西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年6月1日

(令和3年6月1日(火) 9:43~9:55  於:参議院議員食堂)

1.発言要旨

 私から何点か申し上げます。
 まず、緊急事態宣言。先週金曜日に延長が決定しまして、6月20日まで本日から延長期間が始まります。何としても感染を抑えていくということで全力を挙げていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それから、TPPについて申し上げます。
 本日閣議後、第19回のTPPに関する主要閣僚会議を開催いたしました。本日の議題は、明日朝に第4回の閣僚級のTPP委員会を開催いたしますが、関係閣僚の間で本日は、英国のTPPへの加入要請への対応について議論を行いました。
 わが国としては、これまでも申し上げてきておりますとおり、まずは英国による加入要請を歓迎しているところです。英国の加入要請は、まさにこのTPPの21世紀型の高いレベルの国際的な貿易投資のルール、これをアジア太平洋を越えて広げていく、その第一歩として大きな可能性を秘めているものであると考えております。
 明日の各国との閣僚級の委員会の結果は予断できませんけれども、私は議長として出席する予定でございます。各国間の議論を円滑に進められるよう、役割を果たしていきたいと考えております。明日の結果につきましては、また改めてお知らせいたします。
 それからもう一点、経済財政諮問会議の民間議員の交代についてご報告いたします。
 経団連会長でありました中西宏明議員が退任されましたので、十倉雅和氏が議員に就任されました。
 中西議員におかれては、私も頻繁に意見交換をさせていただきましたけれども、極めて高い改革意識がある方でありまして、日本のこれまでの古い慣習、慣行などを打ち破っていくと、そしてイノベーションを起こしていくということで、Society5.0の実現を含め、大変ご尽力をされた方であります。諮問会議の議論をしばしばリードしていただきました。改めて感謝申し上げたいと思いますし、健康のご回復をお祈りしたいと思います。
 十倉新議員におかれても、まさに世界が極めて速いスピード大きく変化している中で、日本のこれまでのやり方、慣行、あるいは過去の成功体験を打ち破って、とにかく新たなチャレンジをしていく、経済社会を大きく改革していく、このことにリーダーシップを発揮していただきたいと、そのことを期待したいと申し上げますし、これから緊密に意見交換しながら議論を進めていきたいと考えております。
 私から以上です。

2.質疑応答

(問)昨日、OECDの経済見通しが発表されました。3月の中間見通しと比べて世界経済は上方修正された一方で、日本は若干の下方修正でした。これに対する受け止めと、今後の日本経済が世界の回復に取り残されないためにどのように対応していくかお聞かせください。
(答)OECDの経済見通しにつきましては昨日、私もOECD閣僚理事会で発言させていただきましたけれども、まさに世界でワクチン接種が進み、さらにはアメリカの追加経済対策、こういったものもあって世界経済が成長していくという中で上方改定されています。このこと自体は日本経済にとって大きくプラスになります。輸出、生産、これは大きく寄与するものと考えておりますが、他方で、緊急事態宣言を今、発出しておりますので、この1-3月期もマイナス成長となったわけですが、4-6月期も下押しを当然考えなければいけないわけであります。
 その上で、OECDの経済見通しは2021年2.6%、22年2.0%。これは歴年で出されておりますので、日本政府が出しております年度の経済見通しとすり合わせてみますと、ほぼ整合的なものとなっております。いずれも2021年末、年度末までには、コロナ前である2019年末の水準を回復する、そういう姿となっておりますので、私どもの見通しと整合的であると考えております。
 さらに申し上げると、この1-3月期に続いて今も緊急事態宣言をやっておりますので、消費は当然抑えていく方向に働いておりますが、先ほどの輸出の増加傾向が続いていること、生産も2019年の生産レベルを鉱工業生産では回復してきておりますので非常に好調であります。もちろん、半導体不足などの影響も注視しなければいけませんけれども、全体として日本経済は潜在的な回復力はあると見ております。
 まずは、今の状況で厳しい状況にある皆さん方に、先般決定した最大30万円の給付を含め、また、ほぼ99%の市町村で給付が終わっていると聞いておりますが、一人親世帯の5万円の給付、さらに今月から二人親の方でも住民税非課税世帯にはお子さん一人5万円の給付が行われます。こういったことを含めて、厳しい状況にある世帯の皆さんにはしっかりと支援をやっていくということ。そして、成長分野に資金が流れていくように、政府として引き続きデジタル、グリーン、さらには人材への投資、こういった分野に呼び水となるような財政支出、あるいは制度改革を行いながら民間の投資を引き出していければと思っております。
(問)宣言の延長についてお伺いしたいですけれども、今後の不安要素としてあるのが、東京と大阪の人流がまた少しだけ増加に転じていること、それからインド株の広がりというのがあると思います。この2点についてどういう見通しをお持ちでしょうか。
(答)まず、東京、大阪の前に、北海道が非常に高い水準であって、医療は非常に厳しい状況が続いております。また、沖縄もまだ増加傾向が続いておりまして、医療も厳しい状況ですので、特にこの沖縄、北海道への必要な支援、それぞれの道、県とも連携しながら対応していきたいと考えております。沖縄、北海道ともに少し人流は減ってきていますので、この効果がどう出てくるか分析を進めなければいけないと思っております。
 そして、東京、大阪は人流が大きく減ったこともあり、減少傾向が見えつつありますが、ただ、やはり緊急事態宣言が延長されたこと、それから新規陽性者の数が減ったという報道で、また安心感が出てくるのだと思いますが、ご指摘のように人流が増えてきておりますので、これが十日後、2週間後あたりには感染者の数が増える、陽性者の数が増える可能性がありますので、ここでしっかりと皆さんに感染防止策を徹底していただくことが何より大事だと思っております。
 インド変異株、インドで発生したB.1.617型の変異株は英国型よりさらに1.5倍ぐらい強いということでありますので、英国型のものが、最近ではいわゆる普通のオフィスで感染防止策を徹底していても、こういうアクリル板とか、あるいは換気をちゃんとしていても、マスクをしていても感染が認められる事例が相次いで報告されています。特に長時間同じ部屋でずっといるというのがどうも良くないようでありまして、そのあたりの分析を今、スーパーコンピュータなども使って我々は進めていますけれども。いずれにしても、これまで以上に対策を強化していかないと、徹底していかないと英国での変異株、あるいはB.1.617のインドで変異した株、感染力が強い中で、これまで以上に感染が大きく広がる可能性もありますので、是非、国民の皆さんには、自粛が長引くわけですけれども不要不急の外出自粛を引き続きお願いしたいと思います。
 週末、私もそれぞれの地域を少し見回ったりしていますけれども、代々木公園でも、大人数でやはりお酒を飲んでいる姿もどうもあるようで、そのシーンを見たわけではないですけど、終わった後のごみを見ると、かなりの数のビール缶などが出ていましたので。外だから安心だということではありませんので、大人数で近い距離で長い時間会話をすると、当然感染リスクは高まりますから、引き続き公園とか路上とかを含めて徹底していただきたいと思います。お店でお酒が出されないということで家庭でのパーティーとか食事会もまたここにきて増えてきていますので、それによるクラスターも出ております。徹底して注意をお願いしたいと思います。
 何としても感染を今回の緊急事態宣言で抑えるということで、国民の皆さんには引き続き不便をおかけしますし、また、事業者の皆さんにも様々厳しい状況に置かれる方も出てこられていると思いますが、協力金や支援策、そういったもので万全を期していきたいと思いますので、是非ともご協力をお願いしたいと思います。
 引き続き関西圏は病床が厳しい状況にありますので、ここで増えてくるとまた再び病床が本当にひっ迫した極めて厳しい状況にまた戻っていきますので、何とか感染者の数、陽性者の数を抑えて、病床を安定的なものにできるように全力を挙げていきたいと考えております。
 ありがとうございました。

(以上)