西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年5月21日

(令和3年5月21日(金) 19:12~20:06  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 本日、基本的対処方針分科会を開催いたしまして、緊急事態宣言の対象地域に沖縄県を加えることといたしました。5月23日から6月20日までの29日間であります。約1カ月ということであります。そして、まん延防止等重点措置の対象地域でありました愛媛県を5月23日以降、除外することにいたしました。
 総理も発言しておられますのでポイントのみお話し申し上げますけれども、沖縄は今日も207人、連日200人規模の新規陽性者の報告数が出ています。連休ぐらいまでは減少傾向にありましたけれども、残念ながら、例年よりは少ないものの、かなりの数の方が沖縄を訪問されたということの影響だと思いますが、これからいろいろ分析したいと思いますけれども、その後、急激に拡大しております。一昨日、玉城知事から緊急事態宣言の要請を受けたところであります。本日、決定させていただきました。
 病床も厳しい状況にあると言われますので、強い措置を講じていただいて、酒類の提供をやめていただく、カラオケの提供はもう既に要請しておりますけれどもやめていただく。それから、20時までの時短に応じていただけない店もかなりあるようですので、そういったお店への丁寧な手続きを取りながら要請を粘り強くやっていただく。必要があればそういう手続きを取っていただくことになります。それから、今はとにかく我慢してもらって、夏に沖縄に来てもらえるように、とにかく今は感染拡大を抑える。ワクチン接種も進んでいく中で、とにかく今は沖縄に来るのは控えてもらいたいといったことを含めて、強い措置の要請をお願いしたところであります。こうした措置によって沖縄の感染拡大を抑えていければと思います。
 愛媛につきましては、もうステージ2相当になってきていますので、解除ということにいたしました。
 それから、もう既に厚労大臣からもご発言がありますけれども、本日、厚生労働省でモデルナ社とアストラゼネカ社の2種類のワクチンを正式に承認いたしました。ワクチン接種については、昨日が33万5,000件強。これまでの最高の接種数は17日の50万回弱、49万2,000回強であります。1日当たり100万回を目指して、希望する高齢者の方々が7月までに2回接種が終えられるように全力を挙げて取り組んでいきたいと考えています。
 そこで、尾身先生が理事長を務めておられる「医師のセカンドキャリアと地域医療を支えるネットワーク」、後ほど、また尾身先生から補足があれば言っていただければと思いますが、共同代表を務めておられまして、全国の医師、約2,500名を確保され、登録がなされています。厚労省の「Key-Net」というネットワークがあります。ここと登録された医師と自治体をつないでいくマッチングの事業を今、実施しております。それぞれの自治体でも集団接種など大規模な接種を考えている自治体もありますので、この2,500名の確保は本当に手を挙げていただいた登録された医師の方、そしてまた、尾身先生をはじめ、こうした活動をしておられる皆さんに敬意を表したいと思います。これからしっかりとマッチングを行って、必要とされる自治体に必要とされる医師がしっかりとマッチングできるように対応していきたいと思っております。
 また、こうした医師や看護師を確保するための財政支援措置については、土日や夜間の接種単価の引き上げ、あるいは集団接種に医師や看護師を派遣していただいた医療機関への支援を行っているところでありますけれども、さらに今回、都道府県のナースセンターに求職登録し、いわゆる潜在看護師と呼ばれる、資格を持っておられるけれども今、看護師に就いていない方々が約70万人おられると言われています。その方々を対象に、全国の都道府県のナースセンターに求職登録し、研修を受けた後にこうした接種業務に携わることになった方には3万円の就職準備金を支給することになったということで、厚労大臣から表明があったところであります。詳細は、また厚労省から発表が近くあると思いますけれども、医師の確保、そして看護師の確保、国としてしっかりと人材の確保をしながら、自治体において1日も早く1日100万回の接種ができるように。今、医療従事者もかなり進んできております。高齢者の接種も始まりました。この皆様方に7月末までに2回の接種が終わるように全力を挙げて国としても取り組んでいきたいと考えております。
 私から以上であります。

(尾身茂会長)
 今日の沖縄をはじめ各論です、もうそれは大臣に説明していただいたので、私は繰り返しません。
 実は、今日は比較的、政府の提案について幾つか。例えば岐阜県はなぜ入れないのかということはありましたけど、政府の説明についてメンバーは納得して、それについてはほとんどコンセンサスで、前の回に比べて時間は取りませんでした。
 むしろ今日の議論の中心は、沖縄を入れるとかそういうことではなくて、皆さん、今、日本中が解除をいつするのか、しないのかということにご関心があると思いますけど、早晩解除するわけです。延々あと1年、2年緊急事態が続くということはないわけで、いずれは解除されるわけですけど。むしろ解除後、多くの高齢者にワクチンが打たれる。この高齢者のワクチンが多くの人、希望者のほとんどに行き渡るまでの数カ月、大きなリバウンドを防ぐためにどんなことをこれからやるべきかということについて、今までとは少し違う新たな戦略をしないと、もう国民の一般の人はいわば飽きているし、なかなか協力。そういう強い戦略、新たな戦略を立てなければいけない。それについて、なるべく早く一般の人に理解してもらって協力してもらう。
 その時は、国、自治体は、やっぱり汗をかくということで何をするのかと。ただステイホームをお願いする、あるいは県境を越えた移動をやめてくださいということだけではもう不十分で、しっかりとした具体的な戦略というものの計画をつくると同時に実行するという、極めて大事な時期に来た。個々の戦略についていろいろ人が頭に描いている、それを国全体としての一体感のある戦略をつくる必要があるのだろうというのが大きなビジョンと目安です。これがかなり議論されて、そういうことをしましょうというのが今日のメンバーのコンセンサスであります。
 じゃあ、具体的には何かというと、まだ今計画をしている最中ですから具体的にはこれから、なるべく早く政府とも協力しながらまとめたいと思いますけど。例えばどんな議論が出たかというと、一つは検査のことで。皆さんご承知のように、PCR検査も抗原キットも質が改善されたり、検査のキャパシティというのも去年に比べて、民間の検査もいろんなところでアクセスが良くなったわけです。これを一体どのように、この大事な時期、数カ月に感染拡大、リバウンドしないような感染対策上うまく使うかというのは、これはもう、コンセンサスをしっかり、国の体制はこうであるということを示す時期に来た。
 もう一つは、これは一般の市民の方はそれほど興味がないかもしれませんけれども、特に感染症対策にずっと携わっている専門家の間でかなり強い思いを1年ずっと持っていたのは、実は、特に大都市部での、都道府県と政令都市のいろんな関係。誰のせいというわけで、これがあるために、なかなか。クラスターの情報、疫学情報があるけれども、現場には。それが自治体を越えて共有され、それで分析をして、一体何をすべきかだと。いわゆるデータを基にした対策というものが、これがなかなか。これは誰のせい、個人情報の問題もあり、いろんな問題で、期待される方にうまくいっていなかった。これはかなり長く課題として残っていた問題で、これについては、もうそろそろ。いろいろ難しいところはあります、地方自治体の問題、法律の問題。ここは、だけどもう、そういう難しい問題はある。しかしそれを乗り越えないと、都市部ではある程度感染は下がるけれども、それ以上は下がらない。いろんな理由がありますけれども、変異株の問題もあるかもしれないけど、しっかりしたクラスターの分析。今でも大きな都市ではリンクの見えないケースが多いと、なかなか対策が打ちにくい。これが一つ高止まりのようなことがある理由である。しかし、ここだけは何とか、もうこの期に及んでその難しさがありました、政令都市と都道府県の。これについては何とかしなければいけないというのがみんなの思いで。
 もう一つ重要な点は、特に重点措置について。これも、やはりここまでくると、いろいろもう各県やりました、経験しました。これについて、もう大体評価をする時期にきているので、もう少し早くやるべきだったのではないか。これは後から分かることですけど、そういうこともしないと、重点措置のタイミングが遅れると、気が付いたときには感染がいって。そういう意味では、これは政府の方は、あるいは自治体の知事のご意見は、少し様子を見ようという考えがあります。だけど分科会のメンバーは、この重点措置については、様子を見ていると遅くなるから早めに打ってほしいという意見がかなりございましたので、こういうことも、今まで重点措置をいろいろ出している県があるので、それについて早急に評価して。どんなタイミングがいいか。我々はタイミングについて出しました、強いサーキットブレイカーを打つときの。こういうことと少し現状が乖離しているので、もう少しこれについてはしっかりと政府と専門家の間のコンセンサスという、自治体も。こういうようなことを中心に今回。
 沖縄がどうするって、沖縄については、もうみんなコンセンサス、誰も反対する人はなくて。それよりもむしろ、緊急事態宣言はいずれ解除されますから、解除してから作戦を錬ったって遅いので、今から、これからどうやってその後、特に高齢者のワクチンがいく、ほとんどの希望した高齢者がいくまでの、スピードによって何カ月かは分かりませんけど、この間にそうしたしっかりとした戦略を持って実行する。そういう時期に来たのではないかというのが、そういう強い思いがメンバーの中のコンセンサスだったと思います。
 以上が今日の肝であります。

2.質疑応答

(問)二点質問があります。一点目は大臣にお願いします。まん延防止等重点措置についてです。今回、沖縄県が緊急事態宣言に移行しないために、政府として沖縄県により強い働きかけがもっとできなかったのでしょうか。重点措置を巡っては先ほど尾身先生からもご発言がありましたが、成功した例やうまくいかなかった事例というのがあると思います。政府として一度総括することというのは考えていますでしょうか。
 もう一点目は大臣と尾身先生両名に伺います。東京や大阪など9都道府県の緊急事態宣言の解除について教えてください。期限は31日までと、残り10日となりました。特に東京や大阪について、現在の感染状況を踏まえて解除や延長の見通しを教えてください。また、感染力が強いインドの変異株の感染が懸念される中、解除の判断にどのような影響があるのか、併せてお願いいたします。
(答)まず、まん延防止等重点措置の評価についてであります。 沖縄県も含めてであります。
 これまでの私の理解、分析してきたこと、答弁でも今日も申し上げましたけれども。簡潔に申し上げると、まず、効果があったと見られるのは宮城と愛媛。これは、それぞれ感染が拡大し始めた時に、まさに県独自に時短を要請して、そして抑えていった。ただ、それでも感染が広がってきた。そういう時に、まん延防止等重点措置の要請があり対応いたしました。地方部でありますので、地方部の県庁所在地にかなりいろんな繁華街なども集中していますから、そこを抑えるという強い措置でまん延防止等重点措置を講じたことによって、それぞれ感染を大きく減らすことができて、特に夜の人流を減らすことができています。これで効果があり、それぞれ解除ということになったわけであります。
 他方、都市部については、地方と違って、大阪における大阪市もそうですし、東京における23区もそうですけれども、その外側でもかなりの繁華街があります。ですので、大都市はなかなか効きにくいのではないかというご指摘がありましたけれども、大阪の例を見ると、夜の人流はかなり、3割ぐらい減って、それによって変異株の拡大を一定程度は、爆発的に感染拡大するのを横ばいに抑える効果はあったのではないかという分析をしています。
 それから、首都圏の3県も、これまでですと、東京が感染拡大すると首都圏3県も拡大し、基本的には一体的に私どもは緊急事態宣言などを行ってきたところでありますので、首都圏3県の動向も常に分析を進めておりますけれども、東京が緊急事態宣言となったのに対し、隣接する繁華街など、都市部については3県で緊急事態宣言と同等の措置のまん延防止等重点措置を行ってもらっています。これは酒、カラオケの停止も含めてであります。ですので、これが一定の効果を持ってきているだろうと思います。それぞれの地域で爆発的な、緊急事態宣言になるような感染拡大を抑えてきている効果を持っているという分析を今のところしています。
 他方、東京、大阪もそうですけれども、変異株、これは英国型のものですが、感染研によれば感染力が1.32倍、海外のもの、あるいは先般の福井県のデータを見ますと1.5倍ぐらいあると。ちょっと症例数は少ないですけれども、そういったことから考えると、なかなかまん延防止等重点措置だけでは減らすことはできない。つまり、夜の人流を3割ぐらい減らしただけでは減らないということでありまして。そこで、大型連休の機を捉えて、昼間の人流も夜の人流も併せて強く抑えるという対策を取りました。これで夜の人流は7割から8割、昼間の人流も、休業要請や無観客のイベント、こういった要請を行って5~6割の人出を減らすことができました。これによって人と人との接触をかなり減らすことができたと思います。それによって大阪は今、減少傾向が見えつつあります。東京は、まだ横ばいか、これからどうなっていくか、本当に減少にいくのか今日の分科会でもご議論があったところでありますが、連休中そういった効果を持ってきていると思います。
 そして沖縄も、実は大型連休の途中まではかなり減少傾向が明らかでありました。沖縄の議論は今日、かなり活発に行われましたので私からも説明いたしましたけれども、前週、先週比で、3週、4週ぐらいは前週よりも減っているという減少傾向が明らかになってきて。これはまん延防止等重点措置で何とかいけるのかなということも考えたわけですけれども、先程お話しを少ししましたが、大型連休で、例年よりは少ないにしても、かなりの人が沖縄を訪れて、それによって連休が終わった後から急激に広がってきたということで危機感を強めたわけであります。そして、私どもは沖縄県に対しては、まん延防止等重点措置でも、まさに首都圏3県がやっているような強い措置、緊急事態宣言と同等の、カラオケを止め、そしてさらにお酒の提供をやめていただく措置、これをできないのかということはずっと言ってきたところでありますし、18日、3日前に玉城知事が来られたときに、私からも強くこのことは。緊急事態宣言は、その時点ではまだ要請はなかったわけですけれども、その後やるかどうかは別として、まん延防止等重点措置でできることをまずやってくれということをお願いしたところであります。
 その後も200人が続きましたので緊急事態宣言ということになりましたけれども、今後、今申し上げたような幾つかの県の経験があります。それから、要請があっても、もちろん知事の思いは受け止めていますが対応していないところ。ここは分科会の先生方からも様々なご意見を頂いておりますので、しっかりと分析し、今後の対応に生かしていきたいと考えていますが。どこの県とは申し上げませんけれども、一時的にわっと増えたときに、このままでは危ないと思ってまん延防止等重点措置を要請される。しかし、冷静に見てみると、クラスターとかで本当にこのまま増えるかと。もちろん、尾身先生も言われるように、その後減ったとしても、まん延防止等重点措置をやったらいいじゃないかということのご指摘も頂いておりますので、今日の分科会でもそういったご議論がありましたので私どもも考えていきたいと思いますが。要請のあった香川、長崎、あるいは徳島にしても、ちょっと個別の数字は申し上げませんけれども、一桁とか、かなり二桁の低いところになっていますので、そういったところ。もちろん減ったからいいですけれども、まん延防止等重点措置を打たなくて良かったということではないですけれども、やはりその辺をしっかりと分析して進めていきたいと考えています。すみません、話が長くなりましたけれども。
 そして、緊急事態制限の解除につきましては、基本的対処方針に書かれていますとおり、ステージ3、これを確実なものとしたいと思います。そして、ステージ2を目指していくということで、減少傾向がある中で段階的に対策も解除する。一遍に解除することなく段階的に解除していくということでステージ2を目指していくということであります。
 その上で、お話しのあった変異株、英国型のものに加えて、今度はインドで変異した変異株がさらに感染力が強いと、従来株に比べると2倍以上の感染力があると言われていますので、大阪が4月に急激に増えた以上に速いスピードで、まさにインドで起こったような速いスピードで感染拡大する恐れがありますので、このことを頭に置いて、より慎重に総合的に判断すると明記いたしております。基本的対処方針にそう書いております。ですので、尾身先生からこの後お話しがあると思いますけれども、7月に向けて高齢者の接種が進んでいく、ワクチン接種が進む、6月にもかなりの数の方が、少なくとも1回の接種が相当進んでいくと思いますので、そうしたことも見据えながら、何としても、もう大きな感染拡大を起こさない。その後の感染が、もちろん解除したら何らかの形で起こると思います。だとしても、そのリバウンドにしっかりと対処できる状況にしていく、このことが大事だというのが一つです。
 そして、もう一つ申し上げるとすれば、感染者の数は今、減少傾向が見えつつありますので。大阪です、特に関西圏は。これで一定程度に下がってくるかもしれませんけれども、大事なのは病床であります。引き続き大阪、兵庫は非常に病状が厳しい状況が続いております。ご案内のとおり、感染者の数が増えるのに遅れて病床が悪化し、減るのに遅れて改善しますので、病床がしっかりとステージ3以下になることを、これを確実なものとしていきたいと。以前、首都圏を解除するときも、千葉や埼玉でなかなか50%を切らないという状況がありました。病床の状況もしっかりと見ながら、専門家の皆さんにお諮りし、判断を頂だきながら政府として判断していきたいと考えています。
(尾身茂会長)私のほうは二つです、解除と、それからインドの変異株についてのご質問ですけど。
 解除についてはいろんな議論がされていますが、一番大事なことは、解除をどういう基本的な戦略、考えでやるかと、どういう目的でやるかということです。そこが、やはり国民的なコンセンサスを得る必要が。例えば一つの議論のためのポイントとして我々は、解除してまたリバウンドする、そしてまた緊急事態宣言を打つ、そういう形をやったほうがいいのか。あるいは、さっき言ったように、高齢者のワクチンがある程度いくまでの間、何が何でも低空飛行でいくのか、いきたいのかと。これは基本的な考えが違います。これについてどう思うかということですが、私自身は、多くの専門家のコンセンサスだと、少なくとも分科会アドバイザリーボードも、やはり今回は、結局、リバウンドがまた起きてしまうとまた医療のひっ迫になることが分かっていますから、なるべくそういうことが高齢者のワクチンが打たれるまで。なぜ高齢のワクチンというか、まだ一般の若い人は打っていないわけですけど、医療のひっ迫を起こす最大の理由は、やはりいまだに高齢者のほうが重症化しやすいです。この人たちがワクチンを打てば、今のワクチンはかなり優れものですから、かなり重症化を出すリスクを下げられると思うので、そこまで何とか抑えるという方を我が日本社会はそっちを選ぶとすると。
 そうすると、解除の仕方というのが一つ重要です。慎重にやるというのは基本的対処方針にも書いてあると同時に、実は私が強調したいのは、先ほど申しましたけど、解除後どういう戦略を打つのかと。この二つが一緒にならないといけない。いや、そうじゃなくて、もう緊急事態宣言をまた打てばいいと思えば別ですけれども。私とか分科会のメンバーは、やはり8月まで。8月というのは、ちょっとスピードが、高齢者の、一応そういう月までは何とかしのぐことが日本の医療を救う、また大阪のような状況を繰り返さないということで、そのために、私は解除をそういう哲学の下でやって。ただ100だとか500だとかということも大事ですけれども、もっと大きな考え、目的ということについてしっかりとみんなで戦略合意をする必要があると思います。
 それからインドの変異株については、これは大臣もおっしゃったように、これはもう皆さんご承知のように感染力がどうも高いことは間違いない。今、我々専門家が考えていることは、では、このインドの変異株が可能性としてはイギリス株に取って代わることがあり得る、そうなった時にどうなるのかということは考えておいて。そのためには、まだ答えはないです、どうなるか分からないから、また更に変異する可能性もあるので。ただ、少なくとも今、先ほどの重点措置の評価がどうだったかというのを評価する必要があるということと同じで、実はイギリスの株、英国株が同じような割合で増えているけれども、感染がかなり急激にいっている県もあります。ところが、そうでない県も一部ある。同じイギリス株が。これは一体何なのかと。同じイギリス株がほとんどなっているのに、片方は感染がどんどんいって、なかなか減少できない。片方は比較的。これは一体何なのかと。変異株の要因以外に、つまり対策の問題であるのか、気候の問題。この辺は、インド株の対策をこれから錬っていくうちに極めて重要で。インド株になると、もうこれは全部ステイホームという方法が必要なのかそうでないのか、ここはまだ分かりませんが、この分析をすることが極めて重要だと思います。
(問)大臣と尾身先生に1問ずつお願いします。大臣には、これは大臣の直接の所管ではないですけれども、水際対策についてお聞きします。
 19日の時点ですが、日本人を含めた入国者への14日間の待機措置に関連しまして、全対象者2万3,000人中、約6,600人が位置情報をアプリで報告していないと。健康状態の確認に応じなかった人も5,000人を超えております。
 忘れ去られていますけれども、イギリスの変異株の出現の時も、水際で抑えると言っていましたが、拡大は全く抑えられませんでした。インド株の拡大の恐ろしさが分かっていながら、この水際対策の緩さというものは到底許されるものではないのではないか、と思っているユーザーが非常に多いですが、この点に関しましてお願いします。
 尾身先生には、インド株のお話がありましたけれども、西浦教授によりますと、インド型変異株の再生産数は、試算で5.625ぐらいになるとおっしゃいます。
 尾身会長ら先生方は、インド株に対して強い危機感を持っていらっしゃると思いますけれども、ワクチン接種が広がる前に、インド株で大変になる可能性があるというリスクがなかなか伝わっていないのではないか、という指摘がありますけれども、この点はいかがでしょうか。よろしくお願いします。
(答)水際対策についてであります。様々な状況の報告を私も受けております。位置情報の確認ができない人、あるいはビデオ通話ができない人などということで、これは厚労省を中心に対応を強化していくということで、見回りの強化などフォローアップの強化に取り組んでいくこととしております。
 そして誓約書を書いていただいていますので、明らかに違反している人、こういう方々は氏名の公表、あるいは国外退去を含めて対応することになっておりますので、そういった強い措置も含めて、対応することが必要だと認識をしております。
 その上で分科会からも尾身先生をはじめ、多くの方々から「更に強化をすべきだ」というご提言を頂󠄀いております。現在、厚労省を中心に内閣官房を含めて、どういった対応が取れるのか。
 長くすると、14日なりにするとその分の宿泊施設を、ホテルを確保しなければなりませんので、その確保を含めて、今どういった対応が取れるのか、そして今何をしなければいけないのかを含めて、専門家の強いご意見を頂󠄀いておりますし、私自身も強い問題意識を持っておりますので、これは急ぎ検討を進め、対応していきたいと考えております。
(尾身茂会長)西浦さんのうんぬんは、これも水際と関係すると思いますけれども。これは政府にもお願いしていますけれども、実は去年学んだわけです。水際のこれがあると、ここぐらいに広がって、感染拡大に。もうすでに実はインド株は国内に入っています。
しかしこれからまだまだインド株というのは、別にインドだけにあるわけじゃなくて、この辺の水際対策というのは、国内の対策と並行してできる限りやる。
 そういうことで今日も分科会で申し上げたし、あるいは国会の質問でも申し上げましたけれども、実際にはホテルを借り上げたりするのは物理的に難しいという部分がありますけれども。委員の中からの発言で、これはなかなか厚労省だけでは難しいけれども、国がやればできないわけではないと。
 ただし、一方、国の説明は、住民の反対があるというような問題もあるし、14日というところで、精神的にもなかなかきついという、いろんな課題があると思いますけれども、私は理想的には14日をやった方がいいと思います。
 ただ、現実の問題があるから、今の6日からどこまで延ばせるかというのは、これは政府が最大限。いろんな困難はありますけれども、今はそれを乗り越えてやる時期ですから、是非やっていただきたいということ。
 それからこれは国内対策とリンク、一緒です。これについては今、一生懸命、感染研なんかでやってもらっていますけれども、今はPCRのプライマーについて試行錯誤。これは民間ではもうやっている。早くここを、ともかくモニタリングをやってゲノム。このことが重要。
 と同時にやはり感染対策です。さっき言った検査をするとか、重点を置くというようなことと、これはパッケージでやらないと、単に14日やればいいという問題でもないし。実際は健康監視というのは、各家に帰って健康観察ということはありますけれども、これはなかなか実際には、ブレがあるということは。
 これは誰かがずっと付いているわけではないですけれども、このリアリティーはあるわけです。検査もすり抜ける。だからそういう意味では、検疫というか、成田とかそういうところでしっかりできれば、理想的には14日やるということ。
 今、イギリス株は入ってしまっていますから、イギリス株を停留させる意味はほとんどないです。そういう意味ではイギリス株で使っていたものを、少しそちらに変えるというような。
 実際には政府の方も一生懸命、頑張っていただいているけれども、現実のリミテーションというのがあるから、そういう意味では現実的に、イギリスのもののリソースをそちらに変えるとか、そういうことを何とか。今はできないということを言うのではなくて、最大限やるというのを政府が是非やらないと、また去年と同じことが繰り返されるリスクがあるということだと思います。
(問)大臣にお聞きします。大臣もインドの変異株を踏まえて、テレワークの実施というのを再三求めていらっしゃいますけれども、今週政府が公表した企業数は300程度だと承知していますけれども、まずこの数字というのはどう評価されるのか。それから今後ここの拡大に向けて、どのように取り組まれていくのか。併せて政府自体のテレワークの実施状況、公表の目途等がありましたらお願いいたします。
(答)テレワークについてのご質問であります。今、夜の人流については飲食店の時短などを行っております。また、感染が拡大する地域では、百貨店など大型施設への土日の休業要請ということで、休日の昼間の人流も減らそうという取組みがなされています。
 平日の昼間を減らすのはやはりテレワークであります。今、尾身先生をはじめとし、ご一緒にそれぞれの県でどういった形で、変異株の下でクラスターが起きているか、というヒアリングも行っていますけれども、アクリル板をして換気もちゃんとしているところでも、オフィスでマスクをちゃんとしていても、長時間一緒にいると感染が見られる事例なども報告を受けています。
 もちろんその時点で空気の滞留がなかったのかとか、より細かい分析も進めなければいけないですけれども、感染経路不明が6割である中で、どこで感染しているか分からない。クラスターも多様化している。特に職場がかなり増えてきている。今日、北海道知事が会見をしていましたけれども、「本当にどこで感染しているか分からない」という表現もされておられたと思います。
 そうした中で日中のテレワーク、これが極めて大事な取組みだと考えています。そうした中で出勤者数を7割減らすという目標の下で、それぞれの企業に積極的に公表していただくように、経済団体などにお願いをしているところであります。
 ご指摘のように水曜日、19日に公表した資料は292社であります。早速取り組んでいただいている企業には、敬意を表したいと思いますけれども。上場企業が3,800社程度あります。そのうち登録されたものは132社であります。さらに全体292社分、上場企業も含めて、それぞれ私も見させていただきましたけれども、定量的な記載の無いものもあります。
 あらためて具体的なフォーマットなどを、少し改善する余地があると思いますので、あらためてお示しもしたいと考えておりますけれども、やはりより多くの企業に積極的に取り組んでいただいて、公表、開示していただきたいと考えています。
 もちろんエッセンシャルワーカー、製造現場や交通の現場、スーパーの現場、あるいは様々な物流、流通、医療現場も当然ありますので、全ての人ができるわけではありません。そうしたことにも配慮しながら、例えば本社部門でどうか、事務部門でどうか、支店ごとにどうかなど、そういった取組みもできれば開示していただきたいと思いますし。特に大企業、上場企業には、率先して取り組んでいただきたいと思っております。
 特に最近は学生の中で、テレワーク、リモートワークができる企業かどうかというのが、企業を選択する大きなポイントの1つになっています。もちろん給料がどうかとか休みは取れるかとか、女性がどれだけ活躍しているかとか、いろんな指標がある中で、リモートワークができるかというのも、大事な指標の1つになっておりますので。
 これからワクチンの接種が進み、また、コロナがある程度収束してくると、また経済活動が活発になった中で、人手不足になってくる。そしていい人材を確保していくこと、これは企業にとって何より大事なことでありますので、そうした観点からも是非進めていただきたい。
私どもとしてこういう開示された情報を、就職支援企業、事業者とも連携して、そして学生にも周知がされるように、幅広く公表され、周知されるように取り組んでいきたいと考えています。
 その上で中小企業はなかなかやりにくいということがありますので、IT補助金、それから厚労省のテレワーク補助金など、今公募も行っておりますので、中小企業の皆さんも是非こうしたものを活用して、取り組んでいただきたいと思います。
 最後にもう一言言えば、テレワーク、リモートワークはまさに新たな日常の象徴です。これから経済、社会が大きくデジタル化の中で、物凄く速いスピードで変わっていく中で、やはり成長するためにはリモートワーク、テレワークができないと駄目だということだと思いますので。
 これは私ども政府も同じであります。私の部署も、経済部局は5割を超えて、今テレワークをやっていますけれども、なかなか難しい日々の対応があるこのコロナ室でも、10人程度テレワークを実施するように取り組んでおります。
 現場でどうしても対応がある部署、業態は、できない部分も当然配慮していかなければいけませんけれども、是非とも事務部門はリモートワーク、テレワークを、足元のコロナを抑えていくのは当然ですけれども、将来の成長のためにも是非取り組んでいただきたいと思います。
 政府全体の取組みについては、内閣人事局あるいは官房長官の下で整理がなされておりますので、しかるべきタイミングで公表されるものと理解をしております。
(問)西村大臣と尾身先生に1問ずつお願いいたします。先ほど大臣は、これまでのまん延防止等重点措置について分析されておられましたけれども、今後、自治体とのコミュニケーション等を含めて、何か運用とか手続きとか、見直す必要があると考えておられるのか聞かせてください。
 あと尾身先生はインド株についてなんですけれども。日常の感染対策を含めて、これまでとそういうものを変える必要があるのかなどについてお聞かせください。 
(答)私自身は感染拡大している地域の知事とは、かなり頻繁にやり取りをしております。直接電話で話すことも多いですし、メールもよく頂きますし、私からも送ったりしております。事務的にもそれぞれの部局、私の下でのコロナ対策室と、それぞれの都道府県の部局と連携をしながら、分析も進めているところであります。
 分科会からも様々なご意見を頂󠄀いております。そして先ほど来申し上げた、うまくいった事例、そうでないというか効果が限られた事例、これは地方部、都市部、それからタイミングを含めて、よく整理をして、分析をして、それぞれの知事、また、知事会などとも共有をしながら、さらにどういう形で対応していくのが有効なのか、どういうタイミングで対応するのが有効なのか、そういったことを含めてさらに分析を進めていきたいと考えております。
 知事とは引き続き緊密に連携を取って、対応していきたいと考えていますが、知事の思い、意向、そしてデータを分析された状況、こういったものをしっかり受け止めて共有しながら、対応していきたいと考えております。
(尾身茂会長)インド株を含めて変異株が出てきた時に、一般の我々はどうすればいいかということです。これは非常に重要なことなので、今は一体どういうことが起きているのか本当のことは、我々人間が努力しても、今のところ全部は分かっていないというのが。
 しかし我々が今どのように考えているのか、一般の人に少し参考になれば。これは考えですから、また新しいデータが出てくれば訂正する必要があると思いますけれども、このように考えると、今のことが説明できるではないのかということですけれども。
 まず一つ、一般の人に是非お伝え願いたいのは、実はウイルスの感染というと、感染するかしないかという、この二者択一と思われるけれども、実はウイルスの感染というのは、簡単にいえば私が感染して、私のこの呼気だとか咳だとかから排出されるウイルス量というものに、ものすごく関係している。これは今までの感染対策、量に非常に依存すると。
 例えば1年前に私、まだ専門家会議の時に厚労省のあれでお話ししましたけれども、例えばB型肝炎ウイルスというのは、母子感染あるいは注射でうつるということで、空気の感染はしません。これは常識です。
 ところがこれは実際にあったことですから。実験室ではウイルスをかなり濃縮しているわけです。それが遠心機のあるところで事故によって爆発した。そうするとそこにあるB型肝炎ウイルスが空気中にまかれるわけです。実験のためにすごい量に凝縮しているわけです。そうすると空気感染はしないけれども、そこにいた人は別に触っていないけれども、感染したというぐらい、ウイルスというのは量に依存するということです。
 今何が起きているかというと、先日でしたか、毎日現場の対応に奮闘している、幾つかの県の担当官の人と、大臣も含め我々もお話しをして、あるいは今までのクラスターの分析でも、今言ったようにしっかりとアクリル板をやったり、比較的換気が良かったにもかかわらず、かなり長い時間いたということで、感染したのではないかと思われる。これは一体何かと。あるいは外でバーベキュー。一体何が今は起きているのかと。今まではそういうことがあまりなくて、我々は3密の密がということで。
 今は一体どういうことがあるかというと、実は呼気。私が感染してそんなに症状がなくても、呼気でさえ、このようにしゃべって、大きな声を出さなくても、普通のあれでも出ていきます。
 ところが変異株になると、感染して増殖しやすいので、前の既存のものと同じ量のウイルスが入ったとします。はるかに量が多く増殖されるから、同じレベルの声でしゃべっても、呼気から出るウイルスが前に比べて多い。そうすると前はうつっていなかったのがうつる。
 これは何かというと、今までも換気が大事だということは申し上げていました。飲食店で二酸化炭素濃度、このことが今まで以上に重要になってきているということです。
 それと同時に重要なのは、同じことです。量が少なくても、私が出すウイルス量が、呼気で一回は少なくても、長くいればだんだん蓄積するわけです。そういうことで短時間では感染しないけれども、長くいるとウイルスの量に依存すると考えたら、感染した時の個人のウイルスの排出量が前よりも多くなっている、というのが我々の見立てです。そのように考える。
 従って、今はそういうことが起きているのではないのかと。気を付けるのはそういう意味で。だから換気というもの。だからマイクロ飛沫というのを我々は申し上げていました。だからそういう中で例のウレタンじゃなくて不織布とか、そのようにこの本質をみんなに理解していただくと。呼気からも出る量が前よりは。
 しかし今の段階では、それが実はいわゆる空気感染。はしかだとか、ちょっと歩いているだけで、電車の中で、ということはないと思う。なぜならば、排出量が多くなっているということで、今までより感染しやすくなっているということは、ほぼ間違いないと思うけれども、歩いていて、ちょっとすれ違って感染する、そういうことは起きていないと思います。それが起きているなら、今こんな感染の状況では絶対ないです。だからその辺のことは、そういうものだと。
 だから強調するのは、今までどおりです。3密は大事。距離ももしかすると、今までよりちょっと取る必要があるかもしれません。ウイルス量が前より多いということが、たぶんこの問題の今の段階での本質です。それを考えると、やはり長い時間同じところにいるとか、換気が悪いとか、ということがたぶん感覚的にお分かりになると思うので、そのことは是非。
 我々はそう判断していて、後になって間違いだということもあるかもしれないけれども、今のところはそのように考えたらだいたいは説明がつくので、今はそういうようなものだと。だけれども空気感染して、電車で、歩いてすれ違って起こるようなことが起きていれば、東京が上げ止まりなんていうことは絶対ないです。みんながこうなっちゃう。それは起きていないので。
 ただ、これからインド株が入ってきてどうなるかというのは分からないので、ともかく水際も含めてこの際に。変異というのは感染が拡大、増殖、増えようとしますから、ともかくワクチンが行くまでここで抑えるということが、さっきの哲学です。ということだと思います。

(以上)