西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年6月22日

(令和3年6月22日(火) 10:27~11:06  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

 コロナの関係で何点かお話しします。
 クラスターについて分析をしております。1月以降のクラスターですが、このところ、2月、3月で飲食店はかなり減りましたが、1月はかなりのクラスターが発生しました。多くが福祉施設、医療機関、それから飲食店です。それから企業、大学等です。2月はかなり皆さんに協力していただいて減りました。3月もかなり減りました。ところが、4月、5月で、特に直近5月は、福祉施設でまだそれなりに出ているのですが、ワクチン接種を進めていますので、医療機関も含めて、ここは今後減少してくるものと思いますが、飲食店がここにきて数が増えてきていること、それから企業、大学等、ここがもう半分以上を占めています。次の人数で見ていただいても、半分、かなりの人数を飲食店、企業、それから大学などが占めています。
 飲食店の皆さんには非常に厳しい時短要請、あるいはお酒の提供、カラオケの提供をやめていただくことを含めて進めてまいりましたが、今回、感染防止策をしっかりと講じていただいているお店、少なくとも4項目、アクリル板、換気、それから消毒、マスクの着用を奨励すること、これをしっかりやっていただいているお店には、19時までに限ってお酒を提供するということで。東京の場合はそれよりさらに厳しい90分以内とか、2人までとか、ということでありますので、引き続き厳しい措置が講じられます。飲食店はここにきてまた少し数が増えてきておりますので、是非、注意をお願いしたいと思います。
 それから企業、大学です。これまでも申し上げてきていますが、感染防止策をしっかりとやっていただいている職場でもそうした事例が出てきております。後ほど、スーパーコンピューター富岳の解析を少しご紹介しますが、引き続き、やはり換気がすごく大事であります。変異株でエアロゾルによる感染もありますので、換気が悪いと空気が淀んでしまうことによって感染が広がったケースが出てきておりますので、何回かここでクラスターもご説明しておりますが、引き続き職場での感染に万全を期していただきたいと思います。よくあるのが、営業などにおいて車で一緒に移動するとき、窓を閉め切って、あるいはタバコを吸う、そういった局面、場面で感染が見受けられますので、是非注意をしていただきたいと思います。
 大学も、運動部などを中心に出ております。運動部の例で言いますと、もうたくさん出ていますが、90名出ているケースがあります。
 それからスポーツクラブも、1年前は結構出ましたが、その後、ガイドラインをしっかり守っていただいて、ほとんど出ていなかったのですが、ここにきてスポーツクラブが少し増え始めています。あるいはホットヨガのようなところです。これは、やはり換気が悪いのではないかと言われています。それから、このスポーツクラブでは換気もやっているし、それなりにしっかりやっていますが、それでもやはり発生していますので、原因を引き続き分析してもらっています。いずれにしても、変異株でこれまで出ていなかったところでもまた感染が出始めていますので、それぞれの施設はこれまで以上に感染防止策の徹底。特に換気、それから人数制限です。密になってしまうと、どうしても感染しやすいリスクが高まりますので、是非、そうしたことをお願いしたいと思います。
 いずれにしても、大事なことはワクチン接種を着実に進めていくということ。職域接種もかなり本格化していますので、進めていただくこと。それから、併せて検査の拡充。これはこの後申し上げますが、モニタリング検査も拡充していきたいと思いますし、抗原検査キットを職場、それから、まず医療機関と福祉施設に配り始めています。そして次に大学に行います。文科省の通知が出ましたので、高校でも保健室などに置いていただいて、そこで検査を受けられるようにするということで、高校、大学、専門学校、こういったところで抗原検査キットを拡充していきたいと思います。80万キットを予定しております。文科省から昨日通知がなされていますので、是非、それぞれの学校で活用していただきたいと思います。モニタリング検査も私どもは拡充していきたいと思いますので、お願いしたいと思います。
 ワクチン接種は、合計が3,160万回まできました。少なくとも1回接種した方が2,244万人ということでありますので、全人口の約18%であります。よく申し上げます100人当たりの接種数が25まできていますので、100人当たりで2回接種しますから200が最大です。25まできています。ヨーロッパが今、70、80かと思います。アメリカ、イギリスが100ぐらいだと思いますが、50ぐらいまでくるとヨーロッパも経済活動の緩和を始めていますので、かなり今、急ピッチで進んできております。
 私自身も、この霞が関の接種が始まりましたので近々、接種をするべく今、日程を調整しております。それから、幾つかの職域接種を是非、視察もしたいと思っておりますので、それも調整しているところであります。いずれにしましても、今日も河野大臣とも話しましたが、着実に進めていくということ、様々な形でサポートしながら進めていきたいと考えています。
 それから、そのモニタリング検査ですが、先週、6万7,000個配布しました。先々週6万9,000ということで、1日1万程度のものの配布を行っております。戻ってきているのは、回収が先週は4万4,000という数ですが、既に先ほど申し上げた大学も1万5,000件の検査を行っています。幼稚園、保育園なども1万1,000件、企業も3万2,000件の検査を行っています。ちなみに今、63の大学や専門学校で行っています。幼稚園、保育園も535の団体で検査を行っております。さらに、申込みも大学、専門学校なども330、幼稚園、保育園が1,200ありますので、これを着実に調整して検査を進めていきたいと思っております。
 4万4,000のうち16件が陽性ということで、これを見ていただいたら分かるのですが、5月の初めから陽性者、4月は56件ということで、少ない件数の割に高かったですが、37、48、26、24、16ということで、検査を増やしている一方で陽性疑いがこういう形で減少傾向にありますので、陽性率は下がってきています。これは全国的な傾向のとおりです。
 先週で言いますと、各地で数名ずつ出ている格好でありまして、このところ26、24、16名と下がってきています。
 それで、それぞれ先週、東京は1万7,000件、首都圏も確実に、神奈川も9,000件ということで進めております。これまでの累計でも東京は10万件やっておりまして、陽性率は17週目、かなり下がってきています。
 これ、年齢別にはかなり満遍なく検査をしていますが、陽性疑いは、やはり圧倒的に20代、30代で3分の2です。60代、70代は、もう非常に減ってきました。これがいわゆるワクチンの成果が出てきているのかどうか、まだ分かりませんが、引き続き分析を進めたいと思います。これから進む現役世代、20代以下、10代、20代、30代で3分の2ですので、ワクチン接種を進めるのと併せて若い世代の検査をしっかりと、私どももモニタリング検査を行いますし、抗原検査キットを使って、少し具合の悪い人、熱はないけれども少し違和感がある人を、人にうつす量のウイルスがある人は抗原検査キットで検知できますので、これを活用して若い世代の感染を抑えていきたいと思っております。
 陽性率も年代別に、これは全体が赤ですけれども、かなり減少傾向。これは全国の傾向と一致します。特に60代、70代が、60代は一時期非常に高かったのですが、これがかなり下がってきていますし、70代もゼロということで、かなり減少してきています。これがワクチンの効果なのかどうかなど、分析は引き続き進めたいと思っております。
 スーパーコンピューター富岳で、従来株とアルファ株、英国で見つかったもの。それからデルタ株、インドで見つかったもの。デルタ株も評価はいろいろあるのですが、従来の1.5倍がアルファ株で、さらに1.5倍ということで最大2.25倍と想定しています。
 距離と感染リスクを測定してもらっています、いわゆる従来株はPです。Pで、距離がこれだけ近いと感染リスクは100。これが、距離を1メートルとると感染リスクが20幾つに落ちます。2メートル取ると、もうかなりリスクが落ちるということであります。
 このデルタ株について、2.25倍あるとすれば、このねずみ色の推移になりまして、距離を1メートル取った時に、従来株であればリスクは20幾つですけれども、このデルタ株は50を超えるということになります。この従来株と同じリスクに抑えようと思うと、距離を2メートル近く取らなければいけません。1.9メートルにしなければいけないということがスパコンの分析で分かりました。いずれにしても、距離を2メートル取れば、かなり飛沫やエアロゾルは激減するということは分かっています。当たり前といえば当たり前で、これまでも申し上げてきた距離と取ってくださいということであります。
 先ほどは大声でしたが、通常会話でも同じようなことが言えまして、同じリスクにするためには1.4メートルにしなければいけない。いずれにしましても、2メートル取ると完全にリスクは、完全と言うと言い過ぎですが、激減しますので、これまで以上に、1メートル距離を取っていたところを2メートルにすることでかなりリスクが減りますので、そのことを是非、頭に置いていただければと思います。
 それから、逆に1メートルで対面した時の通常会話のときのリスクですが、接触の時間と感染リスクを取りました。1メートルで会話をした時です。これは従来株が青ですので、青で60分会話をした時に、このぐらいリスクがあるわけです。これを同じリスクにするためには、デルタ株は27分にしなければいけないということであります。つまり、1時間の会議をこれまでやっていたとすれば、それを30分以内にすることで同等のリスクに下げることができます。飛沫の量です。なので、会議とか、友達同士で話しているときも、是非これまで以上に距離を置いて、短い時間で対応していただくことが大事であります。
 食事時のリスクですが、以前にもこれはお示ししていますが、この方が感染者の時に、一番リスクが高いのは隣の人。距離を見ていただいたら近いですし、横を向いてしゃべるとかなり飛沫は飛ぶわけです。前の人がその次にリスクが高い。斜めに座るだけでかなりリスクは減るということを以前から申し上げています。
 これがデルタ株です。隣に座る人が100です。ここに100とありますけれども、隣に座った人のリスクが100ということで計算値を置きますと、デルタ株であっても、正面の人は23に減りますが、横が一番高くて前がその次にリスクは高い。斜めに座ると12ということで、リスクを8分の1ぐらいまで減らすことができます。これは以前から申し上げている、従来株でも横に座るだけで従来のリスクを10分の1にすることができるということです。
 ですので、大事なことは、食事をする時に是非斜めに座るということ。それからアクリル板も、縦だけではなくて本当は横に置くのも大事だということであります。なかなかここに置きにくいものですから、給仕するのにやりにくいという声も聞いていますので、とにかく換気をよくすることでリスクを減らすということ、それから時間を減らすこと、この二つは非常に大事です。東京が出されています、90分以内、2人以内というのも、ある意味、こういったことに裏打ちされていることだと思います。時間を短くすること、それから2人ですから、できれば斜めに座る方がいいわけです。4人テーブルで斜めに座る方がリスクは下がるということでありますので、是非、こうしたことも参考にしていただいて、皆さま方が食事をしたりするときに注意していただきたいと思います。
 それから、TPP関係について申し上げます。
 本日午後、18時45分から英国のトラス国際貿易大臣とウェブ会議を行う予定であります。6月2日に私が議長として開催しました第4回のTPP委員会閣僚会議におきまして、英国との間で加入交渉を開始すること、併せてそのための作業部会を設置することを決定いたしました。日本が議長を務めるということも決まっております。そのことを先方にお伝えし、今後の進め方などをご説明したいと思っております。英国には、第1回のその会議の場で、これまでTPP11に課されている義務についてしっかりと順守するためにこれまで行ってきた努力を証明し、そして今後、国内法令の変更などを行う必要があれば、そうしたことを特定することを示していただくことが大事になっております。何より大事なことは、しっかりと順守していくという姿勢を示していただくことが大事だと思っておりますが、本日の会議でもそうした英国の意欲をしっかりと示していただければと考えています。
 いずれにしましても、第1回のワーキンググループをできるだけ早く開催し、作業部会をスタートさせたいと思っておりますが、第1回のワーキンググループの作業部会の後、30日以内に英国は市場アクセスのオファー等を提出し、以降、交渉を本格的に実施していくということになっておりますので、今日はその前段階で、今後の進め方などを意見交換したいと思っております。
 いずれにしましても、議長として、英国の加入プロセスがこの協定のハイレベルを維持するということが何より大事でありますが、その上で円滑にこのプロセスが進んでいくよう、しっかりとマネジメントしていくこと、そして日本として守るべきは守り、攻めるべきは攻めて、日本の国益にかなう最善の結果が得られるよう取り組んでいく考えであります。取材の機会については別途事務的にご連絡いたします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2点伺いたいと思います。まずコロナの関係で、五輪の観客の制限ですが、昨日の5者協議で観客の上限について、定員が50%以内で1万人ということで決定されました。
 一方で分科会の尾身会長ら専門家が「五輪の観客については無観客が望ましい」と提言されたばかりですが、今回の決定について感染防止の観点から、大臣のご所見をお願いいたします。特に有観客の場合、会場周辺に観客が集中したり、都道府県との人の流れも短期的に集中して出てくる可能性もあると思いますが、そういった懸念はないのでしょうか。
 もう一つ、話は変わりますが、最低賃金の引上げです。本日、午前、今まさに開かれていると思いますが、中央最低賃金審議会が開催されて、今年度、2021年度の最低賃金改定の目安の下に始まりました。
 先週金曜日に決定した骨太方針では、より早期に全国加重平均1,000円とすることを目指すとして、さらに引き上げ幅については、2019年度まで4年連続で3%以上という実績を踏まえて、対応するように求めています。
 今後、7月下旬をめどに労使の代表と公益委員が、目安を決めることになりますが、この中央審議会での議論に対して、大臣が期待されるところを伺えないでしょうか。
(答)まず五輪の関係ですが、昨日いわゆる5者協議で、屋内のイベント開催制限を基に観客数の上限の合意がなされたと承知しております。
いわゆる緊急事態宣言なりまん延防止等重点措置でないエリア、福島とか茨城だと思いますが、そうした会場も含めて1万人以内にするということで聞いております。
 その上で様々な工夫、終わった後は真っすぐ帰っていただくように呼び掛けるとか、そういったいろんな取組みが今後も検討を深められて、さらになされるのではないかと思いますが、私の立場で申し上げれば、やはり安全安心な大会にすると。尾身先生をはじめとする有志の皆さんの提言をしっかりと受け止めて、感染リスクをできるだけ下げるということに全力を挙げていきたいと思っております。
 その一つが先ほど来申し上げた、ワクチン接種を円滑に、そして加速して進めることであります。高齢者から今打っております。職域接種もかなり進みますけれども、やはり若い世代の感染が多いという中で、検査を拡充していくこと。モニタリング検査であり、抗原検査キット、これの配布を進めて、無症状の人を含めて検知をして感染拡大を抑えていく、この努力を進めたいと思っております。
 さらに2点目として、先般、経済界にもお願いをしましたけれども、これはコロナ以前から7月のオリンピック開催、8月にかけて都内の人流を下げるということで、テレワークを進めること、それからお盆に集中しがちな休暇を分散していくこと、こういったお願いをしておりましたが、改めてそのことを重ねて、私から経済界にもお願いさせていただきました。
 とにかくこの期間中の都心の人流、人出を減らすことが大事でありますので、経済界にはこのことを強くお願いし、調査も行ってもらっていますので、これもしっかりと調査を行っていただいて、改めて呼び掛けて意識を持っていただいて、そしてそれによって都心の7月8月の人流を、そもそも下げるということの取組みを進めたいと思っています。
 併せて首都高の通常料金に加えて、プラス1,000円ということで、都心に入ってくる人、車の量も含めて減らす取組みがなされておりますので、とにかくこの時期の人流を減らすこと、このことに私の立場からも全力を挙げたいと思います。
 その上で感染された方々がその後、食事で集まってみんなで騒いだり、そういったことがないような取組みを丸川大臣とも連携をして、できる限り感染リスクが下がるように、取組みを進めたいと考えております。
 それからもう1点、最低賃金の件につきましては中央最低賃金審議会、本日10時から審議が始まったものと承知しております。これまでも申し上げていますとおり、デフレに絶対戻さないという強い決意で臨んでいます。
 成長と分配の好循環、あるいは成長と雇用の好循環と言ってもいいと思いますが、その中で最低賃金引上げを含む賃上げの流れ、モメンタム、これを継続していくことは極めて重要であると。まさに日本経済を成長させていく、デフレから脱却する最も重要な鍵だと思っております。
 その中で様々な生産性向上、所得拡大を促していく、税制や支援策を講じているところでありますが、足元、いわゆる賃上げの交渉、労使の交渉で、6月4日の連合の公表によれば、全体は1.79で、中小企業が1.74ということでありますので、厳しい中でも企業の皆さんは踏ん張ってくれておりまして。リーマンショック後が1.4とか1.5とかその水準で、安倍政権が始まった時が1.7台だったと思いますが、その水準で踏ん張ってくれておりますので、この賃上げの流れを継続することが重要だと考えております。
 いわゆる非正規労働者の処遇改善という観点からも、最低賃金の引上げの方向性、これは先般、骨太で書かせていただいたとおりであります。まさにご指摘いただいたように、地域間格差にも配慮しながらですが、より早期に加重平均、全国で1,000円を目指すという中で、本年の引上げに取り組んでいくということでありますので、まさに審議会において、公・労・使で真摯な議論が行われることを期待しております。
(問)先ほどの分析は大変興味深く伺いました。
 感染力が2.25倍、エアロゾル感染というのが密空間では、空気でもうつるとしたら、私が一番気になるのは電車とかバスとか。それから先生がおっしゃる隣にうつるとなると、例えば7人ぎゅうぎゅうで座るような電車の空間とか。特に私は高齢なので、そういうものを老人は避けたほうがいいということになるのか。
 いわゆる生活空間としては、飲食店以上にそういう隣り合わせで座るような空間というのはありますが、どのように考えたらいいでしょうか。
(答)実は満員電車につきましても、従来株についてはスーパーコンピューター富岳を使って、かつて公表したことがあります。今、飲食店も全体のお店の中でどうかとか、様々な場面でデルタ株について、感染がどの程度強くなって、どういう対策が必要かということについても、さらに分析を進めてもらっています。
 従来株について言えば、満員電車は換気がそれなりになされていますし、そもそもみんなマスクをして静かにしている中で、リスクはかなり低いということで評価をされていました。
 デルタ株になって、それがどのぐらいリスクが上がるのか。また、スパコンでの分析なども進めてもらえればと思っておりますが、一番分からないのは、今、6割ぐらい感染不明の人が出ているということです。東京でもまだ5割6割と感染不明の人。東京で63%です。
 全体に沖縄はまだステージ4でありますけれども、それ以外はだいたいステージ3以下になって、ステージ2以下であるものと。白のところも増えてきていますので、全体としては改善傾向。全国も10万人当たり8人まで来ましたので、アメリカの水準でいえばかなり下の水準まで来ていますので、陽性率も2.5%と落ち着いてきています。
 課題は、どこを見ても、感染経路が分からないというところが5~6割あります。ここがどこで感染しているかということです。
 先ほど申し上げたように、クラスターも多様化していまして、これまで医療、福祉施設、医療機関が多かったですが、いわゆる一般の職場、大学。大学もまだ運動部とか、文化部でも近い距離で接触する活動がやはり多いですが、しかしどこで感染しているか分からないが5割6割あるというところは、これは買い物中にあるのか、満員電車であるのか、だんだんそれが追えなくなってきているということであります。
 もちろん調査をしていく中で分かってくるのもありますので、これも時間が経てば下がってきますが、しかしこれまでのように感染経路が特定できたというところは、5割6割分からなくなってきているというところは、私どもも警戒を強めているところであります。
 繰り返しになりますが、マスクをして、きちんと感染防止策をしていても感染する事例が出てきていますので、かなり強い感染力がある。エアロゾルを含めてあるということですので、満員電車については、従来株ではリスクはそれほどない、ということで評価をされていましたが、皆さん方には是非注意をしていただいて。
 企業の皆さんにはずっとお願いしていますが、やはりテレワーク、時差出勤、休暇の分散。こういったことでできる限り多くの人が、人混みになることは避ける、この取組みが大事だと思っています。
 そういう意味も込めて、引き続きテレワーク。明日、水曜日には、またそれぞれの企業の取組み状況の開示が進むと思いますが、7月以降、都心に人が集まることを避けるという観点から、改めてテレワーク、あるいは休暇の分散、このことを経済界にもお願いし、そうした公表をしていただけるように、調査を今進めているところであります。さらに分析を進めたいと思います。
(問)ワクチンの接種回数の話で、先ほど大臣は「100人当たり50回ぐらいになると、経済活動の制限を緩和している国がある」とおっしゃっていましたが、そこで2点ご質問。
 政府としては、日本ではこの50回という回数にいつごろ達すると見ているでしょうか。2点目に、日本でもこの50回というところで、経済活動の制限緩和を検討するのでしょうか。よろしくお願いします。
(答)まず欧米と日本の違いについては、尾身会長も以前言われたと思いますが、欧米の場合はそもそも感染者の数が非常に多くて、日本は感染者をこの1年間低く抑えてきていますので、そういう意味でそもそも抗体を持っている人のレベルが違うということがありますので、ワクチン接種の量だけでは比べられない面があります。
 それから2点目に、特にヨーロッパではだいたい50ぐらいのところから。いろんな評価があります。先般からいろいろ引用されている、野村総研では「1回目の接種が4割を超えれば、かなり感染が減ってくる」という分析をされている方もおられますし、全体の接種量で見る人もいますし、2回完了した接種量で分析する方もおられるし、いろんな分析がありますので。1つの指標でいえば、100人当たりの回数というのが、今は世界共通の指標になっておりますので、50前後で様々な緩和がヨーロッパでは行われてきた、という事実があります。
 他方、もう1点申し上げると、このところ数日報道されていますように、ワクチン接種がかなり進んだ、100人当たり100ぐらいいっている英国も、これは18日までの数字ですけれども、イギリスは100人当たり108.7です。アメリカが94.8です。日本は直近25まで来ていますが、だいたいフランス70とか、ドイツ78とか、イタリア75とか、ヨーロッパはそのようなレベルです。
 それで英国、イギリスで言われていますとおり、接種回数が100を超えていますが、このところ感染者の数が急激に増えています。これはデルタ株の影響ではないかと言われていますが、この辺の分析は専門家にもお願いをしているところですが、当然その中から重症者が出てきますので、感染者の数ももちろん大事です。ただ、ワクチン接種が進むと、かなり重症が抑えられるというデータもありますので、この辺りの分析を進めたいと思います。
 イギリスも死者の数はそれほど増えていません。1週間の死亡数がイギリスは78です。アメリカはまだ2,000人以上いますが、ニューヨーク市だけに限って言えば28人ということで、かなり下がってきていますので、重症者の数。
 これまで私は何度も申し上げていますけれども、緊急事態とかこの指標を見るに当たって、ワクチン接種が進めば、感染者の数がある程度増えても、重症者は増えないと。入院する人が減るとなれば、これはかなり効果が出てきますので、そういう効果が見込まれるということですので、この辺りの分析を専門家にもお願いしているところです。
いずれにしましても、今申し上げたようなことを総合的に勘案しながら、判断をしていきたいと思いますが、職域接種も進みましたので、1日100万回進むとすれば、先ほどの数字は0.8ずつ増えていくことになります。
 日本が1億2,600万人いるとして、126万回打つと1増えますので、そういう意味で、100万回増えると0.8ずつ増えていくということになりますから、30日たてば24プラスされますので、順調にいけば1カ月で50程度に達するということだと思いますが。
 これは単純計算ですので、この間もテレビの時に申し上げましたが、今3,200万回近く終わってきたという中で、1日100万回進めば、30日で3,000万回プラスされますので、7月20日ごろには6,000万回の接種が進むということであります。1億2,600にすれば、かなり50に近い数字になるということが、単純計算でいえばそういったことが言えると思います。
 いずれにしても大事なことは、まずワクチン接種を円滑に加速して進めること。多くの人にチャンスが、機会があって進んでいくことが大事だと思います。何よりまずは高齢者の皆さん方に、7月末までに2回打ち終わっていただくこと。これが重症を防ぐ最も大きな鍵だと思いますので、このことを最優先にしながら、併せて職域の接種も進めるということであります。
 いずれにしてもこうした状況を見ながら、様々な対策は専門家の皆さんにもお聞きしながら、特に分析をしてもらいながら、対策を考えていきたいと思います。ありがとうございました。

(以上)