西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年5月14日

(令和3年5月14日(金) 21:09~22:14  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 冒頭、経済財政諮問会議のご説明を申し上げて、その後に尾身先生にも入っていただいて、コロナの対策本部、朝の分科会のお話などをさせていただきたいと思います。
 諮問会議につきましては最後に菅総理が話されていますので、ポイントのみを申し上げます。また後ほど、事務方からも説明をさせていただきます。
 本日は金融政策、物価等に関する集中審議、それから、経済・財政一体改革について議論をいたしました。その中で文教・科学技術についても議論をしております。
 まず、黒田日銀総裁からご説明があり、内閣府から経済政策の進捗報告などを報告させていただきました。
 経済・財政一体改革、そして経済の底上げについて次のような意見がございました。まず、国民の所得水準の底上げのためにも最低賃金を最低でも3%引き上げるべき。中小企業の生産性向上に向けた支援などの対応政策を行いつつ、コロナで繰り越された需要、いわゆるペントアップ需要がこれから出てくることを考えれば、3%の引上げは可能ではないか。また、賃上げした企業には積極的に支援するなど、企業が賃上げする魅力となるインセンティブを与えるべき。経済再生には改革のプランとともに実行する人、動いてくれる人を確保することが必要。外部人材を活用して日本再生人材を増やしていくべき。また、デジタル化、グリーン化といった取組みを通じて、付加価値を高め、経済あっての財政の考え方の下、強い経済を構築することが財政健全化に不可欠。その上で、プライマリーバランス黒字化などの財政健全化目標を堅持すべき。そのため、社会保障費を高齢化による増加分に抑えるなどの歳出抑制の目安を堅持すべき。
 続いて、科学技術・文教については次のようなご意見がありました。オンライン教育を活用し、生徒一人一人の個別最適な学びを実現すべき。同時にWi-Fi環境が整っていない家庭への支援や受験料の免除など、教育の機会の格差を生まないようにすべき。10兆円規模の大学ファンド創設をてこに、イノベーション創出と大学改革を同時に推進すべき。こうして博士号取得者の増加や活躍の機会を生み出すとともに、大学研究者での若者、女性、外国人の登用などを通じて研究の多様化を進めるべき。このような議論がございました。
 最低賃金についてこうした前向きな議論がございましたので、昨日ご紹介いたしました、私どもの最低賃金に関する調査の結果もお配りしております。具体的に細かくは説明いたしませんでしたけれども、よくご理解いただいていると思います。その上で、前向きに取り組む中小企業も、賃上げがあったとしても、最低賃金の引上げがあったとしても、3割、4割が非常に前向きに取り組むという姿勢でありますので、そういった企業を後押ししながら、他方、厳しい対応を取る企業も何%かはありますので、そういった企業を支えていく政策を講じていきたいと考えております。
 いずれにしても、様々な支援策がありますので、生産性向上と併せて支援をしていきたいと考えております。
 それでは、尾身先生に入っていただいて。よろしくお願いします。
 朝7時から基本的対処方針分科会を開催いたしました。分科会での議論につきましては、先ほど尾身会長からも、既に会見でお話になっていただいていますが、必要に応じてお話しいただければと思います。
 最終的には、もう既にご存じのとおり、緊急事態宣言を実施すべき区域に北海道、岡山県、広島県を加え、これらの地域では、16日、明後日から5月31日までを期間として行うと。また、まん延防止等重点措置について、同じく明後日から6月13日までを期間として、群馬県、石川県、そして熊本県を加えることについてご了承を頂き、先ほど政府対策本部で総理が決定されたところであります。
 この間の経緯について若干私から申し上げますと、日頃から尾身会長をはじめ専門家の何人かの方とは、日々のデータの分析など情報共有をしながら、専門家の皆さんのご意見を聞き、また私どもとして考えている政策、あるいはデータの分析、ご案内のとおり、スーパーコンピュータを使ったり、あるいはコンピュータを使って様々なデータの分析を行ってきておりますので、そういったことをご紹介したり、また、東大の例の仲田先生、藤井先生のシミュレーションをご紹介したり、あるいは東大の渡辺努先生のご紹介であったり、そうしたデータの分析。5人を超える飲食は非常にリスクが高い、こういったことを解析している先生方のデータを紹介したり、あるいは尾身先生、あるいは専門家からはWHOの評価はこうなっている、こんな論文が出ているといったようなことを含めて、日々意見交換をしております。
 そうした中で、それぞれの地域の感染状況についても情報を共有する中で、今日、議論となりました北海道、岡山県、広島県の感染状況については非常に厳しい状況になってきているということについて、尾身先生をはじめ専門家の皆さんと、私自身もその危機感を共有し、そうした状況、認識について、総理をはじめ関係閣僚にも日々お伝えをしているところであります。その上で厳しい対策を、北海道、岡山、広島、両県には取らなきゃいけないという方向性についても一致をしてきたと認識しております。
 その上で私どもとして、北海道は非常に広いということもあり、そして、北海道知事がまん延防止等重点措置で、すすきのについてお酒を出さない、カラオケを停止する、非常に厳しい措置で対応しておられて、それでもなかなか減らないという中で、その範囲を広げていくというような意見交換をし、また昨晩、札幌市のみを対象とした緊急事態宣言というお話を知事からも頂いたところであります。
 そうした中で、まん延防止等重点措置は非常に厳しい措置で、緊急事態宣言とも同等の措置を取れますので、北海道、広い全域を対象とするというのはなかなか、全く感染の低い地域もありますので、そういう意味でまん延防止等重点措置の範囲を広げるということで、私どもは対応できるのではないかと判断をしたところであります。
 また、岡山、広島も、それぞれ20時までの時短をそれぞれの判断で始めたのが、岡山県では14日、今日からです。そして広島は広島市内で12日からということで。こうしたものの対応による分析も進めていこうということで両県知事とも話をしていたところでありますし、岡山県からはまん延防止等重点措置の要請、広島県からは場合によっては緊急事態宣言でもということでお話を頂いておりました。
 そうした中で、私どもとしてはまん延防止等重点措置で、広島県であれば広島市中心部、岡山であれば岡山市と倉敷市で拡大していますのでそこを抑えるという対応で判断をし、諮問をさせていただいたところであります。
 その上で、今日、分科会で、私は閣議でいったん外に出ましたけれども、その時までの約1時間ちょっとの間で専門家の皆さんからは、非常に強い、厳しいご意見を頂きました。私の認識では、その時点で3点あると思っておりまして、1つが変異株の影響で、今後も感染が拡大していくのではないかという予測が見込まれること。それから2つ目に、医療現場のひっ迫度合いが数字以上に厳しいという現場からの声、これも伺いました。そして3点目に、これは専門家からでありますが、住民に早めの行動変容をするために緊急事態宣言という強いメッセージが必要だという、この3つ。
 それぞれ3つとも絡み合って関係しているわけでありますけれども、こうした強いご意見を頂きましたので、私自身、頭の整理をしながら閣議に向かって、そしてその後、総理、官房長官、田村大臣と専門家の皆さんのご意見を共有する中で、最終的に総理が専門家の皆さんの意見を尊重して対応しようということで、その後、私は分科会に戻って、朝7時の段階で諮問した内容を取り下げて、そして、この北海道、岡山、広島、両県については緊急事態宣言の対象とするということで、改めて口頭で諮問をさせていただいて、それで了承を頂いたということであります。
 厳しい状況については認識を共有していたと思いますし、対策を強化していくというところも、私は認識が一致をしていたと思いますけれども、私どもは、特に北海道は広い中で、まん延防止等重点措置の拡大で対応したい、できるのではないかと考えておりましたけれども、専門家の皆さんの大変厳しいご意見を頂きましたので、皆さんのご意見を尊重し、最大限受け止めて諮問をやり直したということであります。
 お分かりいただけると思いますけれども、多くの皆さんに、分科会のメンバーに何か根回しをして、政府はこうやるからといって、我々の意見を何か押し付ける、そういうことはやっておりません。もちろん状況の説明などは随時行っておりますが、むしろこれまでも分科会の場は、議事録を読んでいただいたら分かりますけれども、私に対しても政府に対してもかなり厳しいご意見も頂きます。まさに率直なご意見を頂く中で、私なりに整理をして、閣議後、総理にご相談をしたということであります。最終的に専門家のご意見を尊重し、緊急事態宣言という強い措置を取ることにいたしました。
 3県には、お一人だけ知事、私が連絡して取れなかった方がいますけれども、お二人の知事には連絡し、そして、あとは事務的にしっかりと調整を行って、それぞれの地域で、まさに緊急事態宣言という最も強い措置で今回この感染拡大を抑えるということで、連携して取り組んでいきたいと考えております。
 まん延防止等重点措置の方は群馬県、石川県、熊本県について、それぞれ厳しい状況になってきておりますので、知事の要請も踏まえまして、それぞれの地域で地域を絞って、これも強い措置でそれぞれ対応されると思います。連携して取り組んでいきたいと考えております。
 それから、今回の措置によって緊急事態宣言の地域が9都道府県、そしてまん延防止等重点措置の県が10県となりますので、合わせて19都道府県となります。全国に緊急事態宣言を出すべきという、今日、国会での質疑もありましたが、全国の半分の地域でこうした強い措置が取られている。そして加えて県単独で、単独というか、我々の支援策も、もちろん協力金を使っていただきながらですけれども、24条9項を使って時短の要請などを行っている県もありますので、そういう意味で多くの県が、全国全ての市町村に緊急事態宣言の下、対策本部が立ち上がる中、設置されている中、強い措置で感染を抑えていこうということでありますので、国としてしっかりと連携して取り組んでいきたいと考えております。
 ちなみに感染が非常に少ない地域、県が幾つかあります。1桁の県が今日も数県あるのではないかと。昨日も数県あると思います。答弁でも申し上げましたが、大体10県ぐらいの県が、県独自に地方創生の臨時交付金、私どもの交付金を活用して、県民が県内旅行をやると。他の県との行き来では感染がまた広がる可能性がありますので、非常に低いレベルの県で県内旅行を支援している、そういう県も10県前後あると思います。
 そうした中で、そうした県まで含めて不要不急の外出自粛、あるいは時短など、極めて強い措置をやるのかどうかという議論がございます。そうした中で、私権の制約につながるということもありますので、私どもはそれぞれの地域の状況に応じて対応してきている。その結果が今19の都道府県に緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が出されているということであります。かなり全国的に広がってきておりますので、連携をしながらしっかりとこの感染を抑えるということで取り組んでいきたいと考えております。私からは冒頭以上であります。

(尾身茂会長)特に私の方は、特にありません。何かご質問があればお答えしたいと思います。

2.質疑応答

(問)大臣と尾身会長にそれぞれお伺いします。
 まず大臣、議運で北海道への対応について、特別な対応が必要ではないかとおっしゃって、地域、地域で対応を取るというような趣旨の答弁をなさったと記憶していますけれども、どういった対応を検討されていらっしゃるのか。それはこれまで宣言というのは県単位でというお考えをかねて示されていたと思いますが、取るとすればどういう裏付けでそういう措置を取るのかということ。
 あと併せて、5月末に宣言の期限ということに今回もなるわけですけれども、今回と同様、専門家の意見というものは極めて重く受け止めながら宣言の解除を判断されていかれるお考えなのかどうか、この点を。
 あと、尾身会長にお伺いします。尾身先生、宣言解除の考え方について、ステージ2に行くことということを示されておられますけれども、この考えにお変わりはないかどうか、その点をお伺いしたいと思います
(答)まず私から、北海道の件であります。実は昨年、この時期に緊急事態宣言を発出していた時にも、北海道については特別な扱いをしておりまして、やはり広いということであります。中国地方と四国を入れた以上に広く、九州まで入れると若干北海道より広くなるみたいですけれども。そうした中で、たまたま同じ日ですけれども、広島、岡山という中国地方の県を対象に。北海道はその中国地方と四国を合わせた以上に広いということです。ちなみに北海道12区、武部さんの選挙区ですけれども、1つの選挙区で四国よりも広いと聞いております。
 それだけのエリアがあって、原野もあり、感染が非常に低い地域もありますので、この全道で、つまり四国と中国地方を合わせた全部の地域に、さらに九州を入れてもちょっと広いぐらいのその全部に緊急事態宣言という非常に強い措置を講じるのかということがありますので、そういう意味で特別な扱いが、昨年も行いましたので、そういったことは考えられるのではないかということで、知事にもお伝えしております。
 去年は、私の記憶では、札幌を中心とした石狩管区、石狩地方で強い措置を講じました。そして今回、知事はまん延防止等重点措置を広げるとすれば札幌市からその石狩地方、さらには小樽市、旭川市を考えておられたと思います。ですので、今、道の方で緊急事態というさらに強い措置になりますから、調整を進められていると思います。
 明後日からということで、これはできるだけ早く対応したいということで1日だけ調整、あるいは理解も含めた市町村との調整もありますので日にちを取りましたが、そういう意味で、非常に厳しい緊急事態宣言の措置を取るエリアはそういった範囲になるのではないかと思いますが。ただ、もう既に北海道は、まだ私は詳細を聞いていないですけれども、全道的に時短を行うという方針も言われたと、報道は先ほど接しましたので。緊急事態宣言のようなめちゃくちゃ強い措置ではないにしても、全道的にやはり広がりが。札幌は7割ぐらいありますが、そこからさらに石狩、今、申し上げたようなエリアに広がり、さらにそれが拡大しないように対応されるということだと思いますので、よく連携をして対応したいと思います。
 それから、期間については、今、申し上げたように明後日から始めます。一つには、緊急事態宣言措置は非常に強いものですから、休業要請、それから時短、酒類、カラオケ類の停止というようなことも含めて、あるいは観客も場合によっては無観客ということもできますので、かなり強い措置を講じることになります。そういったことで大阪、東京と合わせて31日までとさせていただいています。集中的に強い措置を講じるという判断でありますが、明後日から始めて16日間で、私どもの過去の分析でいうと、緊急事態宣言を発出すると決めた時点から既に効果、恐らく今晩から効果が出始める。「そうか」ということで。既にもう強い時短をやっていまして、さらに効果が増すということで、今日から考えれば18日間ということになりますが、この間、強い措置によって感染を抑えていければと考えております。
 その上で、解除に当たって基本的対処方針上はステージ3になり、私が考えているのはステージ3をやはり確実なものとして、そして尾身先生が言われるようにステージ2を目指していくということが見える、さらには、先般の基本的対処方針の変更の中で、変異株ということを考えて、より慎重に総合的に判断するようにということを記載いたしましたので。そういう意味で、解除すれば当然人々の活動は、大小あっても活発化しますので、これはいつも人流が増え、感染がやはり起こります。次の感染が、波が来ます。次の波を大きな波にしないように対処できるレベルということで、専門家のご意見を伺って判断をしていきたいというのが私の今の考えであります。
 これまでの専門家のご意見や基本的対処方針に書いてあること、総合的にいえば、ステージ3を確実にし、2を目指していくと。そして、次の波を大きな波にもうしない、対処できるというレベルになるということを、専門家のご意見を聞いて判断していきたいと考えています。
(尾身茂会長)ステージの考え方で。私が強調させていただきたいことは、今、我々は日本の社会として何を目指すのかということを、やはりみんなで共通の認識を持たないと、社会が一体感、今、何と対峙しているかというと、これはある意味では専門家の中、実際に患者さんを見ている人たちの感覚は、我々は数値を見ています。我々は疫学調査を見ている。と同時に、実際に患者さんを見ている人たち、臨床家の人たちは、これは今までの従来とは違うウイルスと。もちろん生物学的にはコロナウイルスで一緒ですが、そういう危機感を持っています。
 そのことが、先ほど大臣も言ったし、私も今日、総理との会見で申し上げたのは、感染のスピードが非常に速い。速いだけならいいけれども、その結果何が起きるかというと、あっという間に医療のひっ迫が。今回、北海道のことなんかも我々は強いことを政府に提案させていただいたのは、そういうことがあり得るということです。
 今、ワクチンを一生懸命、国、自治体、関係者が懸命になってやっている。それから、検査についても日本の場合にはいろんな意見がありましたけれども、ここへきて医療界もPCR検査もかなりできた上に、抗原検査という、すぐにできるという検査。このテクノロジー、ワクチンと、こういうものが今あって。これが去年の場合にはなかなかPCRもそれほどすぐにどこでもできるわけじゃないし、今は民間もいろいろ協力していただける。抗原検査も。抗原検査について医療界の中で大体コンセンサスが出来上がったということがあって、これでやっと人々が少しずつ社会に、普通の生活に戻れるというような状況、環境が今できつつあるわけです。もうしばらくの間です。ワクチンと検査。
 今、そういう文脈の中でのこの解除という話。物事は全てどういう文脈の中でやるかが大事で、今はそういう文脈の中なので、解除するまでに200がいい300がいい400ということ、それも大事かもしれないけれども、むしろ同じようなリバウンドを、すぐに起きて、またそのスピードが速いのですぐ医療のひっ迫になる可能性があることが分かっているので、それを何とか防ぐための解除の仕方ということが実は一番大事で。ステージ2というとすぐ数は何とかというようにいくことがありますけれども。とにかくここの心は、解除する時になるべく次にすぐに来るような解除。そこでワクチン、検査体制というのができるようになるまで何とか低空飛行で、低空飛行というのは数や何かというのはそういう状況に。そのことが実は非常に大事で、そういう理解をみんなが持つことが重要で。すぐ300がいいのか200の方がいいのかという話は、それは分かりやすいんだけれども、実は心は、何が大事かというと、先ほど慎重にということを大臣がおっしゃっておられて、我々もそう思うので。このことを早めに解除すると、今回は前から分かっている、解除すれば人の動きが。今回、余計、人々がもう言ってみればコロナ疲れしているから、より。その上に変異株というのがさらに加わっているわけです。そういう中で、残念だけど、そこにただ、申し上げたいのは、トンネルの先に光が見えているわけです。しばらくの間、検査とワクチンという。そこが本当にみんなに行き渡るまでもうしばらくですから、それまでは何とか、ちょっとプレッシャーをかけて。解除するのをすぐに上げるという、これはその誘惑に駆られます。それはみんな早く経済。だけど、そこを少し我慢するということが、実は結果的には医療の崩壊を起こさないで次の光につながるという。先ほどの光というのはワクチンと検査ということなので、そういう理解を私はみんな。あと1年続くわけじゃないです、あと数カ月ですから。そういう文脈の中で今回の解除というものは理解して、解除の判断をするべきだというのが、少なくとも私の考えです。
(問)大臣に伺います。まん延防止等重点措置の運用について伺います。尾身会長は先ほどの総理会見で、数字が上がった時に早く打つということが改善の余地があるということをおっしゃいました。今回の広島、岡山県、前回は福岡県が重点措置に移行することなく緊急事態宣言に至りました。緊急事態宣言を出さないために重点措置というものがあると思いますが、機動的に対応するために設けられた重点措置の運用について、現在、課題や改善点ということは感じられていますでしょうか。よろしくお願いします。
(答)まず、まん延防止等重点措置、これは以前にもお示しをしたと思いますが。宮城のケースですけれども、確かに宮城県は4月5日にまん延防止等重点措置をやったのですが、その3週間ぐらい前、3月18日のこの段階、50人になる頃に県独自の緊急事態ということで宣言をして、ここから夜の人流は確かに、知事がそういう発信をされたものですから、ぐっと減ってきました。そして、3月25日ですから、その1週間後ですからこの辺ですね。この辺で時短を始められました。それで、100人になる前後だと思いますが、そこでさらに減っていくわけです。ただ、それでもう抑えきれないということで、知事から要請があって5日から対応したというのが宮城県のケースです。
 確かにこの辺の段階でやっていれば、2週間で効果が出るとすればここまで行かなかったかもしれませんが、既に知事が発信をされ、独自の時短、上がってくる兆しをつかんだところでそれをやっていただけると、ここで収まり、しかもまん延防止等重点措置によって、ここからさらにぐっと落ちていますので。この時点から考えると人出は約5割落ちています。地方部で、都市部、仙台を抑えるということをやればそれだけ人が落ちて、全体としての感染はもう33人まできたということで、かなりの減少になっていますので、このレベルで対処できるということで解除しました。ただ、時短は引き続き続けています。これが一例です。
 それからもう一つ、愛媛のケース。愛媛もちょっと少し規模がありますから、感染者の数がでこぼこしていたものですから、知事もなかなかどういった対応を取るのかということで。ただ、いろいろ発信をされてぐっと減ってきてはいましたので、そうした中で、このレベルにきたということで、39人ということで、ここでまん延防止等重点措置をやって、そこからやはり人出3割ぐらい減って、そしてもう20人のレベルになっていますので、もうしばらくで恐らく対処できると。幾つかクラスターが出ているようでありますので、クラスターによって地方はぼんと増えることがありますので、場合によっては50~60人にいったん増えるかもしれないということで、今、こういう対応を取っていますが。タイミングはなかなか難しくて、要請と。それから私どももこういう動きを分析している中で、かなり人流が減ってきているので、これは相当効果を持つかなというのも見ていましたけれども、ここでぐっと増えていますので、こういったところの分析を日々やっております。
 これが大阪。緊急事態宣言の解除の時の話、1月から始めた緊急事態宣言を2月で解除しました。これはいろいろ、大阪の解除が早過ぎたということをよく言われるのですが、感染者の数は500~600人のレベル、これは移動平均ですので1日を取ると600を超えている時もありました。これが3月、2月末にはもう50~60人のレベルになっていましたので、もう10分の1まで、1月からの緊急事態宣言で。青は夜の人出だけです。これをピーク時から5割、宣言の頃からは3割減らすことによってここまで落とすことができました。夜の人出で落とすことができた。これは変異株が無い時です。
 これが解除後、この人出になったわけです。12月とあまり変わらないレベルまで一気に上がっていった。今、尾身先生が言われたように、解除後はやっぱり人出が増える。これで、実はこの辺りから変異株が多かった。何とかこうならないようにということで、我々、段階的な解除ということで時短もやっていましたけれども、残念ながらここから上がり始めるわけです。それが次の大阪のページ。それが感染者の数でいうとぐっと上がってくるわけでありまして、1,000人を一気に超えた。これが変異株の怖さであります。
 まん延防止等重点措置はこの段階で75人ぐらいだったのが、これが500人のレベルかな、もう厳しいということで、大阪市内でやろうということでここで取ったわけですが、まん延防止等重点措置は、これでいうと、ピークまでいくと今はここまで落ちていますが、夜の人口を落とせるのは大体3割ぐらいです。昼の人口は落ちません。休業要請などはできないからです。4月25日から緊急事態宣言をやることによって休業要請、イベントの無観客化などをやりましたので、ここでぐっと昼の人口が落ちて、そして昼も6割落ち、夜も7割落ちるということで、今この効果がどう出てきているか。ここの辺りはまん延防止等重点措置で夜の人流が減ったことによる効果でぐっと上がるのを抑えて横ばいになってきたのは、昼の人流をここから抑えることによって少し大阪は効果が出ているのかなと見ておりますが。
 いずれにしても申し上げたいのは、なかなかタイミングが難しくて、日々分析をしているのですが、今、ご指摘のあった福岡とか、それから今回の広島とか、変異株が急激に広がっているということで、一気に急激に上がっています。ですので、福岡の場合は私どもの判断でも緊急事態宣言にいかないと危ないと。その後、完全に500人のレベルを超えているわけですから、そういう判断をしたわけであります。
 今回、非常にスピードが速かったわけですが、いわゆるこれまでやってきた東京、大阪、愛知、福岡という大都市ではない、広島はそれなりに大都市ですが、地方部では仙台でも松山でも、それなりにまん延防止等重点措置で効果があるということが分かっていましたので、私どもとしては岡山であり広島であれば、まん延防止等重点措置で強い措置で緊急事態宣言並みにやれば、抑えられるのではないかということを考えたわけでありますが、今日、様々それ以上に厳しいご意見を頂󠄀いて、こういう判断をさせていただきました。
 ですので、状況に応じて知事ともやりとりをする中で、急激に増えたところはまん延防止等重点措置。それから今回、広島でいえば、岡山もそうかな、20時までの時短というのはこの2~3日で始めたわけですから、ゆっくりしたペースで上がってきているときは、県独自で24条9項を使っての時短をやり、それから県の何か非常事態宣言みたいなものを発出していただく、そういったことも地方部では効果があります。
 ただし、そうでないときはまん延防止等重点措置に行き、緊急事態宣言というのは当然あり得る話ですけれども、何か順番が決まっているわけではありませんので、状況に応じて機動的にやらなければいけないと思っております。
 そういう意味で、先般の徳島と茨城ですが、感染がかなり落ち着いたので、まん延防止等重点措置の適用はありませんでしたけれども、これはむしろ知事が強い措置でリーダーシップを取って抑えられていたわけでありますので、そういう意味で、今も引き続き分析を進めているという状況です。
 いずれにしても専門家の意見もしっかりと聞きながら、まさに必要なときに機動的にやると。尾身会長からは「早め早めにやるのが必要だ」と言われていますので、そのことを頭に置いて、今後も対応していきたいと考えています。
(問)3都府県の今回の発令について尾身さんは明快で、ステージ4、つまり感染爆発。2番目は変異株のまん延。そして何よりも病床が崩壊しているとおっしゃっています。この3つの条件がそろっていれば、即座にこれは緊急事態発令。
 私は尾身先生と西村先生は一体だと思うから、なぜ先生が緊急事態発令の諮問をしなかったのか。先生は分科会の専門家の意見は最大限尊重していくと、そういう姿勢でやっておられるのを私はよく分かっていますが、やはり私は今日の会見を見ていても、要するに首相の会見を見ていても、専門家の意見を最大限尊重する気が今の官邸にあるのか。
 要するに菅さんがおっしゃっているのは国民へのアピールみたいなこと、メッセージみたいなことを言っていますけれども、やはりこの3つの事実に向き合って自然と判断ができないと、やはり国民は納得しないと思いますけれども、その辺はどうご覧になりますか。
(答)私への質問でいいですか。菅総理も私と同じ危機感を持っておられます。これは日々、尾身会長と話をさせていただいて、いろんな状況認識を伺っておりますので、そのことは正確に菅総理にもお伝えし、総理も強い危機感を持っておられます。
 だからこそ今日、専門家にあらためて、繰り返しになりますが、日頃から一人一人に根回しをして、これでお願いしますよということでやっているわけではありませんので、率直な意見を今朝頂󠄀いて、そのことを私なりに整理をして菅総理にお話をし、官房長官、田村さんも同席しておられました。その中で総理が「やはり専門家の意見を尊重して対応しよう」ということを言われましたので、これはそこに齟齬があるということではありません。
 ただ、尾身会長も先ほど会見でおっしゃっておられたかと思いますが、やはり我々は政治の視点、様々な附帯決議などがあって、強い措置についてはやはりどの範囲でやっていくのか、こういったことも含めていろんなことを考えていかなければなりません。
 当然、経済への影響、それからそれへの支援策。もちろん最優先は感染拡大を抑えて国民の皆さんの命を守ることですから、そのことを最優先に考えますが、いろんなことを総合的に判断していくことは、当然あり得ることであります。
 そうした中で、先ほどとお話が重なりますけれども、北海道という広いエリア全体に緊急事態宣言をかけるかということ。鈴木知事と昨日もお話をさせていただいて、何度かやりとりをする中で、場合によっては特別なやり方でそういうこともあり得るということで、お話もさせていただいたところでありますし、知事からも札幌市長の意向などもお伝えいただきましたので、そうしたことも踏まえながら、最終的にまん延防止等重点措置を拡大するということで、諮問させていただいたということで、緊急事態宣言と同等の強い措置をその範囲でやるということで申し上げましたので、何かそこにすごい差があって、意思疎通がうまくいっていないということでもなく、また、専門家の意見を軽んじているということでも全くありません。
 まさにこれまで日々意見を頂󠄀く中で、私どもとして判断をして諮問させていただきましたけれども、その上で全く本当に多数の率直な意見。
後で議事録も公開されますから、今言ってもあれと思いますけれども、三重県におられる谷口さんはいつもリモートで出席、病床で診ておられる先生です。私にも非常に厳しい意見をいつも投げ掛けられます。私もそれに対して説明することがありますし、谷口さんと意見が一致することもあります。
 例えばそうした方がやっぱり何人かおられますので、そうした皆さんに事前に丁寧に、こういったことで政府は考えているからお願いしますね、というようなことはやっておりませんので。
 状況の説明はともかくとして、そういう中で率直な意見を頂󠄀いて、その上で菅総理にご相談し、そして判断をされたということであります。
(問)西村大臣にお伺いしたいですが。ステージの表を示していただけますか。これは5月13日時点でいいでしょうか。あと広島と岡山についてはないでしょうか。ちょっと簡単でいいので、評価というか、お願いできますか。
(答)今日すでに正式に公表されているものを束ねたものという意味では、昨日時点の数字ということであります。
 まず前のページを見ていただくと、緊急事態宣言の措置を取っている地域、まん延防止等重点措置を取っているエリアです。先ほど申し上げたように愛媛はかなり改善してきていますので、黄色や白になってきていますので、赤が無くなっています。
 そしてもう1点、まん延防止等重点措置でいつも申し上げている、首都圏3県、千葉県のここは赤ですけれども、黄色、白で、東京と同等の措置を隣接する地域でやっていますので、これはかなり効果を持って、何とか踏ん張ってくれている状況というか、徐々に感染者の数が微増している。
 いわゆる実効再生産数、1人が何人にうつすかという数字も1.0幾つとか微増している状況が、矢印が上を向いているというのはそういうことですが、陽性率も5~6%で何とか踏ん張ってくれている状況であります。
 愛知県や福岡県を指定しましたけれども、11%、9%と非常に高い水準。10万人当たりも非常に高い水準であるということであります。北海道は今回10%を超え64人以上ということで、病床の方は私ども、まだ踏ん張れるのかなと。それと先ほどのエリアのことを考えても、まん延防止等重点措置で対応できるかなと判断をしたわけですが、今日、先ほどもご説明があったように、この数字以上に現場は厳しいということ。
 もちろん札幌は非常に厳しいという状況は聞いていましたけれども、今日、分科会のメンバーの皆さんからは、数字以上に厳しいと。これは後で皆さんにお渡しできますから大丈夫ですけれども。それからホームページでも公表しますので、大丈夫です。
 それで先週、要望のあった茨城はこのような形で、一時的にちょっと上がったりしていましたけれども、14人で、今この数字はステージ2のレベルです。陽性率も4%。福島も実は陽性率3%で要請があったわけですけれども、入院できている人が65%あります。長崎もそうですが、49%が入院できていると。実は石川も先週、要請のあった時点では7割ぐらいが入院できていました。これは基本的に感染した人をどんどん入院させる方針の県です。ですから入院率が非常に高い。
 ところが宮崎はこの中では厳しいですが、前のページを見ていただくと、これは尾身先生をはじめ専門家が考えられた新たな指標で、入院できている人が例えば大阪だと10%とか、兵庫だと17%とか、療養すべき人が入院できている率が非常に低いと。
 ここは病床が厳しいということで、私どもは看護師さんを派遣したり、100名規模で今、派遣をしておりますし、順次やっております、ということです。入院できている率が、福岡も厳しいです。愛知も厳しいです。というところを見ています。
 それで岡山、広島も確かに厳しくなっていますが、病床使用率も高くなっていますし、入院率も厳しくなってきていますが、これを見て私ども、地方部ということもあって、特に広島は検査を多くやっているということもありますが、陽性率も低いということもありました。
 それから岡山の知事からはまん延防止等重点措置でということで要請もあって、それもあって今回は地方部、松山、仙台の経験からまん延防止等重点措置で、緊急事態宣言並みの強い措置を地域限定で行うことによって、抑えられるのではないかという判断をして、諮問したところであります。
 今日はもう一つ、香川も確かに厳しい状況になってきてはいますけれども、まだ重症者を含め、病床がまだひっ迫しつつある状況ではありますが、まだ耐えられるというか頑張れるのではないかということと、20時までの時短を最近強められましたので、その効果。
 それから大阪、関西圏からもやはり流入があったということで、連休中の動向の分析などを今進めておりますので。
 そういったことで今回は対象としませんでしたが、熊本が陽性率19%。検査件数を全て入れていないので、分母が高く出ていますが、しかし非常に全体として厳しくなってきております。41人ということで非常に高い数字でもありますので、こういったことから今回、熊本、石川、群馬。群馬も厳しくなってきておりますので、対象とさせていただいたところであります。
(問)大臣と尾身会長に1つずつ質問させてください。
 大臣には、抗原検査キット活用の進捗状況について教えていただきたいと思います。
 尾身先生には宣言解除につきまして、ステージ2でというのに疑問はないですけれども、解除の判断の際には大きく数字には出ないとは思いますが、そのときのインド変異株の感染の動きも重要かと思いますですが、この点は先生方の間で念頭にありますでしょうか。この点についてお聞きします。
(答)抗原検査キットにつきましては、800万回分確保できるということで、厚労省において今、医療機関や高齢者施設で配分をして、配布をしていこうということで対応してくれております。
 遅くとも今月中にはその配分がずっと始まっていくと思いますので、できるだけ先ほども尾身会長からありましたように「ワクチンと検査」ということが、多くの皆さんの安心につながると思います。また、感染拡大を抑えていける大きな鍵となっていきますので、この検査の1つとして、少し具合の悪い人、発熱まで行かないけれども、ちょっと喉が何かおかしいなとか、そういう人は検知できますので、これを活用していきたいと考えておりますし。
 さらにその先には大学の運動部とか合唱部とか、比較的接触する機会が多いそうしたクラブ、大学、それから非常に密になるような場面の多い職場であったり、リスクが高いと考えるエリアの職場であったり、何かちょっと具合が悪い人、この方々が会社に行ったり活動することで広げてしまいますので、是非ちょっとでも具合が悪いと休むということをお願いしたいと思いますけれども、その上でそういったところも広げていけるように、検討を進めたいと考えています。
(尾身茂会長)変異株のこととステージのことで。実はステージの考え方を、医療の方と感染症の方で分けています。結局はステージ3とか4とかは、医療の負荷の程度を言っているわけです。ステージ4というのは今の大阪と考えて、ステージ3というのはそのちょっと手前。今はステージ2がほとんど、というようなことです。感染症の方も、1週間にどのぐらいのスピードで上がるとか、PCR陽性率とか。
 それで実は変異株があって、どんどん感染しやすくなると、特に感染症の方でも、このステージのスタンダードをクリアするのが難しくなるわけです。だからそういう意味では、変異株のことは織り込み済みになっているわけです。
 感染力が増せば増すほど、ステージ3だろうが2だろうが、そのスタンダードがあります。そこをクリアするのが難しくなる。それだけ努力をしなくちゃいけないという意味で、このステージそのものを今は変える必要がないというのが一方。
 ただ、一方、そう物事は単純じゃなくて、変異株の影響は当然ありますから、変異株のいろんなパーセンテージ、どの変異株が主流になっているかというのは、当然これを織り込む。それで感染力の強い変異株がだんだんと、今はもうそうなっているわけですけれども、インド株が仮にもっと強くなれば、このステージに行くのは難しいけれども、解除のときにもう一つ慎重という意味は、ステージのところに関与しても、今度上がるときのスピードが速いので、その分さらにこのステージをクリアしても、さらにもう1プッシュというのが、実はここです。
 慎重にというのは、実はステージ2とか3とかということもそうなんだけれども、このことがもう一つ、実は我々の頭の中にあるということです。
(問)五輪の関係で西村大臣と尾身先生にお伺いします。
 まず尾身先生に2点ありまして。旧専門家会議時代から、政府から諮問されていない事項についても、専門家として発信や提言をされてきました。本日の基本的対処方針分科会でも諮問されていない北海道の緊急事態宣言について、専門家サイドから要望がありました。五輪については政府から諮問されていませんが、感染状況や医療に与える影響を鑑みて、専門家として意見や評価を述べるべき時期に来ているとお考えかということと。
 2点目は、本日の衆院の厚労委員会で「アスリート以外の大会関係者は感染リスクが高い。競技場の外での交流が増えると感染リスクが高まる」との見解を示されました。来日する大会関係者の数やホストタウン事業について、どのようなあり方が望ましいとお考えでしょうか。
 また、西村大臣には、新型コロナウイルス感染症対策分科会に、五輪の感染リスクや対策の評価などについて諮問するお考えはありますでしょうか。教えてください。
(答)まず私から。ご指摘があったとおりで、まず分科会は2つありまして、基本的対処方針を議論いただく分科会、これは今朝やったものです。これは政府からの諮問を受けて、そしてそれについて判断をいただくという分科会ですので、ここから政府が諮問していないことを発信されたりということは、基本的には想定しておりません。
 北海道の話は、私どもとして北海道の対応をどうするかという諮問をする中で、まん延防止等重点措置でいかがですかという、私はそう考えているということで諮問をさせていただいて。そのことについてご意見を頂󠄀いて、それではなくて緊急事態宣言の方がいいということで、ある意味、諮問した内容についてのご意見ということですので、この分科会ではそういったことを考えることは、まず無いということです。
 他方、コロナ対策の分科会の方。これは様々な、まさにこの指標の考え方を示されたり、対策のこれまでの成果というか効果、人流を減らすことによってどれだけ感染が減ったのか、あるいはマスクのこれをスパコンで調べたり、ガイドラインを作るときにスパコンを使ってやったりとか、こういったことでいろいろ評価を頂󠄀くところでありますので、当然、新型コロナウイルスの感染症を抑えていくための必要な措置については、様々ご議論いただく。
 当然そういう場だということでありますので、尾身先生自身もいろんなことを考えておられますし、今後の対策としてまさに変異株への対応もそうです。インドで発生している、新しい変異株へどう対応していくか。あるいはワクチンと検査の考え方。検査の考え方もここで議論いただきました。ワクチン接種の順番もここでご議論いただきました。
 そういったことから、様々なことについてはご議論いただくことはあり得るわけですが、オリンピックへの対応については、コロナ調整会議が設けられていまして、そこにこの分科会の尾身会長の代理を務めておられる岡部先生が、お2人いる専門家のお1人として入っておられて、まさに専門家が様々ご議論をされていることを集約される形で、その場で発言をされ、またご意見を言われ、まさにオリンピックを安心安全なものとしていくために、専門家として発言をし、そうしたご意見を踏まえて対策を講じていっているということであります。今申し上げたような関係にあるという中で、オリンピックが安全安心となるように、専門家の皆さんのご意見をそういった場面で集約しながら、対応していければと考えております。
(尾身茂会長)2つの質問で、一つは五輪について、分科会とかあるいはアドバイザリーボードとか、そうした団体として意見を言う予定があるかということですけれども。実は今、大臣がおっしゃったように、感染症の専門家は調整会議におられます。それで意見は言われていると思います。
 そういう中でなぜ私が数日前に、いわゆるリスク評価をしたか。これは別に分科会の会長というか代表で言ったわけではなくて、国会で質問されて私の意見で。
 なぜそうかというと、私どもはこの世界にずっと長くいた者として、オリンピックの開催については決める人がいるわけですから、当然その人たちに決めていただくわけです。
 ただ、しかしこれだけ医療の体制のひっ迫というようなことが一部で懸念されて、国民的な関心がある中で、専門家としていわゆる公衆衛生のこういうことをずっとやってきた者として、岡部先生ともう一人、斎藤さんというのがおられますけれども、それとは別に国会のような、日本の国権の最高機関のところで質問されたときに黙って、私が判断するべきじゃないということを言い続けることが、プロフェッショナルとしての、一個人としてのいわゆる責任というので、どうかというのは私の中ではあって。
 あえて国からも求められているわけではないし、ただ、国会から質問されれば毎回、知りませんと言うわけには恐らくいかないので、私の考えとしては、感染症のプロとしては、先ほど3つのポイントと申し上げました。
 ということで、国の実際に意思決定に関わる人も当然、考えられているとは思いますけれども、そういう質問が国会の最高機関の国会議員の方から聞かれれば、感染症のプロとしては当然言うべきことは、私は言う必要があると思って。特に医療への負荷というようなことも当然あるし、そういうことはしっかりと判断するときの、いろんな感染のレベル等々があります。
 それの状況に応じて、どれだけの医療に負荷が掛かるのか、掛からないのか、ということをやってくださいということを申し上げるのは、私の責任だと思し。逆にオリンピックの最終的な判断をされる方は、当然そういうことを。普通何かを開催、しかもこれは国際的な大イベントです。
 それの開催に責任を持つ人たちが、そういうことを考えないわけがないと私は思うので、そしたらそういうプロセスをあれして、ある程度の時期が来たら考えを示すことが求められるのではないですかというのを。私は誰から頼まれているわけじゃないけれども、こういう話は非公式にはいろいろしますから、他の人もそう思っているということで、聞かれたら答えるのが、こういうものに長く携わった者としての務めじゃないかと思って発言したわけです。
 さて、二つ目の大会関係者、アスリートうんぬんという話ですけれども。感染症のプロとして普通考えれば、これは判断して、やるべきと言っているのではなくて、アスリートとそれ以外の人ではいろんな意味で、そもそもいろんなルール。プレーブックというのはいろいろ書いてありますけれども、プレーブックに書いてあることを守ろうとするインセンティブは当然違うわけです。
 アスリートは言ってみれば、心身共にベストのコンディションでゲームに臨みたいというのは当然です。そこで感染のリスクがあるということは、当然普通の選手ならば考えるわけだし、それでプレーブックの方もいろんなことを考えられて、そのことがしっかりと実行されれば、普通に考えれば、ワクチンをするしないというのとは別に、守るインセンティブは極めて強いグループ、グループと言ったら語弊がありますかね、人々です。
 一方、大会関係者というのはいろんなカテゴリーでおられます。それで一応プレーブックとして、いろんな誓約書を書かせるということがあっても、これ感染症をずっと長くやっていた者としては、そういうことがアスリートよりも順守するのに、いろんな困難さが伴うというのは当然です。
 だからそういうことも恐らく大会関係者の方は、当然考えていると思いますけれども、私は聞かれればそう思っていますので、それをああいう国会という場で言うのが私の務めだと思って。
 そういう中では、実はもう1点のポイントは、いわゆるスタジアムだとかそういうところについては、かなりそれこそいろんなシミュレーションというか研究をされて、いろんな人が。そのこと自体は感染を制御することは、その他の場所です。
 その他の場所というのは、それ以外の場所がたくさんあります。そこではやり方によっては人流がかなり増える、接触の機会が増えるということは、当然考えられるわけですから、そのリスクについても評価して、どういう場合にはどういうことをする、あるいはしないというようなことは、我々はプレーブックを作るのに関与した。
 だけれども我々感染症のプロとしては当然のことで、聞かれればそのことは判断する必要がないぐらい、考える必要がないぐらい自明のことなので。そういうことは当然考えられると思うので、この手のことは逆にオーガナイズする人たちは、普通は当然考えるわけで。私はそういう人たちが、今私が申し上げたようなことを当然考えていると思いますけれども、参考にして、いろいろ国民に対してお考えを、ある一定の時期が来たらお示しするのが、当然オーガナイザーとして求められることだと思ったということを、普通の私の気持ちを申し上げたということです。

(以上)