西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年6月24日

(令和3年6月24日(木) 18:14~18:23  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 月例経済報告でありますが、もうご説明を受けておられると思いますし、お手元にあると思いますので、ポイントのみ申し上げます。
 景気の現状については前月の判断を維持しております。先行きについてはワクチン接種を促進する中で、持ち直しの動きが続くことが期待されるとしております。いずれにしても感染症の影響を、引き続き警戒感を持って注視していく必要があるとしております。
 ご存じのとおり輸出・生産は、コロナ前の水準に戻っております。電子部品など非常に好調ですが、半導体不足などについて少ししっかりと見ていかないといけないと思っています。企業動向も1―3月期の経常利益は増加しております。資金繰り支援の効果もあって、5月の倒産は昨年の特殊要因を除けば、過去50年で最低水準ということであります。
 国内企業物価は、石油・石炭製品、非鉄金属、木材などが、海外の景気回復に伴って上昇しております。企業活動に与える影響について注意が必要であります。
 それから設備投資は4―6月期の法人企業景気予測調査で、引き続き高い伸びであります。これは収益が改善していることを受けてでありますし、特にソフトウエア、デジタル化、これについて前向きな投資意欲が感じられます。設備投資には是非、経済のけん引役となってもらいたいと思っております。
 雇用については、雇調金も引き続き特例を継続しておりますので、4月の完全失業率は2.8%という低水準に抑制しております。賃金についても連合の第6回の集計で、賃上げ率は全体1.79%、中小企業も1.74%。
 また、日経新聞調査ですが、夏のボーナスは昨年の水準を下回りますが、ただ、賃上げ率、ボーナスともに2012~2013年頃の水準を上回っております。厳しい中でも企業の皆さんには、踏ん張っていただいているものと思います。
 世界経済についてはアメリカ、イギリスでワクチン接種が進展しておりますし、中国も含めて経済回復をしてきております。
 そうした中で1点、資料の中にも入っていますが、アメリカでの物価上昇率が高まっていることについて、まさにFOMCで物価上昇率の見通しを引き上げておりますし、政策金利引上げの見通しも、2024年以降から2023年に前倒しをしています。こうした海外の金融市場、金融政策の動向について、注視をしていく必要があります。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)月例経済報告について伺います。基調判断について、一部で弱さが増しているということで、5月に続いて厳しい評価となったと思いますが、4―6月期についてはエコノミストの間では、GDPが2期連続のマイナス成長に陥るという予測も出ています。
 一方で政府が1月に示した政府の経済見通しで、今年度はプラス4.0%の成長率を見込んでいますが、2021年度の第1四半期は厳しいスタートになっているわけですけれども、この1月の見通しで描いた成長シナリオ、これに狂いは出ていないのか。特に来月下旬には年央試算をまとめるわけですけれども、現時点で、今年度の4%成長という見通しに対する評価をお願いできないでしょうか。
(答)まずご指摘のように経済見通しでは、2020年度がマイナス5.2%、2021年度にプラス4.0%という見通し。2021年度中には経済がコロナ前の水準に回復する、ということを見込んでおります。
 2020年度については、2021年の1―3月期についてGDP速報で、もうすでに実績で公表されているとおりマイナス4.6%と、マイナスではありますが、2020年度については経済見通しを少し上回る結果となっております。
 足元は先ほど申し上げたとおり、輸出・生産がコロナ前の水準に戻ってきておりますし、増加基調が続いています。企業の投資意欲もそれなりに強いもの、特にデジタル化、グリーン化について強いものがあります。
 緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の下で、特にサービス消費が弱いわけでありますが、この点もワクチン接種が進んでいく中で、外出や移動が段階的に緩和され、様々な制限が緩和されて正常化に近づいていけば、潜在的な投資意欲、いわゆるペントアップ需要と呼ばれたり、リベンジ消費と言われたりしますけれども、持ち直していくことを期待しております。
 そうしたことを総合すると、潜在的な回復力は引き続き日本経済は有しているものと、評価を変えておりません。5月にOECDが経済見通しを出しておりますけれども、これによりますと日本経済は、これは暦年で出していますので、2021年末には日本の実質GDPがコロナ前の水準に戻るという、そういう見通しを発表しております。このことは政府の見通しと同じように、着実に回復していく姿を、見通しを示しているものと考えております。
 いずれにしましても4兆円の予備費も含めて、必要な対策を機動的に打ちながら、また、協力金の支給を迅速にすること、あるいは雇用調整助成金を延長したこと、こうしたものをしっかりと活用していただくことによって、事業、雇用を支えていきたいと考えておりますし、ご指摘がありましたように例年、このところ7月には年央試算を出しておりますので、適切なタイミングで年央試算をお示ししたいと。今後の見通しなど、最新のデータに基づいたものをお示ししたいと考えております。これからよく精査をしていきたいと考えています。
(問)私も月例経済報告ですが、先行きの部分で東京オリンピックのことについては触れていらっしゃいませんが、先日オリンピックの観客の上限が1万人・半分での開催が決まりましたが、これが先行きの経済にどのような影響を与えるか、ということをお聞かせください。
(答)まず経済全体としていえば、繰り返しになりますが、輸出・生産がコロナ前に戻ってきていること。それから設備投資も企業側の意欲が感じられること。それからワクチン接種が進む中で、外出や移動が正常化していけば、いわゆるペントアップ需要、あるいはリベンジ消費と言われるようなもので、個人消費も持ち直しに向かうことが期待されておりますので、全体として見れば、潜在的な回復力を有していると評価をしております。
 その上で東京オリンピック・パラリンピックの大会についてでありますけれども、様々な関連する支出がありますので、お金が出るということは経済にはプラスの効果があるだろうと思いますが、それを頼りに景気を回復させるとか、経済を拡大していくとか、そういったことは一切考えておりません。
 まずは国民の皆さんの命、健康を守ることが最優先でありますので、感染拡大防止策に全力を尽くしていくと。安全安心の大会にするということが大事でありますので、私の立場では感染リスクを下げるということに、全力を挙げていきたいと考えておりますし、予備費が4兆円程度ありますので、必要な対策はこの予備費の活用も含めて、機動的に講じていきたいと考えております。ありがとうございました。

(以上)