西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年8月16日

(令和3年8月16日(月) 10:19~10:41  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 本日公表いたしました、2021年度の4―6月期のGDP速報、1次QEでありますが、もう既に公表されているとおり、実質成長率が前期比+0.3%。これを年率に換算しますと、+1.3%ということで、2四半期ぶりのプラスとなりました。
 私の談話はもうお手元に配布してあるとおりで、ポイントを申し上げますと、内需は個人消費、設備投資が2四半期ぶりにプラスに寄与しております。また、住宅投資も引き続き増加しております。外需は輸出が4期連続の増加でありますが、他方、輸入の増加が相対的に大きかったことから、結果としてマイナスの寄与となっております。
 今後につきましては、2021年度の設備投資計画が、全産業で前年度比+9.3%。非常に強いものがあります。特にデジタル化が進展する中、ソフトウェア投資につきまして+14.7%、大幅な増加が見込まれております。こうした投資活動が今後も経済回復、経済のけん引役となることを期待しているところであります。
 また、個人消費につきましても、今後ワクチン接種が促進されていく中で、感染防止策は講じながらでありますが、外出・移動の制限が緊急事態宣言の解除後に緩和されてくれば、いわゆるペントアップ需要、リベンジ消費といわれるような消費もあるということが期待されます。いずれにしても、わが国経済には潜在的な回復力があるものと認識をしているところであります。
 その上で申し上げますと、正直に申し上げて、経済再生とコロナ対策を担当している私の立場で言えば、非常に複雑な思いであります。
 この4―6月期、大型連休の大規模商業施設の休業であるとかイベントの無観客化など、厳しい措置をお願いして、経済活動を一定程度抑えていくということで、感染を抑えようとしているわけでありますが、まさに若者を中心として、旺盛な消費意欲をひしひしと感じております。活発な活動意欲があるわけでありまして、なかなか足元の人流が減らないという面があります。
 感染をまずは抑えることを最優先に取り組まないと、だらだらと感染拡大が長引くこと、中途半端なままに進んでいくことが、経済にとても良くないことだと思いますので、まずは感染拡大を抑えて、そしてワクチン接種を進めていく中で、あるいは医療体制をしっかりと整備していく中で、今が最後の我慢となるように、取り組んでいるわけでありますが、是非このことにご協力いただければということで、私どもも様々呼び掛けをして、お願いをしているところでありますが、非常に強い消費意欲があるということで、非常に複雑な思いであります。
 まずは今これだけの感染者の数が出ておりますので、今後は「感染拡大を抑える」ということを最優先に取り組んでいきたいと思います。
 特に3つの柱。一つはワクチン接種を進めるということ。それから医療の体制をしっかり確保して、国民の皆さまの命・健康を守っていくこと。と同時に、やはり感染者の数がこれだけ高い水準が続くと、医療はひっ迫してきますので、感染を抑える。そのために人流を抑えるということに、全力を挙げていきたいと思います。
 そしてそういう厳しい措置を取る中で、この緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響にしっかりと目配りしながら、厳しい状況にある方々への支援をしっかりと、協力金をはじめとする重点的な、効果的な政策をしっかりと講じていくこと。このことが大事だと考えております。
 足元は何としても感染を抑えていくこと、このことを最優先に取り組みながら、目配りをして厳しい状況にある方々の事業、生活、その基礎となる雇用、これをしっかりと支えていくことが重要だと考えております。
 その上でまさに成長分野や人材への投資を促すことによって、まさに回復力を着実に実現していく、そして持続的に実現していくことが重要だと考えております。民需主導の自律的な経済回復につなげていければということであります。
 さらに国際的には、やはり潜在的な成長力は低いということでありますので、中長期的にどうやって成長力を上げていくのか。まさにデジタル化、グリーンへの投資、こういったこと、そして人への投資。
 「骨太の方針」でいえばグリーン、デジタル、地方、子ども、この4つの分野への重点投資、重点的な支出、規制改革を行っていきながら、民間の創意工夫、投資、イノベーション、これを促していく。こうしたことに力を入れていきたいと考えております。
 もう1点申し上げると、この成長の果実を着実に雇用拡大や賃上げにつなげていく、成長と分配の好循環、成長と雇用の好循環と言ってもいいと思いますが、これをしっかりと実現していくことが重要であります。
 今年の賃上げ率が1.78%ということで、コロナ禍で非常に厳しい中でも、民間の企業の皆さま方は真摯な交渉を経て、踏ん張って、このような形で賃上げを実現してくれております。
 また、最低賃金も全国28円の引き上げということで、こうした成長と分配の好循環を着実に実現していきたいと考えております。
 もちろんこの厳しい状況ですので、賃上げあるいは最低賃金の引き上げ、中小企業の皆さんがこうしたことをできる環境を、生産性の向上などの支援をしっかりと行っていきたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)景気の現状のお話がありましたが、先行きに関する認識についてお伺いします。
 4―6月期はプラス成長となりましたが、足元の7-9月期も東京都などに緊急事態宣言が発令中で、GDPの半分以上を占める個人消費の回復の足取りは、依然として力強さを欠く状況も想定されます。
 政府は7月公表の年央試算で、年後半にかけて経済が力強く回復し、年内にコロナ禍前のGDPの水準の回復を目指すとしていますが、その見通しと実現に向けたプロセスについて、現段階の今日の足元の数字とかも踏まえて、大臣はどのようにご認識か、考えをお聞かせください。
(答)繰り返しになる面がありますが、私自身は先ほど申し上げたように、非常に複雑な思いを持っております。
 今はいわば経済を少し抑制しながら、感染を抑えていかなければいけない。感染拡大を抑えることを最優先に取り組まなければいけない、そういう局面だと認識をしておりますが、この4-6月期の消費もプラスになっております。
 もちろん外食など弱い分野は当然、緊急事態宣言で抑えて、時短もお願いしておりますので、当然ありますが、一方で非常に強い消費意欲、若者を中心とした活動意欲、これを感じております。そういう意味でこの4-6月期も、私どもの見通し、想定したよりもやや強いぐらいの、当然4-6月期は緊急事態宣言など出しておりますので、厳しい状況も想定しておりましたが、今申し上げたように外需も非常に強いこと、それから内需も非常に消費意欲が強い。加えて、設備投資の意欲が強いことは、これはもう大歓迎でありまして、未来への投資がもう既に始まっているということでありますから、設備投資の意欲が強いこと、これは今後の経済のけん引役として、是非期待をしたいと考えております。
 そうした中で今申し上げたように、私どもが想定していたとおり、あるいはそれよりもやや強い数字となっておりますので、今後私どもが見通した数字、今年度は3.7%成長するという姿を、確実に実現していきたいと考えているところであります。
 まさに民需主導の軌道にしっかりと乗せていくべく、取り組んでいきたいと考えておりますが、当面、足元は感染拡大を抑えなければいけませんので、この次の7-9月期、9月はまだ分かりませんが、8月、足元は是非、県を跨ぐ移動を含めて、不要不急の外出自粛をしていただきながら何とか人流を抑え、これは専門家から言われているとおり、5割削減ということを目指して取り組みながら、感染拡大を抑えることを最優先に取り組んでいきたいと考えております。そうした影響にしっかり目配りしながら、対応しなきければいけないと考えているところです。
(問)菅総理大臣はこの4カ月、1日も休まずに公務と伺っております。西村先生は一昨年の3月6日で、ざっと計算すると、コロナ対策担当大臣になって、ほぼ500日の会見かと思います。
 この間、今年に入って休んだ日があるのかどうか。お盆は休めたのか。土日を含めまして、知事とか尾身さんですとか、そういうので全く休めないというような状況なのか。そんなに簡単にこのコロナが克服できるように、私には見えないですが、その辺の兵站の部分も含めまして、兵站という言葉はおかしいですが、現状どれぐらいお休みになって、お盆を含めてリフレッシュされているのか伺いたいです。
(答)これまでも申し上げていますが、コロナはまさに今の、日々連日、感染者の数、新規陽性者、報告者が最多となるような状況でありますので、ほぼ毎日のように何人かの知事とは、電話なりメールなりでやり取りをしておりますし、土日はできる限りオンラインで会議をするようにしておりまして。
 当然、総理への説明もありますし、日々の感染状況の分析、専門家とのやり取りもありますから、土日も何らかの形でスタッフと連絡を取ったり、また、専門家とオンラインでやり取りをしたりということは続けています。
 できる限りコロナ室のスタッフの皆さん、職員の皆さんの負担を増やさないために、できる限りオンラインでということで。特に土日はそういった会議をしておりますし、これはコロナ室も含めてですが、平日も様々な数字の分析とか、情報の共有はオンラインでできますので、私自身もたとえ半日でもオンラインでできるときは、みんなが集まること自体が感染リスクになりますので、できる限りオンラインでできる範囲はオンラインで、今は会議を進めています。
 前回の分科会もそうでありましたが、これは尾身先生とも相談をして、尾身先生からのご意見もあり、当日リアルに来られた方は1名で、ほかの方は全員オンラインでの出席としましたので、まさに新たな日常を私どもも作っていかなければいけないと思っています。
 あと、私自身は常にそういう形で、休日も含めて専門家やスタッフの皆さんと、できる限りオンラインで情報の共有、あるいは分析、対応。特にこの週末にも、様々な要請が何人かの知事から出てきておりますので、そういった要請を受けたりもしております。
 ただ、コロナ室のスタッフの皆さんは、できる限り分担をしながら、休みが取れるようにということで、先週、先々週は分担で休んだり、分担で対応するようにしたり、あるいはテレワークを進めたり、様々な対応で取り組んでいるところです。
 ただ、足元がこういう状況ですので、まずは感染拡大防止、何とか感染を抑えるということで、専門家の皆さんのご意見を聞きながら、それぞれの知事と連携して対応していきたい。そのように考えているところです。
(問)最初の質問に関連してですが、大臣がおっしゃられたように、現状は消費活動を人為的に抑制するというのが続くかと思いますが、GDPが年内にコロナ前の水準を回復するという見通しは、現状では後ろにずれるということになるのか、それともその見通しは維持されているのかというのを、お聞かせいただければと思います。
 また、それに関連してですが、大臣もおっしゃられていたリベンジ消費というのは、いつ頃から発現されると見通されているでしょうか。
 あともう1点、別件でコロナの関連ですが。先ほど、週末にも知事から要請があったということですが、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の対象地域の拡大や期間の延長について、その必要性に対する大臣のご見解や、現在の検討状況について教えていただければと思います。
(答)まず経済の見通しについてでありますが、先ほど申し上げた2点を簡潔に申し上げると、4-6月期はこれだけ緊急事態宣言を出しているにもかかわらず、旺盛な消費意欲で、消費もプラスになっているわけです。
 ここが私にとっては非常に複雑な思いでありますが、しかし一方で強い消費意欲。それから強い投資意欲。企業の新しい時代を見据えてのデジタル化であるとかグリーンとか、この投資意欲は非常に強いものを感じておりますので、さらには外需も海外経済が回復するに伴って回復してきておりますから、そういう意味で想定していたよりも、やや強いぐらいの感じであります。
 2点目が、他方、7-9月期、9月はまだ分かりませんが、7月8月と緊急事態宣言を発出しておりますので、その影響についてはしっかりと目配りをしていかなければいけないという認識であります。
 その上で申し上げれば、ワクチン接種を進めることによって、8月末頃には、接種状況が今の欧米並みの水準にはなっていきますので、そうしたことも考え合わせれば、緊急事態宣言の解除後、一定の経済の活動の制限緩和。
 専門家の皆さんにもどういった形で緩和できるか、ワクチン接種と検査をどう組み合わせるか、こういった議論もしていただいていますので、そういったことも考えながら、私は現時点でこの政府見通しを変えることはいたしませんし、実現できるように全力を挙げていきたいと考えております。
 それからリベンジ消費については、もう既に一部長引く自粛の中で、いろんなアンケートやテレビでも声がありますが、もう我慢できない、もう大丈夫だと思っている、ワクチン接種も進んでいるというようなことも含めて、いろんな声がありますので、いわゆるペントアップ需要といわれる、これまで溜まってきたものが少しずつ出ていって、発現してきているものと思いますが、これを一定の緊急事態宣言解除後など、一遍に出てしまうと当然、供給量にも上限がありますので。例えば飲食店でも満員になってしまう、宿泊施設も満員になってしまうということになると、需要を賄い切れないことになりますので、ある意味で着実に発現していくことと同時に、持続的に、長く続いていくようにしていくことも重要な視点だと思っています。
 いずれにしても消費の状況、人流など、人の動きなどをよく見ながら、分析をしながら、他方で厳しい状況にある方もおられると思いますので、この緊急事態宣言の影響、あるいは個人消費の動向などをよく分析しながら、対応していきたいと考えています。
 それから3点目。もう既に幾つかの県から緊急事態宣言の要請、そして幾つかの県から、まん延防止重点措置の要請が出ておりますので、私自身、直接知事と話した県も多数あります。
 まさに現在、毎日それぞれの県と感染状況や、特に病床の状況、病床がどのぐらい厳しくなっているのか。40代50代の入院者の数、あるいは中等症。重症者はまだ低いところも数多くありますが、中等症がかなり増えているところがありますし、あるいは自宅療養を含めた入院調整中の人数、ここがかなり増えてきておりますので、こういったところの分析を各県と進めております。
 状況の共有を進めているところでありますが、いずれにしても専門家のご意見も伺いながら、速やかに対応を検討していきたいと考えております。
 ありがとうございました。

(以上)