西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年7月9日

(令和3年7月9日(金) 11:08~11:32  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

 私から2点ほど申し上げます。
 昨日、緊急事態宣言を発出させていただきました。まさに東京都の状況、病床が今後、ひっ迫する恐れもあるということで、昨日、尾身会長からもお話があったところでありますが、そうした中で厳しい措置をお願いしなければいけないということであります。
 先ほど小池知事ともお話しさせていただきました。しっかりと感染を抑えていこうということで、連携して取り組むことを確認したところであります。都民の皆さん、そして国民の皆さんに様々なご不便をおかけしますが、是非ご協力をお願いしたいと思います。
 長引くこの自粛の中で、なかなか共感を持っていただける、ご理解いただける、どのようにすればいいのか本当に苦慮してきているところであります。なんとかご協力をいただけるように、知恵を絞りながら私どもも対応していきたいと思いますし、しっかりと対策を講じながら、汗をかいて皆さん方にご理解いただけるように取り組んでいきたいと思っております。
 特にワクチン接種が進む中、明かりが見え始めております。もう明らかに高齢者の感染者の数、重症者は減ってきていますので、そういう意味で、ワクチン接種が進むまでの間、できればこれが最後の我慢となるように全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。
 8月22日頃には、順調にワクチン接種が進めば今のヨーロッパ並みの接種状況になります。ヨーロッパでは様々経済に関する緩和が行われ、活動が活発になっています。専門家の皆さんにも、どういう絵姿になっていくのか、どういったことが可能になるのか、是非検討をお願いしたいということで、昨日も正式に分科会の皆さんにもお願いしたところでありますので、この明かりが見えてくること、見えてきたこと、是非最後の我慢になるように全力で取り組んでいきたいと思います。
 他方で、小池知事とも話していましたが、50代の入院が最高の割合になってきています。社会の中心的に活動されている皆さん方だと思いますが、夜間の人出、滞留人流も非常に増えてきています。活発な活動の中で感染し、重症化する方の割合が増えてきていますので、ご自身の健康を守るためにも、そして若い方も後遺症も含めてありますので、是非いま一度、もう本当に何度も繰り返しで申し訳ないですが、不要不急の外出自粛を含め、感染防止策の徹底を改めてお願いしたいと思います。
 そして、飲食店の皆さんには非常に厳しい状況が続きます。また改めて酒類の停止などをお願いすることになりますが、協力金を後払いではなくて先にお渡しする仕組みも導入していきますので、是非協力していただけるようにお願いしたいと思います。金融機関の皆さんも、ルールを守って堅実に真面目に取り組んでいただいている、要請に応じてやっているお店、こういったところに、いわば社会全体で感染を抑えていく、そうした協力の体制を作れればと思いますので、真面目にやっている人が馬鹿を見ないように、不公平だという感じを持たれないように、是非社会全体で協力していただける体制に取り組んでいければと考えています。
 経済界にも引き続きテレワークの調査、7月中旬以降の調査をお願いしております。まだ1,000数百社のうち300社強だと思いますので、調査を働き掛けることで改めて呼び掛けをすることにもなりますので、経済界の皆さんには、テレワークを引き続き今まで以上にお願いしたいと思います。オリンピックの期間については、テレワークや出勤者数の削減ということをコロナ以前からお願いし、計画も作っていただいているということでありますので、是非実施していただければと思いますし、緊急事態ということでありますので、いろんな活動、オンラインでできるものはオンラインでということでお願いしたいと思います。
 それから、若い方々にまでワクチンの接種が行き渡るまで、やはり検査の拡充も重要だと思っております。抗原検査キットを活用して大学、高等学校、医療機関、高齢者施設、専門学校、日本語学校、こういったところを含めて、ちょっと具合が悪い方には有効ですので、活用を広げていきたいと思います。昨日もお話し申し上げました県を跨ぐ移動はできるだけ控えていただくとしても、どうしても行かなければいけない時の検査、空港での検査、特に沖縄、北海道、毎回、やはり東京から、大都市部から感染が広がる経験をしてきていますので、検査をしっかり進めていきたいと、そうした体制を作っていきたいと考えております。是非、多くの国民の皆さんのご協力を得て、何としても感染を抑え、そして病床、医療提供体制をしっかりと確保していく、国民の皆さんの命と健康を守ることを第一に取り組んでいきたいと考えております。
 それから、昨日は東京五輪の観客数につきまして、東京をはじめ首都圏で行われる競技は無観客になると。それから、宮城、福島、静岡県で行われる競技は50%以内、あるいは1万人以内ということで合意されたと聞いております。丸川大臣とも朝、お話しさせていただきました。
 私から2つ申し上げるとすれば、1つは以前から申し上げていますが、先日の陸上選手権、国内の100メートル決勝を当然テレビで見ましたが、すごく感動しました。非常にレベルの高い、史上最高とも言われる選手の皆さんがあそこまでされてきて、高いレベルの闘いになって、多田選手が優勝されたわけですが、テレビを見ていても非常に感動いたしました。今回は多くの方が、もうほとんどの人がテレビで観戦ということになると思います。是非、自宅で家族とテレビで応援ということで、テレビを通じて感動を分かち合っていければと考えております。テレビでもあれだけの感動が得られるということだと思いますので、是非そうした感動を分かち合えればと思います。
 それから、宮城、福島、静岡でありますが、県を跨ぐ移動になりますので、全体として東京で緊急事態宣言、首都圏でまん延防止等重点措置が発動されることになりますので、県を跨ぐ移動はできるだけ控えてということであります。それぞれの知事とも話そうと思いますが、是非、感染防止策を徹底しながら、そして直行直帰など、いろいろと働き掛けを組織委員会などでもされると聞いておりますが、感染が広がらないような取組み、それぞれの知事とも連携して、私の立場でできることは協力していきたいと考えております。
 いずれにしましても、とにかく首都圏の感染を抑えること、このことに全力を挙げていきたいと思います。全国的には落ち着いてはいますが、少し幾つかの県で増加。1日、2日では分かりませんが、やはりこれまでの経験からいくと、首都圏で増えるとそれが関西圏やあるいはそれぞれの地域で広がるということがありますので、県をまたぐ移動、何人かの知事からもう既に発信されていますが、首都圏との往来など、出張など必要なものかどうかを改めて確認いただいて、オンラインでできるものであればオンラインを活用していただくことを改めてお願いしたいと思います。
 ワクチン接種は着実に進んできますので、8月22日ごろには今のヨーロッパの水準ぐらいまで接種が進むことが期待されますので、是非、その先に明かりが見え始めた最後の我慢となるように、全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭大臣もおっしゃっていたように、東京都での4回目の緊急事態宣言の発令に伴う経済への影響について伺わせていただきます。
 先日提示された内閣府の年央試算では、ワクチン接種の進展などにより年の後半にかけてペントアップ需要の発現などで、景気回復のペースが今年中に新型コロナウイルス禍前の経済に戻る姿を想定されていました。しかし、7月12日から8月22日まで東京都でまん延防止等重点措置から緊急事態宣言に切り替えたこと、あるいは沖縄県の緊急事態宣言の延長、首都圏の3県や大阪府のまん延防止等重点措置が延長されたことで、7-9月期もやはりペントアップ需要の発現が遅れ、個人消費に下押しの影響が出ることが想定されます。そうなると景気回復の後ずれも予想されるのですが、経済の下支えのため、二階幹事長は補正予算に言及されていました。補正予算や経済対策などの必要性について、大臣の現時点での所感を伺わせてください。
(答)緊急事態宣言を発出することになりましたので、当然、飲食、宿泊をはじめサービス業、消費には影響が出るものと思います。厳しい影響を受ける事業者の皆さまに、先ほど申し上げた飲食店の皆さまには協力金の先渡しなど、できるだけ迅速に支援が行き渡るように取組みを進めたいと思います。中小企業の皆さん、月次の支援金20万円も8月まで支給するということでありますので、最大1月から考えると、もう160万円にまでなります。手続きもできるだけ簡素化して、迅速に支援が行き渡るように。地方創生臨時交付金を使って、それぞれの都道府県がさらにその上乗せも行っておられますので、こうした取組み、支援が迅速に行き渡るような取組みを進めていきたいと思っております。
 また、雇用調整助成金も9月まで延長いたしますので、雇用者の休業、あるいはシフトが減る、パート・アルバイトの方も含めて、休業手当は月額で最大33万円まで国が100%支援していく、こうした取組みが迅速にお手元にわたるように取組みを進めたいと思います。
 その上で、なんとかワクチン接種を着実に進めて光が見え始めているもの、これを確かなものにしていけるように、できれば最後の我慢となるように、全力を挙げて取り組んでいきたいと考えています。
 日本経済の潜在的な回復力はあるものと思っておりますので、海外経済の回復に伴って輸出・生産は戻ってきておりますし、設備投資意欲も非常に高いものがあります。いわばこのポストコロナ、アフターコロナ、言い方はいろいろありますが、コロナ後の新しい経済の構造、社会の構造、これを先取りした動きがもう始まっておりますので、デジタル化、オンラインを通じた様々な取組み、あるいはグリーンへの取組み、そして人材育成、こうした取組みをしっかりと国として後押ししながら民間の創意工夫、投資をしっかりと引き出していければと考えております。
 足元の緊急事態宣言の影響については、しっかりと目配りしながら対応しなければいけないと思っております。予備費の4兆円も含めて、必要な対策は機動的に講じていきたいと考えておりますが、菅総理は昨日、「常に経済対策を頭に入れながら取り組んでいる」というお話をされていました。菅総理とよく相談しながら、状況に応じて緊急事態の影響などにしっかり目配りしながら、機動的に対応していきたい、取り組んでいきたいと考えております。
(問)先ほどご紹介のあった金融機関を通じた飲食店への対策について、昨日大臣は文書で出していきたいという趣旨のこともおっしゃったかと思いますが、改めてどういった形のものをお考えになっているのかということ。総理はその件について承知されていないとぶら下がりではおっしゃっていましたが、政府内での検討状況がどのようになっているのかお願いします。
(答)まず、このコロナに対してどうやって感染を抑えていくか、社会全体で取り組んでいく必要があると認識しています。多くの皆さんに協力をいただいて抑えていかなければいけない。そうした中で、飲食店の皆さんには本当に厳しいお願いを継続してやっていくことになりますので、本当にご負担をおかけして申し訳ない思いでありますが、多くのお店に協力をいただいております。
 協力金が届くのが、支給が遅いという理由でやむを得ず開く、こうした声も報道でもありますし、届けられていますので、やはり迅速に協力金を届けることが大事だということで、先払いの仕組みを今回導入することにいたしました。要請に応じて本当に取り組んでいただいている皆さんに、しっかりと支援が迅速に行くように対応していきたいと思います。
 そしてさらに、要請・命令等に応じていただけないお店も幾つかあるという中で、やはり不公平感の解消も必要だと思っております。いろんな形で、東京都なども丁寧に文書で要請し、お願いしているところでありますので、遵守を引き続き働き掛けをしていきたいと考えております。
 金融機関は、飲食店を含む多くの事業者と接点があって、日頃からいろんなコミュニケーションをとっていますので、そうした一環で感染防止策の徹底、こうしたこともいろんな機会を通じて働き掛けていただければということで。何か法律に基づく要請とかではなくて、一般的な日常の中で、そうした働き掛けを行っていただければということであります。これは関係省庁と共有しておりますので、関係省庁の間で、それぞれの省庁で対応されるものと思います。
 その上で、私の思いは、不公平感がやっぱりありますので、要請に応じているお店、要請に応じたいが協力金が来ないから応じられないとか、そういったお店があるということですので、しっかりと応じていただける店に対して先払いで協力金をお支払いする、あるいは金融機関もそうしたお店に対して、事業が継続していけるよう取り組んでいただきたいという思いです。
 多くの皆さんにとにかく協力していただけるように、先ほど申し上げましたが、東京都の分析では、やはり夜間の人口、お店が開いていることで人が出る、人が出ることによってまた店が開くという悪循環で夜間の滞留人口が増えております。そういう意味で、夜間の滞留人口と感染者の数は、もうこれは関係が明確にありますので、なんとか夜間の人出を減らし、感染を抑えていく。そのために多くの皆さんの協力を得て、そして事業者の皆さんにも協力をいただいて、時短なりの要請に応じていただければと。そうした中で、なんとか今回の緊急事態宣言が、できれば最後の我慢となるように取組みを進めていきたいと考えております。
(問)今の質問の関連ですが、この件については、金融機関の優越的地位の濫用につながるのではないかといった指摘が自民党内からも出ています。改めて昨日の大臣の発言とは若干そのニュアンスが変わってきたのかなと思いますが、昨日の、「要請に応じない飲食店に対して金融機関から文書で働き掛けてもらう」ということは撤回されたということなのでしょうか。
(答)昨日の私の会見を聞いて、見ていただければいいですが、金融機関から何か文書で働き掛けとかということは申し上げていません。私の立場から言うと、金融機関を所管する関係省庁にこうした取組み、基本的に言えば、不公平感の解消、そして真面目に取り組んでいる事業者の皆さんにしっかりと配慮して、事業が継続していけるように取り組んでほしいということを関係省庁と共有し、それを関係省庁から金融機関に働き掛けてもらうということですので、金融機関から文書を何か出してもらうということではありませんので、昨日はそういう趣旨で申し上げています。
(問)関連してお伺いします。先ほどの金融機関を通じた注意喚起の件で、インターネット上では、融資とか貸し剥がしのほうにつながるのではないかと。要は、金を人質にしているではないかというような批判も出ています。誤解があってはいけないのでちゃんと確認しますが、そういった金融機関からの融資に関して、要は出す、出さないの判断にまで影響が出るということまで念頭にあるものでしょうか。仮にないとしても、事業者から見るとそのように見えてしまいますが、その辺はどのように認識されていますでしょうか。
(答)当然のことながら、金融機関の皆さんには、引き続き事業者の資金繰り支援に万全を期していただくということで、もうこれは何度も我々は要請してきておりますし、そうした対応を金融機関にとっていただいているものと思います。飲食店に対して、何か融資を制限するといったような趣旨ではありません。このことは関係省庁とも確認しています。
 他方で、今申し上げたように、真面目に応じていただいている事業者の皆さんがやむを得ず店を開かないと続けていけない、協力金が遅い、そういった事例も多数聞いておりますので、そういった方々へ私の立場でできることは、協力金をできるだけ早く渡すということで、先払いの仕組みを導入して、協力に応じていただけるように。そしてまた、金融機関の皆さんには、そうした前向きな、要請に応じたいけれどもこのままでは応じることができないといったような事業者の声をしっかり拾っていただいて、事業を継続していただけるように、そうした社会全体でこの感染を抑えるための協力をしていくということが大事だと認識しています。
 今回の緊急事態宣言の下で飲食店の皆さんには引き続き厳しい要請が続くことになりますが、なんとか要請に応じていただけるように、協力金はできる限り早く先払いで対応したいと。それを今日も小池知事とも確認いたしましたので。東京も早く対応していただけるように私どもとして支援してまいりますので、是非とも要請に応じていただいて、社会全体の協力の中でなんとか感染を抑えていければと考えています。
(問)関連で、融資を制限するという趣旨ではないとのことなのですが、だとすると、働き掛けというのは、つまりどのようなものを想定しているのでしょうか。
(答)金融機関の皆さんから、今申し上げたように、真面目に取り組んでいる皆さん方に対して、特に事業が継続していけるようにお願いしたいと思います。さらには感染防止策の徹底は、いろんな機会、いろんな事業者の皆さんと接点があると思いますから、日常のコミュニケーションの中で感染防止策の徹底を是非呼び掛けていただきたいということをお願いしたいと思っています。
 ありがとうございます。

(以上)