西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年7月19日

(令和3年7月19日(月) 16:02~16:28  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 お待たせしました。まず月例経済報告とコロナの関係を私からご報告いたします。
 月例経済報告については事務方から説明があったと思いますが、景気の現状については先月の判断を維持しております。また、先行きについても、まさに感染拡大防止の策を講じながら、ワクチン接種を進めていく中で各種政策の効果、海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されています。
 ただし、足元で緊急事態宣言を発出しておりますし、また、海外経済、感染拡大が見られる地域もありますので、そういった感染症による内外の経済への影響、これをしっかりと見ていくことが必要だということでありますので、警戒感を持って見ていく必要があると思っております。
輸出はもうコロナ前の水準に戻っておりますが、半導体不足で自動車関連に影響が見られます。横ばいということであります。生産は工作機械の受注などを見ても、これは先行指標ですので、改善傾向が続くものと考えております。
 企業の景況感、経常利益は非常にプラスで、経常利益は昨年度を上回る見込みでありますし、倒産件数なども低い水準に抑えられております。
 ただ、休廃業、解散件数など、昨年の1―6月期より同期比で下回っておりますが、やはり厳しい影響を受ける旅行・観光関係、こういったところをしっかりと見ていかなければいけないと思っておりますし、引き続き雇用調整助成金、それから融資、さらに様々な支援策で支援をしていければと思います。
 設備投資については、非常に強い意欲が引き続き感じられます。特にソフトウエア投資、研究開発投資、やはりコロナ後を見据えた企業の強い投資意欲が示されております。経済のけん引役となることを期待しております。
 いずれにしても企業活動を中心に、景気全体の持ち直しの動きが続いていくものと思いますが、内外の感染症の影響をしっかりと見ていきたいと思います。
 コロナの関係で申し上げますと、まず全国で18日、3,093人ということで、直近1週間の移動平均で見れば、先週比151%の増加で、1.5倍ということであります。新規感染者数の増加が続いております。
 他方、ワクチン接種が進捗しておりますので、高齢者の感染、あるいは重症化、死亡などが、引き続き抑制されています。全体として、重症者は低く抑えられてきているものと思います。
 他方、東京都で入院者数が2,300人ということで、先週2,000人を超えたというお話をしましたが、引き続きこれだけの感染者数、1,000人を超える感染者が出ますと、どうしてもその中で入院される方も出てこられますので、特に40代50代の感染される方が増え、中等症として入院をしておられるということであります。
 3点申し上げます。一つは、やはり中等症で入院者が増えるということで、医療提供体制、安定的に提供できるかどうか、ここをしっかり見ていかなければいけないと思っておりますし、医療の現場の皆さん、専門家の皆さんと意思疎通を図りながら、この点はよく見ていきたいと思っております。
 二つ目、やはり若い方も含めて後遺症がありますので、一部に40代50代が増えても大丈夫じゃないかというご意見もありますが、かなり重症者は抑えているものの、今申し上げたように、1点目に医療の提供体制を確保すること。
 二つ目にやはり後遺症は重いものがあります。普通の風邪とはやはり違う倦怠感、あるいは嗅覚・味覚に影響、それから脱毛などもあります。こういったことを含めて、是非ご自身の健康を守るためにも、感染防止策を徹底していただければと思いますし。
 3点目に、やはり現役世代が多く感染する。そしてその関係で濃厚接触者も2週間なり隔離をされるということで、まさに経済社会活動を支えていただいている、数多くの現役世代の方の活動が制限されるということで、これも社会全体には影響があります。
 イギリスでもそういった議論が行われると聞いております。毎日5万人も感染していけば、当然その方々のみならず、濃厚接触者も隔離されていきますので、社会全体への影響は非常に大きなものがあると思います。
 以上3点申し上げましたが、是非そうした観点からも、重症者は確かに低く抑えてきていますが、病床への影響、ご自身の健康、そして社会全体への影響。やはり緊急事態宣言の下で、あるいはまん延防止等重点措置の下で、不要不急の外出自粛、あるいは20時までの時短、そして酒類提供の制限、こういったことについて是非ご協力いただいて、何とか感染を抑えていければと考えております。
 その上で、さらに何点か申し上げますが、結婚式の二次会で感染が広がったのではないか、と思われる事例も報告を受けております。昨日少し渋谷、原宿辺りを見て回りましたが、今、結婚式のシーズンでしょうか。
 1年間待たされた、半年待たされたという方、延期された方々は本当に大事な人生のイベントでありますので、感染防止策を徹底していただいた上で、結婚式の業界でもガイドラインを作って人数制限とか、酒類の提供とか時間制限とか様々対応して、結婚式自体で大きく感染が広がったという報告は、まれにしかなかったわけですが、昨日、私の見ている範囲で何組か、やはり若い人たちが結婚式帰りであろう姿で、路上でマスクを外して会話が弾んでいたりしています。
 併せて全国で、カラオケスナックでの感染も報告を受けております。やはりマスクを外す、そうした時はリスクが高いわけでありますので、引き続き先ほど申し上げたように、自分たちは若いし風邪と同じだということで、感染してもいいということではなくて、是非ご自身の健康、後遺症のことも考え、健康を守るためにも、また、社会全体への影響も含めて、ご自身も場合によっては隔離される、あるいは濃厚接触者でしばらく十分な活動ができなくなりますので、そういったことを含めて是非引き続き、感染防止策を徹底していただければと思います。
 それから人流について見ますと、首都圏で29%。そして関西圏で18%と、今週は少し減少しています。今週は経済界にこれまで以上の一段のテレワーク、休暇の分散もお願いしております。
 もうすでに先週来、発表しているとおりでありますが、経済界340社から回答を頂󠄀いて、取り組むということで結果を頂󠄀いておりますが、さらに経団連加盟の会社は千何百社ありますので、引き続き回答を頂けるように呼び掛けて、そのこと自体がテレワークなり休暇の分散の働き掛けにもなりますので、さらにこの340社だけではなくて、それ以外の企業にも呼び掛けていただくようにお願いをしております。
 それからテレワーク全体でいうと、毎週水曜日に経産省で公表されておりますが、登録数990社まで実施状況など開示がなされております。
 上場企業に占める割合はまだ11.7%でありますので、是非引き続き多くの企業において、テレワーク、休暇の分散、特に夏休みに入っていきます。お盆の時期まで含めて、これはコロナ以前からオリンピックについてお願いをしている、計画を立ててやっていただいていることだと思いますので、是非協力をお願いしたいと思います。
 その関連で、午前中に企業組織の変革に関する研究会の論点整理について、経済同友会とオンラインで会議を行いました。コーポレートガバナンス・コードの変更もいたしましたが、「若者や女性や中途採用の方を登用していく」「多彩な人材の活躍の場をつくる」ということが主たるテーマでありましたが、その中でテレワークについても話題になりまして、同友会としてもかなり積極的に取り組んでいただいておりますが、さらにいろいろ課題も分かってきたということでありますので、そういったことも含めて、さらに一段の取組みをお話しさせていただいたところであります。同友会、経団連に引き続きこうした取組みをお願いしております。
 さらに人流の関係でいいますと、先ほど申し上げたように夜間の人流、21時時点、住んでおられる人を含めて28時との差を取っていますが、歌舞伎町、渋谷センター街、新橋とかなり高い水準であります。3月と変わらないような水準にまでなってきておりますので、もう一段、時短の取組みも含めてお願いしたいと思いますし、不要不急の外出自粛をお願いしたいと思います。
 次に昼間の時間帯も、新宿も3月あるいは年末にかなり近い水準まで上がってきています。渋谷、銀座はそこまでではないですが、かなり増えてきておりますので、引き続きお願いをしたいと思います。関西圏もミナミ、三ノ宮でかなり数が。3月まではまだ行っておりませんが、最近の大阪、兵庫も感染が広がってきている状況であります。
 昼間も特に梅田がかなり、5月は本当に厳しい状況の下で協力いただいて、感染を抑えることができましたが、今はもうかなり3月に近い水準まで戻ってきておりますので、引き続き緊急事態宣言の地域のみならず、まん延防止等重点措置のエリアでも協力をお願いしたいと思います。
それから併せて検査の拡充ということで、医療機関、高齢者施設に加えて大学、高等学校、専門学校などでも検査を進めるべく、今準備を急いでいるところでありますし、職場でも抗原検査キットが使えますので、活用いただければと思います。
 その上で明日7月20日~8月31日までの搭乗分につきまして、北海道・沖縄に向かわれる方について、羽田、成田、伊丹、関空、福岡空港で検査を無料で行います。私どものモニタリング検査の一環で、北海道・沖縄県と連携をしながら取り組むものであります。
 事前にキットを送って、唾液のPCR検査で事前にチケットを買った時に、そのような形で対応していただく分もありますし、それから何日か前に契約している店舗を紹介していますので、新橋とか新宿とかそういったところで事前に検査を受けると。これも唾液のPCR検査で受けるということも奨励しております。
 併せて時間のない方に当日、空港内で抗原定量検査ということで、これは非常にPCRと近い精度があるということでありますので、こういった取組みを奨励いたしております。
 今は東京から、あるいは感染拡大している地域からの、不要不急の外出・移動は自粛をお願いしておりますが、やむを得ずどうしても行かれる必要がある場合には、検査を受けていただいて、そして陰性であることを確認していただいて、飛行機に乗っていただくということで、陽性判定の場合は搭乗をご遠慮いただく、ということで進めております。
 北海道、沖縄は感染がいったん落ち着いたものが、また少し増え始めております。特にこの夏の時期、昨年もそうです。移動によって感染が広がったということも想定されますので、是非、両道県と連携をして取り組みたいと思います。
 明日から移動される方、どうしてもやむを得ず移動される方は、検査を受けていただけるようにお願いをしたいと思います。
 それからここ数日、梅雨明けも含めて、急速に気温が上昇してきておりまして、今後、熱中症の多発が想定されます。
 医療現場と私どもはいろいろやりとりをしておりますが、やはり熱中症の患者さんが増えれば、外来において熱中症疑いの患者の多くに対して、コロナ感染症との鑑別診断を行わなければならないということで、医療現場にとって大きな負荷になるというご指摘も頂󠄀いております。
 是非、急激に気温が上がっておりますので、水分の補給、それから気温の高い時間帯に、野外に長時間出ないということを含めて、心掛けていただければと思います。オリンピックも多くが無観客ということでありますので、是非、自宅のテレビで応援をしていただき、また、感動を分かち合っていただければと。
 クーラーをしっかりつけていただいて、そして家族かいつもいるメンバーと少人数で。仲間がみんな集まって、そこでわいわいやると、また感染リスクにもなりますので、専門家の皆さん、尾身先生からも先週発信がありましたが、まさに家族かいつもいる仲間と少人数でテレビで応援をして、感動を分かち合っていただければと思います。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2点お伺いします。
 一つは月例経済報告の関連というか、経済対策についてお伺いいたします。先週、公明党の山口代表が「選挙前に出すべきだ」と発言をされています。大臣も機動的に経済対策をという風に発言をされていらっしゃいますが、どういったタイミングで国民に提示されるのか、どういった内容にしたいと考えていらっしゃるかを教えてください。
 あともう1点は、飲食店の第三者認証制度のフィードバックシステムについてです。先週の金曜日「緊急事態宣言中は馴染まないのではないか」ということをご発言されていらっしゃいますが、宣言明けにもこのシステムを稼働させたいと考えていらっしゃるのか。
 あともう1点、飲食店から「監視されているようだ」という意見を持つ方もおられますが、そういった懸念にはどのようにお答えになるのか、教えてください。
(答)まず経済の状況について申し上げれば、先ほどと重複する部分がありますが、景気の現状判断については輸出、生産、設備投資、これはかなり強いものがあると思っておりますが、消費についていえば、足元の緊急事態宣言の下で、やはりサービス消費を中心に影響が出ているものと思いますので、ここをよく見ていかなければいけない。海外経済も好調ではありますが、足元、特に東南アジアでタイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、こういったところで感染が急激に増えておりますし、ヨーロッパ、イギリスの状況も、感染者が増えても重症者が抑えられているということですが、先ほど申し上げたように、現役世代の多くが感染して自宅で療養、あるいは濃厚接触者は同様に待機しなければいけない、隔離されるということでありますので、これはかなりの影響が出ます。
 毎日5万人の感染者が出ると相当な影響があると思いますので、そういったことを含めて、海外の感染の状況を含めた経済動向を、しっかりと見ていかなければいけないと考えています。
 その上で、一方で国内でもワクチン接種が着実に進めば、繰り返し申し上げていますが、順調にワクチン接種が進めば、8月22日の緊急事態宣言期間の最終の頃には、今のヨーロッパと同等の水準にまでなりますので、かなり光が見えてくるということだと思います。
 専門家の皆さんにも、その時点でどういったことが可能なのか。あるいは10月11月、国民の多くの皆さんが、希望する方がほとんど2回接種を終える、その段階でどういったことが可能なのか。
 海外の状況分析もお願いしておりますし、そしてワクチン接種がどうしてもできない方、体質的に、あるいは宗教上の理由など様々あると思いますので、そういった偏見・差別につながらないようにしなければいけませんが、それと検査を組み合わせることによって対応できないか。
 あるいは専門家からもご提案いただいているQRコードなど、新しい技術を使って、さらにそれを保管する形で対応できないかということで、イベントのあり方、あるいは飲食店の今の要請についても、どういったことができるのか、そういった議論をお願いしております。
 従って先行き、ワクチン接種が進むことで、経済の状況は改善を期待したいと思いますが、しかし今の海外の状況もしっかりと分析して、対応しなければいけないと思っております。
 その上で昨年度の第3次補正は、いわゆる15カ月予算として、昨年度中に全部使い切るということ。もちろん補正予算ですから、できるだけ早く使うということでありますが、本年度予算と合わせて15カ月予算ということで、結果的に30兆円繰り越されております。
 これについてはもちろん協力金であるとか、医療の包括交付金であるとか、それからGoToトラベルも停止いたしておりますので、約1兆円使えるものがございます。こういったものをどのタイミングで、どう使っていくのかということも考えていかなければなりませんし、予備費の4兆円もありますので、これも必要な政策に機動的に使う。
 予備費はそういうものでありますので、そういったことを頭に置きながら、対応を考えていかなければいけないと思います。菅総理はまさに「経済の状況を見ながら臨機応変にしっかり対応する」ということを言われておりますし、「常に経済対策というのを頭の中に入れながら取り組んでいる」ともおっしゃっておられます。
 総理とよく相談しながら、まさに今の感染状況、緊急事態宣言による影響、これにしっかりと目配りをしながら、臨機応変に必要な対策を講じていかなければいけないと思っておりますので、相談をしながら、まさに必要となれば、ちゅうちょなく機動的に政策運営していきたい、と考えております。
 それからフィードバックシステムにつきましては金曜日、会見で申し上げたとおりであります。状況は変わっておりません。
(問)コロナの状況についてお聞きいたします。
 緊急事態宣言が出ている東京だけではなくて、大臣も先週ご発言されていましたように、地方部でも感染が増えてきているところが見受けられます。
 今、例えば東京周辺の3県、まん延防止等重点措置が出ていますが、そういったところを宣言にレベルアップするとか、あるいは何も適用されていないところに重点措置を適用するとか、そういった判断というのは今後あり得るでしょうか。お願いいたします。
(答)何人かの知事、首長の皆さんとは、この週末やりとりをさせていただいています。大阪は松井市長と話す機会がありました。それから過去最高となっている鳥取県・平井知事、あるいは3県の知事とも電話なりメールなり、このところやりとりを続けています。
 それぞれの地域で、神奈川それから埼玉、千葉、まん延防止等重点措置のエリアでは、エリアの拡大を行って、より広く対策を強化されていますし、今は一定の要件の下でお酒の提供をされていますが、まん延防止等重点措置ではお酒の提供停止もできますので、状況を見ながら対応されるということだと思います。
 これは松井市長ともやりとりしましたが、大阪もかなり感染者が増えつつあるものの、病床は重症者を抑えられていますので、先ほど申し上げた「やはり中等症の病床の状況をよく見ていきたい」というお話をされていました。
 まさに40代50代の入院が増えていますので、先ほど申し上げた3点、病床の逼迫につながっていくということと、ご自身の健康のためにも、そして社会全体への影響、こういったことを見ながら、感染防止策の徹底をやはりそれぞれの地域でお願いし、必要に応じて強化をされている、という状況だと思います。
 あとは北海道・沖縄については、先ほど申し上げた移動に伴う検査を拡充することで、さらに大都市部から感染の持ち込みがないように、できる限り協力を頂󠄀いてお願いをしたいと思いますし、それぞれの地域で病床の確保を含めて、そして感染防止策の徹底。
 沖縄でいえば夜間の人口はかなり低めに抑えられていますので、県の方も強い対応。応じていただけないお店には、かなりの数の命令も出されていると報告を受けておりますので、そういったことを含めて対策の徹底、強化。その上でそれぞれの知事とも連携を取りながら、状況を見て機動的に対応をしなければいけない場面になれば、機動的に対応していきたいと考えております。
 ありがとうございました。

(以上)