西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年5月26日

(令和3年5月26日(水) 19:45~20:13  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 月例経済報告につきましては既にご説明をしていますとおり、現状判断について下方修正をしております。一部で弱さが増しているということであります。持ち直しの動きは基調が続いているものという判断をしております。これは緊急事態宣言の影響で、外食等のサービス消費が弱まっているということであります。
 他方で、企業の生産、設備投資。これは海外経済、中国、アメリカの経済好調の中で、輸出も好調で増加基調が続いておりますので、持ち直しが続いております。海外経済、特にアメリカ、中国、あるいはヨーロッパもワクチン接種が進む中で経済活動が徐々に拡大をしてきておりますので、引き続き輸出、生産に期待をしたいと思っております。
 ただ、半導体不足によって自動車の生産、輸出に影響がどの程度出てくるのか、出てこないのか、この辺りをよく見ていきたいと考えております。
 それから、コロナ関係について3点申し上げます。
 緊急事態宣言、まん延防止等重点措置、5月31日までの所が多数あるわけでありますけれども、日々それぞれの知事とやり取りをしております。本日も北海道の鈴木知事、愛知県の大村知事と意見交換をしました。それぞれ感染状況は非常にレベルが高い、ステージ4、特に北海道は非常に高いわけでありまして、医療提供体制の厳しい状況を含めて状況の共有をいたしております。両知事から情報を伺う中で危機感を共有し、対策を継続していくということを含めて一致しているところであります。
 特に北海道の鈴木知事とは、室蘭でのカラオケのクラスターなどが出ておりまして、今、対象地域となっている札幌、石狩、小樽、旭川、こういった地域以外の所にも感染が広がってきておりますので、こういった対応をどうしていくのか、こういったことについても意見交換をしました。私どもが行っているモニタリング検査についても拡充をしていることで方向性を共有しておりますので、北海道でのモニタリングがより有効な形になるように、質、量ともに広げていきたいと考えております。
 それから、昨日は福岡の服部知事から緊急事態宣言の延長について要請を受けたところでありますが、本日、文書によって首都圏の1都3県、関西の2府1県、それから広島県からもそれぞれの措置について延長するよう要請を受けております。それぞれの地域、いずれも、首都圏の3県はまん延防止等重点措置でかなり感染拡大するのを抑えているところでありますが、それ以外の地域はステージ4のレベルの感染状況でありますし、特に関西圏は病床が非常に厳しい状況が引き続き続いております。こうした状況について、状況は共有しているところであります。
今後、英国型はもう8割、9割になってきておりますので、むしろインドで発生をしているB.1.617のタイプの変異株、これがどのように広がってくるのかどうか、またそうなった場合に備えて、いろいろ検討は進めていきたいと考えております。
 併せて、今、申し上げた感染状況、こういった変異株の影響も受けるわけでありますし、それから病床の状況、病床確保の状況、そしてワクチン接種の進捗状況、こういったものを日々分析しているところであります。今週中には判断をしなければいけませんので、分析を急ぎたいと考えております。
 専門家の皆さんとも、今日も尾身先生、押谷先生とも分析のやり取りさせていただきました。こうした状況について、先ほど菅総理にもご報告し、関係大臣で状況について共有をしたところであります。
 2点目、テレワークについてでありますが、今グラフにお示ししておりますが、出勤者数の7割削減を緊急事態宣言の地域にはお願いしております。そして、各経済団体に取組みを要請し、取組み状況について状況の開示をお願いしているところでありますが、本日、経産省が、25日、昨日まで登録のあった企業、団体分について公表を行いました。そこにありますとおり、全体で573の開示があり、上場企業は254であります。全上場企業は3,800ですので、6.7%であります。全ての上場企業に開示をお願いしております。
 そして地域別に見て、それぞれの地域、上場企業の占める割合が非常に低いわけですが、特に感染拡大している北海道は9社しかありませんので、より多くの企業に開示をお願いしたいと思います。それから中部圏、これは先般、そして九州、それぞれ経済界にお願いをしております。上場企業、300、120とある中で、わずか9とか8ですので、是非しっかりと開示をお願いしたい。そのために取組みをお願いしたいと思います。
 そして、私もいろいろ開示状況を見せてもらいましたけれども、なかなかうまく伝わっていないところもありまして、様式について、フォーマットを。必ずしもばらばらでよく読み取りづらいのもありますので、どういった職種の方々がテレワーク可能なのかどうか、そして現場作業が必要だからなかなかそれはできない部分、そういったことを含めて、それから本社とか支社とか事業所とか、こういったことについて、きちんと目標と実績を書いていただくようにフォーマットを整備いたしました。
 そして、この取組みに向けてどういう工夫をしたのか。ノートパソコンを入れたとか、様々な社内規定を作ったとか、手当を導入したとか、オンライン化しているとか、そういったこと。あるいは出勤者削減を目指して有給休暇、ローテーション、時差出勤、こういったことを含めてそれぞれの取組みを書いていただいています。
 石川県のアイ・オー・データ機器という製造業と、東京都の中小企業、社員30名の卸売企業でありますが、それぞれこういう形で。アイ・オー・データ機器の場合は金沢、東京、大阪でのそれぞれの実施率、全体でどのぐらいなのか。そしてどういった工夫を行ったのか。在勤手当を創設したとか、通勤手当の支給方法を変えたとか、クラウドシステム化とか、様々な工夫が書いています。そして、卸売業、小売業ですから、社員30名のうち25名の方は実際の配送とか現場作業をしているということで、5名の方についてテレワークができるということで、この方々について、1名は産休だということですが、残り4名について75%、3人がやられているということだと思います。こうした工夫が書かれております。
 そして、社員30名に対して全員だと思いますが、テレワーク用のPC、17台を貸与したとか、システムを導入したとか、週1回の頻度ではやるとか、様々な工夫。30人の企業でも、現場が25人いる、事務作業が5人の業務課内でもこういう工夫をされていますので、こうした事例を参考にしていただきながら。それぞれの企業で、また業態ごとに工夫がなされていますので、是非こうしたものも参考にしていただいて、先ほどのフォーマットに従って書いていただけるように、改めて我々もしっかり開示をしたいと思いますし、通知も改めてしたいと思います。
 そして、就業支援サイトを運営する事業者、マイナビとかリクルートとか何社か情報提供して、そういった企業から学生さんにもこうした情報が提供されるように。来週から幾つかの企業が始まるものと思いますが、こういった取組みを加速し、企業のテレワーク、リモートへの取組みを加速していけるように考えております。
 もう新たな日常の象徴でありますので、オンライン化、デジタル化が世界中でものすごいスピードで進んでおりますから、成長していくためにはこうした対応が必要となっております。中小企業の皆さん方にはIT補助金とかテレワーク補助金もありますので、是非、積極的な導入、そして取組みをお願いしたいということで、改めてお願いをしたいと思います。
 それから3点目でありますが、明日午前10時から視察を行いたいと思っております。新宿区の集団接種会場であります新宿区立元気館。その後、新宿区内にあります診療所、ケイアイクリニックで、いわゆる診療所、かかりつけ医で行われているワクチン接種と併せて視察をする予定であります。
 大規模接種会場、東京、大阪はそれぞれ、いろんなお話しを聞きますと非常にスムーズに進んでいるというお話しを伺っておりますので、そちらの方はもう順調に進んでいるものと思いますので、むしろそれぞれの市町村で行われているものの例として、新宿区で行われている集団接種、それからクリニックで行われている接種、これを視察させていただいて、それぞれ課題があるかどうか、そういったことについてご意見を伺おうと思っております。
 河野大臣、田村大臣をサポートして、私の立場でもしっかりと円滑に進むように取り組んでいきたいと考えております。
先ほど申し上げましたように、今後の病床なり感染者の状況も、今、それぞれの知事と状況を共有しながら対応しているところですが、やはりワクチン接種が非常に大きな要素となってきます。
 7月末までに高齢者2回接種を終えるということで、それぞれの取組みがなされています。逆算すると7月10日、つまり3週間前には高齢者の方々は、希望する方は1回目の接種が終わらないと7月末までに終わらないわけです。3週間空けるわけですから。そうすると7月10日までに1回目が終わるということであります。様々なデータ、海外のデータ、あるいは専門家の知見によりますと、1回接種でも重症化のリスクをかなり減らせると。そして2回接種すればこれは大幅に減らせるわけでありますので、こういったワクチン接種の取組みもにらみながら、それぞれの自治体での取組みもお聞きしながら、病床の確保、そして感染を抑えていく。この緊急事態宣言の下で何としても抑えていけるように全力を挙げていきたいと考えております。
 それからもう1点、別件でありますが、TPPにつきましてご報告します。本年、わが国はTPP委員会の議長国であります。議長国として第4回のTPP委員会を日本時間6月2日、1週間後の午前9時から閣僚会議としてオンライン形式で開催をしたいと思います。諸般の事情が許せば、私自身、議長として出席する方向で調整をしております。
 まさに世界的にコロナの影響を受けて、保護主義的な動きなどが広がる中で、このTPP11協定を通じた自由貿易の重要性というものが改めて認識されているところであります。まさに本年の議長国として、このTPP11の着実な実施、そして拡大に取り組んでいるところであります。
この第4回、来週のTPP委員会におきましては、英国によるTPP11加入要請への対応について議論される予定であります。わが国としては、これまでも申し上げていますとおり、今後の交渉を予断するものではありませんが、まずは英国による加入要請を歓迎しているところであります。
この英国の加入要請は、TPP11の持つ21世紀型の高いレベルの国際的な貿易、投資ルールを、アジア、太平洋を越えて広げる第一歩として大きな可能性を秘めているものと考えています。英国がこの協定のハイスタンダードを満たせるかどうか、こういったことを見極めつつ、議長の立場として各国のコンセンサスを得て、プロセスを円滑に進めたいと考えているところであります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)緊急事態宣言で対象都道府県から延長の要請があったということですが、これを受けまして基本的対処方針分科会については、週内ということであれば28日に開かれるお考えなのかどうかという点をまずお伺いしたい。それと、現状の緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の措置内容について、強化、あるいは緩和といった変更をお考えになっていらっしゃるのか。併せて、延長になった場合、緊急事態宣言の新たな期間については、沖縄が6月20日ということになっておりますけれども、そこに揃えていかれるお考えはおありなのかどうか。
(答)それぞれの知事とやり取りをする中で、感染状況あるいは病床の確保の状況などを含めて、それぞれの都道府県によって対応は異なってきます。もちろん緊急事態宣言の対象地域とまん延防止等重点措置は違うわけですが、それぞれの感染状況に応じて、知事がそれぞれ対応をどうしていくのか考えておられます。
 そうしたことについても、先ほども一例を申し上げましたけれども、札幌を中心に石狩地区、あるいは小樽、旭川、措置を講じている緊急事態宣言の北海道、鈴木知事との意見交換の中では、一例として室蘭で、例えばカラオケのクラスターが発生をしている、そして、割と感染の範囲が広がってきているという状況を鑑み、どのように対応していくのか。それから私どもの行っているモニタリング検査、これをさらに活用していただいて感染源を特定していく。あるいは無症状の方を特定して感染を抑えていく。こうした取組みに活用していくという観点から、拡充をしていこうということで一致しております。
 一例ですけれども、それぞれの知事がそれぞれお考えでありますので、また明日にもいろいろ意見交換をすることになると思います。そうしたことも踏まえながら、また専門家のご意見を聞いて、政府としての考え方、整理をしていきたいと思います。
 そうした中で、措置の内容、それから期間なども含めて判断をしていきたいと考えておりますが、日程的にもう今週中には対応しないと、31日まででありますので。分科会を開いた上で諮問をして判断をしていくことになりますけれども、まだ具体的に日程を決めているわけではありませんので、まずはそうした分析を急ぎ、また総理にもしっかりとご報告し、共有をした上で判断をしていきたいと考えております。
(問)今の質問に関連しますけれども、先ほど、総理と関係閣僚と官邸で集まりましたけれども、そこの会合では緊急事態宣言の延長要請に対して政府としてどう対応するか、方向性は何かしら議論があって、何かしら方向性は出しているのでしょうか。
 もう一つ、細かいですけれども、今日、官邸で集まったのは、各知事からの要請があって、それを受けた上で集まったということなのでしょうか。以上、よろしくお願いします。
(答)関係閣僚が集まる機会は何度かあります。あるいは私自身が総理と2人でお話しすることも、ご報告することもあります。閣議の前後などにもありますし、様々な機会を。もちろん電話でやり取りすることも、総理からまさに「どういう状況になっているか」というお電話を頂くこともありますし、私から日程が立て込んでいる時は電話でご報告することもあります。
 そうした中で、31日までとなっておりますので、現在の状況についてそれぞれの立場から病床の状況とかワクチン接種の状況とか、あるいは私の方からはそれぞれの感染状況、そして知事のそれぞれの考え方、こういったやり取りの状況などをご報告したわけであります。
 これを総理含め、官房長官を含め関係大臣と共有し、様々な意見交換を行いましたが、今日の段階で何か方向性を決めたわけではありません。
(問)先ほど、北海道で室蘭のクラスターを例に挙げられまして、札幌以外の地域にも感染が広がっているということで、知事と意見交換をされたということですが、その対応についてどのような対応があり得るかということで意見交換をされたのでしょうか。特定措置区域の対象を広げるという方向性というところでも意見交換をされたのでしょうか。また、緊急事態宣言の延長に関してというところも含めて、どのような意見交換をされたかということについて、お聞きできればと思います。
(答)北海道のクラスターの状況はいろいろもうご存じだと思いますが、釧路であったり、それから十勝、空知地方、それから根室でも病院のクラスターなどが出ておりますので、少し感染が広がっている感じは持っておりますし、知事もそこの危機感は持っておられます。
 そうした中で、今、知事をはじめ道庁内で様々な分析を行って、どのように対応していくのか検討をされているところだと思いますので、今日の段階で何かこれ以上のことをご紹介するのは控えたいと思います。少なくとも、そうしたカラオケのクラスターも出ていることとか、少し各地で広がっていること、こうしたことへの危機感を共有しています。
 そして、当然ワクチン接種も進めておられますけれども、若い世代の接種はもう少し後になりますので、若い世代への対応の一つとして無症状の人の検査の拡充。その一環で私どものモニタリング検査を有効に活用していこうということで、知事からも話がございましたし、私ももっと広げていきたいと思っておりましたので、そういった中で方向性について一致をしています。
 様々な対応を知事の方で考えておられますから、明日もまだありますし、明後日も議論ができますので、少し道の方の対応を検討したいと思います。この間も意見交換を事務的にも進めたいと思いますし、知事の意向も必要に応じてまたやり取りをしたいと思っております。
(問)今日、沖縄県はコロナの感染者300人を初めて超えまして、昨日に続いて過去最多となりました。緊急事態宣言を出されたばかりですので、これから効果は出てくると思うのですが、改めて受け止めをお聞かせください。
(答)沖縄の状況については極めて厳しいと思っております。もう最大限の警戒感を持って対応しなければいけないという認識であります。特に、繰り返し申し上げていますが、連休中の人の動き。例年に比べればもちろん少ないです。ただ、去年に比べれば増えていますし、かなりの数というか一定の数の方が首都圏や関西圏から訪問されているということです。
 同じ状況が地方部で何県か見られました。まん延防止等重点措置の要請のあった長崎とか香川とかでございました。香川も、私の地元の淡路島もそうですけれども、関西圏、阪神間から多くの人が淡路島にも訪れました。同じように香川県、うどんを食べにきた人が多いと平井大臣はおっしゃっていましたけれども、そうした傾向があって。長崎も恐らく九州各地から、特に福岡から。福岡は厳しい状況の中で訪れた人が多かったかと思いますが、これは主として若い方が中心となって活発に活動して、連休中、感染が広がった部分があります。ここで収まって、二次感染、三次感染といかなければ、今、長崎や香川では少し落ち着いてきているわけです。
 沖縄の場合は連休の前までは下がってくる傾向があって、このままいってくれればいいなと思っていましたけれども、連休を機にぐっと上がって、これがその後、落ち着くかなというのもあったのですが、やはり広がりを見せているということでありますので、このままの状況が続くと病床が非常に厳しくなりますので。ただでさえ厳しい状況になってきております。現地の医師とも連絡を取り合っていますけれども、何とか感染を抑えていけるように。お酒の停止などの強い措置をやっていただいていますので、観光地である国際通りの人出とか、あるいは松山地区の人出もかなり減ってきておりますので、この効果がもうしばらくすると出てくるものと思いますが、今週は沖縄の関係者の話を聞いてもまだ高い数字が続くかもしれないということで、そうした事態に備えて、私ども、以前から行っております保健師や看護師さんたちの派遣も含めて、いざという時に県を支援できる、そうした準備を進めておきたいと考えております。
 いずれにしても、知事とも緊密に連携を取りたいと思いますし、事務的にも毎日、かなり頻繁に連絡を取らせていただいております。感染状況も10万人当たり1週間の1番が沖縄で、2番が北海道、3番は愛知、4番は福岡ということであります。その後が広島、岡山、東京と続きます。やはり今申し上げたような地域、そして、その後、大阪などが入ってくるわけでありまして。大阪は少し減少が見えつつあるとはいえ、人出が東京も大阪も少し増え始めていますので。そうすると10日後、2週間後にまた増えますから。
 沖縄はもう最大限の警戒を持って我々やり取りをしていますし、対応をしていきたいと考えておりますが、他の地域でも少し感染者が減ったからといっても、まだステージ4ですから、非常に高いレベルの感染者が続いていますので、是非引き続き、できる限り人混みは避ける、不要不急の外出自粛をしていただく、マスクはきちっとしていただくことなど。やはり変異株の影響でマスクをしていても、先般、尾身先生も言われましたけれども、長時間一緒にいるとリスクが高まるということはありますので、あるいは、これまで以上に少し距離を取ることを含めて、対応を是非お願いしたいと思います。

(以上)