革、規制改革、こういったことを進めていかなければいけないということを強く感じております。
 イノベーションを起こす、そうした投資、内部留保を上手く活用していただいて、未来に向けた投資、未来に向けた様々な競争はスタートを切っていますので、是非そうしたことを促していく、イノベーション・ニューディールを進めていきたいと考えております。
 もう1点。経済指標を簡単に、雇用の話だけ申し上げます。今日、鉱工業生産とか雇用の労働力調査などが発表されていますが、鉱工業生産を先に出してもらえますか。
 今後の予測も低めの数字になっていますが、8月、輸送用機械が要は半導体不足でどうなるかということと、9月以降も低くなっていますが、先般申し上げた「3つの懸念」の中の1つ、アジアからの部品供給を含めて、サプライチェーンがどうなっていくかということを含めて、少し先行きを見ていかなければいけないと思っています。
 鉱工業生産のレベルは2020年、昨年の1月を100としていますので、99ということで、ほぼ生産は戻っています。今後も102、103ということで、輸出・生産は非常に回復基調、底堅いものはありますが、先般申し上げた「3つの期待と懸念」の「懸念」の方にもよく目配りをしていかなければいけないと思っております。
 そして、雇用を見ますと、雇用者数が先月5,975万人が5,984万人ということで、10万人ほど増えております。コロナ前の3月は6,000万人程度でしたので、ほぼ戻ってきていますが、もう少しのところであります。
 今は緊急事態、まん延防止をやっていますので、なかなか雇用を増やす状況ではないと思いますが、7月の段階で失業率2.8%ということでありますし、日次の有効求人を私どもは毎日見ていますが、昨年の3月の84のレベルに、かなり近づいてきてはいます。
 当然、まだ飲食・宿泊などは、多くの求人を出すような状況ではないと思いますので、サービス業を中心にまだ厳しい状況が続いていますが、製造業のさっきの戻りも含めて、雇用も少しずつではありますが、改善してきているという状況であります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)コロナの関係でお伺いします。田村大臣は29日の日曜討論で、9月12日が期限の宣言の解除について「かなり難しい」というふうに述べられました。先ほど大臣もおっしゃったように、医療の逼迫状況が依然として厳しい状況ですが、西村大臣も同様の認識なのか教えてください。
 また、出口戦略について、大臣は専門家に「宣言の期限を12日までに示してほしい」とおっしゃっていますが、仮に延長した場合は出口戦略が示すタイミングについては、どのようにお考えでしょうか。
(答)今の首都圏の感染状況については、先ほど申し上げましたけれども、少し落ち着いたように見えるのは、2週間ほど前のお盆の時期の人出が少し減った、その分の効果が出ているんだろうと思います。その後の人流がまた再び増えていること、これによって感染が拡大することも考えられます。
 この辺りの分析を進めなければいけませんけれども、火曜日の今日の活動が10日後、2週間後、つまり解除する前後の感染者数、陽性者数に影響を与えます。
 今日どこかで感染すれば数日で発症し、検査を受け、そうすると10日後、2週間後に報告があるということでありますので、9月12日の期限にあと2週間弱ということでありますので、今日も是非、感染防止策を徹底していただくことが大事であります。
 緊急事態の下で、できる限りオンラインで様々済ませていく。あるいは買い物の数も減らす。とにかく人と人との接触を減らす。どこで感染しているか分からないという状況ですので、是非このことの徹底をお願いしたいと思います。
 あとはちょっと朝夕涼しくなってきましたけれども、やっぱり冷房を付けっぱなしで窓・ドアを閉めっぱなしで、換気が悪いという。冬はよく換気をした方が良いと言うんですけれども、夏は普段はあんまり言わないと思いますが、是非換気をやっていただければと。職場でもいろんな場所で換気を。
 職場でいえば会議室もそうですし、休憩室とか更衣室とか、そういった所で近い距離で会話が弾んでしまう、マスクを外してしまうこともあると思います。
 是非お願いをしたいと思いますし、できれば不織布のマスクで、ぴったりと隙間なく着けていただく。布マスクとかウレタンマスクを使われる方は、二重にするとか工夫をしていただいて、感染予防を徹底していただければと思います。
 そしてその上で解除していくための、最も大事な判断の材料は、やはり医療の提供体制であります。医療がしっかりと確保されているのかどうか、このことを専門家もより重視をして見ていこうということであります。
 今の段階で、このステージの判断基準を変えるということは、考えておりませんけれども、専門家の間で様々議論がなされているのは医療の逼迫度をどう評価するかということでありまして。もちろん今の病床がどれだけ埋まっているか、入院率がどのぐらいあるか、療養者数はどのぐらいいて、重症者の方がどのぐらいいるのかという指標はあるわけですけれども、それに加えて何か参考となる指標として、例えば自宅療養者の数がどのぐらいいるのか。入院調整中の方がどのぐらいいるのか。あるいは以前から申し上げている、ネーザルハイフローのような高流量の酸素の投与を必要とする、中等症の重い方がどのぐらいおられるのか。こういったことも含めて、全てリアルタイムに数字が取れるかどうかという問題もあるんですけれども、そういったものも見ながら、医療の逼迫度、これが緩和されてきているかどうか、医療がしっかり確保されているかどうか、この判断が極めて重要になってくると思います。
 そういう意味でも、それぞれの県において空いている病床をしっかり、さらに使える病床として確保していくこと。それから臨時の医療施設も迅速に設置できますので、そういったことも含めて対応していただくことが重要だと考えております。
 いずれにしても日々、この感染状況などを分析しながら都道府県と連携して、まずは医療提供体制をしっかり確保すること。それから感染を抑えていく。その努力を引き続き国民の皆さんにもお願いしたいと思いますし、私どもも検査を進めていくことを含めて、汗をかいていきたいと思います。さらにワクチン接種も、これも明らかに効果はありますので、着実に進めていく努力を重ねていきたいと考えております。
 専門家の皆さんには欧米の状況も含めて、ワクチン接種が一定進んだ段階でどういったことが可能になるのかという検討は、引き続き進めてもらっています。
 欧米で行われているようなワクチン接種、またはされていない方は検査で陰性証明、こういった枠組みを含めて、検討を急いでもらっておりますので、9月12日までには一定の考え方の整理を、専門家にはお示ししていただきたいと考えております。それを受けて、政府として今後どのように考えていくのか。
 今の時点で1回接種の方が約55%、2回接種された方が44%と承知していますので、日々この数字も上がっていきます。
 どの段階でどの程度になっていくのか、ということも見極めながら、そしてしっかりと実効性が上がる形でそうした提案を受けて、その後の考え方を整理していきたいと考えております。いずれにしましても専門家の皆さんには、12日までにはお示しいただくように、私からお願いをしているところであります。
(問)8月に再開した都内のライブハウスは、入場するときにワクチンを打ったかどうかという確認を求めます。打っていないという方には抗原検査キット、1,000円だそうですけれども、そこで販売をして、そこで検査をしてもらうと。それを8月ずっとやってきました。そしたら、この1カ月に1人だけ陽性者がいて、その方は無症状で、むしろそのライブハウスに行ったことで見つかったことで、後で大変感謝されたそうです。
 やっぱりワクチンを打っている方には、できれば9月ぐらいからお酒を出すような。そうしないと経営が成り立たないと。ワイガヤでただやっている居酒屋と、そこまでやっている店が出てきているわけなんですけれども、やっぱりそういう民間の努力を、そろそろ政府はくみ上げてやらないと。多分、9月以降も盛り場は、どっと営業を再開する店は増えます。ただ検討している、検討しているでは、私は持たないんじゃないかと思うんですけれども、その辺はどうお考えになりますか。
(答)実効性を上げることが大事でありまして、欧米でも様々な取組が今行われています。ワクチンor検査という1つの考え方で、多くの国で進められています。あるいは州や市で進められています。
 ワクチン接種のレベルが、アメリカでは2回接種の方が6割を超えていると思いますし、そうした段階になってくれば、ワクチンを打たない方と検査ということで、一定の理解も得られるんじゃないかと思いますが。
 一方でワクチン接種がまだ先ほど申し上げたような状況の中で、打ちたいけれども打てない方には、検査をお願いしなければいけないということもありますので、そういう意味でいずれにしても国民の皆さんに、そうした取組について幅広く理解をいただいて、協力をいただける体制をつくることも大事だと思っていますので、感染症の専門家だけではなくて、リスクコミュニケーションの専門家や経済の専門家も入って、幅広い議論をしていただいていますけれども、さらに政府としてそれが出てきたときに、どう受け止めて国民の皆さんに理解をいただき、協力いただけるのかというところは、よく考えていかなければいけないと思っております。
 いずれにしても諸外国で行われているように、有効な手段の1つであると私も認識しておりますので、ワクチン接種が一定の段階、レベルに達したときには、それぞれの枠組みで飲食店やイベントや、御指摘のライブハウスや様々な場面で活用できるような仕組みを構築できる、そうした姿をできるだけ早くお示ししていくことが大事だとも考えています。
 そういう意味で専門家の皆さんには、9月12日までに是非お示しいただきたいということをお願いし、そして国民の皆さんの理解や協力を得ながら、そうした仕組みを導入していければと考えております。
 一方で実効性という意味で、今、抗原検査キットについては、まだ薬局や街中で買えるわけではありません。もちろん街中で売っているものもありますけれども、厚労省が承認された14のキットについては、医薬品医療機器の販売業者から買うことになっています。この辺りをどのような形で緩和できるのか。
 学校では保健の先生の下でやれば良いということで、今進めていますけれども、職場であれば産業医とか、あるいは学校であれば、校医さんがいれば校医さんということで、その指導の下でできるんですけれども、まだ一定の制約もありますので、そういったことも含めて実効性がある形で。
 それから、一定の数もやはり用意しなければいけませんので、そういった実効性も考えながら進めていかなければなりませんし、何より重要なのは国民の皆さんに理解され、協力をいただけるかということだと思います。差別や偏見につながらないようにする枠組みも必要ですので、そういったことを全体を見ながら、検討は急ぎたいと考えております。
 ありがとうございました。

(以上)