西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年8月10日

(令和3年8月10日(火) 11:03~11:50  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

 全国の感染状況をまず申し上げます。
 このところ1万数千人で継続しております。増減率が先週今週比で1.5程度、5割増し、50%増で推移しております。多くの地域で、これまで経験したことがない極めて高い水準の桁違いの感染が、高い水準が継続しているということであります。
 これに伴って、これまで抑えられてきました全国の重症者数、これも7月中旬で380人程度でしたが、8月9日で1,230人と3倍以上。400弱だったものが今、1,230まで急激に増えてきております。40代、50代の方を中心に急激に増えてきております。
 デルタ株、この後クラスターのことも話しますが、非常に強い感染力で感染が広がっています。感染経路不明が6割ある。どこで感染したか分からない。オーストラリアで、すれ違いざまにウイルスを暴露して感染したのではないかということが一時、報道されましたが、それに近いことを指摘される都内の保健所長さんもおられます。この後、クラスターの話を少ししますが、やはり換気をよくしないと、ウイルス量が非常に多いということであります。
 これだけの重症者が出てきますと、適切なタイミングで適切な医療を受けられない、救える命を救えない、専門家のご指摘されるそうした厳しい状況になりかねない。
 昨日は6人の、緊急事態宣言の出ている地域の知事、副知事と話しをしましたが、こうした極めて強い危機感を共有しているところであります。
このとおり、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の出ている地域は赤い数字が目立ってきております。まだ重症者など、まん延防止等重点措置の地域では低く抑えられている地域もありますが、緊急事態宣言のエリアでは重症者のベッドもかなり埋まってきているということであります。
 先週今週比、全国で1.43ですが、1.5前後で推移して、6割方、感染経路不明が多いということであります。
 東京都について、引き続き20代、30代の若い方々の活動が非常に活発でありまして、急激に感染が増えております。40代、50代もそれに伴って増えているわけですが。確かに70代以上は少ないものの、数としては少し増え始めているところが気になるところであります。この70代以上の方については、ワクチンを接種された方なのかどうなのか、この辺りの分析を進めています。
 東京都の重症者を見ますと、総数157人ということで、1月は160人ぐらいだったと思いますが、もう過去最高に近い数字になっておりまして、特に40代、50代が94人と極めて高い数字になっています。実は20代、30代の重症の方も増えておりまして、20代、30代の方も自分たちは大丈夫だということではありませんので、重症化する方が増えています。さらには後遺症が残るということがありますし、家庭や職場を通じて40代、50代の方にこれだけの数の重症が出ているということであります。
 入院患者総数も、40代、50代に加えて20代、30代もかなり増えています。
 クラスターですが、青が学校、黄色が企業、医療機関がオレンジ、福祉施設が赤、飲食店はグレーということで、飲食店も引き続きありますが、東京ではかなり減ってきています。多くの店で協力をいただいているということです。ただ、学校、企業が半分ぐらいを占めておりまして、福祉施設も引き続き高齢者施設や障害者施設などでクラスターが出ています。ワクチンの接種を進めているところですが、引き続き出ております。
 他方、今申し上げたとおり、学校、企業が約半分を占めるということで、これはどこかで感染した人が学校や職場で感染を広げているということであります。特に体調の悪い人が運動部に参加したり、あるいは職場でプレゼンテーションがあるからということで出ていかれて、そしてそこで感染を広げている例が多数報告ありますので、少しでも体調が悪いと検査を受ける、あるいは抗原検査キットを活用して職場でも簡易に検査をするということを是非お願いしたいと思います。とにかく体調が悪くなった時は、もう外に出ない、検査を受けるということで徹底していただきたいと思います。
 幾つかの例を申し上げますと、やはり帰省を伴うクラスターが多数出ておりまして、それぞれの県で、帰省者を含んで大勢で親族が集まる、あるいは同級生で集まる、これで多数のクラスターが出ております。もう書き切れないので3つだけ書いていますが、多数です。
 それから、同様に大人数の会食も、もう多数、山ほどクラスターの報告があります。サークルの会食であったり、職場の会食、あるいは家族が集まって食事会。これでもうかなりの数のクラスターが出ています。とにかく、今回は帰省と旅行はもう控えていただく。それから、大人数、5人以上は特にリスクが高いということで、とにかく控えていただくということをお願いしたいと思います。必ずのように、大勢で食事をすると感染が広がっています。
 それから、先ほど申し上げた、どこで感染しているか分からないということで、これまで出ていなかった例ですが、学習塾のクラスター。これも、調子の悪かった講師が出席して、70名以上が感染しています。これはもう症状があった人ということですが。それ以外にも、今は夏季講習のシーズンだと思いますが、とにかく換気が悪い、狭いところにたくさんの生徒さんが入って、そして長時間。換気が悪いと極めて感染リスクが高いということで、もう何10名とあちこちで出ています。50名、30名、70名ですから、とにかく狭い教室で大勢入っての長時間の講習、これは絶対に避けていただきたいと。とにかく窓を開けて換気をよくすること、それから人数を減らすこと、距離を取ること、もう徹底していただきたいと思います。それと併せて、ちょっと具合が悪い生徒や講師が出ないように、このこともお願いしたいと思います。
 これまであんまり出ていなかった学習塾でありますが、感染力が強いこのデルタ株で、いわゆる飛沫で漂っているのが、ウイルス量が非常に多いということでありますので、徹底して対策をお願いしたいと思います。
 それからスポーツ施設。いわゆるスポーツジムなども、これまで感染防止策、ガイドラインを徹底していただいてあまり出ていなかったですが、幾つかの県において報告があります。やはり大勢、20名、10名と、近距離での接触がある、あるいは更衣室やシャワー室での接触、こういったところでありますし、インストラクターが、ちょっと症状があったにもかかわらず出ていたと。これももう致命的です。症状が、ちょっとでも具合が悪いと休むということ、そういう雰囲気、ルールを職場で徹底していただきたいと思います。ちょっとでも具合が悪い人が出ると、それで感染が広がる 例は、もう多数報告がありますので、改めて徹底していただきたいと思います。
 それから、これもよくあるケースですが、かつては関西圏から北海道に、健康器具とか健康食品とか様々な体験販売会、販売員が行って、これも25名以上出ていますが、要は近い距離かつ大声で説明するということで感染が出ています。
 それから、今まであまり感染が出ていなかった遊戯施設。パチンコとかマージャンとかゲームセンターで幾つかの報告があります。これもかなりの数が、休憩室で従業員の皆さんに感染が広がった、あるいは利用客の間でも感染が広がった。これは、たばこを吸ったり、ちょっと飲食する時のマスク着用徹底ということで、こういたケースがありますので、これまで感染が出ていなかった換気が悪い狭いところに大勢の人が入っている、これまであんまり大きな声を上げていなかればあまり感染がなかったケースで出ていますので、これまでともう局面が全然違うと。デルタ株は感染力が極めて強いということ。とにかく換気をよくするということをお願いしたいと思いますし、人数を減らすこと、人と人との距離を取ることの徹底をお願いしたいと思います。
 それから、もうこれは全部書きませんが、とにかく高校、大学のクラブ。運動部や文化部も一部ありますが、もう多数のクラスターが出ていますので、とにかく体調が悪い人は控えていただく。それから、私どものモニタリング検査も、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置のエリアが中心ですが、重点的に大学、高校も行っていますので、特に大学で行っていますので、これに協力していただくのも一つの方法ですし、抗原検査キットも今、配布を始めていますから、これで具合が悪い人を検査するということも徹底していただきたいと思います。
 今回、夏の甲子園も感染者が出て出られなかった高校の報告が幾つかありましたが、とにかく運動部はもう、ものすごい数が出ていますので、全国で毎日のようにかなりの数の報告があります。是非、徹底してお願いしたいと思います。
 それで、百貨店ですが、400名近い方が13の百貨店で感染が出ていますが、7月の感染者数を分析しますと、いわゆるデパ地下と呼ばれる地下1階が約半分。そして1階が20数%ということで、1階と近い1階で、もう4分の3、7割を占めます。2階まで入れると、もう8割方になります。つまり、地下1階、1階という人がたくさん集まる場所、混雑している場所で感染が広がっています。
 これは従業員の方しか報告がありませんが、専門家の皆さんも言われているように、利用者にうつっているかもしれないし、利用者から感染したかもしれないし、これは分かりません。COCOAを入れてもらっていて、15分間以上1メートル以内でおられると、それは報告がありますが、買い物の場合はいろんなところに動きますし、それから説明を聞いたりするのも長時間近い距離でというのもなかなかないですから、COCOAもそういったところまで全部把握できるわけではありませんので分かりませんが、ご存じのとおり地下1階、デパ地下と1階でかなりの混雑があるところで従業員の方々の感染が広がっているということであります。
 物をいろいろ触りますので、接触感染もあるかもしれません。従業さんも整理したりするでしょうし、いろんなものを触っては置くといことがありますので、いろんな可能性が指摘されていますが。いずれにしましても、とにかく混雑する場所は、もう感染のリスクが非常に高いとなっているということでありますので、是非このことをご理解いただきたいと思います。
 デルタ株は感染力が非常に強い。混雑している場所は感染するリスクがあるということであります。百貨店以外にもスーパーや販売店でも感染のクラスターの報告があります。近い距離で長い時間話をするとリスクが高まりますので、是非このことをお願いしたいと思います。
 そして、こうした状況を受けて昨日、6府県の知事、東京は小池知事がオリンピックの関係で副知事が代理で出席されましたが、テレビ会議を行いまして、昨日、5点について私から発言し、連携して取り組むことを確認したところです。
 当然、不要不急の外出自粛で、今申し上げたように感染状況に応じて大型施設の休業あるいは入場制限。これは沖縄で祝日、この3連休、それから次の土日の休業要請を行っていますし、東京都は人数制限、入場制限の働き掛けを、呼び掛けを行っています。知事の判断で厳しい措置がとれますので、このことをお願いしましたし、連携して取り組んでいくことを確認しました。
 それから、もう繰り返し申し上げていますが、とにかく帰省、旅行を極力控えて、やむを得ず帰省する場合も検査を受けていただくということでお願いしたいと思います。
 それから、飲食店の多くの皆さんに協力いただいていますが、引き続き協力いただけていない店との不公平感があります。これも解消しなければいけません。東京で数千店舗の店がまだ協力いただいていないということでありますが、協力金の早期支給の仕組みを導入して、既に7割を超える給付済みの自治体もありますので、そのための人員は国のほうで手当てをしておりますから、可能な限り早期の支給に取り組んでいただくということ。
 それから、東京も行いましたが、警察、消防の協力も得ながらトラブルを防いでいくという観点もあると思います。個別店舗への働き掛け、そして路上飲みへの働き掛けを強化しております。さらには、PCR検査をしっかり実施していくことと、先ほど申し上げた抗原簡易検査キットを活用して、学校、職場で積極的に検査をすることを確認いたしました。
 もう既に取り組んでいるワクチン接種を円滑に進めることと、医療提供体制の確保と併せて、人流、接触削減、こうした対策をいわば3つの柱として、これだけの感染が出ると適切な医療を受けられない、そういう可能性も出てまいりますから、国民の皆さんの命と健康を守るということを第一に取り組み、対策を徹底していくこと、強化していくことを確認したところであります。
 そして、今申し上げたようなことを改めて、飲食店の基準であるとか職場で、とにかく体調が悪いときは休む、こういったこと。それからテレワーク、経済会にも強くお願いしたところであります。休暇の分散。今週、来週にかけてお盆の時期ですので、とにかくこの時期、多くの企業が休むことになると思いますし、休暇の分散、テレワークを含めて、とにかく人との接触を避ける、ステイホーム、これを改めてお願いしたいと思います。この1週間、10日、とにかく徹底して対策を講じていければと思います。
 そして、6つの空港、羽田、成田、中部、伊丹、関空、福岡から、北海道、沖縄、福岡に向かう便の方々に行っている検査でありますが、2万3,000人の方にご協力をいただいております。40件の方が陽性疑いということで、移動の取りやめをしていただいております。やはりこのぐらいの数は出るわけでありまして、無症状のうちに移動して地方に感染を広げてしまうということがありますので、是非、この夏は最後の我慢となるように私どもは取り組んでいきたいと思いますし、専門家の皆さんにも、この緊急事態宣言を解除した後、ワクチン接種が一定程度、欧米並みに進んでいきますので、どういった制限緩和が可能なのか、こういった将来の道筋について検討を進めてもらっております。解除するまでにはそうした方向性を示していただけるようにお願いしているところでありますので、是非、最後の我慢となるように、今回の帰省、旅行を改めて控えていただくようにお願いしたいと思います。
 そして、さっきの重症者の話ですが。今、こうして一旦減った人工呼吸器も484まできていまして。ピークは763ですし、3万台以上ありますので、まだ大丈夫ですが、しかし、かなり増えてきているということです。ECMOも、過去のピークは76に対して74まできていますので、2,600台ありますが、しかし、かなりの数の人工呼吸器、ECMOを必要とする厳しい状態の方が増えているということ、過去のピークの数字に匹敵するような数字になってきているということ。先ほど申し上げたように、東京の重症者もピークに近い状態になっています。極めて医療が厳しい状況になってきておりますので、このことを改めてご認識いただいて、とにかく感染の数を減らさなければいけない。明日は我が身ということ。油断をすると、感染防止策を少し怠ると、この強い感染力のデルタ株ですからどこで感染するか分からない。そして、そのことによってご自身の健康、命を守るためにも、そして家族や職場の皆さんの健康、命を守るためにも、是非感染防止策を徹底していただくことをお願いしたいと思います。
 朝の利用客、乗客数について、37%減、関西27%減ということで、かなり減ってまいりましたが、なんとか少なくとも4月、5月、今年の1月、あるいは、できれば去年並みにまでぐっと減らすことができれば、かなり接触削減できますので、なんとかもう一段、このお盆の時期を活用してテレワーク、休暇分散、こういったことをお願いできればと思います。
 人出も少し減っておりますが、まだ4月、5月のところまではいっておりませんし、もう一段、去年の夏以上に昼間も含めて対策が必要です。夜の人流は減ってきていますが、先ほど申し上げたように百貨店や学習塾など、接触する機会、人が集まるところ、混雑している場所でも感染がありますので、夜だけではなくて昼の人流、昼の混雑、これも減らさなければなりません。買い物に行かれるときも、できるだけ混雑した時間帯、場所は避ける、このことも徹底していただければと思います。大阪も同様です。
 ということで、私からは感染状況については以上であります。
 それからもう1点。昨年12月から開催しておりました、「企業組織の変革に関する研究会」の報告書を研究会から頂きました。
 冨山和彦委員が座長となって取り組んできたものであります。委員の皆さんにご議論いただいて、また、ヒアリングもしながら取り組んでまいりました。
 私も時々申し上げていますが、明治維新、あるいは戦後復興のような社会を大きく変えなければいけない時、その時のダイナミズム、これは若い人材や多様な人材が活躍したわけであります。そのために日本経済の中核を担っておられる大企業において、まさに若者、女性、外国人、中途採用、こういった多様な人材を登用して活躍の機会を与えること、こうした多様性、開放性、流動性、これこそがスピード感を生む意思決定につながっていきますし、組織を変えていくことになるということで、論点整理をしました。
 ポイントについて今日は詳しくお知らせしませんが、よくご存じのとおりで、コーポレートガバナンス・コードも変更して、こうした人材の登用も書き込んであります。デジタルトランスフォーメーション、DXを進めるということで、テレワークなどを含めた新たな取組みも書き込んでおりますので、こうした方向性をもう既に経団連、それから経済同友会と意見交換をしました。この報告書の論点を中心に意見交換をしたところでありますが、とにかくムーブメントを起こしていかなければいけないということであります。
 今、うれしいニュースが時々出ていますが、一つは企業の投資です。これが、やはりこの時代の変革を感じておられると思います。投資を増やそうということで、政策投資銀行の調査報告も報道されていますが、デジタル、グリーン、投資をしようということで、日銀短観もそうですが、非常に強い投資意欲を感じています。こうしたことを着実に進んでいけるように後押ししていきたいと思います。
 もう一つは、オリンピックで若い世代、ある意味世代交代を感じるような場面もありました。若い世代が日本でも世界でも活躍できる人材がたくさん出ております。そういう意味で、この経済界においても、ベンチャー企業が生まれる数、上場する数は昨年、今年と、過去2007年以降最高の水準で進んでいますが、若い人たちがどんどん世界にチャレンジしていく、そうした環境を作っていければと思いますし、大企業においても、そうした若い人材、女性、多様な人材、中途採用な人材、こうした方々が活躍できる、そして改めて日本の企業が再生していく、そうしたことを期待したいと思います。
 そのためのムーブメント、いわば運動を起こしていきたいと思いますので、引き続き経済界と連携しながら大きな流れを作っていければと思います。
 今の、「プロジェクトT」と呼んでおりますが、企業変革、組織変革についての報告書のスライドと報告書は、またお手元にお届けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)昨日の知事との意見交換会でも言及がありましたが、強い危機感が示されました。より強い対策を取る考えはありますか。そして、抗体カクテル療法の重点配分の要望を出されたと思いますが、政府としての検討状況を教えて下さい。
 話は変わりますが、15日終戦記念日を迎えます。靖国神社を参拝する考えはありますか。前後で参拝する考えはありますか。
(答)1点目の昨日の知事6人との意見交換会ですが、先ほど申し上げたように今の感染状況、極めて高い水準が続いている事、その続いている事によって医療がかなり厳しい状況になってきていること。こうした状況を、強い危機感を共有したところであります。
 その上で先ほど申し上げた、私からは5点について確認をしたところでありますが、特に私自身も、何とかこの人流を減らして接触を減らさないと、感染者の数は減りませんので、かなり強い対策が必要だという認識を、それぞれの知事とも共有していますし、専門家とも、昨日も尾身先生や押谷先生と意見交換をしましたが、共有をしているところであります。
 昨年のお盆の時期も、大阪府や愛知県でお盆の時期を捉えて、当時は20時までの時短という強い措置でありましたが、措置を取ってかなり感染を抑えてきた。そして重点的に繁華街で検査も行ったという対策をこの時期に取って、感染を抑えた経験もありますので、それぞれの知事と連携をして強い対策を講じていくこと、このことで取組みを進めたいと考えています。
 もちろん感染状況、それから病床の状況も差がありますので、知事の、それぞれの自治体の考え方も統一ではありませんから、国としてはベースラインとして20時までの時短ということで、飲食店それから大型商業施設もお願いをしておりますが、既に沖縄県では繰り返しになりますが、この3連休、そして次の連休も、商業施設は休業ということで要請が出されていますし、東京都でも入場制限や人数制限などの要請がなされています。
 こうした取組みを、それぞれの県と進めていきたいと考えておりますので、さらに緊密に連携をして取り組み、何とか多くの皆さんのご協力を得て、このお盆の時期を捉えて人との接触を減らす。商業施設など人が集まる場所に出掛けていくことを避けていただくと同時に、それならどこかに行こうといって近郊や遠くへ旅行・帰省、これも控えていただければと思いますので、全国どこも感染が広がってきている状況でありますので。
 もちろん一部、幾つかの県では低く抑えられていますが、ただ、全体としてはかなり感染が広がっていますので、大都市圏の近郊も含めて是非控えていただいて、大変申し訳ないですが、ステイホームをこの1週間、10日間、とにかくこのお盆の時期、会社も休みになる時期だと思いますので、この時期を捉えて是非ご協力をお願いしたいと思います。そうした取組みを、それぞれの都道府県と連携をして進めたいと思います。
 一部の知事から、さらに強い交通機関への規制とか制限とか出ましたが、これは常々申し上げていますとおり、私の担当する特別措置法は限界がありまして、強制力が極めて緩やかでもあります。
 なかなか強い措置が取れない法体系となっておりますので、これまでも苦慮しながら呼び掛けや要請、こういった取組みで、これまで国民の皆さんの協力を得て、本当にご理解を頂󠄀いて感染を減らしてこられたわけでありますが、今回のデルタ株は感染力が極めて強い中で、一段の協力を求めなければいけない、お願いしなければならないわけでありまして、非常に苦慮しながら進めてきております。
 もう1年半にも及ぶ自粛ですので、なかなかそうした雰囲気にならない方もたくさんおられると思います。本当に苦慮しているところでありますが、何とか最後の我慢としたいと、全力を挙げたいと思いますので、この2週間、今週来週、お盆の時期を捉えて是非ご協力をお願いしたいと。
帰省をして親族で集まるとか、同窓会で同級生が集まるとか、もう絶対に避けていただきたいと思います。数多くのクラスターが出ております。是非お願いをしたいと思います。今回はそれぞれのご自宅で、家族で、ステイホームで過ごしていただければありがたいと思います。
 それからこうした状況の中で、医療についての様々なご指摘を頂きました。まさに中和抗体薬の使用について「外来・在宅でも使えないか」あるいは「一定程度ストックを持てないか」といったことも含めて、様々な要請がありました。
 こうした要請については今朝、田村大臣とも閣議の後、意見交換の機会がありましたので、各県の要望、要求、要請については伝えたところでありますが、田村大臣の下でも、昨日も少し申し上げましたが、まさに使用する医療機関の拠点をつくって、そこで効果的に抗体カクテル薬で治療できないか、提供できないかと、つまり外来も含めてこうしたことができないかということで、検討が進められていると聞いておりますので、厚労省において検討を進めていただいて、まさに重症化を7割防げるこのカクテル薬でありますので、是非効果的に活用されればと思います。
 そして各病院からも要望に応じて配分がなされておりますが、緊急事態宣言のエリアに重点的にということで、今の要望の状況を見ると、やはり首都圏と大阪、関西圏に非常に多く配分がなされています。当然、患者さんが多いし、重症化するリスクの人が多いということでありますので、結果としてはそういう形で進んでおりますので、いずれにしてもそれぞれの地域の医療をしっかり守っていく。
 自宅療養、宿泊療養も含めて、必要な医療を適切なタイミングで受けられるようにする、ということが大事でありますので、そのための有効な抗体薬でありますので、是非効果的に活用できるように、厚労省において検討が進むことを期待したいと思います。
 靖国神社参拝については、もうお盆の時期で、そして終戦の日を迎えるわけでありますが、まだ何も考えておりません。昨日も1日、コロナの対策・対応をしていましたので、考える余裕がなかったというのが正直なところであります。現時点では何も考えておりませんが、適切に対応したいと考えております。
(問)昨日、神奈川が2,000人を超えて、横浜だけで1,000人を超えて、まさに未曽有の桁外れになったと思いますが。昨日の神奈川の対策本部から出ているものを読むと、8月22日で1日に5,000人、6,000人、そういうシミュレーションがあったり、具体的には8月19日には1,790床の病床が埋まって、ほぼ救急搬送というのは難しいと。そこまで書き込んでいます。私はその資料を見て愕然としました。
 もちろん大臣もご覧になっていると思いますが、やはり局地的に何かが起こるとしたら、やはり神奈川問題というのを、なぜこれが起こって、これにどう対応しようと思っておられるのか。多摩川を渡って神奈川の方が、たくさん入院してくるようなことがあるのかもしれないですが、神奈川の感染爆発について、どのような対応というか現状認識を持っておられるのか伺いたいです。
(答)昨日も黒岩知事からは、本当に極めて強い危機感が表明され、それぞれの知事も同じような危機感を持っておられて、共有したところであります。
 特に神奈川の場合はポイント制といいますか、患者さんの年齢や基礎疾患やそうした状況に応じて、自宅、宿泊、入院、それぞれ重症化のリスクを判断しながら、対応をしてきておられます。
 そういう意味で国が今回対応したことを先取りして、対応してこられたような状況かと思いますが、今朝も神奈川の状況について、田村大臣や河野大臣とも、極めて厳しい状況にあることを確認しました。
 田村大臣の下で厚労省が中心となって、病床の確保に引き続き努めるということでありますし、もちろん何か具体的に今、私は聞いているわけではありませんが、昨年対応されたような、鎌倉・湘南で臨時の医療施設を作られたわけでありますし、特措法上、臨時の医療施設なども考えられますので、そういったことや、それからそれぞれの地域でそういったことを考えたとしても、人材の一定程度確保。
 人員配置については、医療法の特例がありますから、必ずしも必要な人員を全て配置しなければいけないということではなく、緩和されるわけですけれども、しかし実際に患者さんをケアする看護師さんや人材が必要なわけで、この人材確保についても今日、田村大臣や官房長官ともその必要性を共有したところであります。そういった取組みを厚労省を中心に進めていただくということと、先ほど申し上げた重症化を防げれば。
 若い人で軽症で基礎疾患がなければ、重症化するリスクは非常に低いので、しかも一人暮らしであれば、自宅にいていただければいいわけですし、そうでない方は、家族と一緒の方は宿泊施設ということで、そういった取組みがもう既に進められていますので、そういったことを可能にするためにも、重症化する人を減らしていくということで、先ほど申し上げたような地域で拠点を作って、そこで外来も含めて対応できるようになれば、かなり変わってくると思いますので、そういった検討を厚労省において進められるもの、と聞いております。
 いずれにしても私の立場でできることも、緊密に県と連携を取りながら、とにかく命を守るということを最優先に取り組みたいと思いますし、特にやはり感染の数を減らさなければいけませんので、昨日そうした危機感から、黒岩知事は強い対策を取れないかということで、幾つか提案もなされました。
 ここは私も本当に悩むところで、先ほど申し上げたように特措法の限界というのも感じながら、しかし経済界にも、そして国民の皆さまにも知事と一体となって呼び掛けをしながら、協力を頂󠄀いて、何とかこのお盆の時期を捉えて、人との接触を減らせれば、ということで取組みを進めたいと考えております。
(問)先ほど知事と連携して、さらに強い対策を取っていかれたいということを、繰り返しおっしゃって、沖縄県の話も引き合いに出されていたと思いますが、念頭に置かれているのは、大規模商業施設の休業ということを、各県の知事とご相談されていかれるお考えでしょうか。
 もう一つ。昨日の6都県の知事でも、首都圏全体で統一して休業とか、そういう強い対策を考える必要があるのではないかという、そうした指摘が会議後出されていたようですが、首都圏全体での対応という点ではお考えはいかがでしょうか。
(答)まず取るべき、取れるべき対策は様々ありますので、これは大規模商業施設だけではなくて、イベントもありますし、これまで取ってきた対策というのはいろんなものがありますから、もう一度それぞれの県と連携をしながら、県の考えもお聞きしながら、取組みを進めたいと思っております。
 その上で、それぞれの県でやはり差があるものですから、病床の状況の差なども含めて考え方に差がありますので、私どもの方でもそれぞれの県と取組みを進めますし、首都圏の4知事の間でも是非、意見交換、検討は進めていただきたいと考えております。
 いずれにしてもそれぞれの県でできること、連携してやるべきこと、それぞれあると思いますので、国としてもよく調整をしながら対応していきたいと。
 私自身はこのお盆の時期は、本当に多くの企業が休みにもなりますし、多くの方が休みになる。エッセンシャルワーカーの方がおられますから、常に医療機関、施設の皆さんをはじめ、献身的に活動されていると思いますし、交通機関とかスーパーなども開いているわけでありますので、エッセンシャルワーカーの方はおられますが、しかし多くの企業が休みになるこのタイミング。
 昨年も愛知県ではトヨタグループを含めて休みになって、かなり感染を抑えたということもありますので、そうした取組みを今週来週で進めていければ、と思っておりますので、できる限り知事と連携をして対応したい、と考えております。
(問)政府が示した、新型コロナウイルス感染症が急増している地域での、入院制限の方針について伺います。
 当初、政府の方針に追随するとおっしゃっていた小池知事は、東京都医師会の猛反発を受け「中等症は従来どおり入院」と明確に発表し、田村厚労大臣も8月5日の参院厚労委員会で「中等症は原則入院」と明言されました。しかしながら菅義偉首相は8月4日、入院制限の方針の撤回を否定して以降、方針を撤回するのかしないのかについては、まだ明確な発言をしていません。現状の内閣不一致が生じたままの状態が続いているように見受けられます。
 自宅療養者のフォローアップ体制の拡充や、緊急時体制への移行が進められている現状で、菅首相の姿勢は、状況に混乱を招いているようにも思われます。大臣のご見解をお聞かせください。
(答)今回の大きな方針は、重症の方、中等症の方、軽症の方、それぞれの症状に応じて、状況に応じて必要な医療を受けられるようにするための措置ということで、先ほど申し上げたように若い方の、20代30代の感染が7割、30代以下が7割近くを占めているという中で、多くの方が軽症で無症状の方もおられますし、基礎疾患がない、また、一人暮らしで家庭内感染のリスクもないということであれば、自宅にいていただいていいわけです。
 ただし、急変する可能性はありますので、いわゆるオンライン診療、電話診療を含めて、保健所の健康観察などを丁寧にやっていく。また、パルスオキシメーターを配って、常に血中酸素濃度を測ると。こういった対応をしてきているわけであります。
 そして家庭内の感染リスクがある、つまり高齢者が一緒にいるとか、40代50代の方が一緒にいる、お父さんお母さんと一緒に住んでいるという方は、宿泊療養施設に入っていただくというように、そして基礎疾患がある方、あるいは中等症以上の方は入院していただくということで、それぞれの症状に応じて、そして状況に応じて、必要な医療を受けられるということを確保していくための対応だ、と理解をしております。
 そして少し説明が足らなかった部分など、厚労省において説明文書、これを与党とも相談して作り直して、そして丁寧に自治体に説明がなされていると承知しておりますので、こうした体制。
 このことについて昨日、知事から、この方針について何か要請や課題が示されたわけではなくて、むしろ自宅療養や宿泊療養を進めるための対応を、先ほど申し上げた、人材の確保であったりそういったことも含めて、あるいは抗体カクテル治療薬をどういう形で、そういった方々にも届けるのか、そういった課題は出されましたが、大きな方針について、何か問題点が示されたということではありませんので、厚労省において、引き続き丁寧に関係者の皆さんに説明をしながら、そして国民の皆さんにも今申し上げたように、それぞれの症状に応じて重症、中等症、軽症、そして家族構成、こういった方に応じて必要な医療、必要な環境で治療が受けられるということを、しっかり確保していきたいと考えております。
 特にずっと私が申し上げている、中等症で鼻から高流量の酸素を投入する、いわゆるネーザルハイフロー、ハイフローセラピーといわれるこのやり方で、人工呼吸器にいかなくとも、それでかなりカバーできるし、しかしそれだけ酸素吸入が必要だという、呼吸が苦しくなっているということでありますので、そういった方々に適切に酸素吸入治療が受けられる、そうしたことが必要だと思っておりますし、いわば重症に近い方々でありますので、そういった方々をしっかりケアできるように、対応していきたいと考えております。
 いずれにしても厚労省において丁寧に説明をし、理解を頂きながら、必要な治療を症状に応じて受けられる、そうした体制を作っていければと考えております。
 ありがとうございました。

(以上)