西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年7月20日

(令和3年7月20日(火) 11:33~11:53  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。お待たせしました。
 まずモニタリング検査でありますが、先週、2万2,500個のPCR検査キットを配布いたしました。予算の端境期というか、委託先の切り替え時期であったために少し配布数が少なくなっておりますが、1都3県と大阪に集中しておりまして、約1万8,000個を1府3県、5都府県で配っております。特に密になりやすい作業現場であるとか、それから大学、幼稚園・保育園などを中心に配布いたしております。
 全国で、先々週の分が先週返ってくるということで、1万6,700件の検査を行いまして、6件の陽性疑いが出ております。中には大学生、それから職場でも何名かの感染が出ておりまして、少し具合の悪い人がいたようでありまして、有効に機能しております。感染源を特定して感染拡大を防ぐということで取り組んでおります。
 今後も首都圏および大阪を中心に、そして現役世代の感染が拡大しないように、リスクのある場所、若い世代、こういったところに重点を置いてモニタリング検査を進めていきたいと考えております。
 私から以上です。

2.質疑応答

(問)2問お願いいたします。北海道がまん延防止等重点措置の適応を要請する方針との報道があります。北海道の感染状況への認識と知事らとの調整状況をお聞かせください。
 あともう一点が最低賃金の件ですが、中央最低賃金審議会の改定について一律28円引き上げるよう求める目安を答申しました。ですが、決定の際、経営側が反対するなど反発も大きかったようです。答申への所感をお願いします。そして、骨太方針の実現に向けて反対側にどのように理解を求めていくお考えかお聞かせください。お願いします。
(答)まず、後者の件からお話し申し上げます。
 最低賃金の引上げを含めた賃上げ、これはまさに成長と分配の、あるいは雇用の好循環を作っていくために不可欠なもの。さらに言えば、デフレ脱却のために賃上げの流れ、これを作っていかなければいけない。さらには、成長のためにも、これまで企業は非正規社員なり人件費を落とす形で利益を確保してきましたが、しっかりと人材に投資して、そしてイノベーションを起こしていく、そうした新しいコロナ後の動きを進めていかなければいけない。そうした中で、賃上げの流れの継続というのは非常に大事な要素だと思っております。その中で、最低賃金法の引上げも重要な政策課題だと認識しております。
 その上で、骨太方針にありますとおり、地域間の格差に配慮しながら、より早期に全国加重平均1,000円とすることを目指し、本年の引上げにも取り組むとしておりますので、こうした大きな方針の下、中央最低賃金審議会におきまして審議が行われたものと思います。
そして、その答申の中で1978年以降は最大となる28円、引上げ率に換算しますと3.1%という目安が示されました。これは賃上げの流れを強化するものということで、評価しているところであります。
 この答申の取りまとめに当たっては採決が行われて、使用者側の委員から反対があったことは承知しております。公労使で真摯な議論が行われた結果と受け止めているところであります。
 これに先立ちまして、私どもの中小企業に対するアンケートを5月に公表いたしておりますが、その時に最低賃金を含む賃上げの対応として、雇用の削減という回答が確かに1割程度あります。これは商工会議所の調査でも、やはり同等の数字がありますが、他方、システムや設備導入による生産性向上に取り組むとか、あるいは、業務効率改善による収益向上とか、こういった数字が20%、あるいは40%近くあります。あるいは、新商品の開発も31%ありますし、事業転換、企業統合、こうしたものを通じた収益力向上も30%程度あります。
 中小企業の側も、前向きな回答もこのように数多くあります。私どもとしては、中小企業が賃上げをできる環境をしっかり作っていくということが大事だと思いますし、こうした前向きな姿勢に応えていくことが大事だと思っております。
 そうした中で、第三次補正予算と今年度の予算、いわば15カ月予算として今、着実な執行に努めているところでありますが、例えば生産性革命事業として、まだ2,000億円残っております。これはものづくり補助金であったり、IT補助金であったり、持続化補助金。ちょうど今、公募をやっているところでありますので、まさに前向きに設備投資をやり生産性を上げていく、こういった企業への取組み姿勢に応えていきたいと考えております。
 それから、事業再構築補助金も1兆1,000億用意しておりますが、約2,000億円強、配分をもう終えていますが、第2回の公募が今終わったところで、今月末からまた第3回目の公募を行います。残り9,000億円ありますので、まさに事業の再構築、これに取り組む中小企業の取組みをしっかり支援することで最低賃金法の引上げ、これができる環境、そして全体として新たな時代に向かって、デジタル化であったり、グリーンであったり、そして人材への投資、生産性を上げていくこと、こういったことに国としてしっかりと支援し、まさにデフレからの脱却、そして成長と分配、成長と雇用の好循環を作っていければと考えております。
 それから、北海道。北海道の数字を見ていただきますと、昨夜、鈴木知事と意見交換をいたしました。知事から、札幌を中心に感染が広がってきている状況、危機感の表明があり、私どもも札幌の状況など、日々数字を見ているところでありますが、今の時点は、全体として、1週間10万人当たり11人ということで、まだステージ2以下のところでありますし、陽性率3.3%、それからワクチン接種の効果もあってだと思いますが、重症者は非常に低く抑えられて6%ということですし、病床も16%ですので。特に高齢者の重症化は抑えられていますが、40代、50代の入院が増えてきている、これは全国的な傾向でありますが、中等症がかなり増えてきているということがありますので、この札幌を中心とした北海道の状況を、しっかりと病床の状況を共有しながら対応を考えていきたいと思っております。
 今の時点で、この数字を見る限り、直ちに何か対応、まん延防止等重点措置が必要だとは数字上は見えませんが、ただ、かなり感染が増えてきているという状況は共有しておりますので、対策を強化していくこと、これは病床の確保もそうでありますし、併せて時短などの取組みも強化すると、あるいは検査をさらに増やすというようなことも含めて、昨日知事とそうした危機感を共有しながら対策の強化については方向性を共有しておりますので、そうした取組みを是非進めていただきたいと。国としてもしっかりと支援していきたいと考えております。
(問)北海道とも多少関係しますが、北海道、沖縄行きの便についての事前検査が今日から始まると思います。この意義について、大臣、改めてお願いいたします。
(答)夏の期間は毎年人の移動によって、北海道、沖縄は特に国内有数の観光地であります。人の移動によって感染が広がるということ、これは去年も経験しております。なんとかこれを抑えていきたいという中で、特に東京は緊急事態宣言、大阪はまん延防止等重点措置でありますので、こういった地域からの移動は控えていただくようにお願いしておりますが、やむを得ずどうしても行かなければいけないという方々には、しっかりと検査を受けていただきたいということで、呼び掛けを行っております。
 本日から8月31日までの北海道、沖縄便に搭乗される方々に対して、羽田、成田、伊丹、関空、福岡、この5つの空港から搭乗される方々に対して無料のPCR検査をお願いしております。勧奨しているところであります。私どもの特設サイトからも見られますので、コロナ室の搭乗前モニタリング検査のサイトからもできますので、見ていただければと思います。
 もう既に、先日来お話ししたとおりでありまして、3つのパターンで検査を行っております。事前にキットをお送りする唾液PCR検査で、配送するもの。これは間もなく開始する予定にしております。今日から開始しておりますのは、この1番、空港内でブースの検査。抗原定量検査ということで、PCR検査と同等、かなり近い形で精度の高いもので、短時間で分かりますのでこれでお願いしております。それから、事前に店舗で検査を行っていただくということ。これは今回、木下グループの協力も得ておりますので、新橋などの木下グループの店舗で事前にPCR検査を受けていただいてということも可能になっております。
 いずれにしても、事前に予約をしていただいて検査を受けていただくということで、今日は沖縄便の運行が台風の影響で止まっているようでありますが、北海道便はありますし、かなり空港での検査は混雑、長い列が出ているとは聞いておりませんが、普段よりもかなり混んで、多くの方が検査を受けているという報告を受けておりますので、是非、どうしても行かざるを得ない方はこうした検査を受けていただければということでありますし、陽性であれば搭乗をご遠慮いただくということでお願いしております。
 北海道と沖縄便について、今日から8月いっぱい検査を行うことで、大都市部から地方への感染拡大を防いでいくということで取り組んでいければと思っております。
 オリンピックも始まりますので、できれば自宅で家族か、いつもいる仲間と少人数で、大人数で飲食を伴うとまたリスクが高まりますので、いつもいる仲間と少人数、あるいは家族でテレビで感動を味わっていただければと思います。
 いずれにしましても、都道府県をまたぐ移動をできる限り控えていただいて、どうしても移動する場合はできる限り検査を受けていただくという、これは分科会の尾身会長からも言われている話であります。
 そして、全日空や日本航空などは、北海道、沖縄に限らず、移動される方には安価でPCR検査も受け付けて、奨励しておられますし、これもできる限り受けていただければと思います。
 いずれにしても、できる限り移動の場合には検査を受けていただくということが大事だと考えております。
(問)首都圏の感染状況で1つ。ステージ4に軒並みなってきている新規感染者数の状況は今もお示しいただいたと思いますが、新たな対策などの検討状況はあるのかどうかということが一つと。あと、今、不要不急の都道府県間の移動という趣旨のお話をされたと思いますが、これから衆院の任期満了なども控える中で、政治家の皆さんの移動というのも増えていく機会があると思いますし、全国遊説という機会もあると思いますが、こうしたものの考え方の整理についてどのようにお考えになっているのか。大臣もこの間兵庫県に知事選でお帰りになっていたと思いますが、こういったことも含めて、どのようなお考えの整理になっているのか。
(答)まず、首都圏の3県の知事とは随時、電話なりメールなりでもやり取りをしております。それぞれ感染が広がってきている状況にありますので、危機感を共有しているところであります。
 その中で、一つにはまん延防止等重点措置の地域を広げるという対応をそれぞれの3県で取り組まれております。こうしたことも連携しながら対応しているところでありますし、さらに、酒類の提供停止も、それぞれにかなり要件を絞ってやられていますが、場合によってはもう停止ということもできますので、そういったことも含めて対策の強化、徹底、さらには呼び掛け。どうしても夜間に店舗が開いていますと人が集まるし、人がいると店舗も開けるという、そして不公平感もありますので、これをなんとか解消していかないと、なかなか多くの方が納得されないわけでありますので、呼び掛けの人員なども強化しながら、これは事務費を国から手当てしておりますので、こういったことで呼び掛け、20時までの時短、あるいは酒類提供の要件の順守、こういったことに徹底して取り組むということで、3県とは連携して対応しているところであります。しっかりと状況を見ながら、特に感染者の数のみならず、先日来申し上げていますとおり、重症者は抑えられてきているものの中等症が増えてきているというところでありますので、特に40代、50代の入院が増えてきておりますので、この辺りの病床の状況、医療のひっ迫の状況をしっかり見て判断していきたいと思います。
 そうした中で昨日、厚労省からリジェネロン社の新しい薬が承認されましたので、これも先ほど田村大臣とも話しましたが、もう中外製薬の方からいろいろ配送の段取りはしているようでありますので、数日のうちにも使えるようになるということで聞いております。これは重症化を防ぐ、軽症、中等症の時に効果があるということですから、かなり効果を持つものと期待しておりますし、こうした治療薬も活用しながら、なんとか病床、中等症、あるいは重症を防ぐというところに全力を挙げてやっていきたいと思っております。
 いずれにしても、各知事とも連携しながら、病床の状況をよく見て判断をしていきたい、機動的に対応していきたいと考えております。
 それから、県をまたぐ移動につきましては、繰り返し申し上げていますが、できる限り控えていただくということで、不要不急の移動は控えていただく。さらには、これも申し上げていますが、出張とか旅行とか、どうしても必要なものなのかどうか、是非吟味していただきたいということでお願いしてきております。
 その上で、選挙に関わるもの、選挙については、これまでも申し上げてきていますが、まさに住民の代表を決めるという民主主義の根幹をなすものであるということでありますので、これまでも応援演説を含めた選挙活動、これは不要不急ということに当たらないと考えております。
 様々、国会議員の活動はあると思いますが、基本的には個別に判断されるべきものと考えていますが、民主主義の根幹にもつながる政治活動ということで、それぞれの常識に照らして考えていただければと思います。
 ただ、その場合であっても、やはりマスクの着用、手洗い、消毒、3密の回避、密もできるだけ回避するということが大事ですので、ゼロ密ということもできるだけお願いしております。こういったことの基本的な感染対策の徹底をお願いしたいと考えております。
 ありがとうございました。

(以上)