西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年8月27日

(令和3年8月27日(金) 10:38~10:05  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

 本日から緊急事態宣言の対象区域に8道県が追加となります。それから、まん延防止等重点措置に4県追加となり12県ということになりますが、9月12日までという期限でそれぞれの地域で感染をしっかりと抑えていく、同時に、厳しい状況になっている医療の体制を強化していくということで、私からもそれぞれの知事に臨時の医療施設の活用などを強く求めているところであります。幾つかの県でそうした臨時の医療施設の対応についても取り組まれておりますし、国として支援できることをしっかり支援していきたいと考えております。
 まず、検査の関係ですが、この間申し上げたように抗原簡易キットを小中学校、幼稚園などに最大80万回分のキットを9月上旬から配布いたします。
 既に職場や大学などでも使っていただけるようにということで、大学、高校、専門学校、日本語学校などにはもう24万回分の配送を終えています。それから高齢者施設や医療機関も530万回分の配分を終えて、供与して配送していますが、さらに職場でも使っていただくということで、経団連をはじめ各団体に、経済会にお願いしております。
 その中で本日、閣僚懇で私から、各府省庁でもこれを使っていただけるようにということで、改めてお願いいたしました。内閣府でも現在、調達の準備をしておりまして、来週中には調達できる予定と聞いております。もちろん、家で体調が悪い、熱があるという場合は休んでPCR検査を受けていただくのが大事なわけですが、出勤して何かちょっと違和感があるなと感じる時があると思いますが、そういう時に直ちにこの抗原キットで検知できますので。それで陽性となれば、保健所に負担を掛けることなく、その日会議をやった人全員とか、そのフロアにいる人全員とか、会社、それぞれの職場において無料で行政検査をやる、その範囲を決められますので、そういった取組みをそれぞれの職場で推進していただくということで、各省庁にもこうした取組みをお願いしました。内閣府として率先して取り組んできたいと考えております。
 それから、モニタリング検査についてでありますが、先週までの累計で72万回配布いたしました。そして、先週は実施した件数が、4万6,000件配りまして、先週の分が返ってきて検査を終えたのが1万2,000ですが、26週目、実施したところで言いますと、262の幼稚園・保育園で実施し7,174回、大学でも82大学で4,800、企業も515の企業で約2万近く、こういったものを実施しております。
 こうした中で今、首都圏や大阪などに重点を置いて取り組んでいます。また、現役世代の感染拡大を抑えるということで、リスクのある現場、運動部であるとか、あるいは密になる作業現場などに重点を置いて取り組んでいますが、今般、小中学校の先生方にも実施していくということで今、首都圏、関西圏を中心に感染が広がっているエリアの学校の先生に定期的にできればPCR検査ができるように今、文科省、それからそれぞれの都道府県と連携をして調整しているところであります。できるだけ早く開始したいと考えています。
 先生方に対するワクチン接種も、それぞれの自治体、あるいは職域接種の中で、大学で行う大規模接種の中で、地域の学校の先生なども含めて優先的に行うことに配慮してもらうということで自治体に要請を指示し、自治体側も取り組んでくれております。いわばワクチン接種が行き渡るまで定期的にPCR検査を受けるという枠組みをできればと思っております。
 もちろん全国全てにはなかなかできないものですから、緊急事態宣言のエリア、特に感染が広がっている首都圏、関西圏、こういったところで特に感染が広がっている地域の学校の先生方にモニタリング検査を広げていきたいということで調整を進めております。
 そして、空港の検査でありますが、もう既に羽田、成田、中部、関空、伊丹、福岡から北海道の各空港、沖縄の各空港、そして福岡空港、広島空港、鹿児島空港に向かう利用者に対して無料の検査を行っております。これを、緊急事態宣言になりましたので9月30日まで行うことといたしました。
 以前から申し上げているとおり、大都市部から地方に行く、これはできるだけ控えていただくとお願いしていますが、どうしても行かなければいけない場合には検査を受けていただくということで実施しておりますが、新たに今度はこの逆側、逆向きに、こうした空港から大都市に戻ってくる、北海道、沖縄とか福岡、広島、鹿児島から戻ってくる場合に、新たに来週から同じように空港の検査を実施いたします。あと山口とか香川とか、幾つかの県が独自にこうした取組みを行っておりますので、全体で3分の2の乗客の方に無料の検査、県が独自にやっているものは若干の料金を取るものもありますが、全体として3分の2の方が検査を受けられるような枠組みをつくっております。
 これは3つのやり方ということで、空港で検査のブースがある場合は空港にちょっと早めに行っていただいて検査を受けるというやり方があります。それから、事前にチケットを予約した時に送ってもらって、自宅で送り返して検査をやるというやり方があります。それから、木下グループと連携しておりますので、木下グループの店舗があるところ、東京とか幾つかのところがありますので、その店舗で受けるということもできます。会社の帰りに受けてもらう、そういったことも可能です。
 ですので、しばらくの間は本当に出張が必要かどうか、これについてはよく吟味していただいて、できればオンラインでやっていただくと。もう政府の会議もかなりオンラインでやるようになってきております。テレワークということもお願いしておりますので、本当に必要な出張なのかどうか。もちろん、旅行もこの期間はできれば控えていただいて、県をまたぐ移動、これを控えていただく。
 今日は紹介しませんが、もう毎日多数、もう本当に多数、大都市部から地方に行って、あるいは地方から東京や大阪に来て感染している例、県を跨いでの、そしてその方を中心にクラスターが発生している例がもう多数発生しております。もう一つ言えば、大人数、長時間、この感染、クラスターが毎日のように多数報告されています。自宅であろうとバーベキューであろうと、とにかくリスクのある行動を控えていただく。大人数、長時間、お酒を伴うものは非常にリスクがあります。もう毎日のように多数の報告があります。若い方でも、今やもう重症化している例もたくさん出ていますし、30代で亡くなる方も出てきています。本当に残念なことでありますが、是非、お一人お一人がそうした感染対策にご協力いただくことで、ご自身の健康を守るためにも、そして全体の医療ひっ迫を回避するためにも、是非ご協力をお願いしたいと思います。
 どうしても行かれる場合は、こういう検査を受けていただくことをお願いしたいと思います。地方部から帰ってくる場合も来週から検査があります。そして東京や大阪、大都市部から地方に行く場合の検査も9月30日まで行いますので、是非お願いしたいと思います。
 そして、空港の検査について申し上げると、空港でこれまで8月25日まで行っているもので言いますと、4万5,669人に検査を行いまして82人の陽性の疑いが出ております。これらの方には搭乗を控えていただいております。もし検査を受けずに行かれていれば、現地で感染を広げたかもしれないわけでありますので、是非こうしたことにご理解をいただいて、ご協力をいただければと思います。
 それから、テレワークもなかなか進まないですが、引き続き企業の皆さん方にはお願いしております。お子さんの学校の始業式が少し延びるような例も出てきております。また、PCR検査の結果待ちとか濃厚接触ということもあると思いますし、あるいはご本人、家族が妊娠されているようなケースもあると思います。あるいは基礎疾患があるのでできるだけ外出は控えたいという方もあると思います。企業におかれては、テレワークをできる環境をできる限り構築していただいて、新たな日常に対応した、そうした働き方ができるようにお願いしたいと思います。
 私からはコロナの関係では以上です。
 それから、TPPの関係で申し上げます。
 TPPの閣僚委員会、第5回の委員会を9月1日の午前9時15分からオンライン形式で開催いたします。本年わが国が議長国でありますので、私が議長として出席する予定であります。
 これまで申し上げてきたとおり、ハイスタンダード、高いレベルでバランスの取れた21世紀型のルールを世界に広めていくという、このTPP11の着実な実施、拡大、発展、そして進化に取り組んできているところであります。特に、自由貿易の推進は、まさにコロナ危機からの経済回復においても重要な役割であるという強い認識を各国とも共有しております。その下で、4月には電子商取引のウェビナーを主催するなど、デジタルの実装化に関する議論を深め、協力関係も推進してきております。
 それから、6月2日にはTPP委員会を開催し、英国の加入手続の開始を決定したところであります。英国の加入につきましては、まず英国がTPP11の義務を順守するために、それまでなされてきた努力を証明し、また、国内の法令に対して行う必要がある追加的変更を特定する必要があります。引き続き英国内で精力的に作業が行われておりますが、日本は議長国として英国および参加国とも緊密に連携しながら、作業部会第1回の会合に向けて必要な調整を進めているところであります。
 また、7月21日には、ペルーがTPP11発効のための国内手続を終えたという旨の通報が行われました。ペルーは今後、9月19日にこの協定が発効することになりますので、そうなれば8番目の締約国となる予定であります。
 第5回のTPP委員会では、このようなTPP11の価値の向上に向けた具体的な動きも踏まえた上で、本年の活動を総括しながらTPPメンバーでのさらなる協力および連携を確認する予定であります。当然、英国の加入プロセスの現状についても議論されることになると思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)何点かありまして、まず、各省庁へ抗原検査キットの使用をお願いする件ですが、これは内閣府から配布して、いつから予定されていて、件数は何件なのか。あと、空港でのPCR検査を逆方向も広げるということですが、これは、そのまま今、行き先が全部そこでできるようになるのかということを確認させてください。
 あとお伺いしたいことが、村田製作所の子会社で新型コロナのクラスターが発生して操業停止していますが、この件について、感染が広がった経緯などについて報告があるのかということ。工場のクラスターということで日本の製造業への影響もあると思うのですが、どのように見ていらっしゃいますかということです。
 あと、何回か今まで言及されていると思うのですが、解除時期を目指して行動制限の緩和などを専門家と相談というか示してもらうとお話ししています。これは尾身先生が会長を務める感染症対策分科会が公表するのか、それとも、そこと相談して政府として公表するのか、どう検討しているかお願いします。
(答)抗原簡易キットの活用については、各府省庁で調達し、各府省庁で行っていただくことになります。率先して私のところ、内閣府、内閣官房においては調達の準備を進めておりまして、来週には調達し、何か具合が悪い人、ちょっと具合が悪い人が出ればそういった対応ができるようになると聞いております。各府省庁にも、できるだけ早くそうした対応をしていただくように私からお願いしたところです。
 それから2点目の空港ですが、先ほど申し上げたように今、羽田、成田、中部、関空、伊丹、福岡から北海道、沖縄の各空港、それから福岡、広島、鹿児島に向かう人について利用してもらうように無料の検査を実施していますが、この逆を全てやりますので、今申し上げた北海道の各空港、沖縄の各空港、福岡、広島、鹿児島から都市部の主要空港に戻ってくる時にこれが利用できるようになります。ただ、離島とか北海道の各地とかは店舗があるわけではありませんので、街中に店舗があるわけでも空港にブースがあるわけでもありませんから、予約した時に事前に配送するという。やり方についてはそれぞれの空港によって若干の差はありますが、大きな空港であれば空港ブースも使えますので、そういったやり方で行き帰りともに使えるようになるということであります。
 これによって、行ってくれということではありませんので、基本は県を跨ぐ移動を控えていただく。特にどの地域も感染が広がっていますので、基本的に県を跨ぐ移動は控えていただくということをお願いしたいと思いますが、どうしても出張なり仕事で行かなければいけない、これは現場の改修であったり、何か事故への対応であったり、どうしても専門家の人が行かなければいけないケースはあると思いますので、そういう場合は検査を利用していただきたいということであります。
 先ほどのことでちょっとふえんして言いますと、本社からの会議で来られたとか、それから本社からの各店舗への定期的な見回りのような形で来られた方が感染を広げているケースもあります。これも幾つか報告を受けていますので、とにかく県を跨ぐ移動、これは控えていただくようにということをお願いしたいと思います。
 それから3点目の村田製作所でありますが、様々な理由を聞いておりますが、個別の企業のことでありますので詳細は控えたいと思いますが、やはり密になる環境があったり、様々な感染対策で少し足りないところがあったと聞いておりますので、そういったところの改善を図るということも含めて、ちょっといつまでかという詳細は聞いておりませんが、一定期間停止して感染を一旦抑えるということですし、もう一度感染対策を徹底していただくということだと思います。
 いずれにしても、工場でも作業現場、これはいろんな工場、食品加工などもたくさんこれまでも出ましたし、密になる現場、工場の作業現場、それから建設現場、こういったところでも多数報告を受けておりますので、是非これまで以上に感染対策を徹底していただくと。
どこで感染したか分からない、自分は感染対策を徹底していたというケースも多数報告がありますので、これまで以上に徹底していただきたいと思います。
 今、各業界団体には、経団連も含めてでありますが、約200のガイドラインがありますので、それぞれ専門家の皆さんと協議をしていただいて、これまで以上に対策を強化していただくということをお願いしております。9月中旬頃までにはとお願いしていますが、できるだけ早く、できたところから改定し、進化させて、そして実行していただきたいと思います。
 それともう一つ、これも常に申し上げていますが、体調の悪い方が出てきて感染を広げるというのも、もうこれも多数、もう本当に毎日多数あります。ですので、ちょっとでも具合が悪いと休んで検査を受けるという、こうした環境、ルールを作っていくことも大事だと思います。これも是非それぞれの企業でお願いしたいと思いますし、会社に来てから何か具合が悪くなった時は先ほどの抗原検査キット、あるいは学校でもこれを使っていただくということでお願いしたいと思います。
 もちろん、発熱とか、かなり重い場合はすぐお医者さんに行っていただくというのがいいわけですが、ちょっと何か違和感があるなという時に、この抗原キットは有効ですので、是非活用していただきたいと思います。
 それから最後の点ですが、これも申し上げているとおり、ワクチン接種が順調に進んでいけば、9月中頃までには接種の状況が現在のアメリカやフランスと同じ程度にはなっていきますので。欧米各国が様々な緩和などを行われている中で、そうした状況もしっかりと踏まえながら、専門家の皆さんにはワクチン接種が進んだ後の社会経済活動の規制の緩和の在り方について方向性をお示しいただくように検討をお願いしているところであります。できれば緊急事態宣言を解除するまでに、そうした方向性をお示しいただきたいと考えておりますが、政府としては、そうした専門家のご意見も踏まえた上で、まさにどのような形、どのような場で議論し、整理していくのか、これについても検討を急いでいるところであります。
 その際には、各国で進めている状況も踏まえながら、また、各県で第三者認証制度なども進めておりますので、そういったことへの柔軟な対応に加えて、ワクチン接種、または検査という各国で行われているような枠組み、あるいは加えて接触者を確認するためのQRコード、こういったものを組み合わせながら、飲食店とかライブハウスとかイベントとか、こういった場でどう活用できるのか、できないのか、こういったことについて海外の事例も研究してもらっています。それから偏見、差別の防止ということも大事な視点ですので、こういった観点も踏まえつつ検討を進めていければと考えております。
(問)大臣が冒頭おっしゃった、学校の先生を対象にした首都圏、関西圏のモニタリング検査ですが、これは現状で対象の人数ですとか、検査をする頻度というのはどれぐらいの想定でいらっしゃるのか。もちろん検査をすれば陽性の方というのは出てきてしまうと思いますが、陽性の先生が出てきた場合は、学級閉鎖だったり学校閉鎖だったり、どんな対応を今、考えていらっしゃるのか教えてください。
(答)文科省と、それから各自治体と今、調整を進めているところであります。できれば定期的に受けていただくのがいいと思いますが、まずは感染が広がっているエリアから始められればということで調整を進めています。
 これで陽性が出れば、民間の検査を活用しますので、その上で医師と連携していただいて、正式に陽性となれば保健所に負担を掛けることなく、学校においてどの範囲を行政検査の対象として、クラス全員やるのか、1学年全員やるのか、あるいは同じフロアにいる生徒にやるのか、あるいはその先生が担当している部活の生徒も行うのか、そういったことを学校のほうで決めた上で、保健所の了解をとって行政検査を行うということにしております。その上で、どの範囲で休校、特定の何人かだけ休校するのか、その担当しておられるクラス全員休校するのか、それから1学年全員するのか、何人かの先生は休んでもらうのか、そういったことも含めて、文科省においてそうしたガイドライン的なものを示すと聞いております。私ども、あるいは厚労省とも調整しながら、迅速に感染拡大を防いでいけるように対応していければと考えております。
(問)自民党総裁選についてお伺いします。昨日、日程が決まりました。大臣が所属されている派閥では下村政調会長が推薦人20人を集めていると記者に答えております。同じ派閥としてこうした動きをどう捉えているのか、支持されるのかという点と、日程が決まりましたが、改めて大臣は総裁選についてご自身の立場はどうされるおつもりでしょうか。
(答)まず私のほうのことから申し上げると、私は菅内閣の一員でありますので、総理をお支えしながら今のコロナ、これだけ感染が広がり医療が厳しい状況にありますので、このことに全力を挙げるということで今の任務をしっかりと果たしていきたいと考えております。
 それから、派閥の中の動きについては、私自身、いわばコロナに専念し、もちろん経済政策も含めてTPPなど与えられた任務を全うすべく今、責任を果たしていかなければなりませんので、派閥の幹部の会なども出ておりませんので、動向については全く承知しておりません。
 私自身は、今は政府、与党一帯となってこのコロナを抑えていく、そして国民の皆さんの命、健康を守るためにやはり医療をしっかりと強化していく、このことに全力を挙げなければいけないと考えております。
 ありがとうございました。

(以上)